迷宮に色んな力を持って挑むのは間違ってない...と思う   作:水凪刹那

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第7話

強大な二つの力のぶつかりは瓦礫の山をも吹き飛ばし、一帯は焦土とかした。

俺は砕けた2本の聖剣の先端を静かな瞳で見ながら呟く。

 

「おいこら。モードレッドテメェ...手加減しやがったな...」

 

と、言いつつ背中から倒れ込む

モードレッドの方も剣が折れただけだった

二人のほぼ中央で魔力は弾けたが倒れ込んでいるところを見るに

打ち負けたのは俺の方だった。

だが、敵の主力を砕けたのだ成果としては申し分ない。

ゆっくりと立ち上がり再び双剣を投影し続行を促した

 

「さ、続けようぜ?まだ、やれんだろ?」

 

「.......」

 

「?なんだよ」

 

サラリ、とモードレッドの身体が崩れ始める。

光の粒子になっていく両腕を見ながら呟く

 

「.....燦然と輝く王剣が、召喚の触媒が砕かれればこうなるか...」

 

消えゆくサーヴァントを見ながら俺はつまらなそうに呟く

すると、モードレッドがこちらに剣を向ける

 

「.....」

 

「次は...俺が完璧に勝つ」

 

再戦の約束をすればモードレッドは満足げに消滅した

緊張の糸が切れた俺はその場に座り込む

 

「...だー...疲れた...」

 

だが、今回のことでこの世界に聖杯が存在する可能性が出てきた

そして聖杯があるってことはまだまだサーヴァントが出てくるってことだ...それに、その聖杯が汚染されていたのなら破壊しなくちゃいけない

 

「...もっと、もっと深くまで...もっと強く...」

 

ダンジョン地下を見ながら俺は決意を露わにする

この街で聖杯戦争を行わせるわけには行かないし

この世すべての悪(アンリマユ)を降臨させるわけには行かない

どこから聖杯が来たのかも調べなければ...

古代の魔法使いが作ったのかもしれないし、はたまた別の場所から流れ着いたのかもしれない

もしかしたらどこぞの誰かが(・・・・・・・)この世界に送り込んだのかもしれない(・・・・・・・・・・・・・・・・・・)

 

「.......帰るか...」

 

重い体を引きずりながら六階層をあとにする

道?迷わないよ壁も通路も大体吹き飛んだし

 

 

 

 

 

 

 

ダンジョンから出た頃には朝焼けが差し込むいい天気だった

登ってくる時に出たモンスターは反射的に切り捨てて魔石回収していた。

チラホラと人が見えるメインストリートを、避け裏道から教会に戻る

気絶ギリギリまで消耗しているため足元はフラフラだしそれなりに血も流しているから貧血気味だ...

見えてきた教会の前には見慣れたツインテールの人影が

 

「...ヘスティア...」

 

「っ!アルトリア君!!」

 

「むぎゅ!?」

 

抱きついてきたヘスティア様を見れば目元には隈が出来ている

「(あぁ...心配させちゃったんだな...)」

 

ヘスティアもアルトリアの今の姿を見て言葉を失う

身体中傷まみれで服にも血が付着して、既に変色している

最も傷の深い腕は全体的に腫れ上がり肌も青くなっている

 

「どうしたんだい、その怪我は!?まさか誰かに襲われたんじゃ!?」

 

「ちが、そういうわけじゃないんだ...よ」

 

「なら何故!?一体どうして!?」

 

「あー.......ダンジョンに...行ってたんだ...」

 

「ば、馬鹿なのかい!?いくら武器はその場で作れるとはいえポーションとかもなしにダンジョンに潜るなんてっ.....しかも一晩中!?」

 

「ごめん...」

 

「...何かあったんだね.....ほら、早く入りな...」

 

いつまでも外で話しているわけには行かない

ヘスティアの肩をかりてゆっくりと拠点に入っていく

 

「とりあえず今日1日は絶対安静だからね?それと後でお説教だからね?」

 

「説教で許されるなら...いくらでもされるよ...ヘスティア...」

 

「もう...こんな時に呼び捨てにするなんてずるい子だよ。君は...そんなに反省しているなら今日はボクも同じベットで寝させてもらおうかな?君を探すために散々走り回ったんだ、もうヘトヘトだよ。」

 

恐らくこの女神はイタズラでこんなことを言い出したんだろう

でも.....

