転生したら厄介事が付きもの 〜お約束に手を出すとロクな事にはなりません〜   作:ち~やん

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朝早く起きるのってキツくないですか?




第一章 異世界ってこんなところ
第1話 お約束はなかなかハード。そんなお話


 

 

 僕、利上優(りがみすぐる)は毎朝5時に起きることにしている。僕の通っている高校は家の近くにある都立の学校で、入学するにはそれなりの学力が必要だった。早起きは受験勉強をしていた頃からの習慣のようなもの。

 

 

「お、スグ。おはよう。」

 

「うん、おはよう。」

 

 

 そして自慢ではないが、僕は友達は多い方。友達にはスグというあだ名で呼ばれている。見た目も平均よりは上だという自信があるし、成績も平均順位を切ったことは一度もない。学校生活で唯一苦手なことは運動くらいだ。

 

 そして今日も教師の適当に味付け希釈した話を聞き流し、午前中が過ぎてゆく。これであっという間に4限目だ。

 

 昼ごはんは大抵近くの席のヤツと食べる。今日も隣に座っている冴えない顔の大倉君と食べることになるだろう。

 

 

「......ん?なんだ、この本?」

 

 頭のなかで弁当を開きながらふと隣を見ると、きれいなイラストの描かれた派手な色の文庫本が目に留まった。

 

 

「......異世界......転生物語?......ってこれが500万部も!?」

 

 オビを見ると、手書き風のフォントで『シリーズ500万部突破!』『今話題の異世界転生チート戦記!』と書かれている。今話題なんだ。ふーん。ベっ別に興味があるわけじゃないんだからねっ!うん。すると、横から声が掛かる。

 

 

「おっスグ。お目が高いな。それは今巷で話題の異世界転生モノのラノベだぜ?」

 

 大倉君だ。言われなくても知ってるもんね。今オビを読んだばっかりだから。だけどクールな僕はそんな気持ちを外には出さない。

 

 

「そうなんだー。すごいね!」

 

 僕は大倉君へ華麗に返事を返すと、『異世界転生物語』を手にとってパラパラとページをめくる。きょ、興味があるわけじゃないから!これは確認、ただの中身の確認作業だから!

 

 ものすごい量の活字で埋め尽くされた中身は、どこも650円のお手軽な文庫本とは思えないほどに引き込まれる文章だった。ダイ●ンさんもびっくり、ブラックホールさながらの吸引力。

 

 

「ギルドって組合みたいなものだよね?」

 

 

「ん、そうだぞ。まあ異世界モノには必ずと言っていいほど登場する。」

 

 

「組合に入ろうとしたら命がけで組合人に絡まれるって、ブラック過ぎない?」

 

 入る前から命を張る組織など、『過労死』『残業』の言葉で名高い日本を隅々まで探しても見つからないだろう。

 

 

「スグ......。まあいい。これはテンプレというか、お約束のようなものだからな。」

 

 

「『てんぷれ』?」

 

 

「テンプレートの略だよ。決まった型みたいなヤツ。」

 

 

「なるほど、かんぺきにりかいした。」

 

 つまりギルドは近づくと絡まれる建物なんだな。危ない危ない。そんな物騒な建物が現代日本に無くてよかった。

 昼休みには大倉君に、色々な『てんぷれ』について教えてもらった。

 

 家に帰ると、問題集を適当に終わらせてから夕食を食べる。今日は母親が夜勤のため、近くのスーパーで買い置きしておいた惣菜がメインだ。しかしそれにしても、スーパーの惣菜を兄妹で淡々と食べていく姿はなんとも悲しい。そんなことを考えていると、ふとテーブルの上の本に目がいった。

 

 

(またか......)

 

 そこには、『異世界転生物語』が置いてあった。どうやら妹が、学校の帰りに買ってきたらしい。ここまでくるとちゃんと読みたくなる。

 

 

「「ごちそうさまでした。」」

 

 夕食を食べ終えると、なんとなくテレビを付け意味のない時間が過ぎてゆく。そして23時には就寝だ。

 

 

「おやすみなさい」

 

 こうして僕の一日は終わってゆく。

 

 

 

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