迷宮に色んな力を持って挑むのは間違ってない...と思う 作:水凪刹那
身支度を終えて外へ出た頃には日は既に西の空へ沈もうとしていた。
都会では見ることの出来ないほどの星空と街を照し輝く満月、あたりに響く陽気な笑い声。
仕事を終えた労働者が、ダンジョン帰りの冒険者が一日の疲れを取るように酒を飲んでいる。
そんな人の従来が絶えることのないメインストリートを歩いていくと今朝方フローヴァさんとあった場所の近くまで来た
酒場近くまでこれば大勢の
パルゥムやノーム、ドワーフらが豪快に騒いで飲んでいる
獣人の女性が大胆な服装で接客をしていれば、それよりも過激な格好のアマゾネス一行が周りの視線を集めながら歩いていた
「...ここかぁ...」
見覚えのあるカフェテラスを見つけ足を止める。
店名は『
店内をそっと覗いてみれば、カウンターで料理を盛り付ける恰幅の良いドワーフの女性と、ネコ耳を生やした獣人のキャット・ピープルの少女達がてんてこ舞いに動き回って接客をしていたもちろん全員ウエイトレス。.....あれ?
「(おう...みんな女性かーい....あ、目が合った...笑われた!?.)」
そして、覗いたのがバレたのかドワーフの女性ーー多分、この人が店主ーーと目が合い、その女性が見覚えのある女性...絶対フローヴァさんや...を呼んびこっちに向かわした...
「アルトリアさんっ」
「.......(あれぇ??また?てか、さっきまでそこいなかったかぁ???)」
いつの間にか隣にまで来ていたフローヴァさん
疑問を持ちつつもそれを顔に出さないように笑顔を作った
「約束通り来ました」
「はい、いらっしゃいませ」
見れば朝見た時と同じ格好のフローヴァさん
ニコニコとしながら店内へ案内された
「では、こちらにどうぞ」
「はい」
案内された席はカウンター席の端っこ
曲がり角の席ですぐ後ろが壁のため隣には席が用意されてなく
誰かが座ることもない
「ほぉ、あんたがシルのお客さんかい?ははっ、冒険者のくせに可愛い顔してるねぇ!」
「はははっ、よく言われます」
自覚していることを言われて思わずイヤミで返すも気にした様子のないドワーフの女将
「何でもアタシ達に悲鳴を挙げさせるほどの大食漢なんだそうじゃないか!じゃんじゃん料理を出すから、じゃんじゃん金を使ってってくれよぉ!」
「ちょ、フローヴァさん!?」
「.......えへへへ」
「えへへへ、じゃねーよ!?一瞬可愛かったけど!」
「ふぇ!?その...ミアお母さんに知り合いの方をお呼びしたいから、たっくさん振舞ってあげて、と伝えたら.....尾鰭がついてあんな話に...トホホほほ」
「絶対故意でしょ!?まぁ。食べれますけど...」
「え!?」
はぁ...とため息を吐きつつカウンターに向き直り、丁寧に用意されているメニューを手に取り、じっくりと見る
値段を見つつ料理を決める
今回用意したお金は二万ちょっと昨日の狩りと今日の狩りの換金分から少しだけ引いてきた
残りは神様との時のために取っておいた
ぶっちゃけダンジョンに潜っていてもポーションは使わないし武器も自前のがあるからかなりの経費削減は出来ている
だから今日は贅沢だ
メニューを見ると美味しそうな名前の料理が観覧出来る
なら.....
「すいません、このメニューの初めから順番に持ってきてくださーい」
計算したら50品近くあるメニューも高くても500ヴァリスほど、安ければ300ヴァリス程だった
「食べ切れるのかい?そんな華奢な体で」
「心配ご無用です。あ、お酒もお願いします」
「あいよ!」
と、そうこうしているうちに1品目のパスタが来た
1品当たりの量もなかなか多くこれは満足できそうだ...
