ソードアート・オンライン 黒の剣士と紅の剣舞士 二人の双剣使い   作:ソーナ

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LS編 第161話〈砂丘峡谷ボス、ヒルディスヴィーニ〉

 

〜キリトside〜

 

「───さて。みんな、準備はいいか?」

 

色々あって、俺達は無事スヴァルトアールヴヘイムの二つ目の島、砂丘峡谷のボスがいるであろう扉の前に来ていた。

仲間は全員揃っていて、久しぶりのフルメンバーだ。(それぞれみんな予定とか有って)

扉の前に立ち確認すると全員頷き、最後の確認をする。

 

「それにしてもさ、なんでボスの情報とか無いんだろうね」

 

唐突に呟いたのはユウキだ。

愛剣の『マクアフィテル』を腰に挿して何時ものバトルコートを装備している。

ユウキの呟きに応えたのは。

 

「さぁネ。それはオレっちが知りたいサ」

 

今回のボス戦に参加するアルゴだ。

情報屋とSAOの頃から変わらず、このALOの中でも言われている彼女は肩を竦めて返す。

 

「SAOだったら断片的な情報があったんですけどね・・・・・・」

 

「だよな。なのにALO(ここ)じゃNPCからも何にも得られねぇし」

 

ランとクラインも続くように言う。

 

「もしかしたら、それはここがSAOとは違うからじゃないかな?」

 

「どういう事ですかアスナさん?」

 

「みんなも知ってる通り、この世界【ALO】は【SAO】のサーバーをコピーしたVRMMOでしょ?だから、完全に同じという訳じゃなくて・・・・・・あぁ、なんて言ったらいいのかしら」

 

アスナが戸惑った様子で口を濁す。

 

「つまりだ。ALOは魔法有り飛行戦闘有りのSAOなわけだろ?もし、SAOと同じだったら簡単にクリアされるから、ボスの情報は無いんだろうな」

 

アスナの言葉を引き継いで言うと、シリカたちはなるほどと頷いた。

 

「パパ」

 

「ん?」

 

「恐らくですが、前回と同じくボス戦は場所を移動して行うと思われます。気を付けてください」

 

「わかった。ありがとうなユイ」

 

「いえ!頑張ってください!」

 

俺の胸元のポケットに入り俺らに激励を掛けてくれたユイに返事をして、俺はみんなを見る。

みんな、準備万端の様子だ。

 

「よし───いくぞ」

 

両手を目の前に聳え立つ扉に着き、扉を押していく。

そして、扉を開けると───

 

「くっ・・・・・・!」

 

「やっぱりだと思ったけど、またこれぇぇ〜!?」

 

浮遊草原(ヴォークリンデ)の時と同じく、扉の奥から凄まじい暴風が俺たちを襲って来た。

 

「もしかして、これからのボス戦って全部これがあるんじゃ・・・・・・」

 

「うぅぅ。転移するのはいいけど、せめてやり方を変えて欲しいよ」

 

「それには同意するわ」

 

フィリアの言葉にリーファとシノンが返す。

そのまま風に耐えていると───

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「───!」

 

次に目を開けると、俺たちはヴェルグンデの空にいた。

そしてそこに───

 

「グオオオオオォォ!!」

 

地を鳴る雄叫びが辺り一面に響き渡った。

 

「今の声どこから・・・・・・!」

 

周囲を見渡すが、何も無く。

 

「ハッ!上だ!」

 

ハッ!と上を見上げると、俺たちから少し上に行ったところに、巨大な空を飛ぶゴーレムのような、岩で出来た巨大な顔に岩の両腕。そして後頭部の周囲に八つのクリスタルらしきオブジェ。そのクリスタルらしきものは顔の下、身体部分にも一際大きいのが存在していた。

 

「なにあれ!?」

 

「空を飛ぶゴーレム・・・・・・?」

 

「いやいや、あれはゴーレムじゃないでしょ!?」

 

うん。リズの言う通りあれは空を飛ぶゴーレムでは無い。(確信)何せ胴体がないから。

 

「キリトくん、それだけで確信ってのは・・・・・・」

 

「あれ、声に出してた?」

 

レインの声に俺は驚き半分の顔を出した。なんか最近レインに思考を読まれることが多い気がするな。

そう思いながら、ボスを視る。

ボスの頭上には『The Hildisvíni』と表記されていた。

 

