ソードアート・オンライン 黒の剣士と紅の剣舞士 二人の双剣使い   作:ソーナ

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LS編 第160話〈剣士達はメイドと執事です〉

 

〜和人side〜

 

 

「・・・・・・・・・・(何故こうなった?)」

 

思わず今の状況に問い掛けた俺はため息を吐いて、自分の格好を姿見で再び見る。

 

「・・・・・・動きにくいな」

 

今の俺の格好は、白いシャツに黒のタイとウェストコート。前を開けてる漆黒のジャケット。純白の手袋を着けて、靴も普通のスニーカーからローファーに履き替えられている。

正直言って、かなり動きにくい。

そう思いながら見ていると。

 

「うわぁ♪似合ってますね彼氏さん!」

 

「ええ。よく似合ってますわ」

 

「は、はぁ・・・・・・」

 

着付けをしてくれた店員二人が興奮したように褒めてきた。

二人の言葉に、どう反応していいのか困った俺は空笑いな言葉を返した。

 

「それにしても、レインちゃんに彼氏がいたなんてね」

 

「ええ。驚いたわ」

 

「いいなぁ〜。私も彼みたいな彼氏がほしいよ」

 

「そう?私はいいけど」

 

「そう言っていられるのも今のうちだよ〜。絶対後で後悔することになるんだから」

 

「そういうものなのかしら?まあ、それは置いといて」

 

「ちょっと!?」

 

「ウチでも結構人気のあるレインさんに彼氏がいたなんて、ファンに知られたら荒れるわね」

 

「え?!」

 

店員二人の会話に俺は驚いた声を出した。

というか、そのこと自体初耳なのだが!?

そんな俺に気づいた二人は首を傾げて。

 

「あら、彼氏さんは知らなかったの?」

 

と聞いてきた。

 

「あ、ああ」

 

正直、虹架がここで働いているのも今日初めて知ったことだ。

 

「レインちゃんはねぇ、このお店で大人気なメイドさんなんだよ♪この間だって、店内の人気投票で一位を獲得していたもん!」

 

「一位!?」

 

何故か自分の彼女兼嫁がどこか遠くに行ってしまったような感覚だ。

 

「レインさんは歌も上手で、よく路上や店内で歌ってくれるんです。しかも、あのスタイルに容姿ですからね。ファンのお客様が多くて、巷では『雨虹の歌姫(レインディーヴァ)』って二つ名が付いていたりするのですよ」

 

「はァっ!?」

 

『雨虹の歌姫』とはなんぞや!?

変な言葉出そうになったがなんとか抑え、驚愕する。

いや、確かに虹架はロシアと日本のハーフだから髪はクリーム色で珍しいし、容姿も中々だ。細い手足に、肉付きのいい身体。声も綺麗だが、まさかこんなことになっているとは・・・・・・。

 

「ね、ね!」

 

「はい?」

 

「レインちゃんとはどこまでヤったの?」

 

「ぶほっ!」

 

突然この人は何を言い出すんだ!?

思いがけない質問に不意をつかれた俺は息を思いっきり噴き出してしまった。口の中に何か入ってなくてよかった。

じゃなくて!!

 

「な、ななな、突然何を言い出すんですか?!」

 

「えー、だって気になるじゃん」

 

どうやらこの人の性格はクラインに似ているらしい。(クラインに失礼だけど!)

 

「はぁ・・・・・・。そんな野暮なこと聞くんじゃないわよ。人には人の、色んなことがあるでしょう?」

 

「え、気にならないの?」

 

「別に」

 

嘆息してるなぁ、ともう一人の人を見ながら思っていると。

 

「そろそろいいかしら」

 

「あ、店長。はい、終わりましたわ」

 

店長さんがやってきた。

 

「こっちも終わってるからいいわよ」

 

「はーい。それじゃあ彼氏さんのご登場〜!!」

 

「お、おいおい」

 

背中を押されながら、虹架たちの所に戻った。

戻ると、そこには―――

 

