実験室のフラスコ(2L)   作:にえる

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   あなた が めざめ た せかい は あくま が そんざい して いた !
 
   あなた と あくま は
   ときには よき りんじん として
   ときには まじわる こと なき てき として
   かかわっていく ことに なる だろう !



   そんな せかい で あなた は どう いきる ?


  1.  てんしにいのりを、かみにしんこうを、じんるいにむしょうのあいを
  
  2.  あくまとけいやくし、まおうのちからを、こんとんによるはめつを
 
  3.  どちらもえらばず、どちらにもすりより、おのれのしかばねを
 



原作:女神転生、他 きたりておがめ

 地獄

 

 

 

 インターネットで検索すれば簡単に見つかるような理由で死んだ。

 あまりに呆気なくて、そういうものなのだと受け入れるしかなかった。

 死を受け入れた俺がいるのは地獄、生前でも有名な死後の世界の一つだった。

 

 地獄にいる理由だが、俺自身には特に無い。

 生前の行いは良くも悪くも普通であり、俺に裁きを下した閻魔さんの言葉ではすぐにでも転生の輪にぶち込まれるレベルだったらしい。

 問題は転生後にあるのだとか。

 転生して力を蓄えた俺は大罪のために扉を開こうとして世を混沌に導くらしい。

 大罪を求めて世界を繋げてしまったこともある並列世界が存在するとか。

 よくわからないことばかりだが、かなり問題視されているのがわかった。

 それを踏まえると来世の俺は一体何者になるのか疑問が尽きない。

 

 転生させると危険なので幽閉しておこうというのが地獄の方針のようだ。

 無理矢理地獄にぶち込んでいたら反発して脱走された地獄があるというのも理由の一つだとか。

 閉じ込められて反発とか、思春期か。

 というか、地獄から脱出とかちょっと意味わかんないです。

 

 そんなわけで、地獄でのニートライフが幕を開けた……!!

 

 

 

 まあ、すぐに飽きたんだけどね。

 見知らぬ人が鬼によって責め苦を負わされているのを見てもつまらんし。

 地獄だからとでもいうのか拷問的な物品ならバリエーション豊富なのだが、娯楽が圧倒的に足りない。

 一番まともな娯楽が釜茹で地獄の温泉とか魂が煮えたぎって苦しみしか感じない。

 覇気のない亡者とともに血の池でクールダウンしなければ死んでいた。

 次点で針山によるツボ押しマッサージ。

 ただし全身に刺さっていたいので魂を変質させる必要があった。

 これがマジで疲れる。

 四六時中、腹痛を我慢しているくらいツラいのだ。

 

 これらが地獄の娯楽である。

 もうね、馬鹿かと。

 アホかと。

 こんなところで過ごせるわけが無い。

 そら俺も逃げるわ。

 

 そういえばどれくらい待てば解放されるのか聞いていなかった。

 閻魔さんに訊ねてみる。

 決まっていないらしい。

 都合の良い世界を見繕っていて、そこに空きが出来るまでだから短くて千年くらいだとか。

 それを聞いた時「ファッ!?」な状態になった。

 地獄では時間の感覚があまり無いがそれでも長すぎる。

 これは真剣に時間を潰す方法を考える必要があるな。

 

 

 

 

 

 地獄 約-300年

 

 世界は多元構造となっているらしい。

 自分が存在する世界とは何かが絶対的に異なる「if的なサムシングを持つ並行世界」が存在しており、同様に地獄も存在しているのだとか。

 よくわかんない?

