転生したら厄介事が付きもの 〜お約束に手を出すとロクな事にはなりません〜   作:ち~やん

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砂漠は水はけが悪いそうです。






第10話 魔力を制御する。そんなお話。

 

 

「みず......みずがほしい......。」

 

 砂漠の中に一つ、人影があった。そして......

 

 

「みず......バタッ。」

 

 倒れた。

 

 

「みずがほしいよお。のどかわいたよお......。」

 

 僕である。そしてこの通り、水がない。ストックしておいたお茶はとうに無くなり......無くなり......なく......そうだ!魔法で作ればいいん......。魔法......。

 

 MPは5しか無い。魔法を使うために必要な魔力の制御はできない。......あ、やば。これハイエナに追われたときよりピンチかも。

 

 

「くそー!まりょくせいぎょ〜!まりょくせいぎょ〜!」

 

 叫んでみる。......何も起こらない。

 

 

「ま、りょ、く、せ、い、ぎょ〜!くそー!......はあ。余計喉乾いた。」

 

 何でできないんだ。解せぬ。というか喉乾いた。

 

 

「魔力制御も【俊足(ダッシュ)】みたいにできればなぁ。」

 

 サルのときにお世話になった、あのスキルだ。......ん?スキル?

 

 

「【魔力制御】......っ!」

 

 できましたー。うぇ~い。のこりMPは3で〜す。うぇ~い。

 

 ......本格的に精神が壊れる前に、水を出す。

 

 

「確か詠唱は......。【水となりて顕現せよ。水球(ウォーター)。】」

 

 詠唱をすると、目の前に水の玉が浮かぶ。そして......落ちた。

 

 ......ここ砂漠。下は砂。ドゥーユーアンダースタンッ?

 

 

「貴重なMPが!」

 

 また魔法を使う。今度はちゃんと容器を用意した。転移してきたとき饅頭と一緒にあったお茶のペットボトルだ。MP、君の犠牲は忘れないよ。......数分間は。

 

 そして残りのMPは1。もう魔法は使えない。そんなときに、奴らは来た。

 

 

「「「「グルゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!!」」」」

 

 勘弁して下さいよー!ハイエナ先輩!もうすぐ夜なんすよー!早く寝床探したいんですよー!わかります?

 

 

「「「「ガゥルルルルルルルル!!!!」」」」

 

 アッハイ。逃げたほうが良いっすね。

 

 

 「クソヤロー!ろくでなしー!」

 

 僕は全力で逃げた。

 

 

 

 

 

****************

 

 

 

 

 

「つまり、アルフレッド。お前は、魔王以上の存在が何もない砂漠に()()現れ、見たこともない大魔法を撃って消えたと?そういうことを言いたいのか?」

 

「まあ、要するにそうです。」

 

 ここはオアシスの街「フロント」の冒険者ギルド、その2階にあるマスタールーム。俺は、隊商(キャラバン)の護衛依頼の失敗とその隊商(キャラバン)が行方不明だという件、それに例の謎の大魔法のことを報告していた。

 

 

「にわかには信じられないが......。仮にもAランク冒険者が嘘をつくとは考えられんな。」

 

「俺もまだ夢を見ているみたいですよ。あんな魔法が存在するなんて......。」

 

 報告相手はギルドマスター。ここのギルドマスターに直接会うのはこれが初めてだ。

 

 

「確か魔王以上といったな。......お前の意見で良い。率直に言ってそれを倒すにはどれくらいの戦力が必要だ?」

 

「......」

 

 耳を疑う。アレを倒す?あれだけの大魔法を操る化け物を?

 

 

「いや何、今すぐというわけではない。他の商人の安全の確保のためにも、まずは調査を行う。だから安心してくれ。」

 

「......わかりました。率直に言います。......あの魔法は地平線の向こう側で放たれたものですが、俺らのパーティーは耐えるので精一杯でした。もう一発放たれるか、それとも、もう少し近かったら......。どちらにせよ、俺らの命はなかったでしょう。Aランクの俺たちでさえこうです。SSランク級になってようやく同じ土俵に上がれる......そういうレベルでしょう。アレは。」

 

「......」

 

 今度は、ギルドマスターが黙る番だった。

 

 

「......アルフレッド。」

 

「はい。」

 

「調査隊だが......、お前らに先導を任せたいと思っている。」

 

「......はい。」

 

「実力的にも、お前らにしか頼めないんだ。もちろんリスクに見合った報酬は出す。何もいなかったならそれでいい。爆発地点まで調査して帰ってくるだけだ。それに危険だと判断したら、戻ってきても報酬は払う。どうだ?」

 

「そんなこと言われなくてもやりますよ。......それにどちらにしろ、俺らにしか案内できませんしね。」

 

「......助かる。」

 

 こうして俺は、マスタールームを出た。1階に降りると、イリスとウッディがいる。

 

 

「さて、良い知らせと悪い知らせがある。お前らはどっちを先に聞きたい?」

 

「ん〜。良い知らせ、かな?」

 

「同じだ。」

 

 どうやら二人は良い知らせから聞きたいようだ。

 

 

「わかった。......良い知らせは、例の魔法の件で調査隊が結成されることになった。調査が終われば帰れる。」

 

「うぇ~。それって何ヶ月後?」

 

「早く終われば2週間ほどで帰れる。」

 

「2週間か〜。」

 

 2週間の宿生活は、かなり懐に響く。一応Aランクのパーティーとはいえ、収入はほとんど食事代と装備代で消えていくのだ。

 

 

「悪い知らせは、その調査隊の中心が俺らだということだ。」

 

「ええ!?聞いてないよ!」

 

「今決まったことだ。」

 

 調査隊の案内兼護衛。それがギルドマスターから頼まれた仕事だ。

 

 

「でも、相手は魔王以上の力の持ち主でしょ?死なない?」

 

「逃げても良い、とギルマスは言っていた。」

 

 とここで、ずっと黙っていたウッディが口を開く。

 

 

「俺らの目的は調査であって討伐ではない。最悪逃げ帰っても報酬は支払われる、そういうことだろ?違うか?」

 

「違わないな。」

 

「なら選択肢は一つしか無い。この依頼は受けるしかないだろう。」

 

「どちらにしろ、な。」

 

「え?もう決定したの?嘘でしょ?」

 

 若干一名焦っているが、調査しないと帰れないのだから仕方がないことだ。

 

「だって魔王以上だよ?遠回りしてでも良いから今すぐ帰ろうよ!ねえ、聞いてる?」

 

 

 

 

 その()()()()が今はハイエナに追われているなど、誰も知る由はない......。まだ、今は。

 

 

 

 

 

 




厄介事の予感?
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