実験室のフラスコ(2L)   作:にえる

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原作:HUNTER×HUNTER ふんたー「はちみつください」1

 

 

 --1

 

 物心がつく頃よりも、もっと前から古ぼけた絵本が宝物だった。

 体の一部と言ってもいいくらい、どこにでも持ち歩いた。

 両手で抱えて余りある大きなそれは深い茶色の表紙で、幼少の身には少しばかり重い物だった。

 どれだけ読み返しても飽きるという事はなかったし、他の本に興味を持つことも無かった。

 父や母は、そんな俺の様子を心配して、いろいろと玩具を買い与えてくれたが、さして興味を持たずに放棄した。

 唯一気に入ったのは、前から持っていた絵本の続編だけだった。

 持ち歩く絵本が増えた。

 必死に抱える姿を見て、両親は置いてくるよう言ってきたが、拒否を通した。

 持ち運ぶ手伝いをすると言われても、断固として手放さなかった。

 

 

 

 そんな日々を過ごしていると、部屋で白い兎を見るようになった。

 白い兎だけではない。

 毎日変わる、動物の姿が。

 兎や猫や亀に鼠。

 見覚えのあるその姿は、絵本に生きる動物だった。

 にやにやと嗤う猫に向けて呟いた。

 

 「君は、本物か?」

 「それはおまえ次第だよ。目に見える物を信じられるかどうかだけさ」

 

 嗤いを浮かべているチェシャ猫の返答は曖昧だった。

 そして真実だった。

 全ては自分次第だということだ。

 誰にも見えない、自分にしか見えない、物語の存在を信じるかどうか。

 夢にまで見たそれらが見えているのだ。

 ならば答えは一つ。

 

 「俺は信じるよ。ホンモノだ」

 「夢幻かもしれないけれど、それでも見えている物をありのまま信じるのかな」

 「それでも信じるよ、絶対に」

 

 いつか絵本の世界に行くのだと、望み続けた。

 10歳を超えても、信じ続けた。

 夢が向こうからやってきた今、他に何を信じるのだろうか。

 だからありのまま、目の前の全てを信じるのだ。

 

 「なるほど、なるほど。夢幻を信じるきちがいか。……そして、きちがいの意識に生きるおれもきちがいに違いない」

 

 宙に浮かぶチェシャ猫は一際大きな笑い声をあげ、ぐるりと一回転。

 

 「ここでは皆きちがいで、ここから先も皆きちがいだ」

 

 さきほどまでは、絵本の挿絵が動いているようだった。

 今では息遣いすら聞こえてくるほど、生気に満ちている。

 

 「そして、おれもおまえもきちがいさ。気を違った仲間たちよ、精々仲良くしようじゃないか」

 

 チェシャ猫は人間のように大きく口を開けて笑った。

 そして、「コンゴトモヨロシク」という言葉を残し、霞んでいく。

 最初に身体、次に頭、最後に大きな三日月のような口。

 夢幻のように消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 絵本を抱える必要がなくなった。

 浮遊して付かず離れず勝手に追随してくるためだ。

 そしてその絵本から毎日、動物が1匹飛び出す。

 動物を選ぶことはできない、変える事もできない。

 自律しているが、俺から離れることも無い。

 誰にも見ることのできない、俺の友達だ。

 

 宙に浮かぶ本、見えない何かが咀嚼する様子、増えた気配、etc。

 怯えた両親が俺をお祓いに出すまで、そう時間はかからなかった。

 捨てられなかったことに内心では驚いていた。

 そうする親が多い事は知っていたから。

 分かり合うことはできないけれど、俺のことを子だと思ってくれているようだ。

 初めて知った事実に笑いが込み上げた。

 よくよく考えてみれば、幼い俺に向けて熱心に玩具を与えていたこともあった。

 きっと良い親なのだろう。

 

 お祓い先で告げられたことは、未知の知識ばかりだった。

 絵本から現れる動物たちは、念と呼ばれる技術が成し得た奇跡だと知った。

 

 

 

 基礎的な制御のみを教わった。

 これ以上は無理だと、イタコは言った。

 独学か、優れた師を探すか。

 茨の道であると、戻れなくなる可能性もあると言われた。

 構わなかった。

 更なる発展を望むために世界の裏側に踏み入れることを決意した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 --2

 

 優れた師というものがそう簡単に見つからないというのはわかっていた。

 ただ、『念』の知識を持つ者もほとんど見つからないとは思わなかった。

 中には霊能力などを持つ者はいた。

 だが、『念』と呼ばれている技術を知っている者はいない。

 知っているのは以前見てくれたイタコだけだ。

 

 浮遊している本が少しだけ制御が効くようになったが、それだけだ。

 それ以上の知識が俺には何もない。

 肉体も一向に成長する兆しを見せない。

 本からチェシャ猫が姿を現した10歳のまま。

 本への憧れにも似た感情が燻っているのみだ。

 

 

 

 父と母に家を出ることを告げた。

 俺の両親は優しく、そして変わった夫婦だった。

 不気味な俺を育てた変わった夫婦だった。

 過去の話だ、今はいない。

 ただ、俺の傍に本があるのみだ。

 

 

 

 

 

 --3

 

 家を出て念能力について聞いて回った成果があった。

 外国で不思議な力を扱う人物を見たという話を聞いた。

 さらに詳しく聞くとハンターという職に就いているらしい。

 あとは忍者も凄いというが、さすがにフィクションだろう。

 

 ハンターの情報は念を探すよりも遥かに楽だった。

 一年に一度だけ行われる試験で合格すればハンターになれるが、試験は過酷で倍率も高いらしい。

 倍率は数百万倍で、会場に辿り着く前にふるい落とされるとか。

 

 

 

 合格できるとは思っていないが、そこで何か掴めるのではないかと一縷の期待を抱いて応募した。

 

 

 

 

 

 --4

 

 本から現れるキャラクターはそれぞれが特殊な力を持っており、俺に恩恵を与えてくれることを知った。

 白ウサギは動作速度が上がり、三月ウサギは周囲の正気を失わせ、帽子屋は毒のような症状を与えることができる。

 便利な点もあるが、やはり日々によって現れるキャラクターが選べずランダムなのが不便である。

 雑魚寝するような宿で三月ウサギが現れた時など悲惨だった、俺以外が。

 まあ、関係ないのだけど。

 

 ハンター試験会場までは、他の参加者たちを狂わせたり、素直に話したくなるようにして辿り着けた。

 人と人は助け合って生きているのだとわかった。

 やはり家を出て正解だった。

 何も知らなかった俺が様々なことを学べているのだから。

 

 

 

 ハンター試験だが、普通に不合格になった。

 

 

 

 

 

 --5

 

 あんなに苦労して辿り着いたハンター試験だが、一次試験で不合格となった。

 俺と同じ受験者を30人ばかりと試験官を1人、生きても死んでもいない状態にしたのだが、それがいけなかったらしい。

 ルール説明だと死んだ奴が悪いみたいな感じだったから試験官も処理したのだが、俺の友達は気が回りすぎたのかもしれない。

 いや、俺は何もしてないけどね。

 ただ、念能力について試験官や受験生に聞いたら馬鹿にされたので本が勝手にやっただけなんだ。

 試験官は巻き込まれただけだが。

 

 他のハンターが現れ、念能力について聞かれたので制御が全く出来ないことを伝えた。

 補足として俺には危害を加えないことも。

 制御するつもりがあるのならハンター協会の会長が師範の道場を紹介してくれるという。

 なんと都合のいいことか、それが目的だったから即答で道場に入ると告げる。

 これで30人ほど殺した意味があったというものだ。

 上機嫌のまま笑顔で伝えると、死んだのは600人を超えるとか。

 ああ、そうだった。

 30人は本が食った数だった。

 

 

 

 でもまあ食う価値が無かった連中はやっぱりカウントしなくていいと思うんだ、だって雑魚だし。

 

 

 

 

 

 --6

 

 心源流の修行が楽しくて爽やかな汗を流す。

 いや、汗は全く流れない体だけど。

 というか成長しない代わりに疲労とか排泄物とか無くなったんだ。

 泥水に飛び込んだとしても常に綺麗な状態を保てるのだから、やはり便利と言えば便利なのだろう。

 

 本の制御もある程度は行えるようになってきた。

 任意の位置に動かせることや飛び出したキャラクターに指示を出せるようになったことだ。

 前までは『お願い』するしかなかったが、今は『命令』できるほどだ。

 とはいえ、気のりしない命令は無視するくらいに気分屋ばかりなのだけど。

 

 

 

 念について詳しく調べた結果、俺と本が繋がっていることが判明した。

 あと新しい念能力は発現できそうにないことも。

 本と繋がっているせいで俺自身が成長などをしていないのだろうという考察が成された。

 

 

 

 

 

 心源流としての修練と念の修得を同時進行で行っていると、ハンター協会の会長をしている師範であるネテロ爺さんにボコられた。

 暇つぶしだったらしい。

 なんという理不尽。

 爺さんの攻撃は何も見えなかった。

 もう意味不明だった。

 気づいたらダメージを受けてるとか念に関しても理不尽とかドン引きだわ。

 

 その後は組手でボコられながら、ちょっとした世間話もした。

 念を学ぶ上での話だった。

 「悪人でも善人でも、好きなようになってもいい。だが、念は真摯に修めるべき」といった感じの口上から始まった。

 念に善悪は無く、それを持つ人間に委ねられる。

 全ては如何在りたいか、何処に向かうかが重要である。

 そこに万人が識る正しさは無く、意味も無い。

 ただ、目に見えぬ道を、あまりに長い距離を、盲なる歩みで進むだけ。

 その茨と薊に囲まれた道を踏破し、意味を見出せたとき、それは本物になるのだとネテロ爺さんは締めた。

 

 そして、ひどく遅い組手なのに一方的にボコられて終わった。

 

 

 

 

 

 --7

 

 ジャポンの忍者にちょっと憧れを持ったとか、微妙な志望理由でジョナサン・ジョースターという少年が道場に入った。

 10歳くらいだろうか。

 同い年だから仲良くしようね、みたいなことを言われた。

 実は同い年じゃないんだが、まあ、いい奴みたいだし仲良くすることにした。

 ジョジョと呼ぶと喜んでいた。

 何時もと変わらない修練だったが、そこにジョジョへの型の指導や組手が加わった。

 

 2年くらい経つと状況が変化した。

 ジョジョの家に養子になった少年と仲が悪いのか喧嘩していると噂を耳にした。

 まあ、頑張りなさいと心の中で激励する。

 その養子が来てからジョジョはいじめにあってると聞いたが、道場では普段通りにしているのでそれに合わせている。

 心配してもいいが男としてのプライドだってあるだろうし、俺がわざわざ何かをする必要はないだろう。

 普段と同じように接するのが一番だ。

 

 

 

 養子であるディオとジョジョが野良ボクシングして、一方的にジョジョがボコってた。

 いやまあ、そらそうなるわ……。

 立ち合いでのセコンドを任せられたので、動きの癖とかを伝えたら完封状態になった。

 ちょっと可愛そうだった。

 試合終了と同時にディオが「ジョナサンのグローブに石が……! この卑怯者がぁ!!」みたいなことをやってインチキを疑われたが、ジョジョは「友情の拳はそんな石より硬い!」とか叫びながら石を砕き、台座にした岩も亀裂を走らせた。

 ディオがちょっと青褪めてた。

 まあ、あんなんで殴られたら死ぬよなぁ。

 むしろよく生きてるって褒めたいくらいだ。

 

 

 

 

 

 --8

 

 ディオが道場に入ってきた。

 ボクシングでボコられたのが悔しかったのか、マジ切れしたジョジョに勝てないことに焦燥したのかは知らん。

 「君はディオ・ブランドーだね?」「そういう君はアマガツ・アマギ」みたいな感じで自己紹介した。

 ジョジョのセコンドをしてたのを覚えていたらしい。

 

 試しにディオと組手をやってみたら砂かけてきながら「負けは犬の糞にも劣る!」みたいなことを叫びながら攻撃してきた。

 聞いた話だとディオは犬が嫌いらしく、見ると蹴り殺したくなるとか。

 いやいや、頭おかしい……。

 で、審判をしていたツェペリ師範代の怒りに触れて「なっ! 何をするだァ――――ッ ゆるさんッ!」って感じに初日から遅くまでボコられてた。

 

