ソードアート・オンライン 黒の剣士と紅の剣舞士 二人の双剣使い 作:ソーナ
今回は80層到達記念パーティーです。
ゲームとは違いストレアとアルゴも参加します。
これは、第79層のボス攻略が終わり、第80層、カーリアナからの記憶。
「おう、キリト。この層のアクティベート、済ませてきたぜ」
第80層、カーリアナの転移門に行っていたエギルが帰ってきた。
「お疲れ、エギル。ふう・・・・・・・ようやく80層に到着か・・・・・」
「10の桁が上がると節目って感じがするね」
「ああ。これからは更に難易度が上がって・・・・・・」
隣にいるレインと会話していると、不意に。
ドッゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ!!!!
「きゃっ!!」
「なんだ!?」
「なに!?」
「こ、この揺れは?」
「うわぁ!?」
「じ、地震か?」
いきなりの揺れに俺たちは驚いたが、しばらくすると揺れは収まった。
「・・・・・・ビックリした~。アインクラッドで地震なんて初めてじゃないかな?」
レインが驚いたようにそう言う。
「確かに記憶にはねえな・・・・・・。昔のMMOじゃあ地殻変動イベントとかあったけどな」
「へぇ、そうなんですね」
「ああ。こういうイベントを、切っ掛けに新しいマップやエリア等が解放されたりするんだよ」
「そうなんだ~」
「にしても、いきなりの地震とは・・・・・何か新しいイベントでも始まるのか?」
「さぁな。でも、ちょっとら期待しちまうな」
「まあな」
「ただまあ、底意地の悪い改変じゃなきゃいいが」
「そうだな・・・・・」
「そうだね・・・・・」
俺たちはクラインの言葉に頷く事しか出来なかった。
これ以上、悪く改変されたりするとこちらとしても面倒だからだ。
「ところで、二人は何時まで抱き合ってるんだ?」
クラインが俺とレインを見てそう言う。
よく見ると、クラインだけでなくアスナたちもこちらを見ていた。
「!!・・・・・////」
「!!・・・・・////」
俺とレインは慌てて少し離れた。
抱き合っていたのはレインを地震の揺れから守るためなのだが、俺は顔を赤くしてそれを言い出せなかった。
「はあ~。責めて場所をわきまえてね二人とも」
アスナが少々呆れたように、そう俺とレインに言った。
「あ、ああ」
「う、うん」
俺とレインは顔を赤くしながらアスナの言葉に答えた。
その光景にアスナたちは、やれやれと言った感じで、クラインは血涙でもするぐらいの顔をしていた。
唯一、エギルは俺たちの保護者らしく苦笑いを浮かべクラインを宥めていた。
「にしても、結局ログアウト出来ねぇままここまで来ちまったな」
元に戻ったクラインが第80層の街並みを見渡してそう言った。
「ああ・・・・・やっぱりこのまま第100層を目指すしか無いみたいだ」
「今のペースから考えたら、第100層到達もそんなに遠くはないと思うよ」
「確かに。初めの頃に比べるとすごくハイペースだよ」
血盟騎士団副団長のアスナが昔を思い返したかのようにそう言った。
「そりゃ、こんだけ攻略をこなしてりゃ要領も良くなってくるってもんだよ」
「でも、そうやって慣れた頃が一番危なかったりするんだよ」
「そうですね。残り20層も気を付けて攻略していきましょう」
「そうだな。機を引き締めて行こう」
アークソフィア エギルの店
第80層についたその日の夜、俺たちはエギルの店でパーティーをすることにしていた。
「これで全員揃ったか?」
クラインが席に着いた俺たちを見てそう言う。
「んじゃ。そろそろ80層到達パーティーを始めたいと思います。思い起こせば二年前……俺はこのゲームで一流のプレイヤーになろうと……」
クラインが自分の思いを熱弁に語ろうとする。
だが。
「あんたの話なんかどうでもいいからさっさと乾杯しなさいよ」
リズがめんどくさそうに言い中断させた。
「ひでぇ!まだ話のさわりも語ってないってのによ!まあいいか・・・・・」
クラインは語るのを諦めると飲み物の入ったグラスを持ち。
「それじゃみんな、かんぱーい!」
乾杯の音頭をとった。
「「「「「「「「「「「「「かんぱーい!!」」」」」」」」」」」」」
