ありふれた勇者の物語 【完結】   作:灰色の空

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短いです
勢いで書いたのです。

会話が多いです。力不足を感じます


交流をして訓練を頑張って考える ふぉーてんごー

 

 

 

 

「所で南雲、お前空中戦はできるよな」

 

 エリセン郊外の海の上のさらに潜水艇の上でコウスケはハジメに確認を取っていた。

 

「うん。天歩の技能で空を駆けあがることができるよ」

 

「駆け上がるって…今更だけど化け物染みているな」

 

「それをコウスケが言うの?」

 

 軽く雑談をしながらコウスケは宝物庫から2人で遊びながら作った大剣『竜殺し』と『段平』を取り出し重力魔法を使って空中に浮かべる。

 

「……あれ?コウスケそれ…」

 

「ん?これかいつか2人で遊びながら作っただろ?ガッツが使うような剣を作ろうってさ」

 

「そうじゃなくていつの間に重力魔法の扱い方がうまくなっているの!?」

 

「お前と殴り合ったあの日からなんかうまく扱えるようになっていた。そのうちやろうと思えば空も飛べるかもな」

 

 冗談はともかく空に浮かべたふた振りの大剣はコウスケの視界の中でぶんぶんと回転する。中々うまく扱えることに微笑むコウスケ。

最も集中しないと動かせないので実用性は皆無なのだが…

 

「所で話は変わるが振動剣ってロマンだよな。一瞬でもふれたら即死って所ら辺がアホっぽくて」

 

「浪漫だね。実際あったら堪ったもんじゃないけどさ」

 

「だよな。さらにだけど大剣二刀流ってすごいと思わないか」

 

「なんだそれ、振り下ろしとかち上げ薙ぎ払いしかできないのに二刀流?考えた奴馬鹿なんじゃないの」

 

「ところがどっこい空中で使えばあら不思議。意外といけるかも?」

 

「ははは普通の人間がそんな事できる訳ないじゃないか」

 

「だよな」

 

「でしょ」

 

「「HAHAHAHA」」

 

 笑いあうがコウスケの目が一つも笑っていないことに嫌な予感がするハジメ。

 

「じゃこれが一撃必殺振動剣二刀流だと思って空中訓練をしようか」

 

「やっぱり!?チクショウいったいどんな敵だってんだよ!」

 

「がんばれ南雲。練習はきっと無駄にならないぞ」

 

「他人事だと思って!」

 

 空に駆け上がるハジメを追跡し両断するように大剣を操るコウスケ。コウスケの視界の中では無茶苦茶な速さで振るわれる大剣二本をギリギリに躱すハジメがいる。

 

(頑張れ南雲!これぐらい突破しないと神の使徒には勝てねぇぞ!)

 

 心の中では激励しながらも全く持って手加減する気がないコウスケだった

 

 

「チックショー!一体どんな敵か知らないけど絶対にぶっ潰す!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 ユエは冷や汗をかいていた。いつかはそうなるかもしれないとは感じてはいたが、まさかここまでだったとは。

 

「っく『雷龍』」

 

 雷を纏った竜が標的を食い破ろうと向かうがあっさりと青の壁にふさがれ瞬く間に消滅してしまう。

 

「『嵐龍』『蒼龍』」

 

 続いて風を纏う龍と炎の龍を放つがこれらも全く持って青の壁を崩すことができない。冷や汗をぬぐいながら青の壁を睨みつけると

その向こう側から声が飛んできた

 

「おいおいどうしたそれで終わりかユエ。もしかして手加減している?全力でやってもいいんだぞ?」

 

「…むぅ」

 

 気遣っての言葉だろうがあいにくこちらは割と本気でやっているのだ。少しばかりイラッとする。 

 

「へいへいピッチャービビってるぅ~」

 

 カチン

 

 自分の中のナニカがキレる音がした。怒りのままに必殺の空間魔法を唱える

 

「“斬羅”」

 

 ガキンッ!!