 俺もハンター試験に落ちて入門した日から2週間前後はボコられまくったのを思い出した。

 ジョジョは大丈夫だった。

 なんか根性が曲がってるとボコられるらしい。

 道場あるあるだ。

 

 

 

 心源流道場は基本的に普通の道場として修練し、念に目覚めるとそっちもやるって感じらしい。

 だからジョジョとディオは念の修行は無し。

 だが、普通の修練はかなり必死に熟しているのでそのうち目覚めるんじゃないかって話もある。

 

 で、道場での俺の扱いだが完全に年下の子供への対応だったりする。

 念に目覚めているし、ジョジョとかディオと比べて在籍期間も長く、練度も高いのだが扱いはやはり子供だ。

 結構な頻度で飴とか貰う。

 何時も本を抱えているし、組手の時はすぐ傍に置いているのが悪いのかもしれん。

 相手が油断するし、これはこれで便利なのだけど。

 

 

 

 

 

 --9

 

 ジョジョとディオが殴り合いをしていた。

 なんか色々あったらしい。

 ジョジョが「君がッ 泣くまで 殴るのをやめないッ!」と叫びながら泣いているディオをボコってた。

 泣いていてもボコる、基本だよね。

 あと基本的にジョジョのほうが強いんだよなぁ……。

 

 呪い的な感じで念が封じ込められた仮面が道場には隠されているのだが、二人の喧嘩が激しすぎてに壁がぶっ壊れて日の目に晒されていた。

 で、その仮面に血が飛んだら「シャキンッ!」って感じに骨が飛び出た。

 なんだあれ、気持ち悪いなぁ……。

 センスがみじんこ以下で引くわ……。

 

 

 

 二人の喧嘩を見てたネテロ爺さんが良い動きだったと二人を褒めて、ハンター試験送りにした。

 ついでに俺も行くように言われた。

 なん……だと……。

 

 

 

 

 

 --10

 

 前と同じように、他の受験者から話を聞いて回る。

 方法だが、気を狂わせたり、毒を浴びせたり、物理的にお話したり、と様々だ。

 情報収集はハンターに必須らしいので、これからも色々と学んでいきたいところだ。

 ジョジョとディオも一緒に気が狂いそうになってたが、なんとか踏みとどまっていた。

 制御訓練のおかげで効果範囲も選択できるようになっているが、つい巻き込んでしまったのだ。

 事前に俺は催眠術が使えると伝えてあったし、大丈夫だろうとは思っていたがなかなかどうして……。

 

 

 

 今回の試験会場はホテルだった。

 試験に必須だという念が込められた誓約書に記入すると個室が割り当てられた。

 一次試験が始まるまでは待機だとか。

 軽く見て回ったがかなり広いホテルで1000人の受験者を収容して余りあるようだった。

 

 アナウンスが流れ、試験の参加を打ち切った旨が伝えられた。

 それと同時に個室のベッドの上へと飛ばされた。

 記入した誓約書の効果だろう。

 わからない受験生は混乱の極みにあるんじゃないかな。

 ベッドの上で横になっていると、目の前に試験官らしき男の映像が映し出された。

 これも念だろう。

 白衣を着た男で、淡々と試験が始まることを告げた。

 ちなみに一次試験についてのヒントは「ゲームであっても遊びではない」だとか。

 その後は眠るように意識が遠退いた。

 

 

 

 

 

 目覚めたら見知らぬ場所にいた。

 で、試験官の男が『あいんくらっど』とやらを攻略したときに生存していたら合格だとアナウンスして試験の開始を伝えてきた。

 『あいんくらっど』とは一体……。

 

 

 

 

 

 --11

 

 俺の立っている場所は念によって作られた仮想世界らしい。

 全体からオーラが感じられるので、念を見破る技を使っても詳しい情報はさっぱりだった。

 ジャミング的な意味があるのだろうか。

 

 攻略ってことは何かギミックがあるのだろう、とか考えていたら逸った10人くらいが中に突っ込んで死んだらしい。

 石碑に死亡者の名前が刻まれるのだと試験官があきれ顔で説明した。

 この世界は浮遊している城である『アインクラッド』を中心に構成されており、この城を攻略すればいいのだとか。

 あとは

 ・浮遊城『アインクラッド』が我々の試験会場であり、課題でもあるよ!

 ・敵がいる、強いよ!

 ・頑張って倒して100層まで行ってね!

 ってことも教えてくれた。

 武器とかも拾えるとかなんとか。

 凄い素敵! なんてなるわけないじゃん。

 なんだこの試験……。

 ゲームっぽいなぁと思ってたら、同じように感じた人もいたようだった。

 あんまりゲームって世の中に浸透してない上に宇宙人を撃つシューティングや横スクロールするアクションが主で、こんなアクションRPGは、その、みんな知らないんじゃないかな。

 

 

 

 まあ、いいや。

 クリアすればいいんだよ、クリアすれば。

 念と俺の不死性があれば余裕っしょ。

 

 

 

 

 

 俺の能力極ダウン。

 しかもボスつえー。

 攻略には時間がかかりそうで泣きそうだぜぇ……^q^

 

 

 

 

 

 --12

 

 『アインクラッド』攻略だが、かなり難航している。

 スタート時はレベル1、この時の身体能力は運動不足の小学生レベルに落ち込んだ。

 また、攻撃や防御などはレベルアップ時に振り分けるスキルポイントに依存しているので、攻撃に極振りした筋肉自慢が雑魚に一撃死とかに合ったりする。

 なんて恐ろしい念なんだ……。

 

 25層に辿り着く辺りで400人くらい死んだ。

 ボスや出現するモンスターに殺された受験者もいるが、餓死とかで死んだやつもいる。

 あとは受験者を殺す殺人鬼どもに殺されたとか。

 攻略のための人員を態々殺すとか、殺人鬼たちは何を考えているのか。

 25層のボスはマジ強くて死ぬかと思った。

 あんまりにも強いからディオが「おれは人間をやめるぞ!ジョジョーーッ!!」って叫びながら、あの趣味の悪い仮面を被って骨に突き刺さることで念能力に目覚めて勝利した。

 

 50層で残り50人くらいになった。

 ボスが強いのもあったが、攻略した際にペナルティが発生したのが大きな原因だろうか。

 45層以下の階層が12時間で消滅とかいうえげつない条件が発生、下層にいた連中はだいたい死んだ。

 なんというデスゲーム……。

 50層攻略の立役者である黒ずくめの少年はペナルティに心が折れたようだった。

 しょうがないね。

 攻略のために頑張って、念能力にも目覚めて、超強いボスを倒して全員で勝利を分かち合い、疲労で倒れ、目覚めたら受験生のだいたいが死んでたとか悪夢だろう。

 

 ディオが誓約によって灰になりかけたハプニングはあったが何とか75層に到着。

 残り30人を切っているという悲惨な状況である。

 以前の試験とは比べ物にならないレベルで難易度が高すぎる。

 というか、ここまで難しい試験は無かったのではないかと思うほどだ。

 だって身体能力が高くないと死ぬし。

 階層が上がると雑魚が下層のボス並みになるから、抜けられない連中も増えた。

 で、ペナルティで淘汰である。

 効率よすぎぃ。

 

 

 

 75層のボス部屋への扉は入ったら出られないようで、ボスにボコられて壊滅した。

 生存している受験者とか10人くらいしかおらん。

 そもそもボス強すぎて洒落にならん……。

 追い詰められた辺りでジョジョが念を覚醒させ、なんとか戦線を維持しているが、もういっぱいいっぱいだ。

 冗談抜きで全滅も有り得る。

 

 50層で頑張った黒ずくめの少年が、75層のボスを無視して受験生に斬りかかった。

 斬りかかった相手というのが、ここまで攻略を引っ張ってきてくれたリーダー的な人だった。

 気を違えたかと焦りつつ、なんとかボスの攻撃を凌いでいると驚愕の事実。

 リーダーが試験官だったとかで、認めていた。

 また、試験官は100層のボスも兼ねていることを告げてきた。

 ……クソゲーかな?

 100層で待っているぞ!みたいなことを言って消えようとした試験官にディオが目からビームを放ってダメージを与え、動きを鈍らせた。

 そこでチャンスとばかりに黒ずくめの少年とその相方の少女がズバッと斬りつけてぶっ殺した。

 

 ……愛の勝利だね(にっこり)

 

 

 

 

 

 

 

 

 --13

 

 試験官を撃破したことによって念で生み出された空間が解除され、待機していたホテルの一室で目覚めた。

 何となく気配を探ってみたが、鬱陶しいくらいだった存在が今は疎らでしかなかった。

 ベッドから起き上がって廊下に踏み出し、一番近くの気配に向かって歩く。

 気配察知にはオーラを広げてそこに触れた物を感じ取る技術の『円』を利用している。

 テキトーにオーラを放出して円の代わりにしただけだから、純粋な円の劣化版であるが人探しには便利だ。

 燃費がくっそ悪いけど。

 

 身体については調子がなかなかいい。

 というかアインクラッド攻略している時と同様だ。

 レベルによる補正は無いけど。

 肉体ごと念空間に取り込まれていたのだろうか。

 

 近くにいたのは従業員らしく、協会が試験用にホテルを貸し切っていたらしい。

 二次試験があるとのことでハンター協会が所有している飛行艇へ連れてかれた。

 詳しく話を聞くと一次試験は2年ほどかかっていたらしい。

 まあ、そうなるよな。

 わかっていたことだが流石にビビる。

 

 

 

 ジョジョとディオに挨拶して合流。

 2人も2年を一次試験に費やしたことに思うことがあったようだ。

 まあ、念の修行だと思えば悪くない……こともない。

 ジョジョは父親に連絡したとか。

 息子2人が通わせていた道場の師範の気まぐれでハンター試験を受けさせられて、そのまま未帰還だったので体調を崩していたらしい。

 うーん、どうしてなかなか難しい話だ。

 無事を知らせたから徐々に体調がよくなるとは思うけど。

 

 ネテロ爺さんに小言を言うが、爺さんにそれもハンターなら覚悟しておくことだと逆に説教された。

 な、なるほど、念の戦闘は奥が深い……なんて言うわけないじゃん。

 豆みたいな人も想定外だったと言ってたし。

 爺さんに何を言っても意味ないとは思うけど。

 

 

 

 

 

 --14

 

 二次試験会場に到着。

 近代的な街に見えるが光は消えている。

 所々から悲鳴が挙がっているし、何故か各所の建物には火が付いている。

 飛行艇の底が開き、アナウンスが試験開始を告げた。

 ちなみに試験内容は現時刻から72時間以上生きていることだとか。

 飛び降りたら試験に参加、このまま乗っていると不参加で失格らしい。

 流石に2年も浪費して失格では堪らない。

 高さとしても100m程度だ、余裕で降りられる。

 

 黒ずくめの少年や相棒の少女が飛び降りたので、俺も降りることにした。

 本に乗って飛べばいいじゃん!と天才的な発想を抱いたが、失敗した。

 本は俺を中心として1m以上離れないのだ。

 つまり、俺に引っ張られる形となる。

 オーラで防御しつつ落下による衝撃を地面に流して無事着地。

 俺の身体能力が低過ぎて、受け流さないとミンチになるからしょうがないね。

 小さな爆発が起きたかのように砕かれて粉塵が舞う通りを後にした。

 

 

 

 ちょっと歩いて分かったのだが、凄い街である。

 そこら中で死体が歩いているのだ。

 で、生きてる人間を襲ってバリバリと喰らっている。

 力は一般人よりは強い程度、強度は腐っているから脆い。

 あとは噛まれるとゾンビ化するようだ。

 動き自体は鈍く、頭と胴体を切り離せば活動は停止するのでダルいだけで面倒ではない。

 ただ、カラスや犬などの動物もゾンビと化しているのが嫌だなぁ。

 念による影響かと疑ったが、調べてもそういう感じはしなかった。

 合格条件が72時間以上生きていること、と考えるともっと面倒な何かがあるのだろうか。

 

 

 

 

 

