ソードアート・オンライン 黒の剣士と紅の剣舞士 二人の双剣使い 作:ソーナ
「こんにちは、ラムです。よろしくお願いします」
「今回はユニークスキル≪抜刀術≫の保持者にして同じくユニークスキル≪無限槍≫の保持者、リーザの結婚相手、ラムです!いらっしゃいラム」
「呼んでくれてありがとうございますソーナ。それと、この自己紹介の長いです」
「あ、ごめん」
「いえ、まあ、事実なので慣れました」
「あはは・・・・・・。さ、さて、今回の問題はこちら!」
問題:『今回ユイがキリトとレインにプレゼントしたものはなに?』
Ⅰ:ネックレス
Ⅱ:ブローチ
Ⅲ:水着
Ⅳ:剣
「答えは本文の最後に!」
~キリトside~
「ユイ、今日も留守番、ありがとうな」
エギルの店に帰ってきた俺は、エギルの手伝いをしているユイに声をかけた。
「いえ、これぐらい、どうってことありません。パパこそ、いつも攻略お疲れ様です!」
「でも、たまには息抜きしたいな~」
「あ、ママ!今、帰ってきたんですね。おかえりなさい!」
「ただいま、ユイちゃん」
どうやらリズのところに行っていたレインも帰ってきたみたいだ。
疲れ気味のレインにユイが。
「ママは息抜きしたいんですか?」
そう訪ねた。
「あはは・・・・・・ちょっとね。けど、攻略もあるし息抜きなんて言ってられないんだよね」
「でもやっぱり、たまには息抜きしないと。レインは息抜きに、やってみたいこととかなんかないのか?」
「う~ん・・・・・・急に聞かれてもなー。特にこれってのは浮かんでこないよ・・・・・・」
苦笑を浮かべて返してくるレイン。そこにユイが。
「あっ!わたし行きたい場所があるんです!」
「行きたい場所っていっても、上層階ともなると、だいたいどこに行ってもモンスターが強いのがな・・・・・・」
ユイの言葉に俺は少し顔をしかめて言った。
「その心配はいりませんです。わたしが行きたい場所には強いモンスターはポップしませんから!」
「えーと・・・・・・つまり・・・・・・ピクニック気分で大丈夫ってことなのかな?」
「はい!今のパパとママの実力ならそう言っても問題ないと思います!」
「そうなのか。それじゃ、さっそく今から行って、みんなで息抜きするか!」
「はーい!」
俺の声にユイが元気よく返事を返してきた。
「あ、じゃあ、私、お弁当用意してくるね」
「おおっ!レインの弁当!これは楽しみだ」
「ママ、いっぱい作ってくださいね!」
「もちろんだよ!レインちゃんにお任せあれ!」
そう言うとレインは厨房の方に歩き去っていった。
俺は視線をユイに戻して行き場所を聞いた。
「それじゃ、ユイは行き先について教えてくれ。これだけの上層なんだ。一応、情報は把握しておきたいからさ」
「わかりました、パパ。ええと、ゲートを出てからですね・・・・・・」
「わあ!!!」
「おお!!!」
ユイの案内のもと、俺とレインは目的地に着いた。着くなり驚きの声を上げた理由は。
「パパ、ママ、どうですか?この景色・・・・・・」
「綺麗・・・・・・!こんな綺麗な場所があるなんて・・・・・・」
「ああ、すごい景色だ ・・・・・・。絶景ってのはこういうのを言うんだろうな」
目の前に広がる景色がとても綺麗な場所だったからだ。
「良かったです!パパもママも喜んでくれて・・・・・・」
「ありがとうユイちゃん!この景色の中でなら、お弁当も、美味しく食べられそうだよ!頑張って作った甲斐があったってものだよ~」
辺りの景色を見てそう言うレインにユイが。
「でも、実はここ、見るだけじゃないんですよ?」
「ん?見るだけじゃないってどういうことだ?」
「ふふふふ。ここって、友好的な生き物しかポップしないんです。つまり・・・・・・じゃーんっ!!」
ウインドウを開いたユイは、ストレージからなにかを取り出した。
「えっ!?ユイちゃん、これって水着!?こんなアイテム、いったいどうしたの!?」
ユイが取り出したアイテムは水着だった。
水着に驚く俺とレインに、ユイは手に持っている女性用水着をレインに渡すと。
「えへへ・・・・・・。もちろん、パパとわたしの分もありますよ!」
「おお!ありがとう、ユイ」
ユイから渡された水着を見た俺は、水着の布を見て首をかしげた。
「・・・・・・ん?この布地・・・・・・見覚えがある気が・・・・・・」
「え?・・・・・・あ、ほんとだ。この布ってたしか前にユイちゃんにあげた・・・・・・」
