ソードアート・オンライン 黒の剣士と紅の剣舞士 二人の双剣使い   作:ソーナ

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HF編 第120話〈アレバストの異界エリア〉

 

~キリトside~

 

俺、レイン、フィリアの三人は大空洞エリアボス、ホロウリーパーを討伐して先に進み遺跡のような建物から出て次のエリアに足を踏み入れていた。

 

「うわあ、まるで絵本の中みたいだね」

 

「薄暗いね・・・・・・ちょっと不気味かも」

 

周囲を見渡してフィリアとレインがそう呟いた。

辺りは薄暗く、見通しが良くない。

 

「魔女の住んでる森ってところか」

 

「ちょっとキリト!怖いこと言わないでよ」

 

「そうだよ!もし本当に魔女に会っちゃったらどうするのよキリトくん」

 

「あー・・・・・・ごめん」

 

俺の言葉に瞬時に返してきたフィリアとレインの剣幕に若干引きながらも謝り、再び辺りを見回す。

 

「だけどさ、魔女とは言わないまでもなにか潜んでそうな気配がするんだ」

 

「キリトくんの勘ってよく当たるんだよね~・・・・・・」

 

「ほんと、キリトの勘はよく当たるからなあ・・・・・・」

 

「取り敢えず、気を付けて進もうか」

 

「そうだね」

 

すぐ近くにあった転移碑を有効化(アクティベート)して警戒を怠らずに先に進んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

少し進み広場のような場所に出た途端、索敵スキルに反応があったのと同時に上空からなにかが降ってきた。

 

「な、なんだコイツは!?」

 

驚きながら降り落ちてきた巨大なモンスターを警戒すると、モンスターの上に【BOSS】Amedister The Queenと表示され、その下に三段のHPバーが表れた。

 

「うそでしょ!?」

 

「いきなりエリアボス!?」

 

「どうせいつかは戦う相手だ。いくぞレイン、フィリア」

 

驚き戸惑うレインとフィリアに背中の双剣の柄を握りながら瞬時に意識を戦闘意識に切り替え、武器を握りしめたフィリアとレインとともに目の前のボスモンスター、アメディスター・ザ・クイーンに迫る。

 

「いくよ!サウザンド・レイン!」

 

いつもの手はず通り、先攻する俺とフィリアの後ろからレインが≪多刀流≫最上位ソードスキル《サウザンド・レイン》で攻撃する。

 

「フィリア、横からいくぞ!」

 

「了解!」

 

《サウザンド・レイン》が上を翔け抜けながら俺とフィリアは散開して横から攻撃する。

 

「はあっ!」

 

「やあっ!」

 

《サウザンド・レイン》がアメディスター・ザ・クイーンに命中し、その二秒後ほぼ同時に俺とフィリアはアメディスター・ザ・クイーンの巨体の腕部分を斬りつけた。

 

「シャアアアアアアア!」

 

「「!」」

 

アメディスター・ザ・クイーンの攻撃をバックステップで下がってかわす。アメディスター・ザ・クイーンのHPバーは三段目が僅かにだが削られていた。

そして、アメディスター・ザ・クイーンを斬りつけたときに感じた違和感があった。それは―――

 

「コイツ、防御が高い!」

 

「私のサウザンド・レインが直撃したのに全然HPが減ってないよ!」

 

そう、このアメディスター・ザ・クイーンが固いと言うことだ。

さすがに火山エリアのボスモンスターよりは固くはないが、今までのボスと比べると僅かだが固い。

 

「ハッ!さがれフィリア!」

 

「!?」

 

フィリアが大きく下がったのと同時に、フィリアのいた場所にアメディスター・ザ・クイーンが口から酸のような緑色の液体を出した。

 

「毒酸!?」

 

液体を浴びた地面が小さな煙をあげて溶けているのをみて声をあげる。

 

「ちっ!」

 

フィリアの方にヘイトが向いているところに、アメディスター・ザ・クイーンの背中に向けて≪二刀流≫ソードスキル《デブス・インパクト》重攻撃5連撃を放つ。

 

「シャアアアアアアア!」

 

「レイン、フィリア!俺がタゲを取る、その間にできる限り攻撃してくれ!」

 

「まかせて!」

 

「わかった!」

 

フィリアからヘイトが俺に移ったのを確認して、レインとフィリアにそう指示を出す。

 

