ソードアート・オンライン 黒の剣士と紅の剣舞士 二人の双剣使い   作:ソーナ

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LS編 第164話〈歌姫セブンとの邂逅〉

 

〜キリトside〜

 

「ふう・・・・・・今日もいっぱい冒険したねー!」

 

環状氷山フロスヒルデのエリア攻略を着実に進めてるある日。俺たちはフロスヒルデから空都ラインへと帰って来ていた。

今ログインしているのは、俺、リーファ、アスナ、クライン、ユウキ、ラン、フィリア。そこに娘のユイとストレアを加えて九人だ。

レインたちは生憎それぞれ予定があり今はログインしていない。

そんなわけで今回はこの九人で進めたのだ。

 

「あっ、もうこんな時間だ!そろそろ今日は落ちようか」

 

リーファの言う通り、時刻はもう既に午後の七時を超えていた。

 

「ここで解散しよう。じゃあまた明日いつもと同じ場所に集合だな」

 

「ええ」

 

「分かったわ!それじゃあねみんな!」

 

アスナとフィリアは返事をしてその場でログアウトする。。

 

「おう!俺はちょっと風林火山の連中の所に行ってから落ちるぜ。またなキリト」

 

そう言うとクラインは商業エリアの方に歩いていき。

 

「今日はあたしが夕飯作る番だから先に落ちてるね。キリトくんもあまり遅くならないようにね」

 

「ああ」

 

リーファは晩飯を作るために先にログアウトする。

 

「私もリーファを手伝うので先に落ちますね。ユウキ、あまり遅くならないようにしてくださいね」

 

「うん!」

 

ランもユウキに言付けするとログアウトする。

互いの両親が家に居ないため、今日は現実世界で木綿季と藍子と一緒に夕飯を食べるのだ。

 

「ユウキはどうする?俺はもう少し街を見ていくけど。新しい武器や防具が入荷しているかもしれないしな」

 

「うーん。ちょっと、買い物したら落ちるよ」

 

「了解だ。ユイとストレアは・・・・・・」

 

「あたしとユイは宿屋で裁縫スキルのスキル上げをするよ〜」

 

「はい!」

 

「そうか。気を付けてな」

 

「うん!」

 

「はいパパ!」

 

それぞれその場から離れ、俺も今装備している防具や双剣より高レベルの装備はないとは思うが、掘り出し物があるかもしれないため商業エリアへと足を向けた。

商業エリアへと向かい、掘り出し物が無いかどうか確認したが特になくアイテム補充をした後、宿屋の方へ向かっていると広場の方から騒がしい声が聞こえてきた。

 

「?なんだか向こう側が騒がしいな・・・・・・」

 

声のする方へ身体を向けようとする。

その時。

 

「あっ!!」

 

「おおっと!大丈夫か?」

 

声のした方から走ってきた少女がぶつかって来た。

ぶつかり体勢を崩しそうになる少女を慌てて支え声を掛ける。

少女は何か焦っているのか。

 

「あの・・・・・・えっと・・・・・・あたしを隠して!」

 

あたふたしながらものすごい剣幕で言ってきた。

その言葉に思わず変な声が出る。

 

「はぁっ!?」

 

「いいから!あたしは後ろに隠れるからね!―――えぃ!」

 

「・・・・・・・・・・」

 

後ろにあった、からの樽に飛び込むようにして入る少女に唖然としていると、またしても声を掛けられた。今度は女性ではなく男性だ。

 

「おい、キサマ」

 

「?」

 

振り返ると、俺より10センチほど身長の高い、ウンディーネ種族特有の青を基調とした、青い服装を見に纏い、腰に刀を挿した男がこっちを見下ろしていた。

 

「この辺りで少女を見なかったか見なかったか?」

 

「あ・・・・・・え、えっと・・・・・・ぁあ、あっち側の方に走っていったけど・・・・・・あははは・・・・・・」

 

「・・・・・・そうか」

 

「・・・・・・・・・」

 

男の質問に引き攣り笑いを浮かべながら、当てずっぽうに指を指した。さすがに苦し紛れだとは思うがなんとか誤魔化せたのか、男は礼を言うわけでもなく俺が指を指した方へ歩いていった。

男が歩いて行ったのを見てしばらくしてから樽の中の少女へ問い掛ける。

 

「・・・・・これで良かったのか?」

 

「うんっ!助かったわ!うふふっ!」

 

樽の中から勢いよく上半身を出し、少女は可愛らしい笑みを浮かべた。

 

「そういえば今探していたあの男・・・・・・君は・・・・・・もしかして!?」

 

