転生したら厄介事が付きもの 〜お約束に手を出すとロクな事にはなりません〜 作:ち~やん
「はい、どうも皆さん!こんばんは!と言っても今が何時かはわかりませんケドね〜。とまあそんなことはさておき、本日のディナーはトカゲ肉のステーキ、デザートはスライムのゼリーになります!どちらも今日!このダンジョンで獲れた!新鮮な食材を使っております!調味料は迷宮グモのスパイスだけですが、その味は一級品!ダンジョンに入ったら一度は食べておきたい一品です!......じゃねーよぉぉぉぉぉ!」
ダンジョンにこだまする声。僕だ。目の前には、焼いたリザードマンの肉。......こんなことになったのには訳がある。そしてそれは、3週間前にさかのぼって......。
****************
〜3週間前〜
「ヒャッハー!蜘蛛無双だ〜!ってキモい!」
僕はクモに追われていた。クモといっても体長2M強のダンジョン産モンスター、【ダンジョンタランチュラ】だけど。
僕は後ろを振り向いて、魔法を唱える。
「【水となりて顕現せよ!
流されていくクモ達。キモい。......今日はずっとこんな調子だ。
最初にこのダンジョンに落ちてきたとき、僕はクモを轢き殺してしまった。しかもそれがLv30の大物だったため、今こうして、その配下のクモ達に復讐を受けている。配下といってもLv20を超えている個体も多く、一匹ずつ倒すのはMPの無駄。だから流す。永遠と、トイレのように。だがここはクモ達の縄張り。流されてもすぐ復帰し、近道を通って現れる。......仲間を引き連れて。そうしてねずみ算式に増えていくクモの波を流す。流す。流す。流す。
流す。流す。流す。なが......
「あれ?」
いつの間にか、クモの群れは消えていた。何時間流し続けていただろう、【
「終わったか......。汗かいた。お風呂入りたい。」
ということで、浴槽を作る。え?ここはダンジョンの中だって?......関係ない。これは土魔法の練習。そう。きっとそうだ。
「こんなもんか。」
土魔法の技【
「よっしゃぁぁぁぁ!!お~ふろだ~あ!」
着ている服を脱ぎ捨て、湯船に突入......の前に、体を流す。水魔法で。ちなみにその服装は黒のシャツに黒のズボン、黒の防具に黒のブーツ、それに黒のハーフマント。恐らく転送されたときに作られた憑依体の服だろうが、見事に全身黒ずくめ。怪しい。
「と〜つげ~き!」
湯船に入った。
「......」
おおっ!気持ちいい!やっぱり風呂は最高だ!風呂を発明した人に感謝!
僕が日本人的感動を味わっていると、向こうから何か来た。【
【リザードマンLv50】
[トカゲのような鱗に覆われた人型中レベルモンスター。知能が高く、剣を扱うことができる。また、以外にもその肉は美味。推奨討伐ランクC〜]
その肉は美味。その肉は美味。その肉は美味。ふむ。そういえばずっと何も食べていない。そして今手元には食糧がない。ここダンジョン。弱肉強食の世界。やっちゃう?やっちゃえ!......何が言いたいのかわかるかね、アンダーソン君。
「ということで今日の食材はお前じゃボケー!」
「ガァッ!?」
湯船の中から炎の矢で攻撃する。リザードマンの頭が一撃で吹き飛ぶ。傷口は焼かれ血は出ない。......我ながら完璧。
10分ほど時間をかけてお風呂を堪能する。その間に2回リザードマンが来たが、どちらも一撃で食材に変わった。
「ふう。気持ちよかった。というか肉ってどうやって捌けばいいんだろう。」
風呂から上がって着替えていると、肝心なことに気がつく。僕はリザードマンの捌き方なんて知らない。というか多分地球の誰もが知らない。どうしたらいいんだ。
「ハイエナの肉......は、いつの間にかインベントリに入ってたしなぁ。」
インベントリ。メニューにある謎システム。エネルギー保存の法則が云々みたいな理由で、そんなものは実現できないはずなんだけど。......あ、だから謎システムなのか。メニュー。
「......ん?メニュー?」
そういえばメニューにはまだ項目があったはずだ。ログ、アイテム合成、ショップ、設定。......この4つの項目は、まだチェックしていない。とりあえず邪魔なリザードマンをインベントリにしまい、アイテム合成の画面を開く。
[アイテム合成メニュー]
〈調合〉
〈料理〉
〈強化〉
〈進化〉
〈新アイテム製造〉
あった。他に聞き捨てならない単語がいくつかあるが、今は放置。迷わず料理の画面を開いた。
[料理メニュー]
〈所持材料〉
【真水】
【デバスターズの肉×5】
【リザードマンの死体×3】
〈完成品〉
【リザードマンの肉×1】(リザードマンの死体×1)
えーと。こんな簡単でいいの?え?いいって?へーそうなんだー。
「ぽちっとな。」
完成した。リザードマンの肉。
「火で炙るか〜。塩も胡椒もないけど。」
そして焼くのはもちろん火魔法で。どんな異世界菌が潜んでいるかわからないので、念入りに焼く。そして、できた。リザードマンの厚ステーキ(スパイス無し、ソース無し)が。
「ごくり。」
異世界初のまともな食事を口に持っていく。手づかみだが、誰も見ていないから行儀なんか関係ない。そしてその味は......
「普通」
普通だった。よく考えたら、味付けも何もしていない肉が美味しいわけがなかった。
「でもこれでいいや。」
量だけはあるので、お腹に入るだけ詰め込む。......こうして、異世界初のまともな食事は微妙な結果に終わった。