迷宮に色んな力を持って挑むのは間違ってない...と思う   作:水凪刹那

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第10話

ヘスティア様が出かけてから三日目の朝。

普段通り朝食を作りながらも1人だけの朝食にほんの少し寂しさを感じながらも今日こそは到達階層を増やそうと、ダンジョンに潜る準備をする。

下に潜れば稼ぎは良くなるのだから

行かないわけはない。

無理しない程度に早く進もうと気合を入れ誰もいないホームから出た。

ダンジョンまでの道を駆け足で行けばいつか見た光景と今の光景がだぶる。

 

「おーいっ、待つにゃそこの金長髪!!」

 

周りに俺以外の金長髪なんて居ないから呼ばれたのは俺だろうと

足を止めて声のした方を見れば『豊穣の女主人』の店先から、前に見た獣人の少女が手を大きく振っていた。

 

「えっと...おはようございます?」

 

「ニャ、おはようございます。いきなり呼び止めて悪かったニャ」

 

「いえ...それで、何か御用が?」

 

「ちょっと面倒ニャことを頼みたいニャ。はい、コレ」

 

「はい?」

 

「金長髪はシルのマブダチニャ。だからあのおっちょこちょいに渡してほしいニャ」

 

手渡された物体はがま口財布だった

エンブレムが刻まれてることからどこかの商業系ファミリアが制作したことがわかるのだが

うん、話が読めない...

 

「アーニャ。それでは説明不足です。クラネルさんも困っています」

 

と、少し戸惑っていたら今度はエルフの店員さんが現れる。

 

「リューはアホニャー。店番サボって祭り見に行ったシルに、忘れていった財布を届けてほしいニャンて、言わなくとも分かるニャ」

 

「という事です」

 

「あ、なるほど。そういうことですか」

 

聞けば今日の祭り...怪物祭(モンスターフィリア)を見にシルさんは休みを貰って出かけたらしい。

祭りとあればそこそこ店も混み合うはずなのだがよく休みをもらえたものだと感心すれば

リューと呼ばれたのエルフさんは申し訳なさそうな顔をして

 

「彼女は気にしないでください。それで、どうか頼まれてくれませんか?私やアーニャ、他のスタッフも店の準備で忙しくとても届けることの出来る状況ではないのです。これからダンジョンに向かうあなたには悪いとは思うのですが...」

 

「まぁ、構いませんよ。シルさんが困ってるなら助けたいとも思いますしそれに、エルフの女性に頼まれるなんて中々に光栄なことですから」

 

「.....んんっ...では、お願いします...それと、そういうことは私ではなくシルに言って貰いたい」

 

「ほんとに光栄って思ってるから言うんですよ。あ、シルさんどこら辺に向かってるかって分かります?」

 

流石になんの情報もなしに人混みの中を探すのは苦労するからな

少しでも情報を貰えればと思い話をする

 

「恐らく東側のメインストリートを通って闘技場に向かってるはずです。怪物祭(モンスターフィリア)の醍醐味はモンスターの『調教』ですから。先ずはそこに向かってみてください」

 

「了解です。」

 

「よろしくお願いします」

 

エルフのリューさんに頭を下げられて少し照れながらもシルさんの財布を受け取り、摩天楼(バベル)のそびえる都市の中心に向かって走り出す。

途中で、民家の屋根に飛び移りながら。

 

 

 

 

 

「よぉー、待たせたか?」

 

「いえ、少し前に来たばかり」

 

メインストリート横の喫茶店の二階で二柱の女神が落ち合っていて

フレイヤとロキである。

神の宴から数日たちなぜこうして集まっていれのかと言われればロキがフレイヤを呼び出したのだ

 

「で、いつになったらその子を紹介してくれるのかしら?」

 

「なんや、紹介いるんか?」

 

「1様、その子とは初対面よ?」

 

ロキの付き添いで来ていたのは金髪の少女である

 

「それで、今度は何やらかすつもりや?」

 

「何を言ってるのかしら、ロキ?」

 

「とぼけんな、あほぅ」

 

少し鋭い目付きでロキがフレイヤを見るがその視線をフレイヤは受け流す。

 

「最近動きすぎやろ自分。宴にも顔を出すわ...何企んどる?」

 

「企むだなんて...それこそ悪慈恵ならロキ?あなたの方が得意じゃないかしら?」

 

視線がぶつかり合い

周囲の温度が下がっていく感覚がする

おもむろに、ロキが脱力。

 

「なるほど...男か...」

 

女神は答えずただただ微笑みを浮かべるばかり

だが、ロキはその笑から確信を得たようだ

呆れたようにため息を吐く

 

 

「たくこの色ボケ女神が、またほかのファミリアの子供狙っとるんか...」

 

「あら、心外ね。分別くらいあるわ」

 

「...で?」

 

「...........?」

 

「どんな奴や?こんど自分の目に止まった子供ってのは?いつ見つけた?」

 

フレイヤの手癖の悪さは有名の話だが

それでもその観察眼に狂いはない。

フレイヤに目をつけられたってことはそれだけ有力な人材ってことになる

 

「そうね...見つけたのは本当に偶然、たまたま目に付いただけでも。一度見れば忘れりないような魂を持っていたわ」

 

「...お前がそこまで言うとわな...」

 

選別にはフレイヤは魂の色を視る

その輝きを求め、必要に応じて試練を与えたりするのだ

 

「今はまだ、そこまで強くはないわ...でも、底知れない可能性を見たの。あの子は確実に強くなる」

 

当時を思い出しながらフレイヤは言葉を連ねる

それを再現するように窓の外に視線を向ける

 

「そう、あの日もこんなふうに...」

 

日の暮れた広場で黄昏ていた時のように

あの少年が目に止まった

 

今、まさに屋根を駆けて行ったみたいに目に止まった...