「・・・・・・そうか。この間、いらない布をユイがもらっていったのは、この水着を作るためだったのか」
「はい!大正解です!」
以前、家族三人で温泉に行ったときにユイにあげた布がまさか水着になっていることに驚くなか、俺とレインには嬉しさもあった。
「ユイちゃんからのプレゼントだなんね本当に嬉しいよ!ありがとう、ユイちゃん!」
可愛い愛娘からのプレゼントなのだ。嬉しくないはずがない。
「さあ、ママもパパも着てみてください!」
「うん。じゃあさっそく、着替えさせてもらうね!」
レインは嬉しそうにユイから渡された水着を見て、周囲を見渡した。
「えっと・・・・・・私とユイちゃんはそこの木の陰で着替えるから、キリトくんはあそこで着替えてくれるかな」
「はいはい、了解」
「・・・・・・覗かないでね?」
「覗くか!」
木の陰から言うレインに俺はすぐさま言い返した。
「ふふふっ。冗談だよキリトくん♪」
「あ、あのなあ・・・・・・」
楽しそうに笑いながら木の影に戻るレインに脱力しながら俺も、レインとユイのいる方とは反対の木の陰でユイからプレゼントされた水着に着替えた。
着替え終わって湖の前で待っていると。
「お待たせ~」
「パパ~!」
レインとユイが手を繋いで水着を着てやって来た。
「おおっ!!二人とも水着、似合ってるじゃないか」
ユイのはピンクのワンピースタイプで、レインは薄紅と白の混じったビキニタイプの水着だ。
ちなみに俺のは普通のボクサーパンツタイプの水着だったりする。
「キリトくんも似合ってるよ!ユイちゃん、センスいいじゃない」
「パパ、ママ、ありがとうございます!」
「ここまで作れるなら、もしかしたら他にも衣装を作って販売したらかなり売れるんじゃないかな?」
「どうでしょう?・・・・・・わたし、パパとママのためだったから作ることができた気がするんです」
「ありがとうユイちゃん。とっても嬉しいよ・・・・・・!」
「おーい、ひたってないで泳がないか?すごいぞ、この湖・・・・・・。水は透明で底まで見通せる上に、カラフルな魚がたくさんいて、それだけでも万華鏡みたいだ」
ちなみにユイとレインが仲良く話してるなか、俺は先に湖の中に入っていたりする。
「あー!キリトくんだけずるいよ~!自分だけ先に湖の中に入るなんて!」
「そうですよ、パパ。ずるいです!」
「そんなこと言われてもな・・・・・・。二人がのんびりしてるのが悪いじゃないか」
ずるいと言われても困る俺はそう答えるしかなかった。
すると。
「へぇー・・・・・・。そんなこと言うんだ~・・・・・・」
「レ、レイン?」
レインが静かにゆっくりと湖の中に入ってきた。
レインの雰囲気にわずかに寒気が走り、後ずさる。
「そんなこと言うキリトくんには・・・・・・えいっ!」
「うわっ!」
キランと目を光らせたレインは思いっきり湖の水をぶっかけてきた。しかも不意打ち。
「・・・・・・不意打ちとは、やってくれたな!お返しだ!」
水に濡れながらレインにそう言いながらレインに反撃する。
「ふっふーん。そんな見え見えの攻撃が私に通用するわけないでしょ。ユイちゃんはそっちに回って!キリトくんを挟み撃ちにするよ~!」
「わかりました、ママ!パパ、覚悟してくださいっ!!」
右にレイン、左にユイと囲まれてしまった。
「なにっ、二対一・・・・・・だと・・・・・・?こうなったら、俺も本気を出すしかなさそうだ・・・・・・」
俺は二刀流の構えを取り、レインとユイを見る。
「ええっ!?その構え・・・・・・もしかして二刀流!?」
すぐさま構えに気づいたレインは驚きの声を漏らした。
「なら私も・・・・・・」
「なっ!?その構えは・・・・・・多刀流!?」
「せいか~い!」
対するレインも多刀流の構えをとってきた。
「こうなったら同時に攻撃するしか・・・・・・・」
左のユイと多刀流の構えを取る右のレインを見て、そう呟くと。
「ユイちゃん、気をつけてね!キリトくんは私とユイちゃんをいっぺんに攻撃するみたいだよ!」
「パパ・・・・・・あんまりです!わたしを攻撃しようとするなんて・・・・・・」
「う・・・・・・やめろ、ユイ。そんな目で俺を見るな・・・・・・」
ユイのうるうるとした瞳を見せられては攻撃したくても攻撃できず。というか出来るわけがない。そんな動きを止めてる俺に。
「スキありです、パパ!」
