ありふれた勇者の物語 【完結】   作:灰色の空

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パパッと出来ました。
当たり前ですが原作を見ていなければ分からないところが多いかもです
そして会話が多めです


氷雪洞窟 

「という事で、皆の防寒用アーティファクトを作って来ました。配るからおいで~」

 

 飛空艇フェルニルの中、呑気な声を出しブリッジに入りながら全員に集合を掛けたのはハジメだった。最後の迷宮『氷雪洞窟』はその名の通り極寒の大地の中にある。

 火山での失態を経験した今、体温調整に抜かりが無いよう防寒用アーティファクトを作ったのだ。

 

「お、何だ何だ?」

「やっとで出来たのか」

「あ、コウスケさん逃げたですぅ。ついでに清水さんも」

「じゃあ2人とも鼻からスパゲティってことで」

「ふっ弱者は逃げるのが上手い」

「ユエ?なんだか小物みたいなセリフじゃぞ?」

「アホなことを言ってないで皆さん行きましょうよ」

 

 ハジメの号令にトランプで遊んでいた仲間たちがぞろぞろと集まりだす。氷雪洞窟につくまでの間に少しばかり遊んでいたのだ。ちなみゲームはババ抜きでコウスケと清水が最下位争いをしていた。

 

「何で作るのが遅れたんだ?」

 

「本当は皆同じ形の物を作る予定だったんだけど、それじゃ味気ないと思ってね」

 

 袋をゴソゴソしながら皆に順番に並ぶよう呼びかけるハジメ。何だ何だと期待と好奇心をのぞかせながら仲間たちは並んでいく。そんな仲間たちにハジメは苦笑しながら力作であるペンダント型の防寒アーティファクトを渡していく。

 

「という訳で。ユエにはこれ」

「ん、三日月?…綺麗」

「シアはこれー」

「わっ!真っ白いウサギさんですぅ!」

「ティオにはこれー」

「ほぅ小竜をモチーフにしておるのか」

「ノインは…これでいいかな」

「眉毛がぶっとい雪だるま、ですか?…ス・ノーマン・パー?」

「どこかで見た雪だるまだよ。清水はっと」

「おい、何で門松なんだ?正月はまだだぞ」

「まぁまぁ んで、コウスケは」

「鏡餅?…何か野郎にだけ妙に変なもん作ってないか」

「目出度いから良いでしょ」

 

 それぞれに力作であるアーティファクトを渡していく。帰ってくる反応はなかなか好評の様でハジメとしても苦労して作ったものが喜ばれて頬が緩む。

 

 そんなハジメの袖をそっと引っ張る者が1人 

 

「ハジメ君?…私の分は?」

 

「あっと…はい、どうぞ」

 

 照れで頬が赤くなるのを気合で抑え込み最後に残ったアクセサリーを香織に渡す。香織に渡すのはどんなデザインが良いのか悩んだが結局

ハジメは雪の結晶型の物を作ったのだ。実際、細かなところまで意匠を凝らしており、水色がかった半透明の石の内部が光を吸い込むように煌くので非常に美しい作りになっていた。

 

「どう…かな。出来る限り拘ったんだけど」

 

「…凄く、綺麗」

 

 雪の結晶を渡された香織は目を瞬かせながらじっくりと見ており、ハジメの方も気に入られたので少しばかり得意げだった。

 

「滅茶苦茶拘ってないか?」

「力の入れ方が違いすぎる」

「香織さん嬉しそうですぅ」

「んふふ~善きかな善きかな」

「ハジメよ中々やるのぅ」

「あのヘタレもっと普段からそうしてればいいのに…」

 

「ありがとうハジメ君。大事にするよ」

 

「いえいえどういたしまして」

 

 仲間たちの冷やかすような生暖かい様な声が聞こえるがアーティファクトに夢中の香織とそんな香織に照れているハジメには全く聞こえなかったのだった。

 

 

 

 

 

 そうこうして居る内に氷雪洞窟に到着した一行は真っ白な雪を見てはしゃぐ者とげんなりする者と別れながらクレバスまで進み

 

