どうだ、私は頭がおかしいだろう!?   作:まさきたま(サンキューカッス)

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第九話「呪い」

「よし、ここまでにしとくか。今日はもう帰ってよし、お前も能力の性質の悪さが理解できたみたいだしな。今日の一番大事な話はそこだ」

 

 やっと、長きにわたる勉学の時間は終わりを告げた。

 

 タク先輩はその後、絶望気味の私に追い討ちをかけるように相対性理論の授業を始め。結局私は夕方まで、高校物理を逸脱した高度な内容をひたすらに聞かされ続けた。

 

 何で試験に出ないのにこんな勉強をさせられるのか。何で、わざわざ放課後の時間を割いてまで時空方程式なんて聞いたこともない単語を教えられるのか。

 

「色々と意味が分からない」

「何だ、分かりにくかったならもっかい授業しようか? ちょっと痛いがもう一回、今日を繰り返しとくか?」

「……遠慮します」

 

 見た目とは正反対に知的な話を延々と繰り返す金髪の先輩は、机の上に腰かけたまま皮肉げに笑う。人気の無い筈の古書店の、店員が本を整理する音だけが部屋に響いている。

 

「そう、その暗い顔で良いんだ。能力なんて厄介モンに目覚めまったんだからな」

 

 タク先輩は満足そうに私の顔を見つめ、そう吐き捨てた。今の私はどうやら、かなりひどい顔をしているようだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「マジかぁ……」

 

 帰り道、空はもう暗みを帯びていた。

 

 どうしようもなくブルーな私の口から思わずこぼれたこの言葉こそ、まさに今の気分を完璧に表現した一言だ。

 

 聞いてない。そんな鬱な話、聞いてない。

 

 超能力に目覚めたら、その能力を使って好き放題できるもんだとばかり考えていた。

 

 せいぜい命を狙われたり、能力者同士のバトルに巻き込まれたりする程度のリスクだと思い込んでいた。

 

 もっというと、絶体絶命のピンチで遂に能力に覚醒した私が、強大な敵を打ち破り世界に平和を取り戻す中二病的な妄想までしていた。

 

 タク先輩が言うには、私達が手にしたのは能力というよりは呪いの類だとか。こんなもんには一生目覚めない方が幸せなのだそうだ。

 

 だが能力に目覚めてしまったからには、制御出来るようにならないとさらに悲惨な目に合う。そんな破滅の袋小路に迷い混んでしまっているのが、今の私の状況だ。

 

「マジかぁ……」

 

 意外にも紳士的に駅まで送ってくれたタク先輩と別れ、私は人の少ないホームで一人、頭を抱えていた。

 

 ただでさえ、今日はイベント盛り沢山で疲労が溜まっていた。ヒロシの告白の返事から始まり、知りたくなかった能力の裏事情を教えられ、おまけに相対性理論の授業を延々と繰り返され。

 

『後輩、時間逆行以外の非現実的な事態が発生したら即座に俺に連絡しろ。いや、やっぱ時間逆行が起きても連絡してくれ、お前自身が引き起こしたかもしれないからな。お前の背負い込んだ呪いの正体が判明したら、対策も取りやすくなる』

 

 別れ際、呪われた我が先輩はこんなことをのたまった。

 

 これから私は、常に周囲に気を配らなければならないのだ。どんな些細な変化でも、それが私の能力に関係するかも知れない。風が吹けば能力を疑い、水が滴れば呪いの可能性を考える。

 

 うーん、ストレスフルだ。私は今、日本一気苦労の多いJKでは無いだろうか。せっかくの美少女マリキューちゃんも、眉間にシワが寄ってしまっては台無しだ。ネタキャラとして生きていくためにも、顔は常に笑顔でないと。

 

 私は負けん。辛い運命なんかに屈したりせず、笑顔のまま生きていくんだ。

 

 そうと決まれば面白いことを考えよう。明日は仲の良い女子を集めて女子会でも開くか。ちょうど、昨日の泉先輩の所業について相談したいし。

 

