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マイナス3話!
暇つぶしに書いてたら溜まったから繋げたやつだよ!
前日譚的なサムシングだね!
俺は今、助手をしているわけです。
なぜかって?
モンスターハンター紛いの活動が出来なくなったからです。
なぜかって?
お偉いさんの権力闘争(パワーゲーム)に巻き込まれたからです。
なぜかって?
生活費を稼ぐためにモンスターハンター紛いの活動をしていたらお偉いさんの争いに巻き込まれたからです。
なぜかって?
それは……ちょっとこれやめよう。
無限ループしかけてるし。
とりあえず、この世界に来た俺は浮浪者をやっていたわけだが、流石にそのまま絶望して死ぬのはダメっしょと年端もいかない少女に説得されたので頑張ろうと決意した。
で、いろいろとテキトーに仕事をして転職を見つけた。
そう、モンハンである。
しかもソロプレイ。
普通は討伐にもギルドだとかチームだとかで仲間を作り、複数で囲んで倒すのだが俺はソロ。
自分の強さにビビっちゃう。
それで荒稼ぎ、というほどでもないが結構やりすぎた。
名前が売れるくらいやりすぎた。
そしたら貴族とやらの面子を賭けた狩場に駆り出された。
提示金額が良かったからホイホイ着いていっちゃったんだ☆
後はわかるっしょ。
貴族と不良は空気と面子、脂ぎったご飯で生きているってわけだ。
結果として職を失った俺をエヴァってブリーダーの人が助手として引き取ってくれたので食いつなげるようになりました。
いやぁー、感謝感謝☆……するわけない。
そもそも俺が職を失ったのはパワーゲームのせいだし、被害者だからね。
助手とか言ってもかなりブラックだし。
世界が優しくなくて泣いた。
俺の朝は早い。
イカ漁くらい早い。
ごめん、ちょっと盛った。
もう少し遅い。
空が白み始めるくらいに起きるから。
そしてエヴァさんが育成しているモンスターの餌を用意する。
モンスターは巨体なので当然量も多い。
一人で行うのが下っ端のツラいところです。
テキパキと餌を準備して、それぞれの寝床へと持って行く。
コンバット用のモンスターは気性が荒いモノも多いので、仲の良しあしや機嫌の上がり下がりなどで戦闘を始めてしまう恐れがある。
別に戦ってもすぐに鎮静化させられるが餌が飛び散るのでそれぞれの小屋で与えるのだ。
与えるのはこのファームの所有者であるエヴァさんが育成中のモンスターや移動手段用のモンスター、助手として滞在中のハムさんのモンスター、俺が試しに育てている年老いたドラゴンなどである。
肉体的な疲労は大したことないが往復が多くて結構めんどい。
朝のトレーニングまでに与えないとエヴァさんが怒るから急ぐ。
別に怒られても怖くないが説教が長くて精神的に死ぬ。
だから丁寧に急ぐ。
餌を落とすとノラモンとか寄ってきて虐殺されてしまうから丁寧に急ぐのだ。
ノラモンならまだマシだが、どっかの偉い人のモンスターが来たら悲劇だ。
まず死ぬのは確定として、その後だ。
無かったことにしなければならない。
権力闘争が始まったら面倒なので、無かったことにしなければならない。
知っても知らない、いてもいない、有り得ることもあり得ないことにしなければならない。
つまるところ、殺して刻んでばーらばら。
で、刻んで潰して埋める。
小さいのならまだいいがでかいのだと海に蒔く必要すら出てくる。
証拠とか出てくるとアレなのでこのファームとは正反対の海岸に肉片を転がしたり、相手の家に血煙として送り返すなどサービス盛りだくさん。
なみに俺の仕事。
というか、勝手にやってる仕事。
エヴァさんは気付いたら自分でやるのだが、悲しそうな顔をするので俺がやる。
しかも、わざと送り込んでくる馬鹿もいるからこの問題は馬鹿にできない。
最近はドラクエの聖水を村の周りに蒔く人みたく、ファームから離れた位置に円を描くように俺の魔力を巻いて近寄らないようにしてみた。
結界っぽくてかっこいいよね。
