ありふれた勇者の物語 【完結】   作:灰色の空

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 改めて見直すとなんかちぐはぐな…同じことを言ってるような…前半も後半もさっと見てくれるだけでお願いします!
原作について批判がありますがあんまり気にせず見てくれると良いなと思います

 だからシリアスって嫌なんです

 所で原作を見ずに見ている人っているのでしょうか?
 念のため書いておきますが原作を見ていることを前提で書いてあるところが多数あります
第3章に入ってから今更かもしれませんが



フューレンに帰還する

 

 

 

「「「………」」」

 

 

 

 

 北の山脈地帯を背に魔力駆動四輪が砂埃を上げながら南へと街道を疾走する。何年もの間、何千何万という人々が踏み固めただけの道であるが、ウルの町から北の山脈地帯へと続く道に比べれば遥かにマシだ。サスペンション付きの四輪は、振動を最小限に抑えながら快調にフューレンへと向かって進んでいく。

 

 

(うぅぅぅ~~~つ、つらいですぅ)

 

 最も軽快に進む4輪と違い社内の空気はただひたすらに重かった。運転はハジメ、その隣の助手席にはコウスケ後部座席にはユエ、シア、ウィルがおりティオは荷台に乗っている。

 

(だ、誰か喋ってくださいぃ~)

 

 いつもだったらコウスケがふざけ、シアがはしゃぎ、ハジメが呆れてユエが笑うというスタンスだったのだが、今はコウスケはずっと席に寄りかかり窓の方に顔を向け、ハジメは前方しか見ておらずピリついた空気を出している。ユエはさっきから無表情でなにやら考え込んでいるように見えた。ウィルはとても気まずそうに座っており、ティオは何をしているかわからない。

 旅はいつだって明るく楽しかったのだが、今は全員の雰囲気が暗すぎる。今までにはなかったことでシアにはとてもつらかった。 自慢のうさ耳も元気なくへにょりと垂れ下がっている。

 この空気を変えるために自分が何かを言わなければ、しかし下手なことを言ってしまうとさらに空気が悪くなりそうで口を出せそうにない。うむむと悩み、このままではいけないと思いつき何かしゃべろうと口を開いたとき横にいるウィルがハジメに話しかけていた。

 

「えっと、礼を言うのが遅くなったかもしれませんが、改めて言わせてください。私を助けてくださった事、ウルの町を救ってくれたこと本当にありがとうございました。」

 

 その言葉と共に頭を下げるウィルにシアは中々豪胆な人物だと評価する。ハジメも小さく溜息を吐くとウィルと会話をする。どうやら怒っているようではないようでシアはホッとする。

 

「…別に礼を言う必要はないよ。お前を助けたのはイルワからの依頼だったからだ。それに町は先生に言われて助けただけに過ぎない。

礼を言うのは先生にだ。僕は町を救おうなんて思わなかったからね。」

 

「それでもです。あの町を…みんなをあなた方が助けてくれたのは事実です。本当にありがとうございました」

 

 素っ気なく言い放つハジメにウィルはそれでもと礼を言い、またシアやユエにも同じように頭を下げる。その誠実さは好感を持てるようで幾分か車内にいる全員の雰囲気が軽くなったような気がした。

 

「コウスケ殿もあの町に被害が出ないように気を使ってくださってありがとうございます」

 

 ウィルはいまだに窓の外へ顔を向けているコウスケに礼を言うが、ピクリとも反応がない。シアが不思議に思いコウスケの様子を伺おうと体を乗り出してからようやく気が付いた。

 

「………zzz……」

 

「…ね、寝ていますぅ」

 

 コウスケは目を瞑り静かに寝息を立てていた。思わず肩の力が抜けるシア。先ほどの清水を助けていた真剣な顔とは打って変わって

全身の力を抜いて眠りこけているのが分かる。なんだかなぁーと思わずにはいられないシア。何せ、清水に快活を使っていた時余りの鬼気迫る必死さを出していたのだ。流石に落差が激しく感じてしまう。

 

「…ん、きっと疲れている」

 

「……じゃな。少し眠らせておくのが良いじゃろう」

 

「そっか。寝ているんだ。コウスケ」

 

