ソードアート・オンライン 黒の剣士と紅の剣舞士 二人の双剣使い   作:ソーナ

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HF編 第142話〈英雄(キリト)VS創造者(ヒースクリフ)

 

~キリトside~

 

 

 

「―――いくぞ、ヒースクリフ!」

 

そう言うと同時に、俺はその場を蹴り一直線にヒースクリフに向かっていった。

 

「オオオオオーーーッ!!」

 

「はああっ!」

 

初撃の、右の『エリュシデータ・ナイトローズ』の切り下ろしはヒースクリフの巨大な十字盾に阻まれ、ヒースクリフからの攻撃を左の『ダークリパルサー・ユニヴァース』で受け止める。

 

「ふっ!」

 

「はあっ!」

 

拮抗状態から同時に後ろに下がり距離を取る。

 

「・・・・・・こうして最後のボスとして君と合間見えることが嬉しいよ。望み通り、決着をつけようキリト君」

 

「ああ、そうだなヒースクリフ。あの時の勝負の決着をつけよう!」

 

そういい終えると、俺とヒースクリフはほぼ同時に床を蹴り、相手に向かって突っ込んでいく。

俺の剣戟をヒースクリフは盾を見事に使い防いでいき、ヒースクリフの攻撃を俺は双剣で巧みに捌いていく。

 

「ぜりゃあっ!」

 

「ふっ!」

 

剣と剣。剣と盾が幾度となくぶつかっていき、高速の剣戟の応酬が始まる。

 

「りゃあっ!」

 

「はっ!」

 

こっちがソードスキルを発動すれば、ヒースクリフも同様にソードスキルを発動し相殺、または盾を使って受け流していき、ヒースクリフがソードスキルを使えば、俺も同様にソードスキルで相殺、またはソードスキルの剣の軌道を逸らしていく。

 

「はあっ!」

 

「せいっ!」

 

完全に回復していた俺とヒースクリフの、互いのHPは少しずつ減っていき、今はイエローゾーンの近くにまで減っていた。

 

「せやあっ!」

 

「はああっ!」

 

甲高い金属音が鳴り響き、俺とヒースクリフはまたしても鍔迫り合いになる。

 

「ふむ。まさか、ここまでは・・・・・・私の予想以上だ」

 

「そっちこそ・・・・・・。相変わらず硬すぎるぜ」

 

距離を互いに大きく取った俺とヒースクリフはそれぞれ嫌味を言う。

 

「あの時よりもさらに強くなったようだなキリト君」

 

「まあな」

 

まあ、76層に来てからここまで色々あったからな、と思い返しつつヒースクリフに返す。

 

「さすがここまで彼らを率いてきただけのことはある」

 

「別に俺は率いてきたわけじゃない。ただ、ここに来れたのはすべてのプレイヤーのお陰だってことだ」

 

「なるほど・・・・・・実に君らしい言葉だな」

 

「ふっ。そう言えば、まだ礼を言ってなかったな」

 

「礼?なんのかね」

 

「俺とレインの双剣についてだ」

 

そう、俺とレインの双剣はヒースクリフが送ってきたものだ。あの試練のクリア後に上から落ちてきた。そして、それと同時にヒースクリフからのメッセージも添付されていた。あの剣があったから、俺たちは須郷の企みも阻止出来、ストレアを助け出すことも出来たのだ。まあ、コイツに礼を言うというのは気が滅入るが。

 

「別に気にする必要は無い。あれは私からの餞別だとでも思ってくれたまえ」

 

「そうか、なら・・・・・・っ!!」

 

「っ!」

 

「遠慮なく行かせてもらうぞ!」

 

「こちらも行くぞ!」

 

再び高速の剣戟の応酬が始まる。

キンッ!、キンッ!と金属がぶつかり合い、奏でる戦慄(メロディー)を響かせて俺とヒースクリフは、これが最後の戦闘だということすら忘れて、ただ楽しくぶつかりあった。

 

「ははっ!」

 

「ふっ!」

 