「どうかな姉ちゃん」

 

「似合ってますよユウ。直葉ちゃんもよく似合ってます」

 

「えへへ。ありがとうございます!」

 

「・・・・・・・・・・」

 

義妹のスグと幼なじみの木綿季と藍子がメイド服を着ている姿があった。

三人のその姿に俺は呆気に取られていた。

理由は───。

 

「あ!和人!」

 

「お兄ちゃん!」

 

「和人さん、戻ってきていたんですね。どう・・・・・・ですか?私たちの・・・その・・・・・・メイド服姿・・・・・・」

 

「あ、ああ。三人ともよく似合ってるよ」

 

言葉に表せないほど、三人のメイド服姿が似合っていたからだ。

もしここにクラインがいたら血の涙を流すほどかもしれない。これは、俺の特権なのかもしれない。そう思っていると。

 

「えへへ。みんな、よく似合ってるよ♪もちろん、和人くんもね♪!」

 

「虹架」

 

後ろの方から虹架の声が聞こえてきた。

振り返ってみるとそこにはさっきと同じくメイド服を着た虹架が立っていた。

 

「・・・・・・・・・」

 

「え、えっと・・・・・・和人くん?」

 

「ハッ!す、すまん!見蕩れてた」

 

「〜〜〜///」

 

顔を赤くして俯く虹架。その虹架の姿に俺も恥ずかしくなり。

 

「///」

 

「はぁ。お二人とも、そこまでですよ。また二人だけの空気に入ってます」

 

「「うグッ・・・・・・///」」

 

赤面してる中、呆れた声で言う藍子の声に俺と虹架は息を飲み、さらに顔を赤くし湯気でも出てるのではないかと思うほどだ。

 

「はいはい。ごちそうさまー」

 

「もう満腹だよー」

 

「ほっほぉー。彼氏さんと一緒の時はこんな感じなのねレインちゃん」

 

木綿季とスグ、店長さんがそれぞれ口にし、他の店員さんもそれぞれ顔を赤くしたり、他のところを向いたりと、俺たちを見ないようにしていた。

 

「さて!それじゃあ、写真を撮っちゃいましょうか」

 

店長さんのその一言で俺たちは店内のブースに移動し写真を撮り始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数時間後

 

 

「───ふぅ。疲れた・・・・・・」

 

「同じくです」

 

「えぇー。二人とも大丈夫?」

 

「楽しかったじゃん」

 

「あ、あははは・・・・・・」

 

俺たちは喫茶店から出てほど近い神社、神田明神に来ていた。

ちなみに疲れているのは俺と藍子で、木綿季とスグは元気で、虹架は苦笑をしている。何故俺と藍子が疲れているのかというと───。

 

「えーと。ごめんね、和人くん、ランちゃん」

 

「レインさんが謝ることはないですよ」

 

「ああ。あそこまで盛り上がるとは思わなかったからな・・・・・・」

 

「あ、あははは。うん、私も想定外だったよ」

 

「「はぁー。まさかあんなに写真を撮られるなんて・・・・・・」」

 

そう、俺と藍子が疲れているのは、肉体的にもなのだが、精神的・・・・・・所謂、気疲れからだ。

スグと木綿季はノリ気であったが。

元々、あまり写真を撮られるのを好きではない俺と藍子は、あそこまでの気迫というかなんというか、視線?周囲の反応?とかそんなのでとにかく疲れていた。

 

「しかも終いには店内に飾るとまで言われたぞ」

 

「まあ、記念にってことでしたし、私たちもその写真を貰いましたからね」

 

「はぁー。知り合いに見られたらなんて言われるか」

 

「・・・・・・想像したくないです」

 

恐らくリズやアルゴ辺りが知ったら絶対いじってくる事間違いない。まあ、娘のユイとストレアに今日のお土産が出来たと思えばいいか。

 

「そう言えばみんなは何を御願いごとしたの?」

 

虹架がふとそう訪ねてきた。

虹架の質問に、最初にスグが応えた。

 