 少なくとも、ヒロシの告白を断るに至った泉先輩の一件はかなりストレスになっている。昨日はモヤモヤして、よく寝れなかった。

 

 アレってかなり汚い行為じゃないか? 少しきつい言い方になるけど、ド畜生以外のなんでもないだろ泉先輩。優柔不断な私を責めたくせして、泉先輩本人は自分の事しか考えてないじゃん。先輩なら、ヒロシの恋を応援してやれよ。

 

 思い返すとなんか、スゲー腹が立ってきた。いかん、誰かに話さずにはいられない。カナとかその辺相談しやすいし、ついでに奴の悪評も広めてくれるかもしれん。私も率先して泉先輩の陰口を広めてやろう。

 

 それくらいの報復、良いよね。悪いのは泉先輩だし────

 

「……マリキューちゃん?」

「っえ!?」

 

 色々疲れていたからだろうか。その時私は、妙に苛立っていた。駅のホームの待ち時間、フツフツと沸き上がるどす黒い感情を持て余していた。

 

 そんな折、寒気がする猫なで声が背後から聞こえてきて。

 

 振り向くと、今まさに憎悪に狂っていた相手、にっくき泉小夜が私の顔のその先にいた。

 

「ちょ、マリキュー!?」

「あらら、マリキューちゃんもお出掛けしてましたかー?」

 

 それだけではない。

 

 泉小夜は、一人ではなかった。満面の笑みを浮かべて私を見つめながら、一人の男に抱き着いていた。

 

 気まずそうに目線を漂わせながら、泉小夜に密着されているその男は、まぎれもなく。

 

「ヒロシ?」

「……よ、よお」

 

 昼間に振ったばかりの、私が今最も顔を合わせたくない男。即ち、ヒロシその人だった。

 

 

 

「今日は随分地味な格好なのですね、マリキューちゃん」

 

 そんな私とヒロシの気まずさを知ってか知らずか。泉小夜は、いつもの如く気安げに話しかけてくる。

 

 泉小夜の姿は、あざといフリルのワンピースに胸元を大きく開いた、男を落とすためだけの戦闘衣装だ。Tシャツジーンズの私とは正反対である。

 

「……ええ、塾帰りでしてね。学校では常日頃から派手な行動をしてはいますが、この時間に変なことをすると職質されるので地味な姿なんです」

「流石マリキューちゃんです。職質について知り尽くしているのですね」

 

 

 クスクス、とおかしそうに笑みを浮かべる泉小夜。おいお前、何がそんなに面白いんだ? ひょっとして私を馬鹿にしてるのか?

 

 

「あ、それとねマリキューちゃん。ひとつ報告が有るのですよー」

「報告?」

「先輩、ちょっ!?」

 

 いかん。コイツと面と向かってしゃべると、ますます苛立ちが収まらない。気持ちが整理できるまで会いたくなかったなぁ。思わず罵倒してしまい、ヒロシに性格悪いとか思われたらどうしよう。

 

 とりあえず、何か言いたいことがあるらしい泉小夜に暫く喋ってもらって……

 

「私達、今日から付き合うことになったのです~」

 

 そして、私の頭は真っ白になった。

 

 

 

 

 ……。

 

 付き合う、ねぇ。

 

 私達付き合うことになりました? つまり、泉小夜と、ヒロシが付き合い始めたの?

 

 ……へぇぇ。

 

 

「……ねぇヒロシ、ちょっとそれは腹が立つかな。今日私の返事聞いた直後だよね?」

「そ、そうなんだが。すまんマリキュー、その」

「私への告白は、粉をかけただけだったの? 断られたらその日のうちに、次の娘にアタック?」

「いや、違うんだ。た、確かにそう見えるかもしれんが」

 

 

 だめだ。感情が荒らぶって、押さえきれない。

 

 何だこの、心の奥底から沸き立つどうしようもない黒い感情は。先ほどまで泉小夜に対して感じていた「憎悪」とは違う。

 

 悔しさ? 悲しさ? 苛立ち? 