連続して行われる剣戟の雨に、俺とヒースクリフのHPは少しずつ減っていく。

 

「ふんっ!」

 

「せあっ!」

 

ヒースクリフの十字盾による突きをクロスガードで受け止め、滑るようにして剣を振り払う。だが、それは直撃する前にヒースクリフの持つ十字剣の腹によって防がれる。

すぐに下がり、ヒースクリフの背後を取る。背後に回り込んだ俺は片手剣ソードスキル《ソニックリープ》を発動させる。

 

「りゃあっ!」

 

しかし、そのソードスキルをヒースクリフは流石の反応速度で盾を構えて受け止めた。

 

「はああっ!」

 

ヒースクリフはそのままカウンターで《神聖剣》のソードスキルを放ってくる。

 

「うおおっ!」

 

俺はすぐにそのソードスキルに向けて相殺するように片手剣ソードスキル《デッドリー・シンズ》を繰り出す。濃い赤のライトエフェクトと、クリアブルーのライトエフェクトがぶつかり合い衝撃波が放たれる。

 

「っ!」

 

「ぬっ!」

 

「はああっ!!」

 

「ふんっ!!」

 

数えきれないほどぶつかり合い、俺とヒースクリフのHPがついにイエローゾーンに突入した。

 

「くっ・・・・・・!」

 

「っ・・・・・・!私にここまでさせるとは!」

 

「それはこっちの台詞だ!」

 

ヒースクリフの剣が速くなる度に、俺も剣速を速める。

 

「(もっとだ・・・・・・もっと、速く・・・・・・!!)」

 

自身の限界まで速く振るう。システムの許容する速度を越え五感をフル活動させ、倒すべき相手―――ヒースクリフに向かって全力で相手をする。

 

「なっ!?まだ上がれると言うのかっ?!」

 

「―――まだだ・・・・・・まだ・・・・・・まだ、上がれる!着いてこられるかヒースクリフ!」

 

「よかろう!」

 

戦闘の意識のギアをもう一段階上げ、意識を高め集中させる。

すでに俺の眼にはヒースクリフしか写ってなく、すべてがスローモーションに見えた。

ヒースクリフの剣による右切り下ろしを『ダークリパルサー・ユニヴァース』で弾き、『エリュシデータ・ナイトローズ』で片手剣ソードスキル《ハウリング・オクターブ》を発動させる。

 

「ぬうっ!!」

 

「ああああああーーーっ!!!」

 

《ハウリング・オクターブ》の8連撃目の上段切り下ろしのラストから俺は、本来ある技後硬直を無視して俺はさらにソードスキルを発動させた。

 

「なにっ!?」

 

片手剣ソードスキル《エヴァーティング・ストライク》7連撃をシステムを無視して発動させたことにヒースクリフも驚愕の表情を隠せずにいた。ヒースクリフはギリギリで盾で7連撃を防ぐ。

 

「くっ!ここまでとは!」

 

システムアシストによってヒースクリフの背後に回り込んで放つ《エヴァーティング・ストライク》の6、7撃目をヒースクリフは《神聖剣》ソードスキルで反撃して受け止める。

 

「はああっ!!」

 

「ぜああぁっ!!」

 

《エヴァーティング・ストライク》を放ち終わり、技後硬直が発生するのをシステムに反してキャンセルさせ強引に三度目のソードスキルを繰り出す。

 

「はあああああああーーーっ!!!」

 

「っ!!」

 

片手剣ソードスキル《ヴォーパル・ストライク》単発重攻撃を撃ち放つ。ジェットエンジンのような、剣の雄叫びを轟かせながらクリムゾンレッドのライトエフェクトを煌めかせて弓から放たれた矢のように、勢いよく一直線にヒースクリフへと突き進む。

《ヴォーパル・ストライク》を盾で受け止めたヒースクリフは、さすがにその勢いまでは殺せなかったのか、盾を構えたまま後ろに滑って下がった。そして―――。

 

「なっ!」

 

ヒースクリフの巨大な十字盾の中央部に、ピシリッ!と小さな罅が入った。

動揺したヒースクリフの隙を見逃さず、俺は追撃を仕掛ける。

 

