ソードアート・オンライン 黒の剣士と紅の剣舞士 二人の双剣使い   作:ソーナ

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HF編 第139話〈The LastBattle(終焉への戦い)

 

~キリトside~

 

ユイとストレアの妹たちを防御プログラムから解放した俺たちの次の目下の敵は、目の前にいる暴走し、異様な姿となって現れたストレアだった。

相棒(双剣)を握りしめて、俺は・・・・・・いや、俺たちはストレアを助けるために、俺たちの前に現れたストレア―――ホロウストレアに向かって行った。

 

「はぁあぁぁぁぁ!!」

 

ホロウストレアとの距離を一瞬で詰めた俺は、初撃から最速の斬撃を振るう。対するホロウストレアはなにも動作(アクション)を起こさずにいた。そのまま俺の双剣による斬撃が当たるかと思われた。しかし。

 

「―――!」

 

「なっ!?」

 

紫の鎧籠手の鉤爪にそれは防がれた。

 

「ちっ!」

 

カウンターを受けないためすぐに後ろに下がった俺はホロウストレアから距離をとる。

距離を取った俺は、ホロウストレアのHPゲージを見上げる。

 

「っ?!」

 

HPゲージを見た俺は目を見開いた。レインたち、他のプレイヤーも足を止める程だ。何故なら、ホロウストレアのHPゲージは全部で―――

 

「は、八段だと・・・・・・!?」

 

今までのボスの、それこそMHCPの彼女たちの前に戦ったホロウアバター、そして75層のボス、スカルリーパーと同じ五段HPゲージを遥かに超えた八段だったからだ。

 

「おいおい、嘘だろ。八段なんて・・・・・・」

 

「今まで見た事ありませんよ・・・・・・」

 

八段という膨大な量のHPゲージに辺りから動揺のざわめきが広がる。そこに。

 

「―――!」

 

「っ!全員今すぐその場から離れろ!」

 

『『『『『!!』』』』』

 

俺の声にすぐさま全員がその場から退避する。退避し終わると同時に、そこにホロウストレアから直線上に白金のビーム・・・・・・ブレスを放った。

とっさに俺が気づいたから良かったものの、あんなのが直撃したら一溜りも無い。

 

「くそっ!」

 

「キリトくん!」

 

俺はホロウストレアが攻撃し終わると同時にその場を蹴り、ホロウストレアの巨体に肉薄する。

 

「うおおおおおお!!」

 

片手剣ソードスキル《ノヴァ・アセンション》10連撃を高速で放つ。

 

「―――!」

 

ようやく初撃(ファーストヒット)が当たり、ホロウストレアの膨大なHPが僅かに減る。ホロウストレアは声にならない甲高い声を上げ、鎧籠手の右手を振り下ろしてくる。

 

「させるかっての!」

 

「キリト、こっちは任せろ!」

 

それをクラインの刀とエギルの両手斧が弾いた。

 

「クライン!エギル!」

 

驚いている俺を他所に。

 

「独断先行ってのは無しだキリトさん!全員、各々の力を振り絞れ!我々は、必ず勝つぞ!」

 

『『『『『おおおおーーーっ!!』』』』』

 

リンドさん率いる聖竜連合とソロ、またはパーティーを組んでいる攻略組の面々がホロウストレアに攻撃を仕掛ける。

 

「リンドさん!」

 

「スイッチを活用して攻撃してください!それぞれ最後まで全力で戦いましょう!」

 

『『『『『おおおおーーーっ!!』』』』』

 

その反対側ではアスナが血盟騎士団のメンバーに激励を飛ばしていた。

 

「いくよ姉ちゃん!」

 

「ええ!援護するわユウ!」

 

「リーザ行くよ!」

 

「分かってるわラム!」

 

「シリカ!」

 

「はい!リズさん!お願いピナ!」

 

「キュウ~!」

 

「いっくよ~っ!」

「そうはさせないわ!」

 

「フィリアちゃん、お願い!」

 

「まかせてアスナ!」

 

辺りでは一瞬で攻略組の全員が各々の力を最後まで振り絞ってホロウストレアと戦っていた。そこに。

 

「キリトくん、いくよ」

 

レインが隣に立って言った。

 

「レイン」

 

レインの顔を見て言うと。

 

「パパ!ママ!頑張って下さい!」

 

「回復が足りないヤツはオレっちたちに言えヨ!」

 

