実験室のフラスコ(2L)   作:にえる

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サモンナイト2(完)


まったりさもんないと3

2-1

 

 

 --1

 

 予てからの計画通りシルターン自治区で数日ほど滞在することになった。

 テイラーも復帰したようだ。

 というか、もう出たとこ勝負だと腹を括ったとか。

 無色のオルドレイク派閥、蒼の派閥、金の派閥が争っていただけだと言うのに面白いやつである。

 サイジェントがある聖王国ってよく考えたら召喚術師のメッカか。

 うーん。

 お祭りだったのかな?みたいな。

 

 そんな感じでテイラーも復活したので観光でもして来ようかと思ったのだが、双子がべったり張り付いて離れない。

 おおう、めっちゃ可愛い。

 もう大丈夫だ、しかも二人のおかげで左手も動くようになったとアピール。

 おー、と感嘆の声を挙げながら左手をぐにぐにと弄ばれる。

 

 

 

 よし、と外へ。

 お店の人が凄い丁寧に見送ってくれた。

 テイラーはかなりいい宿を選んだのかもしれない、ブルジョアだなぁ。

 ただ、従業員が総出っぽいのが、どうなの?

 

 双子はやっぱり張り付いたままなんだよなぁ。

 いいけどね。

 リシェルとルシアンは後ろでイスラとポムニットと遊んでいる。

 イスラに遊ばれている、が正しいかも。

 中華風と和風の融合を果たしたシルターン自治区を見て回る。

 

 イスラがリシェルを持ち上げているが、半透明ではないのでリシェルも強気だ。

 実体化しているのに魔力が減った気がしない。

 俺の魔力量もアップしたからだろうかと思ったが、全然そんなことはなかった。

 サプレスの守護者に就いたらしい、イスラが。

 結界を張り直したのに欠番は不味いとかで、エルゴ的なパワーが任命してきたとかいう話だ。

 イスラはサプレスに行った事すら無いけどいいのだろうか。

 まあいいか。

 強ければいいんでしょ、どうせ。

 

 メイトルパも空いてたはず(チラッ)

 誓約者組が守護者代わりの竜を張っ倒して、刀を使っててすぐに気絶した、えーと……、まあ、高校生が守護者をやってたとか。

 で、日本に帰ったから空いているのだ。

 なるほどなー(チラッチラッ)

 俺がなってあげてもいいんだぜ?

 空気中のメイトルパのマナが唸って拒否された。

 えー?

 俺、マジで強いよ。

 守護者になって大型の『門』を用意できればメイトルパに乗り込めるかも。

 冗談のつもりだったがメイトルパ系のマナが枯渇した。

 

 何故かメイトルパと相性が悪いんだよなぁ。

 

 

 

 栄えている通りに出ると、多くの出店や商店で賑わっていた。

 活気があって楽しくなる。

 住人も元気なのか、見知らぬシルターン系の人たちとすれ違う度に、その人たちはテンションが上がりまくっていた。

 焦がした醤油の匂いや団子の甘い匂いなどが漂っていて、色々と食べたくなってくる。

 

 食欲?

 あるよ。

 食わなくてもマナが在れば問題なさそうだが、人間の欲求もめっちゃある。

 性欲もあります。

 シルターン系で彼女できないかな。

 和服とかチャイナドレスっぽいのとか超可愛いよね。

 まあ、子持ちだし、イスラとポムニットがいるから難しそうだけど。

 

 

 

 ナンパどころじゃない(迫真)

 歩くとシルターンの年寄りの方々に囲まれ、何故か拝まれる。

 若い世代も何故かキラキラ目でほわぁー状態。

 おっさんにも「ほわぁー(お目目キラキラ)」されるとか誰得だよ。

 首の据わってない幼児を抱えた親御さんが、子供の頭を撫でてほしいと列を成してる。

 なんやこれぇ……。

 

 次々と「龍神様ー!」と声をかけられる。

 良くわからないが、ちょっと引き攣った笑みとともに軽く手を振って返す。

 表情が引きつったのはあれだな、島を出ることになったときくらいである。

 シルターン、やるじゃん(?)

 俺の返礼に黄色い歓声が其処彼処から溢れる。

 アイドルになった気分だ。

 

 あ、でもこれはナンパできないな。

 大人も子供も老人も、憧れの視線がヤバい。

 夢を壊すのは、ちょっと、ねえ?

 簡単に女の子を引っ掛けられそうだけど、それはなんか違う。

 心が満たされない感じがする。

 

 げんなりしている俺に、イスラが「竜っぽくなったせいじゃないか」と告げてきた。

 あー、至竜か……。

 でもあれは魔力と気を解放しないと纏えないし、魔剣を使わない状態ならそもそも成ったら浪費が激しいから無意味だ。

 もう天元突破してお経とか唱えてる老人に話を聞く。

 て、天国のおばあさんに言葉をかけてほしい?

 死後もいった事あるけどかなり良い所だったから楽しんで頑張ってね、みたいな。

 老人が感極まったのか、号泣し始めた。

 えぇー……。

 話を聞くのも困難とか……。

 

 

 

 根気よく話しかけ、喜びの失神者を続出させながらなんとか情報を集めた。

 シルターンのカリスマである龍気が駄々漏れだとか。

 神々しくて雄々しいとかなんとか。

 龍人もいるけど、まろみ出る至高感がヤバいようだ。

 シルターンでもお目にかかれない究極完全体グレート龍神様らしい。

 ハヤトが召還しようとした鬼神を消滅させようとしたから、どっちかというと敵対的な、いや、なんでもないです。

 キラキラお目目は俺に効く……。

 そういえばサイジェントにいたシルターンの守護者が目をキラキラさせてたのは……いや、勝手な予想はやめやめ。

 

 もうあれだ。

 諦めた。

 住人たちの成すが儘である。

 サービスで魂殻まで纏っちゃう。

 力強い赤と高貴な龍気の彩りが美しすぎるとかで、数少ない龍人連中が鼻血を吹いて倒れた。

 お、おう……。

 貴族的なポジションなのに、竜に対してHENTAI過ぎない?