 

 おかしいな。私はヒロシが誰と付き合おうと激怒する必要性もないし、文句を言う資格もない筈なんだが。ダメだ、我慢できない、感情が高ぶってくる。

 

 

 

「ひょっとして私に断られるのを待ってたのかな。ごめんね、ずいぶん返事をするのに時間がかかって。さっさと振ってあげれば良かったかな」

「あ、その、マリキュー違う────」

「どうどう、マリキューちゃん落ち着くのです。私から強引に迫っただけなので、ヒロシをそう責めないであげてください」

 

 不快な声で笑いかけてくる泉小夜は、ヒロシを庇う様に私の前へと割って入る。ヒロシの首筋に、手をかけたまま。

 

「私の想いが成就した、それだけの話ですよ」

 

 鳥肌が立ちそうな猫なで声で、この女はぬけぬけとそう言い放ったのだ。

 

 ……私の脳内で、何かが切れる音がした。半笑いのまま、ヒロシの腕に抱きついた状態で話す泉小夜(クソビッチ)。おぞましい。吐き気がする。

 

 何より許せないのは。泉小夜の私を見つめるその表情が、その顔が────

 

 

「それに、マリキューちゃんはヒロシをもう振ったのでしょう? なら貴女にはもう関係ないじゃないですか」

 

 

 まぎれもなく、私を見下していた。

 

 

 

 

 ぶちまけてやろうか。昨日のお前の、汚い策謀を。あのふざけた提案を。

 

 お前に何をされるか分からなかったから、私はヒロシを振らされた。下賤で、粗暴、愚鈍、無様なその所業。その事実を突きつければ、少しはその余裕の表情も揺らぐだろうか────

 

 燃える。

 

 私の中の熱い何かが、グツグツと込み上げてくる。感情が炎となって、私の全身を焼き焦がしている。

 

 

 

 

 

「すまん、マリキュー。お前への告白は嘘とかじゃない。でも、今好きなのは泉先輩なんだ」

 

 

 

 

 そんな、マグマの如く煮立っていた私の心を氷点下に冷やしたのは、他でもないヒロシの独白だった。

 

 

「結構期待してたんだ、マリキューの反応も悪くなかったしさ。振られたの、本気でショックでさ。情けないことに俺は周囲に当たりつくして、愚痴り倒したんだ。その時、泉さんはニコニコ笑って、ずっと俺の愚痴受け止めてくれた」

 

 ……。

 

「前々から好きだって言われてたこともあって、1度付き合ってみるとこにしたんだ。不誠実に見えるだろうし、俺が嫌いになったならそれでも構わない。ごめん、マリキュー」

 

 それは、予定通りの行動。泉小夜は、振られて弱ったヒロシの心に付け込んで、優しく慰め、取り入った。

 

 ヒロシは単純だ。だが誠実で、真っ直ぐで、熱い情熱を持つ男。この女の姦計を見抜けるはずもない。彼は純粋に、慰めてくれた泉小夜に感謝しただけ。

 

 結局、全て泉小夜の目論見通り。今まで私に向いていたヒロシのその熱い感情は今、泉小夜に向いた。それだけの話だ。

 

 

 

 

 

 

 

 ────言葉が出ない。脳天をバットでぶん殴られたような、衝撃が走る。

 

 涙腺が腫れ上がり、涙が溢れそうになる。体の芯まで火照ってきて、上手に息が出来なくなる。

 

 なんだ、これは。私は、何にそんなに衝撃を受けているんだ? 泉小夜に良い様にされた悔しさ? ヒロシが騙されてしまったことへの罪悪感?