成果は上々。
欠点は弱いモンスターが入ろうとすると死ぬので宅配サービスが使えないことかなー。
餌をやり終えて、ひと時の自由を得た。
この時間は俺のモンスターであるドラゴンとの交流に充てている。
ドラゴンは寿命が近いためか、年老いていてかなり穏やかだ。
俺が眼前に立って世話しても何の問題も無い。
ちなみに最初に練習用として宛がわれたライガーは酷い抜け毛に悩まされ、気付いたら見知らぬ人に渡っていた。
ドラゴンの爪の先から羽根、鱗の一枚一枚を丁寧に拭いていく。
トレーニングをしようにも年だし、戦わせるのも年だし、もう介護の域だ。
現役時にはコンバットで活躍しまくり、引退後も他のモンスターのトレーナーとして頑張っていたそうだが、やはり寄る年波には勝てないのだろう。
ブリーダーってなんだろうな、と世話をする。
ドラゴンが寝ぼけて噴いたブレスに包まれているとエヴァさんに声をかけられた。
なんか用っすかねー、と振り向くとエヴァさんの隣に黒髪の子供がいた。
背丈はエヴァさんと同じくらい、髪はちょっと長いくらいの少年だった。
新しい助手らしい。
とうとう俺にも部下ができるのか、とちょっと感動した。
よろしくなーと挨拶するが引かれてしまった。
ああ、炎の中から挨拶されるとかちょっと怖いよな。
失念していた。
腕を振って炎を掻き消してから挨拶をもう一度。
……なんでそんなに怯えてるんだ?
エヴァさんに面倒を見てやれと押しつけられた。
……マジ困るんすけど。
腰をかがめて視線を合わせ……ようとするが逸らされた。
とりあえず名前を聞いてみる。
が、無言。
出身地、趣味、好きな物、etc。
無言。
ゲームの主人公か何かか、こいつは。
埒が明かない。
視線も合わない。
というか肩が震えている。
え、なに、怖がられている的なサムシングか。
どうしろって言うんですかね……。
!的なマークが出る勢いで一つの考えが浮かんだ。
モンハン紛いを行っていたときに、取引時に相手を威圧しないようにと妹から貰ったバンダナのようなでかい布を頭に巻いて目を隠す。
でかい布のようなバンダナかもしれん。
どうよ、とドヤ顔。
チラッとこっちを見たが視線を逸らされた。
ちょっとイラッときた。
もういいや、とモンスターの世話の仕方を説明していく。
基本的な雑用が助手の仕事である。
後はエヴァさんが知識を付けるために授業をするのでそれを受ける。
ハムさんがテキトーに何かやるので付き合ってガンダムする。
以上、おわり。
もっと他に何かあるんじゃないかって?
ないよ。
しいて言えばトレーニングに付き添うくらい。
後はモンスターが悪い事をしたらテキトーに躾けするとか。
適度になら甘やかしてもいいけど。
重要なのはどれくらい同じ時間を過ごしたかだと思う。
真面目な話、コンバット中に縋れるモノは己の努力とブリーダーとの絆だけだから。
他人に育てさせたモンスターほど薄っぺらいモノは無い。
助手の仕事を説明し終えて、次にエヴァさんのファームを説明して回る。
わかっていたことだが、喋るのと目を合わせるのが苦手のようだ。
自室から買ったけど結局使わなかった帽子をかぶせてやる。
ん、ちょっとでかいな。
まあ、これで目を合わさなくて済むっしょ。
呼び名は……レッドでいいや。
なんか似てるし。
「いよいよこれから君の物語の始まりだ!」なんてな。
このセリフだと俺がオーキド枠になっちまう。
とりあえず説明終わりにどれだけ把握できたか確かめてみる。
訥々とだが、きちんと全部答えた。
……や、やるじゃん。
俺よりも覚えが早いんじゃね。
……。
何も問題ないな。
むしろすぐに憶えてくれた方が俺が楽できるし。
モッチーバッジを帽子につけてやる。
よく頑張ったで賞的なやつ。
俺と俺と俺、総勢1名の俺による手作りだ。
財布に入っていた小銭を熱したり、潰したり、削ったりして作ったやつ。
世界でただ一つである。
初歩で与えたので位置づけはグレーバッジくらいだろうか。
子供扱いに悔しがるがいい!
