ソードアート・オンライン 黒の剣士と紅の剣舞士 二人の双剣使い 作:ソーナ
~キリトside~
ホロウエリアの遺棄エリアでのグランドクエストを攻略し、クエスト達成報酬のソードスキル。秘奥義を獲得した二日後俺とレインはホロウエリアの管理区に来ていた。
「―――キリトくんこれって・・・・・・」
「ああ。間違いない・・・・・・」
俺とレインは、管理区にあるコンソールを操作してとある項目を開いていた。
事の発端は今から一時間ほど前。
一時間前
アークソフィア 商店通り
「はぁ・・・・・・なんか久しぶりにゆっくりできるよ~」
「はは。まあ、ここ最近向こうとこっちで攻略ばかりだったからな」
俺とレインの二人は商店通りにあるカフェでゆっくりとお茶していた。
「って言っても、まだホロウエリアの攻略は終わってないんだよね。管理区の地下にある中央コンソールルームに行かないと行けないからね」
「まあな。先に秘奥義を獲得して正解だったかもな」
「攻略速度が上がるから?」
「ああ」
カップに入ってるコーヒーを飲んで俺はウインドウを表示する。
「それにアルベリヒのことや神隠しのこともあるからな」
「そうだね・・・・・・・。実際に戦ったキリトくんから視てアルベリヒって人、どう思った?」
「スキルやレベル、武装のランクが高いのは感じたけど戦闘についてはからっきし初心者だな。2年前のレインより酷い感じだった」
「あはは。それってキリトくんにクラインくんと一緒に教えてもらったときのこと?」
「ああ。たぶんあの頃のクラインより酷いんじゃないか?ソードスキルの使い方についても知らないみたいだったし、正直のところゲーム自体も初心者だと思う」
「やっぱり、キリトくんもそう思うよね」
「ああ」
「前にアルベリヒって意味、エルフの王だっていったでしょ」
「そう言えばそう言っていたな。リーファも疑問だったみたいだけどなんでその名前にしたんだろな?」
「う~ん。ほんと気味が悪いって言うか何て言うか不気味だよ」
「だな」
そのまま俺とレインは同時に飲み物を飲んで喉を潤す。
「―――ん?」
ウインドウのスキル欄を見ていると、俺は不意にそんな声を出した。
「どうしたの?」
「いや、スキル欄の≪シンクロ≫のところに変な文章がでているんだ」
「文章?」
俺の言葉に、レインもウインドウを開きスキル欄を開く。
「ホントだ。え~と、『汝らの絆が真のものであるか、管理区にある試練を承け、その絆を証明せよ』だって」
「試練?それに管理区ってホロウエリアか?」
「たぶん・・・・・・どうする?」
「取りあえず管理区に行ってコンソールを調べよう。なにかヒントが見つかるかもしれない」
「そうだね」
俺とレインは飲み物を飲み終えると、すぐさま転移門広場の方に行き、転移門からホロウエリアの管理区に転移した。
ホロウエリア 管理区
管理区に転移した俺とレインはさっそくコンソールを操作して調べた。コンソールを調べて数分後、俺とレインは欄の一番下に新たに追加されていた項目をタップした。
「―――『六つの証を証明せよ』・・・・・・か」
「―――キリトくんこれって・・・・・・」
「ああ。間違いない・・・・・・」
目の前の空間ウインドウに表示されている文章の下にある六つの丸い窪みを見て言った。
「今までドロップしたあのメダリオンはおそらくここで使うものだ」
俺はそう言うとウインドウを開いてアイテムストレージから3つのメダリオンを取り出した。レインも俺と同様に3つのメダリオンをアイテムストレージからオブジェクト化した。
「『
「星、双剣、二人の女神、樹、華、そして二人の人間」
俺とレインは今までホロウ・エリアのボス戦などからドロップした六つのメダリオンをそれぞれ嵌め込んだ。窪みにはそれぞれどこに嵌めるべきなのかメダリオンと同じ図形が刻まれていた。
六つのメダリオンを上から、二人の女神、星、樹、二人の人間、双剣、華と右から嵌めていった。
「これでいいんだよね」