「今がチャンスだね!いくよ、ユイちゃん!キリトくんを一斉攻撃だ~!」
「おー!」
ユイが水を掛けてきた。そして、それに続いてレインも多刀流の構えで水を俺に掛けてくる。
「おいっ!ユイまでそんな姑息な手・・・・・・うぉっぷ。ちょっ、レイン、ま、待てっ、鼻に水が・・・・・・・・・・」
二人の絶え間なく掛けてくる水が鼻に入り苦しくなるがそんなことお構いなしに掛けてくる二人だった。
そんな二人を見ながら、
「(ここがゲームの中で良かった・・・・・・)」
俺はそんなことを思ったのだった。
「・・・・・・ユイ、ありがとうな。こんな綺麗なところを教えてくれて」
思いっきり湖で遊び、俺とレイン、ユイは湖の端に座って足を湖に浸けながら俺は真ん中に座るユイにそう言った。
「いえ、パパとママが喜んでくれたのなら、それだけでわたしも嬉しいです!わたし、ここがアインクラッドの中で一番綺麗な場所だと思うんです。だから、是非パパとママに見てほしくて・・・・・・」
「22層の私たちの家があったところも綺麗な場所だったけど・・・・・・。そうだね、景色の美しさなら圧倒的にここがすごいかも」
「そうだな。なんか、あの家にいた時と同じように、気持ちが安らぐっていうか・・・・・・そんな感じがする」
「あ、それは私もそうかも。リフレッシュできた気がするよ」
「76層に来てから下の層に戻れなくなって、前のお家には行けなくなっちゃいましたよね。だから、あのお家とは違いますけど。でも、少しでもあのお家にいた時みたいな気持ちになれればって思ったので・・・・・・。パパとママがそんな風に感じてくれたなら、大成功です!」
「ユイ・・・・・・」
「ユイちゃん・・・・・・」
「あれ、パパ、ママ。どうしたんですか・・・・・・?」
ユイの言葉にグッと来た俺とレインは思わずユイを抱き締めた。
「・・・・・・わわっ。そんな、二人でわたしのこと抱き締めてくれるなんて・・・・・・」
「ユイちゃん、窮屈だったらごめんね。でも、今はこうしたいの」
「窮屈だなんて、そんなこと絶対にありません!ただ・・・・・・なんか、あったかくって。その、くすぐったいです・・・・・・」
「(その感覚って、なんとなくわかる。家族のあたたかさ、だよな・・・・・・。AIのユイがそれを感じられたっていうのは・・・・・・。・・・・・・そうか、俺たちがちゃんと家族だってことなんだ・・・・・・)」
ユイとレインを見ながら俺はふとユイにそう感じてしまった。それと同時に、家族、ということに実感を得た感じだった。
「無事、宿に帰還・・・・・・・です!パパ、ママ、お疲れ様でした!」
「ユイちゃんも案内ありがとう。お疲れさま」
存分に湖で遊び、ポップした小動物と触れあい楽しい家族でのピクニックを過ごした俺たち三人は宿屋のレインとユイの部屋に戻って来ていた。
「あれだけ外で水着になってたのに、日焼けの心配がないなんて、女の子としては嬉しいかも」
自分の肌を見てレインは嬉しそうに言った。
確かにレインの白い肌は、日焼けのあともなく白い。
「はぁ・・・・・・・俺はさすがに泳ぎすぎたな。疲れた・・・・・・・」
部屋に戻って来るなり俺はソファに座って楽な姿勢をとっていた。そんな俺を見て、レインが呆れた口調で。
「もう。湖を反対側まで見てくる、って言って無茶なことするからだよキリトくん」
「それでも結局、大きすぎて、行けなかったんだけどな。それに、ユイが連れて来てくれた景色の場所が、やっぱり一番景色が良さそうだった」
「はい!なので、自信を持ってオススメしました!」
「ユイちゃん、何度目かわからないけど・・・・・・・本当に、ありがとう」
「どういたしまして、です!」
ユイは笑顔で嬉しそうに返してきた。
だが、ユイはその笑みを崩し、悲しげな表情で。
「ただ・・・・・・実際に行ってみてまた、22層のパパとママのおうちに帰りたいってことも思いました。あの場所は綺麗な場所だけじゃない。そんな気がします」
そう言った。
ユイの言葉を聞きレインも少し悲しそうな表情をした。
「そうだな・・・・・・・。それはきっと、あそこが俺たちの『家』だから、じゃないかな」
「だね。私たちの帰る場所があそこだったから・・・・・・・。でも、もう戻ることができないと思うのが残念だね」
「はい・・・・・・・」