レッドは静かに帽子を外してバッジを眺めはじめた。
予想に反して悔しがることも怒ることもなかった。
何を考えているのかわからないので、そんなレッドを見て待っている。
と、レッドが勢いよく顔を上げた。
頑なに視線を合わせようとしなかったとは思えないほど真っ直ぐにこちらを見ていた。
どうしてバッジをくれたのかと聞いてきた。
……意趣返しに悔しがる姿を見たかったとは言えないしなぁ。
レッドの働きを認めて与えた(超意訳)と伝えた。
家がどうとか、お金がどうとか、レッドが言ってきたがよくわからんので否定しておいた。
レッド自身を認めた結果だ(超言い訳……じゃなくて真実)ともう一度伝える。
なんかレッドの頬が朱に染まっていた。
やべぇ、ニコポしちゃった☆
……嘘です、そんな能力ないっす。
なんかバッジが嬉しいようだ。
目もキラキラしてるし、バッジを服で磨き始めた。
仕立てのいい服なのにそんなにしていいのだろうか。
子供ってよくわからんね。
そういえば妹のポムニットもテキトーな物を与えたら喜んでたし。
ブリーダーになるまで帰ってこないでって言われたけど、無性に帰りたくなった。
これがホームシックか……。
日本?
日本っぽい国があるらしく、高値だが日本食なども手に入るので帰れなくても問題ないっす。
そんなこんなで雑用も終了。
昼食時に軽く挨拶、順序がおかしい気がしないでもない。
レッドはレッドのままとなった。
エヴァさんもハムさんもレッドと呼ぶようにするとかなんとか。
まあ、俺くらいになると相手が名乗らなくとも名前がわかってしまうからね☆
その後にエヴァさんによるっょぃブリーダーになるための授業を受ける。
授業内容は結構めんどい。
色々知らないことが多いからしょうがないね。
まあ、一番めんどいのは言語だけど。
表音文字と表意文字のミックスで、基本は表音文字だが、強調するときは表意文字を使う的な感じだ。
こう書くと日本語っぽいのに、どちらかというと英語が近い。
な、めんどいっしょ?
エヴァさんに「モンスターの育成で重要なもの」みたいな問題を出されたので「肉体」と「精神」の疲労、次いで信頼関係とドヤ顔で答える。
疲労、ストレス、恐れ度はモンスターファームと切っても切れない関係だし。
ゲームでのモンスターは寿命が決まっていて、そこからストレスと疲労の値によって決まった寿命が削られていくシステムだ。
この世界も同じっぽい。
最近の研究には円盤石のモンスターごとに寿命が決まっているかもしれないとの話をエヴァさんが確証はないが、と言いながら教えてくれたし。
で、俺の解答は概ね正解とのこと。
ただ付け足すとすれば、「ブリーダーの素質」も必要だと。
俺には問題のないことですね、とドヤ顔。
鼻で笑われた。
そして「おまえ、通常のモンスターと生活できないだろ」と言われた。
……俺に付いてこれないモンスターなど要らないっすよ。
俺は尖りまくりでレッドは素養抜群とか。
言われているレッドは嫌そうな顔をしていたけど。
授業が終わってちょっとした自由時間。
ドラゴンのところで昼寝しようかと外に出る。
……。
レッドがちょこちょこと付いて来る。
自由時間だから何してもいいんだけど、と伝える。
付いてきたいとか。
なんか懐かれた^q^
まあ、勝手がわからないから俺に頼るんだろうと過ごす。
そんな感じで一か月くらい構いながら過ごした。
暇なときは変わらず後ろをちょこちょこついて来る。
やっぱり懐かれたっぽい^q^
なぜだ?
バッジか?
バッジで好感度アップしたのか?
レッド君、ちょっとちょろすぎんよ。
季節が変わり、レッドも大体のことを覚えたが一緒に雑用っぽい手伝いをして、授業を受け、育成の手伝いっぽいことをして過ごした。
以前とあんまり変わってない気がしないでもない。
ハムさんが助手を終え、学校を卒業し、ブリーダーとして独り立ちしたくらいか。
俺も入れ替わりで入学するのかと思ったらエヴァさんに止められた。
後期の4月ならいいらしい。
まあ、桜の花と一緒に入学するのは日本人である俺に合っているし否は無い。
聞いてみたら前期は古い連中が多いとか。
何が古いかって?