「ヒルディスヴィーニ。戦いの家猪。戦いの猪。北欧神話の愛の女神フレイヤが持っているといわれるイノシシの名前ね」

 

ボスの名前にシノンがそうコメントする。

俺たちはそれを聴きながらそれぞれ剣を抜刀する。

ボス───ヒルディスヴィーニも俺たちに気づいたらしく、地鳴りのような雄叫びを上げて接近してきた。

 

「みなさん!あのボスの攻撃には気を付けてください!」

 

俺の胸ポケットから顔を出して言うユイ。

 

「わかった!よし、それじゃあ行くぞ!」

 

『『『おおっ!!』』』

 

俺たちは気合を入れてボスへと向かって行った。

 

「はああああっ!!」

 

初撃としてヒルディスヴィーニ本体を斬り付ける。しかし。

 

「なっ・・・!?硬っ!」

 

ヒルディスヴィーニにはキンッ!と音が鳴るだけでHPは全く削られてなかった。

 

「退いてキリト!」

 

俺と代わりにリズがヒルディスヴィーニに自身の片手棍を振るう。

 

「やああっ!」

 

「グオオッ!」

 

「───って、硬ったぁぁい!!なによこの硬さ?!岩を殴ってる感じなんだけど!?」

 

一撃を見舞ったリズは打撃を与え、すぐに離脱し右手を痺れたように振って眼を丸くして言う。

リズの武器である片手棍は、俺達の中で唯一打撃系の武器だ。一応エギルの両手斧やストレアの両手剣も打撃系のソードスキルはあるが、基本は『斬撃』の属性に入る。その打撃かあまり効果無いとなるとアスナやシノンの『刺突』は全く効果ないとみるべきだろう。

何処かに弱点(ウィークポイント)があると思うが・・・・・・。

ボス、ヒルディスヴィーニを観察しつつ攻防を行う。

現状、ヒルディスヴィーニの攻撃は両腕によるなぎ払いや叩きつけなどだ。少しずつではあるがヒルディスヴィーニの三段あるHPは減ってきてはいる。が大きく減らすことは出来てない。

 

「っ!キリト!」

 

「ああ!」

 

クラインとともに、迫ってきたヒルディスヴィーニの突進を下に降りて避けその下のクリスタルを斬りつける。

すると。

 

「グオオオオッ!!!!」

 

ヒルディスヴィーニ悲鳴を上げるかのような雄叫びをあげた。

 

「!もしかして・・・・・・」

 

ヒルディスヴィーニのその様子に俺はある仮説が頭に出た。

俺はその仮説を確かめるために再度クリスタルをに攻撃を仕掛ける。

 

「はぁっ!!」

 

片手剣ソードスキル《ソニックリープ》をブースト込みで放つ。

雄叫びを上げ動きを止めていたヒルディスヴィーニの、胴体部分にあたる下のクリスタルに《ソニックリープ》は当たり。

 

「グオオオオオオ!!!」

 

再び悲鳴のような声とともに、表示されているHPゲージが多く削れた。

 

「よしっ!やはりクリスタルが弱点なんだ」

 

クリスタルに赤い斬られたエフェクトが消える中、俺はみんなに伝える。

 

「みんな!このクリスタルがコイツの弱点だ!恐らく周囲に浮かんでる小さなクリスタルも同じだ。そこを重点的に攻撃していくぞ!」

 

『『『『『了解』』』』』

 

全員声を上げ、それぞれの武器を構えてヒルディスヴィーニへと向かい、クリスタルへと攻撃していく。

 

「はあぁっ!!」

 

「うおおぉっ!」

 

「とぉりゃっ!!」

 

「やあぁぁっ!」

 

「せやっ!」

 

「ぜぇぇあっ!」

 

次々とクリスタルに攻撃がヒットして行き、ヒルディスヴィーニの三段あるHPゲージは三段目の半分程にまで削られた。

 

「グオオオオオオッッッ!!!」

 

「っ!散開して!」

 

『『『っ!』』』

 

アスナの忠告に全員瞬時に反応し、動き出したヒルディスヴィーニの両腕回転攻撃を避ける。が。

 

「きゃアッ!」

 

「くっ!」

 

「シリカちゃん!」

 

「フィリアさん!」

 

ヒルディスヴィーニの両腕による攻撃の風を受けシリカとフィリアはバランスを崩した。とっさにリーファとランが助けに入り離脱する。

 