「ああ・・・・・・」
六つのメダリオンを嵌め込んでしばらくすると、六つのメダリオンから白い光が出てきた。そして、円形に囲んだメダリオンの嵌め込んだウインドウの中央に光が集まっていき。
「な、なんだ!?」
「きゃあっ!」
その光は俺とレインを包み込んでいった。
しばらくして光が収まり、眼を開けてみると。
「ここは!?」
その場所は管理区ではなかった。
「もしかして強制転移!?」
「レイン大丈夫か?」
「うん」
周囲はなにもなく、空は星空が満天だった。そして足下は透明なアクリル版の上に立っているのか透明で広く丸い足場の上だった。
「ここは一体・・・・・・」
「ホロウエリアの中だとは思うが・・・・・・」
装備を確認しながら辺りを見渡していると。
『六つの証を示しものよ。今ここに、汝らの絆が真のものであるか証明せよ。さすれば、新たなる力が目覚めるだろう』
突然どこからかそんな声が聞こえてきた。
そして。
「「!?」」
突如、目の前が光そこから二つの影が出てきた。
「なんだ?!」
「なに?!」
光から出てきた二つの影を見て警戒して後ろに飛び退る。
二つの影の姿がはっきりと見え、改めて見るとその姿は騎士甲冑を纏った黒と紅の騎士モンスターだった。
それぞれ騎士モンスターの頭上には。
『SNM"Knight Of Veritassword"』
『SNM"Knight Of Perfectussword"』
と表示された。
「
「うそ!なんでこんなところに!?」
「(SNM―――アルゴから聞いたことのある、
突如現れた二体のSNMの騎士モンスターに俺とレインは驚愕した。
しかし、二体の騎士モンスターは未だにその場から動こうとはしなかった。
「まさか、あの二体を倒せと言うことか・・・・・・」
先程の謎の声が告げた言葉の意味を、二体の騎士モンスターを見て理解する。
「嘘でしょ?!あのモンスターたちのHPゲージ三段あるよ!」
視界の先の二体のSNMのHPゲージはレインが言った通り三段あった。そして紅色の甲冑の『Knight Of Veritassword』と表示された騎士モンスターと、黒色の甲冑の『Knight Of Perfectussword』と表示された騎士モンスターは片手剣を二本。俺とレインと同じ、両手に持った二刀流の状態だった。
「とにかくやるしかない。ここを出る道もないようだしな」
「そうだね」
そう言うと、俺とレインは背中と腰の鞘からそれぞれの愛剣を抜刀して背中を会わせるようにして両隣に並び立った。
それに連れてて、二体の騎士モンスターも構えを取った。
「俺が黒い方とやるよ」
「それじゃ私はあの紅色のモンスターとやるね」
それぞれの相手を決めた俺たちは構えを取り、意識を戦闘モードに切り換える。
「「・・・・・・・・・・ッ!!」」
呼吸を整え、同時にその場を駆け出してそれぞれの相手のもとに向かう。
「うおおおっ!」
「はあああっ!」
俺は右上段からの袈裟斬りを、レインは左からの薙ぎ払いを同時に仕掛ける。
「「!」」
その攻撃は当たる直前に、俺は黒い騎士モンスターの左の剣に受け止められ、レインは紅い騎士モンスターの右の剣に受け止められた。
「くっ!」
「うっ!」
そのまま後ろに吹き飛ばされた俺とレインは上手く床に着地して構え直した。今の俺とレインの居場所は、二体の騎士モンスターを挟んで反対側だ。そう思っているところに、黒と紅い騎士モンスターが俺とレインに向かって剣を振りかざしてやって来た。
とっさに剣を交差して頭上に掲げて受け止める。
「(っ!重い・・・・・・!)」
受け止めた剣の重さに、俺は思わず息を飲んだ。
「(この重さ、75層のボス。スカルリーパーと同等かそれ以上だぞ!)」
レベルが上がり、今ならスカルリーパーの鎌をも受け止められると思うが、目の前の騎士モンスターの剣は75層でスカルリーパーと戦ったときと同じで、重く感じられた。
「くっ!はあっ!」
