実験室のフラスコ(2L)   作:にえる

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オーバーロードが終わって寂しいしやる気出ない。
舞台を触って紛らわせる的な。
相変わらずのオリ主テンプレものですまんな。


原作:オーバーロード ユグドラシル(完)

 

 --1

 

 ユグドラシルというゲームが流行っていると言うので、就職も決まって時間を持て余し気味なのでやってみることにした。

 人間や異形種など色々なプレイヤーキャラクター(PC)を操れるのが魅力のようだ。

 また、職業も多彩なので狙わない限り同じようなステータスにはならない……と見せかけて実用性を極めると似たり寄ったりでなんたらかんたらでなるほどなー。

 

 wikiを眺め、ノートに理想の完成図を夢想しておく。

 公式PVを見た感じ、天使が神々しくてカッコよくてかなり良いんじゃないかと。

 天使の順路的には初っ端の人間状態で【昇天の羽】で天使化し、種族レベルやイベントを行っていくことで上位天使へとレベルアップしていくのだ。

 最終的には神として崇められたい。

 

 

 

 

 

 PC名はオーヴァにした。

 本名が大葉だし、それっぽいじゃん。

 

 よし、ログインした。

 なんか「はちみつください」と強請っている『ゆうた』というプレイヤーがいたので隣に移動。

 昇天の羽ください、と。

 

 

 

 

 

 当たり前だが【昇天の羽】は得られなかった。

 攻略wikiを斜め読みして進めるしかなさそうだ。

 ゲームを進めるとレベルアップしてしまうようだが、天使系のレベル以外要らないんだよなぁ。

 うーん……?

 

 

 

 

 

 --2

 

 幾つかのイベントを進めて天使になった。

 神託を得るとか、知恵の実を吐くとか。

 同時にイベント進行で上がった不要なレベルの除去法も発見。

 デスペナでレベルがマイナスされるようだ。

 なので人間的な職業レベルは排除。

 昇天した喜びで歯止めが効かず、残ったのは『天使――1lv』のみ。

 だ、大丈夫っしょ……^q^

 

 

 

 凄い狩られる。

 カルマ値という職業や種族を変化させる際に重要となるステータス調整のために都合が良いらしい。

 天使だと無条件で善に極振りだからバトル系のPCにめっちゃ狙われる。

 悪に極振りの異形種も善系のPC狩られるらしい。

 マジでぇ。

 狩られ放題とか勘弁してくだしぃ……。

 

 やっぱ羽根が生えた光ってる輪っかだと無理があったか。

 もしくはポップする野生の天使たちに混ざったのが悪かったか。

 でも天使と交流するのが上位へのイベントだしなぁ。

 

 めんどくさ過ぎて天使狩りしたくなってきた。

 俺の糧になれよ!みたいな。

 天使たちが集まることで悪魔のレギオンみたいな感じで上位天使になれないだろうか。

 

 

 

 

 

 --3

 

 紆余曲折を経て大天使へと至った。

 これも全てたっち・みーさんという人物のお蔭である。

 俺が天使と交流している間、影で優しく護衛してくれた彼の方がいたからこそである。

 

 篤く感謝を述べ……るわけないだろハゲが!

 糞が!

 クゥ、クズがぁあああああああ!!

 クソ、クソがぁあああああああ!!

 お零れに預かったような現状で何を喜べと言うのか!

 

 

 

 ゲームに何を熱くなっているのかという話だが、ゲームだからこそである。

 確かに上位のプレイヤーにレベリングを手伝って貰うのは当たり前のように行われていることだ。

 だが、今回のは違う。

 俺が無駄に丸一週間もかけて「狩られる→レベルダウン→狩りに行く→レベルアップ→天使と交流」を繰り返して失敗し続けたのだ。

 それでも諦め悪く続けていたら、ちょっと立ち寄った上位PCのたっち・みーさんが影からこっそりと手伝って「クリアおめでとう!(チャララーン」と謎のエフェクトともに祝福してきた。

 

 そのまま立ち寄ってくれたら、俺は手伝われていたことに気づかないまま、長い時間をかけて達成したやり甲斐を噛みしめることができた。

 ゲームとは時間をかけて目標を達成してこそだ。

 だが今回は違う。

 この無駄に賭けた時間とやり場のない悲しみをどうしたらいいのだ。

 確かに知らないままというのも道化でしかない。

 それでも知りたくなかった。

 上位に手伝って貰えばすぐだなんて理解していたが、それでも手塩にかけてやり込んでいきたかった。

 しかし、レベルダウンで作り直すのはたっち・みーさんの善意を否定することになるし……。

 

 ああ、でも……ああ、もうっ!

 

 

 

 今日は寝よう。

 所詮ゲームだ、切り替えていく。

 大天使ともなると輝く羽輪っかオンリーから強く輝く球体になったので、こいつを作り直すのも憚られる気分になる。

 

 

 

 

 

 --4

 

 もにょもにょしてたら一週間が経ってた。

 久しぶりにログインしたらどうでもよくなるというのは良くあることだと思う。

 その、マジでどうでもよくなった。

 とりあえずレベル上げしておこうかしらん。

 

 自分のPCである鎧に包まれた天使で動き回る。

 これくらい天使感満載になると、プレイヤーも襲い掛かって来ない気がしないでもない。

 カルマ値をマイナスにしようとするプレイヤーは襲ってくるかもしれないけど。

 

 下級の悪魔でも狩ろうか。

 相克関係によりダメージアップだ。

 被ダメもアップするけど。

 危険性が増すのはちょっと嫌である。

 ゲームでも安定して生きたい。

 ポップする野生の天使に混ざって異形でも狩ろうかな。

 そうすれば善に偏るし、経験値も普通より多い。

 しかも相手も決まったルーチンでしか動かないと油断しているはずである。

 

 よし、そうしようと決めたらピンクの肉棒に話かけられた。

 声は萌えキャラだった。

 えぇー……。

 何故に話かけられたのか、困惑していると光るピンクローターに親近感が湧いたとか。

 俺のPCを穢すのは止めるんだ!

 というか光ってるならピンクじゃねぇだろ!

 そもそも球体だからアナルパ……言わせんな!

 将来的には「オーヴァさんマジ天使」と皆が口を揃える予定なんだよオラァ!