 ユエが眠らせておくように言い、荷台から顔を出し何やら難しい顔をしながらもティオも同意する。横目でチラリと見てコウスケが寝ている事にようやく気づいたのか、ハジメのピりつく雰囲気が消えた。どうやら清水を殺すのを止めた、コウスケに対して反発するような思いがあるらしい。

 

「どうして…なのかなぁ」

 

「コウスケさんが止めたことですか?」

 

 小さくつぶやいた声は、恐らく無意識だったのか。ハジメが呟いた言葉はしっかりとシアのうさ耳に届いていた。ハジメは一瞬自分の不注意さを恨むも、そのまま仲間たちと話すことにした。

 

「…うん、アイツはきっと敵になるってそう思ったんだ。だから銃を向けたんだ。それに先生のこともあるし…」

 

「なるほど、わざわざ殺そうとしたのは、そのためですか。彼はあの時、既に致命傷を負っていて、放って置いても数分の命だったのですから……だから、愛子殿が生徒が死んだのを自分のせいだとは思わないように殺そうとしたのですね」

 

「……意外によく見て考えているんだな」

 

 ハジメの言葉をウィルが補足する。ウィルの補足したことはもっともであり、図星でもあった。要は、愛子が清水の死に責任を感じないように意識を逸らそうという魂胆もあったのだ。ウィルの補足説明に他のメンバーがなるほどという顔をする

 

「しかし、ハジメの意思に反してコウスケが清水をかばい助け出したと…思惑通りに事は動かぬものじゃな」

 

「…そんなことぐらいわかっているよ。でも、どうしてって思ってしまうんだ」

 

 ティオに言われた様に事が自分の思うように進まないのは知ってはいる。しかし、だからと言ってコウスケが妨害してくるなんてハジメには思わなかったのも事実だ。そのハジメを気遣ってかウィルは少々悲しそうな顔をするとコウスケがなぜ止めたのかを自分なりの解釈付きで話し始めた。

 

「…これは自分の勝手な思い込みかもしれませんけどコウスケ殿はハジメ殿のことを心配していたんではないんでしょうか。ハジメ殿とコウスケ殿は、確か神々の使徒として別の世界から召喚されたんですよね?その世界では人を殺すという事が禁忌を犯すようなことだからコウスケ殿はやめてほしかったのではないでしょうか。私たちトータスの世界の住人は人の命が軽い世界ですから何とも言えませんが、きっと同郷の者として罪を犯してほしくなかったんじゃないんですかね…」

 

 最後は消え居る話した後、勝手長話すみませんと一言謝りウィルは自分の座席に座り込む。ウィルの話を聞きハジメは考え込む。

 

(確かにそうかもしれない、だけどさコウスケ…変わるのは難しいんだよ…)

 

 横目で見ても依然と眠っている。よほど疲れたのか、それとも別の要因か。目を覚まさない親友に色々思いつつもそのまま順調にフューレンへ向かう一行だった。

 

 

 

 

 

 

 

 中立商業都市フューレンの活気は相変わらずだった。

 

 

 

 

 入場検査待ちの長蛇の列付近に4輪駆動を止め入場待ちをするハジメ。魔力駆動四輪を凝視する人々に対して遠慮をする気もなければ自重する気もなかった。ウルの町でさんざんアーティファクトを使ったのだ。教会や国から接触があってももはや気にしないことにした。またはその事で対策や思考するのが面倒になったともいう。

 この頃になったらようやくコウスケも起きたようだが、依然と足はふらついており、ティオに肩を貸してもらって何とか歩けるような状態だった。

 そのような状態でもあったしやはり反抗するような気持ちもあるのかハジメはコウスケと顔を合わせることができずに門番から支部長から通達があると言われギルドの方へ足を向けるのだった。

 

 

 

 

 

 

 ウィルがイルワと感動の再開をしている中コウスケは自分の身体が思うように動かないのを感じていた。この感覚はいつ以来だろうか。ハジメと一緒に訓練している中で守護を魔力の続く限り展開し、魔力切れを起こし倒れる寸前までいったときとよく似ている。いやそれよりもっとひどいかもしれない。眠気と体のだるさが止まらず心も不安定にもなっている気がするのだ。

 