 ジョジョとディオの位置を円もどきで掴み、一気に走り抜ける。

 道中には舌が伸びるタイプや腕が強化されているタイプなどのゾンビもいてバリエーションも豊富だ。

 3m近い大型タイプは不死性が高く、破壊しても時間をかけて再生するようだった。

 延々とぶち壊せば再生限界も訪れるだろうが俺は暇じゃない。

 

 ゾンビの頭を足場にしてぴょんぴょんと飛び越え、ジョジョとディオの二人と合流を果たした。

 頭を足場にする利点は弱点である頭部を踏み砕けることだろう。

 この後どうするかという話をしようとして、二人のほかにもう一人いることに気付いた。

 よろしく、と挨拶したら「どろどろに濃く煮詰めて砂糖をたっぷりぶち込んだコールタールのようなイタリアンコーヒーよりも真っ黒な気配がするぜッーーーーッ!!」と叫ばれた。

 出会い頭になんてやつだ……。

 

 叫んだやつもジョジョに宥められて落ち着いたらしい。

 お節介焼きのスピードワゴン(SPW)という人らしい。

 この街の出身で、事情に詳しいとか。

 それは良かった。

 勘で一直線に走るか、川に沿って走るかしか選択肢が無かったからな。

 ちなみにジョジョは黄金のように輝く精神と褒められ、ディオはゲロ以下の臭いがぷんぷんするらしい。

 ゲロ以下(笑)

 

 

 

 

 

 --15

 

 SPWが話すには、突然ゾンビが現れてパニックになったらしい。

 街一帯がこんな感じだろうと予想できるが、他の街は不明だとか。

 弱点は頭部、噛まれたりして傷つくと数時間後にゾンビになるらしい。

 力も強く、掴まれたら相手の腕を捥ぐしかないと言われた。

 ……だいたい知ってる情報だった。

 

 ただ、脱出先などにいくつか心当たりがあるようだ。

 河川で船、車で道路、電車で地下、小型飛行機で空と様々な手段があるとかないとか。

 船と飛行機、電車は操縦できないんですがそれは。

 車で脱出するにはゾンビが邪魔だし、そもそも走った方が速い。

 走り抜けるにしても体力が不安なのもあるんだよなぁ。

 あとは日光を浴びると制約で灰にディオを考慮する必要がある。

 

 電車を走らせ、目的地付近でブレーキ。

 止まらなかったら電車を横転させて脱出する感じだ。

 完璧なプランだわ。

 

 

 

 目の前に現れた斧を持った大柄なデブを対処しながらプランを伝えていく。

 このデブ、身体に生えてる釘を蹴れば勝手に仰け反って隙を曝してくれるので、リンチしやすくて有り難い。

 油断して斧が直撃し、腕が消し飛んだが問題ない。

 本が無事でオーラさえあれば生やせるし。

 

 

 

 

 

 --16

 

 地下鉄を目指して走る。

 時々建物内や道端にある謎のギミックはディオがぶっ壊すために解かなかった。

 最初のほうは試していたのだが、態々扉を開けるために他の部屋から銅像や宝石を拾って来たり、隠し部屋を探したりと面倒な物ばかりでディオが解除(物理)した辺りで辞めた。

 いや、馬鹿らしいとは思ってたけど解かないと真面目にダメかなともちょっと思ってた。

 

 途中でエンカウントした「すたーず☆」と掠れた声で呟きながらロケットランチャーを連射してくる大柄なゾンビから逃げる。

 弾が無限なのかと疑いたくなるレベルで撃ってくるゾンビだ。

 俺だったら人間の命とか大事にするからそんなにバカスカとロケットランチャーを撃つことはしないね。

 やはりゾンビと人間の間には理解し合うことのできない溝があるようだ。

 

 三次元走法!とドヤ顔で天井やら壁やらを足場に飛び跳ねていたが、ロケットランチャーで崩れそうになったので辞めた。

 というかディオに怒られた。

 まさか非常識の権化みたいなディオに怒られるとかショタ兄弟子はとても悲しい……。

 

 

 

 黒ずくめの少年とその相棒の少女と合流。

 キリトとアスナという名前らしい。

 なるほど。

 この二人の他にもスターズという特殊部隊の人々もいた。

 で、掠れた声で「すたーず☆」と呟いていた大柄ゾンビはそいつらを見て興奮したのか、元気いっぱいになった。

 キリトの疫病神感である。

 50層でデスペナとは別に、スターズ狙いのゾンビの元にスターズを連れてきた、というのも加わった。

 ・『50層をクリアした』

 ・『スターズを連れてきた』←NEW!って感じ。

 

 うーんこの……何?

 とりあえず他にも増えたら困るから、三次試験からはなるべく距離を置こうと思わせる奴である。

 

 

 

 

 

 --17

 

 爆走している電車で街がミサイルによって消し飛ばす予定だという話を聞く。

 新種の生物(?)を研究していたらミスって拡散、あんな感じのバイオハザードになったとか。

 やべー。

 マジやべー。

 あの街は周囲一帯を『貧者の薔薇(ミニチュアローズ)』で焼き払うらしい。

 『貧者の薔薇』とは核的な威力と絶対殺すマン的な毒を備えた最強生物兵器だ。

 俺の念にも搭載したいレベル。

 解毒剤とかがあるなら銃弾に込めて使いたい。

 

 試験の合格が72時間以上生きてたらって意味がわかった。

 そら『貧者の薔薇』が放たれたら念能力者でも生きてられないわ。

 念空間に逃げるタイプなら生存できるけど、受験生の間でそういうやつはいないし。

 

 

 

 

 電車が駅に到着。

 ホラー映画だったら電車にゾンビが紛れていて、エンドロール後にゾンビが画面を噛みつく素振り、そして続編へ……となるのだが、ハンター協会はそういうお遊びは好きじゃないらしい。

 駅に控えていた協会の人員が俺らの連絡を受けるとどこかに電話していた。

 どうやらプロのハンターがゾンビによる汚染の洗浄作業に駆り出されたようだ。

 ゾンビに噛まれたハンターがゾンビ化し、ゾンビハンターとして強大な力を誇るというB級映画を考えたが、噛まれて傷つく程度のハンターは投入されないだろう。

 

 よくここに人員を配置していたなと納得してみる。

 が、調べるとあの街から脱出した場合のアクセスは10通りよりも少ないようだった。

 自らの足で脱出しようとすると、街の中心よりも外に向かうほどにゾンビが多いのでそれこそ無数のゾンビと無双アトラクションを繰り広げる必要が出てくる。

 まあ、受験生クラスだと体力が切れて死ぬだろう。

 

 河川か電車、車のルートにおのずと絞られるようだ。

 河川は流れをせき止めて水を干上がらせていたらしく、陸路に近い感じになったかもしれない。

 車はゾンビが道路に溢れているので強行突破すると先に車体が限界を迎えるので、神業染みたドライビングテクニックを要求されたようだ。

 電車が一番楽、でもないよな。

 

 難易度調整がミスりまくりですやん……とネテロ爺さんに抗議。

 念に目覚めてるからこれくらい問題ないっしょ的な返答。

 なるほど……。

 いや、大半が念に目覚めたのって一次試験だし。

 二次試験は最初から決まっていたわけではなく、様子を見て変えたのか……。

 そもそも一次試験も念が必須に近かったし。

 やっぱ難易度調整がミスってるじゃんと告げようとしたら、ネテロ爺さんはいなくなっていた。

 

 ……じじいの癖に動きだけは最速だなぁ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 --18

 

 三次試験は俺らが到着した駅近くの山に登ることだそうだ。

 双子のちんちくりんな試験官が告げてきた。

 準備時間と試験期間を合わせて144時間、試験会場は8000m級の山である。

 半端ない無茶振りだなぁ……。

 

 俺の場合は装備不要、嗜好品として食いものがあればいいかなって感じだ。

 念が不足したら登山客とか小動物をつまみ食いすれば問題ないし。

 ディオは何も要らないと叫びながら穴を掘って消えた。

 まあ、真面目に山登りなんてしたら灰になるからしゃあないね。

 あ、でも同じルートを辿るとディオが生物を吸血している可能性があるので、別のルートからアタックしないといけないわ。

 ジョジョは念の波紋を纏えばいけるっしょと突撃しようとしてたが、SPWのお節介による助言を聞いて装備を整えるらしい。

 キリトとアスナもそれに付いていって装備を整えるとか。

 三人と別れて山登り開始。

 

 

 

 山頂までは驚くほどに糞つまらなかったので省略。

 俺は単純な腕力などは無いが、疲労は感じないしスタミナもオーラさえあれば無限なので全く苦にならなかった。

 途中で腹が減ったので受験生を襲撃して食ったからガス欠も無かった。

 同じ獲物(受験生)を狙っていたディオがクレバスから飛び出し、雪による照り返しで灰になったりしたけど特に問題はなかった。

 

 真夜中に登頂。

 一番だったらしいので一人さびしく山の中腹で拾った野菜を齧っているとディオが雪の中から出てきた。

 非常食があったから灰になって死ぬのを避けられたらしい。

 ここまで生き残り、念に目覚めた受験生が山登り程度で二人も死んでしまうとはなんと残酷な試験なのだろうか……。

 

 昼ごろには試験官も到着。

 なんというか、言葉にし難い登り方だった。

 重力を無視してふわーっと跳ねると言うか、なんというか。

 まあ、俺たちの常識的な登山方法ではないことは確か。

 

 

 

 残り20時間ほどで他の受験生が、残り10時間を切ったあたりでジョジョやキリト、アスナも到着。

 こいつらもどうしてなかなか人間離れしている気がしないでもない。

 待っている間に一生懸命登ってきていた登山家のパーティを俺やディオが食べていたのでこの場にはハンター試験の試験官と受験生しかいない。

 試験官が何か言いたそうだったが、無視である。

 お弁当を食べたくらいで文句言われる筋合いはないのだ。

 

 

 

 

 

 --19

 

 四次試験の試験官が飛行艇から落下してきた。

 ビスケだった。

 婆さんと呼んで俺とジョジョ、ディオが思い切りボコられたのを思い出した。

 マジないわー。

 

 飛行艇の底が開き、岩が投下され、受験生の一人が潰れてミンチとなった。

 「何やってんの、受け止めて下りるんだわさ」とはビスケの言。

 ええー……。

 どうやら四次試験は岩を抱えて下山するらしい。

 俺、積んだな。

 だって念を全力で行使しても200kgくらいが限界だし。

 

 

 

 まあ、出来ることはやってみよう。

 一回潰れながら岩を止め、再生してから岩を転がし、玉乗りの曲芸のように上に乗って下山。

 雪崩とか起きたし、逃げ惑う登山パーティを轢き逃げしたが特に問題はなかった。

 

 結果は不合格だった。

 ですよねー。

 

 

 

 ジョジョやディオは普通に抱えて下りてきた。

 岩が日除けになっていたので灰にならなくて済んだようだ。

 キリトやアスナはいっぱいいっぱいの表情だった、ひょろいからしょうがないね。

 で、俺の不合格の原因だが、麓に被害が沢山出たかららしい。

 俺は関係ないじゃん(激おこ)

 

 試験と全く関係ないのに不合格で憤慨したが、試験官が不合格と言えば不合格なので諦めた。

 というかビスケにさっさと道場に戻ってまた一から修行しろとため息付かれた。

 型とか完璧なんだけど、と反論。

 心を鍛える『燃』をやれってことらしい。

 大人しく従うけど、これ以上俺の鋼のメンタルを鍛えてどうすんねん(ため息)

 

 

 

 

 

 --20

 

 俺は不合格になったのとビスケの忠告でさっさと道場に帰ったのだが、その三日後にジョジョとディオがハンターになって道場へと帰還。

 「兄弟子は先に不合格になって恥ずかしいでござるよー☆」と告げるもディオに「お、おう……」と引かれた。

 新聞を読んでたらしい。

 とある雪山で過去最大の雪崩で街が半壊し、死傷者は数十万人に上る未曾有の大災害が発生という記事が書かれてた。

 世の中には酷い事件があるものだ。

 ただ一つ言わせてもらうとゾンビパニックも混ざってるから。

 俺だけじゃないから(必死)

