ソードアート・オンライン 黒の剣士と紅の剣舞士 二人の双剣使い 作:ソーナ
「みなさん、はじめまして!ユイです」
「ヤッホー、ユウキだよ~」
「久しぶりです、ランです」
「久しぶり、ユイ、ユウキ、ラン」
「久しぶりだね~ソーナ」
「ええ。久しぶりですねソーナ」
「こんにちはソーナさん」
「今回はキリトとレインが大変なことになったね~」
「はい。早く何時ものパパとママに戻ってほしいです」
「だね~」
「ですね」
「そうだね。それでは今回の問題はこちら!」
問題:『一人黄昏れていたキリトのところに来た人は誰?』
Ⅰ:ユウキ
Ⅱ:ユイ
Ⅲ:ラン
Ⅳ:ストレア
「答えは本文の最後に!」
~キリトside~
「「行くよ!」」
「ハアァァアアアアアア!!」
「セリャァアアアアアアア!!」
互いの双剣が中央で交差する。
ことの発端は1日前に遡る。
1日前
俺とレインはユイとアスナたちに協力してもらい、ホロウ・エリアの大空洞エリアを攻略し、深部にあった二つ目のコンソールを発見した。
そして、俺とレインはそこでコンソールを調べたユイからホロウ・エリアの真実を知った。もちろん・・・・・・フィリアのことも。
二つ目のコンソールでユイが中層エリアのロックを解除し、翌日フィリアの救出とPoHとの決着をつけに行く、だがそこで俺とレインとで意見が食い違った。
エギルの店
「ちょっと待ってキリトくん。今なんて言ったの」
「PoHとの決着は俺一人でつける。だからレインはここで待っていてほしい」
「それ・・・・・・本気で言ってるの?」
「ああ」
アスナたちが見守るなか、俺とレインは対面して話していた。
「キリトくんはまた一人で決めるつもりなの?」
「そうだ・・・・・・」
「そう・・・」
パンッ!
俺がただそう言うと、レインは怒ったように俺に平手打ちを繰り出した。
『『『『『『!!』』』』』』
レインの行動にアスナたちが息を呑むのが伝わった。
「酷いよ・・・・・・・酷いよキリトくん!」
そう言うとレインは脇目も降らずに2階へとかけ上がっていった。走り去るレインから、目元に涙が浮かんでいるのが俺は見えた。
俺はレインが2階へとかけ上がっていくのをただ呆然と見ているだけだった。
「パパ・・・・・・」
「ユイ、ごめん。レインのところに行ってくれるか。今のレインにはユイが必要だから」
「わかりました・・・・・・」
俺は心配そうにみるユイをレインのところへと送った。
今のレインにはユイが必要だと思ったからだ。
「・・・・・・・・・・・・」
「キリトくん・・・」
「なに、アスナ?」
「どうしてレインちゃんにああ言ったの?」
「・・・・・・ああ言う風に言わないとレインは絶対付いてくるからな・・・・・・」
「そう・・・・・・・・」
アスナはそう言うと、レインと同じように立上がり2階へと上がっていった。
アスナに続いてリズたちも2階へと上がって行き、残ったのはリーファとラン、ユウキだけとなった。
「お兄ちゃん・・・・・・」
「わかってる・・・・・・だが、これしかないんだ。俺はもうレインが傷つけられる所をみたくないんだよ!」
「キリト・・・・・・」
「キリトさん・・・・・・」
「すまない・・・・・・・」
俺はただ、そう三人に言って2階の自室に戻った。
翌日
俺は攻略する気に馴れず、今日は一人でアークソフィアをぶらぶらすることにした。
レインはリズの所にいるらしい。
そして、俺は昼間の時間帯ほぼすべてを俺の気に入っている街から外れた場所にある大樹で素振りや日向ぼっこで時間を潰した。
そんなとき。
「やっぱり・・・ここにいましたね・・・・・・キリトさん」
「ラン・・・・・・」
ランがやって来た。
ランは俺に近寄ると、すぐとなりに腰掛けた。
「心地よくていいですよね、この場所」
「ああ・・・・・・」
俺は空を。第77層の底を見上げながら言う。
「なんで俺がここにいるって分かったんだ?」
「昔、小さい頃、直葉ちゃんと和人さん、木綿季と私で近所にあった大樹によくこうしていたじゃないですか」
「そう言えばそんなこともあったな・・・・・・」
「それで、この近くにある大樹はここだけなので。後は幼馴染の勘、ですね」
「なるほどね・・・」
「・・・・・・・・・・レインさんのことですか?」
「・・・・・・藍子に隠し事は出来ないか」
俺はランの問いに苦笑を浮かべながら答える。
「レインにああ言う風に言って悪かったと思ってはいる。けど、昨日も言ったがレインの傷つくところは見たくないんだ」
「・・・・・・私はレインさんの気持ちわかります。私もレインさんと同じですから」
「どう言うことだ?」
「ハァ・・・ほんとにキリトさんは何時になっても朴念仁ですね。レインさんも苦労したでしょうね。これは・・・」
「???」
「ここまで言われてまだ気づかないですか・・・・・・」
俺は意味がわからず、首をかしげた。すると藍子は何処か呆れた感じで言った。なんだろう?