剣をなんとか跳ね返して、振りかぶったままの騎士モンスターの胴体に片手剣ソードスキル《ホリゾンタル・アーク》2連撃を放つ。
「グルオオ!」
黒い騎士モンスター。黒騎士は低く重い声をあげて後ろに下がる。
「ぜりゃああ!」
そのまま追撃で片手剣ソードスキル《ハウリング・オクターブ》8連撃を高速で放つ。突き5連からの切り下ろし、切り上げ、切り下ろしの3連撃でさらにHPを減らす。さらに体術スキル《弦月》で蹴りを放ち、後方に宙返りをして距離を保つ。
「ちっ・・・・・・固い!」
思わず舌打ちをするほど、目の前の黒騎士は固かった。HPは三段ある内の、三段目のほんの1割ほどしか削れてなかった。
「ぐっ・・・・・・!」
宙返りをして距離を取ると、すぐさま黒騎士が剣を振り上げて迫ってきた。
とっさに右の剣を掲げ黒騎士の振りかぶってきた左の剣を受け止める。
「っ!」
そこに、黒騎士が右の剣を横薙ぎに払ってきた。すぐさま左の剣を縦にして受け止める。
「(剣速まで速いのかよ!?)」
ギリギリ反応できたことに安堵しながら、俺は黒騎士のステータスの高さに驚く。
「(どう考えても今までのモンスターとは遥かに次元が違う!今のところはなんとか今までの経験とコイツのアルゴリズムを読んで対処してるが・・・・・・)」
鍔迫り合いを行いながら、弾いて、剣戟の応酬に俺は声に出さずにそう思う。正直、このままではマズイ。
「ぐっ・・・・・・!」
途中で放ってくるソードスキルを、ソードスキルで相殺して隙があれば攻撃を放つが、致命的な強攻撃は当てられずにいた。逆に余波のような軽い、弱攻撃は度々俺と黒騎士も食らっていた。
そのまま剣戟の嵐でやりあってしばらくして。
「しまっ・・・・・・!」」
俺は黒騎士のフェイントを受けてしまい、とっさに剣を盾のようにして黒騎士の剣を受けたが、黒騎士の放ったソードスキルを完全に受け止めることはできず後ろに吹き飛ばされてしまった。
「っ・・・・・・!」
どうにかして体勢を立て直そうとしたその瞬間。
「きゃあ!」
「うっ・・・・・・!」
背中越しの後ろから悲鳴が聞こえ、その1秒後に背中にドシンと何かがぶつかった。
「キリトくん!」
「レイン!」
ぶつかってきたのはレインだった。どうやらレインも吹き飛ばされたらしい。
「大丈夫かレイン!」
「うん、なんとか。キリトくんは」
「こっちもなんとかだ。にしてもあの騎士モンスター、パラメーターが高すぎる」
背中合わせで会話をしながら減ったHPを回復する。
幸いにも俺とレインの相手していた黒騎士と紅騎士は余裕なのか、一切攻撃してこずゆっくりと周囲を剣を構えて歩いていた。
「私の方も、何度も攻撃してるのに全然HPが減らないよ!」
「このままじゃじり貧だぞ。なにか策は・・・・・・」
黒騎士と紅騎士の動きを注意しながら見つつそう言う。
「(恐らく有効なのは
警戒しながら、対策案を模索していると。
「キリトくん、こうなったら共鳴をやるしかないよ」
「レイン!?」
「確かに30分のインターバルはキツいけど、今は目の前の騎士モンスターの対策を考えないと!」
「それはそうだけど・・・・・・」
レインの言葉に口を濁していると。
「「グルオオ!」」
低い声を発しながら、黒騎士と紅騎士が同時に突っ込んできた。
「(―――っ!迷ってる場合じゃない!)レイン!」
「うん!」
「「
すぐさまレインと意思疏通を交わし、共鳴を発動する。
「「―――レディアル・シンズ!」」
迫り来る騎士モンスターの剣をレインと同時に受け流して、≪シンクロ≫ソードスキル《レディアル・シンズ》8連撃範囲技を放つ。
目の前の黒い騎士に2撃をたたみ込み、レインと背中合わせにスイッチをするように紅騎士に残り2撃を繰り出す。防御もままならないままソードスキルを食らった黒騎士と紅騎士の二体の騎士モンスターのHPゲージは一気に、とは行かないが目に見えるように減少していた。
「「グルオオ!?」」
