箒が“いっくんシミュレータ”なるものを束からもらった。
いっくんシミュレータとは仮想世界上の一夏に観測者が選択肢を与えることで彼がどのような行動を起こすのかを見ることができる装置である。
シミュレータの起動には7つの専用機のISコアが必要。
「――というわけで説明は以上だ」
シャルロットとラウラの部屋に7人の女子が集まっている。呼び出したのは箒だ。残りのメンツは部屋の主であるシャルロットとラウラに加え、セシリア、鈴、簪、楯無生徒会長である。要するに一夏に近しい専用機持ち全員だった。
「休日に呼び出してすまない。姉さんの妙な発明を使ってみようという私の我が儘だというのもわかっている。だから無理にとは言わないが、協力してくれな――」
「ねえ、箒。リンクってどうやんの?」
「鈴、このシミュレータってたぶんISコアと同じようなものだよ。プライベートチャネルがつなげるからそれでいけるみたい」
思いの外、全員が乗り気であった。箒がこの装置を使うまでにあった葛藤はなんだったのだろうか。そう思うくらいに箒を差し置いて和気藹々と作業が進んでいく。この装置の概要を話すまでは忙しいと断りそうな人間の方が多かったのだが、今ではこの有様である。
「箒ちゃん、あとはあなただけよ」
「いいんですか、楯無さん。専用機をこんな使い方して……」
「気にしないの! バレなきゃいいのよ、バレなきゃ!」
周囲にはISを起動していると認識されないと束は言っていた。それを鵜呑みにするのならば楯無の言うように問題はない。最後のひとりである箒がシミュレータにISコアをリンクさせる。
『――7人の専用機持ちを確認。データ照合……参加者としての資格が認められました。シミュレーションを開始します』
シミュレータの本体を7人で囲っている状態でシステムボイスが開幕を告げる。箒の感想としては束らしくない真面目な音声が入れられているなというものであった。
シミュレータが起動して球体上部に3D映像を表示させる。映し出されたのは当然、一夏だ。ただし、見慣れない建物に見慣れない格好でいる。
「始まったみたいですわね」
「あ! これって中学生の一夏? 懐かしいわ、この制服」
「ここ……去年の受験会場」
建物は簪が、服装は鈴が知っていた。建物はともかくとして中学生時代の服装だとわかるのはこの場では鈴だけ。鈴は単純に懐かしく思っているだけなのだが、周りとしては大変面白くない。
彼女たちの心境はさておき、映像の一夏に視点を戻すとなにやら挙動不審である。最初に気づいたのはシャルロット。
「なんか一夏、必要以上にキョロキョロしてるね? これってまさか……」
「そのまさかだろうな。その歳で迷子とは嫁も不甲斐ない。しかし、なぜだ? そこも愛おしい。これがクラリッサの言っていた萌えというものなのか」
「ラウラ、今度そのクラリッサさんと真面目にお話しさせて。このままじゃラウラの将来が心配だよ」
「黙って、シャルロット。一夏が何か言ってる」
鈴の一声で全員が黙り込んで映像を注視する。
『えーと……あれ? これってどうやって2階に行くんだ? 全然わからんぞ、ここの構造。デザインよりも機能性を重視しろっての』
案の定、一夏は迷子となっていた。するとここで映像がピタリと止まる。
「あれ、止まった?」
「箒、何かした?」
「私は何もしてないぞ」
「待って、皆。別に装置の不調というわけではないようね」
楯無が言い終えると同時にシミュレータのシステム音声が解説を始める。
『ではチュートリアルに移ります。今、織斑一夏は高校入試の受験会場に来ています。彼はもちろんIS学園を受けるはずもなく、別の高校の受験に訪れました。ただし、同会場ではIS学園の実技試験も行っていたのです。今、彼は受験会場に向かおうとしています。そんな彼がどうすべきか、皆さんが頭の中で想像してみてください』
道に迷っている一夏がどうすべきか。箒が考えていたのは【男ならばまず行動しろ】というもの。すると、シミュレータは次の段階に進む。
『出揃いました。この段階で皆さんが提示する選択肢を表示させていただきます』
すると、一夏に被らない位置に7つの文字列が表示された。
【男らしく、まずは行動しよう】
【従業員を呼び出して道案内をさせる】
【目についた最初の扉を開ける】
【人を探して聞いてみる】
【地図を確認して道筋を頭に叩き込む】
【家に帰って対策を練る】
【全力疾走からロンダート、バク転、後方宙返りの連続技を決める】
箒の考えていたこともちゃんと入っていた。箒の考えたことを一夏視点に置き直して書かれている。他の皆が思っていたことも表示されているのだが、誰がどれなのかは示されていなかった。
「【従業員を~】ってこれセシリアでしょ?」
「なっ!? どうしてわかりましたの!?」
「【家に帰って~】は一夏の人生に大きなダメージが入りそうな選択肢だな」