「レインさんは和人さんがレインさんを思うのと同じで、レインさんも和人さんが傷つけられるのが嫌なんですよ。そこにはもちろん、私も木綿季も直葉ちゃん、アスナさんたちもです。更に言うのであれば・・・・・・」
「言うのであれば?」
「和人さんが、あのクリスマスイベントの時と同じ感じは嫌だと言うことです」
「っ!」
俺は藍子の、あのクリスマスイベント、でわかった。それは、俺がサチやケイタたち・・・ギルド《月夜の黒猫団》を壊滅させた時のことだろう。
確かにここ最近、フィリアと関わっているとサチやケイタたちと過ごしたほんの少しの日々が甦ってくる。それは恐らく俺がフィリアをサチと重ね合わせているからだろう。姿形は違うが、何処と無く似ているのだ。フィリアとサチは。
「和人さん」
「ん?」
「私と今、デュエル、しませんか?」
「藍子と?」
「ええ。私とです」
「・・・・・・・・・・わかった」
「じゃあ始めましょう」
俺と藍子は立ちあがり、距離を取ってウインドウを開き、装備をセットしてそこからデュエル申請画面に移動し藍子にデュエルを申し込む。
「ルールは『半減決着』でいいですか?」
「ああ、俺はいいぞ」
「ではそのように・・・」
デュエルのモードを半減決着にして双方の同意を得て、武器を構える。
俺は背中の鞘から『ブラックローズ・ナイト』と『ホワイト・ユニヴァース』を抜刀し何時もの戦闘スタイルをとる。
そして、藍子は腰の鞘からレイン作『クラウィス・プロミッシ』を抜く。『クラウィス・プロミッシ』は、訳すと『約束の鍵』となる。
藍子の『クラウィス・プロミッシ』は俺の左手に持っている『ホワイト・ユニヴァース』と似て、刀身の色は青みがかかった白、蒼白。そして、刀身はやや細身で細剣と似たような感じだ。
俺と藍子の間にタイムカウトが表示され、数字が0へと近づいていく。
そして。
「はあっ!」
「やあっ!」
0になったと同時に、俺と藍子は片手剣ソードスキル《ソニック・リープ》単発突進技を発動させた。
俺と藍子の放った《ソニック・リープ》は中央で互いの剣が交差し、火花を散らして止まる。
「くっ!ぜあっ!」
「ふっ!せりゃあ!」
互いの《ソニック・リープ》が終了しそこから剣戟の応酬が始まった。
俺は交互に素早く双剣を振るう。対する藍子は極小の動きで双剣をいなし、弾き、かわす。
そして隙を見つけては突き技、袈裟斬りなどを放ってくる。それに対して、俺は当然のごとく双剣で弾き、かわし、いなして攻撃する。
「せいっ!」
「はあっ!」
またしても同時に剣が交差し、大きく俺と藍子は離れ距離をとる。
「やるね、藍子。さすが」
「和人さんこそ、さすがです」
俺と藍子のHPは同じほど削れていた。
「では、ここからは本気で行きますよ」
「ああ。そうだな」
「「―――――――っ!!」」
俺は片手剣ソードスキル《バーチカル・スクエア》4連撃を藍子は≪変束剣≫ソードスキル、《フォール・アウト》4連撃を同時に放つ。
互いの4連撃は面白いように交差しライトエフェクトの火花を散らす。
「やあっ!」
そして、さらに藍子は≪変束剣≫ソードスキル《レヴィア・グランキエス》7連撃を放ってきた。
「はあっ!」
対する俺は≪二刀流≫ソードスキル《ローカス・ヘクセドラ》7連撃で迎え撃つ。
「「はあっああ!!」」
この時点でお互いの残りHPは7割まで削れていた。
半減決着のデュエルのため、あと2割ほど削れればこちらの勝ちとなる。
「行きますよ、和人さん!やあっ!―――――ラスティー・ネイル!」
「なにっ!?」
俺は藍子の放った恐らく≪変束剣≫ソードスキルであろう《ラスティー・ネイル》に驚愕した。
「くっ!」
藍子の繰り出した《ラスティー・ネイル》は藍子が剣を振るうと、しなやかに伸びてきた。まるで鞭のように。
俺はそれをステップで避ける。
「甘いですよ!」
「なっ!?」