 

 

 

 

 

 ソロだから一緒にプレイしようぜ、という誘い文句らしい。

 どんな誘い方やねん(白目)

 特にソロに拘っていたわけでもないので良いけど、光るピンクローターはマジで止めてほしいんですよピンクローションちゃん。

 ちなみにPC名はぶくぶく茶釜さんであり、レベルは俺の方がちょっとだけ上。

 初っ端から異形種のピンク肉棒を選んだらしい、豪傑である。

 俺には絶対にできねぇ。

 

 狩場に乗り込む。

 「私を守ってね☆」と萌えボイスで囁かれたので躊躇いなく盾にする。

 肉棒は防御ビルドらしい、実に便利である。

 この狩場はカルマがマイナス値の敵ばかりなので、俺の攻撃が刺さる刺さる。

 究極のコンビネーションが生まれた。

 

 

 

 どうでもいいけど、肉棒の武器の持ち方がキモすぎて戦闘中なのに笑いが止まらなくなった。

 

 

 

 

 

 --5

 

 能天使へと位階を上げた。

 天使――10lv

 大天使――10lv

 権天使――10lv

 能天使――1lv

 トータル31lv的な感じだ。

 

 能天使(パワーズ)は悪魔への与ダメがかなり高い。

 頗る高い。

 また、カルマ値がマイナスなほどにダメージの倍率も高まる。

 カルマ値がマイナス100毎に倍率が1アップ!

 マイナス500なら6倍ダメやでぇ。

 まあ、俺のレベル帯でそんなぶっとんだカルマ値を保有する敵はいないのだけど。

 そんなわけで悪魔を絶対殺すために生み出された天使によって狩りの効率もアップ。

 

 

 

 

 

 悪魔からの被ダメも上がってんじゃん……。

 肉棒の盾に頼らざるを得ない。

 萌えボイスで「男を誑し込む魅力に溢れててごめんね☆」と謝られた、ピンク肉棒フォルムで。

 冗談だと分かっていても「お、おう……」としか返事ができなかった。

 人間は顔が9割(真顔)

 

 

 

 狩りの最中はくっそしょうもない話をしながら、悪魔っぽい雑魚を倒す。

 ちなみに『くっそしょうもない話』の内容は、ポケモンの最終作はいつ出るのか、ファイナルファンタジーのファイナルは何時訪れるのか、エヴァが十巡したのにまた始まった、コナンの劇中での死亡者が1万人を超えた、という感じでマジでしょうもない。

 上記の話題で出てきたコンテンツは2000年前後辺りで誕生したらしく100年以上前に始まったとか息が長すぎて笑うしかない。

 俺は詳しくないがバイオハザードというゲームも出ているのだが、2作前くらいまでの舞台に使われた敷地を合計すると地球全土がゾンビで埋まるとかで、最新作ではクトゥルー神話とやらを取り込んで宇宙に進出し、スターゾンビとか出てくるらしい。

 

 他にはピンク肉棒が駆け出しの声優をやってるらしく、エロゲに声を充てる機会が多いとか。

 声優は下積みが多くて望んだ仕事はほとんど来ないのがツラいらしいが、醍醐味としてエロゲマイスターの弟が、自分が声を充てたゲームを買って泣く泣く積む姿があるから続けているらしい。

 あ、悪魔や……。

 

 

 

 

 

 --6

 

 肉棒の盾(呪い装備)によって主天使へとランクアップ。

 異形種を盾にする天の御使いという謎現象。

 むしろ異教徒を盾にしているから私の天使力高すぎ……?

 

 現状でのレベルは

 天使――10lv

 大天使――10lv

 権天使――10lv

 能天使――10lv

 力天使――10lv

 主天使――1lv

 となっている。

 

 上級位階へのランクアップ条件は、野生にPOPする天使を引き連れてカルマ値がマイナスの敵を一定数撃破し、主天使の種族レベルを10以上に上げることである。

 名残惜しいが肉棒とはお別れだ。

 呪いの装備だとしても、別れるときは来るのだ。

 というか、肉棒が野生の天使にボコられてイベントにならないから付いてこれないだけなんだけど。

 

 肉棒がソロになることへの申し訳なさと、俺がソロになることの寂しさを感じていたが、肉棒は弟とプレイする予定らしい。

 う、裏切られたぁ……。

 内心で手ひどいダメージを受けつつも爽やかに別れる。

 しかし、あの弟と一緒か。

 エロゲの楽しみを潰され、姉を超える弟なぞ居ねぇ!と圧政を布かれた弟……。

 やっぱリアルの姉ってクソだわ。

 

 

 

 主天使らしく、配下の天使を突撃させて削ったところに止めを刺す感じで進める。

 PKに襲われても天使という盾……守護者たちが俺を守ってくれる。

 スキルで湧き出る天使を指揮下に入れ、悪魔が蔓延るフィールドへと片っ端から突撃と玉砕を繰り返させる。

 別ゲーっぽいが超楽しい。

 同じレベル帯なら先制さえ取ればカルマ値の関係で悪魔に致命的なダメージを与えられるので、天使を使い捨てて経験値も同時に稼ぐ。

 これこそが天使を使った醍醐味だ。

 天使の使い方が極めて上手い俺はやはり聖人だったか。

 

 

 

 

 

 最上級天使になっても使い捨て上級天使砲で悪魔を狩って遊んでいたら、肉棒からギルド立ち上げるから入らないかという勧誘だった。

 異形種限定ギルドらしい。

 天使は人類に敵対的な異形種じゃないから(震え声

 

 ま、まあ、人間じゃないからいいのかなって日和ってみたり。

 天使ギルドは正義ロールでウザかったし、他からは声をかけてもらえてないんだよ。

 自分から入る気にはならないし。

 そして寂しさには誰も勝てない(断言)

 

 

 

 ギルマスはたっち・みーさんだという。

 断った。

 なんか言葉には出来ない苦さが俺の心にはあるのだ。

 だから、たっち・みーさんを倒し、俺が天立つ。

 そしてワールドチャンピオンとやらになってすべてのプレイヤーから崇められたい。

 

 

 

 

 

 --7

 

 天使――10lv

 大天使――10lv

 権天使――10lv

 能天使――10lv

 力天使――10lv

 主天使――10lv

 座天使――10lv

 智天使――10lv

 熾天使――15lv

 ジェネラル――5lv

 上記でレベルは合計100となった。

 勝ったな、と確信しながらたっち・みーさんも出場するイベントに突撃。

 

 

 

 

 

 予選で瞬殺された^q^

 

 

 

 ローカル掲示板や公式板などでネタ構成が現れたと冷笑された。

 しかも天使ギルドの回し者とすら思われたようだ。

 俺はガチだった、全力でリアルガチだったんや……。

 

 問題点はジェネラル以外は種族レベルしか上げていないので、技の多様性が全くないこと。

 天使特有の聖属性スキルに偏っていて、善のカルマ持ちにはダメージを与えられないこと。

 魔法が少なすぎて自バフも糞。

 マイナスのカルマから超絶にダメージを受けること。

 種族スキルで回復するが、被ダメージで上回られること。

 などなど。

 欠点は無限大だ。

 おかしい。

 こんなはずじゃなかったのに……。

 

 

 

 「何がダメなんですか!」と茶釜さんとこに相談に駆け込む。

 客人を持て成す数々のデストラップで死んだ。

 悪魔は被ダメの倍率が高いからやめてくだしぃ;;

 あ、天使だから昇天か。

 位階とか上がらんだろうか。

 

 

 

 

 

 --8

 

 設立仕立ての未完成ギルドとはいえ俺をぶっ殺したのだ、油断はできねぇ。

 アポを取って今度こそ突撃。

 今日は茶釜さんがいないのでナチュラルボーンなモモンガさんが相手をしてくれることになった。

 ビルドをドヤ顔で見せると頭を抱えられた。

 あ、もしかして完璧すぎたのかな。

 溜息まで付かれた。

 

 (^o^)?