口々に感想を言っている。【全力疾走から~】については誰もコメントできなかった。
映像が再び動き出す。一夏の行動は――
『ええい! こうなったら一番近くの扉を開けてやる! 大抵はそれが正解なんだ!』
という理屈も何もないことだった。つまり選ばれたのは【目についた最初の扉を開ける】というもの。ここで再び一時停止してシステムボイスが喋り出す。
『皆さんの提示した選択肢から織斑一夏はひとつを選びました。これは白式のフラグメントマップを参考にして彼のとりうる行動を予測した結果です。ちなみに今回は現実の彼と同じ行動となりました。現実と同じ行動を取る確率が高いのは当然なのですが、実は100%ではないのがこのシミュレータ、もとい織斑一夏の特徴です。当時の彼の頭には存在しなかった選択肢を与えることで、彼は思いもしない行動を取るかもしれません』
なにやら一夏に対して失礼なことを言われている気がするが今は誰もツッコミをいれなかった。
『以上でチュートリアルを終わります。これより先では映像の停止とともに選択肢を与えることができます。私は今後は邪魔となるのでこれでお別れです。それでは』
音声が途切れて再び映像が動き出した。システムボイスに相づちを打つものはいなく、黙って映像に視線を向ける。今あった“現実と同じ”というフレーズによってこの場にいる女子の集中力が増していたのだ。誰もがわかっている。これは自分の知らない過去の一夏を見せてくれるものだと。
『あー、君、受験生だよね? 時間が押してるから急いで着替えて。まったく、4時までしか借りてないとか少しはスケジュールを考えて……』
一夏は受験生と言われてホッとしたのだが、続く着替えの一言で混乱する。しかしこれもカンニング対策かと無理矢理納得して先に進むのだった。そして――
――目の前にはISが鎮座していた。
「あ、止まった」
「ここで選択肢ですわね」
チュートリアルにあったとおりに一夏の取る行動を想像してみる。
【触れてみる】×5
【何も見なかったことにして引き返す】×2
今度は被ってしまった。5人が目の前のISに【触れてみる】を提示し、2人が【何も見なかったことにして引き返す】を提示している。ここで一夏がとった行動は直接知らなくても予想は簡単だった。この場で一夏はISに触れていなければ、一夏はIS学園に来ていないのだから。
一夏が行動を開始する。
『ISがあるってことはIS学園の受験もここだったか! やべえ、間違えて入ったのがバレたら面倒だ! 逃げるに限る!』
一夏はろくに前も見ていない試験官の前を突っ走って逃げていった。その後、彼は無事に藍越学園の試験会場にたどり着き、合格を果たしたのでした。めでたしめでたし。
映像が切れてスタッフロールが流れていく。当然、名前は全部篠ノ之束と書いてある。そんなところはどうでもよく、突然のシミュレート終了に全員が口をポカンと開けて絶句していた。数秒後、鈴が第一声を上げる。
「え? あそこで引き返しちゃうの?」
「むしろ引き返す選択肢を提示したことの方が驚きですわ。史実を知っているとつい触れてしまう方を選ぶと思うのですが……1人は会長だとして、もう1人はどなたですの?」
「あ、ごめん、あたし。選ぶはずないだろうけどと思いながら、なんとなく天の邪鬼なこと考えてた」
「セシリアちゃん、決め付けは良くないわよ。当たってるけど……」
部屋の中が微妙な雰囲気に包まれたそのとき、スタッフロールが終わって映像が切り替わる。そこにいたのは箒のよく知る人物だった。
『ハロー! 束さんの“我が輩は猫である”のコーナーだよ! 要するに名前を決めるのが面倒だっただけ! ここではいっくんの物語が続かなかったときの対処法などをお伝えするよ! 救済措置って奴だね!』
本物と変わらないテンションで映像の中の束は一方的に話してくる。部屋の中の空気とは雲泥の差だった。
『ラノベの主人公失格の選択肢だよ~。誰? こんなつまらない選択肢を用意したのは? いっくんは根本的にはやれやれ系の受け身主人公なんだよ。好奇心よりも面倒くさくない方を選ぶ性質なんだよ。もうちょっと少年らしい素直な選択肢を用意してあげようね。以上、束さんからのアドバイスでした~』
ブツンと映像が切れる。そして再び受験会場で扉を開ける一夏が映し出され始めていた。
「あ、やり直しが始まったみたいだね」
「良かった……さっきので終わりだったら何のために集まったのかがわからなくなるわ」
「いいか! 次は絶対に【何も見なかったことにして引き返す】なんて思うんじゃないぞ!」
ラウラが周囲に念を押す姿も珍しい。映像は先ほどと全く同じ展開で、一夏がISを前にしたところで停止する。7人は選択肢を提示した。
【触れてみる】
【触れてみる】
【触れてみる】
【触れてみる】