樽から出た少女を改めて見るのと同時に、さっきの男を思い出す。

さっきの男はつい先日遠目からだが見たプレイヤーだ。

そしてこの少女もその時男の隣にいたプレイヤーと同じだ。ということは。

 

「かばってくれてありがとう。あたしの名前はセブン。シャムロックのギルドリーダーよ」

 

「やっぱり!!俺、君と会いたかったんだ!」

 

やはり、目の前の少女は今このALOだけでなく、世界が注目している歌姫セブンだった。

ということはさっきの男はスメラギと呼ばれてるプレイヤーだろう。

まさかこんな所でその有名人に出会すとは思わなかった。

 

「あら?あなた、あたしのファンだったの?じゃあ、お礼にサインでもどうかしら?」

 

「いや、ファンとかじゃなくて七色博士としての君に話を聞きたかったんだよ」

 

「シャムロックに入隊したい・・・・・・とかでもないのよね?」

 

「ああ」

 

セブンの問いに答えていると、またしても騒がしい声が聞こえてきた。そして今度はその声がハッキリと聞こえてきた。結構近くにいるみたいだ。声からは『セブンちゃんどこに居るの〜?』だの、『こっちにはいなかったわ!』や『今度は向こうを探そう』と、様々だった。

その声を聞き、目の前にいるセブンは呆れ半分疲れ半分のように肩をすかした。

 

「まだ探してる・・・・・・しつこいわねえ」

 

「まだ探してるって・・・・・・君のギルドの奴らってお付きの人みたいなもんだろう?なんでセブンは逃げてるんだ?」

 

「このセブンちゃんにだって、ひとりでのんびりしたい時くらいあるわ」

 

憤慨したかのように言うセブン。

まあ実際、あんなに人が沢山いたら休める時も休まらないだろう。

 

「そうなんだ。しっかし、学者と歌手の掛け持ちなんでよく務まるな」

 

「まぁね。ただこっちの活動だって考えがあってやってるわけだし。面白がられてる事は承知よ。そう言えば、日本ではこんな様子をミコシにかつがれるって言うんだっけ」

 

「ははは・・・・・・アイドル様は意外と冷静なんだな」

 

「研究ってお金と時間が掛かるのよね。今は幸いパトロンがいるからお金の心配は無いんだけどね。研究費がいつ打ち切られてもいいように稼げる時に稼げる算段を整えてるだけ。アイドルって弾けると色々と儲かるからね」

 

なんともないように言う現実状況(リアル)に苦笑を浮かべながらも感心する。

セブンの歳は俺たちのパーティの中で一番年下のシリカより下だ。現実世界でなら中学生になる前だろう。

なのにそんな大人対応に驚きを隠せない。

そう思っている所に、またしてもセブンを探す声が響く。

 

「しつこいわねえ・・・・・・。今日はもうログアウトしようかしら」

 

「キリト。スプリガンのキリトだ」

 

「いい名前ね。じゃあまた、どこかで会いましょう!」

 

「そうだな、俺もログアウトするか」

 

特にすることもないので、俺もログアウトすることにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ログアウトして目を開けると部屋の中は暗く、時計を見ると時刻は19時近くを指していた。

アミュスフィアを外し、ベットから降りるとノックの音がした。

 

『お兄ちゃんいる?』

 

部屋の外からスグの声が聞こえてきた。

 

「ああ、いるよ」

 

返事を返すと、扉が開きそこからスグが顔を覗かせてきた。

 

「よかった、ログアウトしてたんだ。もう、夜ご飯出来てるよ」

 

「分かった。今行くよ」

 

部屋のカーテンを閉めスグとともに一階のリビングに向かう。

リビングに降りると丁度テレビの画面に、さっきあったセブンの現実世界での姿が映っていた。

 

「あっ!またセブン・・・・・・じゃないや。七色のインタビューをやってるな」

 

最近セブンこと、七色博士の特集が多くこれもそのひとつなのだろう。

アナウンサーがセブンに幾つかの質問をし、セブンはその質問を答える。

 

 

『それでは最後に・・・・・・。日本のセブンファンのみなさん、並びに七色博士に注目する人たちにメッセージをお願いします』

 

『歌を歌うセブンも。博士として研究を続けるあたしも、どちらも真実のあたしなの。だから、どちらか一方だけじゃなくて、両方あたしだと思って、日本のみんなも温かい目で見守ってくれると嬉しいな。うん・・・・・・。どちらも本当の・・・・・・自分だから・・・・・・』

 

 

「どっちも、ねぇ・・・・・・。さっきと言ってる事が全然違うなぁ。本音と本音と建前を使い分けて大したもんだな」

 

恐らく、今テレビで流れた質問の答えは建前。さっき本人が言った言葉が本音なのだろう。

10歳なのに大人な対応に正直感嘆する。

 