派閥とかそういう系っぽい。
大人しく後期入学するわ。
夕食後にドラゴンの背に乗って月見をする。
俺くらいになると「ここの月も同じだな……」みたいなイケメンっぽいことをナチュラルに呟いてしまう。
やはり最強だからね、中二も許されるんだわ。
むしろ中二病じゃない最強とか溶けたガリガリくん、湿気たかっぱえびせん、腐ったカララギマンゴー、モッチーのマンナみたいな感じになってしまう。
マンナって何って?
バケモノに決まってんだろ。
ググったらわかる。
いや、待て。
やっぱりググるの禁止。
……犠牲は、俺だけでいい。
月があって、星があって、太陽があって、四季があって、人間がいて、それ以外がいて……。
そういうのは元の世界とあんまり変わらないんだよね。
違うのはモンスターの有無くらいか。
これが結構大きな違いっぽい。
戦争とか起きたらモンスターの出番だったし。
だから貴族とかが存在するわけで。
強いから活躍する、だから偉い的な。
昔の話で今は違うけど。
かつては優秀な人物のための制度だったかもしれないが、今となってはどうだか。
いつまでも優秀な血を受け継ぐことは……やめよう。
めんどくさいし。
それに、レッドも来たし。
……やっぱり俺に懐きすぎじゃないですかね。
湯上りなのか、ほこほこと湯気を上げているレッドが扉を開けて外に出てくるのが見えた。
ドラゴンにテキトーに戻って寝る様に声をかけてからレッドの方へと向かう。
モンスターに言葉が通じるか知らんが、ゲームだと褒めたら喜ぶし叱ったら落ち込むので、まあ、通じていると仮定していつも話しかけている。
実際、返事っぽく鳴き声という吠えるし、普段もそういった素振りを見せる。
他のモンスターも多々ある。
賢くないモンスターでも一応は意思疎通が取れてると思う。
というか、通じて無かったら試合で指示する意味が無いし。
言語は通じていないが、意思は伝わっている的な結論を出している研究もあるとか。
意図が伝われば、ぶっちゃけ何だって良いと思う。
マジで。
湯冷めするからとレッドの背を押して中に戻る。
何をしていたのかと聞かれたので月と星を見ていたと返す。
故郷と同じようだったけどと付け加える。
レッドも夜空を見たいと言い出したので、窓際まで椅子を運び、座らせる。
髪の毛が濡れたままタオルを巻いているだけなので、乾かす手伝いをする必要があるな、これは。
レッドは俺の故郷が気になるらしい。
ずっと東と答えるのがテンプレか。
東に日本っぽいのあるらしいし、間違えでもない可能性が……あるわけ無い。
そんなことを考えていたら逆に興味を持たれてしまった。
レッドの母親も東の人っぽい、もう亡くなったとか。
俺も両親は(この世界に)いないし、気持ちはわかるかもしれん。
どうかな。
レッドには東のジャパンっぽいところの血が混ざっているとか。
まあ、この綺麗な黒髪を見れば納得である。
結構伸びたので傷つかない様に乾かして艶を保つのも一苦労……なんで俺が苦労しているのだろうか。
結って帽子に仕舞い込むのもコツがいるのだ。
以前、学校に入るまでにはレッドも自分で出来るようになったほうがいいと伝えるとちょっと拗ねられたことがあった、まだまだ子供っぽいところもあるようだ。
同じ様に瞳も黒いのは、黒が優勢遺伝だからってやつだろうか。
知らんけど。
肌は白いので日中とか白黒過ぎて半端ない。
夏場とか日光で死ぬかもしれないので注意が大変だった。
アギとザンの魔法で手から温風を出して髪を乾かしていく。
手は10cm以上離し、風力を強めるのが最大のポイントだ。
髪の毛のキューティクルは痛みやすく熱風に弱い、タオルなどで擦るなど論外だ。
乾かし方としては、髪の毛を乾かすと言うよりも頭皮を乾かす、という表現が近いかもしれない。
頭皮が濡れていると乾かした髪の毛が湿ってしまうし、髪の毛自体は熱に弱く乾くと熱が篭りやすいので先に頭皮を乾かすのだ。
水が垂れてこない様に首筋まわりや耳周り、おでこから徐々につむじを目指す。
くすぐったそうに首を振るレッドの髪を撫でる様に一気に乾かして、髪の毛が湿っている程度で一度熱風を止める。
前にも言ったように髪の毛は熱に弱く、しかも乾くと熱が上がりやすいので、最後は風で水分を飛ばす。
