迷宮に色んな力を持って挑むのは間違ってない...と思う   作:水凪刹那

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第11話

「は?」

 

俺の名前を呼ばれて振り返って見れば

所在不明だったヘスティア様が大荷物を背負いながらこちらにその特徴的なツインテールを揺らしながら駆け寄ってきた。

 

「ヘスティア様!?なんでここに!?」

 

「おいおい、馬鹿なこと言うなよ、君に逢いたかったからに決まってるじゃないか!」

 

誇らしげにその大きすぎる胸を張るヘスティア様

 

「んで、どこ行ってたんです?それにどうやらご機嫌みたいですけど」

 

「へへへっ、知りたいかい?ボクが舞い上がってる理由を」

 

先程から相好を崩しているヘスティア様は

背中の荷物をゴソゴソと弄りだす、しかしそれを途中で

ピタリっと動きを止めてしまう。

そして当たりを見渡すと少し考えるような動作をして

その荷物を俺に渡してきた

 

「ここで広げるのはあれだから今はアルトリア君が閉まっておいてくれるかい?」

 

「え?まぁ、いいですけど...?」

 

ヘスティア様に言われてその木箱を《王の財宝》にしまう

ニコニコとしている神様は俺の手を取ると歩き始める

 

「どこ行くんですか?」

 

「デートしようぜ、アルトリア君」

 

「で、デートですか?」

 

「ああ、そうさ。こんなに街中が盛り上がってるんだ、僕らも楽しまない手はないだろ?」

 

こちらを振り向きながら神様はそう微笑みを浮かべて言った

その笑顔に見とれているあいだにグイグイっも俺を引っ張る

 

「ちょ。デートもいいんですけど、今俺頼まれごとしてて人を探してるんです!」

 

「そうなのかい?なら、それはデートのついでに探そうぜ」

 

「あ、デートは確実なんですねわかります」

 

「そうさ、楽しみながら仕事もできて一石二鳥だよ。あ、おじさーん。そのクレープ二つくださーい」

 

簡単に言い流されてしまい

神様とデートすることになる。

シルさんに財布を届けるよう依頼してきた店員さん達に合わせる顔がない。

まさか、お使いをすっぽかしてデートをしているなんて知られたら恨まれてしまいそうだ。

 

「.....」

 

「ん?なんだい?アルトリア君」

 

隣にいる神様をどうしても意識してしまう

まだ、出会って少ししか経ってないけど見たこともなかった表情の数々にも目を奪われる

少し幼い姿をしている神様はその容姿通りの振る舞いを見せている。

あどけなく笑って出店の品物に目を輝かせたりと

普段と雰囲気がまるで違う。

やっぱりヘスティア様は美少女なのだうん。

 

「アルトリア君〜」

 

「はい?、なんですか?」

 

バレないように平然を装っていると神様に呼ばれて

振り向くと目の前には先程買ったクレープが

 

「あーん」

 

「.....あーん!?」

 

素っ頓狂な声をあげれば面白そうに笑う神様

その小さい体を背伸びさせ、クレープを食べさせようとしてくる

恐らくテコでも食べさせようとしてくる神様をみて断ることを諦めてそのクレープを食べる…

 

「.....甘い.....」

 

「へへへっ。アルトリア君のも欲しいな」

 

「...はい、あーん」

 

パクリっ、とヘスティア様の可愛らしい唇が

俺のクレープを小さく食べる、その仕草がまた可愛く

顔が少し赤くなる

 

ヘスティア様に引かれるがままに再び人の波に飲まれ俺たちは祭りを楽しみだした

 

 

 

 

 

 

 

 

あのあと、そこそこ食べ歩き闘技場近くまでやってこれば

歓声が外にまで聞こえてくる

 

「...んー、結局ここにもいませんね...」

 

「やっぱりもう、闘技場に、入ってるんじゃないかい?」

 

シルさんを探していたが結局ここまで見つけることができずにいた

その二人に近づく1人のハーフエルフ

 

「アルトリア君?」

 

「あれ?エイナさん?」

 

「誰だいアルトリア君?このハーフエルフ君は?」

 

ハーフエルフ...エイナさんはヘスティア様に会釈した。

 

「わたくし、アルトリア・クラネル氏の迷宮探索アドバイザーを努めさせて貰っているギルド事務所属、エイナ・チュールです。初めまして、神へスティア」

 

「あぁ、そういうことか。いつもアルトリア君がお世話になってるね」

 

エイナさんが自己紹介すれば納得するように手を振った。

会話がひと段落ついたのを見計らって質問をする

 

「で、エイナさんは何故ここに?やっぱりフィリア祭のことで?」

 

「うん、フィリア祭にはギルドも一枚噛んでるから、環境整備を手伝ってるの。で、私はお客さんの誘導係。アルトリア君もこの催しを見に来たの?」

 

「あ、ちゃいますん。人が探しをしてて...ヒューマンの女性なんですが財布を届けてくれって頼まれましてね?見てません?」

 

