ひっそり投稿します
変な所はないかな?結構心配しています
朝、いつも目を覚ますのは億劫だった。また学校で背景のように過ごさなければいけないかと思うと嫌でで仕方がなかった。
しかし、今日は何かが違っていた。非常に胸が暖かくいつも開いている穴がふさがったように満たされているのだ。
「……ここは」
薄く目を開けてみれば見慣れない天井。いつのまにか寝ていたベットから体を起こしあたりを見回す。案の定知らない部屋だった。無意識に胸に手をあて、思い出すのは、痛む胸と青く光る空、そして…自分を生かそうとする誰かの泣き顔
「…っ!?……オレは…そっか…」
瞬間全てを思い出した。自分がが何をしようとしていたのかを。そしてその結果自分が死にかけて、天之河光輝の姿をした誰かに助けられてことを思い出したのだ。
ウルの町に混乱をもたらそうとした清水はこの日久しぶりに目を覚ました。
「清水君怪我はどうですか!?痛みますか!?医者を呼んできましょうか!?」
「…先生、顔が近い」
清水が目を覚ましてしばらく考え事に耽っていると愛子が部屋にやってくるなり詰め寄ってきたのだ。恐らくいつも心配して様子に見てきていたのだろう。目じりには涙があり心配してくれていたというのはすぐに分かったが、いくらなんでも近寄りすぎだ。その事を指摘するとハッと我に返って距離をとる愛子。
「ご、ごめんなさい。…でも本当に心配していたんですよ」
「心配って…あんた自分を殺そうとしていた相手を良く心配出来るな」
「心配しますよ。だって清水君は私の生徒なんですから」
にこやかに笑う愛子に呆れる清水。本来自分を殺そうとしていた相手に笑う事なんてできない。だがそれをやってのける辺りこの先生はかなりの大物なのかもしれない。変なものを見るような目つきになるのをやめずに仕方なくお人好しと会話をすることにする清水。実はなんだかんだで話し相手に飢えていたのだ。
「なぁ先生」
「はい?なんでしょう清水君」
「その…アイツらは…もういないのか?」
「南雲君たちの事ですね。彼らは…自分たちにはやることがあると言ってそのまま行ってしまいました。」
「…そっか」
自分を殺そうとしていた南雲ハジメと自分を助けた誰かの顔を思い出す清水。自分の馬鹿な計画を物理的に止めてしまったハジメには恨みや妬みは綺麗になくなり、また助けてくれた誰かには嬉しさや感謝の気持ちが芽生える清水。そんな清水に愛子は優しく微笑んでおり気恥ずかしくなりそっぽを向いてしまう。だが口だけは何故だか止めることができなかった
「……先生」
「はい」
「…そのさ……オレのために泣いてくれる誰かがいるって…なんかすごく…嬉しいって思ってさ…」
「ふふ、そうですね。嬉しいですもんね」
「…オレ、迷惑をかけたけど…アイツと友達になれるかな」
自分の本音をポロリとこぼしたが愛子は不思議そうに首を傾げた後すぐに笑った。
「清水君そんな不安そうな顔をしなくていいですよ。先生から見たらもう友達になっていますよ」
「そうなのか?…友達か…」
『友達』なぜかその何でもない言葉が、清水にはとても大切で、かけがえのない物のように感じられるのだった。
その後、愛子と雑談をしながら、今の現状を知る清水。町の被害は全てゼロであり今愛子たちは荒れ果てている大地の浄化をし、また街の重鎮の対応をしているのだという。ちなみに町を混乱に陥れた原因である清水のお咎は無しになっている。
どうやら愛子が、原因は清水をそそのかした魔族が悪いのであり清水は利用されてしまっただけ、と護衛騎士やクラスメイト達に強く訴えかけ、町の重鎮たちには魔族が魔物をけしかけてきたと説得をして回ったのだ。そして愛子が色々と頑張って立ちまわった結果、清水はおとがめなしとなった。
「大変でしたがこれで大丈夫ですよ!」
「おいおい、オレがまた懲りずに何かしでかしそうとは思わなかったのか?」
「思いません。だって眠っていた清水君は憑き物が落ちたような顔をして眠っていましたからもう大丈夫と判断したんです」
きっぱりと言い放つ愛子にもはや言葉が見つからない清水。まさかここまで生徒思いだったとは思わなかったのだ。改めて畑中愛子と言う人間の芯の強さを実感する清水。
「そうかよ…んで、先生に聞きたいことがあるんだ」
「何ですか?今ならどんなことでも聞いてください」
「…アイツらのこと、目的や先生が知っている全て教えてほしいんだ」
何故奈落に落ちたはずの2人があそこにいたのか、あのでたらめな強さは何なのか。清水は今後のためにもあの2人に何があったのかを知りたかった。
「…分かりました。きっと驚くことも多いけど清水君は知っておいた方が良いのかもしれませんね」
ハジメ達に何があったのかを知っている愛子は少々暗い顔をしながらも再会してからの事、ハジメに聞かされたこの世界の真実を清水に話すことにした。ほかの生徒たちなら混乱するかもしれないが、今の清水はとても落ち着いており今までにはない活力と冷静さを感じるのだ。
「っと先生ちょっと待ってくれ」
「はい?」
「囁きは小さく 密談は静かに ”遮断”…これでよし」
愛子から事情を聴く前に念のため闇魔法”遮断”を使い周りに声が漏れないようにしておく。誰かに聞かれると厄介だろうと考えたためだ。
「……まるで、ライトノベルだな」
愛子から事情を聴き最初に感じた感想が、自分がよく読んでいたweb小説みたいだと思ったのだ。奈落に落ち、死に物狂いで生き延び、美少女に会い、この世界の真実を知り、日本に帰るために迷宮を攻略する。まさしくなろう小説みたいで鼻で笑ってしまう清水。
「らいとのべる?がなにかは先生にはよくわかりませんが、南雲君たちがとても苦労したのだと思います」
うつむき加減でしゃべる愛子は恐らく自分の力不足を嘆いているのだろう。増々あまりにも人の良さにもはや突っ込むことを放棄した
清水は考えに耽る。
(聞けば聞くほど、ゲームや漫画みたいだな。奈落に落ちた少年たちは強くなり数々の美少女を仲間にして日本に帰る。アイツはともかく、南雲なんてまるで物語の主人…公……?)