「わぁ、これが雪ですかぁ。シャクシャクしますぅ! ふわっふわですぅ!」

「んーーーーー!!」

「うわぁ 雪だぁ …全部消えて無くなればいいのに。いっそここら辺焦土に変えようか?」

「シアさん。そんなにはしゃぐと危ないぞ。ユエさんも。それよりなんて面してんだコウスケ」

「はっ いいか清水お前も車を運転する様になればこの雪がどんなに忌々しいものか分かるようになる」

「???」

「凍った地面にハンドルが取られるのは日常茶飯事、何故か自転車で雪道を行く馬鹿共、危うく轢きそうになるのなんて当たり前でいっそ轢いてやろうかと何度思ったか」

「あー…何かすまん」

「渋滞にはまって何度も職場に遅刻した事か、お陰で夜明け前には出発だ。そして眠気を我慢して凍った地面で運転する危険物()に神経をすり減らして」

「ちょ!悪かったって!」

「積もった雪は歩くのに体力を使い雪かきなんざ重労働もびっくりだ。おまけに家の屋根には雪が降り積もって家がミシミシ煩いし」

「そろそろ止めとけって、シアさんがなんか申し訳なさそうにしている」

「私、浮かれたのは間違いなんでしょうか?」

「そんな事ない、コウスケ、めっ!」

「あー雪を楽しんでいたあの頃に戻りたーい」

「こりゃ駄目だ。重傷だ」

 

 

 

 崖下にあるであろう入口へ飛び降り

 

「ふふ、何度飛び降りようとした人生か。きっと飛び降りたら楽になるんだろうなぁ」

「さっきから薄ら寒い笑顔を見せんなっての!怖いわ!」

「ぃようし!気分を変えて紐なしバンジー決めて見せっか!行くぞ清水!俺達の人生はここから始まるんだ!」

「服をつかむな!気持ち悪い笑顔を見せんな!おいまてっまだ心の準備…アッーーーーーー!!!」

「哀れ清水。コウスケに近づいたのが運の尽きじゃ」

「南無」

「…なんで仏教用語を知ってるんですかユエ様?」

「それじゃ僕達も行こうか」

(スルーしたですぅ!?)

「えっとハジメ君 手を…握ってもいい?」

「良いよ」

(このバカップル大概にしやがれですぅ!)

 

 

 暴風吹き抜ける中羅針盤が指し示す道を進み、

 

 

「暴風が来たらすることってなーんだ?」

「何だろう?」

「香織ちゃん正解はね。風をさえぎる物を作るんだよ。ってわけで南雲頼んだ!」

「え?ユエとティオ、後ノインに風を分散させてもらった方が楽じゃない?」

「…あ」

「妾達が魔法が使えるって事を完全に忘れていたみたいじゃな」

「ふっふふ。その失礼な態度、私は許す」

「ユエ様?ドヤ顔したって威厳は出てきませんよ?」

「清水さーん。大丈夫ですかぁ?」

「ちょっと足がプルプルしてる」

 

 ガヤガヤと騒ぎながら歩く事、数十分。ついにそれらしき入り口が見えてきた。が視認したと同時に奥から複数の気配がこちらに向かってきたのだ。

最も全員身構えることもなかった。

 

「来るのが分かってるのなら、することは一つだよね」

「悲しいかな。こっちは遠距離手段が嫌に豊富だ」

 

 雑談しながらハジメがドンナーを数発撃つと気配はすぐに消え去った。進んだ先にあったのは心臓部分を撃ち抜かれて絶命している。白い体毛に覆われたゴリラだった

 

「イエティ?」

「又はビグフット?」

「流石異世界。オレ達の世界のUMAがいるなんて」

「魔物が居る時点でUMAって意味がないと思うよ清水君」

「さんざん色んな生物見てきたからなー今更か」

「後は宇宙人でもいたら面白かったんだけどね」

「居て堪るか!」

 

「一体何の話でしょうか?」

「んー?地球とトータスの生物比べ?」

「地球では魔物が居ないと言う話じゃからのぅ。故郷の事でも考えたんじゃろう」

「似ているところもあれば全く違う所もある。それだけの話ですよ」

 

