ソードアート・オンライン 黒の剣士と紅の剣舞士 二人の双剣使い   作:ソーナ

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HF編 第131話〈神隠しの真実〉

 

~キリトside~

 

 

 

第76層 主街区アークソフィア外れ

 

 

「・・・・・・・・・・・」

 

第96層のボスの討伐が完了し、新たに第97層が開放された翌日、俺はアークソフィアの外れにある草原の丘で横になって昨日のボス戦のことを思い返していた。

 

「(あの時、あそこにいたのは間違いなくストレアだった。やはり、ストレアがボスを強化したのか・・・・・・。それにストレアのあの不自然な言動・・・・・・それに一体なんだ、この嫌な胸騒ぎは)」

 

そう思い返しているところに。

 

「もう、やっぱりここにいたよ~」

 

「レイン」

 

武器は装備してないが、戦闘服姿のレインがやや呆れた表情で俺を見下ろしていた。

 

「捜したんだよキリトくん。何処にもいないからここかな、って思ってきてみたけど、案の定そうだったね」

 

「悪い」

 

上から見下ろすレインにそう言うと、俺は少し視線を逸らした。

 

「キリトくん、どうして視線を逸らすの?」

 

「あ、いや、レイン、今のおまえの服装を考えてくれ」

 

「服装?」

 

俺の言葉に首をかしげたレインは自分の服装を見て、瞬時に理解したのか顔が赤くなった。

何故俺が視線を少し逸らしたのかというと、今のレインの戦闘服は。

 

「・・・・・・見た?」

 

「・・・・・・・・・・・見てない」

 

「ほんとうに?」

 

「う・・・・・・・すまん・・・・・・見えた。」

 

「////!!」

 

下がスカートだからだ。

レインが上にいる関係上、俺がレインを見るとどうしても下から覗き込むような形になってしまうのだ。

 

「キ、キリトくんのエッチ!!」

 

「今のは不可抗力だろ!!?」

 

スカートを押さえて、俺のすぐ傍に座り込むレインに俺は思いっきりツッコむ。どう考えても今のは仕方がないと思う!

 

「ぅぅ・・・・・・・キリトくんのエッチ」

 

「いや、あのな・・・・・・・・・ゴメン」

 

赤面して泣きそうな顔で見てくるレインに折れる俺。

 

「ところでキリトくん、なんで97層の攻略しに行かないの」

 

まだ少し顔が赤いなか、俺のすく横に寝っ転がって聞くレインに昨日の96層ボス戦のことを話す。

 

「やっぱり・・・・・・キリトくんもストレアちゃんが関係してるって思ってたんだ」

 

「やっぱり、ってことは」

 

「私も、キリトくんと同じこと思ってたよ」

 

「なあ、レイン。どうしてストレアはあそこにいたんだろう」

 

「わからないよ。それに、ストレアちゃんがボス部屋から転移できた理由が分からないよ」

 

「確かに・・・・・・」

 

76層以降、ボス部屋では結晶無効化空間ではなく転移無効化空間になっていた。ボス部屋に入ると、入り口が閉じるのは75層と同じだが回復結晶が使えるか使えないかでは別だった。ヒースクリフは75層より上の層のボス部屋すべてを結晶無効化空間ではないかと指摘していたが、(恐らく事実だったのだろうが)現状では転移結晶以外の結晶アイテムは問題なく使えていた。原因は俺たちが76層より下層に移動できなくなったことと関係あるはずだ。そしてそれはこのアインクラッドを制御しているカーディナルシステムに俺たちに起こっているのとは別の、何らかの不具合が発生したと言うことだ。そうならばとストレアがシステムが作り出したボスを強化したこととその場から結晶も使わずに転移出来たと言うことに納得がいくが、問題はストレアに関してだ。彼女はプレイヤーなのだがらシステムに介入できるはずがないのだが。

 

「(まてよ・・・・・・システムにプレイヤーが普通介入できるはずがないのは当然だよな。以前俺がカーディナルシステムに介入してユイをシステムから切り離せたのは黒鉄宮地下迷宮にあったシステムコンソールを介してだし。普通、ハラスメントコードとかは解除出来ないはずだ。・・・・・・・なら、なんでアイツらはハラスメントコードらが発動しないんだ?なんらかのチートツールを使ってるからか・・・・・・・?いや、この世界はカーディナルシステムが制御しているからチートツールは不可能だ。それにこの世界でチートツールを行使するのは出来ない以前に不可能。なら、外部からか?いや・・・・・・まてよ。アイツらの名前今のいままで誰も知らなかった。普通、あそこまで目立つ奴等なら誰かしらが知っているはずだ。それこそ、アルゴが見逃すはずがない。なのに知らなかった。それはつまり、アイツらはリーファとシノンと同じってことだ。そして、アイツらにコードが発動しなかったのは・・・・・・!)」