後ろからユイと、ユイを守っているアルゴの声が聞こえてきた。

俺はそれに気持ちを一旦落ち着かせて。

 

「いくぞレイン!」

 

「うん!」

 

「「共鳴(レゾナンス)!」」

 

「零落白夜!」

 

「絢爛舞踏!」

 

《シンクロ》スキルを同時に発動させ。

 

「はああああああああああ!!」

 

「やああああああああああ!!」

 

思いっきりホロウストレアに接近してソードスキルを繰り出す。

 

「―――!!」

 

「二人に続けぇ!」

 

『『『『『おおおおーーーっ!!』』』』』

 

俺とレインの攻撃に当たりから声が上がった。

 

「―――!」

 

対するホロウストレアは声にならない、そもそも声を上げてるのか分からないが、気配から高い雄叫びを上げてると感じ取れた。

 

「―――!」

 

「っ!タンク!」

 

ホロウストレアの攻撃動作を見たランがすぐに声を上げ、すぐさまタンク隊のプレイヤーが防御の姿勢をとる。

そのすぐあと、ホロウストレアを中心に衝撃波が放たれた。

 

『『『ぐぅぅっ!』』』

 

衝撃波はホロウストレアを中心に全方位に向かって放たれた。

 

「(くっ・・・・・・!HPは膨大な上に攻撃力も防御力も高いのかよ!)」

 

双剣をクロスして衝撃波を受け流した俺は自身のHPゲージを見る。見るとHPは今ので1割ほど削られていた。

これで速度も速かったらふざけんなって言いたいところだが、どういう訳かホロウストレアはその場から動かない。正確には、その巨体が動かないのだ。恐らく、紅玉宮の床に接着してのだと思われる。もっとも、この巨体で動かれたら手の施しようがないが。

 

「うおおおおおおお!」

 

防御から一転して攻撃に先んじる俺は、容赦無く《二刀流》ソードスキル《デブス・インパクト》重攻撃5連撃を繰り出す。

 

「――――――!!」

 

《デブス・インパクト》の追加効果で、ホロウストレアのHPゲージ上に防御低下のデバフアイコンが現れる。これで少しはダメージが通りやすくなったはずだ。

 

「これでもくらぇぇ!!」

 

「やあぁぁぁぁっ!!」

 

ホロウストレアが怯んだところに、リズの片手棍とシリカの短剣がホロウストレアを襲う。シリカの作った道を駆け抜けたリズは、片手棍でホロウストレアの頭部を狙う。

 

「――――――!」

 

頭部に片手棍を叩き込まれたホロウストレアはスタンしたのか動きを止める。

 

「今よ!全員攻撃!」

 

すぐさまアスナが指示をだし、攻略組全員の多重ソードスキルがホロウストレアに襲い掛かる。

 

「――――――!!」

 

俺たちの多重ソードスキルを食らい、ホロウストレアのHPゲージは八段ある内の、八段目の半分にまで減った。

俺たちのソードスキルが終わると同時にスタンが解除されたホロウストレアは右の鉤爪で、そこにいる一団を狙う。しかし。

 

「させない!」

 

「うおおおおおおおおっ!!」

 

「でりゃあぁぁぁぁぁっ!!」

 

「はあぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

 

後ろからシノンの弓による援護とエギルとクライン、聖竜連合のシュミットさんがそれを防ぐ。それに続いて。

 

「いくよ!―――サウザンド・レイン!」

 

レインが近距離からホロウストレアに向けて《サウザンド・レイン》を射った。

 

「――――――!」

 

近距離から《サウザンド・レイン》を受けたホロウストレアの巨体のあちこちには、《サウザンド・レイン》の蒼色の剣が突き刺さっていた。

 

「キリトくん!アスナちゃん!」

 

「ああ!」

 

「ええ!」

 

俺とアスナは《サウザンド・レイン》に続いてホロウストレアに接近する。

 

「やあぁぁぁぁっ!!」

 

「おおぉぉぉぉっ!!」

 

アスナは細剣ソードスキル《ヴァルキュリー・ナイツ》9連撃を、俺は《二刀流》ソードスキル《クリムゾン・スプラッシュ》重攻撃8連撃を繰り出す。《サウザンド・レイン》の追い撃ちを掛けるように、休む暇もなくソードスキルを受けたホロウストレアのHPは少しずつだが徐々に削れていく。さらに左右でも、ソードスキルのライトエフェクトが煌めく。

 

「――――――!」

 

「させません!」

 