 

 食べ物のみならず、店頭の商品を渡される。

 というか、献上に近い。

 いや、気を遣わなくてもいいし。

 お、お金払うよ。

 ほら……「このバーム通貨、我が家の家宝にします!」って叫んでなんで失神するねん(白目)

 

 

 

 まあ、そんな感じでシルターンからの熱い歓迎に晒される。

 ちやほやされる経験とか全く無かったから戸惑うけど嬉しい気もする。

 和食と中華があるし、衣食住も馴染めるからシルターン自治区もいいなぁ。

 なんて呟くと、双子が必死にトレイユの良い所をアピールしてくる。

 ちょっとした冗談なのに可愛い。

 

 ケンタロウには勿体ないから、俺の子供になってほしいくらいだ。

 ……いや、そんな壊れた玩具みたいに何度も首を上下されるとケンタロウが可愛そうだからね。

 「お母さんだよー」

 イスラは母親じゃない、そもそも性別がわからん。

 「ま……ママです、よ?」

 恥かしいならポムニットもやらなければいいのに。

 

 双子も流れに乗りたいのか、何故かアピールしてきた。

 ライはまだ7歳だからなー、男だから結婚できないかなー。

 フェアはまだ7歳だからなー、そのうちいい人見つかるから気が早すぎるかなー。

 リシェルは父親よりも優れた召喚術師になりたいのかー、おう頑張れよー。

 ルシアンは騎士になりたいのかー、夢をかなえようとすることに悪いことなんてないさー。

 

 

 

 

 

 --2

 

 土産をこんもりと貰って宿に戻る。

 宿の人員が総出で迎えてくれた。

 いや、そんなにしなくても良いんだけど。

 

 他の宿泊客も、シルターン系だとすれ違うと「ほわぁー(じゅんっ)」みたいな感じだった。

 シルターン以外の客からは「なんだあいつ、なんかやべー」みたいな感じで避けられた。

 (ヤバいやつじゃ)ないです。

 

 そろそろシルターン自治区で信仰されそうだと宿で寛いでいたテイラーに知らせる。

 頭を抱えていた。

 当然だが、俺は悪くない。

 シルターン自治区の住人も同様。

 原因は……至竜に至ったのは誓約者どものせいだし、全部ハヤトが悪くない?(真顔)

 

 

 

 部屋で子供たちの相手をしていたら、外が騒がしくなった。

 何かな、と窓から顔を出す。

 複数もの豪華な神輿が、宿の外のすぐそばの通りを練り歩いていた。

 

 あーうん。

 うーん……。

 ……。

 サービス精神旺盛で龍神様は大喜びだと小さく手を振る。

 

 「ほわぁぁぁぁ!!」と盛り上がっていた。

 あーうん。

 た、楽しそうでいいね。

 

 

 

 空中にマナで「仕事優先、迷惑をかけないように」という文字とともに終了時間も書く。

 龍神様じゃないと悟って散ってくれないかと期待を込めて日本語も書いてみた。

 外は「りゅ、龍語だぁぁぁぁ!(じょぼぼぼ)」となっていた。

 ……騒げればなんでも良いとかか?

 

 

 

 

 

 --3

 

 外のお祭り騒ぎは指定した時間通りに解散した。

 気づいたら静かになっていたが、ちょっと寂しいような、安心したような、そんな感じだ。

 物凄い気合の入った夕食に舌鼓を打ち、温泉に突撃。

 広い浴場には誰もいなかった。

 龍神様と入るのは畏れ多いから残り湯に入りたい的なサムシングらしい。

 訓練されたHENTAIすぎぃ!

 

 

 

 風呂を出て、寝る準備。

 ずっとべったりだった双子もナチュラルに俺の布団に入ってきた。

 両隣に敷いてある布団もリシェルやルシアンが入った。

 姉弟は別室で寝る両親と寝なくていいのだろうか。

 それを見てたイスラがにやにやと「ちぇー」とか言いながら離れた布団へ入った。

 ポムニットも同じようだった。

 

 

 

 まだ眠れそうにない様子の子供たちに話をせがまれた。

 寝物語にケンタロウの修行の話でもしてみようか。

 俺が召還された島から船で旅に出て、久しぶりに陸に降りたときに拾った。

 マジで。

 

 役に立たないと召喚術師にボコられているところを何となく助けた。

 で、召喚術師は無色の……あー、悪い召喚術師だったからボコって憲兵に引き渡した。

 送還しようとしたが、複数の召喚術師による契約をされていたので戻れなくなった。

 面倒なので憲兵に任せて放置しようとしたら、何故か着いてきた。

 言葉遣いも悪いし態度も悪い、DQNの板前見習いじゃないかと……いや、なんでもない。

 まあ、無理に着いて来るし、武器の使い方を教えろと言ってきたので、同郷が目の前で死なれても可哀そうだからイスラと二人で修行してやったわけよ。

 