 

 

 

 

 

 導入は取得魔法が少なすぎぃ!という話。

 ユグドラシルだと魔法は1レベごとに3つ取得できる仕様だが、考えるのが面倒なので取ってねぇ。

 種族スキルでごり押せば狩場では平気でした(真顔)

 

 たっち・みーさんに勝つにはどうしたらええんや!と相談すると、魔法を全部覚えてキャラをほぼ作り直ししてやっとスタートラインだという。

 ゲームっていうのは自由でなきゃいけないんだ。

 楽しく、喜びに満ち溢れ、救われなければならない。

 作り直しだなんて、自分の分身を改めて育て直すなんて面倒くさ……そんな残酷なこと出来るわけないの!

 アレンジしてパッと無敵になりたい。

 

 俺の相談に乗っていた骸骨が「メシマズと同じこと言ってる……」とため息を吐いた。

 

 モモンガさんは勘違いしているようだけど、俺の飯は結構うまいんだぜ?

 返事は無かった。

 

 (^o^)?

 

 

 

 

 

 --9

 

 「真面目に魔法を組んで、いくつかの種族を切って、職業を追加すれば、まあ強くなりますよ」と目を逸らしながら言われた。

 俺が目指すのは最強だから。

 何時だってイメージするのは最強の自分だ。

 

 まあ、こんなしょうもない話をしてても行きつく先は課金である。

 最低限の課金をしないことには絶対に勝てないらしい。

 うーんこのバランス。

 俺という貧民から搾取しようだなんて極悪だわ。

 最近は仕事にも慣れてきた半人前の身分で給料をゲームに賭けるのは……まあ、有りかも。

 趣味だし。

 「運営様ー、是非ともこの産廃天使にワールドアイテムを(ガチャガチャ)」と課金。

 モモンガさんも当たり前のように課金し出すからゲームって怖い。

 

 ちなみにモモンガさんはブラック会社勤めで営業職らしい。

 俺は汚れた大気を観測し、異常気象が発生するかどうかを調べて追いかける的な会社に勤めている。

 頻繁に起きる殺人的な加速の竜巻から逃げながら写真を撮り、半径200mに降り注ぎまくり大気が汚染されすぎて横にも広がる雷を追いながら写真を撮り、豪雨に水没すると聞けばボートを担いで遊泳しながら写真を撮り、ネットに死ぬやでーと警告し、おススメの人工心肺を宣伝したりもする。

 汚染が続いた日本の自然はヤバい。

 というか大陸から飛んでくる砂とか謎の化学物質がマジでヤバい。

 

 

 

 

 で、俺とモモンガさんがガチャって狙っているワールドアイテムとは、運営が出す公式チートアイテムである。

 月に1個から2個、イベントやガチャで手に入れることができるようになっている。

 「ワールドって付くから無敵にするわ!」という公式の無駄な拘りを感じられること間違いなしの一品らしい。

 俺は見たことないんだけどね。

 どんな感じだろうか。

 

 ……今手に入れたから初めて見るけど、無敵の強さを誇りそうだ!

 5万を注ぎ込んだモモンガさんには悪いけど、これって運の強さがゲームの強さだから。

 運営にお願いを聞いてもらえるアイテムらしい。

 よし、一番容量が重いエリア1個分のデータを俺のPCに詰め込んでもらうことにした。

 意味?

 ロマンの前に意味など塵も同然です。

 

 

 

 

 

 --10

 

 運営が三日で願いを叶えてくれた。

 ちょっと重い感じがする。

 というか、この時代に珍しくラグるというね。

 種族も熾天使(セラフ)とカッコいい仕様になり、神への愛で羽も燃えている。

 やったぜ。

 

 肉棒ちゃんが勿体ないと引いていたが、これこそがロマン。

 男ならみんな理解してくれるっしょ。

 チラッと肉棒ちゃんが所属するたっち・みーさんがギルマスを務めているギルドのアインズ・ウール・ゴウンに期待の目線。

 目線逸らすのやめーや^q^

 

 

 

 流石のユグドラシルも、フィールド1個分が圧縮された俺という高容量のキャラクターがワープなどでマップに突然出現するとかなりのラグが生じるようだ。

 細部まで無駄に凝った作りをしているせいかもしれん。

 普通はPCの視点がフォーカスされなければピントが合わず、ピントの外はボヤけて処理されるデータ量も少なくて済むが、俺という存在にピントを合わせると、処理しきれなくて他のプレイヤーは動きに乱れが出る。

 

 そこを狙って、アインズ・ウール・ゴウンの人たちがPKするというエグい作戦を考え出した。

 俺が出現し、ラグらせて電撃戦を仕掛けるとか。

 詳しい内容は知らん。

 「おにいさーん、ちょっとヤってかなーい?」って肉棒に誘われたのでヤっただけだ。

 俺は悪くねぇ。

 そもそも俺のビルドが糞だと気付いて声をかけて来なくなった天使ギルドが悪い。

 

 うぇーいwwwwwと天使どもを煽る。

 頭に血が上れば、それだけラグとの戦いに苛立つことになるのだ。

 最終的にネタに走った俺のキャラは、盛大に自爆して他のプレイヤーを巻き込んで死んだ。

 データ容量=強さのユグドラシル、殉死した天使も多かったらしい。

 運営もガバガバである。

 

 

 

 

 

 他のプレイヤーが使用したワールドアイテムによって、俺の愛するPC・熾天使オーヴァは削除が通達され、永遠に眠ることになった。

 

 

 

 

 

 --11

 

 天使ギルドのギルマスが後生大事に抱えていたワールドアイテム・ロンギヌスで、俺を抹殺するように暗殺メインのギルドに頼んでいたようだ。

 「天使としての素行違反なんだ! この世から消えろ!」ということらしい、うわぁ怖い。

 雑魚PC一匹を捨て駒にして消されるとは思わなかったぜ。

 ワールドアイテムはワールドアイテムで防げるのが常識だが、俺のPCはワールドアイテムではないので防げなかったと言う常識的な終焉だった。

 まさか寿命が3日とは俺でも予想付かなかったぜ。

 