 ジョジョは「来年もあるよ!」と励ましてくれた。

 なぜか付いてきたSPWは「ゾンビのような腐臭が(以下略」と叫んでいた、やっぱり変人だわ。

 

 ジョジョの父親が体調を崩したので薬を探す旅に出るらしい。

 おう、頑張れよと見送る。

 俺はあれよ、『燃』をやらないといけないから。

 思い込みこそパワーみたいな修行だけど、やらないといけないらしい。

 

 あとは道徳とか。

 困ってる人や怪我してたら助ける、人を殺しちゃいけない、苦しんでたら止めを刺す、面倒だったら気を狂わせる、口を割らすには毒を流す等でしょ。

 流石の俺も道徳とか常識くらい知ってるから。

 

 

 

 

 

 --21

 

 グリードアイランド(G・I)というゲームに万能薬があるかもしれないとジョジョが発見してきた。

 ハンター御用達のゲームで、凄まじい効果のアイテムがあり、クリアすると持ち出せるようになるのだとか。

 なるほどなー。

 ゲームを手に入れるためには最低50億くらいの金が必要らしい。

 ジョジョは金策してくると仕事に出かけた。

 うーんハンターらしいような、そうでもないような。

 入れ替わるようにディオが盗んできた。

 ジョジョの方がハンターな気がするが、必要な物をすぐに手に入れられるディオの方がハンター感が強いような。

 

 起動しているジョイステにメモリーカードを指して練をすればゲーム開始のようだ。

 スロットの両方にマルチタップが使われており、残りは一人分しかなかった。

 これだとジョジョがプレイできない。

 よし、ジョジョが依頼を終えて帰ってくるまでに枠を増やしておこうじゃないか。

 俺って親切だわー。

 

 そんなことを思っていたがディオの目的は違うらしい。

 ジョジョに見せびらかしながらプレイする予定だったとか。

 ツンデレか。

 まあ、いいや。

 どっちが先に入るか、じゃんけんで決めることにした。

 単純な勝負でもいいが、俺のほうが圧倒的に体術が強い、というか相性がディオといいのだ。

 型を用いた力によるごり押しのディオと違って、合気鉄扇というオサレな体術を修得していてすまんな。

 じゃんけんは爆弾『貧者の薔薇(ミニチュアローズ)』を使うことによって勝利した。

 ディオは自分を指差していたが、『貧者の薔薇(ミニチュアローズ)』に勝てるやつはいないだろ、常識的に考えて。

 

 

 

 確か死んだらプレイヤー用のスロットが空く使用だったはずだ。

 目に付いた奴からリタイヤさせていこう。

 ついでにG・Iはカードゲームなので、収集もしていくことにした。

 もしかして相手を倒したときに手に入るアイテムや経験値がカードなのかも。

 なるほどなー。

 

 肉体を成長する薬などがゲームのアイテムで手に入った。

 これがあれば俺も強くなれるかと期待したが、効果なし。

 代わりに本から「Eat me」とお菓子と「Drink me」と書かれたジュースが出てくるようになった。

 お菓子を食べると一口で一歳分ほど幼くなり、ジュースを飲むと一歳成長する。

 が、やはり一日で効果が切れる。

 しかも任意で出せるわけでもないから結局ポンコツ能力なんだよなぁ。

 

 

 

 普通に殺すとカードを手に入れられなくなるのを覚えたあたりで凄まじい勢いで収集率がアップした。

 コツは相手にカードを収容しておくブックを召喚させてから喉を潰すのだ。

 あとはテキトーに料理してフィニッシュです。

 ゲームの内情的に、どうもプレイヤーが保有したままになっており、カードが出回らないようになっているらしい。

 つまり俺のリタイヤを促す作業は、やる気のあるプレイヤーへの応援にもなっている可能性が高い。

 ちょっとやる気出ちゃうなー。

 もうしょうがないなー。

 カード屋に張り付いてプレイヤーを現実に返すお仕事をやるしかないわー。

 

 

 

 みんな練が使えるだけあって、なかなかいい餌だった。

 これだけでもG・Iに来た甲斐があったというものだ。

 爆弾をくっ付けられて吹っ飛ばされたけど、この程度なら死なないから問題ないね。

 いや、本も巻き込んで消し飛ばすような威力だったらヤバかったけど。

 攻撃してきた奴を追い続けてもいいのだが、生き残っているプレイヤー連中が徒党を組み始めてウザい。

 そろそろ現実に戻るとしよう。

 

 

 

 

 

 現実に戻るとジョジョのお父さんは亡くなってた。

 ……ごめーん、完全に忘れてたわ。

 

 

 

 

 

 --22

 

 ジョジョ的には俺がG・Iにいたのは一生懸命薬を探していたと解釈してくれた。

 都合よく解釈してくれて有り難いわー。

 薬が不必要になったからG・Iをプレイすることは無いようだ。

 値上がりしたら売りに出すかなぁ。

 

 ジョジョは考古学を専門とするハンターになるとかで、遺跡を発掘しに行くようだ。

 ネテロ爺さんの知り合いのジンというハンターに長期間で世話になるとか。

 頑張れと見送った後、ディオと一緒に仕事へ向かう。

 暗殺系の仕事は報酬が高いし、意外と念能力者がいるから餌としても美味しい。

 マフィア様様である。

 依頼を受けても、依頼として襲っても美味い。

 

 

 

 

 

 --23

 

 幻影旅団とかいう賞金首を狙ったら本を砕かれ、危うく死ぬとこだった。

 ディオなんて三回は腕を捥がれてた。

 調子扱いて「脆そうだぜ」なんて侮ったからだ。

 いや、俺も侮って捕食しに行ったらカウンターで本を砕かれるとは思わなかったけど。

 絶不調の状態を味わったが最悪だった。

 頭痛がする……は、吐き気もだ…くっ…ぐう……な、なんてことだ……みたいな感じになった。

 で、結局絶不調で戦線維持していたら、同じく依頼を受けていたゾルディックの暗殺者に横から掻っ攫われてしまった。

 本を砕かれて体調を崩し、貯め込んだオーラを無駄にしただけというオチである。

 悲しい。

 

 ちなみにディオは幻影旅団の死体から吸血して絶好調になっていた。

 そのままテンションが上がったのか襲い掛かってきたので、腕を捥いで本に食わせたことで体調が回復した。

 あぶねー、ディオという餌があって良かったぜ。

 その流れで旅団の死体も食いたかったが、いつの間にかゾルディックの暗殺者が持って行っていた。

 ぐぬぬ……。

 

 

 

 

 

 --24

 

 ハンター試験に参加。

 俺はもうどうでもいいかなって気分だが、ネテロ爺さんに呼ばれるので行かなければいけない。

 門弟の悲しい現実である。

 他の道場からも参加者がいるし、同じ道場でも試験を受けるのだが、大抵は死んだりお弁当になったりして試験会場まで辿り着けなかったりするのが多い。

 ご馳走様です。

 

 今回は一次試験はディオが試験官だった。

 そういえば何か相談された記憶が……。

 ちなみに試験内容は、受験番号が書かれたプレートの裏側に埋め込まれている薬瓶の中身を3時間後に飲むことだとか。

 3時間経てばプレートから薬を取り出せるようだ。

 この薬瓶だが、10:1の割合で毒と解毒剤が配布されている。

 毒薬と解毒剤は同じ見た目で、瓶も同じ。

 ただ、毒をどれだけ飲もうと解毒剤さえ飲めば確実に解毒されるとか。

 つまり、他の受験生からなるべく数を奪う試験なのだろう。

 合格条件は解毒剤を飲むこと、不合格は死ぬことと3時間後にプレートを失っていることだとか。

 

 

 

 

 

 ちなみに俺は不合格だった。

 全部毒薬ってどういうことだ、毒喰らったんだけど。

 これ、俺じゃなかった死んでた。

 まあ、毒を呷った連中はみんな死んでるけど。

 

 ディオが高笑いしながら、俺が不合格するところを見るために試験官になったとバラした。

 また、念に目覚めていると解毒薬も毒になるとかなんとか。

 参加していたフリーの念能力者も死んでるんですがそれは。

 

 高笑いしていたディオはネテロ爺さんに張り倒されていた。

 相変わらず速すぎて見えない……。

 

 

 

 

 

 --25

 

 翌年。

 また不合格となる。

 おかしい……。

 このエリートが不合格だと……?

 確かに試験官を半殺しにした奴は不合格になっていた。

 だから試験官を跡形もなく食っただけなのに不合格とか、そこんとこどうなんだ……?

 

 あ、でも最初に受けた試験でも殺したから不合格だったし仕方ないか。

 試験官が合否を決めるからぶっ殺して決められないようにするという天才的な発想のはずだったんだけどなぁ。

 やってることは最初と同じというね。

 成長してない可能性……いや、単に初心を忘れただけか。

 俺も天然だからなー。

 しょうがないなー。

 来年頑張るとしようじゃないか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 --26

 

 もう何回目やねんって感じのハンター試験である。

 一年に一回しかできないんだから、そう何度も落ちている場合じゃないのだけれど。

 出発する際、ジョジョとディオが喧嘩していた。

 相変わらず仲が良い。

 「ディ、ディオ、君はいったい何人の生命を吸い取った!?」

 「おまえは今まで食ったパンの枚数をおぼえているのか、ジョジョ!!」

 みたいな。

 「俺は多分20万人くらいかな。……ふふふ、冗談だよ。パンと人間は違うからね」と横から告げてみた。

 ちょっとしたジョークだったんだけど、二人とも凄い顔になってなんか変な空気になったのでさっさと道場を出た。

 

 もう俺くらい常連になるとハンター試験に向かうのも余裕である。

 毎回使っているナビゲーターがいるから今回も利用しよう。

 と、思ったがナビゲーターに帽子屋の水銀毒を呷らせたり三月ウサギで気を違わせすぎて、もう限界のようだ。

 目的地への行き方と会場だけ残して発狂してしまった。

 まるで俺の顔を見て気が狂った感じだったし、失礼なやつだ。

 優しい俺は墓を作って埋めてあげた。

 死んでるか生きてるからわからないような感じだったし、俺も良いことをしたわ。

 

 

 

 今年は定食屋でステーキ定食を弱火でじっくりすれば会場に行けるという優しさ。

 去年はゴムボートで海に出て巨大人食い魚を一本釣りし、漁業組合に届けることで会場入りできたが、その後にディオが毒殺試験が起きたから難易度が落ちたのかもしれん。

 辿り着いた試験会場は目つきの悪い野郎ばっかだった。

 治安が悪くてヤバい。

 露骨に視線を逸らす奴らがいて気になった。

 去年試験官を半殺しにしたヒソカってやつがいるせいだろう。

 おお怖い怖い。

 殺されたらたまらないから俺も人の波に揉まれるとしようじゃないか。

 ……なぜみんな俺を避けるのだろうか。

 

 

 

 

 

 --27

 

 何故かみんな避けるため、俺周辺だけガラガラとなってボッチを味わっていたら、受験生が近寄ってきた。

 「ハンター試験はガキの……お、俺の手がー!!!」って叫びながら両手が無くなってた。

 ガキの俺の手(意味深)

 冗談はさておき、どうもヒソカにぶつかったらしく両手を刎ねられたとか。

 ヒソカ怖っ。

 ぶつかられたからって両手を刎ねるとか、わざわざそんな面倒なことをするとか手間暇かけすぎて怖い。

 弱い物いじめが好きなタイプかもしれない。

 俺はそういうの趣味じゃないから。

 優しいから一息で殺して本の餌にするし、面倒なら戦わない。

 好きなのは勝つことであって、戦いじゃないし。

 

 「うわーマジこえー。ドン引きー」とか呟きながらヒソカから距離を取る。

 あいつ目つきが嫌らしいから嫌だ。

 そもそも俺はバトルタイプじゃないんだ。

 ヒソカからなんとか離れると、「災難だったな」とおっさんに話かけられた。

 3人組のようだ。

 あ、19歳だからおっさんじゃないらしい。

 連れの他2人も驚いていた。

 やっぱおっさんだよな。

 

 19歳がレオリオ、金髪がクラピカ、黒髪つんつんの少年がゴンだとか。

 ゴンと同世代だから声をかけてくれたようだ。

 これだよ、これ。

 こういうちょっとした気遣いによる助け合いが重要なんだよ。

 だから俺もアドバイスしておいた。

 ぶつかっただけで両腕を刎ねるヒソカやべーとか、一昨年や去年いた受験生で知ってるやつを紹介した。

 3人は納得したようで、お礼も言ってきた。

 優しくてすまんな。

 

 

 

 紹介した連中の顔色が悪くなった後、何故か俺の視界から消えたけど、まあ、いいか。

 周囲からひそひそと「一番悪辣なハンター殺し」とか聞こえたけど俺のことじゃないよな?