 ひたすら木刀でボコしてストラで回復、実戦経験を組ませるために気絶したまま無色……悪い召喚術師の集団と戦っているところに放置したり、寝ている最中に野良の召喚獣に襲われるようにしたり、筋力とストラを鍛えるために崖から落としたり、マナ操作を覚えさせるために滝を割れるまで滝壺に放置したり、雪山でダッシュして遭難させたり、召喚術を練習させたり、暴発させて異次元に行ったり、ビームを斬れるまでビームを放ったり、銃弾への対策を覚えるまで銃で撃ったり、体術を覚えるために無限コンボを喰らって波動拳に吹っ飛ばされたり、色々だ。

 その後も悪い召喚術師と山間でゲリラ戦をやらせたり、素手で複数の野良召喚獣と戦わせ、トレイユで補給したらライとフェアの母親に一目ぼれし、母親を狙っていた悪い召喚術師を倒し、最後に下剋上を狙ってきたのでボコして別れた。

 物覚えが悪くて死なないようになるまで長かったのも昨日のことのように……全然おぼえてねぇ。

 ライとフェアが可愛すぎてケンタロウの記憶がもうないです(目逸らし)

 

 

 

 あの人にもそんな時代が……!と興味津津に双子も聞いていた、話が終わる頃には眠っていた。

 【悲報】ケンタロウパパ、あの人扱い【残当】

 父親の威厳とかもう枯渇してますな。

 元からあったか不明だけど。

 もう子供放置して何年目だよ(げんなり)

 

 育児放棄ってレベルじゃない。

 そもそも病気の末娘だけ連れて宛のない旅に出るとか自由すぎぃ……。

 一人旅で医者を見つけたら迎えに行く感じでいいのに。

 走ればすぐだろうし。

 

 

 

 イスラとポムニットは俺の話も興味があるとか。

 名もなき世界から来たというのは知っているが、そこでの生活はどんな感じだったかと。

 うーん?

 ファンタジー小説でよくある感じで日本を説明したので省略。

 そこら辺は転移系のラノベで参照してね。

 

 あとは曾祖母が好きで物凄い懐いていた。

 絵を褒めてくれたから一生懸命描いた記憶がある。

 まあ、もう亡くなってるけど。

 一緒に絵も描かなくなったなぁ。

 曾祖母に頼まれて同い年の従兄と過ごしていたが、高校を卒業とともに進路が別になった。

 で、島のランダム召喚装置でリィンバウムに来た。

 

 召喚されたのはいいけど、野良の召喚獣と出会ったわけで。

 まあ、そこで必死に戦って勝ったのが良くなかった。

 勝たないと死んでたかもしれないが、まあ、そこを考えるのは無しで。

 島の集落に身を寄せることができたが、召喚獣しかいない島の集落だから人間はあまり扱いが良くなかった。

 同郷の爺さんもいたが、集落でのポジションを持ってたし。

 無職の俺は頑張って出来ることを探し、気付いてしまったのだ。

 召喚獣を一狩りいけばいいじゃん!みたいな。

 

 そのまま勝てるから調子に乗ったんだな。

 野良の召喚獣の群れに突撃した。

 そして死に掛けた。

 剣の腕はそんなに上手じゃなかった記憶がある。

 

 ぼろぼろの身体でラトリクスというロレイラルの機械群が集まっている集落で治療してもらって、また突撃した。

 もう回復と治療の繰り返し。

 1日で5回くらい治療したけど、1回は必ず死に掛けた。

 もうマジでヤバかった。

 「力が入らん、身体も寒くなってきた……。あー、死んじゃうなー。日本に帰りたかった……」って悟りの感じでは無い、これは血とか出てたり骨が折れてたり内臓が傷ついても余裕がある。

 マジでヤバいのは感覚が無くなっているのに感情が荒ぶって「嫌だ!まだ死にたくねぇ!(必死)」みたいな感じになる。

 この時は頭がい骨とか首や背骨が折れてたり罅が入っててヤバかった。

 

 でもマジで死に掛けると火事場の馬鹿力というのだろうか、魂レベルで身体が必死になるのか動きが良くなる。

 剣を使うのが下手だったので、死に掛けることで底上げする的な。

 生き汚さを力に変える的な。

 そこから勝つと楽しくなるんだよ、俺はまだまだ強くなるって。

 まあそれで100回くらいマジやべー死んじゃうってレベルで戦ってたら、何故かずっと生きてて凄い剣がうまくなってた。

 あと超強くなった。

 

 100回くらい死に掛けるのって難しくて、後半は不眠不休で野良召喚獣とバトルしたり、海に潜ったり地中で戦ったりした。

 定住できる場所は決まって無かったから、森で寝てたら不意打ちで死に掛けたりとか。

 飯が無いからテキトーに拾い食いしたら毒ったりとか。

 

 流石に死に過ぎてやべーって話になったのかクノンという看護用機械人形(フラーゼン)が俺のバイタルを確認するようになって……クノン……。

 ああ、いや、で、このままだと憎い人間と同じになるとかどうとかで、ラトリクスで暮らせるようになった。

 

 その後に召喚術というものを見つけ、使ったら森の一部が消しとんだ。

 強すぎたので、海で各属性の召喚術を、各集落の代表者とともに使った。

 ら、海がマジで消し飛んだり、生物が死にまくったりした。

 何故か各集落に寝床ができた。

 

 あまり戦わなくてもいいし、召喚術はなるべく使わないようにと言われたので、各集落の仕事を手伝って過ごした。

 果樹園の世話とかでルシャナの妖精のマルルゥ……あー……。

 マルルゥと仲良くなって、一緒に行動とかして、なんか海賊とか来て、(省略)、最期にアティ先生とガチの殺し合いして島を出た的な。

 

 

 

 何度考えても今は穏やかな生活で素敵だなぁ。

 

 

 

 イスラとポムニットの表情が引きつってた。

 わかる。

 武器を使ったことがない心優しい俺が戦うツラさを悟ったんだろう?