 運営が作って3日、使って3日。

 神は一週間で世界を創造したというが、オーヴァという熾天使は3日で世界の常識を塗りかえた。

 掲示板に『糞ビルドの逆襲』と晒されるとは思わなかったけど。

 

 今週に入ってワールドアイテムが2個も使われるとは運営も思っていなかっただろう。

 しかも運営はワールドアイテムに、かなりの思いを抱いているのだ。

 それなのに無駄に重いPCを作成してくれ1個、奴は天使じゃないから抹殺してくれで1個。

 完全に浪費である。

 ワールドアイテムが欲しくてガチャってたプレイヤーは全力で泣くに違いない。

 まあ、ロンギヌスとやらはイベントで手に入るらしい。

 ヘイトが溜まっているプレイヤーを殺す槍である。

 

 

 

 ショートメールで肉棒ちゃんが手伝ってくれるらしいので、またオーヴァでログイン。

 アインズ・ウール・ゴウンの面々が削除について謝ってくれたが、楽しかったのでセーフ。

 肉棒ちゃんやギルドの面々による高速ブートキャンプによるレベルアップで熾天使に返り咲き……なんか天使ギルドが襲ってくるんですけど。

 

 だが、対天使を想定してスキルや魔法を構成した俺に隙は無い!

 俺を盾にしろ!

 

 戸惑っているアインズ・ウール・ゴウンの面々と違って、率先して肉棒ちゃんが俺を盾にして天使を屠る。

 決断力と行動力のあるピンク肉棒有能……我が儘言えばもう少し悩んでほしかったんだけど。

 まあそんなわけで慈愛溢れる俺は「真の天使は俺一人、偽物はみんな堕ちちまえよぉ!」って心を痛めながら戦った。

 

 

 

 

 

 戦闘後、俺という聖なる盾を使ったアインズ・ウール・ゴウンは勝利した。

 天使に逆らうからだ、似非天使ども。

 ちなみに俺はアインズ・ウール・ゴウンに所属していない。

 

 真の天使はやっぱ羽が違う。

 愛と正義に燃えているのだ。

 真っ黒で、漆黒で、闇夜のようで……。

 

 うわーボク堕天しとるぅー^q^

 

 

 

 

 

 --12

 

 天使をぶち殺し過ぎて堕天する条件を整えてしまったらしい。

 種族スキルが天使への与ダメがアップするのと被ダメがダウンする天使絶対殺すマンと化した。

 普通は天使なんて限定過ぎて糞、と酷評するだろうが天使ギルドを集中的に相手するので万事オッケーである。

 むしろ運営がやれって言ってる気がする。

 

 

 

 天使と堕天使は相克の関係である。

 どちらかが消滅するまで戦い続けなければならない。

 という無駄な設定を考えたので、天使ギルドに突撃を繰り返す。

 ガチな対天使のスキル構成、天使絶対殺すマンの種族スキルが意味することは、多対一ですら頑張ればまあまあ勝てると言う奇跡を引き起こした。

 同レベル帯では無双ができないユグドラシルで無双する楽しさである。

 

 アインズ・ウール・ゴウンで暇してたり、凝った作品を作っていたり、エロに厳しい運営の目を掻い潜ってなんとかエロエロしようとしている人に頼んでバフを掛けてもらうと天使襲撃の効率が大幅アップだ。

 天使ギルドの本拠地から出てきたところを襲ったり、狩りの最中を狙って襲ったり、新人を育成しているところを襲ったり、アインズ・ウール・ゴウンの人を狙ったところを逆に狙ったりと、楽しさ無限大である。

 

 何故こんなに執拗に天使を襲っているのか、俺でもわからないが、堕天使だからしょうがないね!

 天使やってる人も無差別で襲う。

 たっち・みーさんに「弱い者いじめは止めるんだ!」と声をかけられたので「止めてみろよ!」と突撃。

 

 死んだー^q^

 

 

 

 

 

 瞬殺されたので闇討ちは諦めることにした。

 ちなみに天使以外は被害が無いので、公式などはどうでもよさそうである。

 そもそもスキル構成を対天使特化にしないとここまで遊べないので、堕天使はやはり不人気のようだ。

 ただ天使も大して人気ないのだけど。

 

 大人しくしてたら天使がうぜー。

 かたき討ちとかでいっぱい湧いてうぜー。

 俺が天使に屈した説が流行り、天使が調子に乗り始めて異形種を狩り始めた。

 天使も、天使が狩るキモい異形種もプレイヤー数は少ないので公式掲示板はやはりどうでもよさそうという。

 

 

 

 復活地点が割り出されて、殺され続ける日々になってしまった。

 堕天使は街で蘇れないペナルティがあるわけで。

 なんだこのゲーム(困惑)

 

 一週間ほど置いてから復帰。

 まだ天使が張り込んでいて、殺される続ける感じである。

 なんだこいつら(白目)

 

 これではゲームにならんので数少ない知人に助けを求める。

 駆けつけた萌え声のピンク肉棒とかいう、ファンタジーにあるまじき英雄に助けてもらった。

 そこは姫騎士だろ。

 で、「くっ殺」みたいな。

 ちょっと前に声を充てたらしい。

 マジか、そんな古いジャンルとか逆に目新しいのかもしれないなぁ。

 

 

 

 

 

 --13

 

 異形種代表としてアインズ・ウール・ゴウンが天使ギルドと争っているらしい。

 ちなみに天使ギルドだが、ギルド名は中二感満載で、口に出すのも憚られる。

 ギルド名の両脇に✝が付いてるし。

 

 流れで俺もギルドに所属することになった。

 争いの発端は俺にある気がしないでもないが、まあいいっしょ!

 みんなで力を合わせてギルドを滅ぼせばええんやで!

 

 レベルダウンしまくって戦力的にヤバいので、なんとか少しでも強化するために「運営様ー、是非ともこの産廃堕天使にワールドアイテムを(ガチャガチャ)」と課金。

 焼け石に水でもいい、それでも俺が真の天使だと奴らに知らしめてやりたいんだ!

 

 

 

 

 

 っしゃ!とリアルでガッツポーズ。

 当たりを引いたぜ……!

