A「最近ムカつくよなぁ、上司のC」
B「ああ、一言多いよな。学歴で人を見下す奴に限って人一倍プライドが高いからな」
A「ホント、イクメンだかイケメンだか知らねぇけど鼻にくるよな?」
B「頭にくると鼻につくがごっちゃになってるぞ。そんなことよりアイツ、学生時代はもっと凄かったらしい」
A「バスケとバレーを掛け持ちしてたんだっけ?高身長は羨ましいねぇ。代表にも選ばれるくらいの実力はあったって聞くし」
B「まったく、親の顔がなんとやら」
A「ははっ、親の顔を見せたいだろ?」
B「親の顔が見てみたいだよ。お前の親の顔なんて見せてどうする」
A「目に浮かぶねぇ。Cの動揺する姿が」
B「いきなり赤の他人に親の顔を見せたら誰だって動揺するだろ」
A「あっ、いけね!ライター持ってるのにタバコ忘れた!」
B「珍しいこともあるもんだ。雨でも降るんじゃねぇか?」
A「雨なんか降ったらライターも使えない。オレたちも使い捨て」
B「お前、ヘビースモーカーだしこれを機にやめれば?」
A「やめたくてもやめれねぇんだわ。Cがうるさいから」
B「は?どういう意味?」
A「Cがさ、お前の吸ってるタバコしか吸いたくねぇって言うからさ」
B「表現が気持ちわりぃよ。お前らどういう関係なんだよ」
A「その代わりにライターやるよって言うから断れなくて」
B「馬鹿だろ。お前ら天然なのか?Cもタバコだけ持っていってどうしたいんだ?」
A「まあ、
B「おっ、上手いこと言うじゃん」
A「よく気づいたねぇ。頭の回転の速さは模範囚だ」
B「嬉しくねぇよ。俺は刑務所にでも入ってたのか?」
A「久々のシャバの空気は旨いだろ。一本どうだ?」
B「ライターだけ見せられて俺はどうしたらいいんだよ!タバコ持ってこい!」
A「はぁ……こんな下らない話ができるのも今だけかね?」
B「そうだな。業績も右肩下がり出し、そのうち誰か辞めそうだもんな」
A「顧客の顔色伺って死に物狂いで働いても利益が出ないんじゃ、そりゃ評価されねぇわ」
B「難しいよな。なんかこうでっけぇアイデアとか湧いて出てくれればなぁ」
A「芸人の漫才に似てるよな?」
B「ああ?」
A「自分が面白いと思ったことと周りが面白いと思ったことが正反対みたいな?」
B「致命的だな。芸人に向いてないんじゃないか?」
A「今築いた実績よりも昔取った杵柄みたいな?」
B「たぶん、あってる」
A「名ばかり管理職のオレより年下のくせに、Cの方が年収が上みたいなものか!」
B「自分で言って恥ずかしくねぇのか?そんな胸を張って言うようなことじゃないぞ」
A「これならイケる!イケるぞぉ!」
B「何が?」
A「反りの合わないCと協力すればオレはこの会社、いやこの国でテッペンを取れるってことさ!」
B「お前あれだけCを嫌ってたのに……」
A「そうさ、オレの持ってるライターとCの持ってるタバコが一つになれば――」
B「禁煙失敗だな」
A「思い立ったら行動だ!じゃあな!」
B「おい、ちょっと――行っちまったよ」
――
B「一人になっちまったか。たまには一人でくつろぐのも悪くない」
――――
C「おーい、こんなところにいたのか!」
B「あれ?C部長じゃないですか。どうしたんですか?」
C「Aの奴に辞表を突きつけられたんだ。だから持っていたライターで燃やしてしまおうと――」
B「……すみません。話がよくわからないんですが」
C「お前、何も聞いてないのか?」
B「はい」
C「とりあえずAを見つけたら顔を出すように伝えてくれ」
B「はぁ……(タバコって辞表の隠語だったのか。部長は辞表をライターで燃やそうとしたんだな)」
――――――
B「俺はどっちも持っておこう」