「あたしは、今度の剣道の大会で優勝できますように!」

 

「へぇー。直葉ちゃんらしいね」

 

「うん!直葉なら大丈夫だよ!」

 

「はい。当日は私たちも応援に行きますから、絶対に優勝出来ますよ」

 

「ああ。努力は裏切らないからな」

 

「えへへ。ありがとうみんな。お兄ちゃんたちはなにを御願いしたの?」

 

「ボクは姉ちゃんたちとずっといられますようにだよ」

 

「私も同じですね。みんなと一緒にいられますようにとお願いしました」

 

「和人とレインは?」

 

「俺?俺は・・・・・・秘密だ」

 

「えー。教えてよ〜」

 

「そうだよお兄ちゃん。自分だけ言わないのは反則だよ〜?」

 

「いや、反則って・・・・・・」

 

スグの言葉に苦笑いを浮かべながら、俺はしぶしぶと。

 

「・・・・・・いつまでもこんな日常が続くように、だよ」

 

と言った。

本当はあともう一つ。虹架やユイ、ストレアの、俺のもうひとつの世界での家族の事についてなのだが・・・・・・恥ずかしい気もするから言わないでおこう。

 

「ふふ、和人さんらしいですね」

 

「和人のことだから、てっきり新作PCパーツかユイちゃんとストレアちゃんのことだと思ったんだけどなあ」

 

「あたしも〜」

 

カンの鋭い木綿季の言葉に驚きながら、俺はあはは、と乾いた笑みを浮かべた。

 

「虹架はなにを御願いしたんだ?」

 

「私?私はね〜・・・・・・。和人くんやユイちゃん、ストレアちゃんとずっと一緒に居られるようにと、みんなが笑顔で仲良く過ごして行けるようにだよ♪」

 

「「「おおーー」」」

 

虹架の御願いごとに、スグたちは小さく感嘆の声を漏らし予想していたというような表情を浮かべた。

 

「それに・・・・・・(七色のことも)

 

「?」

 

最後何か言ったような気がしたが・・・・・・気の所為だろうか?

虹架の方を見ながらそう思っていると。

 

「ん?どうかしたの和人くん?」

 

「あ、いや。なんでもないよ」

 

不思議そうな顔で見てきた虹架に訊ねられ、俺ははぐらかすようにして応えた。

その後、俺たちは正月ではないが折角ということでお御籤を引き、お御籤の結果はスグと木綿季は中吉。藍子と虹架は大吉。俺は小吉となった。

お御籤を引いたあと、俺たちは虹架も一緒に買い物をした。

・・・・・・していたのだが──────。

 

「・・・・・・・・・・」

 

「あ、あははは・・・・・・」

 

自身の携帯の画面に表情されてる文章を見た俺は無言になり、虹架は乾いた苦笑いをしていた。

俺の携帯の画面には。

 

 

『お兄ちゃん。あたしたち先に帰ってるね♪お兄ちゃんは虹架さんとデートして来たらどうかな?あ、朝帰りしてもイイからねお兄ちゃん』

 

 

と書かれていた。

 

「(いらんお世話だぞスグ!!)」

 

思わずスグにそうツッコンでしまったが悪くないはずだ。うん。

そもそも朝帰りってなんだ!?いや、今確かにウチは親父は出張で海外だし、母さんも勤めてる出版社が締め切りマジかとかで、例如く帰りは遅い。場合によっては泊まりになる事もある。というわけで、ウチは今俺とスグだけなのだ。あと、木綿季と藍子がよく泊りに来る。

 

「え、えーと・・・・・・どうしようか」

 

虹架が苦笑いをしながら聞いてきた。

虹架も俺と同様何も聞いてなかったらしく、いきなり居なくなっていてなんとも言えない感じなのだ。

取り敢えず。

 

「スグたちには後でお説教だな」

 

である。

 

「お手柔らかにね?」

 

「まあ善処するさ」

 