何かが頭に引っかかった。何故だかあまりにも出来が良すぎるような違和感を感じた。その違和感を確かめるために愛子に質問をしながらも考えをまとめようとする。そうすれば何かが分かる気がするのだ。
「先生、アイツ…南雲の天職は何だった?」
「?錬成師と言う天職だったと覚えています」
「錬成師…確かメルドが言ってたな。ありふれた職業だって」
「はい。確か…鍛治が得意な非戦闘職だったはずです…」
あの魔物の大軍を殲滅しておきながら非戦闘職はないだろとツッコミを入れつつ整理する。
(職業はどこにでもある物で、ステータスはかなり低い…あれ?なんで南雲一人だけなんだ?他の奴らは全員例外なく戦闘職で、ステータスはこの世界の平均より強いはずなのに何故か南雲だけ低かったんだっけ。確か檜山がそうやって馬鹿にしていたはず…)
いくらなんでもあり得るのだろうか?クラスメイト全員戦うために呼ばれたのに一人だけ不自然なほどの冷遇されているのは流石におかしい。そして奈落に落ちてからも違和感しか感じない
(普通死ぬような高さから落ちたけど生き延びたってそんな事ってあるのか?そもそもその後に美少女と出会うってどんな確率だよ。ボーイミーツガール?…いくらなんでも都合が良すぎじゃね?)
考えれば考えるほど違和感は強くなる。頭の隅ではそんな事はないと喚ているが、これではまるで…そこまで考えたとき頭の中に誰かの言葉が聞こえた。
『それにしてもお前本当に馬鹿だよな。普通に考えたら主人公と敵対する魔人族に付いちまったら破滅フラグしかあり得ないだろうが』
(アイツは主人公って言ってたよな…普通自分のことを主人公って言わないよな…なら主人公は…南雲ハジメか?)
もしあの言葉を深読みすれば主人公が南雲ハジメで、自分はハジメ側を裏切ったことになる。いくらなんでも考えすぎだと思っても何処か今までの仮説を正しく感じる自分がいる。
「……オレたちはまるで物語の登場人物みたいだな」
もし南雲ハジメが主人公で自分たちはその物語の登場人物なら…改めて声に出してみればどこかで納得する自分がいた。不自然なまでの主人公の冷遇、その後に起こるクラスメイトとの離別、そして足掻きながら最強になり、美少女と旅をしている。
「考えれば考えるほど、本当にそうなのかもしれない…ならアイツは一体?」
ならその主人公の隣にいるアイツは一体何なのだろう。隣でさっきから不思議そうな顔をしている愛子に天之河光輝の顔をした彼のことについてを聞くことにする。
「先生アイツのことを教えてくれ」
「アイツ?」
「天之河光輝の顔をしたアイツの事だよ」
合点がいったのか再会した時の事から順番に思い出し話す愛子。その全容を聞き清水は確信する
「………やっぱり絶対アイツは天之河光輝じゃない」
「ええ!?でも…」
「いや普通におかしいだろ。天之河が車を爆走させながらヒャッハーー言うかよ」
「それは確かに…南雲君もコウスケと呼んでほしいと言ってましたし…でも顔は間違いなく天之河光輝君でしたよ」
確かに愛子の言う通りだ。顔は間違いなく清水が嫌悪する天之河光輝そのものだ。何故かを考える清水に愛子が思い出したかのように
呟く。その声に清水の意識が持っていかれる。
「そういえば、彼おかしなことを言ってましたね…」
「なにを」
「げんさくぶれいく、とか、げんさくれいぷ、あんち・へいと?なんて言っていたんですがいったい何のことなんでしょう」
不思議そうに首をひねる愛子に対して清水は理解した。理解してしまった。この勇者召喚とトータスでのことが全て物語の中の出来事なのだと気付いてしまった。そしてコウスケがなぜ天之河光輝の姿をしているのかも
「原作ブレイクに、原作レイプ、おまけにアンチ・ヘイト…あぁやっぱりそうだったんだな。という事はコウスケ…お前はさしずめ憑依もの主人公って奴か…原作通りオレのことは死なせておけばよかったのに…」
コウスケがこの物語についてどこまで知っているかはわからないが原作ブレイクと言う言葉を考察すると自分が死んでいるのが本来の流れなのだろう。放っておいてもコウスケ自身には問題は無いはずなのに。助けたことで何が起きるかもわからずそれでも助けてくれたのだろう。その気持ちが清水にはうれしかった
「本当にオレの周りは馬鹿ばっかりなんだな…」