「そうはいかないわ!」

 

ブレス攻撃を放とうとするホロウストレアに、ラムとリーザの二人がブレスを撃とうとする直前に、ホロウストレアの頭部を攻撃しブレス攻撃を中断(キャンセル)させる。

頭部を攻撃され、またしても動きが止まったホロウストレアに俺とレインが秘奥義を放つ。

 

「うおぉぉぉぉぉぉぉっ!!」

 

「はあぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

 

溜め(チャージ)を終えた俺とレインは、秘奥義である《ネビュライド・エンプレス》と《アンリミテッド・オーバーレイ》を同時に繰り出す。さすが秘奥義なのか、通常のソードスキルで攻撃するよりもホロウストレアのHPゲージが減る速度が早い。俺とレインの秘奥義を受けて、ホロウストレアの八段あるHPゲージは、八段目が無くなり、七段目にまで突入した。このまま秘奥義を打ち続ければ倒せるんじゃないかと思うが、実際にはそうはいかない。いや、いかないのではなく、いけない(・・・・)。なにせ、今日秘奥義を放ったのはこれで二回目だ。さすがに連続で繰り出すと剣の耐久値が無くなって砕け散ってしまう。秘奥義はその威力に比例して、剣の耐久値をかなり奪うのだ。恐らく、俺とレインが秘奥義を放てるのはあと二回だろう。多くて三回、だがそれまでに持てばいいが、みんなこの連戦で疲労が溜まってる。長時間の戦闘は無理だ。それはもちろん俺たちもだ。それが分かっているのかアスナがそれぞれ指示を出していく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一時間半後

 

 

「はああああああああああ!!」

 

「――――――!!」

 

「負けられるかぁぁぁっ!」

 

「私たちは―――!」

 

「―――絶対に、負けない!」

 

ホロウストレアの残存HPは四段半となっていた。堅すぎる防御は並大抵の攻撃では歯が立たなく、ホロウストレアの攻撃はどれも強力と苦戦を強いられた。

あれから特に攻撃パターンが変わることはなく、ホロウストレアの攻撃は直射ブレスと全方位への衝撃波、両腕の鉤爪による攻撃、それと全方位への衝撃波を一区画だけから放つ小規模の衝撃波だ。

俺たちは交互にスイッチを取りながらホロウストレアにダメージを与えていった。変化があったのは――――――。

 

「――――――!!!」

 

「な、なんだ?!」

 

「な、なに?!」

 

ホロウストレアの残りHPが四段目に突入したその直後、ホロウストレアの巨体を包むように薄紫と紅玉色を混ぜ合わせたようなオーラが現れた。そして、ホロウストレアの鎧籠手を着けてない白い手に、一本の薄紫の大剣が顕現した。しかも、両手にだ。

その大剣を視た俺たちは目を見開く。

 

「あれは―――!」

 

「ストレアちゃんの両手剣!」

 

その大剣―――両手剣はストレアの剣である、インヴィリアだったのだ。それも二本。

 

「まさかストレアの剣を出してくるなんて・・・・・・!」

 

MHCPたちと戦う前に戦ったホロウアバターの使った両手剣もだが、目の前のホロウストレアの握る剣は、何処か禍々しいというか不気味な感じだった。

そう感じているや否や。

 

「っ!危ない!」

 

右手の剣を攻撃している攻略組の一団を狙って振り下ろしてきた。

とっさにそこに入り込み双剣をクロスブロックしてホロウストレアの振り下ろした両手剣を受け止める。

 

「(ぐうっ・・・・・・!)」

 

ガンッ!と剣と剣がぶつかり合う金属の音を盛大に響かせながら、俺の双剣(相棒)とホロウストレアの両手剣がぶつかった。

 

「(っ!お、重すぎる!?)」

 

両手剣を受け止めた俺は、その両手剣の重さに驚愕した。この重さは、かつて75層でスカルリーパーと戦ったときと同じ感じだ。もちろん、その頃よりかなりレベルアップしているから今なら、スカルリーパーの鎌を一人で受け止められると思う。しかし、このホロウストレアの振り下ろしてきた両手剣の重さは、その時に匹敵するほどの重さだった。

もちろん、一人で受け止められるがこれ以上重くなったらさすがの俺でも受け止めきれない。そう思っていると、ホロウストレアがさらに両手剣に力を要れて押し込んできた。

 

「ぐ・・・・・・っ!」

 