 俺も。

 つまるところ、暇つぶしを真面目に探していたら異なる地獄を行き来できるようになったのだ。

 これに比べたら地獄の多元構造など完全にどうでもいい事柄である。

 他の地獄に行き来して……感覚が狂ってよくわからんが、多分百余年くらいで暇つぶしに成功した。

 そう、地獄の連中とは異なる会話相手を見つけたのだ。

 

 その相手はハオと名乗った。

 

 

 

 

 

 地獄 約-120年

 

 地獄めぐりをしていて気づいたのだが、和風ばかりだ。

 和風という表現が正しいのかわからんが、生前イメージしていたモノにかなり近い。

 洋風はないのだろうかと探してみたが見当たらなかった。

 俺が日本人だったからなのだろうか。

 それとも管轄が違うからか。

 みたいな話をハオにしてみる。

 完璧な思いつきである。

 それに対するハオの答えは、西洋地獄とかあるとのこと。

 なん、だと……!?

 

 みたいな感じで気が向いたら遊びに来ているのだ。

 遊びに来るとハオは歓迎してくれるのだが、地獄の連中はそうでもないようだ。

 なんというか愛想が無い。

 凄くおどろおどろしい雰囲気で満たされていて、陰気でしょうがないし。

 地獄アピールが半端ない。

 「俺たち、地獄マジリスペクトっすから」とか言い出しそう。

 やべぇ、超裁かれそう。

 

 他には生前はエヴァンゲリオンの新作を見終えることができなかった、とか。

 まあ、ハオは陰陽師や妖怪がイケイケだった時代の人らしいので俺の言葉は伝わらないのだが。

 テレビとかどう伝えればいいんだろうかと悩んだりする。

 なので、俺の話ではよく首を傾げていることが多い。

 異なる地獄に行くと現世の時間の流れが違うのか、ジェネレーションギャップが厳しいことが多々あるのだ。

 

 そんなハオだが陰陽師レボリューションの500年後にも記憶を持ったまま転生した経験もあるのでナウでヤングを名乗るには無理があるのだ。

 だから俺もナウでヤングじゃないのだ。

 肉体は若かったが、魂は地獄でふらふらしているから……。

 年を考えると訳が分からなくなってきた。

 地獄では時間が気にならなくなるが、もうちょっと繊細に生きようと思う。

 死んでるけど。

 

 やはり雑談こそ人間の叡智だと理解できますね!と萎えた気分を盛り上げる。

 いや、獄卒鬼とかでも出来る奴がいるけど。

 でも、あいつら話題がバイオレンスで超常的で、人間の俺には難しいから好きじゃない。

 あと日本語を喋られないのばかりで困る。

 

 えーきさまを見習うべき。

 説教がめっちゃ長い以外は女神だから。

 閻魔なのに女神級に可愛いとか反則やでぇ……。

 地獄の連中があれくらい可愛かったら皆喜んで死ぬのに。

 あ、死人が多くてよろしくない的な話もあったな。

 むしろ今のむさ苦しい地獄でちょうどいいのか。

 なるほどなー。

 

 

 

 

 

 地獄 約-30年

 

 ハオはそろそろ転生する予定があるらしい。

 気軽な転生もあったものだ。

 しかし、ハオがいなくなると暇でヤヴァい。

 まだ見ぬ地獄を開拓する日々が始まってしまう。

 俺も現世に行こうかしらん。

 ……テキトーな思いつきだがいいアイディアじゃね?

 

 もうあれだね。

 これは地獄で頑張って我慢した反動だわ。

 娯楽がなくて暇だからしょうがないね。

 今まで地獄で頑張った自分への御褒美だから。

 暇つぶしに生き返るという贅沢も許されるに違いない。

 御褒美無くして我慢は実らずだから。

 

 だから生き返るしかないわー。

 自分への御褒美だから我慢なんてできるわけないわー。

 つらいわー。

 自分への御褒美を自分で用意するとかマジつらいわー。

 やりたくないけど仕方ないから転生するわー。

 現世へえくそだすだわー。

 

 

 

 ハオに転生の仕方を聞いてみたが閻魔さんと取引とか俺には無理そうだった。

 なんか無いかな、と考えてみるが何も思い浮かばず。

 民話や神話などの伝承だと頻繁に冥界に生者が入り込んだりしているのだけれど。

 そう考えると力技で行けるんじゃないだろうか。

 現世に魂で出たら後は流れでなんとかなりそうだし。

 赤子程度の魂なら弾きだして乗っ取れそうだ。

 ……試すか。

 

 

 

 

 

 地獄で俺を探し続けろ、スプーーーッ!!!!!

