ソードアート・オンライン 黒の剣士と紅の剣舞士 二人の双剣使い   作:ソーナ

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「ヤッホー、みんな!ソーナだよ!ついに・・・・・・ついに、アインクラッド編から続いたHF(ホロウ・フラグメント)編が終わりを迎えたよ!」

「おめでとうソーナ!やったな!」

「おめでとうソーナさん!お疲れ様だよ!」

「あ!キリト!レイン!二人とも来てくれてありがとう!」

「いやー、にしてもここまで来るのに2年近く掛かったな」

「ホントだね。キリトたちがSAOで過ごした年月と同じだよ」

「あ、ホントだ」

「それじゃ、早速、HF編の最終話、〈現実世界への帰還〉を───」

「「「どうぞっ!!」」」





HF編最終話 第144話〈現実世界への帰還〉

 

~キリトside~

 

 

 

 

こうして、生き残ったおよそ6000人のSAOプレイヤーたちは、現実の世界へと帰ってくることが出来た。現実に戻ってから、まず俺たちを待っていたのはリハビリの日々だ。低下してしまった筋力を、元の生活ができるまで戻すのはかなりの苦労があった。それでも・・・・・・直接会いに行きたい仲間たちや最愛の人のことを思うと、リハビリをがんばり続けることが出来た。退院して久しぶりに帰ってきた我が家は、俺が現実に帰ってきたことを強く思わせるものだった。やっと帰ってきた・・・・・・と思う安堵感ともう向こうの世界には行けないという、虚無感が複雑に俺の心に絡み合う・・・・・・。

《ソードアート・オンライン》このゲームで死んだプレイヤーは現実でも命を落とすデスゲーム・・・・・・。このゲームを作った茅場晶彦は、凶悪な犯罪者として世の中の人達の記憶に忘れることなく残るだろう・・・・・・。事件解決後に俺を訪ねてきた対策チームの人間から聞いた話では、茅場晶彦は長野県の山荘で見つかったらしい。しかし、見つかった時にはすでに死んでいた。《ナーヴギア》に残されたログから、自ら大脳に超高出力スキャニングを行い、脳を焼き切って死んだとのことだ。しかし、不思議なのは茅場晶彦が死んだとされる日にち・・・・・・。死亡推定時刻とゲームクリアをした日から逆算すると、100層での戦いよりも、もっと前・・・・・・。11月7日、75層で俺と戦った前後に茅場は死んだことになる・・・・・・。そうすると100層で戦い、あの場所で出会ったあいつは本当に茅場本人だったのだろうか・・・・・・。茅場は別れ際にSAOの世界を自身の唯一の現実であると言っていた・・・・・・。もしかすると茅場はネットワーク上に、自分自身を残す方法をすでに持っていて不要になった肉体を捨てたのではないか・・・・・・。あのSAOを作った茅場なら、それくらいの事はやってしまいそうな。そんな気がした・・・・・・。

・・・・・・アルベリヒ。・・・・・・須郷伸之は、現在警察で取り調べを受けている。俺やレイン、アスナたちの証言と、須郷や他国の人間とが接触した記録・・・・・・。そして、何処からかリークされた人体実験などのデータ。これらの証拠から、VRMMO内での出来事としては異例の本格的な捜査が始まった。もちろん須郷はレクト社から席を外すこととなり、アスナとの結婚などという話も無くなったらしい。このリークされたデータの出処は不明らしいが、俺は大体の検討がついていた。おそらく、茅場がネットワークにリークしたのだろう。

しかし・・・・・・茅場が作ったこのゲームは、本当にただのデスゲームだったのだろうか。茅場はコンピュータの中に現実とは違う、もうひとつの現実を作りたかったのではないだろうか。そうすると、このゲームの本当の遊び方はクリアすることではなかったのかも知れないと考えさせられてしまう。もちろん、茅場のやった事は、到底許されることではない。それでも、茅場の作った世界での出会いや別れ・・・・・・仲間と共に過ごした、かけがえのない日々は本当に大切な思い出であり経験だ。その大切な思い出の続きを、この先、現実世界でも作り上げていこう・・・・・・。かつての戦友とともに・・・・・・。そして、俺の愛する人とともに・・・・・・。

 

さようなら・・・・・・ソードアート・オンライン。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「みんな~、グラスは持ったかな~!」

 

「大丈夫ですよ、レインさん」

 

