ソードアート・オンライン 黒の剣士と紅の剣舞士 二人の双剣使い   作:ソーナ

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HF編 第135話〈紅玉宮〉

 

~キリトside~

 

 

第98層ボス部屋での出来事から約一週間余りがたったある日。俺たちは、第99層ボス戦に挑んでいた。

この第99層は主街区である、おわりの街以外は迷宮区と、フィールドもなにもない層だった。そして、この迷宮区は攻略するべき迷宮区内のフィールドはなく、あるのはボス部屋へと続く紅玉色の道と大扉のみだった。さらに、99層のボス戦は一戦だけでなく、全部で五戦。五体のボスを倒す連戦のボス戦だったのだ。

そのため、俺たちはボス戦へ向けてのレベル上げやスキル上げなど、ボス戦当日まで色々と過ごした。

ある日はユイからユイの手作りのブローチをレインとペアで貰い、ある日はシノンのユニークスキル≪射撃≫のスキル獲得へと向かい。またある日はフィリアに付き合って育てた木の様子を見たり、クエストのパーティーに誘われ。またまたある日は、レインとデートに行ったり、またまたまたある日はシステム障害で俺やレインたちの服が無くなり、バスタオルのみの状態となってしまったり、などとかなり多忙な毎日だった・・・・・・・・・・・・?いや、多忙な毎日だったのかこれは?

まあ、そんなこんなでこの日、俺たち攻略組は第99層攻略のための五体のボス。一階層目のボス、レイディアンス・リバース。二階層目のボス、ブレイジング・リバース。三階層目のボス、デス・リバース。四階層目のボス、カオス・リバース。そして、最上階、五階層目の最後のボス、ザ・ディエティースルーラーをかなりの時間を掛けたが、死者数0で無事第99層を攻略し、ついにアインクラッド最上層第100層、紅玉宮にたどり着いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第100層 紅玉宮前

 

 

 

 

「ついにたどり着いた・・・・・・」

 

「ここが・・・・・・アインクラッド第100層紅玉宮・・・・・・」

 

99層の最後のボス、ディエティースルーラーを討滅し奥の扉を通り抜け、しばらくして俺たちの目の前に現れたのは、このSAOの頂きと茜色の夕焼けのような空模様だった。

 

「二年掛かって、ようやくたどり着いた」

 

「ほんと・・・・・・・夢を見てるみたいだよ・・・・・・」

 

唖然というか感慨深く目の前に聳え立つSAOの頂きである、紅玉宮と呼ばれるに相応しい、巨大な紅玉の城。

その紅玉宮に見惚れているのは俺とレインだけでなく、攻略組全員だった。それぞれ、思うところがあるのだろう。

現に――――

 

「まだ、信じられないわね。アタシたちがここにいることが・・・・・・」

 

「はい・・・・・・」

 

「キュ~」

 

「ここが・・・・・・第100層・・・・・・」

 

「ついにたどり着いたんですね、私たち」

 

「うん・・・・・・。長かったような、短かったような・・・・・・そんな感じがするよ」

 

「ああ。あの日からかなり時間が経ってるからな」

 

「ここに着くまでに色々な事があった・・・・・・ここにいると、その事が遠い昔のように感じられるぜ」

 

ともにボス戦をしたリズたちは、次々に思ったことを声に出した。攻略組には新たにリズやシリカも入ってる。76層に来てからの二人の熟練度は攻略組の中でも中の半ばほどに位置するまで成長していた。リーファとシノンはもちろんのこと、ホロウ・エリアでの経験を得たフィリアは攻略組でもトップクラスにまでなっている。

 

「この先に、最後のボスが待ち構えているんだよね」

 

「ああ・・・・・・。そして、ストレアもそこにいるはずだ」

 

「絶対にストレアちゃんを助けようね、キリトくん!」

 

「ああ!必ず助ける・・・・・・そして、俺たちは絶対にこの世界から抜け出してみせる!」

 

俺の声に周りからも、それぞれ気合の入った声が上がる。

それから俺たちは、念のためその場から先へと進み紅玉の輝く大扉までマッピングをしてアークソフィアへと帰っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後

 

 

 

紅玉宮からアークソフィアに帰ってきた俺たち攻略組は、そのあとぐっすりと休み翌日から、各々の武器のメンテや消耗品の補充や鍛練などに明け暮れた。

すでに俺たちが第100層に到達したのはアインクラッド全階層にアルゴを通じて伝わっている。75層より下層はアルゴからの言伝で伝わっているらしい。そのため、76層より下に戻れないと分かっていながらも上に来て観光をしたりするプレイヤーがたくさんいた。その中でもっとも助かったのが鍛冶プレイヤーだ。アークソフィアにもリズを含め何人かの鍛冶プレイヤーがいるが、さすがにリズたちだけでは武器のメンテや強化は大変らしく下層からの助っ人や素材でリズを筆頭になんとかやってるらしい。レインも鍛冶スキルを持っているため手伝うと言ったのだが、それはリズに一蹴された。なんでもリズから、『あんたはアタシたち、全プレイヤーの希望なんだからこんなところにいないで、キリト(旦那)ユイちゃん()と一緒にどこか行って身体を休めときなさい!』と言われたらしい。ちなみにあの後アスナたちと相談し最後の戦いは五日後になった。一刻も早くラスボスを倒したかったが、英気を養うのとそれぞれの思いで作り、装備のメンテや強化などをかんがみて五日後にしたらしい。