ステップで避けると次の瞬間、藍子の『クラウィス・プロミッシ』が俺へと近づいてくるのが見えた。
咄嗟に右手の『ブラックローズ・ナイト』で上に軌道をずらして弾く、だが、それはまたしても上から迫ってきた。
「くっ!」
俺は瞬時にバックステップで離れる。俺がバックステップで抜けたのと同時に藍子の『クラウィス・プロミッシ』が俺のいた場所に突き刺さった。
「うそ・・・なにそのソードスキル」
俺は今しがた自分が体験したことに驚愕し、藍子に聞いた。
藍子は剣を元に戻して話した。
「和人さん、あれが私のユニークスキル≪変束剣≫の最上位ソードスキル《ラスティー・ネイル》です」
「《ラスティー・ネイル》・・・・・・つまり蛇腹剣ってことかな?」
「ええ。これは剣の間合いを伸ばして敵を切り裂いたり拘束できたりできます。もちろん、ソードスキルなのでそんなに長くは使えませんけど」
「うわぁ、ある意味チートだなそれ」
「和人さんにだけは言われたくありません」
俺は藍子の説明した《ラスティー・ネイル》に少々畏怖した。あるいみあのソードスキルは恐ろしい。
「あ、ちなみに《ラスティー・ネイル》は打撃技にも刺突技にもなりますので」
「マジで?」
「はい」
「ちなみにその《ラスティー・ネイル》って連撃数ある?」
「いえ、レインさんの最上位ソードスキルと同じで連撃数不明ですね」
「そ、そう・・・」
俺は藍子にそう言いながら内心、マジで引いていた。
なんだろう、これ剣じゃなくて鞭になったら藍子がどんどん遠くなっていくような・・・・・・。
「和人さん、今私になんか変なこと思いませんでした?」
「い、いや、気のせいだと思うぞ」
相変わらずの勘の鋭い藍子に俺は首を横に振って答える。
「そうですか?まあ、いいですが・・・」
「それで、どうするんだ?まだ闘うのか?」
「そうですね・・・・・・いえ、今日はここまでにしましょう」
「わかった」
俺と藍子は同時にウインドウを開き、そこからデュエル画面に移動しデュエルを終了させた。
俺と藍子の間の空間には≪Draw≫と表示された。
「それで、なんで急にデュエルすることになったんだ?」
俺は双剣を鞘にしまい、ウインドウから剣をストレージにしまった。
「なんで、ですか・・・。そうですね、なんでと言われたら和人さんの覇気が全くなかったからですね」
「?」
「シャキッとしなさい和人!貴方がレインさんに思っていることをちゃんと自分で言いなさい!」
「っ!」
「そうでなければレインさんが可哀想ですよ」
「・・・・・・」
「フフ。お膳立てはしてあげますからそこからは和人とレインさんで解決してください」
そう言うと藍子はウインドウを開いてなにか操作するとウインドウを閉じた。
「なにしたんだ?」
「秘密です」
「ハハ・・・・・・やっぱり藍子には敵わないな」
「フフフ・・・・・・そんなことないですよ」
俺はそう言うと、背中から草地にダイブし横になる。
そうなると必然的にスカートの藍子を下から見上げることになるのだが、俺は視線を少しずらして見る。
「和人さん?何処を見ていたのですか?」
「え、いや、それは・・・・・・」
「レインさんには内緒にしてあげます」
「い、いや、だからな・・・・・・」
俺が藍子にそう言っていると不意に空間ウインドウが開いた。
「メッセージ?」
どうやらメッセージが届いたらしい。
「送り主は・・・・・・レインから!?」
俺はレインから送られたメッセージを展開した。
『今夜10時、何時もの草原で待っているよ』
メッセージにはそう書かれていた。
何時もの草原と言うことは、今俺と藍子がいるここのことだ。
「レインさんからメッセージが来た?」
「ああ。・・・・・・ありがとうな藍子」
「どういたしまして、かな?」
藍子はそう言うと再度ウインドウを開き何かを取り出した。
「これは?」