「ええ。みんな持ったわ」

 

「了解!それじゃあ、みんな・・・・・・せーの!───」

 

 

 

『『『『『SAO、クリアおめでとう!!』』』』』

 

 

 

虹架の音頭に続いてそれぞれ、手に持ったグラスを掲げる。

今俺たちがいるのはエギルの店・・・・・・。第76層、アークソフィアの・・・・・・ではなく、東京都台東区御徒町にある喫茶店『ダイシーカフェ』だ。

季節はもう春を過ぎ、俺たちが現実世界に帰ってきて───SAOをクリアしてもう2ヶ月近く経っていた。全国のSAOプレイヤーが一斉に覚醒したことについての大混乱は・・・・・・まあ、語るまでもないだろう。

目覚めた俺たちを待っていたのは、検査とリハビリの日々だった。とまあ、そんなわけで、みんなが一堂に会するのはSAOをクリアしてから、今日が初めてだ。《アインクラッド攻略記念パーティ》・・・・・・大層な名前だけど、要するにSAOプレイヤーたちの打ち上げだ。

パーティが開始してしばらくして、俺とラムはみんなから少し離れ、カウンターに腰掛けた。

 

「ふぅ・・・・・・」

 

「はぁ・・・・・・

 

「・・・・・・お疲れのご様子だな」

 

カウンターに腰掛ける俺とラムにエギルが声を掛けてきた。

 

「まだリバビリの疲れが抜け切らないんだよ。2ヶ月前まで寝たきりだったのに、あんなに元気なあいつらがおかしいんだ・・・・・・」

 

「女子が三人よれば姦しい、っていいますけど、あれはそれ以上です・・・・・・」

 

「ここ2ヶ月はみんな検査ばかりで、ゆっくり話せなかったからな。ひさしぶりに、羽目を外したんだろう」

 

俺とラムの言葉にエギルは苦笑しながらレインやリーザたちのところを見る。そこはパーティに来た女子勢が喋っていた。

 

「それにしても、あいかわらず不景気な店だな・・・・・・」

 

「うるせえ。夜は繁盛してんだ」

 

俺の皮肉に、エギルは気にせず返す。実際、この店は夜はバーとして経営している。もっとも、今日は俺達の貸し切りだが。

 

「それにしても2年以上も守れるなんて・・・・・・すごいですねエギルのお嫁さんは」

 

「ははは。うちの嫁さんはしっかり者でな、俺がいない間も、この店を立派に守り通してくれた。おかげで俺はまたこうして、カウンターに立てるってわけだ。まあ、アインクラッドと違って、リアルの客商売にはいろいろしがらみもあるが・・・・・・。それでも店を経営するってのは楽しいもんだ」

 

「それに引き替え、こっちの社会人は・・・・・・」

 

「あはは・・・・・・」

 

俺とラム、エギルが視線をカウンターの横に向けるとそこには。

 

「ちくしょう・・・・・・明日も残業だよ。ああ、飲まなきゃやってられん。2年以上も寝たきりだったってのに、こんなに働かせるなんて鬼かっての・・・・・・なあ?」

 

グラスに入れた酒を飲むクラインがいた。

 

「・・・・・・ま、こういう奴もいる。人生は人それぞれってことだ」

 

クラインを見ながら言うエギルに俺とラムはうなずく。そこに。

 

「キリト!そんなむさ苦しい集団の相手なんかしてないで、アンタもこっち来なさいよ」

 

「そうです!せっかくリアルでキリトさんと出会えたんですから!今夜は離しませんよー」

 

「お、おい、引っ張るなよ」

 

斑玖(むらく)~!斑玖も来てくださいよ!」

 

「あ、愛璃沙(ありさ)、引っ張らないで───って、うわぁ!」

 

俺はリズとシリカに。ラムはリーザに、女子陣の中へと連れて行かれた。

 

「あーあー!キリト先生とラム先生はソッチ側ですよね・・・・・・。ったく、エギルには美人の嫁さん。キリトとラムは青春。俺は残業。・・・・・・こんなの、不公平だぜ」

 

「行ってこい、キリト。みんな、アインクラッドの英雄を肴にしたくて、うずうずしてるんだ」

 

「やれやれ・・・・・・それじゃあ、覚悟を決めて、いじられてくるよ」

 

「ちくしょーぅ!エギル、おかわりだ!もっと強いのをくれ!」

 