 でも慣れると楽しかったわ。

 特に悩みとか無いし。

 あっても「し、死ぬのか? 俺が……!?」みたいな悩みだけだし。

 集落に住む前も後も難は特になかった。

 あ、でもせっかくだから慰めてもいいのよ?

 

 

 

 

 

 

 

 --4

 

 やっぱトレイユが落ち着くわ。

 俺を一目見ようと旅して町に立ち寄るシルターン系の旅人に崇められるくらいだ。

 最近はシルターン自治区で貰った和服しか着てない。

 召喚された時に来てた服は野良召喚獣を一狩りしまくってたときに消滅したし。

 ちなみに一狩りとはちょっとした狩りであることとソロハンティングを掛けた、切なさと小粋さが混ざったジョークだ。

 

 シルターン自治区で貰ったテキトーな和服に、ライとフェアが愛用しているやつと同じデザインの前掛けをし、イスラの腕飾りを付けるという装飾過多状態。

 頭が空いてますね、とポムニットが繕ったらしい、動物の編みぐるみが縫い込まれた帽子を乗せられた。

 ……異世界でもここまでファンキーな人物はいないっしょ(震え声)

 これで赤く輝く魔剣と透明な魔剣を振り回すからリィンバウムは恐ろしい。

 楽園じゃなくなったのも理解できるね!

 

 

 

 ロレイラルの知識もグレードアップしたので、露天での売り物の品がパワーアップしたぞ!

 相変わらず売れないけど。

 むしろネタとして作った、俺の魔力を結晶化させて魔剣で彫像した「飛翼の牙」というアクセサリーのほうが売れる。

 あんまり来られても困るから一日一個限定にしているのに、シルターン系の旅人が歓喜の声とともに買っていく。

 

 周りの商人からシルターンで有名な超凄い曲芸師だと思われるようになった。

 結局曲芸扱いである。

 シルターン系の人は、世を忍ぶ仮の姿(お目目キラキラ)みたいに思っているようだ。

 いえ、素です。

 この世界に来て初めて知ったのだが、変な悪意を持っている相手よりも、純度100%の信頼を浴びせられる方がツラい。

 変な話だが、手を振るのとか物を貰うのとか慣れてきた。

 

 ちなみにシルターン系を除くとセクター先生固定状態。

 むしろ注文リストを書いてもらって、直してお金貰ったほうが楽じゃないかと気付いた。

 パーツがあれば直せそうな部品は、町の外から来た行商を待ったり、他の町に行ったときに漁る感じだ。

 

 

 

 

 

 --5

 

 ポムニットがテイラー邸で働くことにしたらしい。

 頑張ります!と気合を入れていた。

 えー?

 超心配なんですけどー。

 俺も働いてもいいのよ?(チラッ)とアピールしたら、テイラーが死にそうな顔で断ってきた。

 どういうことやねん。

 

 ポムニットは半魔だという説明をしておく。

 俺が3年近く付っきりで修行したのだ、特に不備は無いと思う。

 テイラーも能力を見て給金をちゃんと払うと約束したので、大丈夫だろう。

 ぶっちゃけ、お手伝いとしてよりも用心棒として雇ったほうが活躍する気がしないでもない。

 ただ、位の高い召喚獣に襲われたり、悪魔の軍勢が侵略してきたり、大地を埋め尽くすジルコーダの群れが攻めてきたら制御は無理なんじゃないかなぁ。

 

 俺の話を聞いたテイラーが「それは一体どんな状況なんだ……」とゲンナリしていた。

 どんな状況って、ケンタロウと逗留していたときに、湖の辺りに耐寒装備のジルコーダみたいなのが溢れ返ったので、S.O.Fで全滅させたじゃん、あんな感じ。

 目頭を揉んでいたテイラーが、あれのせいでマグマが流れて温まっている地形と繋がったのか、不凍湖になったらしい。

 あー……。

 何時でも魚が獲れて都合がいいじゃん(目逸らし)

 

 そもそも町の召喚術師や軍から派遣される駐在官が、ちゃんと状況を把握していないのが悪い。

 はい、論破。

 まるで橘ありすのようなカンタンロンパだった。

 シルターン自治区の人々のように「ほわぁ(お目目キラキラ)」ってしてもいいんだぜ。

 

 

 

 

 

 普通はバランスよく蒼と金の召喚術師が町にいるはずなのに、トレイユは金しかないのを思い出した。

 ケンタロウが連れて行ってしまったかららしい。

 代わりの人間は、召喚石を盗まれていた問題で欠員状態。

 あらあら、まあまあ。

 俺が代わりを探してきてやるよ!

 

 野良召喚術師とかどうよ?

 良くない?

 ダメ?

 わかってた!