「くっ・・・・・・はあっ!」

 

迫ってくるアメディスター・ザ・クイーンの両の腕を捌きながら斬りつける。

斬りつけたあと、なにかを溜めるかのようなモーションを取ったアメディスター・ザ・クイーンは急に上にジャンプして飛び上がった。

 

「!二人とも下がれ!」

 

「「!?」」

 

俺たちが下がったのと同時に、アメディスター・ザ・クイーンが堕ちてきた。

 

「うっ・・・・・・」

 

落下の衝撃波が襲ってくるのを耐えながらアメディスター・ザ・クイーンを見る。

 

「攻撃力も高くて防御も高いって・・・・・・」

 

悪態を吐きながらアメディスター・ザ・クイーンの弱点を探る。

 

「レイン、同時にいくぞ!」

 

「うん!」

 

アメディスター・ザ・クイーンの奥にいるレインと、同時にソードスキルを繰り出す。

 

「せあぁっ!」

 

「やあぁっ!」

 

俺とレインは≪二刀流≫ソードスキル《ナイトメア・レイン》と≪多刀流≫ソードスキル《ディバイン・エンプレス》を高速で放つ。

高速の連続攻撃をアメディスター・ザ・クイーンは腕で防いできたりするが徐々に抜けていった。

HPバーがどんどん減っていき、三段目の半分ほどにまで減っていく。

そのまま立て続けに攻撃を行っていき、アメディスター・ザ・クイーンのHPバーの三段目が消えたのと同時に、アメディスター・ザ・クイーンは咆哮を上げた。

 

「?!」

 

咆哮の衝撃でアメディスター・ザ・クイーンから距離を取られた。

そのままアメディスター・ザ・クイーンは溜めるかのような動作を取ったと思いきや高々と飛び上がり、森の奥にへと消えていってしまった。

 

「くそ!逃げられたか!」

 

「いきなりでびっくりした・・・・・・」

 

「ほんとビックリしたよ。でも、エリアボスなだけあって手強いねキリトくん」

 

「ああ。とにかくあのボスを追い掛けるぞ!」

 

ポーションで減ったHPを回復して、アメディスター・ザ・クイーンが飛び去っていった方角へと向かっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そこからさらに進み俺たちは、『品定めする謁見所』に来ていた。

 

「さすがにこうも視界が悪いと移動しにくいな・・・・・・」

 

「いくら索敵スキルで周囲を警戒しているとはいえ隠蔽が高いモンスターだと効かないからね」

 

「これ夜になったらもっと暗くなるのかな」

 

「ちょっと不気味・・・・・・」

 

多々あった戦闘をこなして、レベルも上がりながら俺たちは周囲を警戒しながら先に進んでいた。

その最中、ちょっとした視界に広がる広間みたいなところで、俺たちは小休止をしていた。

 

「この先・・・・・・『女王の寝所』って場所があるな」

 

ホロウエリアのマップを見て、行く先にあるエリア地名を見て呟いた。

 

「『女王の寝所』?」

 

「女王ってもしかしてあのボスモンスターのこと?」

 

「名前にクイーン(女王)って表示されてあったからな、恐らくここがヤツの住処なんだろう」

 

「じゃあそこに行く?」

 

「確証はないがそうするか・・・・・・それにPoHのヤツがやったアップデートもいつ起きるかわからないからな。早めにクリアして、遺棄エリアの宮殿エリアをクリアしないと」

 

「だね」

 

「そうだね」

 

「そろそろ行くか・・・・・・!」

 

そう言った途端、索敵スキルの範囲内にモンスターの反応が表れた。

 

「レイン、フィリア、戦闘態勢!なにか来る!」

 

双剣を抜き、辺りを警戒すると。

 

「ハッ!」

 

上空からなにかが降ってきた。

 

「くっ!」

 

土煙を遮るため両腕で顔を覆い、土煙が晴れるのを待つ。

土煙が晴れると、そこにはさっき戦ったこのエリアのボスモンスター、アメディスター・ザ・クイーンが顕現していた。

 

「見つけた!」

 

「もう逃がさないよ!」

 

「よし、行くぞ!」

 

アメディスター・ザ・クイーンのHPは折角三段目を削り取ったのに、何故か全快していた。

 

「よりにもよって、また始めからかよ」

 

