Sub-tribe Stratos   作:ダンディー

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一週間ほど投稿できないと言ったな。
あれは嘘だ。


今回はほぼ茶番で終了します

あとがきに、オリキャラの設定乗せてまーす


第13話

「ほら、口開けなさい」

 侵入してきたISをノヴァ・カノンで消しとばしたジルードは、侵入者を撃退したということで、更に人気が上昇した。体をまともに動かせない本人は医務室で要安静を言い渡されており、鈴に昼食を食べさせてもらっていた。

 だが、気恥ずかしさから口を開けようとはしないジルード。腕が動かせないほどの重傷であるため必要な措置ではあることは理解している。

「あーけーなーさーい!」

「………」

 渋々口を開け、スプーンが突っ込まれる。じんわりと広がるコンソメの味に、細かく切られたニンジンや玉ねぎの食感。少しだけ胡椒も振られており、難なく食べることができる。

 ジルードが食べてくれたことが嬉しかったのか、満面の笑みで再びスプーンをジルードの口元に運ぶ。

 

 鈴は自分が気絶した後に起こったことが知りたいと、教員に頼んで映像を見せてもらった。そこに写っていたのは、ぐったりしている自分を抱えながら懸命に戦おうとするジルードの姿。初めて会った日に化け物と罵ったあの翼で敵の攻撃を受け、血塗れになりながら立っていた。そして、途中でピットから登場した制服姿の女子が敵に矢を放ち、フィールドを疾走する。その速さは人間のそれとは一線を画しており、敵のレーザーを躱す。そして、ジルードの背後に隠れたかと思うと、今度はジルードが相手を掴み、映像に大量のノイズが発生すりほどの威力のレーザー砲を発射。敵のISは上半身部分が消滅した。

 

 信じられない光景であったが、それ以上に自分の不甲斐なさとジルードへの感謝が湧き上がる。ジルードが身を呈して守ってくれたおかげで、自分は生きている。

「ありがと」

 ほぼ無意識に、感謝の言葉が出た。その言葉はもう何度言ったかわからない。それでも、この先も言い続けるだろうと、鈴は心の中で思っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ジルードさん。お怪我の具合はいかがですか?」

 鈴が甲斐甲斐しく世話をしている中、セシリアが医務室にやってきた。他でもなくジルードの世話をしにきたのだろうが、既に鈴がいる。その厚意をありがたく思うジルードに対し、鈴は少しだけ表情が不機嫌なものになった。

「ジルードの世話は私がするから、別に良いわよ」

「随分なご挨拶ですわね」

 セシリアは動じることなく、ジルードの側にやってきた。そしてすぐに包帯を解き始め、新しい包帯を持ってきた。

 ジルードの背中には依然として大きな怪我があるのだが、先日よりも回復しているのが良く分かる。

「ジルードさんの種族は、傷の治りも早いのですか?」

「さぁな。人間と比べたことはないが、母上は人間よりもかなり早いとは言っていた」

「そうでしたか。それは思っていたより早く復帰ができそうですね」

 消毒液を傷口に塗り、新品の包帯で優しく巻いていく。上半身をほとんど覆う必要があるために、巻いてる途中で何度も抱きしめるような体勢になるのは仕方のないこと。だが、それが鈴には面白くなかったようで、苛立ちを込めた視線をセシリアの背中に注いでいた。

 

「ジルー!!」

 次にやってきのはエシュリー。足の裏がボロボロで包帯を何重にも巻いているような怪我をしているにもかかわらず、全力疾走で医務室にやってきた。そして反応するよりも早くジルードに近づくと、思いっきり抱きしめた。

「ジルが元気そうで良かった〜。私の怪我は大したことなかったけど、ジルは命に関わるって話だったらね」

「「え?」」

 エシュリーの言葉に、セシリアと鈴は驚きの声を上げた。

 

 侵入したISを撃退した日、ジルードはその場に倒れ、鈴は気絶。エシュリーは立っているのがやっとの状態であった。すぐに救護班によって医務室に運ばれた三名は、診察を受けた。その結果、ジルードは生命機能が著しく低下しており、人間のデータに当てはめると絶命の危険性もあると言われていた。それを聞いたエシュリーは慌てたが、時分が何かをできるわけではないと悟り、辛うじて歩けると言う状態で時分の部屋に戻って行ったのだった。ただ、その三十分後にジルードは目を覚ましたのだが。

 

「………」

 鈴は言葉が出てこなかった。下手をすると、自分を守るために人が死んでいたのだ。今度は感謝ではなく、後悔と申し訳なさが湧き上がった。

「ジルードさん……良くぞご無事で……」

 無事ではないからこのような事態になっている。セシリアも驚くべき事実に混乱しているのだが、エシュリーはそんなことを無視してジルードを抱きしめ続ける。

「うんうん、困ったことがあったら私に言ってね。いつも助けてもらってるから、少しでも恩返しがしたいの」

「………」

 さっきからジルードの反応がない。と思ったら、エシュリーの巨大な胸に顔を埋められており、言葉を発することはおろか、呼吸すらできているか怪しい。

「ちょ、ちょっと!」

 間に入った鈴が二人を引き剥がすと、その衝撃でエシュリーの胸がポヨンと、ゴム鞠のように跳ねた。それを見た瞬間、鈴の目から光がなくなる。

「………」

「え? あ、何、かな?」

 ぎこちない笑みを浮かべるエシュリーだが、鈴の視線はエシュリーの胸部に注がれている。

「コイツは敵コイツは敵コイツは敵コイツは敵コイツは敵コイツは敵コイツは敵」

「ひぃっ」

 呪文のように敵視する宣言を繰り返す様子に、エシュリーは恐怖を感じた。どうして私がそんなことを言われなくてはならないのかと。

 だが本人は知らない。エシュリーの意識や性格ではなく、体に対して嫉妬しているということを。

 

