ソードアート・オンライン 黒の剣士と紅の剣舞士 二人の双剣使い   作:ソーナ

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LS編 第148話〈初クエスト〉

 

〜キリトside〜

 

 

トールの耕地で、欠けた石版の一つを入手したあと、もうひとつの石版の欠片を入手するため持ち去ったワイバーンのいる浮島へと向かった俺達。ワイバーンを無事撃破し、持ち去ったと思われるもう片方の石版の欠片を入手した俺達は再び、あの岩の扉によって塞がれてるダンジョンに向かっていた。

 

「あ、あそこにプレイヤーがいるよ。別のパーティもいたんだね」

 

リーファの見る先には、二人のプレイヤーがダンジョンの近くに佇んでいた。

 

「あれ・・・・・・あのプレイヤーの人達、どこかで見たと思ったら、さっき農場にいた人達だよね?」

 

レインの言う通り、その二人組のプレイヤーの種族はシルフとサラマンダーで、さっき農場で見たプレイヤーだった。

俺達の接近に近づいた二人のプレイヤーのうちの片方、サラマンダーのプレイヤーが俺達に視線を向けてきた。

 

「ん?」

 

「お疲れ様。俺達も同じクエストをやってるんだ。そっちは順調か?」

 

「ああ、順調さ。ワイバーンもお前達より先に倒したぞ。このクエストは先にクリアさせてもらうぜ」

 

「俺達だって負けないぜ」

 

どうやらこの二人はもう既にクエストの終盤みたいだ。

 

「お前達も精々がんばれよ。俺達に追いつけるとは思えないがな」

 

「随分自信があるんだね。どこか有力ギルドにでも所属してるの?」

 

シルフのプレイヤーの言葉にユウキが問いかける。

ユウキの問い掛けにサラマンダーのプレイヤーが答えようとするが。

 

「ああ、俺達は・・・・・・」

 

「おい、先を急ぐぞ」

 

シルフのプレイヤーが遮るように、サラマンダーのプレイヤーに言った。

 

「あ、ああ・・・・・・。お前達、またな」

 

「ああ」

 

離れて行く二人のプレイヤーを見送りながらレインたちと話す。

 

「自信に見合った実力がありそうだったわね」

 

「ああ、さっき農場であいつらの戦闘を見かけたけど、実力は本物だった」

 

「うん・・・油断出来ないね」

 

「別に敵対する気はないけど、負けるのはやっぱり悔しいわね」

 

「そうだな!ゲームはプレイするだけが楽しいが、一番楽しいのは一番になることだからな」

 

「当然だよ!さ、気を取り直してダンジョンに向かおうよ!」

 

「ああ!」

 

レインの言葉に返事して俺達はダンジョンへと向かって行った。

他のプレイヤー達との競い合い・・・・・・。これもVRMMOならではの楽しみだ。

再びこの興奮する感覚を味わえるようになったのは、このALOに入ると決めたから。あの日、俺はALOのログインを決意した・・・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー回想ー

 

 

 

「いやいや、お三名様。お待たせしちゃってごめんよ。上司のくだに捕まっちゃってさぁ」

 

俺達が歌姫セブンについて書かれた記事を読んでいると、俺達を呼び出した張本人が遅れてやってきた。その人物は、スーツ姿眼鏡をかけた如何にもエリート、という感じの男性だ。彼の名は菊岡誠二郎。総務省の役人でSAO事件の被害者達、つめり俺達のケアをする機関のリーダーだ。そして、元、SAO対策本部の人間でもある。対策本部とは名ばかりの、ただ見ることしか出来なかった窓際部署だと当人は言うが、SAOに参加したおよそ一万人を、この二年半の間に無事病院に移したりとした行動を行ったのは菊岡の手腕なのだろう。つまるところ、何も出来なかったわけではないということである。菊岡は、俺が目を覚まして一番最初にやって来た人物だ。SAOをモニタリングして俺が攻略組の中でもトップクラスのプレイヤーだと分かり話を聞きに来たとの事だ。俺は条件を出して菊岡の問いに出来る限り答えた。その条件とは虹架達の安否と入院先の情報だ。それ以来、俺と菊岡は個人的な付き合いが出来、そして今日も呼び出されたのだが、その日は俺だけでなく、虹架やスグも呼び出された。木綿季と藍子もだったが、生憎この二人は予定がありここはいない。その事は既に菊岡には伝え済みだ。