双剣で受け止めながら膝をつく。幸いにも、俺が受け止めている間に、そこにいた攻略組のプレイヤーは放れ、その腕に攻撃している。

 

『おおおおおおおっ!』

 

『はああああああっ!』

 

腕に攻撃しているプレイヤーのダメージが蓄積したのか、ホロウストレアが両手剣に力を要れるところが弱まったところに。

 

「キリト!」

 

「キリトさん!」

 

「フィリア!ラン!」

 

フィリアの短剣とランの片手剣が同時に両手剣の刃に当たった。そしてその隙を逃さず。

 

「うっ・・・・・・ああああああっ!!」

 

思い切り両手剣を跳ね上げた。

 

「――――――!」

 

両手剣を跳ね上げ、がら空きの胴体に向けて。

 

「スターバースト・―――ストリーム!!」

 

《二刀流》ソードスキルの中で最も修練したであろうソードスキル、《スターバースト・ストリーム》16連撃を打ち込む。

更に続けて。

 

「ダークネス・カーニバル!」

 

「ラスティー・ネイル!」

 

フィリアとランのソードスキルが叩き込まれる。

 

「――――――!!」

 

俺たち三人の強力なソードスキルを食らったホロウストレアは苦悶の表情らしきものを浮かべる。

 

「ボクたちもいるよ!」

 

「いくよユウちゃん!」

 

俺たち三人のソードスキルが終わると同時にユウキとリーファのソードスキルがホロウストレアの巨体を捉える。

 

「シノンちゃん!」

 

「ええ、まかせて!」

 

後ろからはレインとシノンの援護射撃のソードスキルが放たれた。

 

「いくぜエギル!」

 

「おお!」

 

「いくわよ!」

 

反対側ではエギルとクライン、アスナのソードスキルが命中する。

辺りはすでに混戦のような感じだ。ホロウストレアの両手剣を盾持ちのプレイヤーが受け止めたり、かわしたりして少しずつダメージを与えていく。HPがイエローゾーンに入ったプレイヤーは後方に下がり回復する。アルゴとユイも補給部隊のような立ち位置になっている。幸いにも、ホロウストレアはソードスキルを使わなかった―――いや、使えないと言うべきか。巨体が紅玉宮の床に張りついてるみたいでその場から動けないホロウストレアは、両手の剣を振るうだけだった。ソードスキルじゃない分、やり易かったがホロウストレアの攻撃の幅が広がり、俺たちは相変わらずかなりの苦戦を強いられていった。少しずつHPを削りっていき。

 

「―――っ!しまっ―――!」

 

初動作無しで放たれた衝撃波に吹き飛ばされた。吹き飛ばされ、わずかにスタンした俺にホロウストレアは右手の剣を振り下ろしてきた。

 

「くっ!」

 

「キリトくん!」

 

動こうとするがスタンした影響でうまく動かない俺に、ホロウストレアは躊躇なく剣を振り下ろしてくる。そのまま俺に当たるかと思われた薄紫の両手剣は―――。

 

 

 

 

「ふんっ!」

 

 

 

 

 

「なっ―――!?」

 

突如として目の前に現れた一人のプレイヤーの巨大な盾に阻まれた。さらに、そのプレイヤーはホロウストレアの剣を難なく跳ね返したのだ。そのプレイヤーの姿を見た俺は目を見開いた。

 

「キリトくん、大丈夫?!」

 

「あ、ああ」

 

レインの手を借りて、立ち上がり目の前にいるプレイヤーに視線を向ける。

 

「何であんたがここに・・・・・・!」

 

そのプレイヤーを見た俺は思わずそう声に出した。

何故なら、そのプレイヤーはここにいないはず―――いや、いなかったはずなのだ。あの時から。

 

「―――ふむ。ギリギリのところだったみたいだね」

 

「そ、そんな、なんでここに・・・・・・」

 

そのプレイヤーの声にレインも驚く。そのプレイヤーの姿は紅と白のサーコートを着た最低限の鎧に、右手に細長い細剣と同じくらいの十字剣、そして左手に持った巨大な純白の十字盾。そのプレイヤー・・・・・・いや、ソイツは。

 

「久しぶりだね、キリト君にレイン君」

 

この世界の管理者にして支配者、ゲームマスター。そして、血盟騎士団団長。

 

 

 

 

 

 

「―――ヒースクリフ!」

 

 

 

 

 

 

茅場晶彦(ヒースクリフ)だった。

 

 

 

 

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