虹架の言葉に俺は真顔で応えた。

さて、現実でお説教かALOでの決闘どちらにしようか。

スグたちへのお説教を何にしようか悩んでいると。

 

「取り敢えず、何処かに行く?」

 

虹架が首を傾げて聞いてきた。

 

「そうだなあ・・・・・・」

 

時刻は午後十七時半過ぎでもう少しで十八時になる。

今日はバイクでは無いので、帰る時間も考えると二十時頃までに川越行きの電車に乗らなければならない。となると、残りは約二時間だ。さてどうするか。

 

「虹架は行きたいところあるか?」

 

「うーん・・・・・・」

 

腕を組んで悩む虹架。少しして。

 

「あ、じゃあ───」

 

 

 

───場所を移動して───

 

 

 

「うわぁ〜!見てよ和人くん!綺麗な眺めだよ」

 

「ああ。絶景だな」

 

俺と虹架は移動してスカイツリーの展望台にいた。

秋葉から電車で三十分もかからずに着いたスカイツリーで、今俺と虹架は展望台から夕方から夜へと変わる黄昏時を眺めていた。

季節はもう夏を過ぎ冬へと入ろうとする秋。秋空の空と窓から見える眼下の街並み。その光景は絶景といえるほどだ。

冬であったら雪で、春は花、夏は星空と、季節事に見える景色は違う。時間の問題もなのだろうが、この景色は絶景だった。

 

「夕焼けの明かりに照らされる街並み、綺麗だね〜」

 

「ああ」

 

夕焼けの光に少し眩しくもあるが、夜へと入っていく逢魔が時のこの光景の前では、少しの眩しさなど気にもとめなかった。

 

「んー。この光景を見ていたら今度日光とかに行きたくなっちゃったよ」

 

「ああ、確かに今この季節は紅葉が綺麗だからな」

 

他にも沢山、京都など紅葉が綺麗なところはあるだろう。今度行ってみたい。

 

「で〜も〜」

 

「うおっ・・・!」

 

急に左腕に抱き着いてきた虹架に少し驚いて声を出しつつ、虹架を支え、虹架から伝わってくる感触や匂いにドキマギしながら表情に出さないようにする。

虹架から伝わってくる柔らかい感触やいい匂いに対する反応を表情に出さないように、自制心を高めていると。

 

「和人くんと一緒ならどこでもいいけどね♪」

 

満面の笑みで言ってくる虹架の言葉に、俺はクリティカルを受けた(精神的に)。

 

「あれ、和人くん顔赤いよ?」

 

「!?き、気の所為だ」

 

「ウソだー。気の所為じゃないよ」

 

「ゆ、夕陽のせいだよ」

 

なんかどこかで聞いたような台詞を咄嗟に言ってしまったが。

 

「ふふ。じゃあそういうことにしといてあげるね」

 

離れてクルッと一回転し手を後ろに組んで虹架は言った。

のはいいんだが。

 

「虹架、自分が今日何を着ているか分かってる?」

 

「え?」

 

虹架の服装は白いブラウスにベージュのジャンパースカート。首にストールを巻いている。

そう、虹架は今日スカートなのだ。

まあ、スカート丈は膝下ぐらいまであるけど。

そこでようやく気づいたらしい虹架は「はわっ!」と言ってスカートの裾を直した。顔を赤くして。

 

「・・・・・・和人くんのエッチ」

 

「なぁっ!?なんでだ!?」

 

唐突の虹架の発言に俺は息を詰まらせた。

あ、周囲に迷惑にならないようにしているぞ。

唖然とした表情を出していると。

 

「ふふっ」

 

ふいに虹架が小さく笑った。

 

「冗談だよ♪和人くんになら見られてもいいしね♪・・・・・・他の人は嫌だけど」

 

「・・・・・・・・・・」

 

虹架の言葉に俺はパクパクと目を点にしていた。

あれ、虹架ってこんな性格だったか!?

逢魔が時の中、俺と虹架は窓から見える景色を見つつ笑いあったのだった。

 

 

 

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