清水は目の端から涙がこぼれ頬が緩むのを止めることができなかった。
しばらく感情の溢れるまま涙を流し幾分か心がすっきりにする清水。ちなみに横にいた愛子はしばらくは一人でゆっくり休んでほしいと言い部屋を出て行った。念のために愛子には今までの会話内容を全部黙ってもらう事にした。快く了承した愛子を見て、これで余計なことにならずに済むと考える清水。
「…とりあえず先生には黙ってもらうとして…オレがするべきことは…」
自分はまさしく物語の道筋から外れたイレギュラーだろう。なら何をするべきか、どう行動するべきか。自分の凶行を止め命を救ってくれた2人に何かできることはないか。
「……これからオレは王国に戻る。ならすべきことは…あの時火球を撃った奴を見つける事か。…ハッ考えるまでもない十中八九檜山だな」
ハジメがベヒーモスから逃げるとき意図的に当たった火球。あの時は事故だとクラスの連中は騒いでいたが、よくよく考えればすぐにわかる事だった。南雲ハジメが居なくなって得をする人間、又はいなくなってほしいと願う人間なら一人しかいない。
「檜山は頭がスポンジだからな。短絡的に行動を移すと考えてアイツを絞めれば…それで終わりか?本当に?」
まだ何か見逃している気がする。確かに犯人は檜山で確定だ。しかしそれで終わりなのだろうか。物語として考えると檜山が締めあげられて終わりとはいささかインパクトが弱い気がする。
「まだほかにもイベントがあるはず…例えばオレの様にクラスの奴らに裏切者がいるとか」
自分の行動や言葉に鼻で笑いつつもクラスに問題児はいなかったか確認すると同時に天職も確認しておく。もし敵に回った場合対処方法を考えておくとうまく立ち回りやすい。
「南雲ハジメは錬成師、天之河光輝は勇者だな、で坂上龍太郎は拳士、八重樫雫は剣士で白崎香織は治癒術師…まるでテンプレだな。
谷口鈴は結界師、中村絵里は降霊術師、永山は重格闘家、野村は…土だったか?辻は白崎と同じく治癒術師、吉野は付与術師…付与術師ってなんだ?檜山は軽戦士…頭の軽そうな檜山らしい。中野は炎、斎藤は風、近藤は槍、後は…ん?アイツ…コウスケの本来の天職は何なんだ?まぁ次にあったら聞いてみるか」
途中でツッコミや疑問を挟むもクラス全員の転職を次々と思い出す清水。ステータスプレートの時相手が羨ましくて自然と覚えてしまったのだ
「こんな所か、そしてオレは闇術師…まったく、闇術師にふさわしく闇落ちするとはな」
自分の転職と行動に鼻で笑う清水。まさしくクラス転移物の裏切りをして、主人公の踏み台となる役割だったのだまさか自分の天職が指し示すような行動を起こすとは失笑物だった。
「ははは……なるほどアイツか」
そして清水は確信した。もし裏切るのならアイツだろうと。天職が人の性格や得意なことを指し示すのなら間違いなく神々の使途にはふさわしくない人物がいた。
「はっ思えばアイツは天之河達から一歩引いた立ち位置を築いていたか…」
よく教室で嫉妬と羨望から天之河達を横目で観察していた清水だ。疑いの目とテンプレ小説物を見ているオタク知識で考えて見れば
本人が隠そうとしていた動機や性格などが手に取るようにわかる。
「違っていたらそれでよし、あっていたら…その時はその時か」
これはあくまで自分勝手な考察に過ぎない。しかしそれでもよかった。今の自分が何をするべきかわかった気がするのだ。
胸に手を当て目を瞑り深く呼吸をする清水。開いていた穴はふさがり、満ち足りたものがあふれかえってくる。呼吸を繰り返すたびに自分の中で魔力が脈動する。それが以前とは比べ物にならないほど増えているのが分かる。
きっかけは自分を助けてくれる奴がいたと、友達ができたと喜び己の壁を超えたからだろうか、又はコウスケの魔力で魂や命が補完されたからだろうか。清水にはどうでもよかった。
「本来死ぬオレを生かしたんだ。…ちゃんと責任はとれよ、コウスケ」
閉じた目を開けたときそこには以前のように虚無感に支配されていた清水の目ではなかった。
活力と決意に満ち溢れた強い眼差しがそこにはあったのだった。
気が向いたらでいいので感想お願いします
ところで返信はすぐに返した方が良いんですかね?
投稿するときにまとめて返すようにしていますけど…