 耳が良いから、俺個人を指してるとわかったら二度と試験を受けることができないようにするけど。

 

 

 

 

 

 --28

 

 試験が開始された。

 地下道を進む試験官のハンターを追い続けるのが試験のようだ。

 何この試験、超ちょろい。

 もっと毒とか刃物とか使ったほうがいいんじゃないの?

 こんなにぬるくて大丈夫?

 と心配するのも束の間、いきなりデブが遅れだした。

 この程度の試験でダメとか、と犬の糞以下のゲロを見るような目でため息付いたら、デブが倒れて動かなくなった。

 考えるのを止めて石にでもなったのかもしれん。

 

 クラピカとレオリオがハンターになってどうするのかという話をしていた。

 クラピカは仲間の目を集め、レオリオは無銭で助ける医者になるとか。

 いい話だなー。

 俺は友達(本のキャラクター)を全員助ける(現実に呼び寄せる)ためにハンターを目指しているのだと、夢を語った。

 良い夢だと褒めてくれた。

 やっぱり?

 俺もいい夢だと思ってるんだ。

 問題は、俺自身も強くなるためにどれほどの人間を犠牲にすればいいのかわからないってことだな。

 あと制約なのか一日一体だし。

 いっぱい食べれば強くなって制約も緩くなっていくかもしれん。

 

 

 

 しかし、試験が温すぎる。

 温すぎて心配になってきたので、ちょっと手伝うことにした。

 他の受験生の頭を飛び越え、隙だらけなら首を圧し折ってあげながら戦闘へと躍り出る。

 ゴンと、他に同世代の銀髪の少年がいた。

 キルアというらしい。

 ハンター試験は遊びで参加したようだ。

 試験に遊びで参加するとか良くて不合格、悪くて死ぬぞ(迫真)

 

 今日の念能力はチェシャ猫である。

 能力はワープ。

 単純にA点とB点の二点を設定することで、A点とB点を行き来できる能力だ。

 この二点を階段の上と階段の下に設定すればあら不思議。

 無限ループする階段の出来上がりだ。

 どっこいしょと階段に腰を下ろし、奇妙な顔をしたゴンとキルアに手を振って見送る。

 俺が座っているというのに避けないで蹴ろうとしてきた馬鹿どもは、蹴るために込めていた力をカウンターとしてお見舞いする。

 強く俺を蹴ろうとしただけ流す力も強い、こいつら程度の練度ならこんなの児戯ですらない。

 基本的に骨が砕ける力だったが、中には足が捥げたやつもいた。

 まあ、階段だったから受ける力が強くて凄まじい勢いで転がっていったけど。

 死んでたらしょうがないね。

 ばかばっか。

 レオリオが何か叫んでいたが無視。

 

 十数分後に試験官のハンターが先頭に再び受験生の群れが階段を駆け上がってきた。

 手を振って見送る。

 レオリオが何か叫んでいたが無視。

 ボドロという受験生が手合せしたいと言ってきた。

 あだ名は東方不敗とかになりそうなフォルムだ。

 俺が座りながら受験生を投げ飛ばしたのを見ていて、武人として高見がどうとかって話らしい。

 どうしてなかなか目が良いおっさんである。

 体術に関して、俺の練度は極まっているような気がしないでもないからな。

 普通ならワンパンチで仕留めるが、折角なので真面目にやってみる。

 鉄扇を構え、相手の攻撃に合わせて……破裂して死んでしまった。

 おっさんの力も上乗せしているとはいえ、俺の腕力程度で死ぬとか脆すぎんよ。

 

 十数分後に試験官のハンターが先頭に再び受験生の群れが階段を駆け上がってきた。

 手を振って見送る。

 念に気付いたのかヒソカと顔面に変なのが刺さっているカタカタしている男が近くに佇んでいた。

 レオリオが何か叫んでいたが無視。

 

 十数分後に試験官のハンターが先頭に再び受験生の群れが階段を駆け上がってきた。

 手を振って見送る。

 レオリオが何か叫んでいたが無視。

 

 ……いつまで走っているのだろうか。

 

 十往復くらいしたら受験生の数も三分の二くらいに減っていた。

 そろそろ解除しようかなと思ってたら、絶になった。

 ワープポイントに設置していたチェシャ猫が破壊されたらしい。

 あらら、今日一日は絶状態である。

 

 

 

 遅ればせながら階段を昇り切ると試験官が凝視してくるんですが。

 俺は関係ないっしょ。

 試験はちゃんと手間暇かけなきゃ。

 

 なんかヒソカがトランプ投げつけたり、猿が死んでたりしたが俺には関係ないので省略。

 

 

 

 

 

 

 --29

 

 二次試験、豚とか獲った。

 豚を豚に与える試験という謎。

 あとは寿司を作れという話である。

 なるほど。

 俺がジャポン出身だと知っての挑戦か。

 

 まず鳥の卵(謎の鳥)を取ってくるじゃん?

 次に溶くじゃん?

 試験官の女が「玉(ギョク)!? ま、まさか……」と慄くじゃん?

 無視して砂糖とか生クリーム入れるじゃん?

 土鍋で固めてプリンを作るじゃん?

 醤油とプリンを混ぜ、軍艦に乗せてウニとして出すじゃん?

 

 投げつけられた。

 糞が^q^

 

 

 

 自分は忍者だとか妄言を吐くハゲが寿司をバラしたことで二次試験が有耶無耶になって合格者なしになった。

 また不合格かよ。

 折角なので半分くらい食ってしまうかと本を呼び出す。

 あー、絶だったわ。

 絶だけどヒソカやトゲトゲでカタカタしている受験生と試験官以外なら殺れるし、半分くらい仕留めてから森に逃げ、絶が解けたら追ってきた試験官を捕食するプランでいくか。

 勘がいい連中がなんか身構えたが、その程度なら問題ないと判断し、やる気を出してたらネテロ爺さんが落下してきた。

 あーもう滅茶苦茶だよ。

 萎えた。

 試験官どもがこっち見てるけど無視。

 何見てんだよ(チンピラ)ってしたいけど無視。

 ヒソカのほうを見てろよオラァ。

 

 

 

 

 

 二次試験は崖に巣を作る鳥の卵を取ってきてゆで卵を作る試験になった。

 ちょろっ。

 折角なので落下してくる受験生を足場に戻った。

 篩にかけてやってるんだから礼を言えよ。

 

 

 

 次の試験会場まで飛行艇で移動。

 中でキルアが俺たちは光の中で生きていて、キルア自身は闇に生きている的なことを言い出した。

 ゴンはウルトラマンでキルアはウシジマくんだった……?

 ……キルアはゾルディックの暗殺者だし、ウシジマくんで相違ないか。

 ちょっと納得してしまった。

 まあ、そんなどうでもいいことは流そう。

 

 何故か飛行艇でネテロ爺さんとボール遊びすることになった。

 で、じじいにボコられた。

 おかしい、ゴンやキルアには手加減していたのに……。

 というかこのボール遊びでさっさとライセンスくれよ。

 なぜ念能力で俺をボコす必要があるのかという疑問が湧くんですが。

 

 

 

 

 

 --30

 

 三次試験は飛行艇で移動し、高い山っぽいのに降ろされた。

 まさか岩運びか、と戦々恐々としていると、単に下に降りる試験らしい。

 飛び降りればいいのか、簡単じゃん。

 ロッククライマーが壁面を降りようとしてでかくてキモい鳥に襲われていた。

 え、ネタか何か?

 試しに他の受験生をこっそり蹴り落としたら、落下中にキモい鳥に食われていた。

 うーん落下は辞めておこう。

 

 ゴンに呼ばれたので向かうと、地面が隠し扉になっていることを教えて貰った。

 知ってた。

 歩けば反響音で一発だし。

 一か所くれるというので有り難く貰う。

 まあ、中で繋がっている場所っぽいんだけどね。

 下で会おう!とノリノリで挨拶している四人を無視してダイナミックエントリー。

 

 数分して四人が降ってきた。

 遅いんですけど、とちょっと茶化して試験開始。

 壁を壊せば良くね?と天才的な発想をして、崩落させたり、何故か下まで崩れて誰かしらの悲鳴が聞こえたりもしたが特に何も無かった。

 ただ、四人から怒られたので壁や地面を壊すのは辞めた。

 俺は聞き分けがいいからな。

 

 

 

 なんか死刑囚と戦う試練があったが特に落ちも山もなく突破した。

 そもそも俺の相手となった軍人崩れには、ゲーム開始してすぐに床を砕いて破片をもぎ取り、投擲して頭を砕いてから奈落の底に落とした。

 クラピカの相手になった蜘蛛の入れ墨が入っている筋肉は、気絶しているかどうかという賭けでレオリオが死んでいる方に賭けたので、石を投げつけて頭を潰して殺しといた。

 キルアの相手のおっさんも壁を砕きながら現れたけど、俺がすでに似たようなことをやってるから二番煎じ感が半端なかった。

 ぽぽぽぽーんと勝って終了。

 

 キルアが心臓をぶち抜くとかやってた。

 俺もちょっとやってみたい。

 デコピンで心停止や鉄扇で心臓破裂程度なら出来るんだけど。

 

 

 

 

 

 --31

 

 あの後、三次試験を普通にクリアした。

 残り時間が余っていたため、ヒソカのキモい視線を浴びせられたがゴンで防御したらそっちに移ったようだ。

 ありがとう、ゴン。

 

 四次試験はプレートを奪い合う試験だった。

 試験開始前に奪ったから楽だった。

 毒とか混ぜなきゃ緊張感が出ないわ。

 

 

 

 

 

 ヒソカの糞ピエロに襲撃されて首を刎ねられた。

 で、その瞬間にヒソカのプレートはゴンの元へ……。

 いや、助けてくださいよ。

 もういいや、なんか全体的に面倒だから死んだふりで過ごすことにした。

 

 

 

 

 

 --32

 

 試験終了とともにゴンたちと合流。

 ビビられたが、あれで死んだらハンターにはなれないと真顔で答えとく。

 頭が転がってたけど、意外と大丈夫なんだ。

 ヒソカが凄い目でこっち見てるけどキモい。

 こっち見んな。

 

 飛行艇でじじと面接となった。

 戦いたくない相手は誰か、みたいな話だ。

 もう俺合格でプレートくれよ、と壊れたラジカセのごとく繰り返してたら部屋から放り出された。

 何故こんな無駄なことに念能力を使ってくるのか、俺にはわからない。

 そもそも見えない攻撃って反則でしょ。

 

 

 

 

 

 最終試験は逆トーナメント方式で、勝ったら合格でどうとか。

 ゴンとハゲが戦いを開始した。

 ハゲは審判が、試験中に自分に尾行していた試験官だと告げた。

 マジか。

 俺はさっさと捕食したからこの世にいないんだよな。

 ちょっと寂しいね、そういうの。

 で、ゴンが勝った。

 ハゲは負けた。

 忍者なら忍べ、毒使え。

 なぜ体術で拷問しようとするのかそれがわからない

 

 俺の相手はヒソカとクラピカ、レオリオの誰かだ。

 クラピカとレオリオが最初に戦い、負けた方がヒソカ、その負けた方が俺と戦闘である。

 レオリオやクラピカのほうが地力は低いし、明らかにその二人が次の相手だろう。

 頼む、そうであってくれ……。

 キェェェェェェアァァァァァァヒソカアァァァァァ!

 

 クラピカとレオリオは、レオリオが負けを認めようとしてクラピカに気絶させられて、クラピカが負けを認めた。

 で、ヒソカとクラピカの試合だったが、何故かちょっと会話してヒソカが負けを認めた。

 こんなの反則だ。

 チーターやないか!