「おいおい。なんつー攻撃力だよ・・・・・・。風がすんげぇぞ」

 

「あ、ああ!クライン大丈夫か」

 

「おうよ。問題ねぇ!」

 

隣でヒルディスヴィーニの両腕による風を耐えつつクラインと話す。まあ、ウォークリンデのボスであったファフニールの起こす風よりはマシだが。

少ししてヒルディスヴィーニの両腕回転攻撃が終わり。

 

「クライン!」

 

「おうよ!」

 

すかさず近くのクリスタルにクラインが刀を一閃。そして俺は二刀流ソードスキル《デブス・インパクト》五連撃を撃つ。

 

「グオオオオオオォォォォ!!!」

 

「チェストォォー!」

 

悲鳴をあげるヒルディスヴィーニの額に、リズが遠心力も加えた片手棍の攻撃。片手棍ソードスキル《ミョルニルハンマー》を叩き込む。《ミョルニルハンマー》の副次効果で、ヒルディスヴィーニの額にバチッ!と雷が走る。

 

「グオオオオッッッ!!!」

 

さらにスタンの効果も入ったことにより、ヒルディスヴィーニはその巨体?いや・・・巨顔岩?を横に倒れ伏した。

 

「いまよ!全員総攻撃!クリスタルを重点的に狙って!」

 

アスナの指示声に俺たちは全員それぞれソードスキルのライトエフェクトを煌めかせて、武器をクリスタルへと叩き込む。

 

「うおおおおぉぉぉっ!」

 

「ぜりゃあぁぁっ!」

 

「やあぁぁっ!」

 

「はあぁぁっ!」

 

「せやああぁぁっ!」

 

色とりどりのソードスキルのライトエフェクトがあちこちで輝き、ヒルディスヴィーニの三段ある膨大なHPを削っていく。

 

「キリトくん!」

 

「ああ!」

 

レインと合流し、

 

「「───アブソリュート・デュオ!」」

 

24連撃のソードスキルを放ち、更にHPを削る。

ソードスキルの技後硬直が終わると同時にヒルディスヴィーニもその巨顔岩を元に戻し、一際大きな雄叫びのような声を発した。

 

「グルオオオオオオッッ!!」

 

「パパ、ママ!気をつけてください!行動パターンが変わります!」

 

「ああ!」

 

「ありがとうユイちゃん!」

 

ユイの忠告に返事をし、ヒルディスヴィーニの攻撃範囲(レンジ)から離れる。

 

「グオオオオオオ!!!」

 

「っ!気をつけてください!なにか来ます!」

 

ヒルディスヴィーニの雄叫びにランが警告を促す。

それと同時にヒルディスヴィーニは大きな口を開き、そこから砂の息吹(サンドブレス)を繰り出した。

 

「「「っ!!」」」

 

「ラム!リーファ!ストレア!」

 

ヒルディスヴィーニの砂の息吹の直射状にいたラムたちは咄嗟にそれぞれの武器でガードする。

 

「アスナさん!」

 

「ええ!」

 

種族がウンディーネであるランとアスナはすぐに三人に回復魔法を施す。

 

「グオオオオオオ!!!」

 

しかし、それを阻むようにヒルディスヴィーニが再び口を開き、アスナとランに向けて砂の息吹を放とうとする。

 

「っ!また!?」

 

そこに。

 

「うおおおおおおっ!!」

 

「させるかよっ!」

 

「ピナ、バブルブレス!」

 

「キュウゥーーっ!」

 

「アルゴ!」

 

「あいヨ!」

 

エギルとクラインがヒルディスヴィーニに向けて強力な一撃を頭上から叩き込み、シリカの指示にピナがヒルディスヴィーニの目に向けて泡を吹き出し動きを止める。そして、フィリアとアルゴが巨顔岩の下の大きなクリスタルを攻撃した。

 

「グオオオオオオ!!!」

 

ヒルディスヴィーニは悲鳴を上げ、後ろへと巨顔岩を移動して距離を取る。

 

「フッ!」

 

そこにシノンが追撃を仕掛けるように、矢を数本ヒルディスヴィーニの眼に向かって放つ。

えげつない、と思ったのは気のせいじゃないと思う。うん。

 

「キリト、今えげつないって思ったでしょ」

 

「なんでわかった!?まさかシノン、エスパーが使えるのか!?」

 