クラインの音頭に続いて、俺たちは手に持ったグラスを軽く合わせた。グラスのぶつかる音が周囲を奏でる。
「よお、キリト、ラム。80層到達おめでとうさん!」
俺はこのメンバーの中で数少ない男プレイヤーであるラムと会話しているとクラインがやって来た。
ちなみにレインとリーザはアスナたちと、料理を食べながら楽しく談笑している。
「ああ、おめでとう、クライン」
「おめでとうございます、クライン」
「キリト。オマエと会ってから二年・・・・・今もこうして一緒にいられるなんて感慨深いじゃねーか!なあ?」
「まあ、お互い無事で何よりだよ」
「これからもよろしく頼むぜ、相棒!もちろんラムもだぜ!」
「ええ、こちらこそよろしくお願いします。クライン」
「ああ。残りの20層もさっさとクリアしちまおうぜ!」
「おう!」
「はい!」
ラムとクラインと男同士仲良く会話していると。
「キーリト!楽しんでる?」
「リズ。ああ、しっかりと楽しんでるよ。料理も旨いしな」
「そりゃそうでしょ。なんたってウチの所の女子はほぼ全員料理スキルコンプリート、しちゃってるんだもの」
「そう言えばそうだったな」
「ち、な、み~に、そこにあるのは一流シェフのレイン様が直々に作っている料理よ」
「これレインが作ったのか!そりゃ美味いはずだ!」
「当然でしょうが!」
「こんなうまいもんをお前は毎日食えてんのか!この幸せモノ!」
「で、あれがリーザの作った料理であれはアスナでしょ。そしてあれがユウキで、あそこにあるのがランが作ったものよ」
リズはテーブルに置いてある料理を一つずつ誰が作ったのか教えてくれた。
「これ、リーザが作ったんだ。毎日食べてますけど美味しいです」
ラムがリーザの作った料理を食べそう口に出した。
「くそ~っ!ここにもいたぜ!」
クラインは悔しそうに言いながらもちゃっかりと料理は食べていた。
「まあ、確かに毎日食べてるかな」
「確かにほぼ毎日、リーザの手料理を食べてますね」
「こうなったら、今日ぐらいは俺が全部平らげてやる!」
「おっと!そうはいくか!」
「そうはいきません!」
俺とラムはクラインと一緒に食い意地を張った勝負を勃発していた。
その様子にリズは。
「なにやってんだか・・・・・」
呆れたように俺たちを見ていた。
すると、エギルが料理を持ってやって来た。
「おいキリト。こっちの料理も食べてみてくれないか?」
「ん?なんだエギル、なんか作ったのか?」
「ああ、美味いもんを用意したぜ。期待してくれていいぞ」
「おお!これはピザか!?」
俺はエギルの持ってきた料理、ピザを見て興奮した。
「まあ、この世界に存在する素材で作ったものだからな・・・・・ピザの味が再現出来ているかは各自の判断に任せる」
「おいおい・・・・・」
「だが、まあ、レインやアスナに手伝ってもらったから美味しさにおいては間違いないだろう」
「なら、安心かな。よーし、それじゃ早速いただくとするか」
俺はピザに向かって手を伸ばした。すると。
「おっと待ってくれ」
エギルがストップをかけてきた。
「ん?」
「実はな・・・・・余興も含めてひとつ趣向を凝らしてみた」
「どう言うことだ?」
「この中の三切れに、激辛が混ぜてある」
「・・・・・は?」
「・・・・・え?」
「なに・・・・?」
エギルの言葉に俺、ラム、クラインは動きを止めた。
そして、エギルの言葉の意味を理解すると。
「はあ?なんだって!?」
ついすっとんきょうな声をあげてしまった。
「味見はしてないから、どの程度の辛さかはわからんが、まあ《圏内》だからな。死ぬことはねえだろう」
「大丈夫か、それ・・・・・・」
エギルの言葉に俺は少し心配してしまった。
「へえ、楽しそうじゃねーか。誰が激辛ピザを食べちまうかやってみようぜ!」
クラインは興味深そうにそう提案した。
「どれだけ辛いんだろう・・・・・」
「うん・・・・・・ちょっと怖いかも・・・・・」
リーファとシリカが不安げにそう呟く。
「作るところ見てたけど、ハンパない量のからみパウダーをまぶしてたわよ・・・・・」
「うん・・・・・さすがにあれは、と思うけど・・・・・・」
「何で止めなかったのよ・・・・・」
「その、すごく楽しそうだったんですよ・・・・・」
「確かに楽しそうにまぶしてたね」
