ソードアート・オンライン ~Un observateur~ 作:千ノ華
タイトルは適当なり。
(なんだか地面が硬い気がする)
そう感じて、俺は目を覚ました。
(ベットから転げ落ちてしまったのかな、寝相は良い方だと思っていたのだけど・・・)
ベットに戻るために俺は身体を起こし、ぼやける視界の中、目を擦りながらベットを探す。
(あれ・・・、部屋の電気消してたっけ)
いつも点けている常夜灯の仄かなオレンジ色に部屋が照らされていない。それどころか外の明かりも入っておらず、部屋は真っ暗だった。
(まあ、いいか、とりあえず電気つけよ・・・)
だが眠気に包まれていた俺はその事には気づかなかった。
(リモコン・・・リモコン・・・)
自分の記憶を頼りに、手探りで照明リモコンを探す。途端、鈴のような音と共に白い板が現れた。
「うおっ!?」
突然の出来事に驚いて声を上げてしまった。それも女のような声を。
(・・・ん?女の声?)
ここはアパートの一室、この部屋に住んでるのは自分だけだ、だとすると誰かが忍び込んでいる?
未だに寝ぼけていた俺はそう思い、辺りを見回すも、白い板がほんのり薄く光っているだけで、周りは相変わらず真っ暗だった。
そして俺は光があるにもかかわらず、周りが真っ暗なことの異常さにまたしても気づかなかった。
(いやいやまさか・・・)
俺は恐る恐る声を出してみた。
「あー」
凛としていて少し幼さも混じった、女の子の声だった。
「oh・・・」
一気で眠気が吹き飛びました。
えっ?マジで?
自分が女の子になっている疑惑に若干恐怖を抱きながら身体をチェックする。
「髪長くなってる・・・しかもサラサラだし・・・」
髪は肩にかかるくらいにまで伸びていて、いい香りがした。
「肌もすべすべだし・・・まじで女になってるのか・・・?ってことは胸も・・・」
年頃だもの、思春期だもの、気になっちゃうよね、自分が女の子になってると思うと余計に。
しかし、チキンな俺は触る気になれなかった。
チキンで悪かったな!女子とまともにコミュニケーション取ることすらできない臆病者で悪かったな!
・・・自分で言ってて悲しくなってきた。てか誰に話してんだ俺。
せめて大きさだけでもと、未だに放置されている光る板に、胸を近づけて確認する。
「・・・おぉ」
思わず感嘆の声を上げてしまった。
大きすぎず、されど小さすぎず。程よい大きさをしたメロンが2つ視界に写った。
(まじで女の子になってるー・・・)
ついその2つの果実をガン見してしまう。
「って、見とれてる場合じゃないな」
ここで先にすべきことを思いだす。
照明リモコンの行方を探すのはもちろん、この白い板が何なのか調べないといけない。
この身体をたっぷり見物するのは後回しだ。
とりあえず白い板をライト替わりに―
「あれ、掴めない・・・」
―して、リモコンを探そうとしたが肝心の板が掴めない。
そしてここでようやく、俺は周りの異常事態に気がついた。
(突然現れた光る板・・・明かりがあるのに周りは何も見えない・・・そんでもって俺は女の子に・・・)
「もしかして・・・ここ俺の家じゃない?」
・・・気づくのおそすぎだわ。
よし、とりあえず状況を整理しよう。
・起きたら地面(?)に寝転がっていた
・周りは真っ暗闇
・突然白い板が出てきた
・自分は女の子になっている
「うん、これは、あれだな」
死んじゃったか、俺。
いや、そりゃ転生とかしちゃったのかなって初めは思ったよ?女の子になってるし。
でもさ、転生だったら神様から何かしらあるはずなんですよ。『ごめん、間違えて死なせちゃったぜ☆お詫びにどんな所にでも転生させてあげよう!』みたいな。
まぁ、神様いないパターンもあるけど、気づいたら街のど真ん中にいました。とか、ハイスペック赤ん坊からスタートとか。色々あるわけです。
でもさ、真っ暗&ノーヒントスタートは酷くないですか・・・。
何したらいいのか分からないし、というか何もできない。二次創作でもそんなの見ないよ、真っ暗な空間にひたすら突っ立っているお話なんて。10人中10人がどこに需要があるのって言うよ。
だからとりあえず死んだことにした。女の子になってるのは神様からのプレゼントということで・・・
「って、顔や全身見れないんじゃ女の子になっても意味無いじゃん。」
完全に盲点である。いくら髪質やお胸、声が良くても、顔や体型が分からないんじゃ生殺しにも程がある。
なんですか、妄想しろと?限られた情報で自分の姿を想像しろと言っているのか?
それで顔がイマイチさんだったり、身体がスタイル抜群じゃなかったら?テンションダダ下がりですよ。どう責任取ってくれるんじゃい!
