ソードアート・オンライン 黒の剣士と紅の剣舞士 二人の双剣使い 作:ソーナ
感想等ありましたらお聞かせ下さい。
「ここが、第76層・・・・・」
第75層からの階段を通って76層へとやって来た俺たちは、フィールドを見るなりそう言った。
「結局、現実に帰れなかったね」
「ああ。76層にきたらもしくは、と思ったんだがな・・・・」
俺がレインと会話していると、クラインの奇声が聞こえた。
「ん?どうした、クライン」
「キリト、今すぐ自分のウィンドウを開いてアイテム欄を見てみろ!」
俺とレインは懸念しながらウィンドウを開きアイテム欄を見た。
「な、なんだこれ!?アイテムが文字化けしてる?」
「キリトくん、わたしのも文字化けしてるよ!」
そこには文字化けした物が表示されていた。
「な、おい、アイテムだけじゃなくてスキルデータまでもおかしくなってるぞ!」
更に見るとアイテムだけでなくスキルデータまでもがおかしくなっていた。
「キリト、他のプレイヤーにも確認したけど全員おかしくなってるみたいだよ!」
ユウキが他のプレイヤーの状態も確認したのかそういいに来てくれた。
クラインは、ウィンドウを表示させながら地面に膝をつき嘆いていた。
すると、
「おい、おかしくなってるのはアイテムやスキルデータだけじゃねぇぞ!転移結晶の動きが普通じゃない!」
エギルがそう言った。
「エギル、どう言うことだ?」
「ああ、なんでもこの層から下層に転移ができないらしい」
その言葉に俺たちは愕然とするしかなかった。
アイテムの文字化け、スキルデータのロスト、下層への転移不可、この短時間で立て続けに起きたのだ無理もないだろう。
「・・・・・・みんな!聞いてくれ!」
俺は攻略組プレイヤーに声をかけた。
「このままいてもなんにもならない・・・・・・ゲームシステムが不安定、下層への転移が無理・・・・・なら俺たちはこれ以上致命的な不具合が発生する前に先へと進むべきだと思う!」
「みんな、わたしたちの目的はこのゲームをクリアして現実に戻ることでしょ、なら行こうよ・・・・」
そして
「「第100層・・・・・紅玉宮へ(に)!!」」
俺とレインは同時に言った。
第76層に来た俺たちに取ってはなにも全てが悪いことではなかった。思いがけない再開と新たな出会いがあった。
第76層主街区〈アークソフィア〉転移門広場
「ん?」
「どうしたの、キリトくん」
「いや、なんか文字化けしたアイテムの1つが光ってるんだよ・・・・・」
俺は光っているアイテムをオブジェクト化した。
オブジェクト化したアイテムは光を放ち少女の姿へと変えていった。
「ふぃ~っ!やっと外に出られました~」
「ユイ!?」
「ユイちゃん!?」
出てきたのは以前消えてしまった俺とレインの娘、ユイだった。
「パパ!ママ!また会えましたね!」
ユイが笑顔で言うと、背後の転移門が蒼く光った。
誰かが76層へと転移してきたのだ。
「ああ!良かった~二人とも。無事だったのね」
転移してきたのはリズベットだった。
「リズっち!?どうして来ちゃったの!?」
「いや、どうして来ちゃったの、って言われてもね~」
「あのねリズっち、落ち着いて聞いてね。リズっちはもう76層から下へは転移出来ないんだよ」
リズはレインの説明に眼をパチリと瞬きをし、
「え、いや、んなわけないじゃんよ」
と、笑った。
「いや、事実だリズ」
俺のマジな顔で言ったことにリズは慌てて転移門に行き、
「転移、リンダース!」
と言った。
リズの体が光に包まれ消えたかと思いきや、
「ちゃんと、転移出来たじゃない。驚かせ・・・・・・ない・・・・でよ?」
戻ってきた。
リズは、辺りをキョロキョロ見渡し、
「うそ・・・・」
夢ではないかと思ったのか眼をごしごし擦りまばたきをした。
「こういうわけなんだよ、リズっち」
「そんな、あ、アタシの≪リズベット武具店が・・・・・・・」
リズは、そのまま地面に崩れ落ち分かりやすいように落ち込んだ。
更に目に光が灯ってなかった。
表情には、"鬱だ"と言わんばかりの感じだった。
「ま、まあ、リズっち元気出してよ。76層から上の層にも良いことはたくさんあるはずだよ」
「うぅぅ・・・・・・グスッ・・・・・・良いことって何よ?」
「それはほら。此処は最前線だろ。なら、それなりに良い鉱石やアイテム、クエスト報酬があるってことだよ」
リズは、俺の言葉に考え込んだ。
「そうね、確かに此処は最前線だから、それなりにレアな物もゲット出来るかもしれないわね・・・・・」
そうリズが呟くと先程とは打って変わって元気になった。
「ありがとう、キリト、レイン。こうなったら、此処でも新しくアタシの店を出してやるわ。早速、≪リズベット武具店2号店≫の候補を探しに行かないと。それじゃ、二人ともまたね」
そう言うとリズは、走ってどっかに行ってしまった。
「行っちゃった・・・・・・」
「ああ。・・・・・・・ところでレイン、スキルデータのこと言わなくて良かったのか?」
「え、どうして?」
「いや、だって、確かお前の鍛冶スキルも熟練度下がってなかったか?」
「あ・・・・・・・・忘れてたよ」
俺とレインが会話していると突然、
『いやぁ~~!アタシの鍛冶スキルが~~!」
と声が響いてきたのはそれから間もないことだった。
俺とレインは互いに顔を見合せ苦笑いを浮かべ、ユイとともにエギルの店へと向かった。
それから、一回エギルの店へと向かった俺とレインは、ユイをエギルに任せて76層のフィールドに出ていた。
二人でフィールドを探索していると、
「きゅる!きゅるるぅ♪」
と鳴き声が聞こえた。
「ん?今の鳴き声は・・・・・」
俺が鳴き声の出どころを探すと、視界の右端に水色の体毛をした小さな竜がこっちに向かってきていた。
「お前・・・・・・ひょっとしてピナか!?どうして此処に?」
「え、ピナちゃん!?それじゃあ・・・・・」
するとピナが来た方角から足音が聞こえてきた。
「ピナーっ!もう、勝手にどこかにいったりしないでよ・・・・・あ!キリトさん!レインさん!」
「って、シリカ!?」
「シリカちゃん!?どうして此処に!?」
「えへへ。お久しぶりです、お二人とも」
「あ、ああ。久しぶり・・・・・じゃなくて、どうしてシリカが此処にいるんだ?」
「噂で聞いたんです。最前線で異常があったと。キリトさんとレインさんが心配で・・・・・あたし、いても経っても煎られなったんです!」
シリカは覚悟を決めた眼で言っていた。
「あたし、お二人のお手伝いをします。ご迷惑をかけちゃうかもしれませんが、精一杯頑張ります!」
「・・・・・わかった、けど一度街に戻ろう。此処は危ないから、な」
「はい!よろしくお願いします。キリトさん!レインさん!」
「きゅるるっ!」
それから俺とレインは、シリカ、ピナを連れて一度街に戻り情報整理等を行い一日を過ごした。
そして、その会話の中で『妖精がいる』と話題になり明日探してみようとレインと相談した。
次回はあの二人の登場。