(つらい、ねむい、いらいらする。もやもやして、はきそう)

 

「ハジメ君、今回は本当にありがとう。まさか、本当にウィルを生きて連れ戻してくれるとは思わなかった。感謝してもしきれないよ」

 

「礼はいい、悪いが面倒ごとは後日っていう事にしてくれないか。こっちは疲れているんだ。」

 

「ふむ。どうやらそのようだね。…特にコウスケ君の顔色が悪そうだ。こちらのことは後でできるからギルド直営の宿のVIPルームに行ってくれたまえ。金や手続きは気にしなくていい。今回の依頼の報酬の一部に過ぎない。疲れが取れたらまた訪れてくれ」

 

 どうやらステータスプレートなどは後回しになるらしい。多少仲間たちの強さが気にはなかったが、それよりも今は休みたかった。

 

 

 フューレンの中央区にあるギルド直営の宿のVIPルームへ向かい個室のベットに倒れ込むコウスケ。

 

(このベット、手触りが良い……でも眠れない)

 

 眠ろうと瞼を閉じゴロゴロとベットの上を転げまわるのだがどうしてだか眠れなかった。体は疲れているがどうやら精神的に妙に昂ぶっているようだ。気が付くとあたりはすっかり暗くなっていた。それでも眠れる気配がなかったので疲れが残る体を引きずりVIPルームを物珍しく見回し何故か完備されていた酒瓶数本を手に取りテラスへ向かうコウスケ。清水を助けたことに悔いはないのだがハジメとの会話をどうすればいいかわからないのだ。

 

 逃げるように来たテラスからは観光区が一望でき中々の綺麗な光景だった。酒をコップに注ぎちびちび飲み始める。久しぶりに飲む酒は味は美味いはずなのに妙に物悲しく感じられた。銘柄が全く分からない酒を瓶の半分ほど飲んだ頃だろうか、人の気配を感じ鈍い動作で振り返る。

 

「…一人晩酌は物悲しいじゃろ。邪魔でなければ妾も同伴していいかの?」

 

 そこにいたのはコップを片手に苦笑し佇むティオがいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……はぁ」

 

 

 夜個室でハジメは寝返りを打ちながらウルの町の出来事を思い出していた。あれからコウスケとは話をしておらずどうにも調子が出なかった。ユエやシアからは話をしてきた方が良いと諭されてはいるのだがどうしても顔を合わせづらかった。

 

 だがこのままでいいわけではないという事を理解はしている。どうやって話を切り出すべきか。どんな顔をして対応すればいいのか。ハジメは初めての友達との和解?方法に頭を悩ませながらテラスに向かう事にした。綺麗な夜景でも見れば何か思いつくかと感じたからだ。

 

「-----」

 

「--」

 

 テラスまで足を運んだ時どうやら先客がいたようだ。今は一人になりたかった為このまま踵を返そうかと振り向いたとき今は聞きたくないようで聞きたかった声が聞こえてきた。

 

「…ずっと考えていたんだ。南雲に人を殺してほしくないって。でもどうやって伝えればいいかわからず、ずっと後回しにしていたんだ」

 

「ふむ」

 

 聞こえてきた声はコウスケだった。相手はティオだろうか。自然と足が止まり、聞き耳を立ててしまうハジメ。ここから離れた方が良いと思いはすれど、どうしても会話の内容が気になってしまった。

 

「ティオにはわかりづらいかもしれないけど、俺たちにいた故郷日本では人殺しは重罪なんだ。『人殺しはいけない』ってずっとガキの頃から言われていてさ、やってしまうと社会的に信用がなくなって牢屋にぶち込まれるんだ。おまけに社会的に制裁を食らって非常に生きづらくなるんだ」

 

 ゴクリと何かを飲む音が聞こえ、ほのかにアルコールの匂いが漂ってくる。どうやらコウスケは酒を飲んでいるようだ。妙に饒舌になっている。ティオは聞き役に徹しているのか声はあまり聞こえない。

 