 

 

 

 

 

 煉獄 -15年

 

 そこら辺の魂を取り込みながら地獄の亡者(スプー含む)などを蹴散らして地獄から這い出たのだが、現世にはたどり着けなかった。

 どうも煉獄とやらだという。

 なんかヤバそうなイメージがあったが、そうでもないようだ。

 

 天国:ハッピーハッピーライフが約束されしぱらいそ

 地獄:ドS祭

 煉獄:中間

 

 みたいな感じっぽい。

 地獄だと責め苦を負わされるだけで神様は助けてくれないが、煉獄だと耐え忍べば救いを差し伸べてくれるとか。

 中間とは一体なんだったのか。

 結局拷問があるんだな。

 あの世は皆ドSなのかどうかがハオとの現世での話題になりそうだ。

 

 

 

 迎えを待って天国に行けば転生で時間が潰せるはず。

 

 ……なんか色々とおかしい気がしないでもない。

 

 

 

 

 

 煉獄 0年

 

 煉獄っているだけで消耗するわけよ。

 どうも俺の魂が神様の求めるものと違うかららしい。

 で、回復するために魂をつまみ食いして凌いでいたのだ。

 つまみ食いの間は暇が潰れたのだが、徐々に適応出来たのかダメージが極限まで薄まって気にならない程度になった。

 そうなると暇でしょうがない。

 地獄と煉獄を行き来してスプーを煽って遊ぶしかないかと考えていると天使が現れた!!

 翼があるからたぶん天使。

 おそらくエンゼル……エンジェル?

 どっちでもいいか、うん。

 

 とうとう天国に行けるのですね!と敬虔な信者的振る舞いを見せてみる。

 千年くらい順番待ちしておくようにと返された。

 いや、無理だから。

 流石の俺も激怒だわ。

 待てないから地獄から這い出たのに、まさかの順番待ち。

 

 

 

 ォレってゅうのわ。。

 

 あまり「ガマン」したくない

 

 ゎかりやすくぃうと。。

 

 「ガマンよゎい」

 

 それでもけっこーまった。。

 

 激おこ。。。

 

 もうマヂ無理。

 

 バックレょ…

 

 

 

 

 

 俺を地獄に堕とした最後の審判を逆走して現世へとダイナミックエントリーを敢行した。

 

 途中で天使っぽいのを何体か突き飛ばして現世におとしてしまった。

 とても悲しい事故だった。

 まあ、俺には関係ないのでどうでもいいのだけれど。

 

 

 

 

 

 1980年 東京 

 

 目が覚めたらガラスケースの中で液体に浸かっていた。

 漬物の気持ちになるですよ。

 むしろホルマリン漬けか。

 結局漬物じゃねぇか。

 

 外を眺めると初老の男性と目が合った。

 人付き合いは最初の印象が重要なのだ。

 愛想が一番、その他は二番、微笑んでおこう。

 

 に、にこっ。

 

 ちょっと引き攣った笑顔になったが問題ないに違いない。

 男性がかなり驚いていた気がするけど問題なんて無いのだ。

 

 

 




[【オリ主】 レベル1 100%:無し 弱点:物理・魔法・破魔・呪殺]
完全造魔として蘇った男。
生まれたばかりでとても脆い。
磨き抜かれたその魂は甘美な輝きを放ち、弱い悪魔を誘惑し、下位の天使を盲目にさせる。

閻魔さま
えーきさまという名前らしい。
地獄の女神。

ハオ
葉王は友達が少ない。
まさにはがない。
ぶっちゃけ、少ないってレベルじゃねーぞ。

スプー
地獄の亡者。

落ちた天使
機械人形に宿ることでうんたらかんたら。
決してミクさんではない。
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