ありふれた勇者の物語 【完結】   作:灰色の空

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あけおめです!これからもよろしくです
ではでは新年最初の物語をどうぞです


拾得編 戦乙女

 

 

「えーっと大体あの辺かなぁ?」

 

 快晴が続く朗らかな空の下うっそうと茂った森の中をコウスケは簡単な登山用具を手に山の中を歩いていた。目的は神の使徒である『ノイント』の捜索だった。

 

 面倒事がある程度の終わりがついた時だった。偶々ハジメとの雑談中に神山での戦いの話になったのだ。コウスケとしてはハジメが負ける筈はないと思い実際めだった負傷もなかったのだがハジメ曰くノイントがコウスケの言っていた物とは違うという話だったのだ。

 

「いや翼が無いってなんだよ。おまけに年下で大剣二刀流じゃないとかどんだけズレが起きているんだ?」

 

 ハジメ曰く『銀の翼は無かった』『成人女性ではなく少女だった』『大剣ではなく短槍だった』と明らかに原作とは違う数々。興味を持ち実際に見て確かめようとするのはコウスケにとっては自然な事だった。

 

「でも誰かと一緒に行けばよかったかな」

 

 呟くが返答はなく静けさが辺りに響く。今回は隣には誰もいない、皆に付き合わせるのは忍びないと考えていたし、それぞれが休暇を堪能中なのだ。ユエは清水の魔法を見て何か琴戦に触れたのか魔法の研究と開発に余念がない。シアは谷口鈴やほかの女子生徒達とお茶会らしい。ティオは神山で一緒に行動していた畑山愛子と親睦を深めている。香織は清水に今までの旅の詳細を聞かれているらしい。

 

 そして肝心のハジメは王国に在住する錬成師達を鍛え上げているらしい。何でも職人錬成師筆頭のウォルペンと言う老人から大結界を修復した腕前を見て弟子にしてくれと懇願され、思う所があるのか面倒を見ることにしたらしい。

 曰く『まずは魔力が枯渇するまで錬成を頑張ってみようか。え?無理?死んでしまう?大丈夫大丈夫そんなの嘘つきが言う言葉だよ、そもそも無能の僕よりも優秀なんでしょ?ならできるよね』との事だ。笑顔なのに目が笑っていなかった。

 

「大体ここらへんか」

 

 なんだかんだで仲間たちの事を考えながらけもの道を説くに苦戦することもなく登りついにノイントが墜落したと思られる場所へたどり着いた。

 

 その場所は山の中腹位で辺りが開けた広場のような場所だった。空は快晴であり穏やかな陽気が眠気を誘うそんな場所で遂に探していたノイントを発見した

 

「…花畑の真ん中に美少女か。随分とファンタジックなことで」

 

 広場の中央そこには色とりどりの花が咲き誇っておりその中央にノイントは横たわっていた。花を踏むのにわずかに躊躇しながらも横たわるノイントに近づくコウスケ。その姿はハジメと交戦した姿から何も変わっていなかった。平坦な右胸と戦闘服に包まれた腹には大穴が開いており焦げ付いた跡がある。すらりと伸びている手足は関節の所が撃ち抜かれちぎれずに残っているのが不思議なぐらいだった。唯一怪我のない顔は眠っているように瞼が閉じている。

 まさしく満身創痍だった。

 

「よくもまぁここまで…」

 

 傍にしゃがみ込みノイントの全身を眺める。痛々しい。そんな言葉が先に出てしまいそうになるのはハジメの様に戦ったわけでもないからだろうか。何となくしんみりした気持ちになり、さてどうしようかと考える。

 実際ここまで来たのは単なる興味だった。いったい原作とはどんな違いがあるんだろうと野次馬のような気持ちだった。

 しかし見て見るとそんな野次馬のような気持ちは消え失せ物悲しい感情が出てきた。翼も無く背丈も香織と同じぐらいだろうか、知らない女の子が傷ついて居るようでこのままにしておくのは可哀想だと思ってすらいた。

 

「埋めるべきか?でもこのままってのもなぁ …重傷を負った美少女の傍でムンムン唸る男。あ、間違いなく第三者が見たら誤解されるなこれ」

 

 一人でしゃべるが返事は無い。なんだか悲しくなってきたところでどかりとノイントの傍に座り込む。何となく空を見上げれば曇りのない澄み渡る青空だ。

 

「あ~いい天気だなぁ」

 

「そうですね。美しく青々としたとてもいい空です」

 