【触れてみる】
【触れてみる】
【とりあえず『おっぱい!』と叫んでみる】
「誰だあああ! 脈絡なさ過ぎだろ、最後の!」
「ラウラ……僕はラウラがまともなツッコミをしていることに感動を覚えてるよ」
「会長……いくらなんでもふざけすぎてませんこと?」
「どうして私になるの!? 当たってるけど」
「むしろわからなかったのはラウラだけね」
「お姉ちゃん……」
「だ、だって少年らしいって言われたからつい……そ、それに選ぶのは一夏くんなんだから私がひとつくらい変なのを出したって問題は――」
『おっぱい!』
ああ、無情かな。映像の一夏はISを前にして叫ぶ。箒を始めとする観察者たちは何もいえずに見守ることしかできなかった。選択肢を提示してしまった楯無すらも同様である。否、動揺している。思春期の青少年のリビドーを発散せんとする熱き雄叫びは一番近くにいる女性の耳にも届いていた。
『ちょっと、君! ここで何をしてるの!』
『やべっ!』
先ほどは顔も見ずにスルーしていた試験官の女性が現れた。間違えて入ってしまったとはいえ、許可無くISに近づいた自分は罰せられる。そう判断した一夏は無意識のうちに入り口から遠ざかっていた。そして、右手に硬いものが当たる。瞬間、キンッと金属質の音が響いた。
『ISが……動いてる……?』
『あれ?』
こうして一夏はISを動かした世界初の男性操縦者となり、IS学園に入学することとなった。
映像はプロローグの終了を告げて、舞台をIS学園に移そうとしている。無事に一夏がIS学園に来る展開を迎えたのだが、楯無を除く全員の顔はすっきりしていなかった。
「なんかごめんね。まさか一夏くんがあんなことを叫ぶなんて思ってなかったの」
「ニヤニヤしながら謝らないでください、楯無さん」
「ごめん、一夏。フォローの仕方がわからないよ」
「何はともあれ、嫁がIS学園に来たのならば問題はないな」
「これを結果オーライと言えるラウラが羨ましいわ……」
鈴だけは自分の胸元を見ながら、周りとは違った意味で凹んでいた。
映像は切り替わってIS学園編がスタートする。
映像だけでは地味だとシミュレータが判断したのか、勝手に一夏の心の声もセットで再生されていた。
『想像以上に……きつい』
IS学園に男ひとりという状況を苦しんでいる一夏の声が垂れ流される。その様子を見てシャルロットだけは「そういうことだったのか」と納得していた。
「嫁のこういったところは軟弱だな。私が鍛えてやらねば」
「アンタがやると軍人教育になりそうだから、一夏の教育はあたしに任せなさい」
「いや……同級生を教育っておかしい……」
簪のツッコミはさらりと流される。
彼女たちのやりとりなど関係が無く映像は先に進む。自己紹介をしている場面で山田先生が織斑一夏に自己紹介をするように迫る。一夏は観念して自分に注目する女子たちに向き合った。
『えーと……織斑一夏です。よろしくお願いします』
それだけ告げて一夏は黙り込んでしまった。それだけでなくクラスメイトのひとりに助けを乞う視線を向けている。しかし、そのクラスメイトはプイと目を逸らしてしまった。そのクラスメイトとはもちろん箒だ。
「箒、アンタって自分からチャンスを不意にするタイプでしょ?」
「このときは腹が立っていたのだ。6年ぶりに会ったというのに、チラチラと見てくることしかしない一夏にな」
「それはそうだろう。なぜかは知らないがこの箒は殺気立っている。常人ならば近寄りたくないと思っても不自然ではない」
ラウラの分析を聞いて箒は改めて自分の姿を見た。今では懐かしい、余裕の欠片もない抜き身の刀のような自分が居る。これでよく一夏が好きだなどと言えるものだと嘲ることしかできそうになかった。
(このときの私は、私がどう振る舞おうと一夏が自分を見てくれると信じていた。違うな。そう信じていないとIS学園で生活していけそうになかったんだ。嫌でもISと……姉さんと向き合わされる場所だったから拠り所が欲しかった)
懐かしく思うと同時に、冷静になって見れる今になってみると、箒から一夏への好意は少しずつ変わっている気がしていた。最初はアイデンティティのようなものになってしまっていた恋心。それはハッキリと言えば悪い意味での依存だ。しかし、今では友人が多くいる。最初は余裕がなくて顔を出せなかった剣道部もいけるようになった。確実に箒はここにいると自覚できている。それを踏まえても一夏の傍にいたいというのは、紅椿を欲しがった頃の依存心とは無縁だ。
箒が過去の自分と向き合っている間に、映像の方は自己紹介の途中で停止した。箒は慌てて一夏が取るべき選択肢を考える。結局【以上です】という現実と同じことしか思いつかなかった。
選択肢が表示される。
【『以上です』と自己紹介を打ち切る】
【好きなアニメについて語る】
【好きな女性のタイプについて話す】
