ソードアート・オンライン 黒の剣士と紅の剣舞士 二人の双剣使い 作:ソーナ
俺とレインは、約1ヶ月ほど前。
第75層、ボス部屋でヒースクリフとの事を思い出していた。
「悪いが、一つだけ頼みがある」
俺は対峙しているヒースクリフに言葉をかけた。
「何かね?」
「簡単に負けるつもりはないが、俺が負けたときはしばらくでいい、レインが自殺しないように計らってほしい」
「ほう。よかろう」
「キリトくん、そんなのないよ!キリトくんーーーー!!」
レインの絶叫が背後から聞こえてきた。
だが俺は、後ろを見ずヒースクリフを睨み付けた。
ヒースクリフは、ウインドウを操作し[不死存在]を解除した。
ヒースクリフの頭上には解除したことを知らせるシステムメッセージが現れる。
俺は、両手の片手剣《エリュシデータ》と《ダークリパルサー》を構える。
対峙するヒースクリフも片手剣と長大な十字盾を構える。
"これは、デュエルなんかじゃない。・・・・・単純な殺しあいだ。そうだ、俺は、この男を・・・・・"
「殺す・・・・・・っ!」
鋭い呼気とともに吐き出しながら、俺は床を蹴った
「はあぁぁぁぁぁぁぁあ!!!」
「はあぁぁぁあ!!」
俺はヒースクリフに接近し二刀を振るった。
右切り上げ、左切り下ろし、右切り下ろしの等の剣劇の応酬。
俺の剣はヒースクリフの盾に防がれかわされる。
ヒースクリフの剣を俺は二刀を使い防いでいく。
「・・・・・っ!」
俺の攻撃を防いだヒースクリフがお返しにと剣を振ってきた。
俺は咄嗟に顔を逸らしたが頬に剣が掠れた。
"もてあそばれているのか・・・・・・っ!"
俺は背後に下がり剣を構え突進した。
剣にはソードスキルのライトエフェクトが輝いていた。
そのエフェクトを見たのかヒースクリフの口角が僅かに上がった。
「っ!・・・・・・・・うおぉぉぉぉぉぉぉお!!」
≪二刀流≫最上位ソードスキル≪ジ・イクリプス≫合計27連撃。
コロナのように迫り来る二刀の斬撃をヒースクリフは余裕の表情で防いでいく。
俺は攻撃を防がれていく。このままでは俺のソードスキルが終了したとたんにヒースクリフの剣が迫ってくる。
最上位ソードスキルの為、技後硬直は通常のソードスキルよりは長い。そしてヒースクリフは、その瞬間を逃すはずがない。
俺は最後の二撃を喰らわせようとし、ヒースクリフは盾を構え剣を正中線に構える。
俺とヒースクリフがぶつかる瞬間、
「!?」
世界にノイズが走った。
ヒースクリフは、視線を今まさに振り下ろそうとした右手を見た。
その顔には困惑の表情が少々浮かべられていた。
ノイズが走ったのは、一秒程。
ノイズが走り歪みが元に戻ると俺とヒースクリフは大きく後ろに跳び離れた。
ヒースクリフはまだ体勢を戻していなかった。
"これが最後のチャンス!"
