ソードアート・オンライン 黒の剣士と紅の剣舞士 二人の双剣使い 作:ソーナ
「みなさんこんにちは、パパとママの娘のユイです!」
「今回のゲストはキリトとレインの可愛い娘!ユイちゃんです!ユイちゃん、こんにちは!」
「こんにちはソーナさん!いつもお世話になってます」
「いえいえ、こちらこそ。それではさっそく問題をだしますよ」
「はーい!」
問題:『今回、キリトたちが訪れた温泉のある階層はどこ?』
Ⅰ:『84層』
Ⅱ:『83層』
Ⅲ:『76層』
Ⅳ:『88層』
「答えは本文の最後に!」
~キリトside~
ある日の昼頃。
俺はユイとレインを探して、レインの部屋に来ていた。
「ユイ、レインと一緒だったのか」
部屋の中には、ユイとレインが仲良く話していた。
「はい!今度、パパとママとわたしの三人で、どこかピクニックに行ったりしたいねって話をしてました」
どうやらピクニックの話をしていたらしい。
「下の階層に降りられないのが残念だよね。上層だと、ポップするモンスターが強くて、とてもピクニックどころじゃないもん」
レインが少し残念そうな表情で言った。
確かに上層にも綺麗な景色の場所は多数あるが、どこもモンスターがポップしてくるため、とてもじゃないがユイを連れてのピクニックには行けない。
「いくつか良さそうな場所に心当たりはあるので、最新の情報と合わせてもう少し検討してみます」
「俺も一応攻略中に、いくつか絶景な場所とかは見付けたんだけど、どこも危険なんだよな」
「私もー。あ、そう言えばユウキちゃんとランちゃんから聞いたんだけど、第84層に温泉があるんだって」
「へえ。84層にそんなところがあったんだな」
「うん。露天風呂で、なかなか広くて気持ちいいんだって」
ユウキとランがなぜそこを知っているのかは少し疑問だが、そんなこと思っているとユイが。
「その地形データでしたら、私が記憶している情報にも確かにあります。お湯の温度も、お風呂として使用するのに丁度いい設定になっているようです」
情報を調べたのかすぐに言ってくれた。
「ユイちゃんがそう言うならあるみたいだね」
「ああ。ただ、温泉だとピクニックって感じはしないな」
「う~ん、確かに・・・・・・あ!なら、日帰り温泉旅行って感じはどうかな?」
「日帰り温泉旅行か・・・・・・。いいかもな。さすがにこの世界に旅館はないけど・・・・・・。ユイもそれでいいか?」
「はい!もちろんです!」
「それじゃ決まりだ。ちなみにユイ、その温泉の効能とかそういうのってわかるか?」
「効能、ですか?ええと、ヒットポイント回復とかのボーナスがあるかってことですよね。とりあえず、そういうのは特にないみたいです」
「とすると・・・・・・純粋に気持ちいいだけ、なのか」
「でも、その方がいいんじゃない?下手にメリットとかあると人が押し寄せてきそうだし」
「確かにな。あと、問題はその場所がどのぐらい危険なのか、だな・・・・・・」
もし危険な場所なら少し考えなくてはならない。
まあ、俺とレインがいれば大抵のモンスターは瞬時に片付けられるが・・・・・・。
「どのくらいの人が、そこを訪れているかはわからないんですけど・・・・・・。ただ、安全性については、温泉のある辺りは丁度、安全地帯に指定されています」
「そのマップ設定したヤツはよくわかってるじゃないか。茅場なのかもしれないけど」
そんなこと言う俺の脳裏にドヤ顔で、さも当然だとも、と言いそうな若干憎たらしいヒースクリフこと茅場が出てきた。
「あはは。確かに、茅場さんもその辺りのことは考えてそうだね」
茅場とよく料理について話していたレインが言うのならたぶんそうなのだろう。
茅場はあれでもかなりのラーメンマニアらしい。
しかもスキルに料理スキルも入れていたらしく、熟練度がマスタリー近くだったらしい。それを聞いた俺は、あまりのイメージの違いに唖然としてしまったほどだ。
そんなことを思い出しながら俺は苦笑いを浮かべて返した。
「まあな」
「えっと、とりあえずこの温泉に行く、ということで良いのかな?」
確かめるように言うレインに。
「もちろん!親子水入らずで温泉を満喫しよう!」
「おーっ!」
俺とユイは瞬時に返した。
「それじゃ、さっそく準備してくるからね」
「えっ?」
楽しそうに言うレインの言葉に俺は首をかしげた。
「えっ?温泉にいく準備をして来るつもりだけど・・・・・・なにか問題あったかな?」
「あ、いや。今から行くって話だったの?」
「ええっ!?違うの!?」
どうやら今から行く算段だったらしい。
「わたしも今から行くのかと思ってました・・・・・・」