 どうやら運営は再び俺に願い事をして欲しいようだ。

 

 モモンガさんが「あっ(察し)」みたいな顔をしていたが、前回の失敗を踏まえた俺に不可能はない。

 

 

 

 

 

 --14

 

 俺がパーティにいる状態だと天使の補助魔法キャンセル、天使は装備による全判定の無効、天使へ与ダメ1000%アップ、天使からの被ダメ90%ダウン、同フィールド上に存在する天使はHP0で強制堕天という糞設定を叶えて貰った。

 これはもうワールドアイテムを手に入れたら言ったもん勝ちだわ。

 PCの種族も堕天使(アナザーセラフ)へと変化。

 

 

 

 うぇーいwwwwwと乗り込み、ギルドに蔓延る天使どもに最大強化して本数も最大化した魔法の矢を放つ。

 一本でも当たると致命傷必死というルールが新たに誕生し、天使だけ古き良きシューティングゲームの的と化した。

 天使の総本山だけあって天使以外は弱体化や回復量ダウン、天使以外復活不可などがあるようだ……が、HP0でギルメンも強制堕天されるのでギルドの恩恵をほとんど受けられなくなっていた。

 戦えば戦う程に敵がいなくなるので、最後はギルマスまで堕天してギルド武器を破壊し、ギルドが崩壊した。

 

 いい仕事したぜ、と爽やかに仲間と友情を分かち合う。

 戦利品でなんか色々作るらしい。

 俺は自分の糞PCをどうにかしないといけないけど。

 対天使特化の堕天使とか使い道わからん。

 天使の総本山も滅ぼし、堕天使を増やしまくったし。

 そのままの勢いで、天使が存在するギルドを闇討ちしまくる。

 

 奇跡のカーニバルが開幕してるんだよオラァ!

 

 

 

 

 

 他のプレイヤーが使用したワールドアイテムによって俺の愛するPC・堕天使オーヴァは削除が通達され、永遠に眠ることになった。

 

 

 

 

 

 --15

 

 天使が可哀そうだと心打たれたプレイヤーが、ロンギヌスを使って俺をぶっ殺したらしい。

 ワールドアイテムを特別視している運営がまた頭を抱えていそうだ。

 しかし、まさか運営によって強化された3日後に抹消されるとは思わなかった。

 ワールドアイテムはワールドアイテムで防御できるという話だが、残念ながら作成PCはその恩恵の限りでないのだ。

 ……実は消されると確信していたし、作り直すつもりだったから問題ないんですけどね!

 

 困ったことに争いの火種となった天使・堕天使の種族やスキルが次のアップデートで全変更の憂き目となった。

 完全にやり過ぎた。

 まあ強すぎたような気がしたので修正は仕方ないね。

 使っているプレイヤーには悪いけど、時代の流れには逆らえない(棒読み)

 再興しようとしていた天使ギルドは滅ぶに違いない。

 命脈を断ったぜ。

 

 

 

 三度目のPC作成である。

 チュートリアルもスキップだ。

 茶釜肉棒は種族が泥っぽいスライムなので、俺も真似てそっち路線へ。

 装備は双剣にしよう。

 まっくろくろすけが双剣を操る姿にはキモさ100%で苦笑いしか出ない。

 折角なのでガンナーとかも取得。

 

 レベル上げもだいぶ進んだぜ!ただいまー!とギルドに突入。

 lv1天使とかネタかよwwww

 

 ぐわぁぁぁぁぁ^q^

 

 

 

 更に強化されたトラップで死亡した。

 第八階層とかいう魔境。

 抹消によってギルド登録が必要になってたようだ。

 前回も同じ轍を踏んだ記憶が……うっ、頭が……。

 

 リスポーンして今度こそギルドに加入したので、安心してギルドへ。

 課金したトラップも数多くあるので突撃は止めろとガチ切れされた。

 ご、ごめん……。

 

 今回のアップデートついでに生み出されたメイドの一人であるCZ2128・Δ(シーゼットニイチニハチ・デルタ)に「職がお揃いでゲスねゲヘヘ。君って一円なんだってゲスね? 俺に買われないでゲスか? ゲススススス(意訳)」みたいなことを爽やかなイケメンスマイル(ススワタリフェイス)で囁いたら、肉棒に運営へと通報された。

 おめぇの弟のほうがエロゲーエロゲーってヤバいこと言ってるから!

 俺はセーフだから!

 

 

 

 

 通報されたり、肉棒弟が姉ボイス入りのエロゲを買ったり、たっち・みーさんとうるべるとさんが喧嘩したりしているけど、僕は元気です。

 レベリングを手伝ってくれる人も多くて楽過ぎて困る。

 自分で育てるこだわり?

 そんなの二度も選手登録抹消を受けたらどうでもよくなるから。

 

 職や種族のレベルをアップさせるごとにまっくろくろすけからいろいろと生える!

 剣が生えた!

 銃が生えた!

 刺が生えた!

 ウニになった!

 

 

 ウニではないです(クール)

 

 

 

 

 

 そんな感じでちょこちょこ進めているのだが、リアルが忙しいのでなかなかゲーム出来なくて悲しい。

 ゲームにのめり込み過ぎて、上司に「最近仕事に身が入ってない」と注意されたので仕事を優先。

 ちょっと間を置くと冷めるんだけどなぁ。

 下痢による腹痛の波と一緒で、こういったゲームは課金したくなるほど熱くなるのと賢者タイムの如く冷める時期が交互に訪れるのだ。

 熱いうちにやり込まないと、飽きたら悲惨である。

 ミーハーな人ほど気持ちはわかるんじゃないだろうか。

 マイナースポーツが世界大会に出場できると知って応援、大会後に応援グッズとか見て「何やってたんだろうアテクシ……」みたいな。

 趣味とは人を狂わせるのだ……。

 

 そんなわけで賢者タイムに突入。

 課金してギルド拡張など盛り上がっているところに水を差すのも悪い。

 ボーナスを全額注ぎ込むモモンガさんの横で、俺は運営から配られるログインボーナスとか詫びチケでポチポチするとしよう。

 ……超級魔法の時間省略の砂時計とか、装備転送のアイス棒ばっか出た、いらねー。

 

 

 

 

 

 --16

 

 イカの水死体っぽいエメ板さんに膨大な中二設定を与えられた俺、フォルムとかギミックとか全てが大げさすぎて困り果てる。

 攻撃したら敵やフィールドにAのようなサインが刻まれるとか、真の姿が別にあるとか、再現がキッツイんです。

 しかし、俺も中二を卒業したわけではないのだ。

 唯一無二に憧れないわけでもない。

 よって重課金を決意する。

 

 ちなみに設定の前半を要約すると

 オーヴァゎ生まれた……世界樹がェンジェル☆っちゃえって…… でも……もぅドミニオンズになって戦いつかれちゃった…。

 でも…… あきらめるのょくなぃって…… オーヴァゎ……ぉもって……がんばった……。

 でも……モンスターの…友達できて……ツライょ……ゴメン……。

 ェンジェル☆セラフになった……でも……裏切った……。

 それでも……セラフとェンジェル☆ゎ……ズッ友だょ……死ね!!