 

俺の頭でそんな仮説が出来上がったそんなところに。

 

「ん?」

 

「メッセージ?クラインさんから?」

 

クラインから緊急とタイトルが書かれたメッセージが来た。

 

「――――なに!?」

 

「――――これは!?」

 

クラインから送られたメッセージを読んだ俺とレインは瞬時に立ち上がった。

 

「レイン、今すぐ97層に行くぞ!」

 

「うん!」

 

急いでその場から走り転移門に向かった。

メッセージにはこう書かれていた。

 

 

 

 

 

 

『アルベリヒの野郎が変な武器でプレイヤーを何処かに転移させやがった!今アルベリヒのヤツをフィリアとともに追い掛けてる!』

 

 

 

 

 

 

と。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第97層 主街区フィルキア

 

 

「アスナ!」

 

アークソフィアから急いで97層主街区のフィルキアに転移した俺とレインはフィールドに向かう途中でアスナたちに出会った。

 

「キリト君!レインちゃん!」

 

「キリトたちもクラインからメッセージを受け取って?」

 

「ああ。ユウキたちもだろ」

 

「うん」

 

「急ぎましょう。今クラインさんとフィリアさんが追い掛けています」

 

「わかった!ラン、先に行く!」

 

「わかりました!」

 

「レイン!」

 

「うん!」

 

俺とレインはシステムが許容する敏捷を限界まで使用して目的地に向かった。後ろからはアスナたちが追い掛けてくる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第97層 フィールド

 

 

 

「て、てめぇ!いったい、なにしやがった!」

 

フィールドに出てそのまま走っていくと、奥からクラインの怒鳴り声が聞こえてきた。

そしてさらに。

 

「あなた!その人をどうするつもり!」

 

フィリアの切羽詰まった声も聞こえてくる。

 

「あそこだ!」

 

声が聞こえてきた方へさらに足を早め、クラインとフィリアのいる場所に行くと、そこには腰に細剣を装備し右手には不気味な禍々しい短剣を握り空いている左手で男プレイヤーを捕まえ、その首もとに禍々しい短剣を当てているアルベリヒとその取り巻き数人がいた。

 

「静かにしてくれ。そんなに、大騒ぎするとこいつも同じ目に合わせるよ?」

 

「は、放せっ!放してくれ!」

 

捕まってるプレイヤーは恐怖で顔が青ざめている。

クライン率いる風林火山のメンバーとフィリアは迂闊に近寄れないのか少し距離を取ってアルベリヒたちと対峙していた。

 

「やめろっ!!そいつを放して、その変な武器を捨てろ!」

 

「これのことか?なかなかいいデザインだと思っているんだけどね?この尖っている部分なんて芸術的だと思うけどなあ、クックックッ」

 

「ひ、ひいい!」

 

「あなたねえ!」

 

「て、てめぇ!いいから捨てろって言ってんだろうが!」

 

「そうはいかないよ。僕にはやらなければならない、とても重要な事があるんだ。さあ、健康そうな君も喜んで協力してくれるよな?」

 

「その人になにをするつもり!」

 

「ふ。すぐにわかるさ」

 

フィリアの言葉にアルベリヒは抵抗するプレイヤーに右手に持つ禍々しい短剣を無慈悲に突き刺した。

 

「や、やめろ、やめてくれー!うわあああああああああ!」

 

捕まっていたプレイヤーは悲鳴をあげて、その場から消え去った。

 

「くっそ!なにが起きてんだよ、いったい!」

 

意味が分からないとでもいうかのように声を荒げるクラインに俺とレインが走りよる。

 

「クラインっ!」

 

「フィリアちゃん!」

 

「キ、キリトか!」

 

「レイン!」

 

「ああ!大丈夫か!?」

 

「みんな大丈夫!?」

 

「わたしたちは大丈夫。けど・・・・・・」

 

「あの野郎、変な武器を持っていやがる・・・・・・気を付けろよ二人とも」

 

「見ていたよ・・・・・・人が消える瞬間を・・・・・・。最近噂になっていた神隠しの正体はこいつの仕業だったのか」

 

「ああ。あの武器の攻撃が当たると、理屈はわからねぇが、否応なしにどっかに転送されちまうみてぇなんだ」

 

「それに転送されたのはさっきの人たちだけじゃないの!」

 