「いただきます!」
一口食べれば口の中に広がるあっさりとしたトマトの旨みと酸味、それを損なわない魚介類の濃厚な深みのうまさ
「幸せそうに食べるじゃないか坊主!」
「はい!すっごく美味しいですって...あれ?女将、いま坊主って?」
「ん?あぁ、あんた1件女っぽいが男だろ?」
「おぉ、すげぇ。初見で俺の性別見抜いた人初めてだ...あ、次の料理お願いしまーす」
「ほんとに大食漢だねぇ...」
その後も続々と運ばれてくる料理を次々に食べていく
魚まるまる1匹を使用した料理やスープなど、美味しいものは沢山あった
「...楽しんでますか?」
「ええ、もちろんです」
大体のものを食べ終えて一息ついているとフローヴァさんがやってきた。
「お仕事、いいんですか?」
「さっきまで忙しかったのはアルトリアさんのせいなんですよ?それに今は余裕ありますから」
「はははっ...それもそうですね、いやー、料理が美味しくて美味しくてついつい食べちゃいましたよ」
「すごい食べっぷりでしたもんね見てるこっちもお腹一杯です」
そこからは他愛ない話をして言った
この店、『豊穣の女主人』は女将のミアさんが一代で立てたものらしく、彼女は元冒険者らしい。
そして、従業員は女性のみという徹底ぶり
そんなこんなで話をしていれば徐々に客も引き上げ始める
「あれ?もう店じまいですか?」
「いえ、このあと団体のお客様が...」
見れば俺から見て対角線上の席がぽっかり空いていた
恐らく予め予約されていたんだろう
と、その時
「ご予約のお客様いらっしゃいましたにゃーっ!」
ネコ耳の獣人のウエイトレスがどうやら団体を案内してきたようだ
その団体は種族がバラバラでしかも生半可な力の持ち主じゃないことが目に見えてよくわかる
「っ!」
その中にいた、見覚えのある女性
砂金のごとき輝きを帯びた金の髪。
振りば壊れてしまいそうなほど細い輪郭は精緻で美しい
『.....おい』
『おお、えれえ上玉ッ!』
『ばっかお前ちげえよ!エンブレム見てみろ!』
『...げっ』
『あれが』
『.....巨人殺しの【ファミリア】』
『第1級冒険者のオールスターじゃねぇか...』
彼らが【ロキ・ファミリア】という事に周囲の客も気が付き始めたらしく、呟かれる声には畏怖の念が込めりていた
「アルトリアさん?」
「シルさん!お勘定渡すんで彼らから見えないように店を出させてもらえませんか?」
「??.....い、今名前で...アルトリアさんたらぁ...」
突然の俺の奇行にシルさんが困った顔...してるか?...しているがそんなことに構ってる暇わない
彼らに...特にアイズ・ヴァレンタインに会うわけには行かない
そうこうしているうちに団体の中の一人─恐らく彼らのファミリアの主神『ロキ』だろうが、音頭をとった
「よっしゃぁ、ダンジョン遠征みんなごくろうさん!今日は宴や!飲めぇ!」
その音頭を合図にロキ・ファミリアの人達は騒ぎ始めた
その騒ぎを見てはほかの客も自分の食事を再開し始めた
「ロキ・ファミリアさんはうちのお得意様なんです。」
シルさんが俺の奇行の理由に気がついたらしく
そっと耳打ちしてくた
「なるほど...てか、近いよシルさん」
「あ、ご、ごめんなさい...」
「大丈夫ですから...」
ちょっとしょぼくれたシルさんを慰めるため頭撫でつつ横目で【ロキ・ファミリア】を見る
「へへへへへっ...」
シルさんがちょっと壊れかけてる気もするけど気にしない
と、そこで動きがあった
「そうだ、アイズ!お前あの話を聞かせてやれよ!」
「あの話.......?」
ヴァレンタインさんから2つほど離れた席に座る獣人...確かベート・ローガ...がなにか話せとせがんでいた
「あれだって、帰る途中で何匹か逃がしたミノタウロス!最後の1匹、お前が5階層で始末しただろ!?それで、ほれ、あんと聞いたガキ!」
それは、確かに俺の話だった
「ミノタウロスって、17階層で襲いかかってきて返り討ちにしたら、すぐ集団で逃げ出していった?」
「そうそれ!奇跡みてぇにどんどん上層に上って行きやがってよっ、俺達が泡食って追いかけていったやつ!」
ダンジョンにおいて上りも下り多くは歩きだ
直接目的の階層まで行く方法なんてない
そして、【ロキ・ファミリア】は【深層】まで、行った帰りにミノタウロスの群れに遭遇して処理した
そのうちの1匹が俺のところに...
