転生したら厄介事が付きもの 〜お約束に手を出すとロクな事にはなりません〜   作:ち~やん

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第19話 お礼とお礼。そんなお話。

 

 

 

 少し歩くと、ある大きな建物に着く。

 

 ......街の中は、昔のヨーロッパのような世界だった。建物は石造りだし、街行く人はTシャツなど誰も着ていない。......それと、武装している人が多かった。案外治安が悪いのかもしれない。気をつけよう。

 

 

「ここが私の、マルス商会だよ。」

 

「アッハイ。」

 

 そのままだった。だけどこんな大きな商会の会長なんて、凄いことなのかもしれない。門番に敬語で話しかけられていたのも、そういうことか。すると、建物の中から沢山の人が出てくる。そして僕たちの方を見ると誰もが、

 

 

「会長!ご無事でしたか!」

 

「ドラゴンが出たと聞きました!」

 

「護衛が皆逃げたというのは、本当ですか!」

 

「よくぞご無事で!」

 

なんて言いながら押し寄せてくる。マルスが彼らを落ち着かせてくれた。よかった。

 

 

「部屋まで案内しよう。」

 

「アッハイ。」

 

 中に通された。誰もがマルスの生還を見て驚いていたけど、中でも秘書の人は涙を流しながら喜んでいた。愛されてるな、おっさん。階段を登り、廊下を通って部屋に入る。ちなみにエリックとは途中で別れた。

 

 

「とりあえず座ってくれ。改めてお礼が言いたい。」

 

「アッハイ。」

 

 座らされた。

 

 

「君がいなければ私の命も、商会の未来もなかっただろう。」

 

「アッハイ。」

 

「実は最近王都に店舗を出したばかりでね。他の商会に狙われているんだ。」

 

「アッハイ。」

 

「今私が死んでいたら、商会は大混乱していたはずなんだ。」

 

「アッハイ。」

 

「つまり君は私と息子の命だけはでなく、ここの従業員の仕事、家族まで守ってくれたんだ。」

 

「アッハイ。」

 

「だから改めてお礼を言おう。助かった。そしてありがとう。」

 

「アッハイ。」

 

 全く反応ができない。

 

 

「受付に話は通しておいたから、いつでも頼ってくれていいんだよ。」

 

「アッハイ。」

 

「ところで......何故あんな場所に一人で居たんだい?親御さんはどこに?」

 

「アッハイ......え?」

 

「だから、どうして一人森の中に居たのかと思ってね。」

 

 そんなこと僕が知りたい。

 

 

「それは......わかったんですけど。」

 

「うん。」

 

「ここってどこですか?」

 

「......?私の商会、マルス商会だが?」

 

「それはわかりますが......この街は?」

 

「......?キレニアという街だよ。」

 

「国......の名前、は?」

 

「ジュルア王国だが......スグルちゃん、体調は大丈夫かね?」

 

「大丈夫、です。」

 

 正確には性転換してるけど。

 

 

「あ、それと......。」

 

「それと?」

 

「何か、日雇いの仕事はありませんか?」

 

「は?仕事?」

 

 何を言われたかわからない、といった顔をしている。そりゃまだ10歳くらいの見た目の女の子が仕事を探してたら驚くよね。

 

 

「すまないが......親御さんはどこに?」

 

「......ここにはいません。」

 

「それは......失礼したね。済まなかった。」

 

 いや、死んでないけど......。あっちの世界だと多分僕の方が死亡認定されていると思う。救急車で運ばれた後のことは知らないけど。

 

「さきほどの話だが......見たところスグルちゃんはお金を持っていないね?」

 

「はい。」

 

「つまり今日泊まるところもないわけだ。そうだね?」

 

「はい。」

 

 今まで野宿していたから、生活には困んないんだけどね。でもお金を持っていないと、街に入れないから困る。

 

 

「今日のところは......商会で宿を手配しよう。そこに泊まるといい。」

 

「えっ。......あ、ありがとうごじゃ......ございます。」

 

 噛んだ。それよりこのおっさん、そこまでしてくれるなんて。

 

 

「なに、ほんのお礼の一部だよ。」

 

 そんなことを言って笑っている。イケメンだ。僕が男でよかった。おっさんだけど。

 

 

「それとお金がなくても困るだろう。......これを渡そう。」

 

 巾着を渡される。中には、銀色の硬貨が10枚入っていた。

 

 

「じゃあ後はこの女性から聞いてくれたまえ。......明日の朝、またここに来てくれるかい?」

 

「わかりました。」

 

「じゃあ、ついてきてください。」

 

 紹介された女の人は、例の秘書さん。部屋を出て、宿へ案内される。と、その道中。

 

 

「今日はうちの主人を助けてくれてありがとうございました。」

 

 ......おっと、そう来たか。秘書さんはマルスの奥さんでもあるらしい。道理で帰ってきたときにあれだけ喜んでいた訳だね。

 そして、宿に着いた。

 

 

「では、ここの2階が宿になります。食堂は1階で、別料金です。宿泊費は商会の方で払っておきました。明日の朝にまた迎えに来るので、それまでゆっくりと休んでおいてください。」

 

「は、はい。ありがとうございます。」

 

 奥さんと別れて、建物の扉を開けると。......武装した人間がたくさんいた。奥に階段がある。

 

 ナニココ。コワイ。タスケテ。

 

 ......急いで階段を登って避難した。あそこが食堂らしいけど、あんな怖い場所行けない。

 幸い食糧の焼いたトカゲ肉は大量にあるので、それを食べて寝ることにした。

 

 

「おっと、忘れてた。」

 

 寝る前に、あることに気づく。

 

 

「この体......どうにかしないと。」

 

 

 




さらば幼女形態。
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