ザンでぶおぉぉぉ、みたいな感じで仕上げる。
念入りに乾かし、前に回るとちょうどレッドと目が合った。
が、逸らされた。
あんまり目を見られるのは好きじゃないとか。
澄んだ黒で俺は好きなんだが。
聞いてみると気分が高揚してくると赤く染まるのが恥ずかしいらしい。
レッドは目が赤くなるとブリーダーとしての能力が100%解放されるクルタ族の可能性が……無いか。
そういえば日中とかモンスターの世話している最中に目が合うと少し赤みがかっているように感じるが、そういう理由だったのか。
血管、というか血液が透けて赤く見えているのかと思っていた。
アルビノ的な感じで。
目を合わせるのを避けていたのが俺の眼光によるものじゃないと知ってテンションがちょっと上がってきた。
赤くなるのか、ちょっと見てみたい気がすると悪乗り。
乾かす手は止めない。
が、まじまじと顔を見つめてみる。
必死に逸らすレッドの顔を髪の毛を乾かすついでに巧みにこちらに向ける。
なかなか目を合わそうとしないので無駄な我慢比べが始まってしまった。
髪を乾かし終えた。
終了かと気が弛んだレッドに、櫛で梳かす旨を伝える。
焦りながら自分でできるとレッドが言うが、大抵は俺がやっているのだから遠慮するなと宥めて梳かしはじめる。
ちょっと楽しくなってきたし。
まあ、寝る前のちょっとしたコミュニケーションってやつだ。
夜更かしは出来ないので一気に勝負を決めに行く。
夜空についての話だ。
「宇宙やばい」から始まる有名なコピペである。
宇宙の無限大な広さに思いを馳せるやつ。
で、夜空に好奇心が湧いたあたりで「アンタレスぱねぇ」で止めを刺す。
太陽よりはるかに大きく、体積も物凄いのだと話をしていく。
実際、この世界でどうなのかは知らんけど。
反射して輝いているのと自ら輝いている惑星は存在しているので問題ないと思う。
メタルナーという宇宙人っぽいのがいるが、むしろ宇宙への憧れを加速させるスパイスでしかない。
レッドに囁くようにメタルナーという宇宙人が感情を知るためにモンスターとしてこの星に来ているという話も重要な前振りとしておく。
仲良くなれば星の海を間近で眺められるかもしれないと言いつつ、最後に「あ、メタルナー」で締める。
やはりまだまだ子供だな、というのがレッドと目が合った俺の感想である。
次いで少し赤みがかっているが、光源がランプなので分かり難いというものだ。
赤くなっているな、とにやりと笑いながら指摘してみる。
見事という他ない鮮やかな紅に変化した。
ルビーのような、とベタな表現になってしまうがそれくらい綺麗な色だった。
それを見て思わず太陽の下で見てみたい、と感嘆の声を漏らしてしまった。
レッドさんがジト目になってしまった^q^
話を聞くとレッド的には目は黒いほうが気に入っている。
が、赤ばかりを褒められてうんたら。
俺はどっちも良いと思うけどね、と言っておこう。
納得していないのかジト目が直らない。
赤い瞳を隠しているつもりなのかもしれないが、これはこれで良い。
どっちがいいかと聞いてきた。
子供って二択が好きだよね。
両方とも綺麗、というのはダメらしい。
究極の二択にクラスチェンジしたんですけど……。
たっぷり推敲して答えを出す。
黒、だな。
光によって輝くような黒のほうがいい。
まあ、赤もときどき見たい気がするけど。
ジト目が直り、瞳も若干黒に戻りつつある。
どうやら許してくれるらしい。
寝るのに適した髪型がわからんので結っているが、翌朝ウェーブになるのがなんだかなぁと思いつつ結局結っておく。
はい、終わりと頭をぽんと叩こうとしたらするりと避けられた。
行き場を失った手を宙に彷徨わせ、握ったり開いたり。
開いておくのも虚しいので軽く拳を握ってみる。
なぜかレッドも軽く手を握って、俺の拳に触れるように当てて、「おやすみ」と自室に戻って行った。
フラれた感が半端ないです。
なんかさびしいので寝酒に現れたエヴァさんの頭を撫でてみた。
めっちゃ叩かれた^q^
雪も融けてそろそろレッドが来てから季節が一回りしそうな時期となった。
あとふた月ないし、ひと月くらいで学校が始まる。
が、忘れていたことが一つ。
そう、入学試験だ。
やべっ。
ま、まあ、エヴァさんの推薦があるから問題ないっしょ。
え?