「それでよ、いたんだよ、いかにも駆け出しっていうようなひょろくさえ
「抱腹もんだったぜ!可哀想なくらい追いこまれててよ!」
どうやらあの獣人が見ていたのは途中までらしく俺がミノタウロスの腕を切り落とす前...
ヴァレンタインさんが来る直前までだったようだ
「ふむぅ?それで、その冒険者はどうしたん?助かったん?」
「アイズが間一髪ってところでミノタウロスを細切れにして魔石だけにしたんだよな?」
「なんや、ベートはその瞬間をみぃひんかったん?」
「あぁ、後からのバカゾネスが話しかけてきやがったからよぉ!」
「誰がバカゾネスだ!」
.....どうやら、オラリオ有数のファミリアは俺が思っていたような人はいなかったみたい...
「アルトリア...さん...?」
「シルさん...女将さん...少しだけ...暴れてきます、ごちそうさまでした」
「.....店を壊さなければ構わないよ」
女将さんからも許可をもらった俺は席を立ち【ロキ・ファミリア】へと向かう
「それでそいつよ、アイズに助けられといて叫びながらどっか行っちまってっ.....ぷくくっ!うちのお姫様、助けた相手に逃げられてやんのぉっ!」
「.....くっ」
「アハハハハハハッ!そりゃ傑作やぁ!冒険者怖がらせてまうアイズたんマジ萌えーー!!」
「ふ、ふふっ.......ご、ごめんなさい、アイズっ、流石に我慢出来ない.....!」
「.....あの...ミノタウロスを倒したのは私じゃない...」
「...は?」
ヴァレンタインさんが発した一言でその場の空気が凍った
「ミノタウロスを倒したのはあの金髪の子、私は倒してない」
「んなわけあるか!ありゃどう見てもLv1の雑魚だろうが!」
そう、Lv1の冒険者がミノタウロスを倒すなんてことはありえない
ありえないのだが
「私が来た時にはミノタウロスの両腕は切り落とされてた」
「助けようとした時にはミノタウロスはその子の...多分魔法で倒されてた」
「あの子は弱くない!」
恐らくここまでヴァレンタインさんが声を荒らげることは無かったのだろう同じファミリア内の誰もが驚いたような顔を浮かべていた
そろそろ行くか.....
赤髪の女性...恐らく主神『ロキ』の隣に座るパルゥムの男性に向かって歩いていく
「...あ、」
俺に気がついたヴァレンタインさんが声を出すが俺はそれをスルーして歩み寄る
「失礼、【ロキ・ファミリア】主神『ロキ』様と団長『フィン・ディナム』と見受けます」
「なんや?自分」
「失礼、自分はアルトリア・クラネル。そこのクソ犬が話していたあんた達が逃がしたミノタウロスに襲われていたLv1冒険者だよ!」
「グハっ!?」
自己紹介しつつ獣人に向かって蹴りを放ち外へ飛ばす
「ベート!?」
「この!」
「待て!ティオネ、ティオナ!」
「でも、団長!」
「いいから待つんだ」
アマゾネスが襲ってこようとするがそれをパルゥムが止める
「...まさか...オラリオ有数のファミリアであるあんたらが自分たちの失態をこんな公衆の面前で高らかに話し、しかも酒のつまみにするなんてどこまで腐ってやがんだ...?」
「それについては本当に済まない、まさか本人がここにいるとは」
「本人がいなけりゃ話していい訳じゃねぇだろうが!!」
こいつらの全てに嫌悪感しか湧いてこない
これが俺の目指した冒険者達?
弱いものを笑いものにする奴らが?