「うおおおおっ!!」

 

「っぐ・・・・・・!」

 

左右の剣による攻撃を、ヒースクリフは盾になるべくダメージが貯まらないように受け止めるのではなく、受け流すか剣による逸らしを軸として防戦に入る。

 

「せやあっ!!」

 

「ぬう・・・・・・っ!!」

 

ヒースクリフに攻撃する暇を与えない速度で双剣を振るっていく。右切り下ろしからの左突き。右切り上げから左薙ぎ、右薙ぎ、逆袈裟懸けからの連続突き、と絶え間なく攻撃を続ける。ヒースクリフはそれを焦るように防ぐ。

 

「まだだ!」

 

絶え間無い連続の剣技。正直、今この戦闘にすべてを掛けてると言っても過言ではない。それは恐らく、ヒースクリフも同じだろう。

 

「させんっ!」

 

「くっ!!」

 

一瞬の隙を着いて、カウンターで攻撃を跳ね返してきたヒースクリフ。俺は反動を受け、ヒースクリフから距離を取らされ紅玉宮の壁に足をつけて下がる勢いを殺し、床に着地する。さすがの俺も息が絶え絶えになっていた。対するヒースクリフも珍しく息を絶え絶えになっていた。そして、その巨大な十字盾にはさらに大きな罅が走る。息を調える俺とヒースクリフはニヤリと笑い。

 

「―――もはや、私がラスボスだろうが、そんなことどうでも良くなってきた」

 

「奇遇だな・・・・・・俺もだ。おまえがラスボスだろうが、なんだろうがもうどうだっていい」

 

「ふっ・・・・・・。そうだ、私は―――」

 

「ああ。そうだ、俺は―――」

 

 

 

「「一人のプレイヤーとして、おまえを(君を)倒して乗り越えたい!!」」

 

 

 

同時にそう告げる。

もはや、コイツがラスボスだろうがどうだっていい。俺は、ラスボスのヒースクリフではなく。一人のプレイヤーとして、同じく一人のプレイヤー、ヒースクリフ(・・・・・・)を打ち倒したいのだ!それは、あの75層でのことや、それより前にした決闘(デュエル)のことを含めてだ。今の俺のヒースクリフとの戦闘の結果は、0勝1敗1分け。対してヒースクリフは1勝0敗1分けだ。知らなかったとはいえ、俺は一度もヒースクリフというこの世界に存在するプレイヤーに勝ってないのだ。だから、俺は―――。

 

「俺は・・・・・・ヒースクリフ、おまえに・・・・・・勝つ!勝って、この世界を終わらせる!」

 

「ふっ。よかろうキリト君!この魔王である私に勝って、この世界を終わらせてみたまえ、英雄キリト君!!」

 

「挑むところだっ!!」

 

俺は意思を込め。

 

「はあアアアアアアアアっ!!」

 

「こいっ!キリト君!」

 

レインや、ユイ。アスナ、ユウキ、ランたちみんなの思いを込めて俺の相棒(双剣)を、魔王ヒースクリフにぶつける。

 

「―――ジ・―――」

 

一瞬で肉薄し、双剣にシルバーブルー(蒼銀)の光目映く輝くライトエフェクトを纏わせて《二刀流》最上位のソードスキルを放つ。

 

「―――イクリプスッッ!!!!」

 

《二刀流》最上位ソードスキル《ジ・イクリプス》27連撃。太陽のコロナを彷彿させる《二刀流》最強のソードスキルがヒースクリフに襲い掛かる。

 

「はああっ!!」

 

一撃、一撃がヒースクリフの巨大な十字盾に受け流されていく。あのときも、ヒースクリフは俺の《ジ・イクリプス》を受け流していった。そして、あれが起こった。もし、あれが起こらなかったら、負けていたのは俺だ。だが、ここではそんなことはさせない。俺はさらに意思を込めレインが創ってくれた双剣。黒く、闇をも呑み込むほどの漆黒の剣、『エリュシデータ・ナイトローズ』と、白く、光を目映く照らし闇をも受け付けない純白の剣、『ダークリパルサー・ユニヴァース』。俺は、すべてを込めて、体にも、そして剣にも意思を込めていく。