「確かに・・・・・・・この先で下の階層に行けるようになるとは思えない。かといって、クリアしたら現実の世界に戻ってしまうから、あの家にはいけない・・・・・・・。でも・・・・・・・俺たちにとって一番重要なのは俺たち三人が一緒にいられることだと思うんだ。それに、帰る場所が家だって言うなら、今の俺たちの家は、この宿屋・・・・・・それに、新しく買ったあの家もそうだとも言えるし」
「わたしはこの宿屋さん、好きですよ!他の人たちもいるから、いつも賑やかですし。それに83層のお家も大好きです」
「住めば都って言うしな。22層の家にはあそこの。ここにはここの、83層の家にはあそこの良さがあるってことさ」
「そうだね。私たち三人がいる場所が家・・・・・・。うん、それでいいと思うな」
「(・・・・・・できれば、これからもずっと家族三人、俺たちの家で一緒に暮らしていければいいのにとも思う・・・・・・。でも、現実世界に戻らなきゃいけないってことは、いつか必ず終わりを迎えることになる・・・・・・。・・・・・・いや、俺たち三人が揃っていることが重要なら、現実世界でも・・・・・・可能って言っていいのか・・・・・・?またユイをデータの形で残すことができるか、それ次第だけど・・・・・・。頭の中にとどめておこう)」
ユイの頭を撫でながらそう脳裏に思考した。
そう思いながら、俺はレインとユイとこれからも家族三人で過ごしていければいいなと思ったのだった。
後日、83層の家で。
「キリトく~ん♪」
「どうしたレイ・・・・・ン!!?」
リビングのソファで座ってウインドウを開いて熟練度を確認しているなか、レインに呼ばれレインの声がした方を向いた俺は、目を見開いて言葉をつまらせた。
何故なら―――
「ゲホッ!コホッ!な、ななな、なんで裸エプロンなんだ!?」
レインが何時しかの裸エプロンをしていたからだ。
「フッフーン。どうかな?」
「いや、どうかな?じゃないからな!なんでいきなり裸エプロンなんだ!?」
「え?裸エプロンじゃないよ?」
「へ?」
俺の素っ頓狂な声にレインはおもむろにエプロンの裾をたくしあげた。
「ちょっ!レインさん!?」
「ほら♪」
「ほら♪じゃなくてだな・・・・・・って、ん?」
たくしあげたエプロンの奥を見て俺は動きを止めた。
「あのー、レインさん」
「なあに?」
「何故、水着を着ているのでしょうか?」
そう、そこにあったのはレインの裸ではなく、以前ユイからもらった薄紅と白の水着だったのだ。
「裸エプロンの方が良かった?」
「いや、そうじゃなくてだな。なんで、水着エプロンしてるんだ?」
「前にリズっちが私とリーザちゃんに、男の子は裸エプロンも好きだけど、水着エプロンも好きらしいよ、って言っていたからだよ?」
どうやら原因はリズらしい。
なんか前にもこんなことあったような気がするのは気のせいだろうか?
そんなことをレインの水着エプロンを見て思っていると。
「ど、どうかな。似合ってる・・・・・・かな・・・・・・?」
レインが不安げに聞いてきた。
「あ、ああ。うん。似合ってる」
「そ、そう。よ、良かった♪」
「ちなみにそのままの格好でなにするんだ?」
「う~ん・・・・・・なにしたらいいんだろうキリトくん」
「いや、俺に聞くなよ・・・・・・」
ユイとピクニックに行った後日、そんなやり取りがあったのだった。
その後日、ラムと話し合いというなのお茶会をしたのだが、どうやらラムもリーザが水着エプロンをしてなにかとあったらしい。ちなみに、ラムとリーザも家は買ってあるそうだ。とまあ、そんなこんなでいろんな意味で大変な日々なのだった。
「みんなこたえはわかったかな?それじゃラムお願い!」
「はい!今回の答えはⅢ:水着です」
「いやー、ユイちゃん手製の水着。さすがゲームの中だね」
「ですね。それにしてもユイちゃん裁縫していたなんて気づきませんでしたよ」
「そうなの?」
「ええ」
「一人で作ったのかな。でも、キリトとレインが喜んでいるからユイちゃん的には嬉しかったんじゃないかな?」
「ですね。そういえば前にリーザがキリトとレインさんを見て、私も子供が欲しいって言っていたような・・・・・・」
「あはは・・・・・・ま、まあ、頑張ってラム」
「頑張ります・・・・・・」
「それでは今回はここまで」
「体調崩さないようにしてくださいね」
「ありがとう、ラム。それではまた次回!」
「「Don't miss it.!!」」