「そんなわけないでしょ!顔見ればわかるわよ!」

 

矢を放ちながら言うシノンの言葉に、レインは苦笑いを浮かべながら。

 

「───サウザンド・レイン!」

 

自身の最強のソードスキルを放った。

レインの象徴とも言えるソードスキル。SAO時代から愛用しているレインの十八番ソードスキル。

レインの周囲に現れた蒼色のライトエフェクトを纏った幾多の剣が、雨のようにヒルディスヴィーニへと殺到する。さすが、身体が岩だからか、防御力は高く、蒼色の剣はヒルディスヴィーニの硬皮を貫きはしなかったが、幾多の切り傷を負わせた。

 

「グオオオオオオ!!!」

 

雄々しい雄叫びを上げ、ヒルディスヴィーニは両の岩拳を突き出しパンチを撃つ。

 

「くっ!」

 

ヒルディスヴィーニのパンチは直撃こそしなかったが、拳風で大きく退けられた。

 

「直撃したらヤバいな・・・・・・・」

 

ヒルディスヴィーニの速度(スピード)は幸いにもそこまで高くないため、躱せることはかわせるが如何せん攻撃力と防御力が高い。しかも身体が岩なため重みもありそれはさらに高い。

 

「アスナさん!」

 

「ええ!」

 

ヒルディスヴィーニの頭上から、アスナとランが魔法で氷の槍を降らせ攻撃する。

 

「グオオオオオオ!!!」

 

「これでようやく一段を削り切ったか」

 

アスナとランの魔法攻撃により、ヒルディスヴィーニのHPは三段目がスゥ、と右に消え二段目へと入った。

 

「パパ、次が来ます!」

 

「ああ!」

 

ユイの警告を聴きながら俺たちはヒルディスヴィーニへと接近していった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

三十分後

 

 

 

「パパ!ラムさん!ランさん!ユウキさん!頭上から岩魔法の攻撃が来ます!」

 

「「「「了解!!」」」」

 

ユイの声に俺、ラム、ラン、ユウキはそれぞれソードスキルの発動準備をする。

 

「2・・・1・・・0!」

 

俺たちの頭上に展開された魔法陣から拳10個程の大きさの岩が降ってくる。

俺たちはタイミングを合わせ、

 

「「はあぁぁっ!」」

 

「「せやああぁぁっ!」」

 

それぞれソードスキルでその岩を破壊した。

魔法攻撃ならば恐らくユウキたちは微妙だっただろうが、岩は物理だ。ならば、その岩を斬ってしまえばいい。というわけで、ヒルディスヴィーニのこの魔法攻撃は簡単に対処出来た。まあ、こんなのできるのは俺たちくらいなもんだろうけど。あ、エギルやクラインも出来るぞ。というか、俺たちのメンバーの大半は可能だ。が、魔法破壊(スペルブラスト)は今のところ俺とレインしか出来ないけど。

現在、ヒルディスヴィーニの残りHPは一段を切り、イエローゾーンに入ろうとしていた。

二段目の半ばから、岩落としの魔法攻撃や叩きつけ等攻撃パターンが増えたが、そこは最強のアシストである愛娘のユイによって最初は手間取ったが、今になっては楽々・・・・・とは言えないが、タイミングが分かるようになった。

 

「次、ブレスが来ます!」

 

「オッケー!エギル!!───やあぁぁっ!!」

 

「うおおぉぉぉぉっ!!」

 

ユイの声にリズとエギルがヒルディスヴィーニの脳天に棍と両手斧を振り下ろす。

 

「グオオオオオオ!!!」

 

二人の重攻撃により、ヒルディスヴィーニのブレスは不発となり重攻撃を脳天部分に喰らいスタンが発生して動きが止まる。

 

「いまだ!」

 

そしてその隙を逃さず、俺たちはそれぞれ上位ソードスキルを繰り出す。

上位のソードスキルのため威力は高く、弱点であるクリスタルにヒットしているのでヒルディスヴィーニの残り一段のHPは徐々に減り、ついにイエローゾーンからレッドゾーンへと減って行った。

 

「グオオオオオオ!!!」

 

レッドゾーンに入ると、ヒルディスヴィーニはすぐさま雄叫びを上げ両腕による連続攻撃を繰り出してきた。

 

「うぐっ!」

 

「きゃアッ!」

 

「うぅ・・・っ!」

 