まさか反撃されるとは思ってなかったのか、驚きに似た声をあげる二体の騎士モンスターに俺とレインは続けて攻撃を仕掛ける。
「はあああっ!」
「やあああっ!」
俺は目の前の紅騎士に≪二刀流≫ソードスキル《ナイトメア・レイン》16連撃を。レインは≪多刀流≫ソードスキル《ディバイン・エンプレス》15連撃を同じタイミングで放つ。技後硬直時間がゼロに等しいため出来る芸当だ。そうでなかったら恐らく続けてソードスキルを放つことはできなかっただろう。このソードスキルを別のソードスキルに繋げる連撃ソードスキルはこの技後硬直時間がゼロと言うことに気づき練習している技術だ。今はまだ、ソードスキルからソードスキルへと繋げることは難しく、相手が動きを止めているときならば出来、動いている相手には難しいのだ。正直、タイミングさえ分かれば出来るとは思うのだが、ソードスキルとソードスキルを繋げるにはコンマ1秒というほんの僅かな時間に次のソードスキルを、前のソードスキル終了のタイミングに合わせて連続で放たなければならない。今はまだ、一息ついてからの別のソードスキルを放つ、ということしか出来ない。だがこれではソードスキルを繋げて放つソードスキル。
そう考えながら《ナイトメア・レイン》を紅騎士に放ちHPを削る。
16連撃のソードスキルに紅騎士のHPゲージはみるみるうちに削り取られていった。そのまま減少は三段目を削り取るとまではいかず、三段目の一割ほどの位置で止まった。さっきまでダメージが通らなかったにしては異常とも言えるほどの減りようだった。
「(まさか共鳴を発動したことでなにかしらのギミックや条件に達したのか?それにこのモンスターの剣技、まるで俺やレインみたいだ)」
剣の重さは別として、モンスターにしては攻撃のタイミングやアルゴリズムの読みにくいところなど、似て非なるところが幾つもあった。恐らくはシステムが俺やレインと似た動きをこの二体の騎士モンスターにインプットしたのだろう。
そしてこのことが出来るのはこの
「(共鳴の持続時間終了まであと11分。それまでに倒せるとは思えないが、出来るだけ削りとる!)」
俺はそう判断しながら、連続で剣を振るう。
「うおおおっ!」
「グルオオ!」
立ち直りが直った紅騎士は左右の剣を交互に、舞うかのように振るってきた。だが、そのパターンもなんとなく読み取れた。
左下からの切り上げを小さなバックステップで避け、右の剣で突きを放つ。紅騎士の右の剣で防がれたその突きを軸として、右回転で背後に回り込んで左の剣で滑らかに横薙ぎに切り裂く。そのまま右の剣で斜めに切り上げる。さらに切り上げた右の剣を下ろして、左剣で切り上げクロスを描くようにして紅騎士の背中を攻撃する。
そのまま幾度となく、何合とも続いた剣の攻防。やがて共鳴の効果時間である15分になった頃には、三段あった二体の騎士モンスターのHPゲージは揃って二段目の6、7割ほどにまで削り取られていた。
「はあ、はあ、はあ・・・・・・時間までに倒せなかったね」
「ああ」
HPゲージが残り4割ほどにまで落ち、イエローゾーンに入った俺とレインは背中合わせで目下の敵を警戒しながら話す。
「まだ結晶やポーションはあるがキツいな・・・・・・」
「そうだね・・・・・・」
背中合わせでそう会話していたその瞬間。
「「!?」」
突如俺とレインの目の前にウインドウが現れた。
そして俺のウインドウにはこう表示されていた。
ユニークスキル≪シンクロ≫のスキル値が一定に達しました。
固有スキルの封印を解除――――――封印解除、完了
固有スキル、及び固有ソードスキルの使用が可能となります。
使用可能固有スキル
《
使用可能固有ソードスキル
《
そしてレインのウインドウには。
ユニークスキル≪シンクロ≫のスキル値が一定に達しました。
固有スキルの封印を解除――――――封印解除、完了
固有スキル、及び固有ソードスキルの使用が可能となります。
使用可能固有スキル
《
使用可能固有ソードスキル
《
と、表示されていた。