「お?わかる?この世界の空は綺麗なんだよな。二酸化炭素の排出量が少ないから…か…な?」

 

「?どうしましたか。そんな死んだ人間が生き返ったのを見たような顔をして」

 

「……キェェェェェェアァァァァァァシャァベッタァァァァァァァ!!」

 

 澄み渡る青空が見守る中、コウスケはいつの間にか目を開け独りごとに返事をしていたノイントに向かって絶叫をあげていたのだった

 

 

 

 

「何であんさん生きてるん!?」

 

 絶叫をあげノイントから煩いと言われ、多少冷静さを取り戻し武器を構えながらもコウスケはつい話しかけてしまった。てっきり沈黙されるかと思えばノイントは特に気にした風でもなく返事を返す。 

 

「魔力回路を完全に壊されたわけではないですからね。生きてますよ」

 

「はわわ」

 

 四肢がちぎれそうになりお腹や胸などには大怪我をしているにもかかわらず生きているというノイントに驚きながら戦闘態勢を取り警戒する。がやはりノイントはそんな警戒するコウスケに興味を示さず視線であたりを見回す

 

「…動くのは無理ですね、やはりこのまま朽ち果てるのみ…ですか」

 

「…?」

 

 何か違和感があった。どこか達観しているというか諦めているというか…気にはなるが、敵だ。気は抜けないし他の神の使徒がやってくるかもしれない。だがその警戒はノイント自身の言葉により杞憂に終わってしまった。

 

「救援は来ません。動けなくなった失敗作は打ち捨てられるのが運命です」

 

「失敗作?」

 

 どうやら動けないのは本当らしい。多少身じろぎはするもののすぐに動かなくなり視線だけを向けてくるノイントに対して幾分かの警戒を緩めるコウスケ。だからかノイントの口から出てきた失敗作と言う言葉が気になってしまった。

 

「私は…ほかの個体に比べて不完全なのです。その証拠に本来備わっているはずの銀の翼が私にはありません。完成体にあるはずの翼が私にはないんです」

 

「どうしてそのままなんだ?お前の所の主って奴ならすぐに翼をつけるなりなんなり出来るだろ」

 

 大きなため息を吐くノイント。ハジメが言うには交戦したノイントは翼がない事を指摘したらどこか動揺を見せていたらしい。原作にあるノイントの違いがありすぎてどうにも同一人物とは考え難い。おまけに失敗作と言うコウスケが知らない単語さえ出てきた。どうするべきか、コウスケが考え込むんでいるとノイントは空を見ながら静かに話し始めた

 

「ええきっとできるでしょう。ですが主は何もしてくれませんでした。他の使徒達に対する見世物の意味があったのでしょうか。…あの主の考えることは分かりません」

 

「…」 

 

「私は主が望んだ通りの事をした。国王や重鎮達を狂わせ、イレギュラーである南雲ハジメを始末しようとした。でも任務は失敗し、結果私はここで果てる」

 

 ノイントの目は空を見ている。動かない体で彼女が何を考えているのかコウスケには何となくわかった。

 

「…お願いがあるのですがよろしいでしょうか」

 

「なんだ」

 

「私を始末していただけませんか? 私は疲れました。異様に手の温い神に私を見下す同型達。もうあの場に戻りたいとは思えません」

 

 だろうなとコウスケは思った。このノイントは何もかもを諦めてしまっているのだろう。人形であるはずの神の使徒のくせに妙に人間臭い。変な奴だと思いつつも風伯をしっかりと握り上段に構える。最後の手向けとしてノイントの身体を再生魔法で修復する。

 

「…何のつもりですか」

 

「流石に満身創痍ってのもな。さて、何か言いたいことはあるか」

 

「はぁ…なにもありません」

 

 呆れた視線を向けたノイントは、体が治っていくのもかまわず仰向けに最後とばかりに空を眺めた。見納めをするかの様に、又は記憶に焼き付けるように刃物を振り落とされる瞬間まで蒼く綺麗な快晴な空を見続けていた。

 

「…綺麗な蒼」

 

 それが『ノイント』がこぼした最後の言葉だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…で、なんのつもりですか」

 

「うーんどうしようかな。どうやって南雲に説明しよう」

 

「聞いていますか」

 

「うーん、うーん よし、ノリで何とかしよう!」

 

「聞けよ」

 

