やっぱりこの話を考えているときが一番の至福ですね
皆とコミュ
羨ましい
「………」
「?どうしたのドンナ―をじっと見て」
「…なぁ」
「?」
「良いなぁ~俺も銃をバンバン撃ちたい!」
「そう言われても…コウスケは性格と役割的ににあんまり使わないんじゃないかな」
「そりゃそうだけどさー俺も南雲みたいに中二病全開になりたいんだよ」
「中二病って…はぁ分かったよ。何か色々考えておくから期待しないで待っていて」
「わーい」
闘技場
「南雲!闘技場へ行こう!」
「随分といきなりだね」
「楽しみにしていたんだからいいじゃん!さぁ行こう!」
「ハイハイ」
「…で、どうだったの?最初は、はしゃいでいたようだけど」
「んーやっぱり出ている選手や魔物が弱く感じるんだよなぁー失礼かもしれないけどなんか子供のお遊戯みたいな」
「見ていても今一楽しめない、出場しても俺tueeしたいわけじゃない。難儀なものだね」
南雲の運転
「そういえば先生さんは南雲の運転を見ていたはずだよな」
「そうだね、コウスケの膝に乗って途中で爆睡していたけど」
「寝ていたのは許してやれよ…ともかく免許を持っていない生徒が運転していることに最後まで突っ込まなかったな」
「色々あったから余裕が無かったんでしょ」
「だよなー…仕方ないから俺が言っとくけど、ちゃんと日本に帰ったら免許取っておけよ。ここでの運転が慣れて無免許運転なんてするなよ」
「はーい」
ティオって…
「ティオは美人だ」
「…」
「顔立ちはもちろんだが胸がすごいな。走っているとたぷんたぷんと揺れる。ブラジャーはちゃんとしているのか?ともかくユエが凄まじい表情で見ている位凄い」
「……」
「でも一番綺麗だと思うのは、佇まいと少しの動作からうかがえる気品さだな。あれはかなり育ちが良いぞ。ユエと同じクラスだ」
「………」
「聞いているか南雲」
「……………」
「だからさ、俺の後ろにしがみつくなよ!?ああなったのはお前のせいなんだぞ!」
「はぁはぁ…ゴクッ…さぁ2人とも、もう我慢できんのじゃ。妾を痛ぶって罵ってほしいのじゃ」
「たまにあれが出るから美人ていうのは同意しかねるんだ」
「だからおれを盾にしながら言うんじゃねえってば!」
VIPルーム
「しっかしイルワさんは中々の太っ腹だよな。こんなVIPルームに泊まってもいいなんてさ」
「一応個人的な依頼をしっかり果たしたからね。あとは恩を売った方が後々役に立つなんて考えでもしているんでしょ。全部が全部善意だけじゃないよ」
「おおぅ、中々腹黒く計算高いことで。ま、俺達にとってはそんなの関係ないんだけどな!という訳で一生にあるかないかの高級宿を思う存分満喫するぞ!」
「一応やろうと思えば高級宿に連泊することはできるんだけどね…やれやれだ」
冒険者のランク
「金かー」
「冒険者にとっての最高ランクだね。で、何でそんなに不満そうなの」
「んー俺たちの実力が認められたようでうれしい反面、こういうのはコツコツ上がって達成感を味わいたかった、と思ってさ」
「手間が省けてよかったんじゃないの?」
「そりゃそうだけど、苦労して手に入った物に価値があるわけでなんか味気ないと言うかなんというか」
「…やっぱり冒険者生活に憧れがあるんだね」
米料理を食べ損ねた
「あ!」
「どうしたの?そんな急に声を出して」
「俺、結局米喰ってねぇ!」
「……あ」
「うわぁぁぁぁああ!!あんなに楽しみにしていたのにーーーー!!なんであの時俺の分も食っちまうのかな!?」
「僕は悪くない」
「うるせぇぇえええ!!吐け!あの米を全部吐け!」
「…うぇええええ」
「誰が吐けつったんだよ!!オラァン!」
(ユエさんユエさん今のうちに逃げましょう!)