「・・・・・・・・・・。よ、よし!それじゃ全員、大至急で温泉に行く準備だ!」
ユイの残念そうな表情に、今から行かないと言えるわけもなく、今から行くことに決定した。
「おーっ!」
「わぁ~!温泉、楽しみです~!」
こうして俺たち家族は第84層にある温泉へと、日帰り温泉旅行に行くことになった。
第84層 温泉
第76層、アークソフィアから転移して第84層にやって来た俺たち三人は、主街区から徒歩十数分ほどの目的の温泉があるという岩場地帯に来ていた。
そして、目の前には温泉が広がっていた。
「おおー!温泉だ!湯気がすごいな」
「まさか、SAOの中で温泉が楽しめるなんて思わなかったよ」
「前は温泉じゃなくて銭湯、だったからな」
「そういえばそうだったね」
俺とレインは以前訪れた銭湯のことを思い出した。
あのときは銭湯なのに何故か戦闘もせねばならなかったという、もう理解できない銭湯だったので、最後の最後で疲れてしまった。
「どうやら、わたしたち以外には誰もいないようですね」
「貸切状態だな。たっぷり楽しめそうだぞ!」
「ところで、露天風呂になると湯船って自分で作るのかな」
「いえ、ここは穴場なので、自分で穴を掘ったりはしないみたいです。ママの右側あたりに、丁度いい窪みがあるようですね。お湯の温度もお風呂ぐらいになってます」
「ええと・・・・・・あ、これかな?わぁ~、キリトくん!けっこう広いよ!」
「ほんとだな。10人ぐらいは軽くは入れるんじゃないか」
「あれ?でも、これってキリトくんも一緒に入るってこと・・・・・・かな・・・・・・?」
レインが疑問符を頭に浮かべて首をかしげながら聞いてきた。
「うーん、他に入れそうなところは・・・・・・見た限りなさそうだな。交替で入るか?」
「えーっ。パパもママも一緒に入ればいいじゃないですか!」
「いや、そうは言ってもな・・・・・・。レイン、やっぱり交替で・・・・・・」
ユイの言葉に少しだけ顔をしかめて言う俺の言葉を遮りレインが。
「う~ん・・・・・・濁り湯みたいだし、温泉の中に入っちゃうとお互いよく見えないんじゃないかな?」
頬に人差し指を当てて思い付いたように言った。
「あー・・・・・・いいのか?」
一応確認を取ると。
「いいも悪いも、家族なんだから別に恥ずかしがる必要ないと思うよ?・・・・・・それにキリトくんはもう私の全てを知ってるじゃない」
最後の最後でレインが爆弾を落とした。
「ゲホッ!コホッ!ケホッ!れ、レイン!?」
息が詰まって噎せる俺をよそに、レインは片目を瞑ってニコッとしていた。
「わーい!みんなでお風呂ですね!」
「(ま、まあ、前にも部屋で一緒に入ったこともあるしいい・・・・・・のか・・・・・・?)」
「ちなみに~」
「ん?」
「キリトくんは、私とユイちゃんがお風呂の中に入るまでこっち、見ちゃダメだからね」
「・・・・・・はいはい」
レインの念を推す言葉に苦笑して返事を返す。
数分後
「パパとママと一緒にお風呂、楽しいです!・・・・・・あ、これだけ広いと泳げちゃいますよ?」
バスタオルを巻いたユイが楽しそうに言い、泳いで反対側まで行った。
「ゆ、ユイちゃん!?こんなところで泳いじゃダメだよ~。それに女の子なんだからはしたないよ~・・・・・・・」
そんなユイをたしなめるレイン。
そんな母、娘の姿に俺は笑みを浮かべた。
「まあまあ。他に誰もいないんだから、これぐらい、いいんじゃないか?俺も、もう少し広かったら泳いでたとこだし」
「まあ・・・・・・そうなんだけど」
「レインは泳いでみたくなかったのか?」
「え、え~と・・・・・・実は私もちょっとだけ泳いでみたいな~、って思ってたりして」
「なら、泳いでみたらどうだ?俺は別に気にしないし」
「や、やらないよ!」
顔を真っ赤にしてレインは俺のとなりに、バスタオルを身体に巻いて座った。
「そういえばレインって、現実でも温泉って行ったことあるのか?」
「う~ん・・・・・・昔、小さい頃に行ったような気もするんだけど覚えてないかな?キリトくんは?」
「俺もだ。銭湯なら何回か行ったことあるんだけどな」
「じゃあ、現実世界に戻ったら一緒に温泉に行こうよ」
「そうだな。そうなると、レインとの約束がまた一つ増えたな」
「ふふ、そうだね」
楽しそうに笑うレインに、俺も笑みを浮かべ返した。
「あ、でも、そのときはどうしよう」
「なにが?」
「SAOでは一緒に入ったでしょ?だから、現実ではどうしようかなーって。また・・・・・・混浴にする?」
「ゲホッ!コホッ!ケホッ!ちょっ、レインさん!?」
「ウフフ。可愛いな~、キリトくん」