「うーん...ちょっと分からないなぁ...」

 

ですよねー、忙しいですもんねっと返せば苦笑いが隠せてないエイナさん。

 

「なら、もう少しこの辺を探してみます...あ、神様はここで待っててくださいよ?」

 

「ん?ボクも一緒に行くよ?」

 

再びシルさんを探しに出るためにヘスティア様に待っていてもらおうとすれ着いてくると申される

 

「いや、ヘスティア様と早く街を回りたいのではしりながらさがします。すぐ戻りますので」

 

「んー、...分かったよ。すぐに戻ってくるんだよ?」

 

はい、っと返し早速探しに行こうとした時

声が聞こえた

 

『────さぁ、頑張ってね?』

 

スキルに記載されていた直感が最大の警鐘を鳴らす

瞬時に辺りを見渡し始めると、その姿を不審に思ったヘスティア様がこちらに寄ってくる

 

その後ろに

頭上に

そいつは居た

 

俺がそいつを認識するのと

冷めきらない祭りのざわめきとは別の、何か切迫じみた、鋭い声が...

 

「...やば...」

 

そのつぶやきが口からこぼれたの瞬間。

次の瞬間には大音声が鳴り響いた

 

「モ、モンスターだぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」

 

凍りついたように一瞬

それまでの平和な騒音は無になり。言葉を失くす

 

そして俺は見た

ヘスティア様の後から迫る純白の毛並みをもつモンスターが、

エイナさんの後に迫る茶色い肌に豚頭にずるずる剥けた古い体皮が腰の周りを覆っており、まるでボロ衣のスカートを履いてるようなモンスターを

 

 

『──』

 

そのモンスター達が1歩踏み込んだ瞬間人垣の群れは絶叫を放ちバラバラに散った

白色の隆起した筋肉質な腕がヘスティア様に狙いをすましたとき

ヘスティア様の足が恐怖で震えている

薄汚い豚面のモンスターがエイナさんに迫った時

近くの冒険者邪魔に合わない...一番近いのは俺だ...

そう、認識ができた時、俺の中で何かが切れた

 

 

 

 

「........ぎたねぇ.....わんじゃねぇよ...

 

1歩、2歩と迫るモンスターに何かが湧いてくる...

あぁ、これは怒りだ...

モンスター共に対する怒り

危険に晒してしまった自分への怒り

それらをすべて力に変えて

 

目の前のゴミ共を.....

薄汚ねぇ手で触ろうとすんじゃねぇこのゴミ共がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!!

全力で殺せ!!

 

魔力を吹かせ距離を詰めつつ

ヘスティア様から渡されていた木箱を取り出す

箱を破壊しながら中身を取り出し構える

渡された時に解析は済ませていた。

失くしたと思っていた設計図どおりの武器...スラッシュ・アックスが手元に現れる。

 

触れた瞬間に剣がまるで生きているかのごとく刀身に光が灯る。

瞬間に展開し斧モードから剣モードへさらに

武器を光剣モードに切り替えヘスティアに迫るシルバーバックを袈裟斬り

後から聞こえるヘスティアの声を聞かず

続いてエイナに迫るオークも横一文字に斬り裂く

 

「ヘスティア!エイナ!無事か!?」

 

「う、うん...」

 

「すごいよ!アルトリア君、モンスターを一瞬で倒すなんて!」

 

2匹のいた場所を見れば灰になったモンスターと真っ二つになっている魔石

手元の武器を見ればそこには見慣れた【神聖文字】が

 

「神様...この武器って...」

 

「あはは...本当はもっとちゃんとしたところで渡したかったんだけど。でも、それとナイフは間違いなくキミの、アルトリア君の武器さ」

 

「俺の...武器...」

 

掲げれば分かるほかの武器との違い

この武器は生きている

俺と共に強くなり

俺にしか使えない

 

「って、それよりエイナさん!逃げ出したモンスターは何匹ですか!」

 

ボケっとしていたエイナさんに聞けばすぐそばにやって来ていた

ギルド職員が説明してくれた

 

「に、逃げ出したのは9匹で今、君が二匹倒したからあと7匹だよ?」

 

「7匹.....ヘスティア様...今ここでステイタスの更新...!?ヘスティア様!?」

 

「神へスティア!?」

 

「エイナさん!すいませんがヘスティア様を安全なところに!」

 

「アルトリア君!?まさか、1人で倒しに行くつもり!?」

 

残りのモンスターも倒そうと思い

保留していたランクアップをしてもらおうとしたら

ヘスティア様が倒れていた

そのままにはして置けないのでギルドで保護してもらおうとすれば

エイナさんに止められた

と、そこへ

 

「.....すいません。何かあったんですか...?」

 

言い合いを始めそうな二人に声がかかる

声の主を見た瞬間誰しもが動きを止める

 

「あ、アイズ・ヴァレンシュタイン.....」

 

「(今なら...)」

 

「あ、アルトリア...」

 