 ヒソカにチーターでヒーターやないか!ホッカホカやで!

 もう馬鹿!

 知らない!

 私の負けでいいわよ!

 

 速攻で負けを認めた。

 こんなんやってられるかよ!

 

 

 

 負け残りのため、俺が最後まで残ってしまった。

 対戦相手はキルアだった。

 兄貴がどうとかでネガティブバーストしてる、闇に生きる中二病キルアだ。

 ✝キルア・ゾルディック✝が相手になった。

 ゾルディックん家のニーサン!がこっち見てんだけど。

 あのくっそ可愛くない猫みたいな目でこっち見てんですけど!

 キルアがずぼっと俺の心臓を引き抜いていった。

 「ノータイムで殺りに来たか 迷いない覚悟!! やるね……」みたいな。

 「お、俺の心臓、返せ……」とかもサービスでくっ付けちゃう。

 キルアが目を逸らしたまま心臓を握りつぶした。

 「俺の心臓が!!」と叫んで転がる。

 頑張れ、頑張れ?と心臓を応援するが潰れたままである。

 まあ、そうなるよな。

 念が霧散して消えた。

 

 「ボクはこのままだと死ぬ……。頼むキルア、負けを認めてくれ……」と倒れながら懇願。

 ひゅーひゅーと苦しそうな呼吸音も追加。

 レオリオとかクラピカが悲壮な顔をしている。

 死にそうでごめん。

 キルアが負けを認めたので普通に立ち上がって「試合、さんきゅーでーす☆」と去っていく。

 いやー、今回は合格できて良かったぜー。

 打ち上げ何処にするー?

 

 

 

 何故か再びキルアがずぼっと俺の心臓を引き抜いていった。

 「ノータイムで殺りに来たか 迷いない覚悟!! やるね……」みたいな。

 キルアを投げ飛ばして一言。

 

 「辞めてよね、キルア程度に俺のハートを奪えるわけないじゃん」

 

 

 

 

 

 --33

 

 ライセンスとか貰ったので試験終了。

 説明会でゴンとキモネコゾルディックとの乱闘騒ぎはあったが俺には全く関係ないので無視した。

 ジョジョに電話で合格した旨を連絡すると、祝福の後に彼女と結婚すると告げられた。

 さっさと帰らなきゃ(使命感)

 

 ホームコードとかテキトーに交換して帰宅。

 ゾルディック家?

 行くわけねーじゃん。

 相手が未熟なゾルディック一人なら囲めばなんとかなりそうだが、さすがに家単位はちょっと……。

 歳とってる念使いとか、技術が円熟しててくっそ強いし。

 え、討ち入りじゃないの?

 それはそれでつまらなくない?

 何しに襲撃しに行くん?

 え、襲撃しないの?

 マジで何しに行くのか不明なんだけど(困惑)

 

 

 

 

 

 

 

 --34

 

 ジョジョを祝いにジョースター家を訪れた。

 SPWが相変わらず出会い頭に失礼なことを叫ぶが、彼の癖だと諦めた。

 結婚相手はエリナという綺麗な女性だった。

 まあ、俺は知らないんだけど。

 看護師らしく、ジョジョとディオの喧嘩の際に、凄まじい怪我を負っていたジョジョを治療したとか。

 ジョジョは全身に火傷、ディオは燃えながら銅像に突き刺されてザクーって感じらしい。

 なるほどなー。

 喧嘩するのはいいけど、後に響くような戦い方はよくないと思うわ。

 

 なんだかんだ言ってジョジョの結婚式にディオがいるし、やっぱり仲はいいんじゃないかな。

 「べ、別に祝いにきたわけじゃない。結婚式を壊しに来たんだからね!」(俺の脳内翻訳)という感じでツンデレっぽいことをディオが言っていたし。

 ジョジョを祝いに来たハンターたちとも言葉を交わす。

 しかし、何故俺とディオが近寄っただけで臨戦態勢を取るのか……。

 カイトとかいうハンターなんてあからさまに能力まで使ってきて呆れてしまうレベル。

 

 

 

 

 

 --35

 

 仕事である。

 人間が文化的に生きるために行う義務である。

 義務を果たす俺って大人だよな、とディオに問いかけるが「何を言ってるんだコイツは……」みたいな視線だけが返ってきた。

 わかってないディオは餓鬼だわ。

 もうジョジョもディオも21歳だろ、もっと仕事を熱心にしようぜ。

 逆らってきたダル、ダル、ダル……名前なんだっけ?

 ダルなんとかを捕食しながらディオに説教した。

 お、こいつが持ってる刀って神字が掘られてるんじゃんラッキー。

 

 ちなみに捕食の仕方が3パターンある。

 1つ目は相手をぶっ殺してエネルギーを奪うことだ。

 生物は生きているだけで目に見えないエネルギーを生産し、消費している。

 物を食べるだけで身体を動かせ、目に見えない小さな細胞もフル稼働しているほどなのだからどのくらい膨大なエネルギーかは言葉にするほどでもないというよりも、俺が理解していない。

 また、感情の発露によるエネルギーを発散する。

 恐怖だったり怒り、悲しみや喜びなどである。

 その中で死に向かっていく際に発するエネルギーは特上である。

 つまり死ぬことを理解させながら殺して引き裂くとエネルギーがかなり得られるのだ。

 あとは本が勝手に回収する。

 

 2つ目は死後を縛ることだ。

 念能力者や強い決意を持つ者にのみ有効な手段で、死者の念として本に縛るのだ。

 1つ目と違って、死んだ後もエネルギーを絞ることができる。

 本を近づけて、「死にたくないなら死後を奉げろよ(にっこり)」みたいな契約が必要となる。

 相手に本を近づける必要があるので弱点丸出しだが、とても効率が良く本も成長するから重宝している。

 そのうちG・Iでまたつまみ食いしたいものだ。

 多分増えてるだろうし。

 

 3つ目は練をすることだ。

 オーラをぶわぁっと生み出す技術なのだが、これをコップの水にやると念能力の系統ごとに結果が変わる。

 強化系は水が増え、放出系は水の色が変わる、みたいな。

 俺の場合は水が無くなる、というか吸収することができる。

 なので無防備な相手に練を叩きこむとエネルギーを吸収できるのだ。

 格下や弱っている相手にしか通用しないが。

 念能力者なら吸収しきれば絶にできるし、一般人なら衰弱していく。

 時間をかければ殺すこともできる。

 ただまあ、他2つと比べると吸収量が少ないのが欠点だろうか。

 毒で弱らせ、じっくり吸い取るのが何時もの使い方だ。

 

 

 

 で、ダルダルくんの仕事を本に縛……捕食した理由だが、雇い主の護衛部隊を作るから俺たちにもそれに入ってダルダルくんの命令に従えよって感じのことを言われたからだ。

 俺らの仕事は暗殺とかだから護衛はやりたくないんだ。

 きっぱり断ったら命令してきたから捕食した。

 マフィアで仕事すると短命になるよね、おお怖い怖い。

 

 別に依頼主のファミリーが壊滅しても一回分の報酬が流れるだけだから構わないんだよなぁ。

 ああ、でも10歳の姿を見て雇う物好きも少ないわけで。

 しょうがないから手伝おうじゃないか!

 やっべダルダルくん死んでるから手間かかるやん……。

 

 

 

 あーん!ダルダルくんが死んだ!

 ダルダルくんよいしょ護衛部隊&ダルダルくんF.Cつくろー!って思ってたのに……

 くすん……雑魚薄命だ……

 

 

 

 さて、馬鹿なことやってないで仕事やるべ。

 

 

 

 

 

 --36

 

 俺らの雇い主であるノストラードさんの娘、ネオン=ノストラードを護衛する部隊の人員集めのために一回試験やったんだけど、全滅しやがった。

 中にはプロハンターもいたのに、とんだ様である。

 ディオの闇討ちによる吸血で一撃死とかやる気あるのだろうかと疑ったが、無いから死んだのだろう。

 しょうがないね。

 

 ネオンのバカを相手にするのも怠いんだよなぁ。

 ほとんどは侍女が身の回りの世話をしているが、俺の容姿を気に入ったのか、隙あらば触れようとするのだ。

 天然の念能力者だから食いたくなるのだが、必死に俺もディオも自制して我慢しているというのに。

 もしかすると人体収集家という気狂いだから、俺のパーツを狙っているのかもしれん。

 危険な人物である。

 ちなみにディオは気持ち悪いらしく、近寄らせないようにしてと言われた。

 ディオ(笑)

 

 次の選考で護衛が集まらなかったら諦めてネオンを捕食してファミリーを後にしよう。

 なんて思った矢先にメンバーが集まってしまった。

 いや、別に集まらなければいいと思っていたわけではないが、好物を食べようとした直後に下げられると、ねえ?

 前から雇われていたプロやアマチュアのハンターに選考を任せたが、ぬる過ぎたのかもしれない。

 うーんやっぱり駄目な奴は駄目なんだよなぁ。

 

 しょうがないからこのまま行くけど。

 ネオンが所望する気持ちの悪いコレクションを見つけて来れたら本採用と告げたら、結構軽々とみんな集めてきた。

 マジかー……。

 

 

 

 以前から仕事していたプロとアマチュアのハンターがいるし、そっちはそっちで自由にやってと丸投げ。

 俺やディオは抗争とかに参加するから。

 ノストラード自体はそれほど規模が大きくないマフィアのファミリーだが、伝手を作るために抗争の応援に出たりするのだ。

 参加しても念能力者とかあんまりいないのだけど。

 アイスの当たり棒程度にはいるから、まあ、悪くないっちゃ悪くないのかもしれない。

 あんまりハンターを狙うとブラックリスト入りするかもしれないし。

 同胞狩ってはいけないよー、みたいなルールがあるけど、ばれなきゃいいんだが、ばればれはいけないからなぁ。

 

 

 

 

 

 --37

 

 ディオはノストラードのおっさんの護衛として本拠に置き去りにし、ネオンが望むオークションへ「乗り込めー^^」の予定だ。

 車中ではネオンに占いをさせる。

 俺を占って来ようとするが、占いはのーせんきゅー。

 しかも的中率が高いとか怖いし。

 いや、態と外せばいいらしいが、外したあとの結果がわかるわけでもないので知らない方がいいこともあるんだ。

 というか占いなんて気にするのも面倒だ。

 

 地下競売のオークション会場にネオンと構成員、護衛のメンバーを連れて乗り込む。

 特にオークションとしては山も落ちも無い。

 あ、オークションは中止になったから落ちはあるか。

 あとは参加者がガンガン死んだ程度。

 なんか襲撃された。

 襲撃犯からの攻撃は護衛部隊の連中を盾にし、チェシャ猫でワープしてネオンを連れてバックれたので特に問題は無かった。

 上質な餌っぽかったが、複数を相手にできるわけがないので逃げた。

 ソロだと無理だし。

 ただ、逃すのも悔しいのでディオを要請。

 今は夜だし、走って来てくれるだろうしそう時間はかからないはずだ。

 しかし、襲撃犯をどっかで見たことあった気がするんだが、何処だったかなぁ。

 

 

 

 クラピカが襲撃犯を一人捕縛したらしい。

 話を聞くとそいつは凄まじい練度の強化系だとか。

 極まっている強化系は苦手だなぁ……。

 俺の攻撃がほとんど通じないし、オーラが硬くて捕食しにくいし。

 車で移動しているらしい、とりあえず合流すると告げてチェシャ猫で連続ワープ。

 その辺にマフィアの構成員がいるから補給が簡単にできて有り難い。

 

 途中でディオと合流。

 無造作にオーラをばら撒いて周辺を探る円もどきでオーラが集まっている場所を捉えた。

 お待たせ☆とたどり着くとクラピカたちはおらず、襲撃犯と見知らぬ念能力者が集まっていた。

 なんか「本当に幻影旅団かよ。もろそうだぜ」って話をしていた。

 あ、旅団か。

 思い出した思い出した。

 真面目な話、旅団が複数人は無理。

 

 逃げようかと考えたが、旅団にばっちり狙いを定められてしまった。

 なんて不運なんだ。

 俺は悪いことしてないのに。

 ちなみに旅団以外の念能力者は陰獣とやらで、マフィアンコミュニティーが保有する最強の念能力者とかいうレッテルを持ってる連中だ。

 陰獣6人で旅団3人、俺とディオで旅団1人ならなんとか行ける……か?

