ありふれた勇者の物語 【完結】   作:灰色の空

47 / 126
短いです。場面場面を端追ってます。原作を見ていなければわからないところが多々あります
そして展開がかなり無理矢理です。正直自分でもこれでいいのか?と考えてます。期待には答えられないかもしれません
それでもよろしければどうぞ


懐かしき町で

 

 

 ハジメ達は、現在、宿場町ホルアドにいた。

 

 

 本来なら素通りしてもよかったのだが、フューレンのギルド支部長イルワから頼まれごとをしたので、それを果たすために寄り道したのだ。といっても、もともと【グリューエン大砂漠】へ行く途中で通ることになるので大した手間ではない。

 

 ハジメは、懐かしげに目を細めて町のメインストリートをホルアドのギルドを目指して歩いた。ハジメに肩車してもらっているミュウが、そんなハジメの様子に気がついたようで、不思議そうな表情をしながらハジメのおでこを紅葉のような小さな掌でペシペシと叩く。

 

「ハジメお兄ちゃん? どうしたの?」

 

「ん? あ~、いや、前に来たことがあってな……まだ四ヶ月程度しか経ってないのに、もう何年も前のような気がして……」

 

「あれからもう四ヶ月もたったのか…」

 

 ハジメの言葉にフードを目深にかぶりながら呟くコウスケ。あの物語が始まったともいうべき奈落に落ちてから随分と濃密な時間を過ごしてきた。あの始まりの時を思い出し感慨に耽るコウスケ。その隣ではティオがハジメに対してやり直したくないのかと尋ねている。

 

「ふむ。ハジメは、やり直したいとは思わんのか? 元々の仲間がおったのじゃろ? ハジメの境遇はある程度聞いてはいるが……皆が皆、ハジメを傷つけたわけではあるまい? 仲の良かったものもいるのではないか?」

 

 ティオはストレートに物事を尋ねる。ティオ自身がきちんとハジメ達の仲間になりたいと思っているが故の彼女なりの努力である。

それは構わないが、コウスケは内心落ち込みそうになる。今でもあの時助けられなかったことをどうしても気にしてしまうのだ。続くハジメの言葉に無意識に聞き耳を立てる。

 

「確かにそういう人がいたかもしれない、でもやり直そうとは思わないよ」

 

「ふむ、なぜじゃ?」

 

「皆に会えたから、…最初にコウスケと出会って、ユエとシア、ティオ、今はミュウもかな?怖い思いも痛い思いもしたけどみんなに出会うことができたんだから、だから僕はあの日をやり直そうとは思わない」

 

 ハジメの言葉にユエは嬉しそうに微笑みシアはうさ耳をバタバタさせながら喜びを露わにし、ティオは面白そうに笑っている。ミュウは何を言っているのかはわからなくても無邪気に喜んでいる。そんな女性陣を見ながら「コイツ実は天然のたらしかよ!」と内心ツッコミながらもフードをさらに深くかぶりなおす。勇者天之河光輝が居るととばれたら面倒だったためフードをかぶっていたのだが今はそれとは関係なく自分の顔を隠していたかった。

 

(本当にコイツはよー照れるじゃねえか馬鹿野郎。流石はハーレム主人公っていう奴か?…でもな南雲、俺は今でもこう思っちまうんだよ。あの時原作を知っている俺はお前を助けるべきだったってさ)

 

 ハジメの言葉に嬉しく思いつつ、心のどこかでは、何が起こるのかを知っているのに自分は何もできなかったという罪悪感が募ってしまうコウスケだった。

 

 

 

 

 その後、懐かしさを感じる街を見回しながらも冒険者ギルドのホルアド支部に到着した。途中でミュウを肩から降ろしたハジメはギルドの扉を開ける。他の町のギルドと違って、ホルアド支部の扉は金属製だった。重苦しい音が響き、それが人が入ってきた合図になっているようだ。

 

 前回、ハジメがホルアドに来たときは、冒険者ギルドに行く必要も暇もなかったので中に入るのは今回が始めてだ。ホルアド支部の内装や雰囲気は、最初、ハジメが抱いていた冒険者ギルドそのままだった。

 

 壁や床は、ところどころ壊れていたり大雑把に修復した跡があり、泥や何かのシミがあちこちに付いていて不衛生な印象を持つ。内部の作り自体は他の支部と同じで入って正面がカウンター、左手側に食事処がある。しかし、他の支部と異なり、普通に酒も出しているようで、昼間から飲んだくれたおっさん達がたむろしていた。

 二階部分にも座席があるようで、手すり越しに階下を見下ろしている冒険者らしき者達もいる。二階にいる者は総じて強者の雰囲気を出しており、そういう制度なのか暗黙の了解かはわからないが、高ランク冒険者は基本的に二階に行くのかもしれない。

 

 冒険者自体の雰囲気も他の町とは違うようだ。誰も彼も目がギラついていて、ブルックのようなほのぼのした雰囲気は皆無である。冒険者や傭兵など、魔物との戦闘を専門とする戦闘者達が自ら望んで迷宮に潜りに来ているのだから気概に満ちているのは当然といえば当然なのだろう。

 

(イイねぇ~イイよぉ~この荒くれ物の掃きだめって感じ!)