面接だけじゃなくて記述試験と実技試験がある?
うわぁ……。
そんな感じで落ち込んでいたが試験が迫ってきた。
前日に学校の近くの宿に泊まることになっている、というかエヴァさんに言われているので準備したのだが。
テンション駄々下がりの俺の手を引くのは、反して元気なレッド君。
まだ昼前だから。
早すぎるからという俺の言葉はあまり聞かずにドラゴンの背に乗ってスタンバイ。
行きたくねーとだらだらしているとエヴァさんに尻を蹴られた。
見えた! 黒!
やったぜ^q^
めっちゃ叩かれた^q^
レッドが落ちないように抑えながら街に着いた後にやることを思い返す。
飛行諸々の許可は取っているから着陸した際に向こうで必要な手続きをしなければならないし、試験の確認なども必要だし、宿もあるし、その他もある。
めんどくさいわ。
だるくてしょうがない。
インターネットで簡単登録とかが懐かしいレベル。
円盤石からの再生とかモンスターの冬眠とか変なところで技術が発達している癖にこういった手続きはレトロなんだよなぁ。
新聞とかタイプライター的なやつ使ってるし。
と、思ったら印刷機っぽい存在もあるわけで。
凄いわけわからん。
レッドが魔法について恐る恐るといった様子で聞いてきた。
興味があったのは知ってたが結構シビアな問題だからね、慎重になるのもしょうがない。
とりあえず俺は混血ではないと伝える。
というか、混血でも俺ほどの魔法を使えるわけないじゃん(ないじゃん)
混血が間近にいないとわからんことだろうけど。
一般人でも魔法、というか不思議な力的なやつが使える人がいるっしょ、かなり昔に混ざった的な感じで。
多分それなんじゃね、嘘だけど。
そういえば王族とか貴族に魔法っぽいの使う人がちらほら……。
え?
奇跡?
あっ、はい。
そういうことですね、理解しました。
レッド(あだ名)
本名はなんたらかんたら・ポワゾン。
ぐうの音も出ないほどヒロインしていた気がする。
父との不仲により家出したとかそんな感じな気がするようなしないような。
ポムニット
この世界でオリ主が初めて仲良くなった人物。モンスターとの混血。生命力を吸収する能力を持っており、かつては無差別にうんたらかんたらでオリ主と足して二で割ってちょうどよかった的な感じ。今は自分で制御できる。ムーを倒しに旅立ち、サモンナイト4のようなシナリオを経てムーを倒す気がする。
オリ主
っょぃ。この世界に現れた当初はあふれ出るパゥアーを抑えきれず苦しみ、ポムニットとうんたらかんたらで足して二で割ってちょうどよかった的な感じ。今は自分で制御できる。ムーの片割れで力の大半を持って行った。今後もっと強くなるが意味はない気がする。
ムー
異世界的なサムシングから現れ、いにしえのなんたらで、この世界に生きとし生けるものの始まりで、世界を滅ぼす的なうんたらかんたらだが、かくかくしかじかでオリ主に力の大半を持ってかれた。オリ主に劣るが強大な力を持っており、さらに倒すと一緒にオリ主も死ぬということでポムニットたちを苦しめる。が、オリ主に吸収されて終焉を迎える気がする。たぶんオリ主が殿堂入りするまで生きることができるアトモスフィアを感じる。