「もしかして!」

 

「ああ。あのプレイヤーの前にもやりやがったんだ!」

 

あのメッセージのことを指してると分かった俺とレインは警戒体制を取って、クラインたちの前に出る。

 

「おや、《黒の剣士》様と《紅の剣舞士》様ではないですか?そんなに血相を変えて、いかがいたしました?」

 

今自分がなにをしたのか気にならないとでもいうように表情ひとつ変えずに聞いてくるアルベリヒ。

 

「おまえらがオレンジにならない理由は分からないが・・・・・・やはり野放しにしておくわけにはいかない!」

 

「うん。あなたは危険過ぎる!」

 

「アハハハハハ。じゃあ、どうするっていうのかな?僕に勝利できるとでも思っているのか?」

 

俺とレインの台詞にアルベリヒは高笑いをして自信満々の表情で言う。

 

「ああ、思ってるさ」

 

「私も思ってるよ。それに、それはこの前の攻略組テストでキリトくんがあなたを倒したことでわかっていることじゃないの?」

 

「ふん。あれはなにか、卑怯な手でも使ったんだろう」

 

「卑怯な手?なんのことだ?」

 

アルベリヒの台詞に俺たちは理解出来ずにいた。

 

「僕のステータスをもってしても勝てなかったなんて、なにか仕込んだとしか思えない」

 

「あり得ないわ。キリトがあなたみたいな人に卑怯な手を使うはずがない」

 

「ああ。そもそも、キリトが卑怯な手を使うわけがねぇ!」

 

「フィリアちゃんとクライン君の言う通りだよ。キリトくんが卑怯な手を使ってあなたに勝った?そんなこと万が一にもあり得ない!」

 

アルベリヒの言葉にレインたちが次々に反論する。

 

「ふん。この僕に勝つだなんて万が一にもあり得ないのさ。そんなの卑怯な手を使った以外はね。だが今度はそんな手は使わせないよ。この僕の、圧倒的なステータスの前に君は打ちひしがれるんだ」

 

レインたちの言葉にアルベリヒはまるで自分に酔っているかのように埒があかない。

 

「・・・・・・まともに取り合っても埒があかないな」

 

「ほんとう・・・・・・どうするキリトくん」

 

「・・・・・・力づくでやるしかない」

 

「わかったよ」

 

「やるのかよ、キリト?」

 

「大丈夫なのキリト?」

 

「大丈夫、あの武器には十分注意するさ」

 

「なら、私たちは取り巻きの人を拘束するね」

 

「頼む」

 

レインたちにそう言って、両手の双剣。『エリュシデータ』と『ダークリパルサー』を構える。

 

「さあ、今度こそ本当の勝負だ!」

 

「ああ、今度こそしっかりと分からせてやる!戦いはステータスだけじゃないって事をな!!」

 

腰の鞘から細剣を抜き、右手で持ち。左手にあの禍々しい短剣を持ってアルベリヒは俺に一直線に向かってきた。

 

「はあっ!」

 

「ぜりゃ!」

 

なんもない。ただ愚直に飛び込んできた細剣の突きを左手の『ダークリパルサー』で跳ね上げて、右手の『エリュシデータ』で、アルベリヒの左手に持つ禍々しい短剣を攻撃する。

 

「ちっ!」

 

忌々しげにと舌打ちして下がるアルベリヒ。

 

「アルベリヒ、あんた元からこの世界にいた人間じゃないな」

 

「・・・・・・・・・・なにを言っているんだい?」

 

俺の言葉に、アルベリヒは一瞬眉を潜めすぐに何を言っているのかというように言った。

 

「あんたのステータスが高いのは認めてやる。恐らく攻略組の俺たちの誰よりも・・・・・・。だが、それに比例してプレイヤースキルが低すぎるんだよ」

 

「っ!この僕が・・・おまえたちよりも劣るだと・・・・・・!」

 

「実際そうだ。この世界での戦闘なんて、第1層にいる人だって多少は知っている。なのに、あんたはその高レベルと高ステータスに対してプレイヤースキルが圧倒的に低い!これらを踏まえて考えられることは一つ。あんたは現実世界から来た人間。そして、そのアバターはスーパーアカウントと呼ばれるアバターだ!そうならあんたたちの異様な高レベルとステータスと比例して低すぎるプレイヤースキル。そして、ハラスメントコードらが発動しなかったのにも説明がつく!あんたは茅場明彦とは違う管理者。―――いや、管理者ですらないな・・・・・・あんたは偽りの支配者だ!そして、この世界にとっての異物!予期せない人間だと言うことだ!」

