『死ぬ→神様→転生』みたいな流れであの有名な神様転生を体験した。
そのついでに俺の持つすべてを強化してもらった。
詳しく説明すると人間が持つスペックを最大限に引き出している的な話だ。
副次的に精密動作も可能になるとか。
あとは全体的にどうでもいい話だったので省略。
最強の能力さえ貰えばどうでもいいし。。
が、ちょっと失敗した。
能力が強すぎるため、俺は笑顔を失った。
無口、無表情なただのイケメンと化した。
やはり最強の能力を持つと悲しい身上を抱えることでバランスを取るのだろうか。
前世の記憶を忘却の彼方へ、現世の苦しみへの解決へと直走る。
が、解決せず。
糞がぁっぁぁっぁっぁ!
イケメンなのに活かすことが出来ずに俺はこのままなのか!
俺は何時まで歯が黄色なのだ!
--1
俺はイケメンである。
だが、歯が黄色。
運動だって得意。
だが、歯が黄色。
勉強だってちょちょいのちょ。
だが、歯が黄色。
どうすればええねん(ガチ)
無駄にイケメンかつ肌が繊細で美しい俺は、黄色の歯が目立つのだ。
歯を磨いても黄色。
当然だ、歯が黄色なのは健康の証だからな。
ホワイトニングしても黄色。
当然だ、ホワイトニングなどという不純物が体内で浄化されないわけがない。
白く塗っても黄色。
当然だ、だって俺ってば最強なんだもの。
歯が見える、それだけで俺の完璧なイメージが損なわれる。
鏡を見てわかったことだ。
間抜けなのだ。
傾国の美男子状態の俺が笑顔を浮かべるだけで、傾国のイエローだ。
それくらい黄ばんでる。
俺は至高存在であるが、欠点を常に抱えている状態なのだ。
俺は自らの至高的イケメンを保つため、一切の表情と言葉を捨てた。
中学生まで、俺は完璧なイメージを保ち続けた。
なるべく言葉を使わずに過ごした。
人との関わりも最低限だが、愚民どもの気持ちなど手に取るようにわかるので、好感度は高い。
言葉を必要とするときは、視線誘導や愚民どもの視界を読み取り、歯が見られないように努めた。
至高存在でありながらも口内に欠点を持つ俺は、身近に人を近寄らせないように過ごしてきた。
つもりだった。
--2
「聞いてくれよ。俺、IS学園に入学することになっちまった」
知ってるから話しかけんな。
俺は貴様の見せびらかすような白い歯が嫌いなんだ。
口閉じて死ぬか歯を全部砕いて死ね糞が。
そもそもこの世界に生きている連中のほとんどが歯が白くて腹立たしい。
死ね。
人類死滅しろ。
歯は黄色いほうが健康なんだ、だから俺は正常だ。
黄ばんでないから健康で丈夫。
ホント馬鹿で軟弱なトゥース持ちは嫌になる。
わかるか?
歯のエナメル質が透明なほど硬く丈夫、ただそのため内部の象牙質が透けて見えるだけ。
俺の丈夫過ぎる歯はスケルトン、つまり透明度MAX。
超健康。
人類は砕いて絶滅しろ。
「知ってるか? ISって女しか動かせないらしいんだ。つまり……俺も女ってことだろ?」
顔を赤らめながらクズがなんか言ったが、そんなわけないだろ。
糞ホモはマジで意味わからん。
頭が湧いている。
俺はヘテロなんだ。
至高の俺は至高の女を抱き、全人類に崇められるほどの価値がある。
貴様のようなホモとホモホモしいことをやるために生きているのではない。
そもそも俺も動かせたんだから、その論で行くと俺も女じゃねぇか。
結局ホモかよ。
歯を粉砕して、他の人類の歯も砕いて死ね。
「俺の気持ち、わかってくれるか?」
わかるわけねぇだろホモ。
わかっても白い歯を持つテメエにプラス評価なんて与えるわけねぇんだ。
歯を削りきって死ね。
ただ、この糞ホモの顔が至近距離過ぎて、口を開けなくて断る言葉を出せない。
視線誘導を一生懸命行っているのに、何故か真摯に視線を向けてくる。
織斑、俺、おまえのそういうところが……嫌いだよ死ね!
そもそも歯が白いだけでマイナス一兆億万ポイントだよハーゲ!
毛根が死滅しているハゲすら歯が黄色のこの世界は滅びろ糞が!
どうすることもできないから、とりあえず黙っていたら糞野郎は姉に回収されていった。
スマンな、みたいなことを言われた。
織斑姉……去り際に歯を見せびらかしてくんじゃねーよ糞アマ!
人間力ゼロの愚民は俺の視界に入る前に歯を砕いてこい、で、死ね!
ただ、この糞アマは視力がめっちゃいい上に、動体視力も無駄に優れている愚民なので、曖昧に頷いといた。
--3
俺の将来の夢は審判である。
なんでもいい。
ボクシング、サッカー、野球、なんでも完璧にこなせる俺の天職だろう。
プロスポーツ選手の道もあるが、むしろ完璧すぎて楽しくない。
愚民どもが一喜一憂する姿こそが楽しいのだ。
それが、ISなどという謎のピコピコに乗ることになるとは、美しすぎる俺への当て付けだろうか。
完璧で強くて美しくってゴメン。
でも神様が与えた天賦だから許せ。
別にピコピコに乗るのは構わない。
が、適性がCのため、糞ホモのサブ扱いは戴けない。
配属させられた2組というのも腹立たしい。
まるで至高存在である俺が劣っているかのようではないか。
ピコピコなんて着なくたって素手で皆殺し可能だ、明らかに頂点だろう。
忌々しい。
ああ、忌々しい。
歯が生えている生物は全て朽ち果てろ。
身の程を弁えている昆虫や植物、ウイルスなどは許す。
他にも歯が汚いホームレスや野生生物も俺の慈悲で生きることを許す。
「あんたは相変わらず暗いのねー。一夏も変わらないの?」
なに八重歯見せびらかしてんだぶち殺すぞチャイニーズ。
最強オリ主は当然ながら歯も強い。
つまり歯が黄色のあっくんの可能性もある(天才)