 神山から王都までうっそうと茂った森をひょいひょいと軽く下山するコウスケ。来た時とは違って帰る場所は決まってるので戻りは楽だった。只背中にいる同行者はそんな気持ちではないようだが

 

「はぁ…どうして私は生かされているんでしょうか」

 

 コウスケの背中で重い溜息を吐く銀髪の少女。そんな少女にコウスケは朗らかに笑う。まるで何も問題ないとばかりに

 

「いや生きてはいないぞ。あの時神の使徒『ノイント』は確かに死んだんだから」

 

 確かにコウスケは刃を振り落とした、しかし当てることはせず空を切ったのだ。驚くノイントだった少女に対してコウスケはこう告げたのだ

 

『これにて神の使徒であり神の木偶だったノイントは死んだ。今ここにいる君はノイントじゃない只の女の子だ』

 

 そう言うとコウスケは処遇は南雲に押し付けようとか何とかと言始め体の傷は治ってもまだ体を動かすのは無理だというノイントだった少女を問答無用でおんぶをし王都まで下山をしはじめ、そして冒頭につながるのだった。

 

「そもそも、死んだってなんなんですか。なんであの時終わらせてくれなかったんですか」

 

「よく喋るな君。だから失敗作なのか?まーいいや、なんだろうね あのまま死なせるっていうのはなんか違うなって思った。それじゃ駄目?」

 

「駄目に決まってます」

 

「ふむ、じゃあ同情、憐れみ、下心。きっとその中ののどれかじゃないかな」

 

「…はぁ」

 

 また耳元で溜息をつかれてしまった。コウスケとしては本音で言っているのだがどうやらお気に召さないらしい。首をひねるがまぁそんな物だろうと考え直し下山の方に意識を向ける。

 

 少女の方としても困惑の感情が強かった。顔は無表情でも胸の奥はもやもやとした体験したことのない不快さで煩わしい。最もそれも悪くないと考え始めている時点でおかしくなっているのだと自覚してしまうが。

 

(そもそも、背中を預けているこの状況、後ろから襲われるとは考えないのでしょうか?…思いついてすら無いんでしょうね)

 

 自分を助けようとしているこの男の観察を始める少女。人が良すぎる…のでは無く、きっと他に理由があるのだろうと思い当たる物の指摘するのは面倒だったし何より誰かに背負われるという今まで感じたことのない感覚に戸惑いがあるのも事実。

 

 これから先自分はどうなってしまうのか。残り稼働期間がもう僅かだというのに胸がもやもやしたまま銀の少女は大人しく背負われているのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「で、なにコレ」

「拾った!」

「拾われました」

「……捨ててきなさい」

「やだ!」

「女を小動物扱いですか。鬼畜ですね」

「……はぁーーー」

「そんなに溜息ばっかついていると白髪が生えるぞ?」

「君のせいだよ!」

「そうですよ。あまり友人を困らせるものではありません」

「お前もだ!」

 

 自室にて南雲ハジメは困っていた。親友コウスケがふらりとどこかへ出かけたと思ったらなんと敵であるはずのノイントを拾って帰ってきたのだ。しかもなぜか傷を治しておぶっているという摩訶不思議な状態で。頭を抱え悩むのは仕方がなかった。

 

「はぁ、それで話を戻すけどマジで何がどうなって連れてきたのさ」

 

「かくかくしかじか」

 

「はいはい、なるほどなるほど」

 

 話を聞けば、倒れていたノイントに死なせるのは惜しいと判断したコウスケが連れてきたという事だった。こんな状況になるのならあの時徹底的にたたけばよかったとは思う者のそんな余裕はなかったのだから何とも言えない気分だった。

 

「で、コウスケはどうしたいと考えているのさ」

 

「え?俺?」

 

「そうだよ。僕に押し付けられてもはっきり言って困る。そもそも君がどうにかしたいと考えていたから連れてきたんでしょ?なら僕に任せるんじゃなくて君が考えないと」

 

「……」

 

「本当に犬か猫みたいな扱いですね」

 

「お前は黙ってろ」

 

 余計な茶々を入れてくるノイントをあしらいながらコウスケに聞いてみれば当の本人は困った様子だった。何となく先の展開が予想できつつも

溜息一つ吐くとコウスケだけを連れてノイントから距離をとる。距離を取られたノイントは逃走するわけでもなくまた暴れる訳でもない様子から

本当に敵意がないのだと南雲はいつでもドンナ―が抜けれるようにしながらも判断した。

 

「で、コウスケあの娘をどうしたいの?」

 