 

「...あぁ、ヘスティアも疲れてるよね...一緒に寝ようか...」

 

「.....ほぇ?」

 

冗談のつもりで言ったものが華麗にスルーされてまさかのカウンターを叩き込まれたヘスティアは絶句した。

 

「なら、抱きついちゃうぞ!?ギューッとしちゃうぞ!?」

 

「構いませんよ...ヘスティアは柔らかそうだ.....」

 

「あ、あぁ.....もう...アルトリア君のばか...

 

「はははっ.....ヘスティア様.....」

 

「な、なんだい!?」

 

聞かれた!?と、一抹の危惧を抱きながらヘスティアは次の言葉を待った...呼び捨てされなかったことに少ししょぼくれながら

 

「.....もっと...強くなりたい...」

「自分を、ヘスティアを、手の届く範囲にいる全ての人を助けられるくらい...強く...」

 

それは、ヘスティアが見る限りアルトリアが初めて心の内を完全にさらけ出したような言葉だった

 

「...うん」

 

ヘスティアはアルトリアの横側に息を飲み、やがて目を伏せながら呟いた

 

 

 

 

 

 

 

 

アルトリアの帰ってきて一夜明けた。

あのあと二人揃って丸一日眠りこけた後、空腹で目覚めたアルトリアが朝食を作っていればヘスティアも目覚めた。

落ち着きながらとりあえず【ステイタス】の更新をすることにした二人。

しかしそれが普段と異なり出したのは更新が進んで【ステイタス】が信じ難い全容を書き始めてからだった

 

「───早すぎる...」

「はい?」

 

 

 

アルトリア・クラネル

Lv1

力:D 501→A 834(+333)

耐久:F 367→B 796(+429)

器用:D 516→B 788(+272)

俊敏:D 534→S 953(+419)

魔力:C 645→SS 1076(+431)

魔術:A

魔力放出『赤雷・雷』:A

戦闘続行:B

直感:B

天眼:A

 

【魔法】

約束された勝利の剣(エクスカリバー)

王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)

【魔術】

無限の剣製(アンリミテッド・ロスト・ワークス)

【スキル】

不貞殺しの兜(シークレッド・オブ・ペディグリー)

悪竜の血鎧(アーマー・オブ・ファヴニール)

英傑の守護者(サーヴァント)

最速の青(ソニック・ザ・ヘッジホッグ)

《■■の■■》

 

 

 

ヘスティアから渡されたステイタスの刻まれた紙を見て絶句した。

トータル1884!?

 

「ステイタスの伸びに驚いてるところ悪いんだけどねアルトリア君...ステイタスの神聖文字(ヒエログリフ)が光ってる」

 

「は?」

 

神聖文字(ヒエログリフ)が光る現象はある一つの成果を表す

それは、冒険者なら誰しもが目指すことつまり

 

「...ランクアップ...器の昇華...だと...?」

 

「アルトリア君...君はダンジョンで何をしたんだい?」

 

「.......」

 

「話せない...事なのかい?」

 

黙ってしまう自分の眷属(子供)に途方もない不安に襲われるヘスティア。

強さを求めたアルトリアになにかできないことは無いのかと考え始めた時アルトリアの口から話されたのはダンジョン内での出来事だった。

 

「ヘスティア様...聖杯って知ってますか...?」

 

「聖杯?んー、あっ...確か聞いたことはあるよ?実在するかどうかは別として確か万物の願望機...だったかな?」

 

「...はい...それ聖杯がこの街の...ダンジョンのどこかにあるのかもしれません...いや、かもじゃない...ダンジョンのどこかにある」

 