 

「………なんだこれ」

 少しだけ気を失いそうであったジルードは、状況が飲み込めずにそう呟いた。

「女には、どうしても許せないものもあるんですの」 

 と、暗に踏み込むなという釘刺しをしたセシリアは、包帯の交換を再開するのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それから数日。驚くべき回復速度で動けるようになったジルードは、学業へ復帰ができた。うつ伏せで寝るのが苦痛だったあの日々から解放され、昨夜ようやく部屋のベッドで寝ることができた為に、どことなく血色が良い。

「ようやくまともな睡眠がとれた……」

「あはは、お疲れだったな」

 一夏は欠伸をするジルードを労うと、教室のドアを開けた。

「あ、一夏君おはよー」

「ジル君も〜」

 クラスメイトたちは二人の顔を見るなり、思い思いに挨拶をする。学園中で男子が二人しかいないということを除けば、和やかな学園風景である。

 

「ジルジル〜」

「んぐっ!?」

 自分の席に座ろうとすたジルードの背中に衝撃が伝わってきた。そこには、高校生とは思えないほどに小柄な少女がぶら下がっていた。

「ジルジル、元気になって良かった〜」

「あ、あぁ、そうか」

 復帰を喜んでくれることはジルードとしても嬉しいのだが、抱きつかれることに戸惑っていた。

「こ〜ら〜、本音! ジルード君は怪我したばっかりなんだから!」

「うぅ〜」

 寝ていた猫を無理やり退かすように、クラスメイトの一人が布仏本音をジルードから引き剥がした。

「大丈夫?」

「あぁ、大丈夫だが……」

 チラリと本音を見る。身長は小さく、顔も童顔そのもの。にんまりと微笑むその笑みも、子供じみている。だが、どことなく得体の知れない凄みを感じた。

「あれ〜? ジルジル、どうしたの〜?」

「いや、なんでもない」

 鬼が出るか蛇が出るか。だが、自分からことを荒立てるひつようがないと判断したジルードは、何も言わなかった。だが、本音はジルードに再接近すると、首に腕を回して抱きついた。

「う〜ん、ジルジルとかシュリシュリは、人間じゃないって言われてもわからないね〜」

「シュ、シュリシュリ?」

「私のことだよー」

 エシュリーが元気に返事をする。エシュリーがエルフということは知られているのだが、それで騒がれることはなかった。原因は言うまでもなくその胸。それのせいで、エルフという事実の前に、爆乳ということで覚えられる。

 本音は今度はエシュリーに正面から抱きつき、その胸に顔を埋める。

「シュリシュリの胸、柔らかいねぇ〜」

「あぁちょっと!」

 エシュリーはくすぐったそうに身をよじり、本音を引き剥がそうとする。

 

 しかし、こんな和やかな時間は朝のHRにぶち壊されることとなる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一組にまたもや転校生がやってきた。しかも二人。

 

 一人はシャルル・デュノア。世界で三番目の男性IS操縦者でフランスの代表候補生。世界のISのシェア第三位のデュノア社の子息である。

 もう一人はラウラ・ボーデビッヒ。彼女はドイツの代表候補生であり、千冬を教官と呼ぶ軍人。そして、一夏にいきなりビンタをするという暴挙に出た本人でもある。

 

「大丈夫か?」

「ああ。ビンタされたのは大丈夫だけど……」

 所変わって更衣室。一時間目がISを使った実習ということで、シャルルを含めた男三名は着替えていた。

「しっかし、男が増えて嬉しいぜ」

「そ、そこまで言ってもらえると、う、嬉しいかな」

 シャルルは少しだけ表情を曇らせる。それが何を意味するかなど知る由もない一夏だが、ジルードの目はしっかりとシャルルを貫いていた。

「そ、それはそうと、ジルード君はドラゴンだって、風の噂で聞いんだけど」

 それに気がついたのか、シャルルは取り繕うように質問をした。

「ああ、すっげぇんだぜ? 自分の意識で翼の出し入れができるし、翼もカッコイイんだよ!」

「そこまで言われるようなものでもない。私の血は半分人間の為、翼の大きさや形、力強さなどは最底辺と言ってもいいだろう」

「え、マジで?」

「ああ」

 既に周知の事実である為に、何も遠慮することなくドラゴニアの話題を話す二人。それをシャルルが録音していることに、二人とも気がつくことができなかった。

 




●ジルード・レイヴァン


身長:178cm

 ドラゴニアと人間の間に生まれた青年。本来は背中に羽がついてはいるのだが、任意で収納が可能である。

 ドラゴニアの個体数は非常に少なく、常に主の絶滅の危機にさらされている。そのため、主の存続を願ったドラゴニアの当主が、完全に人間の姿になることができるジルードに、人間社会への進出を命じた。


 ドラゴニアの大老たちに教育されたせいか、性格は温厚で冷静沈着。頭脳も人間に紛れても優秀な部類に入る。

 ドラゴニアと人間の間に生まれた存在であるためか、種族に関連した偏見などは持っておらず、自分の母親以外の人間に触れたことがないために人間に興味がある。だが、自分の役割である、将来の伴侶を見つけるということには気恥ずかしさを感じており、なるだけそういったことを意識しないようにしている。
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