 

「────」

 

フレイヤの動きが止まる

その視線が黒のパーカーを来た金長髪の少年に釘付けとなった

人の多い道を避け屋根の上で誰かを探しながら。

その足は闘技場に向かっていた

 

「ごめんなさい、急用ができたわ」

 

「はぁっ?」

 

「また今度会いましょう」

 

ロキを置いてフレイヤは席を立っち店内を早足で去る。

その場にはロキとアイズだけが残る

 

「なんやアイツ。いきなり立ち上がって」

 

怪訝(けげん)そうな顔をうかべ、ロキはフレイヤの消えた階段を見つめる

ふと、アイズを見れば

フレイヤの見ていた方角を見つめていた

 

「どうしたんアイズ?」

 

「...もしかしたら...神フレイヤの狙いはアルトリアかも...」

 

奇しくも剣姫の予想は的中していた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はい、これ」

 

「おおぉ...?!」

 

作業衣服のヘファイストスから手渡された大型のケースに、ヘスティアは感嘆の声を漏らす。

目の下に隈を作りながらも彼女の顔は今にも輝かんばかりだった

 

「あの設計図どおりの出来で魔法伝導率も耐久性もバッチリよ。」

 

「うんうんっ!文句なんてない完璧だよ!」

 

パカッと蓋を開けてみれば

漆黒の鞘に収められた赤い柄のナイフとヘスティアと同等の大きさの不思議な武器...スラッシュ・アックス

刀身は黒一色だが柄に向かって朱に染まっている、機械的な作りの変形機構はヘファイストスの試行錯誤の末出来上がった。

変形機構はアルトリアの魔力放出を動力とするので文字どおり専用武器だ。

一方、ナイフは黒一色だ

約一日かけて作り出されたアルトリアの武器に、ヘスティアはこれまでにない満ち足りた表情を浮かべる

 

「2本も作ってくれていたのかい!?」

 

「素材が余ってたからよ。」

 

剣一本だと思っていたヘスティアはヘファイストスのサプライズに泣きそうになりながらも笑みを浮かべる。

ヘファイストスもそんなヘスティアを見ながら満足げだ

 

「さて、この剣達にに名前をつけなきゃね...」

 

「ボクとアルトリア君の愛の結晶ってことで『ラブ・ソード』なんてどうかな!?」

 

「やめないよっ、駄作臭がプンプンじゃないのっ。.....そうね...神の剣...としか言えないからねこれは...それに確かあんたの子供はこれ『スラッシュ・アックス』って名称付けてたのよね?」

 

「うん。アルトリア君が確かにそう書いてたよ」

 

「なら、この剣は神の剣斧(スラッシュ・アックスF)ってところね。で、ナイフは神の(ヘスティア)ナイフ」

 

その名前を聞き御満悦な笑みを浮かべ喜ぶヘスティア

 

「言っとくけど、借金、踏み倒すんじゃないよ?」

 

「分かってるさ!」

 

剣を再び箱に入れ素早く布に包むと早速この場を出ていく準備を始める

 

「もう行くの?」

 

「うん、早くアルトリア君に会いたいんだ」

 

「...変わったわねあんた」

 

ヘファイストスのつぶやきも聞こえずにヘスティアは工房をあとにする

 

駆け足でホームへ走りながらも、もうダンジョンに向かってしまっているかと思い直し

方向転換するが、ふと視界の端にチラシが目に入った

 

「アルトリア君なら、きっと向かったはずだ!」

 

視界に入った怪物祭のチラシからきっと闘技場に向かったと思ったヘスティアは祭へと赴くことに決めた

途中でタクシーに乗り近道をするも人混みで進めなくなり仕方なく降車

裏道をかけていけば自分以外の人影が現れる

 

「あれ?もしかしてフレイヤかい?」

 

「...あら、ヘスティア」

 

別方向から現れた女性をみて、そのフードからはみ出る銀髪と見覚えのある佇まいからヘスティアは神物に当たりをつける

 

「君も怪物祭を見に来たのかい?」

 

「.....えぇ、一通りの多いところは歩けないからこうしてね?」

 

「あー、確かにそうだね...『美の女神』大変だね...あ、そうだ。フレイヤ、ボクの【ファミリア】の子を見なかったかい?」

 

「ヘスティアの眷属?」

 

「そうさ、金髪の少女みたいな男の子でヒューマンで」

 

その説明にフレイヤは一瞬笑を消すが、すぐに取り繕い

 

「その子なら、この先の東の大通りで見たわよ。」

 

「本当かい!?」

 

「ええ、真っ直ぐに闘技場を目指していたようだからこの道を左に曲がって行けば先回りできると思うわよ?」

 

ヘスティアはフレイヤの言葉に喜色満面になり「ありがとうっ!」と伝えると駆け足で走っていく。

そんな様子にフレイヤもクスリと笑い別の道へ歩いていく

 

 

 

祭りが最高潮に達する時

1人の女神のいたずらと、ひとつの悪意が交差して

1人の少年に降りかかる

新たな試練の時はすぐそばまで迫っている

 

 

 

 

 




今回はアルトリアの新武器
神の剣斧(スラッシュ・アックスF)について
剣と斧のふたつの武器を合わせたものであり特性上は極ノ型と同じ
基本ギミックはMHFのように
・変形斬り
・属性解放突き
・光剣モード
・ガード吸収
・属性吸収大解放
・超高出力属性解放斬り
などを行える
なお、この世界にはゲージなどは無いことから全て魔力で補う
ビン効果は『強撃ビンである』
また、見た目はディズオブアーム
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