【一発芸を披露する】
【女性用下着についての持論を語る】
【箒の前にまで歩いていき、彼女の頬を叩いて『俺は認めない。お前があの人の妹だなんて認めるもんか』と
【金髪の女生徒の前に行って跪き、右手をとって口づけをする】
「セシリアーっ!!」
「な、なんですのっ!?」
選択肢が表示された瞬間にセシリアと楯無を除いた全員が声を上げ、セシリアはビクッと震えた。
「アンタねえ! いきなり欲望に忠実すぎるわよ!」
「正体を明かしてる僕がそこに居るなら別に問題ないんだけど」
「シャルロット、本音が漏れてるから黙っておいた方がいいぞ」
「ところで……どうして一夏が箒を叩く必要あるの……? わからないのは……私だけ?」
「すまないな。自己紹介と聞いて、嫁との出会いを思い出していたのが反映されたようだ」
「みんなわかりやすいわねぇ。ちょっとこのままだとお姉さんの影が薄くなるからもうちょっと捻ったものを出さないとダメね」
「楯無さん……本題を見失ってません?」
「そんなことないわよ、箒ちゃん。ほらほら、一夏くんが行動を始めるわよ!」
楯無が促すとおり、一夏が行動を開始する。
『以上です!』
映像の中のクラスメイトはコケて、観察者たちの一部からは舌打ちが聞こえてきた。
「えーと、箒とセシリアに聞くけど、これって現実のとおり?」
「そうですわ。きっとこれは箒さんが提示したものでしょう。想像力をもっと働かせて欲しいですわね」
「え? 私が悪いのか? そして誰もフォローしてくれない……」
箒が若干のショックを受けている間にも映像の方は淡々と進んで、一夏の自己紹介から千冬の登場につながる。教室に現れた千冬は手にしていた出席簿でスパァンっと一夏の頭を叩いた。痛さのあまり涙目で振り向いた一夏は――
「ここで選択肢!?」
「これって“人”を見て一夏が何したのかってことだよね?」
――選択肢が出揃う。
【自らの非を認めて反省する】
【千冬姉に抗議する】
【頭を押さえてうずくまる】
【出席簿に目を奪われる】
【恋に落ちる】
【LV1だけどラスボスに戦いを挑む】
【構わず金髪の女生徒の前に行って跪き、右手をとって口づけをする】
「セシリア! アンタいいかげんにしなさい! 流石に見苦しいわよ!」
「誤解ですわ、鈴さん! わたくしは無実です!」
「セシリアちゃん、悲しいけど弁解しても受け入れられないと思うの」
「セシリアのことなどどうでもいい! 誰だ、【恋に落ちる】なんて入れたのは! 洒落になっていないぞ!」
「あっ!?」
箒の指摘で全員がマズい事態に気が付いた。このままだと一夏が肉親ルートに突入してしまう。現実の一夏を見ていてもその危うさが垣間見えているため、冗談ではすまないかもしれない。
ここは映像だけでは表現できないと踏んだのか、シミュレータは一夏の心の声を再生する。
『目が離せない。あまりにも日常的すぎて今まで気づいていなかっただけなのかもしれない。でもそれは今日で終わりを告げた。頭への衝撃によって俺はハッキリと自覚したのだ』
一夏は確信した。
『
「そこかいっ!」
全員ホッとすると同時にどこか寂しいような気もした。
自己紹介、1時間目の授業と終えて休み時間となる。一夏は教室の中で多くの視線の重圧に耐えていた。
「あー、一夏かわいそう。あたしが居れば気楽になれたと思うのになー」
「鈴さん……こっちを見ながら言わないでもらえません? 物事にはきっかけというものがあって、ここでわたくしが一夏さんに話しかけたところで緊張をほぐすことなどできるはずもないでしょう!」
鈴は箒には触れなかった。鈴が言ったことは本来ならば箒に向けられることなのだが、なぜか彼女はそうしなかった。
一夏が誰とも話せずに頭を抱えているとひとり、彼に近づく女子がいた。
『……ちょっといいか』
周囲とは違う行動を取ったこの人物は――
ここで映像が停止する。
「ちょっと待て! ここで選択肢を出す必要などないだろう!?」
「箒ちゃん、諦めて受け入れるしかないよ。ふっふっふ」
「やめてください! その笑い方は嫌な予感しかしない!」
選択肢が出揃う。
【箒】
【箒】
【篠ノ之さん】
【モッピー】
【触れてみる】
【何も見なかったことにして引き返す】
【とりあえず『おっぱい』と叫んでみる】
箒は発狂せざるを得ない。
「誰だ、モッピーとか入れた奴はっ!! 【触れてみる】【何も見なかったことにして引き返す】【とりあえず『おっぱい』と叫んでみる】の3つは最初にISに遭遇したときの選択肢だろう!? 私はISなのか!? そして、どうして示し合わせてもいないのにここまで完璧に出揃うんだ!?」
ぜいぜいと息を荒くしながらも箒は思ったことを吐き出した。深呼吸をして落ち着きを取り戻し、改めて選択肢を見て逆に考えても見ることにした。
「誰かは知らないが、ちゃんと名前を入れてくれてありがとう」