「運試しと思えばいいのよ!むしろ当たればラッキーくらいの気持ちでね!」
「いや、全然ラッキーじゃないだろ、それ・・・・・」
「むしろ、ロシアンルーレットかと・・・・・」
「ラッキーか・・・・・・それならよ、激辛を食べたやつは、誰でも好きなやつに好きなことを命令していいとか、どうだ?」
クラインが思い付いたように提案してきた。
「アンタ、いつもそう言う遊びばっか考えてそうね」
「おいおい!別にやましいことを考えてるわけじゃねーぜ!誤解すんなよ!」
「んなこと、いわれても・・・・・・」
「おいしいもん作ってもらうとか、レアアイテム探しを手伝ってもらうとかいろいろあんだろ!」
「それなら、一緒に買い物に付き合ってもらうとかも?」
クラインの言葉にリーファが目を輝かせて続けて言った。
「そうか、そういうのもありか・・・・・・」
シリカが1人小声で呟いたが聞こえなかった。
「え~と、ピザは15ピースだから・・・・・」
「確率は5分の1、ですね」
「参加する人は誰ですか?」
「当然オレは参加だな!」
「あ、あたしもです!」
「うーん・・・・・・あたしも!」
「んじゃあ、あたしもー」
「はいはーい!わたしも参加するよー!」
「オレっちも気になるから参加させてもらうゼ」
「私もやってみようかな」
「気になるので私も参加します」
「僕も参加するよ!」
「どれ程辛いのか気になるので俺も参加しますよ」
「私もやります!」
「わたしも挑戦してみるよ」
「もちろん私も参加するよ~!」
「わたしもやってみます!」
「え!?ユイちゃんも参加するの!?」
「大丈夫だってレイン。ユイは辛いもの好物だもんな!」
「えーと・・・・・・はい!パパの言う通りです!」
「で、でも確か前、ユイちゃんがキリトくんと同じように辛いもの食べたときすごく渋い顔をしていたような気がするけど・・・・・」
「俺も参加させてもらうぞ。どれ程の辛さか確かめたい」
「大盛況で何よりだ。さあ、誰が激辛を食べてぶっ倒れてくれるかな」
「うーし、それじゃみんな、自分の食べる分を決めるぞ」
今回食べるメンバーは、俺、レイン、ユイ、アスナ、ユウキ、ラン、ラム、リーザ、リーファ、シノン、リズ、シリカ、アルゴ、ストレア、クラインだ。
みんなそれぞれ、自分の食べるピザを選んでいった。
「準備はいいみたいだな・・・・・みんな、いっせーので食うぞ。激辛が当たれば誰かに好きなことをしてもらえる・・・・・いいな・・・・・それじゃいくぞ!いっせーの!」
「あーんっ!!」
「はむ!」
「んむ・・・・・」
「あむっ!!」
「あんっ!」
「・・・・・」
「ふむふむ・・・・・」
「あーんっ!と・・・・・・」
「んん・・・・・・」
「ふむっ・・・・・・」
「ん・・・・・・」
「はむ・・・・・もぐもぐ・・・・・」
「もぐもぐ・・・・・」
「んむ・・・・・もぐもぐ・・・・・・」
クラインから順にリーファ、アスナ、シリカ、リズ、ユウキ、ラン、アルゴ、ストレア、リーザ、ラム、シノン、レイン、ユイ、俺がそれぞれ手に持ったピザを食べた。
すると。
「む!?ぐ!?んんんん!!」
クラインが目を見開いてなにかを我慢しているように見せた。
だが。
「か、かれえええええぇぇっ!!」
我慢できなかったようだ。
「んがあああ!!か、辛すぎる!おい、これ限度ってもんが!ああああ!!」
「だ、大丈夫か・・・・・?」
「やばい!頭痛がしてきた!!キリト!!水っ、水くれ!」
「あ、ああ!ちょっと待っててくれ」
俺は慌ててコップに水を注ぎにいった。
「ああああ!いってえぇ!舌が痛えよぉ!!」
「ははははは!!いいリアクションだぞ、クライン」
クラインがのたうち回っている姿にエギルは爆笑していた。
「エギル~!お前なんてもの作りやがった!」
「クライン、ほら、水だ」
俺は水を注いできたコップをクラインに渡した。
「す、すまねえ。・・・・・んぐっ、んぐっ、んぐっ!」
「ど、どんだけ辛かったんだ・・・・・」
俺はクラインが勢いよく水を飲む姿を見て疑問に思った。
「ふ、ふうー。はあ、はあ、はあ・・・・・」
クラインは水を飲み、疲れたように荒い息をしていた。
「ちょ、ちょっと残念って思ったけど、やっぱり当たらなくて良かったかも・・・・・・」