悔しげに酒を飲むクラインに、やれやれと言った感じで酒を注ぐエギルに見送られて俺は、先にラムが行った女子陣の中へと向かっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「つ、疲れた・・・・・・」

 

あの後、シリカから始まりリズ、シノン、アスナ、フィリアと話を続けていき、元アインクラッド解放軍、通称『軍』の最高責任者であるシンカーさんとユリエールさん。第1層、はじまりの街の教会で子供たちを保護してたサーシャさん。元黄金林檎のメンバーであるカインズさんとヨルコさん、等といろんな人と話して周り、すでに俺はくたくた状態だった。少し離れた場所では、ラムがぐったりとした様子でリーザから飲み物を貰っていた。

そんなゆっくり休んでいるところに。

 

「大丈夫和人?」

 

「だ、大丈夫ですか和人さん」

 

「ああ、木綿季、藍子・・・・・・」

 

幼馴染である、ユウキこと、紺野木綿季と木綿季の姉のランこと、紺野藍子が心配したように聞いてきた。

 

「いやー、すごいよね和人は」

 

「それ褒めてるのか木綿季?」

 

「褒めてるよ~。ね、姉ちゃん」

 

「ははは。ま、まあ、和人さんは英雄ですから」

 

「・・・・・・好きで英雄って名乗ってるわけじゃないんだけどなあ」

 

あの戦いの時、ヒースクリフは自身のことを魔王と呼び、俺のことを英雄と言った。そのことにより、魔王であるヒースクリフを打ち倒した俺がアインクラッドの英雄となっているのだ。決して好きで名乗ってるわけじゃない。

そう想いながら返していると。

 

「お兄ちゃん、木綿季、藍子さん、はいどうぞ」

 

リーファこと義妹と直葉が料理をお皿に入れて持ってきてくれた。

 

「さんきゅ、スグ」

 

「ありがとう直葉」

 

「ありがとうございます直葉ちゃん」

 

「いえいえ~」

 

スグが持ってきてくれたお皿にあるポテトを摘みながら4人で話す。

 

「それにしても、まさかこっちに帰ってきたら驚くことがあったなんてね」

 

「ん?ああ、あれか」

 

木綿季と俺がいう、あれ、とは。

 

「また、二人の隣の家に住めるなんて思いませんでしたよ」

 

「ほんとですね。あたしも気づかなかったです」

 

いつの間にか木綿季と藍子───紺野家が俺とスグの家、桐ヶ谷家の隣に越してきていたことだ。そのことを知った時は俺たち四人分の絶叫が響き渡ったほどだ。

そして、俺たちの親はニヤリとしていた。まあ、俺は母さんは分かるが、あの親父がしてかなり驚いたのは秘密だ。

と、その時のことを思いかえしていると。

 

「───キリトくん♪」

 

「虹架」

 

飲み物の入ったグラスを持って、虹架(レイン)がやって来た。

 

「えへへ。えっと、久しぶり・・・・・・?だね、キリトくん。あ、和人くんの方がいいかな」

 

「虹架の呼びやすい方でいいんじゃないか?」

 

真剣に迷う虹架に、苦笑しながらそう言った。

現に木綿季と藍子は俺の事を和人と言ってるし、アスナやフィリアたちはキリトと呼んでいる。

 

「えーと、じゃあ・・・・・・キリトくん」

 

「ああ」

 

「キリトくんもどっちでもいいからね」

 

「おう」

 

虹架とレイン、どっちでも呼んでもいいということだろう。仮想世界ならばレインと堂々呼べるが、現実世界となるとどっちがいいのかと悩む。俺にとっては虹架もレインも同じだからだ。

 

「お兄ちゃん、あたしたちは向こうの方に行ってるからね」

 

「え?」

 

突然スグにそう言われ驚いている間に、スグと木綿季、藍子の3人はそそくさと離れて行った。

 

「え、えー・・・・・・」

 

さすがの手早さに虹架も呆気に取られていた。

 

「ったく、三人とも・・・・・・」

 

対する俺は三人の魂胆に苦笑いを浮かべるしか無かった。

別にスグたちが居ても問題ないのだが。やがて、虹架も三人の魂胆に気付いたのか。

 

「あはは。も、もう、リーファちゃんたちは・・・・・・」

 

苦笑を浮かべていた。

 

「やれやれ・・・・・・。あー、久しぶりだなレイン」

 