 

 ……違う。これは、この感情は。まさか、私はひょっとして。

 

 

 

 ────ヒロシのこと、本気で好きだったんだ。

 

 

 

「勝手なこと言うけどさ。俺、恋心とか抜きにしてもマリキューとは仲良くしていたい。お前と一緒に居るの、なんだかんだ楽しいんだわ」

「────そ、か」

「月曜日から、その、良ければまた一緒に遊ぼうぜ」

「うん、う、────ん」

 

 

 馬鹿じゃないのか。

 

 私は、馬鹿じゃないのか。大事なものは失って初めて気付くって、そんなのドラマでしょっちゅう聞いたセリフだろ。

 

 なのに、何で気付いていなかったんだ。何で────

 

「マリキュー? ど、どうした?」

「何でも、何でもない」

 

 やめてくれ。今は私に話しかけないでくれ。

 

 ふざけるな。ああ、私はバカだった。気づけよ、それくらい。こんなに、こんなにもヒロシが近くにいることに、安心感を覚えていたじゃないか。

 

 泉小夜のせいだけじゃない。私がとっとと気持ちに気付いて、ヒロシに返事をしていれば、そうしたら。

 

「ちょっ、え、涙? マリキュー、マジで何が────」

 

 でも、もう遅い。何もかもがもう遅い。もう、ヒロシは泉小夜(クソビッチ)に奪われてしまって────

 

 

 

 

 

 

 

「────っ!? あ、熱っ!?」

 

 

 

 

 

 涙があふれたその瞬間。私は目の前に、凄まじい熱源を感知した。

 

 ヒロシも同様だ。いや、ヒロシに至ってはその『熱い何か』に接触していたようで、叫び声をあげ、着火した服の袖を払っている。

 

 幸いにも、ヒロシについた火はすぐに消えたが。息を整えるヒロシの服の袖は焼け焦げ、小範囲が焼き切れていた。

 

 

「ヒッ、ヒロシ、どうしたの?」

「いや、なんか手が急にめっちゃ熱くて……痛て、見てくれマリキュー、赤くなってる」

 

 嗚咽がしゃくりあげるのを堪え、私はヒロシの焦げた腕先を見る。

 

 痛そうに顔を歪ませるヒロシのその腕は、破れた服の間からピンク色の皮膚が覗いていた。

 

「……火傷?」

「みたいだな。誰だ、こんなとこで火なんか扱った奴は……。喫煙所があるだろ────」 

 

 

 駅のホームで、未だに堂々と煙草を吸いだすマナーの悪い人種は少なからずいる。そんな悪漢が、ヒロシの服をたまたま燃やしてしまったのだろう。

 

 ……火傷をしたヒロシには悪いが、少し助かった。零れる涙を何とか拭いさる時間が稼げた。

 

 どうせなら泉小夜が火傷してくれると、なお素晴らしかったのだが。

 

 うん? そういえばその、泉小夜はどこだ?

 

 

「……泉さん、いなくなった?」

「あれ、本当だ。泉先輩、何処ですか────」

 

 

 つい先ほどまで、ずっとヒロシの腕にしがみ付いて媚びを売っていた泉小夜。私とヒロシが話をしているときもずっと、ニヤニヤと笑って私を見下していた女。

 

 そんな彼女は、突如として私たちの目の前から消え去った。ここは駅のホーム上で、隠れる場所もない。駅のホームにはちらちらと人影はある。だが、人混みというほど多くはない。あの目立つ洒落た服を着た泉小夜を、こうも一瞬で見失うなんてありえない。

 

 

 

「……、ぁぁぁ」

 

 

 掠れた声が、何処かから響く。ゾンビ映画のうめき声みたいな、不気味な声だ。

 

 泉小夜の、悪戯か? あの性悪女は、こんな状況で人をからかおうとどこかに隠れたのか? 何処だ、何処にいる。

 

 ああ、分かった。駅のホーム上で身を隠せる場所があるとすれば。立っている私達が、彼女を見失ってしまう位置といえば。

 

 それは、線路上しかありえない。

 

 

 

 

「……ぇ、けてぇ……」

 

 

 線路上に、ソイツはいた。

 