感謝の言葉。それに対する返事は全員から返ってきた。
「どういたしまして!!」
「嘘つきが5人居る!? もう誰も信じられない!」
などと騒いでいるうちに映像が動き出す。箒は祈っていた。どうか一夏が変なことを口走りませんように、と。不安定だった頃の箒が何をしでかすのか今の箒にすら予測できないのだ。
しかし祈りという箒の行動こそがフラグといえる。
『おっぱい!』
「一夏あああああ!」
祈り虚しく、映像の中の一夏が6年ぶりに再会した幼なじみへの第一声は『おっぱい!』となった。
「ちょっと待って! 『おっぱい!』強すぎるでしょ!」
「一夏くんは男の子ってことね。正直に言うと、お姉さんも唖然とせざるを得ないわね」
「お姉ちゃん……扇子に“爆笑”って書いてある……」
室内は笑い声で満たされていた。もちろん現実の一夏が唐突にこんなことを言うはずがないという信頼から来るものだ。
しかし観察者たちとは対照的に映像の中の空気は冷え切っている。一夏の発言を聞いたポニーテールの少女は目を大きく見開いていた。まるでこの世の終わりであるかのように、驚愕に震えていたのだ。
『お前って奴は……』
『へ?』
涙とともに放たれたその拳には一切の躊躇が無かった。的確に人体の急所を突いた彼女の一撃によって一夏の意識は瞬時に刈り取られる。彼女の実家に伝わる奥義で、暗殺に用いられたこともある技だ。ここに一夏の人生は幕を閉じた。冗談のような一言で冗談みたいに命を散らしたのだった。
DEAD END
もう部屋の中に笑い声は無かった。おそるおそる鈴が箒に声をかける。
「箒……念のために聞くけど、今の技ってアンタできるの?」
「……少なくとも修得はしている。使ったことなどないが」
箒と鈴はそろってため息をついた。まさかシミュレータで一夏が死ぬところを見せつけられるとは思っていなかった。おまけに箒自身が今のは現実でも起こり得ると認めてしまった。
『ハロー! 束さんの“我が輩は猫である”を始めるよー!』
映像が切り替わり、束が姿を見せていた。誰も言葉を発さず、黙って束の言葉に耳を傾ける。
『とうとういっくんが死んじゃったかぁ。大丈夫! これはシミュレータだから、実際にいっくんが死ぬわけじゃないよ! 気持ちの良いものじゃないのはわかるけど、本当に大切なのは過ちを繰り返さないこと。束さんには縁がないことだけどね!』
束に人の道を諭されるという良くわからない状況に陥っても箒はツッコミを入れる心境ではなかった。結果だけ見ればオーバーすぎるシミュレーションだが、行動自体は自分がしたかもしれないことである。
『恒例のアドバイス! 少年らしくとは言ったけど、幼なじみとの6年ぶりの再会で第一声がそれは無いんじゃないかな? 箒ちゃんのコンプレックスでもあるみたいだし、そういうところには気をつけようよ。じゃ、直前の選択肢に戻るよ』
束の姿が消えて、再び1組の教室が映し出される。
もう箒にはこの装置を使う意味がわからなくなってきていた。楯無や鈴のように遊ぶだけだったり、シャルロットやラウラのように入学当初の一夏を見たいならばいいのかもしれないが、箒が目的としていたこととはかけ離れていた。
「どうする、皆。まだ続けるか?」
恐る恐るといった様子で箒は確認する。言い出しっぺが中途半端な状態であるこのタイミングでやめたいとハッキリ言えなかったのだ。
「まだ始まったばかりでしょ。あたしですらまだ出てきてないのにやめる理由がないわね」
「私も……まだ出てきてない……」
「今までのことからこのシミュレータの一夏さんが史実でない行動をとる可能性は示されています。うふふ……夢くらい見たいものですわね」
「箒ちゃん。ちょっと気が進まないかもしれないけど、あの篠ノ之博士がわざわざ寄越したんだから、きっとあなたにとって良いものが見られると思うの。だからもう少し見てみましょ?」
「会長、自分が楽しみたいだけなんじゃ……」
「そうよ!」
「お姉ちゃん……そこで断言は無いと思うの」
誰一人やめようとしないばかりか、続ける気満々である。加えて楯無には箒の心境まで見透かされていた。
(そういえば姉さんはどうしてこんなものを渡してきたんだ? ……考えすぎだな。あの人のことだから『面白そうだった』だけだろう)
楯無に言われたことを考えてもみたが、無駄だと思ってやめた。
映像が再び箒が一夏に話しかけた場面を映し出す。箒はこのときの自分を思いだそうとする。
自分はなぜこのタイミングで自分から話しかけにいったのか。イライラしていた原因は、一夏の方から来て欲しかったのにちっとも来る気配が無かったから。同時に怖かったのだと今なら思える。自分にとって大切だった過去が彼にとってはどうでもいいものだったのではないか、もう忘れられてしまっているのではないかと。そんな状態で『おっぱい!』などと胸を見て言われれば……今の箒でも殴りたくなっても仕方がない。