などといるはずもないのに、神様に対する愚痴をブツブツと言う。(スタイルの方は腰の辺りに触れて括れを感じたので大丈夫だろうと安堵しつつ)
ただ愚痴を言い続けていても仕方ないので、死因が何かを考えてみる。
体感で15分くらい、心当たりがないかじっくり考えて・・・。
考えて・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
「・・・思い当たらない」
結論
さっぱりである。
昨日(と言っていいのか分からないけど)は普通に起きて朝食食べて、ゲームして、夕食食べて、寝るっていうごく平凡な休日だった。
外出はしてないから事故にはあってないはずだし、健康にも気を使ってバランスのいい食事をしてるから、突然死でもないはず・・・。
「駄目だ、わからん」
つい呟く。
「考えても仕方ないか・・・」
改めて自分の視界に写っている白い板に目を向ける。
あれこれ考えずに初めからこれを調べればよかった。そうしたらここがどこなのかも分かるかもしれないのに。
板はA4サイズくらいの長方形で暑さは1ミリもなさそうだ。
板をよく見ると英語で文字が書かれているのに気がついた。
「ステータス、スキル、アイテム・・・これって、メニューウィンドウか?」
白い板の正体は、ゲームのメニューでした。
いや何にもわかんないじゃん・・・。そこはせめてこの世界についての説明書とか、神様からの置き手紙とかにしておいてよ・・・。
というか本当にゲームの世界なのか?
ゲームだったらまずは名前入力とかあるだろ普通。
・・・ もうめんどくさいから異世界でいいや☆
ひとまずここは異世界のどこかなのだと自分に言い聞かせる。少なくとも、死後の世界ではないという、希望が見えてきて安心できた。
「これ、どこかで見たことがある気がするんだよなぁ・・・」
このウィンドウは確かにどこかで見た記憶がある。だが思い出せない。思い出そうとすると靄がかかっているかのような不快感に襲われた。そのうち思い出せると信じて、白い板に集中することにした。
まずは『STATUS』と書かれているところに触れてみる。澄んだ鈴の音を立てて画面が現れた。
ここがゲームならステータス画面の表示で何のゲームか分かるだろう。・・・自分の知っているゲームならだけど。
「えっと・・・名前は・・・カルミア?」
画面の1番左上にはname『Kalmia』と書かれていた。これがこの世界での新しい名前らしい。
「ん、名前の下にも何か書いてあるな・・・」
それは英語で長くこう書かれていた。
『O.S._MHCP_03_Code_『Kalmia』』
「なにこれ?」
『Kalmia』は今の俺の名前だけど、この『O.S._MHCP_03』ってなんなんだろうか。・・・分からないから後回しにしよう。
とりあえずパラメータをササッと見ていこう。
・Lv1
・HP500
・ATK 19
・DFE 18
・DEX 17
・AGI 24
・LUK 21
はい、初期ステです。
ちょっとAGIとLUKが高いけど、紛うことなき初期ステである。
いや、期待してなかったよ?強くてニューゲーム展開なんて全く期待してなかったよ?・・・ホントだよ?
「完全に初期ステータスだなぁ、ということはスキルも持ってないよな・・・」
とりあえず確認。
そこには、よく知っている文字が載っていた。
「『ソードスキル』・・・!?」
『ソードスキル』そのスキルが存在する世界は自分が知っている限りでは一つしかない。
「ソードアート・オンライン・・・」
あまりの衝撃に、つい口から漏らしてしまった。
『ソードアート・オンライン』
通称SAOと呼ばれる、魔法が存在せず、剣のみで攻略していくVRMMORPG、茅場晶彦によって、1万人のプレイヤーが閉じ込められ、2年でクリアできたものの、約4000人が亡き者となったデスゲーム・・・というお話。
そう、俺のいる世界ではお話だ、小説から生まれたお話。
「思い出した・・・」
靄がかかっていた記憶をふと思い出す。
本を読んだのがだいぶ前だから内容をほとんど忘れているが、あの『MHCP』という単語・・・。
あれはSAOにでてくる『ユイ』というキャラが言っていた・・・
「
『カーディナル』と呼ばれる、SAOそのものを管理するシステムの一部であり、プレイヤー達の心をケアするAI。略称『MHCP』
「嘘だろ・・・それじゃあまさか俺は・・・」
認めたくない自分を無理やり認めさせようと
自分がいる世界を、自身の正体を口にしようとした時
『ゴ――――ン…ゴ――――ン…』
真っ暗な空間に悪魔の笑い声が鳴り響いた
最悪のデスゲームの始まりを告げる
一瞬にして楽園を地獄に変えた
あの鐘の音が。
読んでいただきありがとうございますm(*_ _)m
指摘やアドバイスあれば是非お願いします。泣いて喜びます。
続きは書きます!(・・・。見切り発車のせいで制作遅くなるなんて言えない・・・。)