俺はそう思い剣を再び構えヒースクリフに迫った。
ヒースクリフは、俺の攻撃を防ぐが先程とは違い余裕の表情が消え失せ、焦りの表情が出ていた。
俺の攻撃が当たった剣や盾には先程と同じようなノイズが起こる。そのノイズはヒースクリフにも出ていた。
だが俺は、その事には目も触れず次々と斬撃を浴びせていく。最後に俺は剣をVの字に切り上げヒースクリフの体勢を崩した。
「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉお!!」
俺はそれを逃さず左手の剣で突きを放つ。
ヒースクリフは剣で防ごうとするが遅い。
ヒースクリフの剣で防がれるよりも早く俺の剣がヒースクリフの胸に突き刺さった。
「ぬっ!!」
すると、俺とヒースクリフから先程と同様のノイズが発生し広がって行った。
次に目を開け剣の先を見るとそこには誰もいなかった。
剣を突きだしたままの俺にノイズが走る。
「終わった・・・・・のか・・・・・・」
俺はそういい姿勢を元に戻した。
すると、トスッ、と音がして背後に別の重みがのしかかった。
背中を見るとレインがいた。
「・・・・・・」
「キリトくん!」
「レイン。・・・・・・ようやく終わったよ」
「うん、うん。本当に・・・・・・無茶をして。・・・・・・・後でお説教だからね、キリトくん」
「うぇ!?いや、お説教は勘弁してほしいかな・・・・・・」
「うふふ。考えとくね。ところで・・・・・茅場さん・・・・・・ヒースクリフさんは・・・・・・?」
「わからない・・・・・・」
俺がレインにそう言うと背中に衝撃を受けた。
「な、なんだ!?」
「なんだ、じゃねえよキリの字!お前は勝ったんだよ!あのラスボスに勝ったんだよ!」
どうやらクラインが俺の背中を叩いたらしい。
よく見るとクラインだけでなくヒースクリフによってうごけなくされていたプレイヤー全員動けるようになっていた。
全員、喜びの歓声をあちこちで挙げていた。
「そうか・・・・・俺が・・・・・・」
「やったね、キリトくん」
「レイン・・・・・・」
「キリトくん・・・・・」
俺とレインは互いの顔を見ていると。
「ごほんごほん。あー、二人だけの世界に入るの止めてもらえます?」
「な!?」
「え!?」
俺とレインはクラインの声に臘梅したが周りプレイヤーは顔をにやけながら「見せつけてくれるなーご両人~」や「うらやましすぎるぞ二人とも~」など言っていた。
「キリト君、レインちゃん。せめて場所を考えていちゃついてほしいかな」
「キリト~、こっちが恥ずかしくなるよ。そういうのは二人の時にしてよね~」
「見ているこっちが恥ずかしいですね・・・・・」
「確かに」
「ですね」
「ちょ、アスナたちまで!?」
俺はアスナたちの言葉に突っ込んだがにやけた顔はそのままだった。
ちなみにレインは、俺の隣で顔を紅くしていた。
「ところでキリトよ。・・・・・・俺たちは何時になったら現実に出られるんだ?」
クラインが唐突に聞いてきた。
「そういえばそうだな」
ヒースクリフ・・・・・・茅場明彦が消えてから幾分かたっているが何時まで経っても俺たちはいまだにログアウト出来ていなかった。
他のプレイヤーも不思議そうにしていた。
「まさか、ヒースクリフが嘘をついていた。・・・・・・なんてことはないよな」
「・・・・・・それはないはずだ。あいつは"自分が負けたら全てのプレイヤーがこの世界からログアウト出来る"と宣言していた。あの言葉に嘘はないはずだ」
「じゃあなんでまだ出られないんだよ!?」
俺は、
"茅場はこんな嘘をつくような奴じゃないはずだ、なのに何故?まだ何か足りないのか?・・・・・そう言えば、茅場と戦っているときに起きたあのノイズはいったい・・・・"
頭でそう考えていると。
「おい!第76層へと続く扉が開いているぞ!」
エギルがそんな事を言ってきた。
その言葉に全員騒然とした。
「私たちはまだ、戦わなくちゃならないの・・・・」
アスナがそう呟いた。
「キリトくん・・・・・」
「ああ・・・・・」
俺は、攻略組プレイヤーを見て大きな声で、
「みんな、聞いてくれ!このまま此処にいてもなにも変わらない!とにかく今は次の層へ行くことだ!」
そう言った。
その言葉に周りのプレイヤーたちは、
「そうだ・・・・・こんなところで立ち止まってたまるか!」
「出口がないなら自分で探すしかない!」
と、次々と意気込んでいた。
そして俺は、
「・・・・・行こう!第76層へ!」
と全員に言った。
そして俺たちは第76層へと続く階段を登っていった。
次回、第76層へ