現実の一夏はどうしたのかを思いだす。彼は箒の中学時代の剣道の成績を知っていることを言ってきた。そして、箒が6年前から髪型を変えていないことをわかってくれた。6年経っても、彼は箒の大切な過去を覚えていてくれたのだ。
(ただ覚えてくれていただけ。それでも、嬉しかったんだな、私は)
選択肢は先ほどと同じように【箒】のまま。別れたときからずっと一夏は箒を呼び捨てで呼んでいる。この場に相応しいものはそれ以外になかった。
――選択肢が出揃う。
【箒】×7
今度は誰もふざけなかった。箒は周りを見回す。特に箒を意識している者はいなく、誰もが次に進みたがっているだけだろう。それでも心の内で感謝をしておく。もしかしてがあっても、やはり再会したときの一夏には真っ先に自分の名前を呼んで欲しいから。
『箒……?』
一夏は6年ぶりに再会した箒の名前を呼ぶ。その声音には戸惑いの色が浮かんでいた。それもそのはずだ。箒は見るからに不機嫌である。名前を呼んでも返事がない箒に対して――
「また……選択肢……」
「間隔が狭いわね。それだけここは重要ってことみたい」
「今度は箒に対してか。しかし見ていて焦れったい。言いたいことがあるならハッキリと言えばいいだろう!」
「ちょっとラウラには難しいかもしれないね」
箒は一夏が取った行動を思い出す。結局、彼は自分から動かなかった。箒から廊下に連れ出して少し話をする。それでいい。一夏には多くを望んでも返ってこない。
選択肢が出揃う。
【自分からは動かず、箒の出方を待つ】
【黙って箒の目を見つめ続ける】
【なんとかして雰囲気を和ませる】
【中学時代の昔話を始める】
【何も言わずに箒の肩を掴んで廊下に連れ出す】
【『言いたいことがあるならハッキリしろ』と詰め寄る】
【箒のおっぱいがいかに素晴らしいかを熱弁する】
「会長、おっぱい縛りでも自分に課してるんですか?」
「そろそろ単語だけじゃなくて一夏くんが箒ちゃんの立派なものをどう思ってるのか聞きたくなったのよ」
「もう否定しないお姉ちゃん……実に男らしい……悪い意味で」
「鈴も会長のこと言えないでしょ。ここで中学時代の話をするとか箒の精神状態が危うくなるよ」
「ふふん、IS学園の雰囲気に呑まれる前の一夏の口から聞きたいのよ。今聞いても一夏のことだから今が楽しいって言うだろうし」
「つまり自分本位というわけだな。後の自分の番で酷い目に遭っても知らんぞ?」
「ラウラ……それはブーメランじゃない? ってそういえば今日のラウラは思ったよりも協調性があるような……?」
「ルールを把握したからな。望んだものが見たいならチームワークが必要不可欠であることは一目瞭然。今のうちに箒から順番に籠絡しておかねば」
「それを口に出したらダメだと思うよ、ラウラ……」
箒はワイワイと騒ぐいつものメンツを見ているだけになっていた。現実の一夏と同じ選択肢は箒が提示した。よほどのことやふざけたことがない限り箒の知っている現実を映し出す。もう多くは望まない。自分が知っている一夏が居るのならばそれでいい。
そう思っていたのに。
映像の中の一夏は思いもしない行動に出ていた。
睨みつけるような箒の視線に怯むことなく、一夏は椅子から立ち上がると同時に彼女の肩を力強く掴んで教室の出口へと向かい始める。
『いきなり何をする!』
『…………』
一夏は答えない。今度は箒が戸惑う番になっていた。箒は一夏の手を振り払おうとするがうまくいかない。腕力勝負では分が悪くとも、箒ならば簡単に抜け出せるはずだった。なのにされるがまま、箒は廊下に連れ出されてしまう。一夏を遠巻きに見ていた女子たちは教室から廊下へとついていった。
『離せ! どこへ行く気だ!』
『…………』
一夏はやはり無言のまま。そして周りを見回して、クラスメイトはおろか別クラスの生徒までもがついてきてしまっていることを確認する。まだ廊下の途中だが、ようやく一夏は立ち止まった。そして続くため息。諦めともとれる一夏の行動に箒はより一層一夏の考えが読めなくなった。
『これじゃ、どこまで行っても変わらないな』
『何の話だ! 説明しろ!』
『もうちょっと時間のあるときに、できれば人の居ないところで話したかったんだけど、やっぱダメだわ』
一夏は箒の両肩を掴むと壁に押しつけた。廊下全体が観客の女子たちの歓声で揺れている。千冬の嫌うバカ騒ぎの典型だった。そうわかっていても一夏は止まらない。
『俺さ、ずっと周りの奴とは違うって思ってた。弾とか数馬とか見ててもそうだった。あいつらが良いと思えるものの良さがわからない。正確には全くわからないってわけじゃなかったけど、なんというか温度差みたいなのがあったんだ』
『だから何の話なんだ? 私にもわかるように説め――』
