転生したら厄介事が付きもの 〜お約束に手を出すとロクな事にはなりません〜 作:ち~やん
「チュドォォォォォォン!!」
森に響く爆音。吹っ飛ばされるゴブリンたち。
〈固有名:利上 優Lv57が、利上 優Lv58に進化しました。〉
「ドォォォォォォン!!」
上がる炎。撃ち落とされるワイバーン。
〈固有名:利上 優Lv58が、利上 優Lv59に進化しました。〉
そしてその中心にいるのが、僕だ。幼女の姿でお風呂に入っているのはスルーして欲しい。
「ガァァァァァ!!」
鬼のようなモンスターや、でかいアリやハチらしきモンスターもいるが、全て一撃で吹き飛ぶ。弱い。
「こいつら弱いなー。あの角のおじさんが強かっただけかー。」
ステータスを見るのを忘れていたが、あのおじさん、間違いなく4ケタはいっている。ゴーレムも合わせるとかなりの戦力だ。
......おっと。いつの間にかモンスターがいなくなってしまった。これでようやくゆっくりと浸かれる。
「......」
あ、なんか眠気が。......そういえば【疲労無効】の効果でもう何日も寝ていない。
「少し寝よう。」
寝ることにした。え?風呂で寝るなって?すぐ起きるからだいZZZzzz......。
****************
「モンスターが出ないな。」
「言われてみればそうですね。会長。」
森の中を進む馬。会長、と呼ばれているのは二番目の馬に乗る男だ。
「普段なら出てもおかしくは無いんだが.......」
身なりの良い服に豊かな腹。それだけでもこの男の身分の良さが伺える。それもそのはず、この男はオイゲニア共和国の首都に店舗を持つ有名な商会の会長だからだ。古い友人に会いに行った帰りも、男にとっては今では見慣れた道だった。
「何にせよ良いことじゃないですか。見てください、護衛も退屈してますよ。」
先頭の馬を進める男は商会の幹部。そして会長と呼ばれる男の息子でもあった。とその時、護衛の一人が彼に近寄る。
「どうした?」
「その、森の中で強い気配を感じました。このまま進むなら、恐らく戦闘になるかと。」
「避けることはできないのか?」
「できないことはないですが......かなり危険です。」
「ならばできるだけ安全な方で頼む。何かあったらまた知らせてくれ。」
「わかりました。」
彼としてはモンスターとの戦闘はなんとも避けたいところではあった。が、森を通る以上は仕方のないことだと諦める。
「かいちょ......」
男が護衛からの忠告を伝えようとした、その時。森の中に咆哮が轟いた。
「グガアァァァァァァッ!!」
木々の枝葉は揺れ、辺りの空気が変わる。
「何だ!?近づいてくるぞ!」
「会長を守れ!」
「......何だあれは!?」
「でかいぞ!!」
そしてそれは、混乱に陥る彼らの前に姿を表した。
「グガアァァァァァァ!!」
「「ドラゴン!?」」
それは、龍だった。正確にはドラゴン。その中でも素早さと攻撃力の高い「風龍」と呼ばれる種だった。
「「「「「「......」」」」」」
男たちは皆、息を呑む。次の瞬間。
「......う、」
「うわぁぁぁぁ!」
「ドラゴンだ!」
「逃げろぉぉぉ!」
蜘蛛の子を散らすように、逃げ惑う。そして龍は、獲物を見定める。
「ひっ......!」
二人の男と目が合う。会長と、その息子だ。
「逃げろ!」
「は、はい!」
二人は馬の手綱を手に取って逃げようとするが、馬と風龍では速さが比べ物にならない。すぐにドラゴンは追ってきた。
「はあっ。はあっ。」
「会長!もっとスピードを!」
「......もう体力が、持たない。」
「会長!」
会長と呼ばれる男の馬の、速度が落ちる。
「こんな時くらい......父親として呼んでくれ......。」
「かい......父さん!早く!」
「はあっ。......もう駄目だ。よく聞け。この先に開けた場所がある。私は別の道を行くから、その隙にお前だけでも逃げてくれ。」
「そんなっ!」
馬は今にも追いつかれそうだ。
風龍が足と翼に力を込め、飛び上がる。そしてそのまま二人に突っ込むようにして......黒い何かが風龍の頭を吹き飛ばした。
「「っ!?」」
固まる二人。そして、ゆっくりとその
お湯に浸かる幼女がいた。
****************
びっくりした。寝ていたらすごい音がしたから飛び起きると、何かがすごいスピードでこっちに向かってきていた。何やら緑色のドラゴンのようだ。よく見ると男が二人、追われている。
すると突然ドラゴンが飛び上がって男たちに突っ込もうとしたので、闇弾で頭を吹き飛ばした。ようやく人間を見つけたのにそう簡単に死んでもらっちゃあ困るからね。
そうしたら、今度は二人がこっちを向いて固まっている。あ、よく考えたら今裸だ。
「しかも幼女だしね。」
何でこうなったのかは僕にもわからないが。とにかく人気のない場所で裸の幼女と二人の男が向き合っているわけだ。ここだけ聞くと、かなり危険な状況といえる。
と、二人の男が近づいてきた。
「ええっ!?まさか本当に......そんなわけないか。」
でもまずい状況には変わらない。さて、どうしようかな~。