 地球組が何とも言えない表情で魔物の事を思い返し、トータス組は不思議そうに地球組を見ている。

 

 そんなこんなでいよいよ洞窟内へ入っていくハジメ達。

 

 その洞窟内はまるでミラーハウスの様だった。大迷宮らしく中の通路はかなりの広さがあり、横に十人並んでもまだ余裕がありそうなほどだ。

 

 しかし、全ての壁がクリスタルのように透明度の高い氷で出来ており、そこに反射する人影によって実際の人数より多くの人がいるように錯覚してしまう。結果、その広さに反して、どうにも手狭に感じてしまうという不思議な内部構造だった。

 

 おまけにこの洞窟内では常に雪が降ってるのだ。空から降ってくるわけでもないその雪は洞窟の奥から吹雪いてくる。さらにこの雪ただの雪ではなく、ドライアイスの様に極めて低い温度で作られているのだ。迂闊に触ってしまったら凍傷は間違いなしである

 

「最も俺の結界を破らなければまるで意味無しなんだがなぁ!」

「コウスケの『守護』様々だね」

「よせやい、照れんだろうが」

「出番があってよかったですねマスター」

「そんな事言わないでー」

 

 おまけに内部の気温が著しく低いせいか、作り出した水はすべて氷となってしまうのだ。水が凍ってしまうので飲み水は作れないそんな状況だった

 

「その辺の氷を削って溶かせば水自体は確保できるが、どうもこの空間では炎系の魔法行使が阻害されるようじゃし……飲み水のために一々上級レベルの魔法を消費するのは痛いのぅ」

「あ、俺普通に炎の魔法使えるんだけど」

「なぬ?」

「ほらほら見て見てー」

「火球が、沢山壁に向かっているですぅ」

「結界の範囲外でも消えない炎か」

「……ふっふふふ そ、そんな事では私は怯まない」

「ユエ様?目が泳いでいますよ?」

「そう言えばコウスケってライセンでも普通に魔法が使えていたよね」

「ライセン?そこって確か魔法が使えない処刑場だったはずじゃ」

「そう言えばそうだったな。忘れていたぜ!」

「相変わらず可笑しいよねコウスケさんって」

「香織ちゃん辛辣ぅ!」

「わわわ、わたしのほうがままま、まほうはうえなのだー」

「ユエ様?口調がおかしくなってますよ?」

 

  ティオの言う通り、この氷雪洞窟は炎系魔法の効果を著しく弱めてしまうようで、初級魔法でも上級レベルの消費を余儀なくされてしまうのだ。

 しかしコウスケだけは何故か普通に炎系の魔法が使えているのだ。最近できるようになった魔法で炎を操り遊ぶコウスケに仲間たちは好き勝手話し合う。最もコウスケが炎魔法を使えるが使えまいが、ハジメ達には宝物庫があり防寒用のアーティファクトのおかげで体から一定範囲の気温を常に快適温度に保つので、何も問題は無いのだ

 

 

「あ、死体がある」

 

 そんな中ハジメが呟いた視線の先、其処には眠るよう目を閉じたまま氷の壁の中に埋まっている男の姿があった。まるで、疲れて壁に背を預けながら座り込み、そのまま凍てついてしまったかのようだ。外傷一つ見受けられないので、寒さのせいで意識が飛び、そのまま……ということだろう。

 

「外傷無しの死体か。大方寒さで力尽きたときに凍ったって所か」

「ふーん。害がないのなら放置した方が良いかな?」

「念のためぶっ壊しておいた方が良いだろ」

「死人に鞭打つってか」

「死んでんだから別にいいんじゃね?」

「どうだろ?生憎死んだ後はどうなるか僕らは分からないからねー」

「何にせよ撃っとけよ南雲。オレはその方が良いと思う」

「分かったよー」

 

 何やら嫌な予感がした清水が念のためと死体を撃ってほしいと南雲に頼む。コウスケが茶化すが結局は撃つことになった。死体に大穴が2つ出来るが、特に反応はなく先へ進むハジメ達だった。

 

 




進んでいませんねー。でもサクサク行く予定です

お楽しみはもうちょっと後ですね
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