悪態を吐きながらアメディスター・ザ・クイーンに向かって駆けていく。

瞬時に近寄り、連続攻撃をする。

 

「キシャアアアアアアア!」

 

アメディスター・ザ・クイーンの吐き出す毒酸をステップで避けながら、両腕での攻撃、そして触角での連続攻撃を逸らしたりしてスイッチをしてダメージを与える。

 

「触角の連続攻撃・・・・・・あれを受けたらヤバイな」

 

「うん。スタン状態になるね・・・・・・」

 

一度避けきれずダメージを受けたあと、すぐに下がろうとしたがスタンが発生して動けず、ヤバかったのだ。

正直、レインがそこでタゲを取ってくれたお陰で助かった。

 

「フィリアちゃんは出血状態になっちゃってるし・・・・・・」

 

アメディスター・ザ・クイーンの攻撃を受けて、フィリアは今出血状態をポーションで回復している最中だった。

今のアメディスター・ザ・クイーンのHPバーは残り二段目の6割ほど。

三段目は難なく削り取れたが、二段目に入ってから攻撃パターンが増えたり、デバフ攻撃をして来たりで中々有効打を与えられないのだ。

 

「正面は固いから後ろから攻撃するのがベストなんだろうけど・・・・・・」

 

「少なくともスカルリーパーよりは楽だと思うよ」

 

交互にヘイト管理をしながら微々足りとアメディスター・ザ・クイーンのHPを減らしていく。

 

「こういうときにランかユウキがいてくれたらなあ・・・・・・」

 

悪態をつきながら片手剣ソードスキル《バーチカル・スクエア》4連撃を放つ。

 

「シャアアアアアアア!」

 

アメディスター・ザ・クイーンが吐いてくる毒酸をステップで避け、がら空きの胴体に≪二刀流≫ソードスキル《クリムゾン・スプラッシュ》重攻撃8連撃を放つ。巨大なモンスターに重攻撃は有効的な攻撃だ。

 

「レイン!」

 

「うん!」

 

がら空きの胴体に重攻撃8連撃を受けたアメディスター・ザ・クイーンはしばらくスタン状態が発生して動けない。そこにレインが立て続けにソードスキルを放つ。

 

「やあぁっ!」

 

純白のライトエフェクトを煌めかせながら、双剣でアメディスター・ザ・クイーンの巨体を斬り刻んでいく。≪多刀流≫ソードスキル《クリア・コンパッション》16連撃だ。高速の連撃がスタン状態で動けない、防御することもままならないアメディスター・ザ・クイーンのHPをどんどん削り取っていく。

 

「キッシャアアアアアアア!」

 

アメディスター・ザ・クイーンの断末魔の奇声が響き渡るなか、回復していたフィリアが戻ってきた。

 

「フィリア、レインとスイッチ頼む!」

 

「まかせて!レイン!」

 

「うん!フィリアちゃん!」

 

「「スイッチ!」」

 

16連撃の16連撃目が放ち終えるのと同時にフィリアがレインとアメディスター・ザ・クイーンの間に入り込み、短剣ソードスキル《アクセル・レイド》12連撃を瞬時に放つ。これでアメディスター・ザ・クイーンのHPは残り二段目の2割程にまで削りきった。

 

「させるかっ!」

 

スタン状態から回復し、ソードスキルを放ち終えたフィリアを頭部の触角で攻撃しようとして来るアメディスター・ザ・クイーンの間に入り込み、頭部の触角部の先を武器破壊(アームブラスト)の要領で、ソードスキルを使って切り落とす。

 

「ギシャアアアアアアアッ!」

 

触角の先を切り落とされたアメディスター・ザ・クイーンは断末魔を上げて後ろに飛び退った。

そして、なにかを溜めてる動作を見て警戒していると、アメディスター・ザ・クイーンは飛び上がり、またしても森の奥にへと消え去っていった。

 

「また・・・・・・逃げたのか・・・・・・?」

 

「あと少しのところまで追い詰めたんだけどね・・・・・・」

 

「次こそ絶対倒そう!いくぞレイン、フィリア」

 

「そうだね!」

 

「うん!」

 

HPを回復アイテムで全快にして、俺たちはアメディスター・ザ・クイーンが飛び消え去っていった方向。『女王の寝所』を目指して行った。

 

 


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