 

 空間魔法“斬羅”。空間に亀裂を入れてずらす事で、対象を問答無用に切断する魔法である。

 金属音のような音を立て青い壁が切り裂かれるがやはりすぐに修復されてしまった。最も一瞬見えた相手の顔はかなり驚いていたようだが…

 

「あのユエさん?今何かかなりやばそうな魔法名が聞こえたのですが…」

 

「ん、コウスケが煽るから」

 

「あれ生身でくらってたら絶対首ちょんぱだよな…恐ろしい」

 

 恐ろしいものを見るような目でこちらを見てくるが防御不可能なはずである魔法を防いで見せたそっちの方が恐ろしい。内心悪態をつきながら相手…コウスケを冷ややかな目で見て溜息を吐くユエ。

 

 

 現在コウスケはユエと一緒に訓練をしていたのだ。今後の事を考えてもやはり油断はできない。そのためにも自分がサンドバックになるつもりでユエに魔法を撃ってもらっていたのだが…自分の技能である『守護』がかなりの強化をされてしまっていてユエに冷ややかな視線を受けているのだ。

 

「異常すぎる、変」

 

「んなこと言われてもー」

 

「変人、変態、ヘタレ、スケベ」

 

「おおう全部防いだからかディスが酷い」

 

 中々に怒っているユエをなだめながらも訓練内容を思い返す。訓練はいたって単純でユエの魔法をずっと防ぐと言う物だが未だにこちらの守護が敗れた事がない。

 

 ちなみにシアとティオとも訓練をしたがシアからは「壊れない。徒労感が酷い」ティオからは「レーザーを防がないでほしい。自信を無くす」と酷評されてしまった。

 

「むむむ、しかしどうしてこうここまで強固になったんだろう?成長期?」

 

「恐らく精神的な物。良いことでもあった?」

 

「そう言われると…まぁ一つしかないよな」

 

 仲間に自分の事を話して楽になれたのが原因の一つだろうか。良いことではあるのだが、自分が中々単純な事に苦笑してしまう

 

「やっぱり不安な事は誰かに話すって大事だな。 それにしてはちょっと単純すぎるけどさ」

 

「ん。でもコウスケなんでそんなに魔力量が多いの?」

 

 ユエが不思議そうに聞いてくるがコウスケにだってわからない。確かに枷が外れたような感じはするが…。同じように首をひねりながら考える

 

「うーん?天之河の身体だからか?…それは流石に認めたくないな。なんか腹が立つ」

 

「…コウスケはもともと魔力量が豊富だった?」

 

「なんだそりゃ?理由、理由ねぇ…訓練の成果が出てきたから!」

 

「そんな簡単に強くなれるものなの?」

 

「そー言われると自信を無くすな」

 

 2人で考えてみるも結局わからず、強力になったのだからそれでよしと言う話になったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「しっかし俺は本当にどうやってここに来たんだろうな?」

 

「……それなんだけど」

 

 場所はミュウの家の屋根の上。ハジメと一緒にコウスケは雑談をしていた。特に中身のない会話の中でコウスケはいったいどうやって召喚されたのかと言う話になった

 コウスケが何気なくつぶやいた言葉にハジメが何やら考えた後口を開く

 

「んー何か思い当たる事でもあるー?」

 

「関係ないこともかもしれないんだけどさ、ちょっと聞きたいんだけど、グリューエン火山で休憩していた時のこと覚えている?」

 

 ハジメの言葉に思い返すコウスケ。確かあの時は想像以上の暑さにかなり参っていたのだ。真夏の暑い日にヒーターの熱風を直撃しているような考えられない暑さだった。そこで休憩のために部屋を作りそこで氷を作り涼んでいたのだ。

 

「あーあったな。あん時は熱くて仕方なかったなーあん時がどうかしたか?」

 

「あの時どんなことを話していたのか覚えている?」

 

「んっとゲームのキャラに謝っていた」

 

「うん。他には?」

 

