漫才とコントのネタメモ   作:公私混同侍

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やっぱり俺はやってない(6人コント)

A(男)→弁護士

 

B(男)→被告人(主にツッコミ)

 

C(男)→検察官

 

D(女)→証人1

 

E(女)→証人2

 

F→裁判官

 

 

 

 

A「おやおや?Bの元気がないようだ」

 

C「まるで痴漢したと勘違いされた男が線路を走って逃げたような表情だね」

 

B「例え酷くね?」

 

A「痴漢と言えば裁判だな」

 

C「それじゃあ、僕検察官やります」

 

B「俺は――」

 

A「Bは犯罪者ね」

 

B「被告人だろうが!ていうか勝手に決めんな!……ん?ということはAは?」

 

C「被害者かなぁ?」

 

B「おかしいだろ!俺は男に痴漢してんのかよ!」

 

A「弁護士はオレだな」

 

 

 

 

F「それでは開廷~」

 

C「えー、ごほん!被告人Bは始発の電車内で当時二十代の女性に空席が目立つのにも関わらず、妄(みだ)りに全身を撫で回すように密着及び接触し不快にさせ、周りの乗客にその行為を目撃された後被告人は停車駅で足早に降車。そして線路内に飛び降り逃走を図ったが、待ち伏せていた警察官に現行犯逮捕されました。以上が本件の経緯です」

 

B「よく噛まずに言えたな」

 

A「ちなみに検察側に一つお聞きしたい」

 

C「えっ?えっ?」

 

B「すげー動揺してる」

 

A「どのような法律に反するのだろうか?」

 

C「ちょ、ちょっと待って下さい……確か刑法だったような……」六法ペラペラ

 

B「六法ってあんな分厚いのかよ」

 

A「痴漢は刑法176条、強制わいせつ罪に抵触する」

 

C「う、うー……」

 

B「さすが我が弁護士。格が違う」

 

A「そしてこの被告人はもう一つ疑いをかけられている。それは――」

 

B「マジ?」

 

C「それならわかります!線路内の立ち入りは鉄道営業法37条違反に当たります!……ふぅ……」

 

A「なら結論は簡単だ。被告人は――」

 

C「もちろん有罪です!個人的には死刑してやりたいですよ!」

 

B「私情を挟むんじゃねぇよ。気持ちは分かるけど」

 

A「そんな焦るな。まだ証人尋問がある」

 

C「あっ!忘れてました」

 

B「おっ、裁判らしくなってきたな」

 

A「まずは最初の証人だ」

 

証人が証言台に立つ。

 

C「こんな人が嘘をつくはずがない!絶対そうだ!」

 

B「まだ何も言ってないだろ!」

 

A「まさに『痴漢して下さい』と言わんばかりの美貌と人間性を兼ね備えた女性だ!」

 

B「問題発言だぞ、弁護士」

 

D「フフフ」

 

A「それでは証言をお願いしよう。D殿」

 

D「はい、私は通学の為いつものように始発の電車に乗り、すぐに空いている席に座りました。目の前には女性が眠っていました」

 

C「通学の為に始発の電車を利用しなければいけないとは、なんて健気な女性なんだ」

 

A「意義ありィィィ!!黙って話を聞けェィ!!」

 

B「いきなりでけぇ声出すな!情緒不安定か!」

 

D「途中の駅でそこの男の人が乗ってきて奇声を発しながらサッカーボールを蹴りだしました。いつもの光景です」

 

B「本当にヤベー奴じゃねぇーか。なんだよいつもの光景って、誰か注意しろよ」

 

C「ちなみに被告人からサッカーボールしか友達がいないとの自白を得ています」

 

B「なに自白してんだよ俺……」

 

A「動機はあるようだ。被告人はサッカーの練習をふりをして、女性に近づき行為に及んでいた」

 

D「好意もあった……」

 

C「なるほど、これは決定的な証拠ですね」

 

B「くだらねぇ、ただの駄洒落じゃねぇか」

 

C「因みに奇声を発していたと言っていますが、何を?」

 

D「え~と、『ああ~栄冠は~君に輝く~』とか」

 

B「聞いたことねぇよ」

 