 

 そんな殺伐としたギルドに内心歓喜の声をあげるコウスケ。周囲のぎろりとした男どもの視線は煩わしかったが、いかにも自分の思い描く冒険者ギルドという感じて顔に出さないがワクワクしてしまうのだ。

 

 ギルドのピりつく雰囲気流しながら喜ぶコウスケを横に血気盛んな、あるいは酔った勢いで席を立ち始める一部の冒険者達。彼等の視線は、美女、美少女、美少女に囲まれている少年とフードをかぶった男に注がれている。その視線は「ふざけたガキ共をぶちのめす」と何より雄弁に物語っており、このギルドを包む異様な雰囲気からくる鬱憤を晴らす八つ当たりと、単純なやっかみ混じりの嫌がらせであることは明らかだ。

 

 定番の荒事かなとわずかに腕に力を込めていたコウスケだが、その腕は振るわれることはなかった。その場で自分たちを注視していた冒険者たちをハジメがまとめて”威圧”で黙らせたのだ。異常な殺気と威圧感を受けた冒険者たちはそのまあ席に座り込み静かになる。周りも同様で、冷や汗を流しながらハジメに視線を向けないように俯いているものが大半だ。

 

 そのまま静かになったギルド内を一瞥して受付嬢へ向かうハジメに逞しくなったな~と場違いな感想を持ちながらハジメに錬成してもらった仮面を装着するコウスケ。

 

「んん?コウスケさんなんですか、その仮面は?」

 

「…オシャレ?」

 

「チガウ、面倒ゴトノ予感ガスルンダ」

 

 不思議そうにコウスケを見つめる、ユエとシアに適当に流しつつフードと仮面で顔を隠すコウスケ。この先にある展開を考えれば自分の顔を見られると色々面倒だと判断したのだ。ちなみに仮面をかぶったコウスケに対してティオは生暖かい視線を向けミュウはかっこいいの~と喜んでいる。

 

 そんな風にハジメの後ろで会話をしていたらハジメの冒険者ランクが金だったことに受付嬢が驚き声をあげギルド内が騒然となる。 

コウスケがそんな騒がしいギルド内を静観しているとギルドの奥からズダダダッ! と何者かが猛ダッシュしてくる音が聞こえだした。

 その人物に見覚えがあるのかハジメは目を丸くしながら名前を呟き、コウスケは視界から外れるように比較的その人物の死角側に行く。

 

「……遠藤?」

 

 その声にはじかれたように顔をあげハジメを見つめる遠藤。男に見つめられて喜ぶ趣味はないので嫌そうな表情で顔を背けるハジメに、遠藤は、まさかという面持ちで声をかけた。

 

「お、お前……お前、南雲……なのか?」

「はぁ……ああ、そうだ。正真正銘南雲ハジメだ」

 

 上から下までマジマジと観察し、強者特有の佇まいや貫禄のある威圧感から半信半疑だったが漸く信じることにしたようだ。

 

「お前……生きていたのか」

「今、目の前にいるんだから当たり前だろ」

「何か、えらく変わってるんだけど……雰囲気が以前と違いすぎだろ……」

「奈落の底から這い上がってきたんだぞ? そりゃ多少変わるだろ」

「そ、そういうものかな? いや、でも、そうか……ホントに生きて……」

 

 あっけらかんとしたハジメの態度に困惑する遠藤だったが、それでも死んだと思っていたクラスメイトが本当に生きていたと理解し、安堵したように目元を和らげた。いくら香織に構われていることに他の男と同じように嫉妬の念を抱いていたとしても、また檜山達のイジメを見て見ぬふりをしていたとしても、死んでもいいなんて恐ろしいことを思えるはずもない。ハジメの死は大きな衝撃であった。だからこそ、遠藤は、純粋にクラスメイトの生存が嬉しかったのだ。

 

「っていうか南雲!一緒に落ちた天之河はどうしたんだ!」

 

「天之河?あーーー」

 

 遠藤の言葉にチラリとコウスケを見るハジメ。視線に気づいたコウスケは“隠形”を使いさらに気配を薄くする。どうやら厄介ごとは全部丸投げするようである。溜息を吐きながらもなぜかボロボロになっている遠藤を適当に嘘をつくことにする

 

「生きているよ、今はいないけど…そんなどうでもいい事より何でボロボロになっているんだ?」

 