 

「こ・・・・・・・っの、ガキ!」

 

忌々しいとでもいうかのように憤怒の表情をするアルベリヒ。アルベリヒはそのまま無茶苦茶とでもいうかのように細剣を振り回し、短剣を俺に突き刺そうとする。異色の二刀流だが、俺やレインに比べると赤子のようだ。

 

「はっ!どうした《黒の剣士》、さっきから防いでばかりじゃないか!」

 

「そういうあんただってどこを狙ってるんだ?さっきから一回も当たらないが?」

 

「っの、ガキが!調子に乗るなあ!」

 

「ふっ!」

 

少しは学習したのかアルベリヒは細剣のソードスキル《リニアー》を放ってくる。だが。

 

「アスナに比べたら遅い!」

 

アルベリヒの細剣を受け流して、カウンターで片手剣ソードスキル《シャープネイル》3連撃を繰り出す。

 

「ぐっ!このっ!」

 

《シャープネイル》で鉤爪のような痕を付けられ、HPが8割ほどにまで削られたアルベリヒは下がって忌々しげに睨み付けてくる。

正直検討外れだ。これならヒースクリフの方が一億万倍マシだ。

そう思っているところに。

 

「ぐはっ!」

 

「うわっ!」

 

「うごっ!」

 

変な声が後ろから聞こえてきた。

そして。

 

「キリトくん、取り巻きの人たちは片付け終わったよ」

 

「おうよ。そっちは平気かキリト」

 

「歯応えが全然ないわ」

 

「レインたちの方は終わったみたいだな」

 

「うん。アスナちゃんたちも来たからかなり簡単に制圧できたよ」

 

レインの言葉の通り、アルベリヒの取り巻きのプレイヤーは全員がその場に膝ま付いて、投降していた。

 

「ちっ!この無能共が!」

 

取り巻きが捕縛されアルベリヒは悪態つきながら左手に握る短剣を突き出してくるが、俺はその攻撃をしゃがんで避け、右手の掌の付け根に『エリュシデータ』の柄部分で殴り感覚を麻痺させ、アルベリヒに向かって片手剣・体術複合ソードスキル《メテオ・ブレイク》重攻撃を放つ。

 

「ぐはっ!」

 

肺の中の空気を一瞬で吐き出したアルベリヒは後ろに吹き飛ばされ地面を転げ回る。

やがて、よろよろになって立ち上がったアルベリヒは。

 

「く、くそっ!どういうことだ!?」

 

左手の短剣を睨み付けて言った。

 

「肝心なときにうまく動作しないなんて使えないなっ、このっ!!」

 

「うおっ!あぶねえな!変な物投げつけんじゃねぇ!」

 

クライン目掛けて投げ付けられた短剣を咄嗟にクラインは刀で受け止め、受け止められた短剣は地面に落ちた。

 

「認めない!僕は認めない!馬鹿にしやがって!おぼえておけよ、いずれ僕が世界を掌握するんだ!」

 

「おいっ!待てっ!!」

 

「待ちなさい!」

 

俺たちの制止を聞かずにアルベリヒは取り巻きのプレイヤーを放って何処かに走り去っていった。

 

「あの野郎、逃げやがった!」

 

「ボ、ボスっ!!待ってください!」

 

「おっと!待て待て。お前たちは逃がさねぇぞ」

 

「あなたたちには話を聞く必要があります。その場から動かないでください!」

 

アルベリヒの取り巻きのプレイヤーに剣を突き付けて言うクラインとラン、そしてユウキやアスナたちに怖じ気付いてかすぐにその場から動かなくなり。

 

「ひっ!す、すみません!すみません!オレはボスの指示に従っていただけでっ!」

 

言い訳じみたことを言い始めた。

 

「言い訳はいい。それよりも・・・・・・」

 

取り巻きの言葉を遮ったところに。

 

「地震っ!?またかっ!?」

 

またしても地震が訪れた。

 

「うおっとと・・・・・・」

 

「うわっ・・・・・・・」

 

「きゃ・・・・・・」

 

「わっ・・・・・・」

 

いきなりの地震に驚きつつもなんとかその場に踏み締める。

 

「長い地震だったな・・・・・・」

 

「なんかここ最近地震の頻度が多くなってない?」

 

「ええ・・・・・・」

 

「いったいなにが起ころうとしてんだよ・・・・・・・」

 

「あ、キリト。この人たちどうする?」

 

「ああ、話の途中だった。それじゃ、お前らのやっていたことを洗いざらい話してもらおうか・・・・・・・」

 

