ソードアート・オンライン 黒の剣士と紅の剣舞士 二人の双剣使い 作:ソーナ
〜和人side〜
「相変わらずここは人が多いな」
「うん」
「ええ。さすが、秋葉原ですね」
「ほんとだよ〜」
よっ、主人公のキリトこと桐々谷和人だ。ん?逆じゃないかって?まあ、キリトも桐々谷和人もどちらも俺だからな。どっちでも構わないさ。
今日は、俺と義妹のスグ、幼馴染みの木綿季と藍子と一緒に東京の電気街である秋葉原に来ている。
ここまでは電車で一時間弱で来れる。今日ここに来た目的はというと───。
「えへへ。久しぶりに和人たちと出掛けられるね」
「ええ。昔は四人でよく出掛けてたんですけどね」
「懐かしいなぁ〜」
昔を懐かしむように言うスグたち。
俺も、少し昔を懐かしくも思い返す。
「それじゃあお兄ちゃん。今日は荷物持ちよろしくね」
「はいはい」
そう。今日はスグたちの買い物に付き合ってきているのだ。まあ、俺も欲しいPCパーツがあったから丁度よかったが。
「ごめんなさい和人さん。私と木綿季の分まで」
「あはは。まあ、スグの頼みとあっちゃな」
今日のことは前々から予定していたのだ。
そして、スグからの頼みとあれば中々断れない。理由は、まあ、色々あるが。
「ふふ。相変わらずのシスコンで」
「藍子もだろ?」
隣を歩く藍子の言葉に、俺も反論する。
「はい。木綿季は、私の大切な・・・・・・双子の妹ですからね」
藍子は木綿季に対して甘いところがある。もちろん、厳しいところもあるが・・・・・・。
木綿季に関してなにかある際には、自分を顧みずに行動する。まさにシスコンとでも言うべきものなのだ。
とまあ、それはさておき。
「おーい!姉ちゃーん!和人ー!」
「二人とも〜、早く来ないと置いてっちゃうよー!」
先に行く、手を挙げて言う木綿季とスグの姿に俺と藍子は顔を見合わせクスッと笑う。
「行きましょうか。二人に置いて行かれちゃいますし」
「だな」
俺と藍子は少し早く歩いて、先を行くスグと木綿季を追い掛けたのだった。
数時間後
「ふぅ〜。結構買ったねー」
「うん!」
「私もかなり買ってしまいました・・・・・・」
「・・・・・・買いすぎじゃないか・・・・・・?」
お昼を過ぎた頃、俺たちはお昼をとるためとある喫茶店にいた。
スグたちの横には服や本などの入った袋が置かれている。
「ところでこんなところ、よく知ってたね直葉」
「いやー、仲のいいクラスメイトがここを推してて・・・・・・。値段も手頃だし、料理も美味しいから一度行ってみたらって言ってたから」
「へぇー」
「確かに、値段お手頃ですね。それに・・・・・・」
藍子が視線をメニュー表から店内に移す。
店内のあちこちには───
『いらっしゃいませ、ご主人様!お嬢様!』
『お待たせいたしました、お嬢様』
『行ってらっしゃいませ、ご主人様!』
メイド服を着た店員さんがあちこちにいた。
そうここは喫茶店だが、メイドがいるメイド喫茶なのだ。
俺もこういう所に来るのは初めてだが。
「三人は決めたか?」
「うん。藍子ちゃんと木綿季ちゃんは?」
「私も決めました」
「ボクも決めたよ」
「了解。んじゃ・・・・・・すみません、注文いいですか?」
俺は注文を言うため、近くにいた店員さんに声を掛けた。
「はーい」
店員さんがそう声を返す中、俺は今の声に聞き覚えがある感じがした。
「(あれ、今の声って・・・・・・)」
そう思っている中、店員さんがやって来た。
「ご注文はお決まりです・・・か・・・・・・え」
徐々に語尾が小さくなっていった店員さんは、驚いた表情をしていた。俺たちも気になり店員さんを見ると。
「え」
「えっ」
「あれ」
「あら」
俺たちも驚いた声を出した。
何故ならそこに居たのは───
「か、和人・・・・・・くん?直葉ちゃんとユウキちゃん、ランちゃんも・・・・・・」
「に、虹架?」
「レインさん?」
「レイン?」
「レインさん何故ここに?」
俺の彼女であるレインこと枳殻虹架が、メイド服を着てそこに立っていたのだ。
予想外の事に俺たちは呆然とする。
「え、えっと、取り敢えず、ご注文をお伺いしても宜しいですか?」
「あ、ああ」
俺たちは未だに思考が回らない中、虹架に注文をお願いする。
「で、では少々お待ち下さいませ」
立ち去っていくメイド服を着た虹架を見ていると。
「ね、ねえお兄ちゃん。今のってレインさんだったよね」
「ああ。虹架だった」
「もしかしてレインさん、ここでアルバイトしてるんでしょうか」
「多分そうじゃないかな」
「・・・・・・似合ってましたね」
「うん。とっても似合ってた」
そんな会話をしながら料理が来るのを待っていると。
「え、えっと、みんな。私のあと少しで上がりだからちょっとだけここで待ってて」
虹架がそう言ってきた。
それからしばらくして。
「お、お待たせ〜」
料理が全て来終わった所に、私服姿の虹架がやって来た。
「お、お疲れさま虹架」
「うん」
さり気なく俺の横に座る虹架。
もう見慣れた光景にスグたちは何も言わない。
少しの沈黙の後、口を開いたのは藍子だった。
「えっと、レインさん。レインさんはここでアルバイトを?」
「あはは・・・・・・。実は前にスカウトされてね。それからここでアルバイトしてるんだ」