「生きてるのか?なら一体どこに…っていない奴の事を言ってる場合じゃなかった!お前迷宮の深層から自力で生還できる上に、冒険者の最高ランクを貰えるくらい強いってことだよな? 信じられねぇけど……」

 

「まぁ、そうだな」

 

 

 遠藤の真剣な表情でなされた確認に肯定の意をハジメが示すと、遠藤はハジメに飛びかからんばかりの勢いで肩をつかみに掛かり、今まで以上に必死さの滲む声音で、表情を悲痛に歪めながら懇願を始めた。

 

「なら頼む! 一緒に迷宮に潜ってくれ! 早くしないと皆死んじまう! 一人でも多くの戦力が必要なんだ! 健太郎も重吾も死んじまうかもしれないんだ! 頼むよ、南雲!」

 

「いきなり何なんだ?まずは落ち着いて説明してくれよ。じゃないと何もできないぞ」

 

「それは……」

 

 尋ねるハジメに、遠藤は膝を付きうなだれたまま事の次第を話そうとする。と、そこでしわがれた声による制止がかかった。

 

「話の続きは、奥でしてもらおうか。そっちは、俺の客らしいしな」

 

 

 

 

 

 

 

 

(やっぱり迷宮に入ってたんだ…うーん天之河光輝が居なくても流れは変わらないのかな?あーーーーーめんどくさい関わり合いになりたくない)

 

 しわがれた声をだした男…ホルアド支部の支部長により事の顛末を聞かされている一行。コウスケの知識通り白崎香織を筆頭としたパーティーが魔人族の襲撃に会い窮地に陥っているようである。

 

 部屋の片隅で壁を背にしながら腕を組み考え込むコウスケ。仮面の影響からか謎の人物として見られており遠藤からは胡散臭いものを見るような目で見られ支部長からはなぜか警戒されている。そんな2人をスルーしながらも嫌になってくるコウスケ。正直言って関わり合いにはなりたくないのだが見捨てる気はみじんもない。自分の矛盾した考えに辟易しているのだ。

 

(あ~見捨てたくねぇ助けたいんだけどな、南雲に全部任せて俺は留守番してようかなぁーでも、もしイレギュラーのことがあったら?

うわぁー考えたくねぇ…あああああせめてあのメンへラさえいなければ自由に行動できるのに…ん?なんで俺あのメンヘラに遠慮してるの?今のうちにどうにかしてしまえば?…でも関わり合いになりたくない!何で俺が天之河のケツを拭かなければいけないんだ!ファック!)

 

 うだうだと考え込むコウスケ。ふと視線を感じ顔をあげるとカリカリと頭をかきながらハジメがこちらを見ていた。なにやら考え込む表情にふっと息を吐き方の力を抜く。どうやら迷っているようなので背中を押すことにする

 

「…オ前ガ、シタイヨウニシロ。俺ハ、イツダッテ一緒ニイル」

 

「…ん、心配しないで私もいる。」

 

「勿論私もですぅ!」

 

「ふむ、妾ももちろんじゃ」

 

「ふぇ、えっと、えっと、ミュウもなの!」

 

 皆の言葉に迷いが晴れたのかハジメは仲間に己の意志を伝えた。

 

「皆…ありがとう。面倒事かもしれないけどちょっと義理を果たしたい相手がいるんだ。だから、助けに行こうかと思う」

 

 ハジメの言葉に頷く一行。その後テキパキと話は進み救出は依頼と言う形になり、遠藤が案内をして、ハジメ、コウスケ、ユエが救出に向かう事になった。

 幼子であるミュウはギルドで預かることになった。聞き分けよく留守番をすると言うミュウに一同ホッコリしながら護衛役としてティオとシアが残ることになった。

 

 「健太郎…重吾、無事でいてくれよ…」

 

 どこか思いつめた表情で呟く遠藤にそれも仕方ないかと思うコウスケ。自分一人だけが無事に地上に出てしまったことに罪悪感やら申し訳なさを感じているのだろう。焦って道を間違えられても困るので励ますことにする

 

「ソンナニ気負ウナ、タダ案内スルコトダケヲ考エロ」

 

「でも…」

 

「大丈夫ダ、魔物ハ俺達ニ任セレバイイ、ナ?」

 

「えっと、あ、ありがとうございます」

 

 肩をポンポンと叩き励ますと戸惑いながらもしっかりと頷く遠藤に頬を緩める。色々考えることはあるがノリと勢いで進もうと考えるコウスケだった

 

 

 

 

 

 

「なぁ南雲あの人いったい何者なんだ?なんか聞いたことのあるような声をしているような…?」

 

「…そんなことを考えている暇があればさっさと案内しろ」

 

「うわっ、ケツを蹴るなよ!お前本当に変わりすぎじゃね!?」

 

「知るか!」

 

 

 

 

 

 

 




 次は何も考えずに書きたいなー

感想お待ちしております
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。