 みたいな。

 多分、肉棒を盾にしたり、大天使のときのイベントで天使を盾にしたり、天使砲として扱った事を示しているのだろう。

 

 後半は堕天し、かつての仲間だった天使を殺戮する感じである。

 その後は秩序を求めて天使を襲いまくる。

 で、世界樹によって消滅されるも力の残骸として蘇る的な。

 長いのでかなり読み飛ばしたけど。

 

 かっこいいんですけど、まっくろくろすけには設定が重すぎる(目逸らし)

 

 

 

 設定に沿って試しに作ってみたが、容量が圧倒的に足りない。

 無理していじくるんだが、赤黒く脈動する巨大な腕が生えたまっくろくろすけと化した。

 俺はもっとイケメンのPCを使いたいんだ。

 そもそもまっくろくろすけとか誰得なんだよ。

 頭おかしいっしょ。

 

 もうむーりぃーと投げ出す。

 まっくろくろすけは、黒い泡を纏った赤黒い歪な刃と化していた。

 中途半端に再現してしまったが、まだ一部分である。

 この一部分で課金したエフェクトなども含めて全ての容量を使い切った。

 中途半端でござる。

 そもそも人間形態とか無理がある設定だった。

 

 何か無いかなと他のメンバーに視点を向ける。

 モモンガさんがまたガチャやってた。

 その隣には無言の肉棒(弟)であるペロちゃんが、エロゲをやりつつユグドラシルを起動しているのかもしれん。

 あ、ブルプラさんは蟻の更新を見せに来なくて大丈夫です。

 

 

 

 ギルドで俺もやれることは、ガチャ、蟻観察、宝物殿の整理、最高のメイド服、ドキドキ☆朝までるし★ふぁー、大乱闘ナザリックオールスターズ、肉棒ランデブーくらいだろう。

 ガチャはお願い系のワールドアイテム待ちなので延期。モモンガさんが給料を溶かすのを見守ろう。

 蟻観察だが、そもそも俺が虫苦手なので遠慮願いたい。はぁ……エントマちゃんかわゆ……いや、やっぱ虫だしなぁ……。

 宝物殿は汚くても良い気がする。いや、リアルの部屋は綺麗だし、俺も綺麗好きだけどゲームならちょっとくらい汚いほうが宝の山っぽくて見栄えが良い気がしないでもないような、整理したらコレクションとして綺麗なような。まあ、いいか。

 最高のメイド服よりも最高の童貞を殺す服を作ってほしいです。俺は強調された胸が好きなんだ。

 ドキドキ☆朝まで超るし★ふぁー、大乱闘ナザリックオールスターズの二つは明らかに論外。白と黒はどちらが綺麗なのか、みたいな不毛な言い争いだし。

 

 やっぱ肉棒ちゃんと冒険に行くしかないわ。

 作り直したばかりだから、完全に寄生状態である。

 ピンクの肉棒のヒモになるまっくろくろすけ(赤黒いラインの入った歪な鎌)的な。

 ちょっと意味がわかんないです。

 

 

 

 

 

 --17

 

 環境汚染が進み過ぎて、人間が気軽にアウトドアを楽しめなくなった今日この頃。

 ネトゲに逃げ込むのは節理なんじゃないかと思うんだ。

 スポーツなどを趣味にする場合は道具を揃える必要があるし、読書なら本、映画なら入館料やレンタル料。

 つまるところ、ネトゲに課金するのも趣味の道具をブランド物で揃えるのと一緒なんだと思う(ガチャガチャ)

 

 砂時計とアイスの棒ばっかである。

 悲しい。

 モモンガさんも外ればかりのようだ。

 この人いつも課金してんなぁ。

 

 最終的にモモンガさんと一緒に心なし煤けた背中で外れアイテムを宝物殿に投げ込む情けなさよ……。

 

 社会人ギルドの恐ろしさは、ギルメンも一緒になって課金することだろう。

 同調してしまうと終わりが見えない。

 まあ、課金して得たデータを共有できるから、ソロのゲームよりは外れた時の虚しさが緩和される……気がしないでもない。

 

 

 

 寝る前にログインしてきた女教師がレアアイテムを、詫びチケで一発で当てるという事件が発生。

 モモンガさんが息してない。

 「女教師って卑猥だよね、そのレアアイテムでおっちゃんとスケベしようや」と迫った。

 肉棒ちゃんに通報された。

 

 止めてください死んでしまいます^q^

 

 

 

 

 

 --18

 

 運対が塩すぎて悲しい。

 まっくろくろすけの低い姿勢でメイド系のパンツを見ようとしたり、女教師って卑猥だよね(マイルド表現)したり、肉棒ちゃんhshs、ペスを味わいたいなぁ(オブラート)ってしたり、もっちの餡子をもっちもち(比喩表現)しようとしたら、注意勧告を喰らった。

 ペロちゃんはエロゲについて語っているのに注意無し、パンツ覗こうとした俺は注意有り。

 こんなの絶対おかしいよ!

 

 

 

 はぁ……パンツ見たいなぁ……と黄昏る。

 見えないからこそ見たいのだ。

 俺の様子に呆れながらモモンガさんが「私の見ますか」と骨チラしてきた。

 何故そうなった(驚愕)

 

 「しょうがないなぁ、お兄ちゃん。はい、私のもどーぞ!」と肉棒が震えた。

 何がどうなって、どーぞなのか(困惑)

 

 その流れを見ていた他のギルメンが、次々と俺に何かを見せる流れとなった。

 違う、そうじゃない(激怒)

 

 

 

 結局夜遅くまで拘束された。

 メンバーの主なログイン時間が異なっているためだけど。

 

 

 

 

 

 --19

 

 仕事が忙しくなってきた。

 というのも、季節の変わり目は繁盛期なのだ。

 気候が安定しないため、様々な異常気象のバーゲンセール。

 そんなわけなので、ついでに人工臓器も売れる。

 来週は出張で北海道だ、試される大地の北風ハリケーンと空飛ぶ氷柱の情報収集は命がけだぜぇ。

 なんか試される大地でモンゴリアンデスワームの亜種が発見されたとか。

 装備無しだと死ぬ可能性すら感じるんだけど。

 群馬や鳥取、福岡よりは修羅度が低いと有り難いんだけどなぁ……。

 

 

 

 そんなわけでゲームを休む必要が出てきた。

 いや、出張先でもやれなくもないが、やはり北海道だし、気は抜けない。

 一時の隙で死んだら元も子もないのだ。

 

 仕事で長期の間休むので、ギルドへ貢献できない。

 心苦しく思った俺はガチャで何か力になれないかと思い至った。

 いや別にガチャする理由を他に求めたわけじゃないです(ガチャガチャ)

 

 ……すまんな、モモンガさん。

 俺は貴方と違って金を仮想に溶かした分だけ見返りがあるようだ。

 三度運営が願いを叶えてくれる系のワールドアイテムを手に入れてしまったでござる。

 とりあえず中二設定を盛り込んだ要望メールを送りつける。

 無駄に盛られた設定を忠実に再現すんだよオラァ!