C「自らを鼓舞するような歌ですね 」

 

A「おかしい。その歌はサッカーとは関係ない」

 

D「え?」

 

C「では何だと言うんですか?A弁護士」

 

A「それは野球に関係する歌だ」

 

B「へー、そうなんだ」

 

C「ちょっと、ちょっと待って下さい!それではこの証人は――」

 

A「嘘をついている!」

 

D「私ははっきり見た!そこいる薄気味悪く、陰湿そうな男が白い玉を蹴っていたの!存在感だけなら聞こえないベースよ!」

 

B「ベーシストに失礼だろ!ていうか存在感アリアリじゃねぇか!」

 

C「嘘だと言うのなら説明してください」

 

A「残念だがこの証人は今、自らをペテン師と認めたのだ!」

 

B「なんか弁護士っぽい事言ってる」

 

A「先ほど証人は野球の歌詞を証言した。そして、この歌の一節には『純白(じゅんぱく)(たま)』と書かれた歌詞が存在する」

 

D「あっ!」

 

C「はぁ、それが一体――」

 

B「証人が聞いた歌は野球の歌で、俺は歌いながら野球の玉を蹴っていたって事だろ?」

 

A「自分で説明して恥ずかしいと思わないのか?」

 

B「恥ずかしいわ!なんだよ野球ボールを蹴ってるって!」

 

D「次の証人呼びまーす」

 

B「おかしいだろ!証人が証人を呼ぶってどういうことぉ?」

 

A「くっ、まだ証人がいるだと?C検察官、お願いしよう」

 

C「次の証人は僕の妹です。ど~ぞ~」

 

B「身内を呼ぶのかよ。なんて卑劣な検察官なんだ」

 

E「はーい!なんなりとお申し付け下さいましぃ!」

 

B「なんだその喋り方」

 

A「元気があってよろしい。それでは証言をお願いしよう」

 

E「えっ?証言?」

 

C「この証人は被告人が電車の中で犯行に及んでいたのを目撃していたのです」

 

B「詰んだじゃん、俺の人生」

 

E「ああ!思い出した!あたしはドア付近に立って守護してたんだけど、そしたらその男の人が後から乗ってきて周りをキョロキョロし始めたの」

 

B「守護してたってなんだよ」

 

A「その時の男の服装は?」

 

E「赤い帽子を被って、白い長袖に青いオーバーオールをはいてたよ」

 

C「犯人は地味な格好していたと」

 

B「目立ち過ぎだろ」

 

A「ブツブツ……」

 

E「え?」

 

A「気にしないでくれ。それでは次の質問だ。被害者はどこにいただろうか?」

 

E「女の人はドア近くで左手で傘をつり革に引っ掛けて、携帯電話を耳と肩に挟んで何かを話してて、右手で化粧しながら自撮り棒で本を読んでたよ」

 

B「化け物かよ。自撮り棒で本を読むって、被害者は老眼なのか?」

 

A「本を読む以前の問題だと思うが、全くツッコミ所の多い被害者だ」

 

C「ですが、これで真相に辿りつきました。被害者は無防備な所を狙われ、そして被告人はその被害者の隙に付け入るように犯行に及んだのです」

 

B「ぐっ、こんなアホみたいな推理に反論できない」

 

A「証人、見たことは正直に話して頂きたい」

 

E「あ、あたしは見たものをちゃんと話したよ!」

 

C「言いがかりはよして下さい!指摘があるなら根拠を示して下さい!」

 

A「ならば、まず被害者の持ち物を全て正確に答えてもらいたい」

 

E「持ち物?え~と携帯電話でしょ、それに化粧道具、傘、本、自撮り棒で全部だよ」

 

A「証人、足元はちゃんと見ていたか?」

 

E「足元は見てないよ、だって女の人の変な自撮り棒の使い方が気になってしょうがなかったんだもん」

 

B「可愛い」

 

C「A弁護士、それが何だって言うんですか?」

 

A「遂にボロが出たようだな!この小悪魔が!」

 

E「えへへ」

 

B「可愛い」

 

C「被告人は黙って下さい!」

 

A「この証人は足元を見ていなかったと証言した。だが、それは不自然なのだ」

 