 

 テイラーが頭を抱える姿ってなんか面白いんだよな。

 

 

 

 

 

 --6

 

 ライとフェアが9歳になった。

 今年も身長がどのくらい伸びたかを店の裏にある柱に印をつけて確かめる。

 6歳から刻んでいるので、4本目だ。

 うーん、やっぱフェアのほうが身長は高いな。

 まあ、男女の成長は12歳くらいから劇的に変わってくるから、ライも悔しがることはないわ。

 フェアがどう変わるのか聞いてきたので、男の子は男らしく、女の子は女らしくなると伝える。

 いや、結婚はできないです。

 イスラが「僕はできるよ!」とドヤ顔を披露。

 そっすね。

 

 テイラー邸の料理人に作ってもらった料理を食べながら考えてみる。

 結婚かぁ。

 したいような、したくないような。

 ヒロインというか、恋人は欲しいと思ってた。

 が、難しい気がしないでもない。

 俺が老けないのがネック感。

 遊びで次々と取り換えるのもありなのだろうけど、そういうのがしたい訳じゃない。

 

 ただ、結婚したいのかというと、そういう気持でもない。

 結構長く生きているが、感覚は20歳くらいのままだ。

 彼女と付き合う感じになってしまいそうだ。

 結婚って長く一緒にいるのだろうし、なんか違うのだ。

 

 こう、なんて言うか。

 好意持たれてる、やったぜ!みたいな。

 シルターン系には好意持たれまくりだけど、ちょっと違う。

 満たされたいというか。

 心が満たされ……いや、今で十分か。

 そもそも今の生活に不満が無いし、ライとフェアの面倒を見てた方が楽しいし。

 解決してしまった。

 

 

 

 お、このケーキうまいな。

 ライが焼いたんだ。

 すげーな。

 うん?

 食べる?

 ほら。

 

 

 

 

 

 --7

 

 聖王国の田舎の村に聖女がいるらしい。

 どんな病気も奇跡で治せるとか。

 気まぐれに露天を開いてたら教えてくれた。

 未だにお礼を言うと失神されて困る。

 

 ポムニットも興味津津だった。

 というか、ポムニットだけが興味津津だった。

 なんかサプレス感がある話だからな、気になるのだろう。

 年齢とか聞くと、覚醒したのかかもしれないと思える。

 あと噂話が好きなのも関連しているのだろう。

 

 ポムニットが長期の休みに入るらしい。

 懐いていたリシェルが機嫌悪くなりそうだな。

 レルム村とか凄い遠そうだけど、頑張って走れば日数もそんなに掛からないはずだ。

 試しに行ってみるかなぁ。

 

 

 

 

 

 --8

 

 サイジェントに行くときに立ち寄った村やその周辺の村が無人になっていが、まあ、関係ないね。

 

 レルム村は焼け跡になっていた。

 なるほど、これが奇跡か。

 覚醒した能力が暴走して村をキャンプファイアーにしたとか……?

 噂だと完全に能力を掌握していたのに、おかしな話である。

 

 森でムキムキの爺さんを拾った。

 なんか元気少ない爺さんだ。

 村の生き残りらしく、聖女の爺さんだったらしい。

 ポムニットもお目目キラキラである。

 聖女について話を聞くと、警戒された。

 えぇー……。

 

 ポムニットがハーフなので、その聖女の奇跡を見てみたいと伝えてみた。

 聖女、アメルという少女らしいが、を森で拾ったとか。

 出生が不明なのか……。

 

 アメルは何か旧王国の騎士に狙われているので、拾った森に向かうよう逃がしたとか。

 うーん。

 まあ、そこを目指してみようか。

 

 

 

 爺さんは足が遅い。

 歳か。

 俺と10歳ちょっとくらい違うのか。

 うーん?

 10歳というとライとフェアが……生まれてないくらいだな。

 なら仕方ない。

 爺さんはアグラバインという名前だってさ。

 

 

 

 

 

 --9

 

 アメルを拾った森に向かう途中の砦を抜けようとしたら、ゾンビに襲われた。

 俺は何時の間にか異次元に来ていたらしい。

 専門家のクリスとかジルを呼ぶべき。

 もう俺はアグレシッブなムキムキのゾンビによる攻撃を喰らいたくないんだ。

 

 全部シャインセイバーで突き刺してぶっ殺そうかと思った矢先、銃声が聞こえてきた。

 音の方に向かうと生存者を発見した。

 名もなき世界のステイツから来たらしい。

 アメリカ的な場所か、なるほどなー。

 

 離そうとしたらゾンビが群がってくる。

 あー、もう、うぜぇなとシャインセイバーを放ち、砦のゾンビを一掃。

 生物っぽいマナは避けたから、死人は出ない。

 すでに死んでいるゾンビは損壊しているだろうけど知らん。

 

 

 

 このステイツ人、レナードという名前のようだ。

 同い年くらい。

 びっくりしたが、相手も驚いていた。

 離婚しているが妻子がいるので、元の世界に帰りたいらしい。

 俺は特にそういうの無いからいいや。

 あ、親がいたか。

 うーん……顔も思い出せないからどうでもいいか。

 

 レナードに、帰る方法が一応あることを告げた。

 高校生も帰ったし。

 召喚術を頑張る必要があるでござる、的な話をしていたら複数人の人間が砦に入ってくる気配を感じた。

 アグラ爺さんと少女が抱擁していた。

 目当ての聖女のようだ。

 ポムニットは、その少女が幸せに暮らしていたことを知れて喜んでいた。

 騎士に追われる不幸もあるが、まあ、人生とは上手くいかない物だ。

 

 

 

 聖女に同行していた蒼の派閥の召喚師が、俺からめっちゃ距離を取るので傷ついた。

 なんかやべー感じがするとか。

 かつて召喚の際に感じた「祟り神」の雰囲気が濃いとかなんとか。

 えぇー……。

 ハサハという少女の護衛獣なんてキラキラお目目なのに。

 

 まあ、いいか。

 蒼の派閥の女性に、トレイユに蒼の派閥が欠席している状態だと告げた。

 後日、後輩を送りますとのことだ。

 

 

 

 アグラ爺さんと聖女アメルの再開にいい話だなーと感動して、トレイユに戻ることにする。

 ポムニットは最後まで付いて行きたがったが、ゆっくり戻ったら休みが終わるくらいなのだ。

 仕事しているのだからダメでござる。

 