そんなわけで、俺たちは残された時間を有意義に活用して過ごしていた。相棒である双剣・・・・・・いや、『エリュシデータ』、『ダークリパルサー』、『ブラックローズ・ナイト』、『ホワイト・ユニヴァース』の四振りの剣はレインと相談して、レインにあることをお願いしてもらってる。いや、正確にはレインも俺と同じことを考えていたみたいで自分の相棒である四振りの剣、『トワイライトラグナロク』、『キャバルリーナイト』、『レイン・オブ・セイント』、『スカーレット・プリンセス』を俺のと合わせてやってくれている。ユウキとランは以前の占い騒動で手に入れた、進化素材の剣をリズにお願いしている。進化素材に関してはリズ一人だけでは手に余るらしく、レインにも助けを入れていた。その際かなり申し訳なさそうにしていたが。

そんなこんなで俺たちの、このSAOで過ごす最後の五日間は少しずつ過ぎていき、ついに明後日が最後の戦いとなる四日目の夜、俺とレインは娘のユイと一緒にアークソフィアではなく、第83層の外れにある、22層にある俺たちの家と同じ家で過ごしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第83層 森の家

 

 

 

「すぅ~・・・・・・・すぅ~・・・・・・・」

 

「ふふ。ユイちゃんたら」

 

安らかな寝息をたてて寝ているユイの黒髪を優しく撫でながら母親のような眼差しでレインは見つめていた

 

「はしゃいでたもんな今日のピクニック」

 

今日は家の近くにある湖岸にピクニックをしに行ったのだ。その際、再びユイの作ってくれた水着を着ることになったが楽しい一日だった。

 

「うん。明日の夜はみんなで決戦前夜のパーティーだもんね」

 

「そうだな」

 

レインの言った通り、明日の夜は決起会のような決戦前夜のパーティーなのだ。そのため、ここで寝るのも今日が最後になる。

 

「ねえ、キリトくん」

 

「ん?」

 

「少し・・・・・・外に出ない」

 

レインにそう言われ俺はうなずき、ぐっすりと眠っているユイを起こさないように静かに部屋から出て、1階のリビングのすぐ側にあるテラスに俺は出た。

テラスに出た俺は、テラスにある揺り椅子に座り、84層の底部分を見上げた。見上げると満面の星の輝きが辺りを照らした。明かりを灯してないからか何時もより綺麗に見えた。

 

「はい、キリトくん」

 

「ありがとうなレイン」

 

温かい飲み物を淹れてくれたレインからマグカップを受け取り、軽く一口飲む。飲むと体が暖かくなっていくような感じがした。

レインはそのまま俺のすぐ横に腰掛ける。

 

「ついに明後日だね」

 

「ああ」

 

「ちょっと不安・・・・・・かな」

 

「俺も同じだ・・・・・・」

 

レインの言葉に俺も同じ気持ちだった。

不安がないかと言われると嘘になる。

 

「キリトくん、あの時私が言った言葉・・・・・・覚えてる?」

 

「あの時?」

 

「うん。第一層ボス攻略のあと・・・・・・二層に着いたときに言ったこと」

 

レインに聞かれ、俺は記憶をスクロールする。

一秒で記憶を甦らせ俺は。

 

「覚えてるよ」

 

そう懐かしむように言った。

 

「『キリトくん、私はね君がいるとこの世界が輝いているように思えるよ』・・・・・・あの時からね、私はずっと変わってないよ」

 

レインはあの時の言葉を紡ぎ、懐かしむように微笑んだ。

 

「今も昔も、私の隣には君がいる。君がいると、この世界は何倍にも、何万倍も輝いて見えるよ」

 

「ああ。俺も同じだ。レインがいると、この世界は輝いて見える」

 

「あの時から、ずいぶんと経ったね」

 

「二年・・・・・・だからな」

 

「そうだね」

 

今までの思い出を懐かしむように、思い出すようにして言う。

 

「ね、キリトくん、明日デートしない?」

 

「デート?」

 

「うん。この世界で最後のデート」

 

「はは。奇遇だな、俺もレインと同じこと考えてた」

 

「ふふ、そっか~」

 

朗らかに、だが声は大きく出さず小さく出して笑う。

 

「明日のパーティーのあと、あの広場で渡すものがあるんだ」

 

あれ(・・)か?」

 

「うん」

 

「了解だ」

 

それから、俺とレインは静かに時が過ぎるのを、星空を眺めていた。

 

「そろそろ、入ろうか」

 

「だな」

 

揺り椅子から立ち上がり、俺とレインテラスを後にしマグカップを洗うと2階の寝室に向かった。

ユイが寝ているとは違うもう一つの寝室に入ると。

 

「・・・・・・・・・」

 

「レ、レイン?!」

 

いきなりレインが俺のことを押し倒してベットの上に横にならせた。

 

「キリトくん」

 

「ん」

 

「今日は・・・・・・最高の夜にしてほしいな」

 

「そ、それって・・・・・・」

 

「うん。この世界での生きていた・・・・・・私とキリトくんが一緒にいた証を、私に刻んでほしいな」

 

「レイン・・・・・・」

 

「キリトくん・・・・・・」

 

レインの言った言葉に、俺は呆然としてレインを見る。栗色のレインの髪と、髪と同じ栗色の瞳に吸い込まれそうになるほどだった。そして、レインの気持ちは俺も一緒だった。

俺はレインに言葉ではなく。

 

「ん・・・・・・」

 

行動で示した。

 

「キリトくん・・・・・・」

 

レインを抱き締めてレインにキスをした。レインも舌を絡ませて濃厚なキスをしてきた。

 

「ふふ・・・・・・」

 

「はは・・・・・・」

 

濃密なキスを終えた俺とレインはクスッと笑い。

 

「レイン」

 

「うん、キリトくん・・・・・・。私に、君がいたという証をたくさん、忘れられないようにしてね」

 

「ああ」

 

俺とレインは一つとなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

現在の最前線 第100層

 

 

残り     0層

 

 

 

最終決戦まであと     2日

 

 

 

 

 

 

 

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