Sub-tribe Stratos   作:ダンディー

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 多分ほとんどの人が初めまして、でしょうか。どうもです。

 この度は IS<インフィニット・ストラトス>の二次創作を投稿させていただきました。タイトルである「Sub-tribe」は、異種族という意味があります。言葉の通り、異種族が色々出てくる予定です。(エルフとかワーウルフとか、とにかくそんな感じの種族なら出す予定です)

 癖があると友人に苦言を呈されるような文章ですが、どうかよろしくお願いします。


 要望などがあれば是非教えてください。


第1話

「ジルード。お前さんに言っておかなければならないことがある」

 ここは地球上のどこかにある、人間が踏み入ることのできない秘境に位置する場所。そこで、一人の青年が人型の竜を思わせる姿をした老人に呼ばれていた。

「はい。どうかされましたか、長老」

 そういう青年は、老人とは似ても似つかぬ姿、早い話がまるっきり人間の姿をしているのである。見るからに関連のなさそうな二人ではあるが、この青年の教育を任されたのは、他でもないこの老人であった。

 老人は一つ深呼吸すると、手に持っていた扇子を閉じて床に置いた。

「我らドラゴニアが絶滅の危機に瀕していることは、知っているな?」

「はい。種としての個体数が少なく、ドラゴニアの女性も少ない。かと言って、人間を安易に引き込むわけにはいかない、ということでしたか」

「うむ。いくら人間を引き込んだからと言っても、人間でない種に対する偏見を持つ者もいれば、異なる種との交わりを拒む者は多い。ともすれば、我らの絶滅は必須。そこで、お前さんに全てを託すことに決めたのだ」

「全てを……?」

 老人はゆっくりとした動作で頷くと、ジルードは俯いてしまった。

「あの……長老。何故、私なんかに?」

「結論から言うと、もう種の繁栄は諦めておる。今からでは、人間の女を攫って孕ませようとも、個体数の増加は見込めない。ドラゴニアという種が独立して生きていくのは不可能。なればこそ、我らは種が滅びぬことを考える」

「……私と、私の子孫に、ドラゴニアの全てを託したい……そう仰るのですか?」

「さよう。そしてこれは儂の決定ではなく、我らドラゴニア全員の意思でもある」

 まだ生まれて十数年しか経っていない青年に、決して多くはないが、自分を育ててくれた者たち全員、そして将来生まれてくるはずだったであろう命が任せられた。それを「はいそうですか」と快諾できるほど、青年は豪胆ではない。

「お、お言葉ですが、私にはその役目は重すぎます。もし私が伴侶を見つけ、子孫を残したとしても、この村の者たちが」

「だから、ドラゴニア全員の意思だと言っておろう。お前さんには秘密で全員にその是非を問うてみたが、全員、お前さんの将来に託した。………胸を張れ、若人よ。お前は、ドラゴニアの意思を継ぐ者として認められたのだ」

 老人は立ち上がると、正座している青年の頭を愛おしそうに撫でた。

「お前さんはドラゴニアと人間の間に生まれた子だ。それ故に苦労することもあったろう。だが、こうして逞しく育ってくれたことを、育ての親として嬉しく思う」

「はい……長老」

 青年は溢れそうになる涙を堪え、嗚咽交じりに返事をした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ドラゴンや竜は、既に伝説上の生物として知られており、実在したかどうかは定かではない。だが、青年ジルードは確かに伝説と呼ばれる存在から生まれたのである。

「しかし、どこへ向かったものか」

 ただ、ドラゴニアのいた秘境の外の世界を、ジルードは知らない。どこに何があって、どこに向かえば使命を果たせるか知るわけがなかった。加えて自分の現在地すらもわからない。ここは一体どこなのか。

「………」

 今はとにかく町のはずれにいることだけはわかる。遠くに高い建物が見え、自分たちの住んでいた場所とは大きく違っている。とりあえず人のいる場所に向かい、話を聞くなりすれば問題はないはずだろうという考えのもと、ジルードは町に向かって歩き出した。

 

 そうしてしばらく歩いたところで、ジルードは異変に気がついた。風の流れが変わり、不規則な空気の振動が伝わって来る。今まで感じたことがない感覚であるがために、ただ事ではないことはすぐに分かった。早く現場に向かいたいところではあるが、ここで翼を展開して目撃されると面倒極まりない。多少の消耗は覚悟の上で、全力で走り出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 現場にたどり着いたジルードが見たのは、自分と同じような羽を持った女が、周囲の建物や人間を攻撃している光景であった。決定的に違う点を挙げるならば、女の翼は金属でできており、四肢に金属の鎧をつけていることである。

