烏森の魔女ゲーム〈第3ゲーム〉   作:海神アクアマリン

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第3話

「まさか、今まで犯人だと思っていた優妃と莉亜が死ぬなんてね。」

「リアボリス卿は自分の駒を消して犯人から除外されるようにするのが目的ですか?」

「そんなつもりは無いですよ。それに、『優妃、莉亜の2人は死亡している』こうやって赤で言える私なら無駄なことよ。」

確かに無駄だ。赤で死亡を確定できるなら犯人にはなれない。それなら他に犯人がいるだろう。

「リアボリス卿。あなた、何を考えいるんですか?この未来が実現すれば危険ですよ。」

イポスはどうやら未来を見たようだ。それもイポスがものすごく怒るような未来を見たようだ。

「私は屈辱を晴らすためなら何でもしますよ。それがもしも魔女の命を奪うことだとしてもね。」

リアボリスは一瞬悲しい表情した。もしかしたらクロノエルとリアボリスの知る真実は彼女にとって悲しいものなのかもしれない。

「リアボリスに質問だよ。このゲームのルールはクロノエルのゲームと同じと考えていいかな。」

「クロノエル卿のゲーム盤を借りてますので、ルールはそのままです。さぁ、どこからでもかかってきなさい!」

ルールが一緒なら助かる。第1ゲームと第2ゲームで少し鍛えられている僕にはやりやすい。

「それなら始めよう。バアル、第1の殺人を再構築してくれ。」

「かしこまりました。第1の殺人現場はゲストハウスの客室201号室と203号室です。優妃の遺体を201号室で発見。遺体は胸を開かれ心臓を取られて焼かれてました。莉亜の遺体を203号室で発見。胸と頭に穴が開いてました。そして当時犯行現場は密室でした。」

密室なのはいつも通りだ。しかし、アリバイトリックを得意とするリアボリスは何をしてくるか分からない。

「まずは復唱要求だ。芽琉、薫、奏太、芽亜里は犯人では無い。」

「復唱を拒否。理由は明かさない。」

「それならもう一つ復唱要求。源蔵、秋楽、相馬、紫音、優香、春香、彩芽、蓮司、城助は犯人では無い。」

「それも拒否するわ。理由は明かさない。」

これで一族の誰かが犯人の可能性が高くなった。後は使用人だ。

「さらに復唱要求。隼人、神威、美紅利、弥勒、業、剛座、清美、美代子は犯人では無い。」

「それは受けるわ。『隼人、神威、美紅利、弥勒、業、剛座、清美、美代子は犯人では無い』」

これはマズイ、マスターキーを持つ人間が犯人では無いのが確定してしまった。これだと密室トリックが出来てしまう。クロノエルなら使用人の可能性を残して密室では無い可能性を作るのに、リアボリスは密室トリックがあることを示してきた。これは厄介だ。

「優妃を殺した犯人はその後に莉亜を殺した。この順番に間違いはないかい?」

「その順番で間違い無いよ。儀式通りの順番で殺されるんだからね。」

それなら優妃を殺してから莉亜を殺すトリックを考えないといけない。検死が完璧だとは赤で言われてない以上、正確な時間は分からない。だから、いくつか方法が思いつく。

「それなら、優妃は犯人に指定の時間になったら扉を開けるように言ったんだ。秘密の話があるとか言って開けさせて、犯人は中に入り優妃の口を抑えるか睡眠薬を使ったりして黙らせて胸を開き心臓を取って殺したんだ。その後内側から扉の鍵を閉めて閉じたんだ。あの扉は開いている状態で鍵を閉めてから扉を閉じれば鍵がかかるような仕組みになってるからこのトリックが使える。」

これで優妃のトリックは完成だ。次に考えるのは莉亜のトリックだ。

「次に莉亜だ。莉亜は完全に眠っていたから芽琉が何かしたのかもしれない。」

「ちょっと待ってください。カオル卿、アイムが発言します。復唱要求です。莉亜の遺体は死亡時刻を偽装されていない。」

「うっ。その復唱は拒否するわ。理由は言わないわ。」

「つまり、死亡時刻は偽装されてるわけですね。芽琉が犯人なら時間操作トリックを使うでしょう。客室の冷房を使って死亡時刻を優妃の後にしたのでしょう。どうですか。アイムは時間操作トリックならこれくらいの推理ができます。」

すごい、アイムは僕と違う答えに至った。それにアイムの推理は赤で肯定も否定もどちらさせずに、復唱拒否で封じてしまった。これは僕の出る幕じゃないみたいだ。

「よくやったよ。アイム、褒めてあげるよ。」

「お褒め頂きありがとうございます。」

その時、リアボリスが大声で言った。

「まだだ!時間操作をしたというならどのタイミングで殺したというの!」

「芽琉がいとこ達に顔を見せた時には死んでいたのでしょう。それに芽琉が遺体を発見した時に、叫び声をあげなかったのも気になります。自作自演だからこそ叫び声をあげなかったのでは?」

「きしし、『芽琉は優妃死亡時刻には眠っていた』これで莉亜は可能だとしても優妃は不可能になったわ。」

リアボリスはとても焦っていた。現状はピンチな状態だろう。クロノエルならとっくにリザインしてるだろう。だが、リアボリスは出来る限り逃げようとするようだ。

「莉亜を第2の生贄にするなら対になるものが選ぶ必要がある。莉亜と芽琉が選んだ相手が莉亜なら第2の生贄に選ばれた理由が分かる。それに第1ゲームでは犯人に協力者がいた。それなら今回も犯人は2以上の可能性がある。」

「きしし、『莉亜は第2の生贄である』『優妃は第1の生贄である』それと『犯人は1人では無い』これで推理を訂正できる?」

それなら簡単にできるが、何か妙だ。なんか罠っぽい。

「あぁ、もう一つ赤で言うね。『真犯人は1人である』これは真実であり、共犯を含めて2人以上、真犯人だけで1人である。きしし。」

意味がわからない。なぜそんなことになるのか。決まった共犯はいないということなのか?全くわからない。

リアボリスに突きつけられた犯人と真犯人の人数。おかしな点をいくつも抱えるこの真実を掴み取れるのだろうか?

 


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