「お兄ちゃんが・・・・・・テレビ見ながらニヤニヤ笑ってる・・・・・・。もしかしてセブンちゃんにハマっちゃったんじゃ・・・・・・?」

 

スグがキッチンの方から何か言っているが・・・・・・気にしないでおこう。夕飯を食べてる最中、ずっと滅茶苦茶、疑心暗鬼な瞳でスグに見られていたが・・・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日

 

空都ラインの泊まってる宿から出ると、すぐ近くの看板の裏にコソコソ隠れてる怪しいプレイヤーを見つけた。

というかそのプレイヤー、昨日であったばかりのプレイヤーである。

 

「(看板の裏にいるのは・・・・・・セブンじゃないか?)」

 

そう、何か隠れているようにしているプレイヤーはセブンだった。

さすがに何してるのか好奇心ができ、当人に聞いてみることにした。

 

「おーい、セブン!そんな所でなにやってるんだ!?」

 

「うわぁっ!?って、しーーっ!!大きな声で呼ばないでよ!」

 

合わふためいてコッチを見るセブン。

そこに、一人の男プレイヤーがやって来た。

 

「セブン、ここにいたのか」

 

「うひゃぁ!あ、スメラギ君に見つかっちゃった・・・・・・」

 

どうやら、セブンはあのプレイヤーから隠れていたらしい。

で、俺のせいで見つかったと思う。

スメラギと呼ばれた腰に刀を装備したウンディーネの男プレイヤーは、俺を一瞥し視線をセブンに合わせ話す。

 

「さぁ、早くこちらへ。今日はミニライブがあると言っただろう」

 

「でもそれってみんなが勝手に決めたことでしょ?あたしは新エリアの攻略を進めたいの!今はシャムロックがクエスト攻略のトップを走ってるけど。他の有力ギルドが追いついて来てるって聞いてるよ。噂だと、今頭角を現している凄腕のプレイヤーが・・・・・・」

 

「セブン、今は時間が無い。話は後で聞こう」

 

セブンの話を聞かずに我を通すスメラギ。

それを見た俺はさすがに放っておけず、セブンとスメラギの間に入る。

 

「おい、アンタ。あんまり無理強いするなよ」

 

「なんだ、貴様か。一介のプレイヤー風情が口を挟むな」

 

興味すらないのか、スメラギは一瞥しただけで鋭い目付きで俺を見る。

 

「シャムロックのギルドマスターが歌う歌は共存と平和がテーマなんだろ?なら一介のプレイヤーにも発言させろよ」

 

「何だと・・・・・・!?」

 

俺の発言に気が触ったのか、スメラギは腰の刀の柄に手を置き今にも抜刀しそうな空気を出す。

 

「それともなんだ。お前らのギルドマスターの定義する共存と平和は一介のプレイヤー風情には入らないってか?」

 

「貴様・・・・・・っ!!」

 

「・・・・・・今ここで、決闘(デュエル)でもするっていうなら受けて立つぞ」

 

スメラギの殺気ともいえる迫力に、俺も背中の『ユナイティウォークス』の柄に手をやり意識を戦闘時の者へと切り替える。

そのまま一種即発になろうかと言う俺とスメラギの間に―――

 

「ああ、もう止めてよ、スメラギ君。わかったから。もう行くから!お願いだからこんなところで決闘なんかしないで!」

 

セブンが待ったを掛けた。

セブンの言葉にスメラギは殺気を収め、刀の柄にやっていた手を離した。俺もそれに続いて意識を元に戻し、剣から手を離す。

その俺にセブンは呆れ驚いたように言った。

 

「君も恐れ知らずだなぁ。スメラギ君にそんな口を利いたのは、あのユージーン将軍くらいよ」

 

「それは・・・・・・。お褒めに預かり光栄だな」

 

「ふん・・・・・・。さぁ、セブン、行くぞ。急いでくれ」

 

「うん・・・・・・あっ!あわわ、君!この間の話、誰にも言っちゃあダメだからね!」

 

「ああ、わかってるさ」

 

「じゃあまたね、キリト君」

 

「ああ!」

 

スメラギとともに去っていくセブンを見送りながら、

 

「―――セブンも大変だな・・・・・・」

 

と思った。

彼女はまだ歳では俺たちの中で一番年下のシリカより幼いのに、あんな大人びた感じなのだ。

現実では開発研究。この世界では歌姫とギルドマスターとして。

多忙な日々にさすがの俺もぐうの音もでない。

 

「俺も行くか」

 

セブンたちとは反対側の方へと俺も歩みを進め、レインたちと合流したのだった。

 

 

 

 

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