ソードアート・オンライン 黒の剣士と紅の剣舞士 二人の双剣使い 作:ソーナ
昼、俺が外から戻るとレインを含めた女子全員が集まり話し合いをしているのが見えた。
近付いてみるとどうやらアインクラッドについて話してるらしい。
「どうしたんだ、みんな集まって?」
「あ、キリトくん。お帰りなさい。買いたいものは買えたの?」
「ああ。色々と買えたよ。ところで、レインたちは何話してるんだ?アインクラッドについて話してるのは聞こえたが」
「ああ・・・・・。リーファちゃんとシノンちゃんにこの世界の事を話していたんだよ。特に食べ物関係を、ね」
「へぇ。なるほどな」
「で、アインクラッドで食べたものは脂肪にならないというわけよ」
「ふうん・・・・・それでいくら食べても太らないと・・・・」
「ダイエットにはもってこいだよね」
「そうですね~」
「ほんとに食べ物関係だけなんだな・・・・・」
「あはは・・・・・・」
俺が少々呆れたように言うとレインが苦笑いで応じた。
「キリトさん、食べ物もこの世界での楽しみの一つですよ」
「そうだよ、キリトくん。食べ物はこの世界数少ない楽しみのひとつなんだから」
ランとリーファがそれぞれ言う。
「まぁ。確かにな」
「キリトくんも美味しい食べ物があると嬉しいでしょ」
「まぁな」
「それに私も、私が作った料理をキリトくんに食べてもらえると嬉しいしね」
レインは頬を赤くし照れながら言った。
「うっ。レイン、それは恥ずかしいから止めて」
「わ、私も恥ずかしいんだからね・・・・」
俺とレインはそのまま顔を赤くして互いを見つめ合う。
「はあ~。まーた、始まったわ」
リズが呆れたように手を額に当てて嘆いた。
「やれやれ」
「毎度毎度飽きないわね~」
「そうだね~」
「あはは・・・・」
「見ているこっちが恥ずかしくなるわね」
「ですね」
リズに同意するようにラン、アスナ、ユウキ、シリカ、シノン、リーファが言った。
「あのみなさん。話がずれてますけど」
リーザが落ち着いてそう言った。
よく見るとラムも落ち着いているようだった。
まあ、リーザとラムもよく人前でイチャイチャしてからな。と俺は思った。
「まあ、下の層に行けばもっと色々な食材が集まったんだけどね」
「そうですね。でも、上層にも色々な食材がありますから」
レインの言葉にランが引き継ぐ。
「へぇー。そうなんですか。それじゃあ上に行く度新しい食べ物が食べれるってことですね」
「まあ・・・・・・。リーファちゃんの言うとおりだと思うけど」
「あ、でも下の層にも行ってみたかったな~」
「仕方無いよ。75層から下には転移できないんだから」
「そうですねぇ。あ~あ、下の層を見てみたかったな~」
「ん?リーファ、下の層に行ったらどうするつもりだったんだ?」
「そりゃキリト君。決まってるじゃん。あちこち風景を見たりするんだよ」
「へえ。そうなのか」
「ちょっと待って!。それじゃああたしが食べ物だけを楽しみにしているように聞こえるんだけど!?」
「違うのか?」
「違うの?」
リーファの言葉に俺とレインが同時に聞き返した。
「ちょっと~。キリトくんとレインさんハモらないで下さいよ。違いますから!」
「あははっ。ごめんリーファちゃん」
「もお~」
リーファは頬を膨らませて軽く怒っているように見せていた。
「にしても、下の層か~・・・・・・・・いいところもいっぱいあったわね~」
リズが懐かしいように目を細めて言う。
「そうですね。キリトさんとレインさんと一緒に行った47層は一面お花だらけのフロアでしたから・・・・・」
シリカは膝で体を丸くして寝ているピナの頭を撫でながら言った。
「ああ。フローリアか」
「あそこは、結構綺麗な場所だったよね~」
「そうだったな。あそこでアスナたちとお花見もしたっけ」
「そう言えばそうだったね」
「また行きたいですね~」
「えっ!?ええっ!?そ、それじゃ行きましょうか!!」
「いや、姉ちゃん、シリカ。今、行けないでしょうが」
「ああ・・・・・そうでした・・・・・・うぅ・・・・・後は第61層何かも綺麗ですよね」
「セルムブルクの事ね。私の家があった場所」
「第61層は全面湖に囲まれたところでしたからね」
「そうそう。夕陽が湖の水に反射して綺麗だったよね!」
「俺とレインが住んでいた50層のアルゲードも結構良いところだぞ」
「エギルさんの店もあったね」
「えー。アルゲードって楽しみが無いじゃん。治安も何か悪そうだし」
「まあ、道に迷いそうな場所だったからね」
アスナがリズの言葉に肯定して返す。
「あとはアタシの店があったところもいい場所よ」
リズは腰に手を当て言った。
「リンダース、だね」
「確かにあそこは自然豊かのフロアだったからな」
レインと俺がリズの言葉を引き継ぎ語る。
すると、聞いていたシノンが。
「・・・・・・・・気になっていたけど治安が悪いって言っても街の中は安全だって、前に言ってなかった?」
思い出したかのように訪ねてきた。
「まあ、そうなんだけどね。街の中は『アンチクリミナルコード有効圏内』通称『圏内』って言って……他のプレイヤーを傷つけたりはシステム的には不可能なんだけどね……それでも抜け道があったりするんだよ」
「例えばどんなのですか?」
「そうねぇ。まずは寝ている人の手を勝手に動かしてアイテムのトレードをしたり・・・・・」
「寝ている人に、完全決着デュエルを申し込んで殺す人もいるね」
「他には、圏外に回廊結晶をセットして寝ている人を圏内から圏外に出して殺す、って言うのも昔PKの間で行われました」
リーファの問いにはアスナ、ユウキ、ランが答えていった。
「・・・・なるほどね。人間やることはどれもこれ同じってことね」
「でも、まあそんなことするのは一部のプレイヤーだけよ。ここにいる人たちはそんなことするはずないでしょ」
「・・・・・まあ、ね」
「ですね」
シノンとリーファは安堵し納得言ったように、リズの言葉に頷いた。
「・・・・・・・・・」
「どうしたのキリトくん?」
「あ、いや。・・・・・・2年間もSAOの中に閉じ込められてるとさ、ここでの生活になれてしまったな。って感じてさ」
「そうだね・・・・・・・でも、私たちはこの世界をクリアして現実世界に帰らないとね」
「ああ。クリアしないとレインとの約束も果たせないしな」
「そうだね」
俺とレインはテーブルの下で手を繋ぎクリアを改めて決意する。
俺とレインが話していると。
「それじゃあ、今度二人に料理を教える、ってことで良いわね」
アスナがそう言っているのが聞こえてきた。
「さんせ~い」
「良いですね。幸いにもここには料理スキルをカンストしている人が沢山いますし」
「ですね。それに、私も参加したいです」
「あ、それじゃあアタシも」
「うふふ。いいわよ。レインちゃんもいいかな?」
「え。う、うん。私は構わないよ」
「それじゃあお願いするわね」
こうして後日料理教室が開かれることとなった。
俺はこの光景に、ずっと続けばいいな、と思った。