リズは左手の盾で、リーファは剣で、ストレアは両手剣の面でそれぞれヒルディスヴィーニの攻撃を受け止める。そして次の狙いはユウキだった。しかし、そこに。

 

「グオッ!?!」

 

ランの魔法による氷結の槍がヒルディスヴィーニの眼球部に突き刺さり、ヒルディスヴィーニの怯ませた。

 

「グルオオオオオオッッ!!」

 

「サンキュー姉ちゃん!」

 

悲鳴をあげるヒルディスヴィーニに、ランに感謝をするユウキ。

 

「みなさん!これが最後です!」

 

『『『『『おう!!』』』』』

 

ランの激励に俺たちは最後の力を振り絞る。

 

「いくよー!───サウザンド・レイン!」

 

「合わせるわレイン!───フッ!」

 

ランの氷結の槍で動きを止めるヒルディスヴィーニに、レインとシノンが牽制としてそれぞれ遠距離攻撃を放つ。

 

「グオオオオオオ!!!」

 

「させませんよ!───ラスティー・ネイル」

 

ヒルディスヴィーニの瞳が光り、攻撃しようとした所にランが自身のOSS(オリジナルソードスキル)。旧、ユニークスキル《変束剣》最上位ソードスキル《ラスティー・ネイル》を放ちヒルディスヴィーニを攻撃する。

 

「ハアあぁぁぁぁっ!」

 

鞭のようにしなって攻撃するラン。ランの剣は蛇のようにヒルディスヴィーニを切り裂く。

その間にも俺たちはそれぞれヒルディスヴィーニのクリスタルを攻撃しHPを削る。

やがて、ヒルディスヴィーニのHPは後二割となり。

 

「グルオオオオオオッッ!!!!」

 

その巨岩を回転させ近づけさせないようにし、頭上から今まだの比にならない数の魔法による岩落としを仕掛けてきた。

 

「ちょっ!なに!?何で急にこんなに俊敏なわけ!まさか暴走状態(バーサーク)になった!?」

 

「というよりもう我武者羅?」

 

「いやいやいや!冷静にツッコミ入れてる場合じゃないでしょ!?」

 

ヒルディスヴィーニのその絶え間ない、もう暴走状態ともいえる攻撃に俺たちはそんな会話をした。いや、だってもう、ね。

 

「ね、姉ちゃん、顔が女子のしちゃいけないような顔になってるよ・・・・・・・!?」

 

「そんなことありませんよユウ?」

 

そんな傍らで本気で心配しているユウキの声とランの真面目な声が聞こえてきたが・・・・・・。うん、将来ランが心配だ。色々と。

 

「キリトさん、ボスが動きを止めてる間に!」

 

ヒルディスヴィーニは暴走状態の反動か、丁度動きを止めていた。

 

「よし!一気に畳み掛けるぞ!」

 

俺の声と同時に全員ソードスキルを発動させる。

色とりどりのライトエフェクトがヒルディスヴィーニに当たり、残り僅かなヒルディスヴィーニのHPを削る。

やがてヒルディスヴィーニのHPは一割を切り───

 

「決めろキリト!」

 

「ああ!」

 

クラインとスイッチし俺は両手を広げ双剣にライトエフェクトの輝きを纏わせ放つ。

 

「うおおおぉぉぉぉぉぉっ!!」

 

クリアホワイトブルーのライトエフェクトを輝かせ二刀を振るう。

 

「───スターバースト・・・・・・ストリームッ!!」

 

『ジ・イクリプス』より多用した、俺の代名詞とも言えるソードスキル。

二刀流上位ソードスキル、十六連撃の剣の放流が残り僅かなヒルディスヴィーニのHPを襲う。

 

「グルオオオオオオッッ!!」

 

「うおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」

 

悲鳴を上げるヒルディスヴィーニの声を耳にしながら一撃一撃と双剣を振るう。

 

「ぜっりゃあああぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

ラスト十六連撃目。右斬り下しを全力で振り下ろす。

 

「グオオオオオオ・・・・・・・!!!」

 

ヒルディスヴィーニのHPが少しずつ左へと流れ。やがて、三段あったヒルディスヴィーニの膨大なHPが0になった。

最後、小さな雄叫びを上げ砂丘峡谷ヴェルグンデのエリアボス《ヒルディスヴィーニ》はその巨体をポリゴンの欠片へと爆散させた。

 

 

 


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