 

 

 

 

 

 --20

 

 仕事ついでにモンゴリアンデスワーム亜種を、大学の研究チームと一緒に一狩りしたのもなかなか良い思い出となった。

 そんな激務を乗り越え、帰宅してユグドラシルにログイン。

 うん?

 ……うーん?

 

 

 

 久しぶりにログインすると、PCが特殊な鉱山エリアのワールドエネミーになってた^q^

 

 

 

 

 

 --21

 

 中二の設定を忠実に再現したが、掛かった労力と金とデータが勿体ないのでワールドエネミーをやってくだしぃ(要約)ってことらしい。

 めっちゃ強いらしいが、サーバー移動どころかエリアからの移動すら禁止なので確認できない。

 プレイヤーを敵にするとかなんだこのクソゲー(困惑)

 イベントなので掲示板とかに情報を撒き散らしてもええんやでってことらしい。

 あと公式の掲示板でワールドエネミーとして俺のPCのスクショが公開されているとか。

 ギルドの皆からしたら俺って捕らわれの姫ポジじゃね、困っちゃうなー。

 

 

 

 

 

 だ、誰も来ねぇ……^q^

 

 

 

 

 

 --22

 

 誰か来いよハゲ!と思っているが、プレイヤーからしたら情報が少なすぎるんだよハゲ!ってことのようだ。

 なるほどなー。

 でも俺もほとんど身動きできないから情報を流しようがないんです。

 そもそも他人と交流するのが売りのMMOで、僻地にソロ拘束とか罰ゲーム以下の待遇に流石の俺も激おこだわ。

 

 暇過ぎて掲示板を眺めていたら、三度もワールドアイテムを無駄遣いしたペナルティ説が流れていた。

 お、俺は悪くねーぞ。

 出るのが悪い。

 

 俺がログインしてない時にプレイヤーが来たら悲劇だわ。

 勝手にAIが動かしてくれるらしいが、俺の時間が無駄になるし。

 せめて俺がいるときに来てくれ……!

 

 

 

 ナザリックの皆が駆けつけてくれた!

 お前らは俺の光だ!

 

 

 

 でもパンツを見せてくれなかったから死ね!

 

 

 

 

 

 皆の死に様をスクショにして公開したら祭りになった。

 嫌われてるから仕方ないね(素知らぬ顔)

 

 

 

 

 

 --23

 

 次々と攻め寄せるようになってきたプレイヤーを虐げ、スクショを撮って晒して遊んでいると、またナザリックが襲撃してきた。

 多分5回目くらい。

 上等だよオラァ!

 このまま負けないでイベント期間を終わらせ、運営とプレイヤーへの嫌がらせとして有終の美を飾るのが俺の予定である。

 かっこいい台詞も考えた。

 なにゆえもがき 生きるのか?滅びこそ我が喜び。死にゆく者こそ美しい。さあ、我が腕の中で息絶えるがよい!!(ドヤァ)

 

 

 

 あ、なんか俺ってば弱体化してる^q^

 

 十体の超強い天使をぶち殺すイベントを終えて来たらしい。

 俺の弱体化イベントも兼ねていたとかなんとか。

 なるほどなー。

 

 

 

 ぐわぁぁぁ……!!

 

 

 

 

 ナザリックが勝利報酬として鉱山エリアを独占した。

 

 

 

 

 

 --24

 

 また仕事が入ったので、間隔が空いてしまった。

 久しぶりにログイン……ワールドエネミーのまんまやんけ!

 運営とかいう有能集団。

 ワールドエネミー状態でナザリックに行くと、みんな集まってた。

 なんか珍しいわ。

 前回のイベント報酬である鉱山独占を、ワールドアイテムでかき消され、そのワールドアイテム所有のギルド以外は立ち入り禁止になったらしい。

 なるほどなー。

 

 ただし、ワールドアイテムを持っていると侵入できることがわかったので、パーティ全体に効果のあるワールドアイテムを持って強行的に奪還するとかなんとか。

 内部に潜入したらワールドアイテムを所持しているプレイヤーだけ離脱するから、パクられることも無い的な。

 天才じゃん!

 俺も行くしかねぇ!

 

 

 

 

 

 他のプレイヤーが使用したワールドアイテムによって俺の愛するワールドエネミー・オーヴァは削除が通達され、永遠に眠ることになった。

 

 

 

 

 

 --25

 

 再三のロンギヌスハードに流石のオーヴァも調教された、というのは冗談で、削除されなかった。

 ワールドエネミーだからね!

 ただ、何も無しで済むはずもなく、運営から封印処理というペナルティが課せられた。

 

 フォーム1、2、3と形態を経て、最終的にワールドエネミーに至れるらしい。

 フォーム変更にはカルマ値が必要で、倒した相手に設定されているカルマ値を貯蔵できるシステムが搭載されている。

 フォーム1は通常形態でレベル60、色眼鏡かけた青年PCになっている。全体的に青い、左腕は巨大な白い円筒に包まれている。

 で、カルマをトータルで10万溜めることで解放できるフォーム2であるレベル80形態は以前まで使っていた変異したまっくろくろすけな赤黒い鎌が、青年の左の肩から生えてる感じだ。円筒は無くなるので、封印している的なイメージか。

 カルマ50万でフォーム3となりレベル100、見た目はなんか青白くてでかくてキモい(雑) あと左の肩口からやはり鎌が生えている。青年ではなくなった。悲しい。

 さらにカルマ100万でワールドエネミーに至る、みたいな。

 ワールドエネミーになる前に死ぬと、レベル60の形態に戻されるとか。

 レベルは上下しないし、死んでも下がらないらしい。

 再ビルド用のアイテムを使えばある程度は職や技を組めるようだが、自由度は極めて低い。

 

 ネトゲなのに自由が死んだ!