(ん!食物の恨みは恐ろしい)
「ユエお姉ちゃん、シアお姉ちゃん、どこ行くのー」
「「!」」
「うがぁーーー!待て貴様らぁ!逃げようったってそうはいかんぞ!」
「ひゃぁあああ!ユエさん置いて行かないでーーー!!」
「シアの犠牲は忘れない!」
「待ぁてええええ!!」
「皆何やっているのじゃ…」
ムニムニ
「あのーユエさん?なんでさっきから頬っぺたを触ってくるのですか?」
「…んふふ」
「ユエさん?そんなに楽しそうだと困るんですけど…それよりトイレに行きたいんですけど…」
「んー駄目…『凍結』」
「駄目!?ちょっ!?足元凍らせるなよ!?待て待ていったい何を考えているんだ!?」
「んふー」
(やっぱり面白い♪)
「笑っていないで氷を溶かして!漏れる!」
シアのデート着
「あ、コウスケさんどうですかこの服!ちょっとお洒落をしてみたんですが似合ってますか?」
「…タイヘンヨクニアッテイマス」
「こちらを見ていってくださいよーなんで顔を背けるんですかぁ」
「ムリデス」
「即答!?」
「…コウスケは恥ずかしくて見れない」
「あー確かによく見れば耳のところが真っ赤になっていますね。なるほど~そんなに魅力的に見えるんですか~ほらほら~見てもいいんですよ~」
「っ!?ああそうだよ!滅茶苦茶かわいいから反応に困るんだよ!チクショー!!こっちくんなーーー!!」
「……逃げた」
「どこまで女の人に耐性がないのでしょうかね」
ティオの荷物
「そういえばなんだけど」
「ん?どうしたのじゃ?」
「ティオって竜化しているときに洗脳を食らったんだろ?」
「うむ、情けないがその通りじゃな」
「なら里から出たときの荷物はどうしたんだ?まさか手ぶらで調査に来たわけじゃないよな?」
「……あ」
「あ?」
「な、なくしてしもうた…」
「うわぁ」
「貴重品があったわけではないのじゃが…うぅまさか着の身着のままになってしまうとは」
「ドンマイ、後で南雲からお金を出してもらうようにしよう」
「すまぬ…」
和服は素晴らしい
「ティオー竜人族ってみんな和服なのか?」
「和服?ああ里の者が妾の格好と同じか?という事かの。うむ皆似たような服じゃ」
「へーこんな世界でも和服があるっていうのは素晴らしいな。みんなうまく着こなしているのかな?一度でいいから竜人族の皆を見てみたいな」
「ふむ。竜人族が人里に来ることはないが…そんなに楽しみにしているならいつか里の皆を見せてやりたいのう」
竜化について
「竜化しているときは意識はあるのか?」
「無論じゃ。しっかりと覚えているぞ。人の姿の時とは違って中々強靭じゃぞ」
「知ってる。しかし、竜に変身するか、ロマンだなー黒龍状態のティオは威圧感があってかっこいいしな」
「む、照れるからあんまりストレートに褒めないでほしいのじゃが」
「思ったままを言ったまでだ。それに本当に格好良かった…?」
「どうしたのじゃ?」
(あれ?そういえば変身しているとき服はどうなっているんだ?確か竜化が解けたときは服はちゃんと来ていたよな?
服は弾けずにどこへ行くんだ?聞いてもいい話題なのか?失礼に値するんじゃ…)
「?」
「まぁ聞かなくても別にいいか。なんちゃってファンタジーだし」
「???」
「んーこんな感じの場所で十分かな」
現在場所はフューレン郊外の人目が付かない広い荒れ地でコウスケは背を伸ばし久しぶりの外の感覚を楽しんでいた
「むぅ改めてみるとこの乗り物はすごいのぉ妾が竜化し全力で飛んだときより速いのではないか?」
隣にいるのはティオでつい先ほどまで乗っていた魔力駆動2輪をしげしげと眺めていた。実はコウスケに頼まれ訓練として付いてきてもらったのだ。
「周囲に人の気配は…なし。魔力は問題なさそう。体力は…まぁ慣らしで行けばいいか。さてと場所をもう一度確認して…おーいティオそろそろ頼むー」
周囲を確認したコウスケはティオに向かって守護を展開する。今コウスケが始めようという訓練とはズバリ、守護の持続力を鍛えようというのだ。洗脳されていたティオのブレスを受けきったとはいえ、あの時はリリアーナの援護がありまたハジメ達が必ず援護してくれると分かったうえでの防御だった。決して自分一人だけで受けきったわけではない
いつかみんなが万全の状態ではない日が来るかもしれない、だからこそ不測の事態に備えた訓練をコウスケはしたかったのだ。