 

「ったく。遅れるならメールぐらいしてくれよな」

 

「あはは、ごめんごめん。何せいきなりだったからね」

 

俺の皮肉気に言う言葉に、菊岡はいつもと同じ感じで返してくる。

 

「おやおや、面白そうな記事を読んでるね。歌姫セブン、僕も気になってたんだよ」

 

「そうなのか?」

 

「まあね」

 

「て言うか、今日はSAOの話じゃないのか?」

 

唐突に歌姫セブンの事を言い出した菊岡に半眼を向けて訪ねる。

 

「まぁまぁ、少し話を聞いてくれよ。この子の歌がまた可愛らしく、それでいて結構レベルの高い楽曲でねぇ。一般人からも、かなり評判なんだ」

 

「・・・・・・全てを兼ね備えた少女アイドル。確かに俺も色々と調べたけど、話題性には十分だよな。あの残酷な事件に相対するみたいな、平和提唱のメッセージを持つ歌を歌い、その上ルックスまで備わってる」

 

菊岡の言葉に、俺も調べた事を言うと。

 

「へぇ・・・・・・お兄ちゃんもこういう子が好みなんだぁ」

 

「和人くん、私よりこういう幼い子が好きなの?もしかしてロリコン?」

 

スグとレインが怪しげな眼差しで見て言ってきた。

つうか!

 

「ち、違う!俺はあくまで一般的な話をしただけでだな!ってか虹架!俺は決してロリコンじゃないからな?!!」

 

スグはまあ良いとして、レインの言葉には全力で反論した。誰がロリコンか!

 

「ははは!やっぱりキリト君たちは面白いな」

 

「面白くないわ!」

 

面白気に言う菊岡にすぐにツッコミ返す。

 

「まあ、歌姫セブンについては君達も興味を持っていたんだね」

 

「・・・・・・・・・・」

 

菊岡の言葉に俺はジッと歌姫セブンの記事を見て黙る。やがて。

 

「俺・・・・・・ALOにログインしようと思ってるんだ」

 

と言った。

 

「「えっ!?」」

 

俺の言葉にレインはともかく、スグまでも驚いていた。

 

「虹架はともかく、最初にALOに誘ってきたのはスグだぞ?」

 

「あ、いや・・・・・・それはそうなんだけど・・・・・・」

 

「まあ、その反応をされるのは予想ついてたよ。でもさ。SAOのサーバーをコピーした新たなVRMMOの世界・・・・・・。さらにSAOではなかった飛行を実現させている。今、一番熱いゲームであることは間違いない・・・・・・!」

 

「う、うん・・・・・・そうだね。あたしもそう思うよ。あたしもやってるし」

 

困惑気味のスグ。そのスグに俺はさらに話を続ける。

 

「この世界に俺が興味を持つなって言うのは無理な話だろ」

 

「あはは。確かに、キリトくんには無理な話かも」

 

「だろ?それに虹架だって興味があるんだろ?この前だいぶ詳しく教えてくれたよな?」

 

「あ、えと・・・・・・。あはは・・・・・・。バレちゃった。うん、この間直葉ちゃんから教えてもらってから自分で調べてるんだ」

 

「えへへ・・・・・・実はあたしもお兄ちゃん達にはALOに来て欲しいって思ってたんだ」

 

俺の言葉に続くように語るレインとスグ。スグはALOの来て欲しいって眼をしてたし、俺とレインはALOをプレイしたいっていう目を浮かべていた。

 