 あとレベル60の状態でロンギヌスに刺されると、俺が内包しているワールドアイテムが発動してユグドラシルをリセットするらしい。

 リセットってなんですか(困惑)

 

 ……運営サイドは何か俺に不満があるのか。

 

 

 

 変なペナルティ喰らったやでぇ、とエメ板さんに相談してみる。

 設定通りらしい。

 お、おう……。

 読み込んでないのが悪かったかな……。

 流石の俺も何も言えないわぁ……。

 

 

 

 

 

 --26

 

 出張に行き、無事に帰宅。

 今回の出張先である日本海は、環境汚染が進んだ大陸から色々と流れ込んだ結果、一昔前の漫画に擬えてグランドラインとか呼ばれている死の海だ。

 ヒトガタという巨大生物とエンカウントしたが、意外と温厚な生物だった。

 アマゾンの奥地で突然変異したというアシュラカブト(和名)と同じくらい獰猛だったら死んでた。

 まあ、危険生物だったら自衛隊が出張るけど。

 

 

 

 ネトゲにログインすると、以前の鉱山で集めたアイテムでゴーレム作りをしている真っ最中らしい。

 俺も一体作ってみてはどうかと提案された。

 イメージ図を書いたら、得意なメンバーが組んでくれるという話だ。

 類稀なるセンスを活かしたゴーレムを生み出すとしよう。

 

 二時間くらいかけて描いたが……うーん、絵心が死んでてビビる。

 ひ、ひさしぶりに絵を描いたから仕方ないね。

 俺の高校の美術の成績は4だったんだぜ、5段階評価で。

 悪くない。

 むしろ良い方だ。

 

 とりあえず自分でもわかる前衛的な絵からゴーレムを生み出すのは怖い。

 止めようかなぁと思ったが、異形溢れるナザリックで別方向に怖いナニカというのも必要だろうと自己弁護。

 よし、これでお願いします!と提出。

 名前はゲルニカ・ハウンド(暫定)である。

 ちょっと似てるので、彼の有名なゲルニカから頂戴したという、相手に失礼極まりない理由だ。

 

 

 

 

 

 あとはナザリックで無限にPOPする雑魚を狩り、カルマ値を貯める。

 外に出るとロンギヌスに襲われるんで、こうやってちょこちょことタンス預金の如く貯めなければならんのだ。

 暇なギルメンが召喚スキルで手伝ってくれるので効率は、始まりの街周辺でスライム狩りから、はぐれメタル狩りへと移行。

 レベル上げが容易なユグドラシルで、このめんどくささである。

 なんだこれ……。

 

 

 

 

 こつこつと時間をかけてカルマを溜め込み、フォーム2(レベル80)へと移行。

 これが俺の力だ!と達成感に浸り、フォーム3以降から目を逸らす。

 ダルいなぁ、これ……。

 

 ぼくがかんがえたさいきょーのゴーレムとやらが完成したらしく、お披露目会が開催されることになった。

 気分転換に顔を出すことに。

 ぐわぁぁぁぁぁ^q^

 

 

 

 るし★ふぁーが調整したゴーレムによって俺の愛するオーヴァ(フォーム2)は死んだ。

 

 

 

 

 

 フォーム1に戻ったPCを見て、ログアウトしてふて寝する。

 つらい……。

 

 

 

 

 

 --27

 

 結構な期間が空いたが、再びログイン。

 熱さも喉元過ぎれば、というやつだ。

 カルマを貯蔵する日々に戻ることを決意したのだ、俺は。

 

 久しぶりに会ったたっち・みーさんに慰められたが、優しくされると泣きそうになるんでやめてくだしぃ。

 

 

 

 

 

 複数のギルドが徒党を組み、ナザリックに攻め込んできたとか。

 全体で1500人ほどらしい。

 ナザリックはコミケ会場になった可能性が高い……?

 

 アホなこと言ってないで俺も出陣である。

 悪辣なる8層でほとんどを嵌め殺ししたいという話だ。

 なので俺は上層で削ることにする。

 

 ワールドエネミーは殺し合う道具じゃない!殺す道具だ!

 

 

 

 あ、マジでロンギヌスはやめ……ぐわぁぁぁぁぁぁぁ^q^

 

 

 

 

 他のプレイヤーが使用したワールドアイテムによって俺の愛するワールドエネミー・オーヴァは死亡した。

 

 

 

 

 

 --28

 

 あの苦痛の日々が、ロンギヌスによってリセットされた。

 ロンギヌスリセットはマジでどうにかしてほしい。

 ヘソを曲げた俺はユグドラシルを、少しの間忘れることにした。

 

 ちなみに俺にロンギヌスを使ったため、8層で詰んだらしい。

 ざまぁないぜ!

 

 

 

 

 

 --29

 

 年単位でユグドラシルにログインしなかった(目逸らし)

 ちょっと熱が冷めるとネトゲに入るの飽きちゃうというあるあるを披露しながらログイン。

 久しぶりに分身である青年PCを操る。

 

 うーん……。

 

 こいつ、異形種と言えるのか?

 いや、フォームが変われば異形になるけど、現状だと青年だし。

 種族は元型(アーキタイプ)とやらで、フォーム1だとレベル1だが、フォーム2はレベル5、フォーム3はレベル10、ワールドエネミー形態はレベル15になる。

 人間や亜人とは異なると思うが、異形ではない気がしないでもない。

 

 

 

 久しぶりにナザリックを徘徊する。

 虫とか悪魔が蔓延っててキモい。

 よく考えると俺って異形種が苦手なんだよなぁ。

 虫が苦手で、蚕くらいしか無理。

 そもそも環境汚染のせいで、ナザリックのモンスターよりもモンスターらしい虫が蔓延っている現実とか悪夢やん……。

 

 

 

 ギルド内もNPCが指示通りに動いているだけで、ギルメンが全然いない。

 最深部に行くと、モモンガさんが円卓に座ってた。

 さっきまでブラック企業に飼い殺しされているブラックなスライムであるヘロヘロさんがいた。

 オフ会では、PC名に違わぬヘロヘロ具合だった記憶がある、もちろん疲労で。

 

 久しぶりに会ったモモンガさんに、ギルドを辞めることを告げる。

 理由を聞かれた。

 だって俺のPCって異形種に見えないじゃん(正論)

 

 アインズ(ウール・ゴウンの他のメンバー)によろしく、と去った。

 

 

 

 

 

 ログアウトしてメールチェック。

 モモンガさんからもメールが来てたようだ。

 事前に確認しておけばよかった。

 内容は……ユグドラシルが最終日だから集まろうぜ!ってことだった。

 

 

 

 ご、ごめんねモモンガさん!

 

 

 

 

 

 サーバ停止によって俺の愛するPC・オーヴァは削除され、永遠に眠ることになった。




ギルマスへの熱い死体蹴りで堂々完結!

いやぁ、法国との争いは熱く書けたと思います。
また、リザードマンとの交流は書いていて楽しかったです。

嘘です。



ホントはモモンガさんとシズと三人旅で、原作前に転移する予定でした。
で、リザードマンと交流したり、帝国とかで冒険者かワーカーする的な。
その後は原作時にナザリックが転移、色々あって中華ばばあの波動拳による洗脳でナザリックが半壊、大乱闘ナザリックオールスターズ的な。
まあ、飽きたので終わりましたけど。




あ、あとフラスコのお気に入りが1600を超えました。
ありがとうございます。
100万まであと99万8400くらいです。
2年で1600くらいなので、1千年を超えれば100万に近づけますね。
死ぬまでには達成できそうですね!

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