『そういった温度差を感じる話題はアイドルとかモデルとかが中心だった。街中を歩いていて綺麗な女性が通りかかったときに騒いでるあいつらのことが理解できなかった。あいつらが言うには俺は女性にモテるらしくて羨ましそうにしてたけど、俺にはわからなかった』
『中学のときの話か? だったら今でなくとも良くないか? もうすぐ次の授業が始まるのだし、早く戻らねば織斑先生に怒られるぞ』
『怒られたって関係ない。俺は今言うって決めた』
箒の肩から一夏の手が離れる。箒は解放されたのだが、動けなかった。本当はもう教室に戻り始めなければいけなかったのに一夏から目を離せなくなっていた。
『今日、やっと俺の悩みの答えが出たよ。自分でも驚いてる。俺はなんて鈍い男なんだろうってさ』
『答え……?』
『ああ。わかっちまえば簡単だ。俺はただ一途なだけの男で、ずっと好きだった奴がいる。だから他の女に魅力を感じるのには限界があった。それだけのことだったんだよ』
一夏は目を閉じて息を大きく吸った。そしてゆっくりと吐いていく。同時に廊下全体も緊張感で静かになっていった。一夏が目を開く。
『箒。6年ぶりにあって唐突だけどさ……俺はお前のことが好きなんだ』
『はえっ?』
突然の一夏の告白に箒は間抜けな声を出して顔を一瞬で真っ赤にした。
『い、い、いや、一夏。落ち着け。今は混乱している場合じゃないぞ。ここはIS学園で、お前は世界で唯一の男性IS操縦者だ。そして私は篠ノ之箒だ。だからして……何が問題なんだ?』
『落ち着くのはお前の方だ、箒。何も問題なんかない。あったとしても俺が吹っ飛ばしてやる。だからお前が言うべきことは、これから俺が言うことに対して返事をすることだけだよ』
一夏が箒の手を取り、真摯に箒の目を見つめる。茹で蛸状態の箒は一夏を見ていることしかできない。目の端に涙が浮かんでいる理由はご想像にお任せする。
『俺と付き合ってくれ。そして、一緒に過ごそう。過ぎてしまった6年は取り戻せないけど、これからの時間は箒と一緒に居たいんだ』
これだけのセリフを一夏が一息で言えたわけではない。少しずつ、絞り出すように出てきたのだ。勢いで言ってしまった以上に、何かしらの覚悟もある。少なくとも箒はそう受け取った。
『……うん』
『箒? ちゃんと答えてくれ。でないと俺はわからない。なにせ……鈍感だからな』
『私も一夏が好きだ。よろしく……頼む』
『おっしゃああああ!』
IS学園の入学式後の最初の授業。その後の短い休み時間、1年1組の教室から出たすぐの廊下に、男の歓喜の叫びが響きわたった。ついでに『ぎゃあああ!』という絶叫と『一夏ああああ!』と名前を呼ぶ悲鳴も響きわたったが、それは出席簿が原因であるだけなのでIS学園としては平常運転であった。
こうして、織斑一夏は6年ぶりに再会した幼なじみと恋仲となった。
ISが絡んだいくつもの障害が彼らの前に立ちはだかるだろうが、彼らはぶち壊して未来を歩んでいくことだろう。一夏には守るべき者がハッキリと見えているのだから。
――IS<インフィニット・ストラトス> 完
束オンリーのスタッフロールが流れる。
ほぼシミュレータから流れる音声だけが部屋の中を支配していたが、ここでようやく口を開き始める。
「終わっちゃった!? ってか何、この展開!? 今の本当に一夏!?」
「納得できませんわ! どうして肩を掴んで出ていくだけでこのような結末になりますの!?」
「そうよ。どうして一夏くんが箒ちゃんのおっぱいについて語り始めなかったのかしら。さっきまでの流れだと一夏くんはおっぱい星人だと思ったのに」
「会長、流石にそれはないんじゃないかなと思います。僕としてはこれでこそ一夏だと思う。必要なときにはグッと踏み込むところとかそうじゃない?」
「そうかも……でも……これは少しおかしい」
「むしろこれが嫁の普通だろう?」
「ラウラ、一夏を美化してない? っと、そんなことは置いといて」
鈴は左から右に物を動かすジェスチャーをしてから箒の方を見た。
「箒! これはただのシミュレーションなんだから調子に乗らないでよね――ってどうしちゃったの、アンタ!?」
鈴の驚きで全員がやっと現状を把握する。
箒は泣いていた。
「ん? ああ、すまないな。どうも涙腺が緩くなってしまっているようだ。心配はいらない」
「いや、どう見ても変よ。今のどこに泣くようなところがあったのよ。勝ち誇った顔で笑っててよ、ね?」
「ちょっと休憩にしましょうか」
楯無の提案によって一時的に解散。30分の休憩を入れることになった。
箒は涙が止まるまで拭い続けた後、落ち着いてからシャルロットたちの部屋を出た。どこに行こうというわけでもなく、廊下を出歩くだけ。そんな箒は後ろから声をかけられる。楯無だ。
「箒ちゃん! どこに行くのー?」
「楯無さん……いえ、特にありません。散歩です」