「そ、そうだね・・・・・」
「うん・・・・・・危なかった・・・・」
「うう・・・・・ひでえ目に遭ったぜ・・・・・・・だが、当たりは俺様よ。ここからが本番だからな!ふはははは!さーて、誰に何をしてもらっちゃおうかなー!」
クラインの、まるで悪役やどこかの変質者のようなセリフを聞き、女子たちは・・・・。
「ひょっとして・・・・・・あたしたち、すごいピンチなんじゃ・・・・・」
「だ、大丈夫よ・・・・・人並みの良識はあるはずよ・・・・たぶん」
「た、たぶんってアスナちゃん・・・・」
ちょっと。というよりはかなり引いていた。
「ん~~~~どーすっかなぁ~!!ねえ、お嬢さん方?」
クラインの言葉に俺はラムにそっと近づき。
「ラム、万が一の時には・・・・・」
「分かってます、キリト。万が一の時にはクラインを・・・・・」
「ああ・・・・・」
そっと作戦会議をした。
すると。
「・・・・・何言ってるの?アンタもう、お願い事聞いてもらったじゃない、キリトに」
シノンがクラインにそう言った。
「・・・・・・・へ?」
「だって、アンタ今さっき、水。キリトからもらったでしょ?それでもう終わったじゃない」
「お、おいおいおい!!あれは違うだろ!!」
「そ、そうですね。確かにあれは、キリトさんに対するお願い事でした!」
「そうよね、さっきので終わりよね」
「うん、お願い事聞いてもらっていたからね」
「え?おい、ちょっと、なんだよ、この流れ・・・・・」
「よかったわね。キリトにお願い聞いてもらえて」
「そりゃねえだろうよー!激辛食っただけで損じゃねえか。おい、キリト、お前もなんか言えよ」
クラインが俺の方をむいてそう言ってきた。
俺とラムは瞬時に目配せし。
「いやー、クラインに水を渡す命令がちゃんと遂行できてよかったよ」
「おおおあー!お前もか!」
「そうですね。よかったです、キリトがクラインに水を渡すことが出来て」
「ラムまでかよ!」
「下心ありありの態度を見せるからこうなるんだよ・・・・・」
「そこまでやましいことしようだなんて別に考えてなかったのによぉ・・・・・」
「お前がそう思っても、周りのみんなはそう思ってくれてなかったんだな・・・・まあ、若干二名は違うことに心配だったみたいだかな」
エギルが最後の言葉を、俺とラムを見て言う。
「可哀想な俺!!」
クラインは落胆したようにそう言った。
「ん?ところであと二枚はどうした?」
俺は気になって周りに聞いた。
「そう言えば・・・・・」
「一枚はクラインの食べたやつで、残りの二枚は・・・・」
「あ、あれ、姉ちゃん?大丈夫?」
ユウキが隣で微動だにしないランを見て聞く。
その少し離れたところでは。
「リーザ?大丈夫かリーザ?」
ラムがランと同じように微動だにしないリーザに聞いていた。
すると。
「「・・・・・・・・」」
ドサッ!
「ね、姉ちゃん!?」
「り、リーザ!?」
ランとリーザの二人が床に倒れた。
二人の近くのテーブルには食べかけのピザが・・・・・。
「ま、まさか、残りの二枚を食べたのって・・・・・」
俺の単語にその場が停滞したようにシーンとなった。
そしてリーザとランを抱えているラムとユウキを見た。
「い、急いで二人を部屋に運べーーー!!!」
「ユウキ、急いでランさんを運ぶよ!」
「助かるよアスナ」
「ラムくん、急いでリーザちゃんを運ぼう!」
「お願いします、レイン」
二人がかりでランとリーザをそれぞれ部屋に寝かせた。
残りは、パーティーの後片付けに翻弄した。
やがて、レインとアスナが降りてきた。
「レイン、アスナ。ランとリーザは?」
「今、ランちゃんはユウキちゃんに、リーザちゃんはラムくんが見てるよ」
「二人とも慌ててたけど今は落ち着いているわ」
「そうか、よかった」
その後パーティーはお開きとなり、俺はランとリーザの部屋に様子を見に、レインはユイを連れて自室に戻っていった。
リーザはラムと一晩一緒にいることで願いは達成し、ランはどうやら昔みたいに俺とユウキに看病してもらいたかったらしくそれを叶え、完了した。
後日ランから聞くと、本当ならリーファも含めた3人に看病してもらいたかったらしい。
感想などありましたら送って下さいませ。