「人を殺した人間の末路は…まぁ悲惨だろうな。想像したくないけどさ。罪の意識に悩まされ、しでかしたことの大きさに今後の人生を削られる。はぁーー大量殺人鬼の俺は日本に帰ったらどうなっちまうんだろう?…考えるまでもないか。ただでさえ人にイラつきながら生活していたんだ。絶対に人を傷つけるだろうなー…『異世界から帰ってきた男は騒動を起こし豚小屋行きになりましたとさ』…笑えねぇエンディングだな」

 

「む?お主は人を殺めたことがあるのか?」

 

「…シアの家族を助けるために大量に人を殺したんです。思えばあれが初めての人殺しか…」

 

 コウスケはハウリア族を助けるため帝国兵を一人残らず惨殺したことがある。その事を言っているのだろう。ハジメが思い返したとき続く熱に浮かされるようなようなコウスケの言葉に硬直してしまった。

 

「あん時は…ふふ、凄く楽しかった。心が洗われる気持ちでさ、俺のことを見下した奴を一人残らず細切れにして行くんだ。驚いて絶命していくあの顔ったら…最高だったよ。人を殺していくのがあんなに楽しいなんて思いもしなかった。……すぐにそんな自分が嫌になったけどさ、なんだよ人を殺して楽しいって。俺は異常者かよ。…あ、異常者だった」

 

 知らなかった。ハジメはそんな話を聞いていなかった。様子がおかしいとは感じてはいたがまさかそこまで気を悩ましていたなんて

 

「まぁ俺のことはどうだっていい。重要じゃないんだ。問題は南雲だ。アイツは…人を殺さないでほしい。俺はもう手遅れだけどさ、アイツにはまだ未来があるんだ。手を真っ赤に染めて日本で暮らしていく必要なんてない。してほしくない。いやさせない。俺はそんな未来を認めたくなんてない。何が人殺しを決意するだ。なぁティオ知っているか?南雲はな、良い奴なんだ。俺の様なろくでなしの相手をしてくれているんだ。バカみたいな話にも乗ってくれてさ。良い奴なんだ」

 

 酔いが深刻化してきているのか考えたことをそのまま話しているらしい。そのまま止まらずにティオが聞いているのかどうかも気にせずコウスケは話し続ける。

 

「そんな良い奴がさぁ、人殺しをしたらダメだろ。罪なんか背負わなくてもいいんだ。なのに…それなのにどうやったら南雲は気付いてくれるのかな?どうしたらわかってくれるのかな?どんな事を言えばいいのかな?…わからないよ」

 

「悩むことではない思いをそのままに伝えた方が良いじゃろ」

 

「そーなの?」

 

「うむ。ハジメはお主の話をちゃんと聞いてくれるじゃろう。…友達なのじゃろ」

 

「…そっか」

 

 ティオの言葉に納得したのか、何度も「そっか」と呟くコウスケ。ハジメは居た堪れなくなった。そこまでコウスケが自分のことを考えてくれている何て思わなかった。

 

「…コウスケ、いきなりですまぬが、体の方は大丈夫か?」

 

「ん?どったのそんな深刻そうな顔をして?お酒欲しいの?どうぞ」

 

「む、すまぬ…ではなくてなぜ清水を助けるためにそこまで魔力を使うのじゃ?あの魔力の量は命にかかわるかもしれんぞ」

 

「そーかなーこのぐらいいつもの事の様な気がするけど…まぁいいや助けた理由?そりゃ清水のことを憐れんで…ごめんすこし嘘。本当は…」

 

 コウスケは気付いていないが清水に快活を使っていた時すさまじい蒼く輝く魔力光があふれていたのだ。その量は半端なものではなく周り一体が青になるほどだった。そしてあの必死さ。清水をあそこまで魔力を使いながら助けた理由はハジメも気になっていた。

 

「本当は?」

 

「清水は、…昔の俺によく似ているんだ。俺もさ、中学の時はいじめられていてさ、ひきこもる寸前までいったんだ。親に心配かけさせたくなくてずっと我慢して学校に行ってはいたんだけど…その時周りをひがむ様にしていてさ、俺が悪いんじゃない全部周りの奴らが悪いんだってさ…ずっとずっと人を見下すことで自分を保っていて…だからかなアイツは昔の俺のように感じて助けなくちゃて…感じ……たん…だ…」

 