「・・・・・・なんだ、わざわざ呼び出すこともなかったかな」

 

「何か言ったか?」

 

菊岡が何か言ったと思うが、よく聞き取れなかったため聞き返すが。

 

「いや?何も言ってないよ」

 

と、惚けられた。まあ、どうせALOに行ってみてくれとかなんだろうけど。

 

「それよりキリト君、またVR世界に行くのは怖くないのかい?」

 

「・・・・・・ああ」

 

心配して訪ねてくる菊岡に、俺は少しだけ目を閉じ首を横に振って否定を返した。確かに、俺達の経験は辛いことが多かった。でも・・・・・・だからこそ意味のあるものだと信じていた。これからVR世界がどうなって行くのか。あのSAOを・・・・・・茅場晶彦が生涯をかけて作り出した世界を継承した、ALOという世界で。いや、このVRMMOの世界の行く末を見てみたいと思うのは・・・・・・。

 

「もちろん、私も行くからね和人くん」

 

「虹架・・・・・・」

 

「ならあたしが先輩だからね!二人のナビもちゃんとしてあげなきゃ、ダメでしょ?」

 

「よし、そうだな、行こう。二人とも!」

 

「「うん!」」

 

こうして俺達は新たなVRMMOの世界、ALOの世界へと旅立つ事になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うわぁああああ!!」

 

突如聞こえた悲鳴に驚きながら声の主を探すと。

目的地のダンジョンの入り口付近で、リザードマン系のモンスターに襲われてるシルフとノームの二人のプレイヤーがいた。

 

「あっ、あの人達モンスターに襲われてる!助けてあげようよ!」

 

「ああ、そうだな!」

 

「た、助けてくれええ!!」

 

悲鳴を上げて助けを求めるプレイヤーの前にすぐさま移動し『ユナイティウォークス』と『フェイトリレイター』を頭上に構えて、今まさに倒れているプレイヤーに向かって振り下ろされようとしたリザードマンの剣を受け止める。

 

「うおおおー!」

 

リザードマンの剣を受け止め、そのまま剣を跳ね上げてリザードマンの胴体に向かって攻撃する。

 

「よし、敵がスタンした!あんたたちはこの隙に下がれ!」

 

「お、おう!」

 

「す、すまない!」

 

俺の声に二人のプレイヤーは礼を言って後ろに下がる。

 

「リーファ、その二人に回復魔法を頼む!」

 

「うん!」

 

「シノンは俺達の援護を頼む!」

 

「まかせて!」

 

下がったシルフとノームの二人をリーファの任せ、シノンに俺達の援護を頼む。

 

「ユウキ!」

 

「うん!」

 

素早い速度でリザードマンを翻弄してユウキがダメージを与えていく。

 

「ラム!」

 

「おう!」

 

ユウキの連続剣技で下がったリザードマンに、ラムが刀で切り裂く。

 

「──────!」

 

「やああーっ!」

 

振り下ろされたリザードマンの剣を今度はレインが受け止め、

 

「ふっ!」

 

「ナイスだシノン!」

 

的確に剣の腹を狙って撃ったシノンの矢がリザードマンの剣を折る。

 

「─────!」

 

「決めるぞ!」

 

動揺するリザードマンに畳み掛けるように剣を浴びせていき、リザードマンのHPをゼロにし、ポリゴンへと姿を変えさせた。

 

「ふぅー。討伐完了、っと」

 

背中の鞘に剣を仕舞い、襲われていた二人に回復魔法をかけてるリーファの元に向かった。

 

「キリトくん。この人たちには回復魔法を掛けて回復させといたよ」

 

「そうか。サンキューなリーファ。大丈夫だったかあんた達?」

 

「助けてくれてありがとう!君達は強いなぁ。あの中ボスクラスのモンスターに圧倒的余裕で勝ったんだからな」

 

「いや、少し慣れてるだけだよ」

 