アイズがアルトリアに声をかけようとした時には

既に、ギルド職員にヘスティアを預け

スラッシュ・アックスを担ぎ駆け出していた

 

 

 

 

 

 

 

 

ヘスティアを狙ったモンスターは倒したが

ほかのモンスターはまだ存命

見たところ被害は東側のメインストリートを中心に逃げ出したようだ

 

風を吹かせて速度をあげ街並みをかける

あたりに木霊する悲鳴を頼りにモンスターのいる場所まで

全力で駆ける

 

「うわぁぁあぁぁぁぁ!?」

 

メインストリートはもはや大混乱に陥っていた。

周囲の人は一目散に逃げ出しモンスターは当たりを破壊しようとする

 

「沈め!」

 

光剣モードのブーストを吹かせ更に早く

すれ違いざまにトロールの足を斬り体制を崩す

屋台を足場に飛び上がり頭上から縦斬り

家に閉じこもり隠れていた人々は恐る恐る通りを覗く

と、残り...6匹!

 

3度駆けようとすれば眼前に人が落ちてくる

 

「っと...アイズ?」

 

「アルトリア...ここら辺のモンスターは倒したよ?」

 

「はは...さっすがLv5...早いや...」

 

俺が一匹倒す間にほとんど狩るなんて...Lv差はでかいな...

 

 

 

 

と、そんな二人を見る3人組

 

「うわー、あの子Lv1なのにすごいね!」

 

屋根伝いに移動していたティオナ達は足を止め

アルトリアとアイズを見ていた

 

「餌を用意されてお預けされてる気分ね...」

 

「あ、分かるかも」

 

「...お、お二人共、武器もないのによくそんなこと言えますね...」

 

軽口を叩くティオナ達にレフィーヤは空笑いをする

と...

 

 

「アイズ、地面揺れてないか?」

 

「.....うん、揺れてる...」

 

「地震なんて起きるのか?」

 

「ごく稀に起きるけど...でもこれは地震じゃない」

 

身構える二人のもとに、何かが爆発したような轟音が響く。

 

『き─きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああっ!?』

 

次いで響いた女性の悲鳴

土煙を上げて現れたのは蛇にも似たモンスター

 

「...1様聞くけど...あれ見たことは?」

 

「無い...恐らく新種」

 

「だよなっ!」

 

目付きを鋭くし二人は新種の元へ駆け出した

 

 

 

 

一方その頃ティオナ達は

先にその新種との戦闘を始めていたが決定打に欠けていた

Lv5の打撃も寄せ付けない防御にムチのようにしなるモンスターの攻撃

一撃ごとに巻き上がる石畳、瞬く間に周囲はボロボロになる

決め手にかける中

その外側からレフィーヤは詠唱を始める

 

「【解き放つ一条の光、聖木の弓幹。汝、弓の名手なり】」

 

ティオネ達に対しての攻撃にかかり切りでレフィーヤを歯牙にもかけない

山吹色の魔法円を展開しながら速やかに魔法を構築した

 

「【狙撃せよ、妖精の射手。穿て必中の矢】!」

 

魔法完成寸前それまで見向きもしなかったモンスターが

急にレフィーヤに向き直った

『魔力』に反応した

直感的にレフィーヤはそう確信した

レフィーヤの足元が膨らみまさにモンスターの攻撃が当たる

 

紙屑のように飛ぶ少女の体

それを成したモンスターにも変化が

幾つもの亀裂が走ったと思うと...

 

その先が...まるで蕾のようになっていた部分が...咲いた(・・・)

 

『オオオオオオオォォォォォォォォッ!!』

破鐘の方向が轟く、開かれたは何枚もの花びら

毒々しいその色彩は極彩色

 

「蛇じゃなくて花ぁ!?」

 

レフィーヤの救出に向かいたくもそれを阻むモンスター

彼女等の打撃では有効打にはならないのだ

 

「レフィーヤ、起きなさいっ!」

「あーもうっ、邪魔ぁっ!」

 

 

 

 

「(嫌だ...)」っとレフィーヤは思った

足を引っ張ってばかりの自分、憧憬の剣士に守られ

今も自分が回避さえ出来ればこんなことにはならずに居たのに

自分のせいで仲間がピンチに陥っていた

金の憧憬...自分の憧れた輝きを放つ少女

 

そして、Lv5にすら勝ってみせたLv1

あの日、あの酒場で出会えた人

魔法を行使しながら近接戦闘という憧れの人と同じでも違う力

他種族との接触を嫌悪する自分達(エルフ)がときめいた人

足元と頭上から迫るモンスターに

あぁ、と嘆いた。

せめてもう一度会いたかったと

 

視界の端に金と銀の風、金と赤の雷が見えた

 

 

【リル・ラファーガ】!」

 

【光剣・雷切】!」

 

 

敵の首を切り飛ばす壮烈な風と地面を伝い敵を焦がす赤雷

自分の盾になるように立つ二人に.....

 

憧憬の少女(アイズ・ヴァレンシュタイン)初恋の少年(アルトリア・クラネル)に守られる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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