「そ。じゃ、私も一緒させてもらおうかしら」
箒が許可を出す前に楯無は箒の横に並んでいた。
「箒ちゃん……散歩っていうのは、そんな難しい顔をして歩くようなものじゃないと思うの」
「顔に出てましたか!?」
「あのねぇ……仕掛けてもない罠に自分から飛び込んでこないの! 考え事してますって語るに落ちてるじゃない」
「はぁ……」
「それで? さっき泣いてたのと関係があるんでしょ? お姉さんに聞かせてみないかしら?」
箒はわかった。楯無は最初から箒の話を聞くためだけに中断を提案したのだと。隠していることでもなかったので、箒は話し出す。
「さっきの一夏を見て……普通ならば鈴の言うとおり喜ぶところなのでしょう。ですが、私はそうは思えなかった。あのとき、私は現実の一夏がした選択肢を提示したのに、そうでないことを一夏はした」
「あれが一夏くんとは思えない、ってこと?」
「違います。シミュレータの一夏が現実に取った選択肢を選ばずに他を選んで私に告白をした。これは裏を返せば、現実の一夏は私のことなどどうでも良いと思ってたとなるじゃないですか!」
シミュレータの一夏は与えられた選択肢のうち自分に合うものを選ぶ、と束は説明している。現実の選択肢を選ばないときは、現実の一夏が考えもしなかったことが実際の行動よりも自分に合っていたときとなる。つまり、現実には頭に無かったことだと断言されたようなものだ。
だが箒は気づいていない。楯無は遠慮なく言ってしまうことにした。
「難しく考えすぎよ。篠ノ之博士が作ったものと言っても所詮は作り物。一夏くんの本当の想いは反映されるわけがない」
「そうとは思えません! だってあの姉さんが作ったんですよ! 間違いなんてあるわけがないじゃないですか……」
「そうよね。だから、一夏くんが箒ちゃんに持ってる好意も肯定していいじゃないかしら?」
束の作ったものの否定はただのポーズ。箒自身に束の作ったものを信頼させた上で、ポジティブな方向で改めて捉えさせた。
「じゃあ、一夏は……現実の一夏はどうして私に告白しなかったんですか?」
「さあねぇ……私が言えるのは一夏くんが弱いってことかしら。ISの腕前とかの話じゃなくて心の問題」
「どういうことですか?」
「さっき現実の一夏くんの選択を混ぜたって言ってたけど、私にはそうは思えないのよ。だって選ぶってことは本人にとって何かしら意味があることのはずよね? 現実の一夏くんはどうしたのかしら?」
「何もしなかったので私から廊下に連れ出しました」
「でしょ? それって一夏くんが意志を持って箒ちゃんがどうするのかを待ってたと言える?」
「それは……言えません」
「そういうこと。待つことを選ぶことと何も選べないことでは大きく違う。あのシミュレーションは“与えられた選択肢の中から一夏くんが選ぶ”ことを強要している。その時点で一夏くんの根本にある“物事を自分から決められない弱さ”が無くなって、一夏くんの感情が表にでている。私はそう分析してるわ」
全員が感じている違和感はそこなのだろう。なんてことはない。素直になれていないのは自分たちだけでなく、一夏本人もだということだ。彼の場合は本心が素直じゃなくて表の顔が鈍感だから自分のこともわかっていないということかもしれないが。
「そろそろ時間ね。戻りましょうか」
「そうですね」
「いいの、箒ちゃん? あれは一夏くんとは別物かもしれないよ?」
「私は一夏を知りたい。そのヒントになるかもしれないのなら、徹底的に利用したいと思います」
「お、悪い顔だ。好きよ、そういうの」
「そっくりそのままお返しします、楯無さん」
箒は考え方を改めたことで再びシミュレータを動かすことに決めた。
こうして一夏のいない休日は進んでいく。
まだ、いっくんシミュレータは始まったばかりだ。
ちょっとばかし他作品でシリアスが続いたのでふざけたものを書きたくなったのが始まり。結局、書いてる内にふざけきれなくなってしまって、結果出来たのがこれです。
実は楯無と簪の練習も兼ねていたりします。IS二次を累計90万字ほど書いていますが、いまだに簪を書いたことがなかったりします。この話でもまだ簪に出番がないので、結局のところは練習になってないという……楯無もこんなのでいいのだろうか。
ISキャラたちが一夏に用意した選択肢。これらは私の中では誰がどれというものは決めてあります。誰がどれかと考えながら読んでみるのも楽しみ方のひとつとしてあればいいかなと思います。
この作品は今のところは続ける予定はありません。ただし、コンセプト上、続きを書くのは容易く、終わり方だけは決めてあったりします。続くかどうかは私の気分次第ですね。
とりあえず今は他連載に力を入れるつもりです。
【成績】(全8問。重複した選択肢の場合は全員に+1)
箒:2
セ:2☆
鈴:3
シ:1
ラ:1
簪:2
楯:4