俺たちはその場で取り巻きのプレイヤーから話を聞き、そのあと取り巻きたちを76層に連れていき、聖竜連合の団長であるリンド率いるシュミットたちに引き渡し俺たちは取り巻きから聞いた場所に向かった。

 

「ひいいいいいい。す、すみません、降参です。投稿します!」

 

「なんだよ、これでおしまいか?歯応えのない連中ばかりだったな」

 

「キリトさん、捕まっていたと思われる人たちは全員救出した。今はうちのところと血盟騎士団のとこが護衛して街に帰ってもらってる」

 

「そうか・・・・・・すまんなリンドさん」

 

「いや、こっちも神隠しのことは調査していたんだが・・・・・・まさか、アルベリヒってやつが関与していたとはな」

 

「そっちでも調べてたのか?」

 

「ああ。うちの団員が以前神隠しの現場を目撃していてな、転移したのかと思ったそうなんだが、その前にアルベリヒってやつが接触したと言っていた」

 

「そうか・・・・・・」

 

「すまん、団員が呼んでるんでなちょっと外させてもらう」

 

「ああ、わかった」

 

リンドが聖竜連合の団員と話していると入れ替わりにレインがやった来た。

 

「キリトくん、ちょっとこっちに来てくれる?」

 

「どうした?」

 

レインのあとに続いておかしな機械がある部屋を抜け、次の部屋に行くとそこには。

 

「これは・・・・・・」

 

黒い、黒曜石の台座が置かれていた。

 

「黒鉄宮地下迷宮にあったシステムコンソールと同じやつか?」

 

そういうと俺はコンソールに触れ、コンソールの課目を操作し始めた。

 

「どう、キリトくん」

 

「・・・・・・ダメだ。あちこちにアクセスしてるがいろんな貼付や暗号があって内容がさっぱり理解できない」

 

「それって、余程見られたくない資料があるってこと?」

 

「たぶんな。恐らくこの施設と関連あるはずだ」

 

そのまま他にも探っていくと。

 

「キリトくん、これ」

 

「ん。これは・・・・・・『プレイヤーの感情に関するデータ』?拐ってきたプレイヤーにこんな実験をしていたのか」

 

「もしかしてこの施設にあるカプセルとかって・・・・・・」

 

「だろうな。・・・・・・ん、この日付け」

 

「この日付けって、確かストレアちゃんが体調悪くなった日だよね?」

 

「ああ。この日付けはダンジョンでストレアにあった日だし、こっちのはストレアがS級食材を持ってきた日だ。そしてこっちはストレアと一緒にボスを討伐しに行った日・・・・・・」

 

「プレイヤーの感情とストレアちゃんの体調不良・・・・・・どれも同じ日に起こってるね」

 

「ああ。これって偶然なのか?」

 

「・・・・・・ね、ねえ、キリトくん。私これに共通すること知ってるよ・・・・・・」

 

「ああ。俺もだ。感情と体調不良・・・・・・これに共通するのは」

 

「ユイだ」

 

「ユイちゃん」

 

「ユイは元々プレイヤーの感情をカウンセリングするメンタルヘルスカウンセリングだ。その負の感情が処理できなくなってユイのプログラムが崩壊しかけた・・・・・・まさか・・・・・・」

 

ある一つの予想が思い浮かんだがまだ確たる確証がないため言葉に出さなかった。

 

「取りあえずここにあるデータはすべて消去しよう。強制的に拐ってきた人体実験のデータなんてロクなもんじゃないはずだ」

 

そう言うと俺はすべてのデータ、バックアップも含むデータをデリートしコンソールの画面を消去した。

 

「よお、キリト、レイン。捕まえた奴らに聞いてるんだが全然口を割らねぇんだ。どうする?」

 

「捕まっていたプレイヤーは全員解放したし、別にいいだろう。そいつらが割らないならアルベリヒ自身から問いただして聞くだけだ」

 

「そうか。どうする、ここに見張りとかいるか?」

 

「いや、ここにあったデータはすべて削除した。もうここに利用価値はないはずだ」

 

「わかった。一応、あいつらは簡易牢獄でも作って見張るとするか」

 

「そうだな」

 

俺たちは捕らえたアルベリヒの仲間を連れて街に帰っていった。

100層まで残りあと4層。色々問題はあるが、今の目的は100層をクリアすることだけだ。

あのデータを見て俺がストレアに思い浮かんだ予想は――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――ストレアはユイと同じくメンタルヘルスカウンセリングプログラム。MHCPではないかということだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

現在の最前線  第97層

 

 

 

残り      4層

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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