《ジ・イクリプス》の連撃が24撃目、25撃目、26撃目となっていき。

 

「うおおおおおおーーっ!!!」

 

ラスト27撃目の左突きがヒースクリフの十字盾に突き刺さる。

それを見たヒースクリフは笑みを浮かべ。

 

「―――私の勝ちだ。さらばだキリト君!」

 

そう勝ち誇ったかのように言う。

しかし。

 

「いや・・・・・まだだぁぁーーっ!!」

 

「なんだとっ!?」

 

俺はそこから、新しいソードスキルに繋げた。

剣技連携(スキルコネクト)。《二刀流》同士を繋げたことは始めてだったが、剣技連携は俺の意思に答えてくれた。

新たなソードスキルのライトエフェクトは、《ジ・イクリプス》のシルバーブルーのライトエフェクトよりも青く、純白に光輝く、クリアホワイトブルーのライトエフェクトを双剣に照らした。

 

「ぬおおっ!!」

 

「はああああッ!!―――スターバースト・―――」

 

新しい《二刀流》ソードスキルは、俺が最も修練した《二刀流》ソードスキル。星屑溢れる銀河の煌めきを彷彿させる、流星の嵐のようなソードスキルがヒースクリフへと再び襲い掛かる。

 

「―――ストリームッッ!!!!!」

 

《二刀流》ソードスキル《スターバースト・ストリーム》16連撃。俺が最も修練した、《二刀流》ソードスキル。そして、あの時の決闘でヒースクリフの盾を抜かしたソードスキル。

 

「うおおおおおおっ!!!」

 

「はああああああっ!!!」

 

ヒースクリフの放つ《神聖剣》のソードスキルを《スターバースト・ストリーム》で迎撃し、十字盾に攻撃し罅を広がらせる。

《スターバースト・ストリーム》は16連撃、強力だが今、この状況に置いては決定打に欠ける。ラスト16連撃目へと迫るなか、俺はすべての一撃をこれに託すことにした。

やがて、ヒースクリフへの《スターバースト・ストリーム》16連撃がラスト16撃目に到達し、16撃目の左突きがヒースクリフの持つ十字剣に阻まれる。

 

「くっ・・・・・・!だが、これで―――っ!」

 

ヒースクリフの言葉が途中で途切れた理由は、俺の右手の『エリュシデータ・ナイトローズ』が原因だ。本来ならあるはずの技後硬直を完全無視、システムの理に反する行動を取った。

『エリュシデータ・ナイトローズ』には深紅のライトエフェクトが光輝き、それはもはや深紅というより、紅玉に近い輝きを放っていた。

 

「これで―――終わりだあああああーーーーッ!!!

 

カタパルトのように折り畳まれた右手から一直線に、勢いよくヒースクリフ目掛けて貫いていく。

 

「っ!」

 

片手剣ソードスキル《ヴォーパル・ストライク》。俺が長く活用した、単発重攻撃のソードスキル。

ヒースクリフは車線上に十字盾を構えるが。

 

「うおおおおおおおおおおおおおっ!!!!」

 

「なっ・・・・・!!?」

 

十字盾は『エリュシデータ・ナイトローズ』の勢いを止めることすら出来ず、中央部から罅が全体に走り渡り、やがてヒースクリフの持つ、十字盾を破壊した。紅玉のライトエフェクトを輝かせた『エリュシデータ・ナイトローズ』はそのままヒースクリフの胴体に突き進み。

 

「ふ・・・・・・」

 

ヒースクリフが眼を閉じ笑みを浮かべたと同時に、ヒースクリフの体に突き刺さった。そして、数秒と経たずにヒースクリフの残り僅かなHPを余すことなくすべて奪い尽くして、ヒースクリフのHPを0にした。

 

「・・・・・・見事だ、キリト君」

 

 

 

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