「!?そんな、聖杯は過去の子供たちが考えた幻想なんじゃ」

 

「聖杯は確かに願望機です。でも、願望機にもエネルギーは必要です…一昨日、外で食事をしたあと帰宅途中に願望機から産み落とされたエネルギー回収用の...モンスターに町中で狙われて戦闘のためにダンジョン六階層へ向かいました...」

 

「ぶっ!?あ、あふォーッ!六階層!?なんでもっと上の階層にしないんだい!?」

 

「ご、ごめんなさい...」

 

「はぁ、まぁ、君が規格外なのは元からだけど...ね...」

 

もし...かりに、聖杯が汚染されていたのなら...聖杯によってこの地が特異点にでもなったなら果たして自分はこの神を守れるのだろうか...

 

「それで、どうするアルトリア君。ランクアップするかい?」

 

「.......いえ、まだしません。見たところまだまだ伸びしろがありそうですからね」

 

「そっか...まぁ、いつランクを上げるのかは君の自由だ。でも、無理はダメだよ?」

 

死にかけるようなことは無かったとはいえ、初めてここまでボロボロになって帰ってきたんだ。

ヘスティアは心が締め付けられるくらい苦しかった、辛かった

アルトリアの実践における技術や力は高いレベルではあるがまだまだ伸びるものだここで下手に止めるよりもさらに伸ばさせるためにあえて力を抑えるのもひとつの選択なのだろう

 

「...アルトリア君の意志にボクは反対しない、尊重もする。応援も手伝いも、力も貸すよ...たから...お願いだから、ボクをひとりにしないでおくれ」

 

涙ぐみながら懇願するヘスティアの姿はいたたまれなくなるほど弱々しく儚かった...

 

「もちろんです...俺の命はあなたと共にある...」

「無茶しないとはいえません。無理もしてしまいますけど...でも、絶対ヘスティア様を1人にはしません」

 

アルトリアの誓を見届けたヘスティアは規則性のない歪なフローリングの上を駆け、食器棚に飛びつく。

そこの中段ほどにある引き出しを漁り、中からとある催しの招待状と

以前アルトリアの忘れていった設計図を取り出す

 

「(ヘファイストスも来るよね.....?)」

 

普段は忙しく会うことの出来ない友人の顔を思い浮かべながら

会うためにはこの催しを利用するしかないと考える

 

開催日は.....今夜

 

「アルトリア君!ボクは今夜...いや、何日か部屋を留守にしてしまうけど。大丈夫かい?」

 

「ん?大丈夫ですけど...」

 

一体どこへ?と聞いてくるアルトリアに

久しぶりに友達に会いにパーティに出てくると答えれば

「なるほど」っと返す

クローゼットを物色すれば一番マシなものを取り出すが所々ほつれている

 

「んーー、これは...先に仕立て直さなきゃ...」

 

「貸してくださいヘスティア様」

 

「え?」

 

ヘスティア様から服を預かりほつれた所を直し

出来るだけ綺麗に整え後は投影でドレスを組み合わせれば

 

「出来ましたよ」

 

「おぉーーっ!ありがとうアルトリア君!」

 

見違えるほど綺麗になったドレスを持ちヘスティアは駆け足で部屋をあとにする。

 

「待ってろよアルトリア君!君だけの武器を手に入れてくるぜ!」

早朝の街並みにヘスティアの声が響く

 

 

 

「アイツを...モードレッドを完封するまでは...」

アルトリア以外いない部屋にそんな声が響く

 




スキル解説のコーナー
今回は
悪竜の血鎧(アーマー・オブ・ファヴニール)
効果
・常時発動型
・自身のLvマイナス1の物理攻撃と魔法を完全に無効化し、更に自身のLvプラス1以上の攻撃でもその威力を大幅に減少させ、同Lv分の防御数値を差し引いたダメージとして計上する。
・背中一部のみ範囲外

というものである
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