「スカウト、ですか」
虹架のスカウトと言う言葉に俺たちは驚いていた。
驚きながらも内心俺はどこか納得していた。
「(まあ、虹架ってアインクラッドでもALOでも服が少しメイド服みたいな格好だったしな。それに、似合いすぎてるし)」
と。
伊達にアインクラッドの一層からずっとコンビを組んでいた訳では無い。(途中から同棲していたから)
「和人、今レインのメイド服思い出していたでしょ」
「なぁっ?!」
突然の木綿季の声に俺は裏返った声を出してしまった。
いや実際思い出していたんだが・・・・・・。
「か、和人くん」
「い、いや、違うぞ虹架!?」
ジト目で、少し頬が紅い虹架に慌てて反論するが。
「お兄ちゃん、顔に出ていたよ?」
「分かりやすかったですね」
対面に座っているスグと藍子が俺を見て真顔で言った。
その言葉にあたふたしていると。
「あ、あのさ和人くん。そんなに私のメイド服姿が見たいなら今度見せてあげるよ?ふ、二人っきりのとき・・・・・・」
モジモジと恥ずかしげに虹架が言った。
「え」
「へ?」
「え?」
「はい?」
虹架の言葉に俺たちは瞬きを早くして一言声に出した。
いきなりの唐突の言葉に驚いている中、言った張本人たる虹架は顔を真っ赤にしていた。
「〜〜///」
それを見た俺は、俺も恥ずかしくなり照れたように赤くなった。
「〜〜〜」
そんな俺と虹架を他所にスグたちは。
「ねえ、姉ちゃん。ブラックコーヒー頼もうよ」
「ええ。そうですね木綿季。直葉ちゃんもどうですか?」
「あ、お願いします」
疲れたような表情でブラックコーヒーを追加注文していた。
そしてそれは周りにも伝化していき。
『すみません。ブラックコーヒー二つ』
『こっちもブラックコーヒーお願いします』
『あ、すみません!こちらもブラックコーヒーお願いします!』
と次々にブラックコーヒーが注文されていった。
そんなところに。
「あー、レインちゃん、ちょっといいかしら?」
「あ、店長さん」
この店の店長らしい人物が虹架に声をかけてきた。
「どうせなら、彼氏さんと写真撮ったらどうかしら?」
「え?」
「いやね。その、二人の空気が物凄く甘くて・・・・・・。初々しいというかなんていうのかしら・・・・・・」
「「???」」
口を濁らせて視線を泳がせる店長さん。その店長さんの言葉に、他のメイドやお客が同意するように首を縦に振って頷いた。
いや、意味がわからないんだけど。俺と虹架は疑問符を浮かべて首を傾げた。
「えっと、じゃあ、お言葉に甘えて」
「ええ。あ、どうせなら、二人とも着替えたらどうかしら?レインちゃんはメイド服で、そっちの彼氏さんは執事服なんて」
「っ!」
「し、執事服・・・・・・?」
店長さんの言葉に虹架は衝撃を受けたような表情をする。が、俺は何故執事服なのかと首を傾げる。
「お兄ちゃんの執事服・・・・・・ゴクリ・・・・・・」
「か、和人の執事服姿・・・・・・ゴクッ・・・・・・」
「和人さんの執事服姿ですか・・・・・・ングっ・・・・・・見てみたいですね」
スグたちが何か言ってる気がするが・・・・・・。何を言ってるんだろう。
「店長さん・・・・・・」
「虹架?」
ゆらゆらと立ち上がる虹架。そのまま虹架は店長さんの手を握り。
「ぜひお願いします!!和人くんの執事服姿、見てみたいです!」
「虹架!?」
「ふふ。いいわレインちゃん」パンッ!パンッ!
「!?」
店長さんが手を叩くと、俺の両脇にメイド服の店員が突如あらわれた。
え、どこから現れたんだこの人たち!?
「あなた達。その彼氏さんのコーディネート、任せたわよ」
「「はい!」」
「え?えっ?!」
未だに状況が理解出来てない俺を他所に話が進んでいく。
理解出来てないまま、俺は両脇を二人の店員に連れられて行ったのだった。
〜和人side out〜
〜虹架side〜
職場の同僚に連れられて行く和人くんの後ろ姿を見ながら、私は和人くんの執事服姿を想像した。
『おかえりなさいませ、お嬢様』
「〜〜〜〜///」
「ええっ!?」
「れ、レインさん!?」
「だ、大丈夫レイン!?」
「う、うん。和人くんの執事服姿を想像しただけだよ」
顔が茹でダコのように真っ赤に染まった。
鼻血を噴き出さなかっただけでも凄いと思う。
「せっかくだから、あなた達もメイド服どうかしら?着てみない?」
「「「え?」」」
店長さんは直葉ちゃんたちにそう提案した。
「三人とも十分似合うと思うわよ?」
店長さん、歳は二十代半ばなんだけど未だに子ども心を忘れてないというかなんていうか、少し・・・・・・かなりイタズラ癖があるのだ。まあ、それが周りの人には好評で色んな人から親しまれているんだけど。さらに店長さんは料理が上手だ。私たちも賄いとして料理を店長さんに作ってもらうことがあるんだけど・・・・・・料理では多分、店長さんには適わないと思う。
「ボクは着てみたいなメイド服。姉ちゃんと直葉はどう?」
「う、うーん・・・・・・じゃ、じゃああたしも」
「では私も」
「決まりね♪それじゃあレインちゃん。三人の着付け、お願いね」
「あ、はい!わかりました店長さん!」
店長さんにそう言って、私は直葉ちゃんたちを連れて従業員控え室に案内したのだった。
〜虹架side out〜