「うん」

 

俺と虹架が現実世界で出会うのは今回が始めてだ。虹架に関して、あの総務省の役人、確か、菊岡だとかいう人に聞いていたが実際に会うのは始めてだ。まあ、この2ヶ月近くは各自病院でリハビリの日々だったからしかたないが。

 

「こうして話すのはあの時以来・・・・・・だね」

 

「だな」

 

最後、茅場と話したあの黄昏の場でのことを言っているのだとすぐに分かった俺は、思い返すように返す。

 

「私ね、今日を楽しみにしてたんだ。また、みんなでこうして集まるれるなんてね」

 

「それも、エギルの店でな。まるで、今夜だけアインクラッドに戻ってきたみたいだな」

 

「ほんと・・・・・・。こうしてると、また明日から攻略に出かけるとか、街で過ごしたりするような・・・・・・そんな気がするよ」

 

「俺もだ」

 

「ユイちゃんとストレアちゃんも一緒にいられれば良かったのに・・・・・・」

 

「ああ・・・・・・ほんと、ユイとストレアが一緒だったら全員揃ってたのにな・・・・・・」

 

アインクラッドのアークソフィアでは、ほぼ毎日俺達は一緒にいたため、俺はどこか虚しさがあった。

 

「今でも夢に見るんだ。21層と83層にある、森の家で、私とキリトくん、ユイちゃん、三人一緒に暮らしていたあの時のこと」

 

「レイン・・・・・・」

 

「あっ。別に、今が嫌ってわけじゃないんだよ。でも、もう二度とあそこには戻れないんだなあ、って思っちゃうと・・・・・・ちょっとだけ、さびしいな」

 

「確かに、SAOに戻るのは難しいかもしれないけど、三人一緒に───いや、ストレアも入れた、四人一緒に暮らすって夢は、これから叶えられるさ。ユイとストレアのデータはあるし、俺とレインはこうして、今も一緒にいる。俺たちが本当に幸せになるのはこれからだよ。そうだろ?」

 

「ふふっ。キリトくん、それって何だかプロポーズみたい」

 

「なっ・・・・・・!そ、そうかな・・・・・・?でも、まあ俺達は一度夫婦になったんだ、これくらい格好つけたっていいじゃない・・・・・・か?」

 

「なんで最後疑問形なの」

 

「あ。いや・・・・・・。俺は、その・・・・・・今でもレインとはその・・・・・・夫婦のつもりだよ」

 

「わ、私もだよキリトくん」

 

「・・・・・・」

 

「・・・・・・」

 

「す、すまん。俺なんか変な事言ったかな?」

 

「う、ううん。そうじゃないよキリトくん。私たち、もう普通の男の子と女の子に戻っちゃったけど、また一から・・・・・・。あの時と同じように、ゼロから始めようよキリトくん」

 

「レイン・・・・・・」

 

「ふふ。あらためて、よろしくお願いしますキリトくん」

 

「ああ、こちらこそレイン」

 

俺とレインは、再び現実世界でそう誓いあったのだった。その後も宴は延々と続いていった。

俺達は過去の思い出や、未来の夢・・・・・・。そんないろんなあれこれを語り明かした。それを話すみんなの顔はどれも底抜けの笑顔だ。もちろん、死んでいった4000人のプレイヤーたちを忘れたわけじゃない。それでも、ここにいるみんなが笑顔なのは、SAOでかけがえのないものを手に入れたからだと、俺は思う。それは、冒険の中で得られた経験や絆・・・・・・アインクラッドで出会った仲間たち・・・・・・。そして、大切な人・・・・・・。人によってそれは違うだろうが、それでも必ず、みんなひとつは得られたと思う。

SAO───ソードアート・オンラインの世界。アインクラッドで過ごした2年半を知らない人は、きっと俺たちが得たものは分からないだろう。

・・・・・・茅場晶彦が、なぜソードアート・オンラインという世界を作ったのかは、未だわからない。おそらく茅場本人以外、誰もわかないだろうが。それでも、何故か不思議と、茅場への憎しみや怒りは沸かなかった。なぜなら・・・・・・俺はたぶん・・・・・・SAOが・・・・・・。

そう思い感じていたところに

 

「ねえ、みんな!もし、嫌じゃなかったら、これから・・・・・・アルブヘイム・オンラインはじめない」

 