「うむ。あくまで病み上がりじゃから最初は弱めにしておくぞ」
「はいよー」
腕をコウスケの方にかざしたティオは黒い極光を放つ。竜のブレスは以前ほど強くはない。しかし、長く続くブレスは徐々にコウスケを後退させ体力を削り取っていく
「うごごごごご!」
「ふむこんなもんじゃろ」
ティオの言葉と共にブレスが途切れ、コウスケも息を吐きながら守護を解除する。やはり眠っていたブランクは確かにあり、いつもより体力の消耗が激しい気がする。体中から汗が出てきたが、しかし不快感はない。今自分がすべきことを再確認したからだ。
「ふぃーーやっぱり持続力は鍛えないとな。もしもの時に使えないなんて話にならないし。さてティオもう一回だ」
「またやるのか?もう少し休んでからの方が良いと思うのじゃが…」
「おいおい疲れたときにこそ出来ないとまずいだろ。ブレスの調整はティオに一任しているから、好きなタイミングで撃ってくれ。何度でも防ぎ切ってやるからさ!」
「何とも向上心の強い男じゃな。では気張るのじゃぞコウスケ!」
またもやブレスをコウスケに向かって放つティオ。守護にふさがれてしまうが構わない。長引くように威力を調整し少しでもコウスケの訓練を実りあるものにするため協力を惜しまないティオだった。
「あばばばばば…疲れた…もうだめぽ…ガクッ」
「気絶してしまったか、お疲れじゃったのコウスケ。さて後は町に帰って…む?この乗り物どうやって動かせばいいのじゃ?むむむ?これもしかして…コウスケが起きるまでずっとこのままかの?」
「……zzz」
「あはーーー気持ちいのじゃーーー」
「ティオが気持ち良くても俺からしてみれば複雑だ」
ベットでうつぶせになっているティオに快活を使っているコウスケ。今はまだいいのだがふとした時、ティオはねっとりするような視線でハジメとコウスケを見てくるのだ。無論原因はハジメのドリルバンカーを尻に直撃したからである。
(知ってはいたよ。尻にパイルバンカーを食らうってさ。だけどなんでドリルを先端に付けるのかな南雲はー)
内心かなり愚痴ってはいるが錬成武器を組み合わせてみてほしいとお願いしたのは間違いなく自分なので、ハジメを責めるにも攻めれないコウスケ。仕方がないのでこのパーティー唯一の回復技能快活を使い少しでもティオの変態性を薄めることができないかと奮闘中なのである
(まさか美人の尻に向かって魔法を使う事になるとは…はぁ溜息しかできねえ。あーあの娘が仲間になったらこの役を交代してもらおう。そうしよう)
「あ”あ”あ”ぁぁぁ良いのじゃぁぁぁぁ」
「……ああもう南雲はどこ行ったんだよ!人に任せて逃げんなよーーーー!!!」
「はぁはぁたまらん!もっと頼むコウスケ!」
「チクショー―――!!うるせぇーーーーーー!!」
「で、話とはなんじゃコウスケ」
「俺のことについて。ティオには説明していなかったからね」
部屋にてティオと向き合うコウスケ。今から話をするのは自分の事…すなわち自分の身体についてだ。今のところ何もわからずの状態ではある
だからと言って黙ったままも気分が悪いし色々意見を聞いてみたかったのだ。
「…という訳で本来の俺はもっと別の姿で今の姿は天之河光輝と言う人間の姿になっているんだ。俺は魂が天之河光輝の身体に入ったと思っているんだけど…ってティオ?」
自分のことを話し始めたら最初は頷いていたティオが次第に真剣さを増しなにやら考え込んでいるようだった。恐らく信じてもらえているようだがいささか悩んでいる姿は不安になる。そんなコウスケの視線に気づいたのかティオはハッとした顔をすると苦笑した。
「すまぬ。事情が事情で少しばかり考え込んでしまった」
「それは構わないんだけど…何か気になる事でもあった?」
「それは…」
何やら言いよどむティオ。だが顔をあげ出た言葉はコウスケにとって思いもしなかった言葉だった。
「お主の言うことは嘘ではないと妾は信じる。しかし妾は思うのじゃ、…果たして生きた人間の中に魂が入ることは可能なのかと」
「…え」
「コウスケの魂は天之河光輝とやらの身体に入ったとする。なら、天之河光輝とやらの魂はどこにいったのじゃ?天之河光輝とやらは精神が死んだわけでもないのじゃろ?他にも疑問がある。もし天之河光輝の魂が今もお主の中にあるとすればなぜ、お主の性格や精神に影響が出ないのじゃ?お主と天之河光輝とやらの性格よく似ているのか?」