「...一瞬でも...テメェらなんぞに憧れてたなんて考えるだけで虫唾が走る...」
「あの...ダンジョンであった...」
「.....ぁあ...ヴァレンタインさん...どうも...」
「ううん...それよりごめんなさい...ミノタウロス、私たちが逃がしたやつなのに...でも、すごいね君はもしかしてあれでLv2になってたり...?」
「しませんよなってる分けないでしょ」
「んなアホな!Lv1がまぁ、ほんとにミノタウロスを倒したなら確実にLv2になるはずや!」
「確かに...」
「失礼なんだが...冒険者になったのは何年前なのかな?」
「質問の前に自己紹介くらいしたらどうだ?エルフさん?」
「済まない...私はリヴェリア・リヨス・アールヴ。このファミリアの副団長をさせて貰っている」
話しかけてきたエルフに対してもイラつきが抑えられず高圧的になってしまった
「さっきも言ったがアルトリア・クラネル...男だ」
『え?』
まさかの一番の驚きだったらしく酒場のほぼ全員の声が揃った
「んで、さっきの質問だが...冒険者になったのは...四日前だ」
「ありえません!!」
「うるせぇんだよクソエルフ!」
また横から口を挟んできた別のエルフを無理やり黙らせる
半泣きにしてしまった...
「ごめん...泣かすつもりは...」
「いえ...ごめんなさい...えっと私はレフィーヤ・ヴィリディスです。それで、四日でミノタウロスを倒すなんてのはありえないはずなんです」
あぁ、よかった...泣き止んでくれた
「それは、一般冒険者なら...な?」
「スキル...かな?」
今まで口を挟んでこなかったパルゥムが話に入ってきた
「まぁ、そんなとこだ....とりあえずオタクの獣人。あれボコすから回復魔法でも、ポーションでも準備しといてください」
「ま、待ってっ!」
蹴り飛ばした獣人を追いかけて外に出れば
後からの見物しにヴァレンタインさん、副団長さんら数人が出てきた
「起きろよクソ犬が!」
「起きてんだよ雑魚が!」
どうやら既に復帰していたらしい獣人は怒りに染まった顔をしながらこちらに歩いてくる
「けじめ付けさせてやるよ勝負しろクソ犬」
「Lv1でLv5に勝つ気か?はっ!笑わせんなよ身の程わきまえさせてやる」
「勝負内容は先に3発入れた方の勝ち...良いな?」
「テメェの攻撃が俺に当たるかよ」
「お前こそ井の中の蛙ってことわざ知ってるか?」
どこからともなく槍を出し構える
獣人もどうやら切り替えたようだ
「んなもん俺が知るわけねぇだろ!」
お互いが同時に駆け出しぶつかる!!
「いま、どこから槍を...」
「ふむ...魔法...か?」
パルゥム...フィン・ディムナがそう呟くとその隣にいるリヴェリアが返す
「すごいよティオネ!」
「ええ、まさかベートと互角なんて...」
アマゾネスの姉妹も絶賛する
「アルトリアさんすごいですね!アイズさん!」
「うん...でもまだ、アルトリアくんは本気じゃない」
「ええなぁ...欲しいで...」
神はアルトリアを欲す
当たりには槍とブーツのぶつかり合う鉄の音が響く
まるで、均衡しているように見えた勝負も
突然の終わりを迎える
「クソ犬がぁぁぁぁぁ!」
「舐めんなぁぁぁぁ!」
薙ぎ払われる槍を受け止め蹴りを返し
その蹴りを避け再び槍でつく
高速戦闘が行われるがついに...ピシッと...ベートのブーツから音が聞こえた
そして...
「何!?」
ベートのブーツは砕け均衡が破れる
それを見逃すほどの甘さはアルトリアにはなく
瞬時に距離を詰めると
脳天に1発
腹に2発蹴りを入れた
「.....」
「俺の勝ちだ」
呆然とする獣人と勝ち誇るヒューマン
当たりには歓声が響いた
スキル、魔法解説
今回は『王の財宝』
中身なども原作と同じなのだが
実は中の宝具を詳しく知らないため
金ピカのようなことが出来ない
...検索用の宝具もあるが気がついてない様子
現在は大きなバックがわりにしている