 ああ、と帰り際にレナードに伝えることがあったのを思い出した。

 召喚術師としての能力は、魂の輝きで高まるという話だ。

 善悪関係なく魂が震えるような経験が、召喚術としての適正を高めるとも。

 何を成すのか、それが重要だ。

 本当に帰りたかったらの話だが。

 

 

 

 

 

 --10

 

 トレイユに帰ってから数日後、「よろしくお願いします(震え声)」みたいな感じの挨拶とともに、蒼の派閥から召喚師であるミントが派遣されてきた。

 護衛獣のテテ族は、震えながらミントの前に立って必死に守ろうとしている。

 いや、何もしないから(白目)

 

 その先輩であるミモザや、先日まで聖女と一緒にいた連中は重い疲労を抱えたまま、何故かトレイユを訪ねて来た。

 こんなのと一緒に来たミントが可愛そうで困る。

 特にハサハの召喚師であるトリスという少女と、その兄のマグナという少年は死にそうな顔をしている。

 

 

 

 訪ねて来た理由だが、魔王を討伐したいから手伝って欲しい的なサムシングだった。

 んー、現状のリィンバウムには魔王はいないんだけど。

 面倒なので物凄く端折ると、マグナとトリスは調律者であるクレスメント一族の末裔らしい。

 で、聖女アメルは天使アルミネの転生体。

 先輩は融機人(ベイガー)でライルの一族の末裔らしい。

 

 本題は、アメルを拾った森に辿り着いたら、クレスメントとライルの一族が生み出した最終鬼畜兵器があって、何故か悪魔が蔓延る森にいた吟遊詩人に詳しく話してしまい、実はそいつは魔王で最終鬼畜兵器ファイナルウェポン「ゲイル」がパクられた。

 で、なんか色々あって戦場はサプレスに移って魔王を討ったが、魔王は何度も蘇った。

 そこだとアルミネの転生体は同様に無限魔力、ライルの末裔は祖先の知識でハイパー召喚術を使えるので永遠に戦えるということで、足手まといのクレスメントの末裔を送り帰して、今に至るという。

 

 

 

 うーん、特に問題は無さそうだ。

 言い募るクレスメントに、そもそもサプレスの魔王メルギトスを討伐する利点が無いと教える。

 リィンバウムに侵攻すると主張しているという話だが、魔王というか悪魔のほとんどはリィンバウムに侵攻すると言っている。

 行ってしまえば、連中の本能だ。

 そして、天使はそんな悪魔を滅ぼそうとしているので、互いにつぶし合っている。

 召喚術でしか『門』は開かず、こっちに来ても誓約で縛られるので、魔王も悪魔も口だけ番長と化すのだ。

 オルドレイクと混ざった魔王も、誓約を破れないから誓約者を殺すと言う無茶を起こしたくらい、正しい手順を踏んだ誓約は絶対だ。

 だからこちらからサプレスに行く意味はない。

 俺が行くとしたら、『門』を開く必要があるが、この『門』は当然でかい。

 制約条件がサプレス側にかなり有利に緩むくらい巨大になる。

 そんな欠点を抱えてまで向かう気は起きない。

 

 そもそも、アルミネとライルでメルギトスを削ってくれたら、万が一こっちにメルギトスが乗り込もうとしても楽に討てる。

 ライルは機械だから耐久限界を迎えるだろう、そうなったら単身のアルミネは滅ぼされる。

 そうなるとリィンバウムに侵略しようとするのかもしれないが、今度は天使の軍団と戦争になる。

 勝手に消耗したり消滅したりするだろう。

 やっぱ二人を助けるのは無意味だなぁ。

 

 全部無視してサプレスに乗り込んだら、各々が好き勝手やっている魔王が連合を組む可能性が出てくる。

 我が強いので普段は有り得ないが、俺という力の存在がそうさせる可能性が高い。

 そうなると、メルギトスを滅ぼした後が面倒だ。

 今までは個々で活動していた魔王が結託し、サプレスから召喚術師を組織的に操り始めたり、悪魔の捨て駒を投入されまくったりしたら、ゲリラ的に戦争の再開となる。

 無理だと断言しよう。

 

 

 

 「それでも……」と言い募るクレスメントに、至竜化してオドとマナの流れをぶつける。

 青褪めて、呼吸も困難そうだ。

 何か勘違いしているから伝えるけど、二人が弱いからいけないのだ。

 力も、心も、弱かった。

 だから失った。

 何時だって失くした物を取り戻すのは難しいんだ。

 

 至竜化を解く。

 兄妹は、圧力が解除されるとともに吐いた。

 あーもう汚いな。

 そもそもサプレスだと死ねるかもわからん、こんなんで吐くならやめたほうがいい。

 怖がっている証拠だ。

 二人よりも、自分の身が大事だと理解している証だ。

 宿で一晩過ごして考えてみなさい。

 忘れて日々を過ごした方が、誰もが楽だ。

 

 

 

 水の低きに就くが如し。

 まあ、水は低きに、人は易きに流れるって言うからな。

 

 

 

 

 

 --11

 

 翌日、シルターンのエルゴの守護者であるカイナとクレスメント2人、護衛獣が2体だけで来た。

 カイナからは本気の巫女感が漂ってくる。

 ガチってるなぁ。

 カイナはシルターンで巫女をしていて、向こうの龍神に守護者となるように送られてきたらしいし。

 