E「なんで?」

 

A「理由は二つある。まず一つは被告人は被害者の全身を妄りに触れているのだ。勿論被害者の所持品にも触れているはず。もし証人が犯行の一部始終を目撃したととすれば足元に置かれているバックを見落とすはずがない!」

 

C「ああっ!」

 

B「確かに」

 

E「ざんねーん!バックは足の間に挟まれてたからあたしの場所からは見えないよ~!」

 

C「ほっ」

 

B「こっちも理にかなってる」

 

A「まだだ。もう一つの理由、それは証人が何故上半身しか目撃していないのか。それは証人が手鏡を使って犯行を見ていたからだ」

 

C「手鏡?」

 

B「なるほど」

 

E「鏡を使って見たから何だって言うの?」

 

A「鏡は映った物を反転させる。すなわち左右が逆になる。もちろん証人は理解していたのだろう?」

 

E「あ、あれぇ?どっちだったかなぁ?」

 

B「ちゃんと証言しなきゃ駄目だよ~」

 

C「意義あり!」

 

B「誰に向かって言ったんだ?」

 

C「この証人は鏡の性質を理解していなかっただけで証言自体になんら矛盾を孕んでいません。危うく騙されるとこでした」

 

E「そうだそうだ!」

 

B「やっと終わる……」

 

A「ククク……」

 

C「これ以上の審理は無意味ではないでしょうか?」

 

A「それはどうかな?」

 

E「え~、もう帰りたーい」

 

C「まだ何かあるのですか?」

 

A「不思議に思っていたのだが、被害者は何故空席があったのにも関わらず立ち続けていたのか?」

 

E「う~ん、なんで~?」

 

C「それは何らかの事情があって立っている必要があったからじゃないですか?」

 

B「全然わかんねぇ」

 

A「難しい話ではない。もう一人別の人間がその場所に存在したのだ」

 

E「えぇ!」

 

C「そ、そんな!」

 

A「そう!その人物こそ今回の事件における真犯人だ!」

 

E「あれれ~、それって変じゃない?女の人は座っていれば痴漢されずに済んだかもしれないって事だよね?」

 

B「確かに」

 

C「すなわち被害者と加害者は立ち続けていた?」

 

A「どうやら結論は出たようだ。今回の事件は痴漢など起きてはいない。なぜなら被害者と加害者は恋人関係にあったからだ!」

 

B「な、なんだってぇぇぇ!」

 

C「被告人、わざとらしいリアクションをしないで下さい」

 

E「へぇー、じゃあその二人が恋人だっていう証拠はあるの?ないよね」

 

A「チッチッチ」

 

C「勿体ぶらないで答えて下さい」

 

A「思い出してもらいたい。事件当時の加害者の服装を」

 

E「服装?う~ん……」

 

B「赤い帽子に白い長袖。それと青いオーバーオールだっけ?」

 

C「良く覚えてましたね」

 

A「問題は服そのものではない。色に注目してもらいたい」

 

E「色?信号……じゃないし」

 

C「配管工のおじさんでもなさそうですね」

 

B「配管工?」

 

A「ある国旗の配色になっているのだ」

 

E「国旗?」

 

C「見たことあるような……」

 

B「ま、まさか!?」

 

A「それでは被告人にお聞きしよう。この女は?」

 

B「………………オランダ(俺のだ)」

 

C「……」

 

E「……」

 

A「もうお分かりだろう。加害者は服装で恋人関係をアピールしていたのだ」

 

C「ぐうぅ!なんというハチャメチャな推理!けど反論できない!」

 

A「議論し尽くしたようだ。それでは裁判長、判決をお願いする」

 

E「裁判長いたんだ」

 

F「グー……グー……はっ!あー、ゴホン!」

 

B「今、寝てただろ」

 

F「最後に被告人、何か言いたい事はあるか?」

 

B「やっぱり俺はやってない」

 

D「じゃあ、謎かけで締めたいと思います。『証言に茶々を入れる』とかけまして――」

 

E「『客が物を購入する』と解きまーす」

 

C「その心は?」

 

A「どちらもぉ?」

 

F「商人から買いまぁす!」

 

B「証人をからかうな!」

 

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