そんな会話をしていると。
「あ・・・・・・すぐ、はしっこに着いちゃいました」
ユイのそんな声が聞こえてきた。
「どうせ泳ぐなら、もっと広いところに行った方がいい。そうだな、湖とか・・・・・・。よさそうな場所があったら今度はみんなでそこに泳ぎに行こう」
確か、第83に湖があったはずだ。
そんなこと考えていると。
「ほんとですか!?やったー!」
ユイが嬉しそうにバンザイをした。
したのはいいんだが、その弾みでユイが巻き付けていたバスタオルがはだけた。
「ゆ、ユイちゃん、あ、危ないよ、バスタオルが・・・・・・!」
とっさにユイにバスタオルを巻くレインは訝しげな視線で俺を見た。
「・・・・・・キリトくん、見てないよね?」
「え?いや、景色に見とれてたから別になにも見てないけど。いやー、いい景色だな・・・・・・」
「・・・・・・怪しいなあ~。まあ、そういうことにしておくね。で~も!」
「ん?」
「もし次見たら、私の《ディバイン・エンプレス》や《マテリアル・イグニッション》、《サウザンド・レイン》の的になってもらうからね」
「えっ!?ちょっ!それだけは勘弁して!」
レインの言葉からは冗談が感じられなかった。
「(ていうか、《ディバイン・エンプレス》や《マテリアル・イグニッション》は未だしも《サウザンド・レイン》は下手したらトラウマになるぞ)」
翔んでくる剣を思い出しながら、温泉に浸かっているのに寒気がした俺は、少し温泉の中に深く入った。
そこへレインが。
「じゃあキリトくんは私だけを見てね。あ、ユイちゃんの裸を見ちゃダメ、ってことだからね」
笑っているのに眼が笑ってない表情で言った。
「は、はい・・・・・・」
「(ユイのはってことは、レインのは見てもいいってことなのか?)」
そんなこと考えていると。
「キリトくん?」
レインがジト目で見てきた。
「な、なんでもないです」
「はぁ~~。温泉ってすっごい気持ちいいです~!」
「本当、来て良かったね~」
「だな。それに、なんだかさ、肌がいつもより艶々してないか?」
「あ、キリトくんもそう思う?もしかして温泉の効能なのかも?」
「そのあたりのデータはちょっと見当たりませんね」
「じゃあ、温泉の効能ってことでいいよ。その方が温泉に入ったって、気持ちになるし」
「あ・・・・・・そうだ。パパ、ママ!いらない布って、ありませんか?」
「布?そういえば、そんなドロップアイテムがあったような・・・・・・」
「あー、集めるとレア装備かレアな布になるのかなって思ってたんだけだけど、なにもならなかったんだよね」
「今も持ってるから、渡すよ」
ストレージから目的の布類をユイに送る。
「これだけあれば充分そうです。ありがとうございます、パパ!」
「でも、そんなもの、なんにに使うんだ?」
不思議に思いながらユイに訪ねると。
「ええと・・・・・・パパたちには内緒です!」
ユイがそう答えた。
「えー。そうなの?」
「ごめんなさいママ。いつか、ちゃんと説明します」
「まあ、そういうことならしょうがない」
「そうだね。それじゃ、そろそろ帰りましょうか。湯冷めしちゃったりするとあまり良くないと思うし」
「ん?レイン、湯冷めなんてステータス、あったっけ? 」
「ないですよ!」
「もう、キリトくんそうじゃないよ!雰囲気だよ、雰囲気!せっかくの温泉気分なんだから、最後までちゃんと楽しまないと」
「それもそうだな」
温泉を楽しんでいるレインを見ながら、
「(しかし、ユイはあの布切れをどうするつもりなんだろうな・・・・・・。教えてくれなかったのが気になるが。・・・・・・こんな風に娘が隠し事するのを世の中の父親たちはきっと寂しく思ったりするんだろうな・・・・・・)」
脳裏にそんなことを考えていた。
もしこれをクラインやエギル辺りに話して相談したら、親バカになりすぎだ、といわれそうな気がするな。
そんなことを思いながら俺たちは温泉をあとにして、76層、アークソフィアに帰った。
「みんな答えはわかったかな?答えをそれじゃ答えを発表するよ!ユイちゃん、お願いね!」
「はい!今回の答えはⅠ:『84層』です!」
「今回は日帰り温泉旅行、ってことみたいだったけど楽しかったユイちゃん?」
「はい!とっても楽しかったです!いつかまたパパとママと一緒にいきたいです!」
「そっか~。よかったね」
「はい!」
「さて、それではそろそろ時間となってしまいましたので今回はここまでとなります」
「あ、もう時間なんですね」
「早いね~。それではみなさん、また次回!」
「またお会いしましょう!」
「「Don't miss it.!!」」