スグが俺たちに向かってそう提案してきた。

 

「それって直葉が元々やっていたゲームだよね?」

 

「うん、そうだよ」

 

木綿季の問いに答えたスグ。

 

「妖精になるゲームですか。なんだかロマンチックで素敵かも・・・・・・」

 

「空を飛ぶのって夢があっていいよね。どんな感覚なのかな?」

 

「そうねぇ~気持ちよさそうだけど、歩くのとは違うからイメージしにくいかも。・・・うう・・・なんか飛ぶの難しそう」

 

シリカやリズ、アスナたちからいろんな声が上がる。が、その声は楽しそう、や、面白そうなどと言ったものだった。

 

「飛び方だったら、あたしがみんなに教えてあげる。ALOの世界だったらお兄ちゃんにだって負けないんだから!」

 

「ほう・・・・・・言ったなスグ」

 

「へっへーん。空を飛ぶスピードならお兄ちゃんたちに負けないもん」

 

ニヤリとした表情を浮かべて言うと、スグは胸を張って自信満々に言う。

 

「ふふ。みんな、根っからねゲーマーだね」

 

「ここにいる全員あの世界を体験したからな、他のMMORPGが気になるんだろうな。それはレインもだろ?」

 

「もちろんだよ。キリトくんもでしょ?」

 

「ああ」

 

みんなを見てレインと話していると。

 

「キリト~!レイン~!」

 

「二人とも早く来てください!第一回ALO攻略会議始めますよ~!」

 

「キリト、レイン、早く早く!」

 

木綿季、藍子、フィリアが呼んできた。見てみると、カフェの一角にパーティの参加者が集まっていた。

 

「い、今からやるのか!?」

 

「き、気が早すぎるよみんな~」

 

俺とレインはそう言いつつも、心を震わせてみんなのところに向かっていった。

俺は・・・・・・俺たちはもう一度旅に出る。世界樹のそびえ立つ、ALOの世界へと・・・・・・。

 

「さあ、冒険に行こう!!」

 

「みんな、冒険に行くよ!!」

 

『『『『『おお!!』』』』』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数時間後

 

エギルの店でパーティを終えた俺たちは、上野にある上野公園に来ていた。

 

「見て見て、キリトくん」

 

「ん」

 

レインに言われてレインの視線の先を見ると、そこは東京の街並みを夕焼けが包み込んで、今まさに夜になろうとしている逢魔が時の景色が見れた。

 

「うわぁ・・・・・・きれいだね」

 

「ああ」

 

仮想世界で見るのとは違い、幻想差も無いが、その光景は俺たちがちゃんとここにいるということを示してくれた。

まだ春を過ぎたばかりで夜は少しだけ肌寒いが、今この時に吹く風は心地よかった。

 

「ユイとストレアにも見せてあげたいな」

 

「うん」

 

「10年・・・・・・20年・・・・・・どのくらいの年月が経とうが、俺は必ずユイとストレアが俺たちと一緒に、過ごせるようにするよ」

 

「キリトくん・・・・・・」

 

「だから・・・・・・」

 

俺はそこで言葉をと切らせて傍らにいるレインに視線を送り。

 

「レイン、俺とずっと一緒にいてほしい」

 

と、言った。

 

「もちろんだよキリトくん!私は、ずっとキリトくんの隣に・・・・・・傍にいるからね」

 

「ああ」

 

そう言う俺たちを、頭上に浮かぶ月と、今まさに沈もうとする夕陽が照らした。俺とレイン。俺たちのこれからを祝うようにして。

 

 

 

 

 

 

 

 





「───どうだったかな?みんな楽しめたかな?」

「いやー、次回からの新章が楽しみだなソーナ」

「ほんと、私たちがどう活躍するのか気になるね」

「そうだね、って、うわっ!!」

「な、なんだ!?」

「い、いきなり槍が飛んできたよ!」


「ついに次回から私の出番ってことね!」


「きみは!」

「うそっ!?」

「いきなりなにするのさー!」

「ふふ。それじゃあ、みんな、次回会いましょう!ダスヴィダーニャー」

「え!って!ちょっ!勝手に閉めないでよ!で、ではまた次回から始まる新章、〈LS(ロスト・ソング)編〉でお会いしましょう!」

「みんな、次回も読んでくれよ!」

「あ、感想もどんどん送ってね!」

「では、これで───HF編、完結です!また次回!」


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