嘘は言ってない。

SAOで二年半掛けて戦った戦闘経験が身体に身についているため、あの程度のモンスターなら余裕で勝てるのだ。

 

「あ、これは大したものじゃないけど、お礼として受け取ってくれ」

 

シルフのプレイヤーからお礼として受け取った回復アイテムをアイテムストレージに仕舞う。

 

「それじゃ、俺達は一度街に戻って準備をしてからダンジョンに挑むことにするよ。またな!」

 

「ああ!」

 

遠ざかって行く二人を見送って、俺達は目的地のダンジョンの岩の扉の前に向かった。

 

「やっとダンジョンまで戻ってきたね」

 

「ああ、あとは手に入れた石版の欠片をはめれば・・・・・・」

 

アイテムストレージから『シアルフィの石版』と『レスクヴァの石版』を出して、岩の扉にある穴に二つの石版を嵌め込む。

石版を嵌め込むと、ダンジョンを塞いでいた岩の扉が崩れ落ち、ダンジョンが姿を現した。

 

「やった、扉が開いた!これで中に入れるね!」

 

「どんなレアアイテムが眠っているのか楽しみだね!」

 

「武器かなー!それとも食材かな!」

 

「もしかしたら素材アイテムかも知れませんよ!」

 

「うわぁ〜!早く行こうよ!」

 

「そうだな。それじゃあ、探索開始だ!」

 

そう言って俺達はダンジョンの中に入っていった。

ダンジョンの中に入ってしばらくして、俺達はダンジョンの奥にある扉の前に来ていた。

 

「この先に進むとボスがいるな」

 

「みんな、準備は大丈夫?」

 

レインの問いにユウキたちは頷いて返し、それぞれ握る武器の拳を締める。

 

「よし。行くぞ」

 

ダンジョンの中で入手した鍵アイテム、『海の鍵』を使用して扉を開け中に入る。

中に入ると、そこは広間で三体のリザードマン系モンスターがいた。

 

「シノン援護頼む!」

 

「わかったわ!」

 

「リーファは魔法で頼む!」

 

「うん!」

 

指示を出して、後衛にシノンとリーファ。前衛に俺、レイン、ユウキ、ラムを配置してモンスターに迫る。三体いる内の真ん中のボスのリザードマンに俺とレインが向かい、両端の二体の普通のリザードマンにはユウキとラムがそれぞれ向かって行った。

 

「はああー!」

 

「やああー!」

 

ボスリザードマンのHPは二段。両端のリザードマンのHPは一段となっていた。ボスリザードマンのヘイトを取りながら、シノンとリーファに向かないようにする。

ボスリザードマンの動きは単調で、大して強くも無いため俺達には余裕をもって動けた。

戦闘を初めて約十分後。

 

「はぁ・・・・・・な、なんとか倒せたぁ・・・・・・!」

 

ボスリザードマンと取り巻きのリザードマン二体を倒し、クエストをクリアした。

 

「やりましたね!」

 

「うん!」

 

「これでクエストクリアだね!」

 

「ねぇ、モンスターがドロップしたのって・・・・・・」

 

俺達のウインドウには今のボス戦でドロップした物が表示されていた。

 

「おお・・・・・・これが噂のレアアイテムか!」

 

俺のウインドウには噂のレアアイテム名が表示されていた。

 

「わぁ・・・・・・頑張った甲斐があったね!」

 

「後でみんなに自慢したらいいんじゃない?」

 

「お姉ちゃんたち驚くかも」

 

「ふふっ。みんな羨ましがるかも」

 

「さてクエストも無事に終わったことだし、帰って休もうぜ」

 

「うん、そうだね。さすがにちょっと疲れちゃったよ」

 

「それじゃあダンジョンから出よっか」

 

クエストをクリアした俺達はそのままダンジョンをあとにし、スヴァルトアールヴヘイムの街、空都ラインに帰って行った。

 

 

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