「…似ていないよ…」
「混ざりあったという訳ではないと、なら一体魂はどこへ?」
ティオの目は探るような眼ではない。ただ純粋に疑問に思ったことを聞いているだけだ。しかしコウスケはその目から逃げるように目をそらしてしまった。考えたこともなかった。もしくは無意識に考えないようにしていたのか。何故だか手が震える。
「っとすまぬ。何やら失言をしてしまったようじゃな」
「…ううん、問題ないよ。ただそんな考え方はしたことがなくて…」
「そうか…なにせ長く生きる妾にとっても初めての事じゃ。だから力になれるかどうかは分からぬがいつでも相談には乗るぞ」
「ありがとうティオ」
礼を言い部屋から出るコウスケ。今はただ一人で考えたかった。ずっと憑依したものばかりだと考えていた。だって気付いたら天之河光輝と呼ばれていたのだ。だから憑依したのだとばかり考えていたが…まるでティオの意見はその考え方を崩すような気がして…
「駄目だ、深く考えるな、俺はコウスケだ」
頭をかぶり思考の海にはまらないようにする。何故この世界に来たのか、なぜこの姿なのか、いったい自分に何が起こったのか考えることは多々あるが無理やり心の底にしまい込むコウスケだった。
「ふむ。何やら訳ありじゃの…胸に抱えている物を吐き出さないといつか壊れてしまうぞ。コウスケよ」
「おーい南雲ー作ってほしいものがあるんだけど」
「これまた唐突だね。何を作ってほしいの」
「んとなー…仮面を作ってほしいんだけど」
「仮面?」
「おう、またの名をマスク!」
唐突な要求にはもちろん理由がある。次に行く街ではいろいろと顔を隠していた方が良いのだ。その事をハジメに話すと苦笑されてしまった。
「ああなるほど。次の目的地はあそこだからか、いろいろ面倒ごとになりそうだからね」
「そー言う事。だからなんかカッコイイ奴お願いしてもいいかな」
両手を合わせ頼み込むと苦笑し快諾してくれるハジメ。その後どうせ作るのなら何かカッコイイものを作ろうという事になった。
「うーんどういうのがいいかな?ヘルメット系?」
「それ仮面じゃないじゃん。やっぱり顔に張り付く奴だろ」
「なんか味気ないなーせっかく作るんだからもっと弾けてみようよ」
「被るのは俺なんだぞ…やっぱシンプルに行ってほしい」
「…っは!?パンツタイプで行こう!」
「おい!俺は変態仮面じゃねえんだぞ!」
「えー」
「え~じゃないってば」
「なら覆面レスラータイプで行こう」
2人で騒ぎながらもあーだこーだと話し合った結果、標準的な骸骨を形どった黒い仮面となった。表面は黒光りしており、強度は中々の物らしく、一般的な武器では傷つけられないらしい。
「おーいい出来じゃないか、中々にシンプルで手触りも悪くない」
「うん中々の出来だからね。被ってみたら」
「じゃあさっそく……アァ、コレハイイナ」
「!?」
被ると何やら高揚感が増してくるような気がした。肌触りもよく顔によくフィットしている。素直な感想をハジメに報告したら何故か驚愕された。首をひねるコウスケ
「ドウシタンダ、ソンナ顔ヲシテ、モシカシテ…似合ワナイノカ?」
「え?気づいてないの?なんか…声と雰囲気が変化しているような…」
「ム?…アンマリ変ワッテイナイガ?」
驚くような事だろうかと首をひねる。今一自分ではよくわからない。何故だろうかと考え一つの仮説を思いついた。仮面を脱ぎながら話はじめるコウスケ
「フム、多分ダガ…それは、仮面をかぶって自分じゃない自分になれたから…とか?」
「自分じゃない自分?」
「おう、よく銀行強盗犯が覆面をかぶるだろ。あれは顔を隠すほかに、いつもの自分とは違う犯罪を犯す自分に切り替わる機能もあるんだよ。
いつもの自分だったら絶対にやらないことでも、顔を隠して元の自分を消したら後は何をしても元の自分に迷惑がかからないからな」
「へぇー初めて聞いたなよそんな話」
「今思いついた話だからな」
「なんだそれ」
苦笑するハジメだが、コウスケは割と真実だと思っている。なぜなら今の自分は元の顔ではなく天之河光輝の顔なのだ。本来の自分ならしないような事、言わないような事をよく言っている。これも天之河光輝と言う仮面を被っているからと言うのも原因の一つなどでもあるのだろう