 またゴクゴクと酒を飲む音が聞こえる。それも今回はやたらと多い。慌てたティオの声が聞こえる。と同時にいきなり嘲笑が聞こえてきた。酔いが限界に達したのか理性のタガが外れてしまったのか、余りにもテンションが高くなるコウスケ。

 

「待て!いくらなんでも飲みすぎじゃ!」

 

「……ぷっはは!…あはははっは!今の聞きましたかティオさん!俺と似ていたからって?嘘、嘘嘘ぜーんぶ嘘なんですよ!本当は!本当は気に入らなかったんですよ!な~にが『先生が傷つかないように殺した』だぁ?馬っ鹿じゃねぇか!清水が死んだ理由を知っていますか!?」

 

「お主…いったい何を言って」

 

「あれはねぇどうみてもねぇ!『畑中がヒロインになるために清水は死んだ』んですよ!ぶははは!!生徒を助けられなかった先生は~傷心中に気付くんでーす。なぜ彼が清水を殺したのかを~そして自分の心を守ろうとしてくれた彼に恋をするんでーーーーーす!!」

 

 意味不明なことを口走るコウスケにハジメが止めようとしたとき

 

「ふざけんなよ…」

 

「っ!?」

 

 一瞬自分の首が切り落とされたかと感じた。それほどまでに強い殺気がコウスケから出てきたのだ。そばにいたティオも息をのんで動きを止めたのが伝わるほどだった。

 

「なんだよそれ…なんなんだよ!人の死をどうして畑中のフラグに持ってくるのかな!?読んでいてさっぱりとわからなかったよ!どこでどうやったらアレに恋をするんだ!?都合が良すぎるんだよ!それじゃあ清水が…あんまりじゃねえか…」

 

 怨嗟の声だった。恨みと憎悪が混じったかのような声だった。いったい誰に向かって言っているのだろうか。話の内容もハジメには全くわからない

 

「だから…だから助けたんだ。あんな茶番劇のために死ぬのは間違っている…そうだ俺はあの展開が気に入らなかったんだ。

ふふふ、人助けの理由も蓋を開けてみれば俺のわがままか…まぁいいさ俺のわがままを通して見せる。あの野郎の思惑通…り筋書き通りに…進めてた…まる…か」

 

 コウスケが呟いた途端ドサリと音がした。やっとで動く身体を動かしテラスを見るとそこには酔いつぶれたのか倒れているコウスケとへたり込むティオに周囲に散乱している空き瓶が目についた。

 

「む、ハジメか…すまぬ腰が抜けてしまった。手を貸してくれぬか」

 

「りょーかい…一応状況は理解しているけど、どうしたの?」

 

「実は、コウスケの様子が気になっての…心配してきてみれば、何やらいろいろとため込んでおったようじゃのう」

 

「コウスケは悩みをあんまり言わないからね。」

 

 ティオに手を貸し立ち上がらせる。そのまま空き瓶を回収しコウスケを担ぎ上げる。流石にそのままテラスに放置はかわいそうだからだ。そのまま部屋に運ぼうとしたらティオから止められる

 

「聞いておったのならわかっているとは思うが、コウスケはずっとハジメの心配をしておったぞ。お主はどう行動するのじゃ」

 

「…さぁその時になってみないとわからない。…最後に叫んでいたことは分からないけどコウスケが言っていたことが全部本心だってことぐらいは僕でも分かるよ。……分かっているんだ」

 

 そのまま歩き出すハジメに今度こそ声を掛けられる事はなかった。

 

 コウスケを部屋に運びベットの上に少々乱雑に乗せるハジメ。酔い潰れたものを運ぶのはできればこれっきりにしてほしかった。

すやすやと眠る親友はさっきまでの醜態はなく安心して眠っているように感じられる。溜息を吐き部屋から出るハジメ。扉から出る前に後ろを振り向き未だに眠っているコウスケに声をかける。

 

「…また明日話をしよう。…それじゃお休みコウスケ」

 

 そのまま部屋を後にするハジメ。いろいろあったがまた明日話をしてみようと思うハジメだった。だがその思いは裏切られることになる。

 

 

 

 

 

 

 

翌日もさらにその次の日もコウスケは目を覚まさなかったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 なんだこれ?

 取りあえず気が向いたら感想お願いします

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