僕達は薔薇庭園に来ていた。そこには僕とバアルとイポスとアイム、そして嫉妬の魔女アルクレアがいた。
「まずはこの第3ゲームを乗り切れたことを褒めてあげるわ。でも、次は簡単には勝てないわよ。メルヘリア卿は私が嫉妬するくらい強いんだからね。」
「嫉妬の魔女が嫉妬するなんて、相当な相手だと考えた方がいいね。」
「私は全力で薫さんをサポートします。」
「悪いけど、私とアイムは第4ゲームには参加しません。」
イポスが僕の側によって言った。
「カオル卿。無理しすぎです。悪魔を三人も召喚して維持するにはかなり魔力を消費します。ソロモン72柱の1位と22位と23位なら通常よりたくさん魔力を消費します。それがキツイのは第3ゲーム中顔に出てましたよ。」
「確かに無理をしていたようだ。それならイポスとアイムにはしばらく休んでもらうね。」
「また何かご用があれば呼んでください。すぐにお力になります。」
「私も呼ばれればすぐに駆けつけます。」
そう言って2人は姿を消した。
「さて、そろそろ私がここにきた理由を話そうかな。」
「一体どんな重要な話をするというんですか?」
「とっても大切な話よ。今後のゲームが荒れるかもしれないわ。今のうちにあなたを心中で恨んでいるクロノエルと手を組んだ方がいいかもしれないわ。」
えっ?どういうことだろう。僕がクロノエルに何かしたのか?それとも優妃の時に何かをしてしまったのか?それに今後のゲームが荒れるってどいうことだ。
「南野空と南野零羅を知ってるかしら?南野空はお屋敷に隠れている誰かの隠し子よ。南野零羅はレイラ・クロノエルという未来の魔女よ。どちらも2006年の親族会議には参加しなかったわ。」
「零羅のことは知ってるよ。当時12歳だった莉亜と芽琉の妹で、当日風邪をひいて親族会議を欠席した10歳の女の子だ。空も噂くらいなら聞いたことがある。」
「その2人に魔女が接触したわ。六軒島にも手を出した絶対の魔女ラムダデルタと奇跡の魔女ベルンカステルよ。あの2人はちょっと手を出しただけで、実際に手を出したのは希望の魔女シャンベリアと絶望の魔女ヘルケイズよ。」
あの2人の魔女ならあり得る。あの2人は仲が悪いとバアルから聞きていた。そんな2人なら手駒を用意して、どちらが先に勝つかを賭けていても不思議じゃない。
「言っておくけど、私はいまだにあなたを魔術師に推薦してるわ。あなた次第ですぐに魔術師になれるわよ。そんなあなたに私が旅したカケラの中で見つけた南野空について話すわ。」
そうアルクレアは言って語り始めた。
「あまり言うべきではないと思うけど、南野空は可哀想な人生を歩んでいるわ。お屋敷のどこかに隠されている彼女は最後の親族会議の日に、安全な場所にいたから無事生還できたのよ。他に優妃、莉亜、芽琉も生き残った。しかし、私が見たのはカケラだから真実とは限らない。でも、『南野空は実在する』これは真実よ。それともう一つ『薫と美紅利は2014年では生きている』つまり2人は無事に帰れることが保証されたわ。」
アルクレアが言うことが本当なら僕達はこのゲームで戦って正解だった。優妃は昔から約束は破らない子だった。それは魔女になっても変わらないらしい。
「南野空が誰かの隠し子だと言ったわね。誰の隠し子なのかは言えないわ。言っても信じないだろうからね。でも、南野空はいつも泣いてたわ。一人寂しく隠れて泣いてた。私はそれをいくつもカケラで見たわ。これ以上はクロノエルの邪魔が入るだろうから言えないわ。」
「アルクレア。そこまで空のことを教えてくれてありがとう。ついでに零羅についても話してくれないか。」
「分かったわ。零羅のことも話してあげる。」
アルクレアは一瞬苦々しげな表情をしてから話し始めた。
「零羅は2014年に烏森の真実を探し始めたわ。その際に魔女のいる上層世界と人間の住む下層世界の両方を旅し始めたわ。黒月と白金と創造の魔女として上層世界にやって来た。だからそのうち姿を現わすわ。下層世界の零羅は莉亜と芽琉の遺品からいろいろな情報を得て真実を拾い始めたみたいよ。私は零羅についてこれ以上は知らないわ。」
「零羅のことはまで教えてくれてありがとう。 アルクレアには感謝しかない。」
「言っておくけど、あなた達の運命だって確定されたものじゃないのよ。黒月の魔女なら、あなた達を彼女の求める答えにたどり着かせる気はないわ。そして、絶対に現実世界に帰させない気よ。でも、自分のゲームが荒らされればさすがにあの子もあなたと手を組むはずよ。その時は拒絶せずに絶対に手を組みなさい。これが今私に出来るアドバイスよ。」
「アドバイスまでもらえるなんて恐縮だよ。胸に刻んでおくよ。」
アルクレアは心配そうな顔をしながら何も言わずに姿を消した。
第4ゲームを無事に迎えられるか少し不安が生まれた。南野空とは一体何者なのか。そして、南野零羅はどこで姿を現わすというのだろうか。