なんだかんだでハジメに仮面を作ってもらったコウスケ。後は適当なフード付きの黒いコートでも羽織れば中二病溢れる闇騎士の出来上がりである。色々準備を整え次の町…正確に言えばハジメのクラスメイト達のことに思いをはせるコウスケであった。
「…所で仮面は買えば良かったんじゃ」
「あ」
==================================
コウスケ
称号 異界の護り手 魔王誕生を阻止した者 運命の反逆者
天職:勇者 ——
筋力 B⁺ 耐久 AA
敏捷 C⁺⁺ 魔力 A
幸運 C
技能:我流闘技・魔力操作・全属性適正・悪食・守護・快活・誘光・—魔法・他多数
固有奥義『
状態:守護対象「南雲ハジメ・ユエ・シア・ティオ・ハウリア族」
==================================
「……」
「うん。言いたいことは分かるからこっちをそんな目で見ないで」
「…南雲は…」
「えーっと僕のは…」
====================================
南雲ハジメ 17歳 男
天職:錬成師
筋力:B+(A)
体力:BB +(B)
耐性:B⁺⁺ +(C)
敏捷:AA +(A)
魔力:A +(A)
魔耐:B⁻ +(C)
技能:錬成能力・銃技・他多数
状態:勇者の加護 不殺の誓い
==================================
「…強くなっている?」
「……」
「そんな変な顔しないでってば」
「どう見てもこれ俺の影響だよな…俺は一種の病気か何かかよ…」
(気にする必要はないと思うんだけどな)
「んん!?何か忘れているような…何だったっけ?」
「?いきなりどうしたのさ」
宿の一室でハジメと雑談中、ふいに何かを忘れているような気がした。何か喉元まで出かかっているのだが、声に出ない難しい感覚だった。
「なにか…特に問題ないけど重要な何かを忘れているんだ」
「なんだそれ」
呆れるハジメだが、コウスケにとってはここで思い出さないと行けない気がするのだ。うんうん唸るが一向に出てこない
「うーーん。なんだろう?南雲何か言ってみてくれ。思い出すかもしれん」
「やれやれ。分かったよ…フューレンで起きたこと?」
「…違うな。もっと前の様な?」
「ウルの町?忘れていたなんて米料理しか思い出さないけど…」
「ウルの町?うーーーん?何かそこで…あ!リリアーナだ!」
ハジメとの会話でようやくコウスケは思い出した。ウルの町でリリアーナと出会い行動を共にしていたのだ。しかし清水のことで頭がいっぱいだったのでウルの町を防衛した後はきれいさっぱりに記憶から抜けていたのだ。
「うわぁーまさかすっぽりと忘れていたなんて…」
「そういえばいたね。お姫様。なんでいたのか分からなかったけど…って重要?」
「ああ(本来いない人間がいるって意味で)重要人物だったんだが…」
「ふーん(好み的な意味で)重要だったんだ。…ああいう子が好みなんだねー」
何やらハジメの視線が生暖かくなっているような気がする。が考え事をして気付かないコウスケ。
(うーん結局忘れちゃったけど…問題はないよな?特にいても何も変わらなかったし…)
色々思う事はあるがどうせこのまま旅を続けていたらまた会う機会があるのだから取りあえず気にしないようにするコウスケなのであった。
「それで、体調の方はどうですか?ずっと眠ったきりだったとお聞きしたのですが」
「体の調子はいい感じだ。いろいろ訓練しているからなあともう少しで本調子になるはずだ」
「それは良かった。ところでどうですかこの街は」
「中々楽しい町だ。やっぱり大都市と言うのは間違いじゃないな」
現在宿の自室で遊びに来たウィルと雑談に花を咲かせているコウスケ。先日ウィルとその両親…グレイル伯爵が改めて礼を言いに来たのだ。
グレイル伯爵は、しきりに礼をしたいと家への招待や金品の支払いを提案したが、ハジメとコウスケが固辞するので、困ったことがあればどんなことでも力になると言い残し去っていったのだ。
「貴族ともなると格式がきつそうで断ったけど本当はあの時お前の家に遊びに行きたかったんだがな」
「かしこまらなくても両親は全く持って気にしなかったんですが…」
「そういわれても俺は庶民中の庶民だぞ?失礼なことしかできん」