「む、…すまん南雲。アイツの事情を聴いてしまったら殺す気なんてなくてさ」

 

「うん」

 

「それで…助けてみたいって俺達の旅に連れて行きたいって…」

 

「そっか。ならわかった。好きにやればいいよ。何かあったら僕がフォローする」

 

「…反対しないのか?」

 

「しない」

 

 元からコウスケのやる事にはあまり口を出す気もないハジメである。多少は思う事はある物のコウスケのすることに全否定をする気はなかった。

迷うコウスケの背を押しノイントとの会話を観察する。念のために警戒はしているが…まぁどうせ必要ないだろうなと考えるハジメだった。

 

「それじゃ話が決まったことで、君の処遇が決まりました」

 

「はい」

 

「君の身柄は俺達が引き受けるってことになった」

 

「つまり?」

 

「俺達…俺と一緒に来てくれないか?」

 

 まるで告白みたいだなと馬鹿気た思考を頭の片隅で考えながらノイントとかつて呼ばれていた少女に手を刺し伸ばすコウスケ。少女は無表情なのにどこかキョトンとした顔をし、マジマジとコウスケの手を見る。

 

「正気ですか?私はあなたたちの敵だったものですよ」

 

「知ってる。でも、もうあっち側につくのは嫌なんだろ」

 

「はい。あっちはもううんざりです。…後悔はしませんね」

 

「どこかで必ず後悔するさ。だけど今君をここで放っておくほうがよっぽど後悔しそうだ。だから…おいで」

 

 コウスケの言葉に少女はふっと息を吐く。依然として表情は変わらないがどこか明るくなったような感じがした。 そして、少女はコウスケの差し出された手に自分の手をそっと乗せる。

 

「色々迷惑を掛けますが…よろしくです」

 

 体をうまく動かせなくても、自分の意思を伝える為に、失敗作として使い捨てをされていた人形はコウスケの手を取ったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「という訳で晴れてあなたの仲間になったわけですが問題がなくなった訳ではないんですよ」

 

「なんと」

 

 ペタンと座り込む少女から予想外の言葉を受け驚くコウスケ。ちなみにハジメは部屋の隅で我関与せずと言った態度をとっている。

 

「問題は二つあります。まず一つ、傷が修復されたとはいえこのままでは魔力切れで稼働停止してしまいます」

 

「…つまり?」

 

「主…エヒトからの魔力の供給が途絶えてしまったため他の物で代用しなければいけません」

 

「他の魔力でか…ううーん南雲なんか良いもん持ってない?ってか作ってくれない?」

 

 困った時のハジメ頼みだが当のハジメは宝物庫を漁るわけでもなく何やらコウスケを見つめている。何か嫌な予感を感じコウスケの頬を汗が一つ滴り落ちる

 

「ん?それってコウスケの魔力でどうにかできない?」

 

「え!?それは無理だろ~」

 

「出来ますよ」

 

「何と!?」

 

 驚き見れば何やらズイズイと這うようにして近づいてくる少女。元が整っている容姿のため何やらホラー感満載だ。

 

「見ればあなたの魔力はそこのイレギュラー…この呼称は失礼になりますね。南雲様に比べて頭一つ抜けています。いえもっと多いかも」

 

「で、でもどうすれば?」

 

「そこで天井のシミでも数えていてください。すぐに終わらせます」

 

 なんか昔同じことを言われたような気がしながらもパーソナルスペースまで這いずってきた少女に身を任せることにする。

 

「では失礼します」

 

 言葉と同時に胸…心臓に近い部分を触られたと感じたその瞬間胸の奥からのナニカを吸われていくのを感じ取るコウスケ。それを証明するかのようにコウスケ心臓付近から青い魔力光が漏れ出し少女に吸収されていく。

 

「へぇ…これは中々…想像以上ですね」

 

「ひぇぇーなんかこれ前も同じような目に遭った気がするー」

 

「ユエの吸血と同じじゃないの?」

 

「あぁぁーそれだーーー」

 

「腑抜けて無いで気をしっかり持ってください。…後は契約を書き換えて…っと」

 

 おそらく魔力だろうと思われるものが吸われていく感触に意識が飛びそうになりつつも少女からの叱責で我を取り戻すこと数回。

 

「けっぷ。これでもう大丈夫です。後は魔力が馴染むのを待てば問題ないでしょう。ご馳走様でした、()()()()

 

「おぉう お粗末様でした?…んん?待って今なんて」

 