「香織ちゃんと一緒に迷宮に入らなくて良かったって言ってた…正直あの時は原作内容をぽろっと言ってしまったんじゃないかとヒヤヒヤしていたからなー」

 

「覚えていないかもしれないけど迂闊な所結構あったよ。あの枯れている大樹を見て知っている言い方していたし」

 

「マジか!?うわぁー」

 

「あはは、それはいいとして、他には?」

 

「む?…うーん?何でこんな迷宮を作ったんだ―って愚痴ってたぐらいかな?」

 

「その内容は覚えている?」

 

「全く持って覚えていません」

 

「なるほど…」

 

 ふむふむと言い考え込むハジメ。いったい何だろうとコウスケが疑問を抱くもすぐにハジメから質問が出てくる。

 

「次に聞きたいんだけど、解放者たちの間に行った時のどんなことを考えていたの」

 

「んん?別にかまわないけど…そーだなオスカーの時はなんか悲しかったな。一人で死ぬなんて悲しいって思った」

 

「確かあの時思いっ切り泣いていたよね」

 

「恥ずかしいから忘れてくれ、次ミレディの時は…」

 

「そういえばあの時コウスケだけ一人取り残されていたよね。いったい何があったの」

 

「それなんだが、なんかサバ折食らった」

 

「サバ折!?」

 

「急に抱き着かれてそのままサバ折を食らった。ものすごく痛かった」

 

「……よし次に行こう」

 

「スルーしやがった。 まぁいいかナイズの時は…なんか一瞬マッチョな男の幻が出てきた」

 

「幻影?僕は見なかったけど?」

 

「一瞬だったからな。んでなんか悲しそうな顔をしていたな」

 

「ふーん」

 

「次はメルジーネなんだが…あれ一体何だったんだ?」

 

「…僕に聞いてもさっぱりだよ。今までの大迷宮でなにか共通することはなかったの」

 

「共通すること…かどうかは分からないけど、なんか…辛かったな」

 

「そう。ねぇコウスケ言いたくなかったら言わなくてもいいんだけど中学の時の事を覚えている?」

 

「さっきから脈絡がないような…まぁいいか中学かー正直辛かったことが多すぎてあんまり覚えていなんだよなー」

 

「覚えていないの?」

 

「つらい出来事には蓋をするっていうのかな?すぐに忘れようとするんだ。ほら、過去に嫌なことがあっても明日は良いことがあるかもしれないって思うだろ?その時に過去の事でいちいち暗くなるわけにはいかにしさ」

 

「そっかありがとうコウスケ。 …やっ…ゃ……でも……き…それに…天之河…な…ほう?…」

 

 そのまま顎に手をやりコウスケを見たまま聞き取れない声で何事かを呟くハジメ。さっきから一体何だというのか。聞き返そうとした所でハジメは宝物庫から何かを取り出す。

 

「悪いんだけどこれ預かってもらってもいいかな」

 

 ハジメが取り出したのは今までの大迷宮を攻略した証でもある、オスカーの指輪とミレディの指輪、ナイズのペンダントにメルジーネのコインの四つだった。

 

「攻略の証?そんな貴重品をどうして?」

 

「まぁまぁ受け取ってくれる?」

 

 差し出された以上嫌とは言えず、受け取るコウスケ。替えのない貴重品なので出来ればハジメが持っていてほしかったのだがやんわりと断られてしまう。

 

「それは君が持つべきものだ…て言ったらなんかカッコよくない?」

 

「そりゃそうだけど…大丈夫かな 無くさないかな?」

 

「『それを捨てるなんてとんでもない!』ってことになるから大丈夫だよ」

 

「ドラクエかよ!?」

 

 なんだかんだで大迷宮の攻略した証を大事そうに懐に入れながらもツッコミをするコウスケ。結局の所なぜ召喚されたのかを分からずじまいなコウスケだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「憶測だけど君は……まぁいいか、いつか分かるときがくる。それまでは黙っておくことにするよコウスケ」

 

 

 

 

 

 

 




さっさと番外編を書きたいものですが中々難しいです。

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