 クレスメントの主張は、自分たちで助けに行くから修行してくれ!みたいな感じだった。

 行くのはクレスメントの2人とその護衛獣の2体。

 マグナの護衛獣は悪魔だ、サプレスでは役に立つが裏切られたら後戻りができなくなると聞いてみる。

 自分が本気で信じた相手に裏切られるのなら仕方ないとも。

 メルギトスに騙されたのだが、と聞いたらあれは油断した自分が悪かった。

 今度は本当の気持ちだ、ということらしい。

 ……まあ、いいんじゃないかな。

 

 別に俺が鍛えなくても、生涯を賭ければ願いを果たせるかもしれん。

 それだと遅いとか。

 まあ、人間だった転生体と精密な融機人に耐えるには無理だろう。

 そんなに時間を掛けたら自我が力に飲まれる。

 

 ぶっちゃけ、俺の修行だと死ぬかもしれない。

 というか死ぬ。

 奇跡的に耐えられたら救える夢も見ることができるけど。

 それでいい、そうじゃないと意味が無いとか。

 

 至竜化している俺の前にそれだけ吐けるならいいだろう。

 昨日とは全然違う。

 仲間や護衛獣との絆的なうんぬん。

 あ、そういうのは要らないです。

 まあいいか、「調律者(ロウラー)」なら死なないだろ。

 一週間で願いを叶えられる可能性が見られる位置まで連れて行こうじゃないか。

 そこまで行ったら後は自分次第だ。

 

 

 

 生きているとわからないことが、死に近づいて初めてわかることがある。

 何も無い苦しさこそが、活路である可能性もある。

 力が無ければ、無理にでも強くなればいい。

 心が弱ければ、壊してでも強くなればいい。

 魂が曇るなら、歪に磨いて輝かせればいい。

 

 

 

 --強制転移『偽・無限回廊』

 

 

 

 

 

「其処には、朽ち果てた愚かな魔王がいる。殺してみせろ。期限は一週間、次に扉が開くまでだ。酷い苦痛を味わうだろう。無力に苛まれるだろう。魂が摩耗する恐怖を憶えるだろう。それとも、最強の召喚師である『調律者』と謳われながら歴史の闇に飲まれた祖先と同じように、愛するアルミネとライルの信頼を裏切り、今から尻尾を巻いて逃げ出すか。クレスメントの末裔よ!」

 

 

 

 

 

 --12

 

 まあ、死なないのが魔王なんだけどね。

 期待していた通り、両方生きていた。

 マグナとトリス、2体の召喚獣によるマナで魔王が復活して、この一週間は延々と死闘を演じていたようだ。

 テキトーに考えたが、期待通りの展開になってて良かった。

 

 修行のおかげでクレスメントの2人は自信を付けていたが、魔王で最弱の絞り粕だと教えると、またまたーみたいな反応をしていた。

 軽いな、一か月くらいぶち込めば良かった。

 カス魔王がこの一週間でマナを結構溜め込んだのか、俺に反応してうざかったのでデコピンで消滅させてマナリセット。

 なんか2人は泣いてた。

 久しぶりの太陽の光が目に染みたか。

 

 そんな感じでまあまあ極まっていたので、無限回廊経由でサプレスに向かわせた。

 『門』を開いて乗り込むのは流石に刺激しそうだから穏便に行かせたのだ。

 俺がサプレスから召喚した最上位天使の統括であるタブリスが道案内をするので、多分行けるんじゃね。

 天使側としては滅ぼしたい魔王に嫌がらせが出来ればいいという柔軟な発想の元で活動しているので、暴れているメルギトスに一泡吹かせる可能性のあるクレスメントは、大嫌いだが魔王よりはマシなので手伝うとか。

 うーんこの自由に生きてる感。

 魔王の残りカスとの戦闘で最低限の土壌は出来ているから、無限回廊を突破する頃には魔王に食らいつけるくらいには能力が付いている……と信じたい。

 まあ、そんな訳でいつ帰ってくるかはわからんが、上手くいけばいつかは帰って来れるだろう。

 帰る場所があるのに帰れないのは悲しいことだ、頑張ってほしいと思う。

 

 

 

 話を伝えるとクレスメントの仲間連中は安心したのか、安堵のため息を吐いていた。

 自分で行くって言い出してくれて良かったよ。

 それでも俺に行かせようとしたり、他力本願が過ぎるようなら魔力経路を剥いで二度と魔力が宿らない身体にするところだった。

 悪ければぶっ殺してた。

 

 

 

 

 

 --13

 

 巫女のカイナが、姉のケイナの記憶を戻してほしいと願ってきた。

 魂を見た感じだと、向こうの龍神に記憶を奪われているな。

 俺でも無い物は戻せない。

 記憶を失ってでも、7歳のときにリィンバウムに送られた妹に会いに来る姉の覚悟は感動させられるものがある。

 流石に龍神だと信頼されて何もできないと言うのも心苦しい。

 カイナが持っているケイナとの思い出を結晶化させて取り出せることを告げる。

 至竜が死ぬときに、子に託すのを応用すると出来る。

 

 可愛い巫女さんにキラキラお目目を向けられるとか、役得じゃね(真顔)

 

 

 

 レナードも用があるようだ。

 元の世界に帰られるかどうかという疑問に答えてほしいようだ。

 全ての憂いを解決できたのなら、レナードは元の世界に帰ることは可能だ。

 が、現状では不可能。

 俺自身が送り帰す場合、まずレナードを縛る誓約から帰る世界を探知し、魔力に物を言わせて送還すればいい。

 問題はレナードには帰ることができるほど魔力が無いので、俺が外部から常に力を与え続ける必要がある。

 つまり、リィンバウムの結界に穴をあけ、ずっとそれを維持する必要があるのだ。

 常時空いている穴から侵略者が更に広げ、戦争の幕開けである。

 レナードの帰還で世界がやべー。

 