「ここに来る前にレインさんに渡されたものですよ。和人さんはどうせ今日攻略しないでゴロゴロしてるだろうからって」
「アハハハ」
藍子が取り出したのはカゴに入ったサンドイッチだった。
「それとこれは私からです」
藍子はさらにストレージから取り出したのを見せた。
「それクッキー?」
「ええ。昨日、木綿季と一緒に作ったんですよ」
藍子はそう言うと、ラッピングされた袋に入ったクッキーを渡してきた。
「ありがとう」
「ええ」
藍子はそう言うと立ち上った。
「私はこれで。後は和人さんとレインさん次第です。頑張ってください」
「ああ。いつもありがとうな」
「幼馴染ですから」
藍子は若干表情を落として答えた。
そう言うと藍子は俺に背を向けて立ち去った。
その藍子の背中を見ながら、俺は藍子から受け取ったクッキーを食べた。
クッキーは、サクッとしていて甘く身体に行き渡るようだ。そして、レインの作ったサンドイッチを食べ、素振りなどをして昼を過ごした。
そして――――――
街外れの草原 午後10時
「――――――来たね・・・・・・・・・・キリトくん」
「レイン・・・・・・」
俺が昼間いた草原の大樹に行くと、大樹に寄り掛かって満面の星空を見上げているレインがいた。
「ランちゃんから聞いたんだよね?」
「ああ・・・・・・」
「キリトくん、昨日言ったことはやはり変わりないの?」
「・・・・・・・・・・」
「わかったよ・・・・・・」
レインはそう言うと大樹から離れ月明かりに照らされた。
そして、歩きながらウインドウを開いて俺に何かを送ってきた。
「デュエル申請・・・・・・」
それはデュエル申請だった。
「言葉じゃなくて剣で決めよう。それが手っ取り早いでしょ?」
俺はレインを見て、その決意の瞳を見てデュエル申請を受諾する。
俺とレインは武器を装備し抜刀する。
「キリトくん、私が勝ったらキリトくんと一緒に行くからね!」
「レイン・・・・・・どうしても闘るのか?」
「当然だよ!キリトくん」
「・・・・・・わかった。その条件承けてやる」
広く月明かりに照らされる遮蔽物のない草原に、俺とレインは双剣を構えて相対する。
「いくらキリトくんでも、一人で決着を付けに行くなんて・・・・・・そんなの私が許すと思う!?」
「・・・・・・・・・」
「キリトくん、答えて!」
「・・・・・・仕方無いだろ。俺は、あいつにお前を傷付けさせるわけにはいかない。それにこれは俺とあいつの因縁だ。例えあいつが本物で無かろうと俺が全ての決着をつける。それだけの理由が俺にはある」
「また一人で抱え込むの!あのときと同じように!」
「・・・・・・・・・・」
「わかったよ・・・キリトくん、剣で決めよう」
「こうなるしかないのか・・・・・・」
「お互い全力で、出し惜しみは無しで・・・行くよ」
俺とレインの間にはデュエルのカウントダウンが刻一刻とゼロに近づいている。
「当然だ・・・元からそのつもりだ」
「じゃあ・・・・・・」
「ああ・・・・・・・」
そしてカウントダウンがゼロになり俺とレインの圏内での保護が消え、デュエルが始まった。
俺とレインの初めての夫婦喧嘩が。
「みんな答えはわかったかな?それでは答えをユイ、お願い!」
「はいっ!任せてください!答えはⅢ:ランさんです」
「みんなわかりましたか?」
「いやー、さすが姉ちゃんだね」
「ええ。さすがランですね」
「はい。さすがランさんです」
「そ、そんなこと言われても・・・////」
「あ~、姉ちゃん照れてる?」
「そんなことありません!」
「ですが顔赤いですよ?」
「っ!//////」
「アハハハ。キリトとレイン、次回が楽しみだね三人とも」
「は、はいっ!そうですね」
「うん!」
「はい!」
「それでは今回はこれまで!」
「また次回よろしくね~♪」
「それではまたお会いしましょう」
「さようならですみなさん!」
「「「「また次回に!!Don't miss it.!!」」」」