「ははは、なら私が色々作法を教えますので今度ぜひ遊びに来てください。命を助けてくれた恩人に何もしないというのは私としても不満がありますので」
「まったく、考えとくよ」
気楽に笑いあうウィルとコウスケ。そのまま雑談を続け話が途切れた時、ウィルがすっと姿勢を正した。
「実はコウスケさんに報告したいことがあるんです」
「うん」
「ずっとこの街に帰ってから考えていたことなのですが…私は、冒険者になることを決めたんです」
真剣な表情でコウスケの目を見つめるウィル。コウスケは口を挟むことなく目で会話の続きを促す。
「幼いころからずっと冒険者に憧れていたんです…現実は酷い物でした。頼りになる先輩たちゲイルさんたちは一流の冒険者でした。何もわからない私の面倒を見てくれて本当に頼りになる冒険者のみなさんでした…でもあっけなく死んでしまいました」
一度息を大きく吐くウィル。面倒見の良かった先輩冒険者たちを思い出したのかわずかに目の端が光っている。
「分かってはいました。冒険とは危険と隣り合わせなのだと。ゲイルさんたちはあんなに強かったのに…私だけが生き残りました。生き残った時何故私だけがとずっと悔やみました。そしてコウスケさんたちに助けられて…あのブレスから守られて、魔物の大軍を蹴散らしていくおとぎ話の様なその姿を見て、やはりどこか憧れるものがあったのです」
コウスケを見るその目は真剣で決意に満ち溢れていて何事にも折れない
「悩みました。自分が生きている意味、絶対的な死の恐怖、そしてそれでもなお色あせない冒険者になるという憧れ。だから私は決めました。冒険者になって生きようと。それがゲイルさんたちが私を生かしてくれたことへの意味であり私の根本的な意思でもあります」
自分の意思を真っ直ぐに宿すウィルの目はやはりコウスケにとって清々しものだった。ウィルの決意を聞き届けたコウスケは自分の荷物を漁り目的の物をウィルに手渡す
「コレは…」
「俺愛用の山刀。そこら辺の既製品よりかなり丈夫で切れ味がいいはずだ。なんたってこの世界最強の錬成師、南雲ハジメの渾身の一振りだからな!」
「しかし貴方にとって大事なものなのでは…」
「むっふっふっふ。そう俺の超お気に入り、だから貸してあげる」
「え?」
「いつか…いつか君が一流の冒険者になった時に返しに来てくれればいい。その時までは持っていてくれ。そして返してくれる時に君の話を聞かせてくれ。俺が体験できなかった、体験したかった冒険者と言う物語を」
コウスケの言葉を聞いたウィルは静かに山刀を握りしめ、しっかりと頷いた。
「はい!いつか必ず!あなたにお返しします!その時は私の冒険譚を聞いてください!」
「おう!」
笑顔で拳を合わせ笑いあうコウスケとウィル。見習い冒険者となる貴族の青年の門出は祝福と笑顔に満ち溢れ、波乱万丈で明るい旅路を予感させるのだった。
「あ、そうだ!ウィルまだ依頼を受けていないよな?」
「はい、まだですよ。これから正式に登録をしていくところです」
「そっかー……今なら…でも…うーん」
「どうかしましたか?」
「…よし!ウィル一つ頼まれてくれないか?…本当ならグレイル伯爵やモットー商人に頼もうかと思たんだけど…」
「構いませんが、一体なにを?」
「ちょっと待ってくれ。……おーーーーーい!南雲ーーーーーー!」
「行ってしまった…」
「…ふぃーお待たせ。実はこれをある人に届けてほしいんだ」
「コレは…無骨ですが見事な剣ですね。凄い…刃渡りがなんて綺麗なんだ…」
「コレはねー南雲と俺が遊びで生成魔法をぶち込みまくって唯一耐えた剣なんだ。持っていると色々効果が出てくるんだ。傷が勝手に治ったり、豪腕と豪脚が入っているから、阿保みたいな身体能力になったり、後異様にしぶとくなる…試してはいないけどユエの魔法を何発か耐えれるぐらいにはなるかな、後持ち手の技量によっては
「はぁー詳細は分かりませんが凄いですね。えーっと誰に渡すんですか」
「おおう、ごめんごめん。それはな…操られていなくて生気に満ちているはずの
ハイリヒ王国騎士団団長
見直しているとまだまだ追加したいなと思うときがあります。
気が向いたら感想お願いします
後半のウィルはどうしても追加したかったシーンです。
本当は原作でウィルが仲間になるんじゃないかなと思ったときがあるのです。そんな事はなかったですけど…
取りあえずこの物語では冒険者になりました