 四界なら巨大な『門』を開くか、無限回廊を辿っていればいつかは帰ることが出来る。

 もしくは結界に穴をあけ、再構成するだけ。

 ただ、名もなき世界は特別だ。

 エルゴの影響がないので、結界を砕いて外側に行かなければならない

 外側にマナは無いので、送還時は全て自分のマナで賄う必要がある。

 まあ、色々な経験をして魂を磨き、召喚術適性を上げてマナを溜めなさい。

 レナードがそれだけのマナを生み出せるようになれば、俺が誓約から方向性を読み取って帰還させることができる、約束する。

 結界も修復しておくし。

 

 クレスメントが行った修行は無理だ。

 邪道すぎる。

 そもそも調律者であるという血筋だったから行えたことだ。

 努力と友情は、才能には勝てない。

 諦めて頑張るしかないさ。

 マナが増えれば老化も遅くなるし、頑張ってみなさい。

 それでも駄目で絶望したら修行して死んだらいい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 --Ex

 

 空から何かが降ってきたので、つい掴んでしまった。

 そんなわけでダチョウサイズの卵を拾ったのだが、手に持ったら孵ってしまった。

 ぴかーと光が灯って、中から緑色のゆるキャラが生まれた。

 うーん?

 うーん。

 わからん。

 至竜化して知識をエルゴから盗……貰って来よう。

 

 なるほど、竜の子か。

 「僕とエーセンの子だね」

 違います。

 凄い泣き喚いていたが、さっき至竜化したら大人しくなって、解除しても仲間だと思ったのか懐いてくれた。

 昔のライとフェアを思い出すレベルでべったり。

 今のライは照れるのかあまりくっついてこなくなったし、フェアもちょっと距離を置くようになった。

 チョー寂しかったので嬉しー。

 

 名前を決めよう。

 もう俺が親でしょ。

 竜なら俺こそ親になるべき。

 名前は……あ、コーラルにしよう。

 なんか昔にそんな単語を聞いて、そのままだった。

 俺の周りにそういう名前はいないし、なかなか可愛い響きなので有り難く貰っておこう。

 珊瑚のようなピンクでコーラル色ってあるし。

 つまり、そのくらい可愛いって意味だな(天啓)

 

 ねえ、性別がわからないんだけど……?

 

 

 

 

 

 イスラのせいで性別不明のまま竜の子と過ごしていたら、メイトルパのインディアンと出会った。

 ムキムキである。

 その露出なら普通は女だろ……。

 初対面なのになかなか敵対的だ。

 流石メイトルパ、俺の祟り神オーラを感じるらしい。

 シルターンは龍神オーラが凄いと慕ってくれて可愛いし、サプレスもマナが心地いいと評判なのに、メイトルパはどうしてこうなったのか。

 

 俺の子に用があるらしい。

 ふぅん?

 理由を聞いてやるよ、俺は温厚になったんだ。

 あと強くなったから余裕があるし。

 手遅れになりそうなら皆殺しで解決するくらい余裕。

 ケンタロウはスーパーヒーローになりたいらしいが、俺はデウス・エクス・マキナになりたいし、なりつつある(傲慢)

 

 御子様を、先代の竜に託された?

 嘘だな。

 お前の魂、揺らいでいるぞ。

 後ろ暗いことがあるのか、何もかもが嘘で竜を狙う密猟者か。

 残念だが近づくことすら許さない。

 

 

 

 槍か。

 それを俺に向けるのか。

 じゃあ、死ぬしかないな。

 

 竜を知ってるなら強さもわかるだろ。

 

 

 

 

 

 ギアン?

 誰だ。

 マフラーとか俺とキャラが被ってるんだけど。

 

 

 

 

 

 

 

 




これまでのルート
3:準カルマルート(オリ主カルマルート)
1:ハッピーエンド(オリ主ノーマルエンド)
2:カルマルート(オリ主ノーマルエンド)




--STATUS
[NAME.ジンナイ・エイセン(陣内栄扇)]
[Lv. --]
[Class. --]
[Move. Step-- Up-- Down--]
[ Rank.  機.E 鬼.S 獣.S 霊.B](無.Ex)
[Resist.  -- -- -- --]
[HP.-- MP.--]
[AT.-- DF.--]
[MAT.-- MDF.--]
[TEC.-- LUC.--]

--SKILL
[龍神]
リィンバウムに存在する究極の一。
同じ位階に近づかない限り、強さは理解できない。



ちなみにオリ主の召喚適正はぐっちゃぐちゃです。『門』を開く才能は天賦なので、強大な存在が占有している状態となっています。
機界:ゼオライマー・グレートゼオライマー(友好0、忠誠0)
鬼妖界:スピリット・オブ・ファイア(友好0、忠誠100)
霊界:使徒(友好100、忠誠0)
幻獣界:祟り神、シシ神(デイダラボッチ)(友好1000、忠誠0)
夢と現の界層:タナトス(友好--、忠誠--)

ゼオライマー系はAIが異常を持っててリィンバウムをぶっ壊したいだけです。常に出待ちしていて『門』が開いたらメイオウ攻撃するだけです。リィンバウムを滅ぼすことしか考えていない可愛い奴です。
S.O.Fは完全に精霊なので自我とか無し。『門』はエネルギーが流れるから占有しているだけですね。指示待ちくんで可愛い奴です。
使徒はタブリス以外がS.O.Fと同じ指示待ちくんです。可愛い連中です。
デイダラボッチはとりあえずリィンバウムの生物をぶっ殺してエネルギーをメイトルパに持って帰るだけです。出稼ぎで頑張る可愛い奴です。

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