「あっはははは! あっけないねぇ、誰も抵抗しようともしないし」

 女は高笑いして、手に持っていた重火器を乱射する。建物を抉り、人間を吹っ飛ばし、とにかく阿鼻叫喚とも言える光景が、ジルードの足を完全に止めた。

「……人間同士が争っている……のか?」

 人間同士の争いが絶えないことは、母親からよく聞いていた。しかし、これはただの虐殺にしか見えない。現に地面や建物の壁には大量の血が飛び散っており、絶命している者も少なくない。それでも女は残虐な行為をやめようとはしなかった。が、ジルードの姿を見ると、動きを止めた。

「あ? 誰だお前」

 向けられるのは明らかな敵意。自分も攻撃対象となり得るのであれば、応戦するか逃げるかの二つ。ただ、応戦しても勝てるかどうかは不明。逃げても逃げ切れるかは不明。一か八かの賭けになることはすぐに理解した。

「こんな奴、データになかったが……で、オメェは誰だって聞いてんだよ!」

「私はジルード・レイヴァン。道に迷ってここに来てしまった者だ」

 あくまで『道に迷って』、ここに来て『しまった』とすることで、必要であればすぐに立ち去ることを暗にアピールするジルード。それが伝わったのか、女は舌打ちをして武器を持っていない手で追い払う仕草をした。

「こっちは取り込み中だ。ミンチになりたくなきゃさっさと失せろ」

「ああ」

 女に言われた通り、ジルードは背中を向けて走り出そうとした。が、

「バァアカ! 誰が逃がすかよ!」

 手の平を返すよりも早く、女は重火器の銃口をジルードの背中に向け、迷いなく引き金を引いた。耳が痒くなるような低い音とともにジルード目掛けて飛行するミサイルは、当たり前のように爆発した。女から見れば、ミサイルは完全にジルードへ直撃した。普通の人間なら四肢がバラバラになって吹っ飛ぶくらいの威力があるはずだった。

 

 

 

 

 

「随分なご挨拶だな」

 だが、ジルードは立っていた。その背中には大きな黒い翼があり、それをはためかせることで自身の体を空中で安定させている。それが女にとっては信じられない光景で、次の引き金を引くことを忘れてしまった。

「な、何だオメェは!?」

「私はジルード・レイヴァン。それ以外に貴様に語るべきことはない」

 それだけ言うと、ジルードは女に急接近し、その重火器の銃身を掴んだ。女は反射的に振りほどこうとしたが、あまりにもジルードの力が強く、ピクリとも動かない。

「無抵抗な者に武器を向けるなど、許しがたいものだ」

「な、ちょっ」

 そのまま女の腕を掴んだジルードは、地面に対して垂直降下を始めた。その速度は凄まじく、生身の人間であればひとたまりもないだろう。

 殺人が罪であることは、ジルードもよく知っている。だが、彼の暮らしていた場所での決まりでは、『悪意のままに命を奪う者は、例外なく死刑』とされている。彼はそれに従っているだけである。

「死には、死を」

 抵抗虚しく、女はジルードに引っ張られていく。あまりの速度に体が思うように動かせないまま、地面に叩きつけられた。

 普通に暮らしていれば聞くことのないような轟音が響き、爆弾でも投下したような大量の砂埃が舞い上がった。

 

 

 

 

 

 

「………」

 地面に叩きつけ、生きてはいないだろう女を見る。しかし、まだ僅かに息があった。何故生きているのか、そんな疑問を抱いたジルードだったが、彼にとっては大した問題ではない。それよりも、女が引き起こしたであろう騒動の中で、逃げ遅れた人間たちのことが気がかりだった。

 

 町は半壊しており、廃墟街の方がまだ見栄えが良いとも言えるような惨状だった。所々に人間の一部が転がっており、比較的グロテスクなものに耐性のあるジルードでさえ、吐き気がした。だが、まだ息のある者がいる。ジルードはその者たちに駆け寄ると、傷の状態を見た。

 

 ジルードが近寄った男は、警戒した様子で睨むも抵抗する力は残っていない。ただされるがままに傷の状態を観察され、自分はもうダメかもしれないと悟った。しかし、男の予想は大きく外れることとなった。

 

「הקשיבו למשאלה שלי, הו אלוהים של חסד」

 

 ジルードの言葉は、男には分からなかった。だが、自分の傷が癒えていくことは、はっきりとわかった。

 腕や足に出来た裂傷は縫い合わせるが如く塞がっていき、瓦礫が直撃したことによって見えなくなっていた目も、光を取り戻した。

 男は自分の体をまさぐるが、異常がない。それこそが異常であるのだが、それ以上に傷を癒してくれたであろうジルードを、神のように思った。

「Oh, mon dieu. Merci pour cette sympathie…」

 男はただただジルードを崇めるように祈りの体勢を取ったのだが、今度はその行為がジルードに伝わらなかった。

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