「?後は魔力が馴染めば問題ないですよ?むしろ以前より格段に性能が上がります。レギュラーからハイオク?みたいな?」

 

「いやそれも気になるけど、マスターって何!?」

 

 『マスター』余りにも聞きなれないその言葉に問い返すば少女はジト目で返してきた。

 

「魔力の書き換えを行ったのです。つまり誰が私の主になったかを考えればわかる事でしょうに」

 

「いやいやまって!?勝手にマスターって呼ばないでってば!俺の社会的地位が地に落ちる!」

 

(割ともう手遅れな様な気がするんだけどなー)

 

「何を今更…私知ってますよ。マスターが実は美少女から敬愛と情欲をこめて御主人様って呼ばれたいことを」

 

「へぇ」

 

「ほぉう!?な、何故それを!?」

 

 ファンタジー世界にいるのなら一度でもそう呼ばれてみたいなーと密かに考えたことがあるコウスケ。

 でも無理だろうしまさか仲間内から呼ばれるのは違うよなと考えてはいたもののまさか目の前の少女から秘密を暴露されるとは思わなかった。

 

「魔力をいただいたときに記憶や心情なども幾分か覗いてしまったので…まぁ蚊に刺されたとでも思って諦めてください。私も()()()()暴露する気はありませんので」

 

「なんちゅーこっちゃ」

 

 早速後悔をすることになったコウスケ。自分の秘密を握られているようでドキドキである。ハジメからの何とも言えない生温かい視線をごまかすべく話を進める

 

「で、でほかにももう一つあるんだったかな」

 

「慌てるマスターを見るのは中々の…っとそうでしたね。もう一つなんですがとても重要なことです」

 

 何やら不穏なことを呟いていた少女だがコウスケの言葉によりスクっと背筋を伸ばす。どうやら本当に重要な事の様だ。自然とコウスケも真剣な顔つきになる

 

「それは一体?」

 

「私の…名前です」

 

 名前。少女はもうノイントではない。神の人形だったノイントはあの時にいなくなったのだ。ならば、新しい名前が必要である。

 

「名前を変えたからと言って過去が変わるわけではありません。しかし私はノイントではありません。これから新しく変わっていくのです。だからマスター私に名前を付けてくれませんか」

 

「名前かー どうしよう俺名前を付けるの壊滅的に下手なんだよな」

 

 いきなりの名前付けである。足りない頭を回転させるがいい名前なんてすぐには浮かばない。助けを求めようとしてハジメに視線を向ければ何故かハジメはニヤリと笑う

 

「そうだね…それじゃボロンゴ、プックル、チロル、ゲレゲレこの中のどれかだね」

 

「おい!それ俺がやった奴!」

 

「あっははは 気付いちゃった?」

 

「覚えているわい!くっそ自分が蚊帳の外にいると思い込みやがって…」

 

「仕方ないでしょ。あの時は僕が考えたんだから今回はコウスケの番が回ってきたそれだけの話さ」

 

 愉快そうに笑う南雲にブー垂れるコウスケ。どうやら南雲からの助力は受けられなさそうだ。当の本人は何やら期待に満ちた視線を向けてくるので尚更頭を悩ませる。

 

「あ~も~……うーんうーーーーん。よし決めた!お前の名前は『ノイン』だ!」

 

 結局元の名前を一部変えることにした。ほかにもいろいろ候補があった物の覚えやすいと考えたのが決め手だった。内心バクバクと緊張しながらなずけられた少女『ノイン』を見ると…

 

「…はぁノイントから『ト』を取っただけじゃないですか」

 

「うぐっ!」

 

「安直だね」

 

「結構適当ですね…まぁ構いませんけど」

 

「ぬぅぅうおおお!」

 

 ジト目にで見つめてくるノインにズバッと言われてしまい顔を両手で抱えごろごろするコウスケ。しかしハジメだけはしっかりと見ていた。ノインが喜びの雰囲気を出している事を、表情は変わらないものの心底喜んでいるのがハジメには見えていた

 

「思う事はありますがマスターが悩んで考えてくれた最初の贈り物です。素直に貰うとしましょう。では改めましてコンゴトモヨロシク…ですねマスター」

 

 こうしてノインと名付けられた元神の人形はコウスケの侍従になるという事になりつつも改めてコウスケの仲間になったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





ではでは今年もよろしくお願いします。
出来ればアニメが始める前までは終わらせたいと思いつつ第5章終了です?
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