 おぞましい化け物だ。火に包まれて蠢く、映画に出てくるモンスターだ。

 

 皮膚はドロドロに溶け、全身の所々が赤く腫れあがり、部位によっては炭化してしまっている。乾ききった枯れ声で呻きながら、線路の上をモゾモゾとはい回る、人の形をした何か。

 

 まさか、人なのか。アレが人だというのであれば、一際激しく燃えているあの丸いものは、頭なのだろうか。

 

 ああ。見えた。見えてしまった、その人物の顔が。焔に包まれ渇き、白く濁ったその目からは、何の表情も読み取れない。口はパクパクと陸に上がった魚のように、何かを求めて動き続ける。赤く腫れ上がったその人の両手は、何かを探し左右へと揺れていた。

 

 そして私は、僅かに燃え残ったその人物の服から、その正体に思い至った。

 

 

 

「────泉、先輩?」

 

 

 

 

 あの、白いフリルのついた切れ端はまぎれもなく、泉小夜の身に着けていたものだ。

 

 その瞬間に、火傷だらけの顔が泉小夜とリンクする。間違いない。あの、大やけどを負って線路に転落した女は、泉小夜に相違ない。

 

 

「は? え、ちょっ……」

「っ!! 警報だ! 誰か、警報をならしてくれ! 人が線路内に落ちてる!」

 

 混乱した私は、どうすれば良いか分からず右往左往した。一方でヒロシは、緊急停止信号を鳴らすように怒鳴る。

 

 だが、間が悪い。停止ボタン付近に乗客は居らず、そこから比較的近くにいた人達は怪訝そうにこちらを見るだけで動かない。

 

「くそったれ!!」

 

 ふがいない周囲の人物に悪態をつきながら、ヒロシは緊急停止ボタンへと走りだした。私は、混乱しつつも大声で駅員を呼びつけて、線路の下で燃えている泉小夜を指差して────

 

 

 水風船が破裂するような音と共に、赤い血飛沫をあげてトマトのように踏みつぶされた泉小夜を、しっかり見てしまった。

 

 一拍遅れて、通過する列車が風を起こし。急停車する電車を見つめ、私はへなへなとその場にうずくまって、そして静かに嘔吐した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「事情は分かった。明日、すぐに部室に来い」

 

 私が警察のあれこれから解放されたのは、深夜近くになってからだった。家まで警察に送ってもらい、そして私はタク先輩へと電話を繋ぐ。

 

「いつ火がついたかは分かんねぇんだな」

「ええ。私もヒロシも気付かない間に、突然火がつくなんて変です」

 

 そうか。これか。

 

 今までの、巻き込まれただけとは違う、加害者としての感覚。

 

 意味が分からない非日常。周囲を巻き込んでしまっただろう罪悪感。

 

 

「確かに変だな、後輩。ようし分かった、後は任せろ」

 

 

 深夜にいきなり電話を掛けたと言うのに、タク先輩は気を悪くした様子もなく、私の話を聞いてくれた。 

 

 

 

 ────私は今日、泉小夜を呪った。

 

 呪った結果、泉小夜は凄まじく哀れな末期となった。

 

 

「先輩。その、ごめんなさい」

「良いって、今日はもう寝ろ。そして今日(あした)の朝、改めて話しよーぜ」

 

 

 これが、私の能力によって引き起こされたものだとするならば。私は今日、初めて人を、自分の手で殺したのだ。

 

 そして。私のその不始末を何とかするために、タク先輩は自殺をしてくれる。

 

 やがて。通話の先で、銃声が聞こえて。不協和音と共に、時間の逆行が始まって。

 

 私は胸いっぱいの罪悪感に震え、自分の引き起こした現象を恐れながらも、布団に入ればすぐ疲労であっさりと意識を失った。

 

 ────時間は金曜日の夜へと、巻き戻る。




新年度忙しすぎるので、次回更新は未定とします。
1週間以内に書き上げれたら、更新いたします。

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