 しかし、「もろそうだぜ」とか言ってる辺り最初に旅団と戦ったときのディオと一緒で油断しまくりなんだよなぁ。

 

 

 

 どうでもいいけど陰獣って響きが完全に18禁だよな。

 これ、旅団の女メンバーはらめぇぇぇって展開になるはず。

 胸が熱くなるな。

 身体は10歳だが、精神は結構歳いってるんだ、俺。

 わくわくする。

 

 

 

 

 

 --38

 

 髪の毛が赤紫っぽい旅団をチェシャ猫のワープで連れ去る。

 見た目が弱そうだった(率直)

 流石にこの華奢なフォルムで強化系はないっしょと油断してたら切り刻まれた。

 ちょ、ちょっとタンマ。

 やっぱり強すぎぃ。

 

 変化形のようでオーラを糸のように変化させているのだが、予想以上に強度がある。

 というか、俺の肉体が脆すぎるだけだ。

 オーラで防御しても刻まれる程度の俺の防御力、こんなん泣けてくるわ。

 距離を取られてオーラで攻撃された負けるに決まってるけど、体術を修めているので近距離戦なら余裕だから(強がり)

 ただまあ、糸で刻まれても致命傷を負うわけではないので、ちょっとしたオーラの消費で再生するからヤバいってほどでもない。

 勝負になるので問題なしだろう。

 問題は俺とディオは普通に刻まれているので、優勢に持っていけないことか。

 俺もディオも特質系だから真っ向勝負に弱くてもしょうがないね。

 しかし、ディオは真っ向勝負用の念能力なんだが……。

 完全に矛盾してるんだよなぁ。

 

 

 

 糸TUEEEE。

 

 ワープで距離を詰めて体術で相手のオーラを削るスタイル、といきたいが上手くいかん。

 俺のほうが体術の練度が高いことを察したのか、完全に念による糸で対処してきやがる。

 攻撃が届いても、俺の地力だと相手のオーラを貫通できるほどの威力が出ない。

 捨て身な戦い方が出来るので、オーラを集中させる『硬』で殴っているのに防がれるという現実。

 だから合気鉄扇によるカウンターで戦うのを好んでいるのだけど。

 

 ディオならば攻撃でダメージを与えられるが、糸で受けるダメージも半端ない。

 俺のように身体の大半が念で構成されていないので再生する場合はかなりオーラを消耗するのだ。

 途中でディオが俺の首筋に手刀を突き刺してオーラを補給するという蛮行にまで及びやがった。

 俺は弁当ではない(激おこ)

 相手も何か俺は人間じゃなくて補給用の念獣だと勘違いしているし。

 なんやこの戦況……。

 

 糸の強度が可笑しいんだよなぁ……。

 ディオなら力を込めれば引きちぎれるがちょっとした隙ができるし、俺では全く引きちぎれない。

 イライラしていたが、天恵を得る。

 変化形のオーラなら練で吸収できるんじゃね?みたいな。

 

 できたけど、めっちゃ効率悪い。

 吸収よりも消耗のほうが多いとかマジくそ。

 ワープしつつ切られながらヒットアンドアウェイしてたほうが強いわ、これ。

 

 

 

 ディオに戦線を任せる。

 本の貯蔵オーラを顧みて、ディオに補給を繰り返せば勝てるだろう。

 ただ、それは十分な時間があっての結果だ。

 「貰った!」とディオが手刀で旅団の腹を突き刺して吸血するも、油断したのか腕を糸でぶった切られてた。

 吸収した分は再生に使用したオーラでトントンだろう。

 俺なんてマイナスだから。

 マジで割に合わん。

 

 円もどきで遠くを探れば、陰獣どもが死にかけていた。

 弱すぎぃ……。

 コミュニティー最強の看板は誇大広告でしたね(ため息)

 陰獣を不意打ちしてオーラをパクって逃げるべきだった。

 旅団に囲まれたらガチで死んでしまう。

 いや、俺は死んだふりして本を地中に隠せば問題ないけど、メインアタッカーのディオが死ぬのは困る。

 撤退としよう。

 「死が怖くないか?」と問いかけてみる。

 怖いって答えたら捕食できる可能性があるし。

 鼻で笑われた。

 しかも質問で無駄に時間を食ったために続々と旅団が集まって来た。

 もうヤダ、俺旅団嫌いだわ。

 ワープでバックれた。

 

 

 

 

 

 

 --39

 

 ネオンの護衛部隊と合流する。

 しかし、旅団の強化系能力者を捕獲するとか気合入ってんなぁ。

 陰獣が全滅した相手なのに、無傷で捕獲するとか。

 ノストラードが最強の可能性が高い……?

 

 さて、阿呆なことをやってないで強化系能力者をどうするかだ。

 陰獣による毒で身動きは取れないらしい。

 あとはナニカされていたようだが不明っぽい。

 こいつをコミュニティーに明け渡せば報酬を貰えると言う話だが、金とかいらないしなぁ。

 捕食した方が数億倍は価値がある。

 クラピカは旅団と因縁があるらしいので好きなだけ拷問してもいいよ、と告げてみる。

 が、十数分ほどボコって飽きたようだ。

 旅団の能力を吐かせようとしていたが失敗していた。

 狩るためには情報が欲しい、気でも狂わせたいところだが今日は違う能力だ。

 残念だ。

 

 もういいか、処分しとくべ。

 ディオが勝手に吸血し始めていた。

 つまみ食いやめろよー、俺だって食いたいんだよー。

 みたいな。

 

 

 

 しょうがないから気絶するまでディオが吸血し、気絶したらじわじわと俺が捕食することに決定した。

 うーんこのレベルの能力者はやっぱ上質だわ。

 クラピカは旅団狙いのようだ。

 そして俺とディオも旅団狙いだ。

 頭数は必要だろう、仲良くしようぜ。

 

 

 

 

 

 --40

 

 オークションは続行。

 占いに死を暗示する文章があってどうとかこうとか。

 知らんがな。

 クラピカに、護衛としての仕事方針を聞かれたが知らねー。

 雇い主のライトさんに連絡して相談したらいいんじゃないかと電話番号を教える。

 

 ネオンのバカはオークションで直接物品を競り落としたいとか。

 めんどくさいので嫌だわ。

 嫌だけど仕事なんだよなぁ。

 何故仕事はこんなにも面倒なのか。

 そもそもハンターにもなって真面目に仕事するとか間違ってる気がしてきた。

 なんで俺はハンターになったのかという疑問すら湧いてきた。

 

 ファミリーが襲撃されて、片っ端から死にまくってるとか。

 旅団が強化系能力者を探しているのかもしれん。

 この世にいない相手をどうやって探すのかは知らんが。

 あ、死体でもいいから欲しいのかな。

 でも死体も無いんだよなぁ。

 残らず食べてすまんな、俺の本は食いしん坊なんだよ。

 死体が残ってても血液が全部吸われている悲惨な姿だったしな、そういうの見なくて済んだし、逆に良かったんじゃないか。

 やはり俺って優しいわ。

 

 

 

 駄々を捏ねるネオンのバカのために、俺が人身御供となる。

 見た目は10歳だけど中身は結構な歳だからね、俺。

 だから子供を相手にするような遊びはやめーや。

 ツラい。

 マジで仕事ってツラい。

 クラピカの憐れむような視線とディオの嗤いがツラい。

 

 

 

 

 

 --41

 

 翌日。

 今日も能力はチェシャ猫である。

 攻撃力か防御力があるキャラが良かったが、悪い能力でもないのでセーフだ。

 

 今日はネオンに帰るよう命令が出ている。

 が、命令を破るだろう。

 確実に。

 ネオン自身にワープポイントを設定しておこう。

 万が一撒かれてもすぐに追いつける。

 で、空港でネオンが脱走。

 護衛部隊の連中が役に立たなくて悲しい。

 戦闘能力があまり高くない上に一般人に撒かれる念能力者とか、ネタっしょ?

 あ、ヒソカスの糞ピエロも四次試験でゴンに奇襲されたっけか。

 ネオンが絶を極めている可能性が高い……?

 

 

 

 ネオンの傍にワープ。

 もうこの娘は馬鹿。

 ホンットに馬鹿。

 マフィアの要人なんて怨み嫉み買いまくりなのに、一人で外出するとか。

 もう馬鹿。

 あれだからね。

 捕まったら18禁で「らめえぇぇぇ!!」が最低ラインだから。

 そっから「くっ殺せ!!」とか「殺してぇぇぇ!」とか「私の内臓、世界中に散らばっちゃたよ……」みたいな話になるから。

 もうあれよ。

 ぬっちゃぬちゃのぐるぬちょですよ。

 人体改造とかされて、占いを吐き出す機械になるわけで。

 もうホントに馬鹿。

 馬鹿=ネオンってレベルで馬鹿。

 

 説教しながらディオがすでに待機している車に乗り込む。

 嫌がるネオンを引き摺り込むディオ。

 完全に誘拐か何かだ。

 

 オークション会場まで向かう。

 競売をやらせたら満足するだろ。

 バカ娘の相手は疲れるわ。

 途中でノストラードさんから電話があり、旅団を暗殺するチームを組むらしい。

 競売があるのでクラピカを推薦しておいた。

 

 

 

 

 

 --42

 

 一応会場周辺を円もどきで探った結果、旅団クラスの人物を発見。

 さっさと逃走を選択。

 が、円もどきが相手に触れた段階で、相手にもバレたようだ。

 なるべく穏便にスルーして逃げようとすると、会場から遠ざかる車に訝しんだネオンが頭を出した。

 それを見て追っ掛けてきやがった。

 車で逃げ切れるか不明である。

 日が沈んでいないのでディオは外に出るわけにいかん。

 しょうがないので俺が遅滞戦を請け負うことになった。

 

 車の運転手にさっさと行けと命令。

 道路が混んでるとかどうでもいいことを言ってきた。

 こいつ馬鹿だなぁ。

 

 歩道が空いてるだろ、行け。

 

 

 

 

 

 --43

 

 ちょっと死んで来る、と車から飛び出し、旅団クラスのオーラで追いかけてきた男と対峙する。

 意識は車に割かれているようだが、こちらへの警戒も薄れていない。

 額に包帯を巻いているようだが、怪我でもしているのだろうか。

 頭とか割れてて瀕死だったら嬉しいんだけど。

 

 男の右手には黒い本が握られている。

 俺と似たような能力者……とは限らないか。

 わからんち。

 一息で距離を詰めて拳を振るう。

 が、カウンターの要領でやり返されて俺の腕が捥げ、そのまま地に伏した。

 秘儀・死んだフリである。

 

 さっさと車を追えばいいものを、何故か俺を検分し出した。

 マフィアに雇われている俺とディオの情報を持っているようだ。

 俺の不死性を知っているのか、警戒しているオーラを感じる。

 うぜぇぇぇぇ。

 頼むからさっさとどっか行って消えてください。

 

 

 

 電話であった暗殺者チームが集まっているのか、ここら一帯の空気が変化した。

 それを察した旅団の男が少しだけ、俺から警戒を逸らした。

 その隙に絶をしながらワープですぐ傍の下水道へと逃げ込む。

 

 屈辱だ。

 ここまでの屈辱があっただろうか。

 下水道で汚れようとも問題の無い体だ。

 すぐに汚れも落ちる。

 だが、煮えくり返るような苛立ちが無くなるわけではない。

 

 俺の思い通りにならない奴は死ねばいいんだ。

 

 

 

 

 

 --44

 

 雇い主のノストラードさんとクラピカの二人と合流。

 旅団が来てて一戦交えたとだけ伝える。

 嘘は言ってない。

 並みの暗殺者だと無理だとは思うが、面子の問題で集まらなければならないとか。

 うわーめんどくせぇ。

 

 遅れてネオンを抱えたディオも闇夜を縫って現れた。

 さっきまで乗ってた車は潰されたんじゃないかな。

 マフィアによってか旅団の男によってかは不明だけど。

 まあ、歩道を爆走して検問に突撃するような危険な車だからしょうがないね。

 

 

 

 涙目で駄々を捏ねるネオンを引き連れて暗殺者たちのお茶会☆場所へ。

 集まっていた暗殺者だが、くっそ弱い。

 え、マジで。

 マジでこれで旅団とやんの?

 これだと旅団相手にツイスターゲームで勝てるかなってレベルなんだけど。

 うーんこのクソゲー感。

 帰りたい。

 ノストラードのおっさんが嫌いなのか、ゼンジってハゲが喧嘩を売ってきた。

 優しい俺はネオンにゼンジのおっさんを占ってもらってあげた。

 ハンターライセンスって便利だよな。

 テキトーな店で使えば、ライセンス狙いのちょっとした練度の念能力者が「僕を食べてー!」とばかりに集まるし。

 ちょっと有名な人物なら小金を払えば情報が得られる。

 いい時代だわぁ。

 

 的中率100%と今話題の占いで、ゼンジのおっさんの今後を丸裸。

 普段だったら数億から数十億と金がかかるのにタダという奇跡である。

 まあ、代わりにおっさんには見せないで俺だけが見るんだけどね。

 タダなんだからしょうがないね。

 「運勢は……ふーん? ……え? ええぇ!!」みたいな。

 で、養豚場に送られる豚を見る目を向けてフィニッシュ。

 青褪めたおっさんは何か言いたそうだったけど、占いとか馬鹿にしてたから読まなくていいよね。

 金を払うとか言ってたけど、ノストラードさんとこ馬鹿にしたやん。

 

 おら、命が惜しければ土下座しろよ。

 

 

 

 

 

 --45

 

 ゼンジのハゲは土下座しなかった。

 青褪めた顔のまま汗を垂らし、無言で床を見つめていた。

 俺なら自分の命のためにプライドなんて投げ捨てるけどね、と告げる。

 おっさんはハッとした顔をして何か言おうとしていたが、暗殺者の二人が部屋に入ってきたので話を打ち切った。

 

 入ってきた二人を見ての感想としては「うわぁ、ゾルディックやんけ……。もう帰って寝たい」である。

 ディオの顔が引き攣っていた。

 多分俺も引き攣っているだろう。

 クラピカが変な顔をしていたが、こいつらの強さを知らんだろうからしょうがない。

 以前、旅団を暗殺しに行ったら横から掻っ攫われたのを思い出した。

 まあ、俺らでいっぱいいっぱいな感じの相手をちょちょっと念能力を使ってぶっ殺すレベル。

 今回の仕事は全部ゾルディックに任せればいいんじゃないかな(マジトーン)

 

 集められた人員が連携を取るために、互いを色で呼ぼうとか言い出した。

 え、ごっこ遊びとか正気かよ。

 やべー。

 こいつら思った以上にやべー。

 レッドとかブルーとか志願している。

 マジだ。

 マジなんだ。

 俺はどうしたらいいんだ。

 とりあえずファルコンブラックを志願。

 一体何色だというんだ、ファルコンブラック……。

 ゾルディックさん家は「まるで遊びじゃな」とかあきれ顔だ。

 おまえらあんまり遊んでると虐殺されんぞ(迫真)

 

 その後は「俺たち、ズッ友じゃないから連携取るの無理っしょ……」→「個々人でやるぞなもし!」ってことになった。

 有り難い話だ。

 俺はあまり率先して動かず、消耗したところを狙う感じでいこうかなって。

 旅団は俺と相性が悪い能力者ばっかでツラい……。

 

 

 

 傭兵崩れみたいな人が外の監視カメラを見て、「おそろしく速い居合い、俺じゃなきゃ見逃しちゃうね」と呟いて去っていった。

 いってらっしゃい。

 出来るだけ相手を削ってくれたら俺は横から美味しく戴けると思うので、頑張って欲しい。

 

 マフィアの構成員がガンガン死んでいく。

 ちょっと散歩しただけでも本に貯蔵できそうなくらい死んでる。

 暇だし散歩すんべか……と悩んでいたら、ゾルディックが動き出した。

 確かゾルディックは死体にあまり興味なかった気がする。

 横から旅団のオーラをハイエナする感じで行こうじゃないか。

 

 帰ってきたディオにゾルディックの後を追い、横から弱った旅団を掻っ攫うプランを伝える。

 ノリノリである。

 やっぱ旅団は美味いからな。

 ちなみに何処に行ってたのか聞いたら、外につまみ食いに行ってたとか。

 うわ、ずりー。

 俺が真面目に仕事をしている横で吸血作業とかマジで畜生だろ。

 犬の糞にも劣るゲロ以下の臭いがぷんぷんするわ、こいつ。

 

 

 

 

 

 --46

 

 旅団の男とゾルディックとの戦闘を観察した結果、念能力を出し入れする技巧派タイプと予想。

 力はそれほど無いようだ。

 また、ゾルディックさん家の会話と立ち振る舞いから念能力を奪う能力であることも看破。

 いくつかの工程をクリアしなければ能力を奪えず、能力を出し入れするには本を片手に持つのが必須のようだ。

 つまり、相手が能力を使う場合は片手が埋まるわけで。

 体術レベルは非常に高く、ディオを上回っているようだが俺のほうが練度は高い。

 もうちょい削ってくれたら二対一で必勝か。

 

 ……なんて期待してたらゾルディック、旅団の男を見逃す。

 うわー、期待を裏切られたー。

 もう食べる気満々だったからショックはでかい。

 瓦礫の山の中で大の字になって寝転がっている旅団に襲撃をかけるくらい、ショックだった。

 ナイフを使っていた様子から力に自信があるようなタイプでもない。

 また、初撃を当てた際、防御の出力的に具現か操作、特質って感じだろうか。

 本を出し入れしていたし、手元に引き寄せたりする能力では無いようなので操作は除外。

 具現か特質か……まあ、どっちでもいいだろう。

 初撃を当てた際に、チェシャ猫によるワープ点として旅団の男を設定。

 さあ、退路は無いから大人しく食われろ。

 

 

 

 相手は変な能力が多い。

 変というか、念らしい奇妙な効果のある能力というか。

 まあ、大体は自分で手足を千切ったり、自殺してリスポーンすることで回避したけど。

 変なマントに捉えられたときはなかなか

 

 旅団の男が何時の間にかナイフを握っていた。

 ゾルディックを斬ってたやつだわ、あれ。

 近接戦闘は得意だからな、むしろナイフで来てくれてありがとうってレベルだ。

 ディオとスイッチし、俺が前衛になる。

 目からビームのように高圧で液体を放てるからディオは後衛もできる、気がする。

 

 そろそろ弱点、というか本が本体だと気付かれるかもしれん。

 ここらで必殺といきたいところだが……。

 纏っているオーラの分布から、弱所を硬で叩きたいのだが、無駄に練度が高いなぁ。

 淀みなく全身を覆っているのが見て取れる。

 うぜー。

 だから旅団は嫌いだ。

 隙も可愛げも全くない。

 

 掌底を放つが、俺の『硬』よりも相手の『堅』のほうが硬いという不具合。

 俺の形を保てる限界までオーラを全身に乗せまくっているが、やはり地力の差がでかい。

 鉄扇でじわじわと削るべきだった。

 ナイフでズバッて切られた。

 うわ、やべー。

 毒じゃん。

 ゾルディックも傷口から血を噴出させてたし、毒を塗ってやがった。

 なんてえげつない奴なんだ。

 毒を使うとかマジでサイテーだ。

 切られた箇所は腕だったが、さすがに毒が回ったらヤバい。

 腕を千切らないと、と準備してたらディオに半身を捥がれて吸血された。

 ああもうオーラを持っていきすぎぃ。

 

 

 

 相手の戦い方がまどろっこしくてイライラする。

 あまり慣れない放出なども使っているし、ディオに補給装置として使われているから浪費が半端ない。

 まるで時間稼ぎのような……ああ、もう!

 他の暗殺者で戦線を維持できてるとは全く思えない。

 応援が来そうだわ、これ。

 必殺しておきたいが、ここに留まっていると確殺されそうだ。

 

 さっさと逃げないと不味そうだ。

 問題はチェシャ猫のワープは遮蔽物が無ければ1kmまでワープ可能である。

 つまり遮蔽物が存在しているとワープが制限されるのだ。

 そして今は地下である。

 ヤバい。

 とはいえ後ろから追撃して来ようとする旅団の男は問題ない。

 出口と壁際をワープポイントにしたので勝手に無限ループしてくれる……壁砕いてきやがった。

 常識が足りない野郎だ。

 だが、地上まで上がればランダムにワープして脱出完了だ。

 

 問題が生じてしまったのが不運というかなんというか。

 旅団に挟まれた。

 会話の感じだと続々と集まってきそうだし。

 向かう先の扉が閉まっていて、応援に来た旅団の男が陣取っているのでワープを使っても扉をどうにかするワンアクションが必要だ。

 地下への逃げ道は開いているのでワープポイントに設定しているので問題ないが、袋小路になってしまう。

 つ、詰んだ……?

 

 

 

 

 

 --47

 

 一回、地下に戻ってから旅団が追いかけてくるのを無視して天井を砕き、空いた空間に向けてワープし、また天井を砕く……を繰り返して地上階に出たら、ノストラードさんの父親と娘を回収してバックれた。

 チートですまんな。

 今回はなんか調子が悪いんだよなぁ。

 必殺だと思ったのに、まさか逃げる必要があるとは。

 途中でクラピカを回収しつつ、ほとぼりが冷めるのを待つ。

 いっぱい死んでるから散歩すると本に溜まるが、浪費分は取り返せなかったわけで。

 悲しい……。

 

 事後報告で十老頭が旅団を殲滅したと聞いた。

 え、嘘っしょ。

 死体を見に行ったが、うーん……。

 クラピカに意見を聞くが、どうも死体は偽物らしい。

 なるほどなー。

 じゃあ、もう一回頑張っていこうか。

 

 俺の弱点を知っている奴は殺さないといけない、そうだろう?

 

 クラピカにはヒソカスという糞ピエロが味方しているようだ。

 ヒソカスは旅団の内通者として暗躍しているらしい、つまりそれを利用すれば一人ずつ削っていける可能性があるということだ。

 蜘蛛を自称しているのだし、一本一本足を捥いであげようじゃないか。

 

 

 

 

 

 

 

 




――

オリ主
ジャポンあたりが出身地。
絵本の世界を現実に呼び寄せようと日々邁進。
そのうち複数同時召喚とかやってくれるに違いない。
死に瀕した少女をアリスと名付けて魂を絵本に縛り付けるとかやる予定。
ポスト黒おじさん。

念能力:泡沫の現実の形(ワンダーランド)
系統は不明。メモリを極振りした能力である。念能力を新たに作り出すことはできない。
魂を奉げた絵本を媒介として発動する。
媒介に綴られた主要なキャラクターを現実に呼び出すことができる。

制約
・絵本から1m以上離れることができない。
・毎日1体、キャラクターが出てくる。
・出てきてから24時間を過ぎるまで、キャラクターを戻すことは出来ない。
・キャラクターが破壊されると、24時間過ぎるまで絶となる。
・絵本が破壊されると死亡する。

――


――

能力・チェシャ猫
1. 1m以上離れることはできない。
2. 1kmまでの任意の2点間を繋げることができる。
3. 1kmまでの任意の2点の内の1点へと移動することができる。
4. 使用したオーラは本の潜在容量から引かれる。オーラが引けなくなった際、本諸共消滅する。
5. チェシャ猫が破壊されると能力者は24時間『絶』の状態になる。強度は本の持ち主と同等。
6. 本が砕かれると能力者は死亡する。
7. 能力によって本から現れるキャラクターは能力者と同様の強度を持つ。

――


 
 


一次試験:SAO
その後、茅場さんは死者の念となって世界中でデスゲームを繰り広げ、キリトさんと追いかけっこをする仲になる。

二次試験:バイオハザード
暗黒大陸から流れ着いた未知のウイルスが拡散。ちょうどいいとばかりに試験に導入された。

三次試験:アイスクライマー
野菜とか落ちてる。

四次試験:ビスケ
ビスケのドキドキ☆荷運びゲーム

二次試験と四次試験で凄まじい被害者が……。


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